Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
もうすぐお盆ですね。そして相変わらず暑くて倒れそうです。

FGOではついに始まった水着イベント。
色々と気になりますがゆっくりイベントを楽しもうと思います!!
やっぱ驚いたのがレディ・アヴァロンと成長したふーやーちゃんかな。

さて、此方の物語も色々と進んでいきます。
ついに北郷一刀と左慈の因縁が分かります。まあ、無印の恋姫をプレイした人なら分かってると思いますけど…。
では、物語をどうぞ。


覚悟と刀

748

 

 

左慈は方士だ。戦闘スタイルは殴打や蹴りによるもの。そして特別な能力の持ち主。

分かっているだけで物理無効の透過能力。間合い、距離は関係無しの距離操作と瞬間移動。

並べていくだけで「どうしろっていうんだ」と心の中で叫びたくなる。シンプルだがほぼ無敵のような存在だ。

これだけでどうやって倒せばよいか難解である。

 

「何か突破口があるか藤丸」

「まだない。北郷は?」

「同じく」

 

突破口はまだない。ならばと、様々な事を試すしかない。

魔術礼装や概念礼装の効果を頭の中で並べる。現状で左慈に対抗出来る礼装を見つける。

北郷一刀は祖父から修行を思い出す。どのように動き、どのように刀を振ればよいかを決める。

 

「どうした。かかってこい」

 

余裕で構えている左慈。何処から仕掛けて来ようとも問題ないといったようだ。

 

「来ないならこっちから行くぞ」

 

言い終わった瞬間に2人は腕を交差するように防ぐ。またも距離を操作されて間合いに入り込まれて蹴りを打ち込まれる。

 

「ほお、流石に学習したか。だがたまたまだろう」

 

瞬間移動により視界から消えて背後に現れる。

 

「概念礼装起動。三重結界」

「その概念礼装というのは便利だな」

「概念礼装起動。ルーの光輪」

 

燃え上がる光輪が左慈へと放たれるが避けられる。

 

(避けた?)

「少し熱いな」

(熱い?)

 

手刀を作り、振り落とす。

 

「させるか」

 

刀で手刀を防ぐ。

 

「でええええええい!!」

 

気合任せで刀を振るう。

 

「意味の無い事を」

「概念礼装起動。一の太刀。いけ北郷」

「でりゃああああああ!!」

 

北郷一刀の刀に概念礼装『一の太刀』の必中という概念が付与された。

透過するというのならば概念の必中で打ち消す。

 

「概念というものか。面白いものだ」

 

必中が付与された刀が左慈の身体を通過した。

 

「な、ダメか」

「少しだけヒヤっとしたさ。当たるかもって思ってしまった」

 

そう言いながら余裕そうだ。

 

「概念レベルの勝負。そちらが上ならば負けていたさ。だがこっちの方が上だった。それだけだ」

 

左慈の透過能力。物理的なモノならば透過し、無効にする。当たるという概念で付与されているが左慈の透過能力に効果が無かった。

実は北郷一刀が振るった刀は正確には当たっていた。当たった瞬間から透過しているのだ。それならば必中の効果はあるのだが無いとなってしまっているのだ。

必中という概念も見方によって様々だ。永遠に効果があるのか。それとも一度接触すれば次は継続されないのか。

今回に関しては後者であったにすぎない。

 

(必中では駄目なのか。そして先ほどの熱いというセリフ。物理的なモノは無効だけど他は効くのか?)

 

突破口の為の材料を少しずつ揃えていく。

 

「左慈。お前は俺が憎いんだろ。なら俺が相手だ!!」

「そんなくさい台詞は聞いてて苛つく」

 

刀を振るうがやはり当たらない。

 

「ただ振るう事しか出来ない馬鹿が」

「俺が刀を振るう事しかできないんでね」

 

連続で刀を振るう。

修行で手が血豆だらけになった立木打を思い出した。

 

「えええええええい!!」

「チッ」

 

舌打ちをしながら左慈は後方へと下がる。

透過能力で当たりはしないが此方側も攻撃できない。透過能力も完全無敵ではないのだ。

 

「無駄に体力を削っているだけだな」

「まだまだ体力は有り余ってるぜ」

 

既に怒りを込めている左慈にもっと苛つかせてやろうとドヤ顔をしてみせる。

 

「まだまだ!!」

 

右手で自然に振り上げた形に左手を添える。『蜻蛉』という構えをする。

 

「チェスットォォォーー!!」

 

チェストの語源は「知恵を捨てよ」、「頭で考えるな、無心で打ち込め」だ。しかし今の北郷一刀は考えている。

どうやって左慈を倒せばよいかどうかだ。相手が物理無効の能力なんてなければ言葉通りだったかもしれない。

 

「五月蠅いぞ!!」

 

瞬間移動でまた背後に現れる左慈。

 

「お前だって同じ事をやってるじゃねえか!!」

「なに?」

「藤丸!!」

「概念礼装起動。三昧真火!!」

 

熱き火が左慈に向かう。

 

「おっと」

「さっきお前は熱いって言ったな。物理は駄目でも現象効果などは効くってわけだろ」

 

舌打ちが聞こえた。

 

「つい言った言葉からか…そこからよく答えを導き出したもんだ。だがどっちにしろ当たらなきゃ意味無いだろ」

「ああ。そうだな」

 

藤丸立香が頷くと三昧真火が北郷一刀の握る刀に付与される。

刀は当たらなくとも三昧真火の火は当たる。

連続で刀を振るって左慈の身体を透過しても三昧真火の火は左慈の身体を焼くのだ。

 

「行くぞ!!」

 

駆け出す北郷一刀。

 

「少しは考えたな。だが距離操作と瞬間移動の対策はどうし…なるほど」

 

左慈は瞬時に藤丸立香の前に現れて蹴り上げる。

 

「がっ!?」

「俺の意識を北郷に向けさせて、その隙に英霊の影を呼ぼうとしたか」

「そうだけど…これで終わりじゃないさ」

「は?」

 

瞬間的に発光した。

 

「概念礼装起動。閃光」

 

目くらまし。

古典的だが相手の視界を奪うというのは大きな隙を作らせるという事だ。

 

「おのれ…ぐっ!?」

 

身体に燃え尽きる程の熱が駆け巡る。

 

「ほ、北郷!!」

「どんな達人でも隙ができれば一太刀くらいあたるだろ!!」

 

鞘の抜けない刀が左慈に振り下ろされたのだ。

 

「熱い……が問題ない」

 

一太刀喰らった箇所から焼かれる痛みが消えたかのように歪んでいた顔が平然としたものに戻っていく。

 

(なんだ。効いていないのか?)

 

物理的にはあたっていないが燃え上がる火は喰らったはずだ。実際に左慈は三昧真火の力が効いていた。

 

(今は平然としている。やせ我慢なんかじゃない…これも能力なのか)

 

北郷一刀は刀を下ろさない。

 

「はあぁぁぁぁ」

 

重いため息を吐く。

 

「約束だからな」

「なに?」

「俺に一太刀入れたら話すって決めたからな」

 

左慈が始めに行っていた事を思い出す。

 

「まあ、斬られてないけどな」

 

 

749

 

 

左慈が北郷一刀に怒りを向けている理由。それは2人の間にある因縁だ。

彼らの因縁の始まりは聖フランチェスカ学園の資料館。左慈がある特別な銅鏡を盗もうとした時に北郷一刀と出会ったのだ。

その時は目撃者というだけで殺害しようとしただけであったが何かの手違いで特別な銅鏡が割れてしまったのだ。

割れた影響により北郷一刀は武将が女性という三国志の世界に迷い込んだのである。

 

「あの時、北郷一刀が俺の邪魔さえしなければこんな偽物の世界なんぞ生まれなかったんだ」

「偽物の世界?」

「正史からしてみればこんな世界は偽物だろうが」

 

話が少しずれたが修正する。

 

「俺は外史の管理者…剪定者だからこそ無駄でいらない世界は消す。そういう役割も担っている」

 

左慈はこの武将が女性になっている三国志の世界は不必要と判断した。よって外史の消滅を進める為に一番の要因である北郷一刀の殺害を決定したのだ。

何故、北郷一刀を殺害する事で外史が消滅に繋がるかは彼が起点によってこの外史が始まったからである。

 

「俺が起点だって?」

「そうだ。この外史の始まりの起点はお前だ北郷一刀」

 

外史とはパラレルワールドの事だ。

 

「その言い方だと俺がこの世界を創ったように聞こえるぞ」

「いや、お前が創ったわけではない。先ほどにも言ったようにお前は起点となったにすぎん」

 

『武将が女性になった三国志の世界』は様々な要因によって創造されている。『もしもの世界』である。

様々な要因とは本当に様々だ。誰かが「三国志の武将が女性だったら」と想像しただけで簡単な『もしもの世界』の誕生だ。

『もしも』という言葉は便利で可能性がある言葉だ。誰かが物語を想像・妄想するだけで新たな外史の誕生に繋がるのだ。

 

「貴様らの世界では漫画や小説といった物があるだろう。所詮はフィクションと言われているがもしかしたらそんな世界が存在しているかもしれない。それが外史世界だ」

 

左慈から説明されたこの外史世界の真理。

藤丸立香たちが考察していた『三国志世界を元にした異世界』というのは正解であったようだ。

 

「この世界はな…人間共の幻想によって創造された世界なんだよ。三国志…大陸だからこう言った方がいいか。幻想創造大陸とな!!」

「幻想創造大陸」

「さっきも言ったが俺はこの世界はいらないと判断した。だからこそ剪定しようとした」

 

だからこそ起点となった北郷一刀の殺害が必要であった。彼は重要なファクターだ。絡繰りで言うならば一番重要な歯車だ。

重要な部分が1つ抜けるだけで全てが崩れていく。それは全ての成り立ちに繋がるものだ。

 

「俺の目的は今も昔もこの外史世界の消滅だ。だが北郷一刀は全て邪魔してきた。結果、未だにこの世界は続いている」

 

左慈はスラスラと説明していくが北郷一刀は納得できない部分がある。

 

「ちょっと待てよ」

「なんだ」

「左慈。お前が俺に怒りを向けている理由はこの世界消滅の邪魔をしたからなんだな」

「他にも色々とあるが概ね合ってるぞ」

 

左慈の怒りの原因は北郷一刀が外史消滅の計画を邪魔してきたからだ。

言葉で簡単に表すと何処か陳腐に聞こえるが実際はとても濃い物語があったのである。

 

「そんな…」

「ん?」

「そんなのおかしいだろ!!」

 

北郷一刀は怒りながら叫んだ。

 

「そんな出来事なんて俺しらねえよ!!」

 

北郷一刀は左慈の話を聞いたが一切合切知らない。

資料館で銅鏡のやり取りなんて初耳だ。左慈の外史消滅計画を邪魔したのなんてのも知らない。

 

「本当にそれ俺なのかよ!!」

「北郷一刀は北郷一刀だ。ただし別の北郷一刀だったがな」

 

左慈の言う北郷一刀とは今、目の前にいる彼ではない。別の外史の北郷一刀の事である。

 

「それってただの八つ当たりだろが!!」

 

八つ当たりよりも最悪だ。

 

「確かに俺かもしれないが俺じゃないだろ!!」

 

北郷一刀であるが別次元の自分がやった事を別次元の自分が責任を持つというのはおかしな話だ。そして怒りを向けられるのもおかしな話。

 

「ふざけんな!!」

 

 

750

 

 

左慈が北郷一刀に向ける怒りは八つ当たりだった。

 

「ああ、認めよう。これはただの八つ当たりだ。とても陳腐な理由だ。」

「納得できるかよ…そんなの」

「悪いがお前が納得しなくてもいい。俺の怒りを発散したいが為に貴様を殺したいだけだからな」

「本当にふざけんなよ」

 

刀の柄を強く握りしめる。

確かに左慈の怒りの理由は北郷一刀かもしれない。しかし今この場にいる北郷一刀は左慈の怒りの原因ではない。

それで殺害されるというのは理不尽過ぎて逆に怒りが込み上がってくる。

 

「俺は関係無いじゃないか」

「そうだな。だがお前も北郷一刀だ」

「そうだ。俺は北郷一刀だ。だがお前が怒りを向ける北郷一刀は俺じゃねえだろ!!」

「ああ。だが言ったろ。これはただの八つ当たりだと」

 

怒りの緒もブッチンと限界であった。

 

「さて、そろそろ視界が戻ったな」

 

目をパチパチさせている。

 

「話も終わった。続きをしようか」

「続きだと?」

「ああ。そろそろ殺してやろう」

 

バチバチと迸る音が響く。発信源は左慈からだ。

 

「なんだ?」

「これは左慈の力じゃない。俺自身の力だ」

 

左慈の肉体から雷から発生している。

 

「荒れ狂え雷」

 

龍が荒れ狂うように雷が部屋中を暴れ回る。

 

「北郷危ない!?」

 

藤丸立香は北郷一刀を庇うように前に走った。

 

「うあああああ!?」

「藤丸!?」

 

雷を藤丸立香を貫くように襲った。

人間が焦げた臭いが鼻を突き抜ける。

糸の切れた人形のように藤丸立香は床に顔から倒れた。

 

「ふ、藤丸。おい、起きろ。無事か!?」

 

すぐに脈や呼吸があるかどうか容体を確認する。

 

「う…あ…」

 

心臓は動いている。息もしている。意識は朦朧としているが生きている。

 

「ふん。カルデアのマスターが庇ったか。馬鹿なやつだな」

「……なんだと?」

「そいつには重大な使命がある。その使命を全うするまでは死ぬわけにはいかないんだ。だというのに使命に関係無いお前を庇うんだ。馬鹿としか言いようがないではないか」

 

藤丸立香は人理を救う為に戦っている。だからこそ自ら死に近づくような行動は極力しないように英霊たちに注意されている。

しなくても良い危険な行動をするなという事だ。それでも彼は誰かを助ける為に動くのだ。

 

「左慈」

「なんだ?」

「藤丸は俺を庇ったんだ。助けてくれたんだ。それを馬鹿な行動だって言うんじゃねえよ!!」

 

北郷一刀は優しく藤丸立香を床に寝かす。

 

「お前の八つ当たりはウンザリだ!!」

「そうか。俺もお前との縁にウンザリだ」

 

北郷一刀は怒りで血管がブチ切れそうであった。しかし怒りに任せて動くわけにはいかない。

頭は冷静でいて、怒りを力に変えるのだ。

 

「いい殺気だ。そうでなくてはな。だが俺に勝てる可能性はないぞ」

 

左慈の肉体からは雷が今も迸っている。

 

「俺とお前の実力差は天と地の程の差がある。さっき俺に一撃入れたのもカルデアのマスターのお陰だ。たった1人のお前に何が出来る!!」

 

今の北郷一刀は鞘の抜けない刀を持っているだけだ。ただ怒りと冷静を持ち合わせているだけだ。

 

(ああ。今の俺じゃ左慈に勝てる可能性はない。ただ勝てる可能性もなくはない)

 

チラリと鞘の抜けない刀を見る。

諸葛孔明と司馬懿(ライネス)の見立てでは鞘の抜けない刀は聖剣や魔剣レベルのランクがある。それは特別な刀であるという事だ。

特別な剣・刀というのは特別な力があるという事だ。困難を切り開く力があるという事でもある。

 

(この刀が抜ければ勝てる可能性はあるかもしれない)

 

この刀を抜くには資格が必要だと言っていた。しかし今はそれどころじゃない。

 

(刀よ。聖剣だか魔剣だか妖刀だか分からないが俺に力を貸してくれ)

 

片手で鞘を握り、もう片手で柄を握る。

北郷一刀は英雄でも勇者もない。特別な剣を扱えるなんて思っていない。

彼はただの人間だ。しかしただの人間にだってやれる事くらいはある。剣を振るって敵を斬る事くらいはできるのだ。

 

(覚悟はもう出来てる。藤丸は身体を張って俺を助けてくれた。なら今度は俺が助けねえと男じゃねえだろ)

 

藤丸立香は命がけで助けてくれた。庇ってくれたのだ。友達がそこまでしてくれて何も出来ずに殺されるなんて北郷一刀は認められない。

刀を柄をもっと強く握る。

 

「抜けてくれ。友を助ける為に」

 

カチャリと何かが外れたような音が聞こえたような気がした。北郷一刀は刀をゆっくりと抜くと光り輝く刀身が露わになる。

 

「その刀は…」

「左慈覚悟しろよ。俺は出来てるぜ」

 

蜻蛉構えをする。

 

「いくぞ!!」

 




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は2週間以内をまた目指します。


748
藤丸立香と北郷一刀の戦い方。
立香が概念礼装を用いて一刀を援護する。こういう形に収まりました。

左慈の透過能力。
物理は無効できますけど炎や雷といった現象は例外という事にしています。
何でもかんでも透過してしまうと…やっぱりね。

必中
当たった瞬間に再度透過させた。
これはハンターハンターのキルアのダツのシーンのようなものだと思ってくれれば…
あれもスゴいよね。

痛みを消す。
これも左慈のある逸話から来ています。


749~750
北郷一刀と左慈の因縁。
はい。始まりは無印の恋姫からです。そしてこの物語の北郷一刀に怒りを向けているのは本当に八つ当たり。
陳腐な理由です。左慈も陳腐な理由だと認めてます。
それでも『北郷一刀』とは左慈にとって切っては切れぬ存在ではあるのです。

幻想創造大陸
タイトルのそれはそう言う事でした。

左慈の雷。
これは天下統一伝の技からですね。

誰かを庇う行為。
藤丸立香ならそういう行動をとっても違和感ないですね。
そして英霊たちから説教されます。

ついに抜けた刀。
王道展開っぽいですけど私は好きです。


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