Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
FGOも2600万ダウンロード。凄いなあ。
そしてまたも凄いPUが…もう水着イベントで石がないです。

新たな新イベント。2部4章クリア推奨。
気になりますね。


物の怪

764

 

 

物の怪が現れる森にて藤丸立香たちは逸れた。

全員が気付かないうちに逸れたというのは異常であり、何か異変が発生しているという事。

 

「逸れちまったもんはしょうがねえ。一旦、森を出るしかねえな」

 

燕青は冷静にどうすべきか考える。すぐさまマスターと合流したいががむしゃらに探しても見つからない。

迷った、逸れた時にすべき事はまず冷静になる事である。

 

「普通に来た道を戻るか。だってまっすぐ歩いてきただけだし」

 

物の怪が現れる森を本格的に調査する前に逸れた。その過程で森の中をあっちこっち歩いたわけではない。

まっすぐ来た道を戻れば元いた場所に戻れるというのは道理だ。

 

「ほれ、戻るぞ地和」

「う、うん」

 

地和の目に映るのは三頭身姿の燕青。端正な顔つきと鍛え上げられた肉体はなく、ゆるキャラのようである。

 

(え…燕青はいつも通りだし。ちぃの目がおかしくなったの?)

 

ポテポテと可愛く歩いている三頭身の燕青。

 

(だ…大丈夫かしら。あんなんで物の怪が現れたりでもしたら)

 

戦えるのだろうかと不安になる。

地和は戦えるはずもない。少しは妖術を使えるが相手が怪物であったら敵うとは思っていない。

 

(みんなと合流するまで物の怪なんか出ませんように!!)

 

本心からの願いであった。しかしこういう時に限って悪い方向に物事が進むものである。

 

「ん?」

 

燕青が止まると地和も止まる。

何故なら彼らの目の前には角や腕が何本も生え、髭がモジャモジャの大男が現れたからだ。

 

「あれ。こいつどっかで見た事あんな」

「えええええ!?」

 

何処かで見たも何も天和の、張角の人相書きそのものである。

まさか本当に実在していたとは誰も予想できるはずがない。

 

「まさかこいつが物の怪!?」

 

見た目からして怪物だと誰もが思ってしまう姿から地和は森に出る件の物の怪と思ってしまう。しかし証言にあった情報に当てはまらない。

人相書きの張角であるならばもっと目撃証言があってもおかしくない。

 

「オオオオオオオオ」

 

雄叫びを上げる物の怪。

 

(単純に俺らが初の目撃者ってだけか?)

「こ、殺すって言ったわよ。あいつちぃたちを殺す気だわ!?」

「そんなこと言ったかアイツ」

 

物の怪が2人に襲い掛かる。

 

 

765

 

 

物の怪に遭遇したのは藤丸立香や燕青たちだけではない。

李書文(殺)と人和たちも遭遇していた。

 

「些か脆すぎではないかな?」

 

既に角や腕が何本も生え、髭がモジャモジャの大男の物の怪を沈めていた。

 

「あの姿でも戦えるんだ」

 

人和の目に映っている三頭身姿の李書文(殺)。腕も足も短いのに物の怪を普通に倒していた。

頼りない姿になったのを見て不安になっていた人和であったがすぐに撤回した。どんな姿であろうとも李書文(殺)の拳は研ぎ澄まされている。

 

(あの姿で物の怪と戦っている姿は何か危機感が感じられなかったわね…)

 

ゆるキャラが物の怪と戦うシーンに白熱さや焦燥感は感じない。寧ろギャグなのではと思ってしまう。

 

「それにしても本当に人相書きと同じ人がいるなんて」

 

人間がどうか分からない。もしかしたらそういう部族なのかもしれない。

人間の身体とは複雑で神秘である。特別な進化を辿った生命かもしれないのだ。

 

「それでもあの人相書きとうり二つってのはある意味奇跡ね」

 

この出会いは偶然なのか奇跡なのか。尤も人和からしてみればこのような奇跡は勘弁してもらいたいと思っている。

 

「この人と会話出来るのかしら…」

 

いきなり襲ってきた相手であるため会話の可能性は低い。しかし此方が強者であれば敗者はいう事を聞くかもしれない。

 

「殺してない?」

「殺しておらんさ」

 

そう言って拳を見る。

 

「どうしたの。怪我でもしたの?」

「いや。本当に脆すぎたと思ってな」

 

脆すぎたというよりも手ごたえが無さすぎたというのが本音だ。

拳を叩きこみ、物の怪は目の前で倒れている。しかし拳を撃った感触としては手ごたえが無さすぎたのだ。

拳が当たったが空を切ったような感覚だ。その事に李書文(殺)は訝しむ。

 

「あれ!?」

「どうした…む。これは面妖な」

 

倒したはずの物の怪が消えていた。

 

「ん?」

「どうした」

「何か鳥の鳴き声が聞こえた気がして」

 

 

766

 

 

角や腕が何本も生え、髭がモジャモジャの大男という物の怪が複数現れた。

 

「どりゃあああああ!!」

 

猪々子は物の怪たちは一刀両断して突き進む。

 

「アタイの斬山刀に斬れぬものはねえ!!」

 

彼女は斬山刀を振り回しながら突き進む。

斗詩の匂いを元に探していたら急に現れた物の怪。出会った瞬間に襲ってきたのだから抵抗するしかない。

文字通り一刀両断で物の怪を倒したと思ったら次々に出てくる。しかし猪々子の快進撃は止まらないというばかりに物の怪たちを次々に一刀両断していく。

 

「アタイと斗詩の絆はてめえら如きでは引き離せねえー!!」

 

そんな彼女の後ろから付いてくるのは荊軻。

 

「絶好調だな」

「ああ。何だか力が湧いてくるんだよ」

 

物の怪を倒す度に力が湧いてきていくらでも倒せそうという事だ。

 

「今のアタイなら恋だってたおせらぁ。元々、負けてるつもりねえけどな」

 

笑いながら駆け抜けていく。

 

「しかし、こうも同じ奴ばかりが湧いて出てくるな」

 

荊軻は猪々子が倒していく物の怪を観察する。倒してはその場で消えていくのだ。

見た目の割に脅威ではない。しかし気配もなく次々と現れるというのが不思議なのだ。

 

「気配を消すのに長けている存在か?」

 

いきなり複数現れるまで荊軻ですら気付かなかった。その場に居ないのに居るという感覚だ。

 

「斗詩の匂いが近いぞ。くんくん」

「確かに甘い匂いが近いな」

 

甘い匂いが鼻孔をくすぐるが斗詩からここまで強い甘い匂いはしなかったはずだ。

 

「これは単純に木の実の類ではないか?」

「そっかなー」

 

香水であったとしてもここまで香りが強い物を斗詩が付けているとは思えない。

 

「お?」

「む?」

 

2人の目の前に大きな木が一本生えているのを発見する。そして甘い匂いの正体も理解できた。

大きな木には木の実が実っており、地面には熟れた実が落ちていたからだ。

 

「斗詩の匂いにそっくりだけどな」

「本当か?」

「斗詩の木の実だな」

 

近づいてよく観察するとよく熟れており、甘そうである。

 

「食べてみるか?」

「食べない方が良いだろう」

「え、美味そうなのに」

 

甘い匂いが強く美味しそうに見えるが荊軻は食べない方が良いという。

 

「よく見ろ」

「んえ?」

「これだけ甘い匂いが充満しているというにのに木の実は綺麗のままだ。食べられるのであれば動物たちが食べてもおかしくない」

 

動物が食べないという事は毒があるかもしれないという事だ。

 

「えー…こんだけ甘い匂いがすんのに?」

「甘いからと言って毒が無いとは限らないからな」

 

毒にも様々ある。

とても甘く、綺麗な見た目の実があったとしても安全とは言えない。知らない実にどんな成分が含まれているかなんて分からないのだから。

食用とされているリンゴや桃にも毒が含まれている。正確には種の部分であるが知らなければ誰も毒があるとは思わない。

更に熟していない桃に関しては果肉にも毒があると言われている。

 

「え、桃にも毒があんの」

「種の部分にだ。そうなると中には果肉部分にも毒がある実があっても不思議ではない」

「アタイ。桃の種を間違って食べた事あんだけど」

「微量にあるくらいだ。大量に摂取しなければ平気だ。しかし食用ではない実には多量の毒が含まれているものもある」

 

世界には今だに発見されていない新種の植物があってもおかしくはない。更に過去に絶滅してしまった植物だってある。そしてここは異世界であるため異世界特有の植物があってもおかしくない。

 

「こえーな」

「知らない物は怖いものだよ」

「でも旨そうだな~」

「あれだけ説明したのに」

 

怖いと言っておきながら猪々子は気にしてはない。しかしこのような感性を持つ者がいるからこそ危険を顧みずに確認するのだ。

最初の者が「コレ食べれるのかな。あ、食べれた」と確かめたからこそ現代には食べられる物が各種あるのだから。

 

「しかし匂いが強いな。これだけ強いと逆にクラクラしそうだ」

 

人によって甘すぎる匂いは頭が痛くなると言う。強すぎる匂い・臭いというのは人体に影響を与える可能性もある。

 

「てか、気付けば物の怪が現れなくなったな。アタイが全部斬っちまったか?」

「そういえばそうだな。この木の実を見つけてから襲撃が無くなった」

 

周囲をポテポテと歩きながら確認する三頭身姿の荊軻。

 

「なんだか可愛いなケーカ。ちょっとボケってしてるような感じがするけど」

 

猪々子は謎の木の実をもぎ取る。そして割ってみるとやはり甘い匂いと瑞々しい果肉が露わになる。

毒かもしれないと言われているのならば食べはしない。しかしそれでも甘い匂いが鼻孔から脳へと伝わっていく。

 

「もしも食べられたら売れそうだな。斗詩の木の実…じゃ真名を呼ばせちまうから顔良の木の実ってか?」

 

動物類や虫すらも食べている形跡はない。生物が食べないという事は危険かもしれないという事は冷静になれば分かる。

 

「やっぱ食えねえか」

 

ポイっと捨てる。

 

「触っちまったけど毒があれば手が荒れちまうかな」

 

大きな木を背を反って見上げる。

 

「あれ。枝の部分に誰かいる…斗詩!!」

 

彼女の視界には木の枝に腰掛けた斗詩が写った。

 

「斗詩が居たのか?」

 

声が聞こえたので荊軻は振り向くと猪々子が木を登っている姿が写った。

 

「何処にも斗詩は見当たらないが…」

 

ただ猪々子が木を登っているだけだ。

気になって近づいても斗詩の姿は見当たらない。彼女は誰を見たのか。

本当に斗詩を見たのかと聞こうとしたら「斗詩、今からそっちに行くからなー」と聞こえてきた。

 

「彼女には見えている?」

 

魔術的な要素で隠れているわけではない。猪々子にしか見えていないという事になる。

 

「まさか」

 

荊軻は短刀を自分の片手に突き刺す。

 

「ッ…やられたな」

 

 

767

 

 

角や腕が何本も生え、髭がモジャモジャの大男。

天和の人相書き(全く別人)とうり二つが襲い掛かって来たが斗詩が叩き潰した。

金光鉄槌という彼女の得物は完全に巨大なハンマーだ。彼女は見た目の割に筋肉が付いているのかもしれない。

普通の女性では巨大なハンマーを振り回すのはまず無理だ。男性でも限られている。

 

「あれ…意外にも弱かった?」

 

彼女は敵の弱さに拍子抜けであった。体格からしててっきり受け止められるかと思えばすんなり金光鉄槌で叩き潰せたのだから。

 

「援護する暇もなかった」

「応援する暇もなかったよ」

 

魔術礼装を起動したが発動せずに終わった藤丸立香。応援の一声も出なかった天和。

 

「斗詩はとても強いんだね」

「え、いや…そんな事ないですよ藤丸さん」

「謙遜しなくても。斗詩はとても強い人だ」

 

彼女もまた武人だ。「強い」と褒められて嬉しく思ってしまう。

ここ最近の彼女は武人としての活躍はあまり無かった。久々の活躍で褒められてはニヤけしまう。

 

(褒められて嬉しいな~。でも私ってちょっと軽いかな)

 

男性に褒められてドキってしまった。

 

「それにしてもこの人は?」

「人間ではないと思うけど…」

 

角や腕が何本も生えている時点で普通は人間では無いと思ってしまう。

 

「鬼?」

「かもしれない」

「もしかしてコレが物の怪の正体?」

 

叩き潰した物の怪に意識はない。

 

「もしかして殺しちゃったのかな斗詩さん?」

「殺してはない……と思う天和さん」

「その槌でおもいっきり叩けば大抵の人は死んじゃうと思うけど」

 

いきなり襲ってきたのだから逆に反撃して殺してしまってもしょうがない。

殺し合いの時代に生まれた彼女たちには死は重いようで軽い。

 

「一応、これで任務達成かな」

 

なんとも拍子抜けな任務だったと少しだけ不謹慎に思ってしまうのであった。

 

「でも情報に聞いていた大きな熊や虎のような物の怪はいないのかな」

「それも含めてもう少しこの森を探索した方がいいかもしれません。それに文ちゃんたちとも合流しないと」

 

忘れてはいけないのが逸れてしまったという事。森の中で迷って夜になるのは避けたい。

 

「あれ?」

「どうしたの天和?」

「鳥の鳴き声が聞こえたから上を向いたんだけど木の所に小さくて肌白い何かが居たような気がして」

 

指さす方向を見るが何も居ない。天和が見たのは五寸ほどの玉のように肌白い何かだったという。

 

「気のせいだったかな」

「オレは鳥の鳴き声も聞こえなかったな」

「私も」

「う~ん。私の気のせいだったかな」

 

森なのだから鳥などの動物が居てもおかしくない。しかし今まで動物の気配は無かったのだ。

現段階だと出会ったのは件の物の怪だと思われる角や腕が何本も生え、髭がモジャモジャの大男のみだ。

 

「まずは森から出ようか。森の中で探し回るよりは一旦出た方が良い」

「そうですね。皆さんも森から一旦出る為に進んでるかもしれませんし」

「じゃあ森からの脱出大作戦だね」

 

大作戦という程ではない。

 

「じゃあ頑張って脱出だー!!」

 

天和が適当な方向に指をさす。

 

「え?」

 

指をさした方向には複数の物の怪がいた。もちろん角や腕が何本も生え、髭がモジャモジャの大男だ。

 

「なんでぇ!?」

 

倒したはずであるが増えて更に現れた。

 

「全く同じ?」

 

どの物の怪も全て同じ顔で、同じ体格、角の大きさや長さまでも同じだ。まるでクローンのようである。

 

「多すぎる」

 

すぐさま斗詩は金光鉄槌を持って構える。藤丸立香は魔術礼装を起動する。天和は応援の準備をする。

 

「応援は嬉しいけど天和は安全なところに」

「うん」

 

魔術礼装を起動し、「瞬間強化」を斗詩に付与。

 

「力が湧いてくる。これなら!!」

 

駆け出して先制攻撃。金光鉄槌で物の怪たちを蹴散らす。

 

「妖術って凄い」

 

魔術の力に驚いている暇はない。物の怪はまだまだいた。

 

「多すぎるよ!?」

 

無限湧きと言うべきか。倒しても倒しても出てくるのだ。

敵の強さは大したこと無いが数が多すぎる。いずれ疲労が溜まって動けなくなるというのは避けなければならない。

 

「こんなにいるの!?」

 

これだけの数がいれば事前にもっと情報があってもおかしくない。

 

「か、囲まれちゃったよ立香ぁ~!?」

 

天和の声を聞いてみれば確かに物の怪たちによって囲まれていた。

 

「天和はこっちに」

「う、うん」

 

すぐに藤丸立香の後ろに移動させて庇う。

 

(立香が守ってくれる。こんな状況だけど嬉しいかも)

 

ドキっとした天和であった。しかしそれよりも今の状況をどうにかしなければならない。

物の怪は際限なく現れる。藤丸立香たちを包囲している。

 

(どうにか突破しないと。なら英霊の影を召喚するしかない)

 

英霊の影を呼ぼうとした時、第三者の声が響いた。

 

「こんな所で何をしておるんじゃマスター。いや、ワシも気が付けばここに居たからワシもなんじゃが」

「この声は」

「で、本当に何をしておる。誰も居ないのに武器なんか振り回して?」

 

聞こえた声に視線を向けるとそこには仙人のような老人がいた。

 

「張角!?」

「え、張角は私だよ立香?」

 

その流れは呂布や諸葛孔明、劉備で実施済みだ。

 




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も2週間以内をまた目指します。


764~765
物の怪とは張角の人相書きのヤツでした?
まだまだ謎が残されてます。


766
猪々子の斬山刀が物の怪たちを一刀両断。
倒す度に経験値が入った気になってます。

謎の木。そして木の実。
顔良の木の実。これにかんしては分かる読者は分かります。
実はあのイベントも元ネタとして少し扱っております。だから4つに分けたんですよね。

荊軻が何かに気付きました。


767
はい。早速、彼が登場です。
2人の張角が顔を合わせる。


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