Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
FGOの水着イベントも残りわずかですね。
頑張って周回します。
水着イベントが終わった次に何が来るか気になるところです。
復刻か、それとも新たなイベントか。
此方の物語では魏と呉の戦の話の前の寄り道。
今回の話は恋姫シリーズのあるイベントを元に書いております。
読者様たちの中にはあれかなって思うかもしれません。
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藤丸立香たちは項羽の未来演算の結果により呉へと向かう事になった。
メンバーはアサシンクラスと偏っているが気にしない。そして張三姉妹も今回の旅に加わっている。
「物の怪が出る森か」
呉へ向かう寄り道で不可解な事件が起きてる森に寄る事になった。元々、項羽の示したルートにその森を通っていく事になっているので遠回りをするわけでもない。
不可解な事件とは物の怪が出るというものだ。異変ならば藤丸立香たちの案件になるため朱里から調査を頼まれたのである。
「どんな物の怪が出るんだろなー。楽しみだな斗詩」
「なんで楽しみなのよ文ちゃん…」
調査した結果をすぐに蜀に藤丸立香たちが持ち帰る事は出来ない。その為、共に調査して蜀へ情報を持ち帰る担当が2人。
その2人は猪々子と斗詩。
「途中までですけどよろしくお願いします藤丸さん」
「うん。よろしく斗詩」
2人は麗羽の部下だ。正式に蜀の武将になっているわけではなく客将扱いである。
蜀でお世話になっており、麗羽の我儘すらも許容してもらっている。流石に働かないと牢屋にぶち込まれる可能性もあるので2人は麗羽のために朱里たちから仕事を度々、こなしているのだ。今回は物の怪が現れる森の調査だ。
「でも2人とも麗羽から離れてもよかったの?」
「真直がいますから」
「真直がまた胃を痛めてるんじゃないかな」
目を逸らして「あははー」と乾いた笑いをする斗詩。
実は真直が苦労して胃を痛めている事を知っている。彼女の胃が安寧が来る時が訪れるのか。
「こら藤丸のアニキ」
「わっ猪々子」
猪々子は藤丸立香の事をアニキと呼ぶ。
理由を聞くと彼女は北郷一刀の事をアニキと呼んでおり、藤丸立香は北郷一刀の親友だからアニキと呼ぶ事にしたらしい。
「斗詩はアタシのだからな。手ぇ出すなよ」
「分かってるって」
斗詩と猪々子は良い関係だ。
「あ、それと藤丸のアニキのは必要ねえから。だって北郷のアニキがアタシのチン…」
「わーー!?」
「え?」
北郷一刀が猪々子の何と言いかけたのか気になるが斗詩によって遮られた。
「それとこんな事ができるのはアタシだけの特権だからな」
猪々子はいきなり斗詩の胸を揉みしだく。
「きゃっ、ちょっ…文ちゃん!?」
(オレは何を見せられてるんだ)
「もーダメだってば!!」
顔を赤くしながら離れる。
「ごめんごめん。また夜にだな」
「だーかーらー!!」
取り合えず2人の仲は良好のようである。
「調査をよろしくお願いします」
「うん。此方こそよろしく」
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物の怪が現れる森に到達した藤丸立香御一行。
「呉に行く道すがら寄った村とかでちぃたちの宣伝しようと思ったのに怪しい森で物の怪を探すとか」
少しどんよりする地和。
戦争には参加しない。ただ呉に向かって情報を得るだけの旅だと聞いていたのと話が違ったからである。
「いや、安全に旅が終わるとは限らないから」
「そうよ地和姉さん」
人和は安全な旅なんてそうそう無いと理解している。だからこそ旅に出る際は細心の注意を払っているのだ。
今回の旅は途中までは斗詩と猪々子たちがいる。呉までは藤丸立香たちがいる。何かあれば守ってもらおうという魂胆だ。
「ねえ立香が守ってね」
天和が腕を組んでくる。
彼女は甘え上手な女性だ。そんな彼女に腕を組まれて柔らかいものと甘い香りによってくすぐられると男は鼻の下が伸びる。
「うん。まあ、戦うのはオレじゃないんだけど」
ここでカッコよく「任せろ」と言いたいが彼は武人や英雄ではないのでカッコよく言えない。
「そーかな。立香も戦ってる気がするけど」
「守られてばかりだよ」
(北郷くんから聞いた話だと一緒に戦ったと聞いたんだけどね)
藤丸立香は後方から指示、援護するというスタイルだと天和は聞いている。しかし時には戦う為に前に出ると聞いて見てみたくなったのだ。
気になる男性のカッコイイところを見てみたいという天和の我儘である。
(立香ってカッコイイと思うんだよね。けっこう気になってる人とかいるみたいだし)
実は人気がある藤丸立香。
蜀で北郷一刀と藤丸立香のどちらが良いかなんて女性たちの中で話題が上がっていたりする。時折、2人の禁断の恋とかどうとかというのも話題に出る。
更に燕青や蘭陵王たちも話が出ているがそれはまた別の機会で。
(今のところ立香は誰かとなんて聞いてないからね。ならお姉ちゃんが貰っちゃいたいな~)
彼が誰か女性と結ばれたとは聞いていない。
(でもちょっと距離が近いのが秦良玉さんや武則天ちゃんなんだよね。う~ん)
そもそも仲間である彼女たちは他の者たちとは絆レベルが違う。
(今回の旅で色々と仲良くなれたらいいな)
るんるん気分の天和であった。
「ところで物の怪ってどんな奴なのよ」
物の怪が出る森。
どのような物の怪が出るというのか気になるのは当然だ。
「報告によりますと大きな熊っぽい物の怪とか大きな虎っぽい物の怪らしいです」
「それって大きな熊か大きな虎じゃないの?」
「いえ、人によって物の怪の証言が全然違うんです」
斗詩によると物の怪の姿は様々らしく、これといった決まった姿が判断されていないのだ。
最初は複数いるのではないかと考えられたが、複数いるのであればもっと情報があってもおかしくない。現段階では誰もが別々の物の怪を見たと言う。
「確かにこの森に様々な物の怪が複数いるのであればもう遭遇してもおかしくないな」
チラリと周囲を見渡す李書文(殺)だが物の怪の気配を感じていない。
(寧ろ…動物の気配がまったく無いが?)
気の察知をしても動物も人間の気配もなし。
(いや…妙な気は感じるな)
「どうしたんですか李書文さん?」
「何でもないぞ人和よ」
警戒は怠らない方が良いと言って歩き続ける。
「物の怪。怪物って事だよね。それだとあの人相書きを思い出しちゃうな~」
「あー…天和姉さんの人相書きね」
角や腕が何本も生え、髭がモジャモジャの大男の人相書き。それを張角だと言って知れ渡ったのだ。
「あんなのがお姉ちゃんだなんて認めな~い!!」
所詮は噂に尾ひれがつき過ぎた結果だ。もしくは天和たちに危険が迫らないように黄巾党の者たちが仕組んだかもしれない。
結果的にあの人相書きのおかげで天和が黄巾党を率いた張角だというのは知れ渡っていない。そして歌芸人として新たに再出発できたのである。
「ふふ。ある意味あの人相書きに感謝しないとね姉さん」
「えー」
彼女として納得できないようである。それでも助かっている事は事実。
「ぶーぶー」
「ぶーぶー言ってると本当に豚になるわよ姉さん」
「ならないもーん」
「最近、お腹周りが」
「た、たるんでないよ!!」
「言っておいてないんだけどほんと気を付けてね。地和姉さんも」
歌を聞かせ、己を魅せる事をする張三姉妹。もちろん身体には注意している。
「そんな事…ん?」
「どうした地和?」
「ねえねえ荊軻さん。今さ鳥の鳴き声が聞こえなかった?」
「そうか?」
地和が聞こえたのは「ピッ…ピロロ…ピュイッ」という鳴き声だったらしい。
森だから鳥がいても何らおかしくない。鳥の鳴き声なんて森では普通であり、もしかしたら気のせいかもしれない。
「空耳かな?」
首を傾けながら気にしない事にした地和。
「は~あ…本当に物の怪が出たら頑張って倒してね。なんなら歌って応援もするから」
「そりゃいーな。後ろで応援歌を歌ってくれりゃヤル気も出るってもんだ」
面白そうに笑う燕青。
「ちぃたちが歌うんだからやる気も出るに決まってんじゃない」
実際に彼女たちの歌によって士気が上がる事は確証済みだ。黄巾党の軍勢も彼女たちの歌によって力を得ているのだから。
「だから絶対に物の怪なんかに負け…な…」
「ん、どうした?」
「え…ちょ、な、ななな」
「どうしたよ。そんな物の怪を見たような顔して」
地和は燕青を見て驚愕していた。
「あ、あんた…その姿はなに。てか顔ぉ!?」
「姿ぁ、顔ぉ?」
地和の視界に写っている燕青は3頭身くらいでシンプルな人形顔であった。どことなくゆるい感じになっている。
「何言ってんだ?」
当の本人はよく分かっていない様子。
「それとみんなは!?」
気が付けば周囲に誰も居なく、地和と燕青だけになっていた。
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地和と燕青が逸れたと最初に認識したのは人和であった。しかし間違いで自分が逸れたとすぐに理解した。
「みんなが居ない?」
「そのようだな」
「あ、李書文さ…ん!?」
てっきり逸れてしまった状況に不安であったが李書文(殺)が居たというだけで安心感が心を埋める。しかし彼の姿を見て固まった。
「ええ!?」
人和の視界に写った李書文の姿は3頭身くらいで渋い顔をしていた。
「ど、どうしたの李書文さん?」
「どうとは?」
李書文(殺)は人和が動揺している意味が分からなかった。
「どういう事?」
人和は李書文(殺)の変わりように混乱した。
「しかしいつの間に逸れたのか」
「え、そ、そうよね…」
李書文(殺)は何事も無かったように状況を整理する。
先ほどまで全員が一緒に歩いていた。しかし気付けば周囲には誰も居ない。
「ふぅむ。化かされたか?」
このような状況は人和や地和たちだけではない。
「斗詩ぃぃぃぃぃ!!」
大声で斗詩の名前を呼ぶのは猪々子だ。
「何処だぁぁぁぁぁぁ!!」
叫ぶが愛しの斗詩から返事はない。返事があったのは荊軻だけであった。
「完全に逸れたな」
「何でだぁ?」
頭をボリボリと搔きながら逸れた原因を考えるが答えが出ない。何せ先ほどまで一緒に歩いていたのだから。
気が付いたら逸れていた。逸れる過程が全くなかったのである。
「マズイマズイ」
「確かにマズイな」
「アタイの大事な斗詩が襲われちまう。今行くぞ斗詩ぃぃぃぃ!!」
迷ったら来た道を戻るが迷った時点で来た道が分からない状況なのだ。
余計に走り回るとかえって迷う嵌めになる。それでも猪々子は走り出した。
「何処に行くんだ」
「こっちから斗詩の匂いがするんだーー!!」
「すんすん…確かに甘い匂いはするが」
体臭や香水の匂いではない。では何かと聞かれれば果実のような香りのようだと思う荊軻であった。
「てか、ケーカ。お前のその姿なんだー!?」
「何がだ?」
猪々子に視界に写る荊軻は3頭身くらいであり、目を細め、服をだらしなく着崩していた。
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完全に逸れた。
その事実が藤丸立香と天和と斗詩の頭を突き刺す。
「え、何で逸れたの」
気が付いたら周囲に誰も居なかった。
「何で何でー?」
「お、おかしい…ついさっきまで一緒に居たのに」
天和も斗詩も状況が分かっていない。
「取り合えず来た道を戻ろうと思うけど…もう周りが見たことない風景なんだよなあ」
完全に迷ったという事である。
「こんな時に件の物の怪が現れたら…」
戦えない事もないが物の怪の戦力が分からない以上、無茶は禁物。
幻想種であれば危険であり、藤丸立香は英霊の影を呼んで対処するしかなくなる。
「ひっ」
天和が短く悲鳴を上げて藤丸立香の背中の服を掴む。
何事かと思って彼女が見た方向に目を向けると藤丸立香はすぐさま礼装を起動する。斗詩は得物である金光鉄槌を握る。
「嘘…」
「本当に実在したの?」
全員の視界に写ったのは張角の人相書きにもあった角や腕が何本も生え、髭がモジャモジャの大男であった。
読んでくださってありがとうございました。
次回の更新は2週間以内を目指します。
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『物の怪が現れる森編』の始まりです。
恋姫からは張三姉妹と袁家の二大看板が参戦です。
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久しぶりの張三姉妹。
やっと活躍させられるかも。
天和は藤丸立香を気に入ってます。
物の怪は様々な姿だと証言があるとの事。
謎の鳥の鳴き声。
荊軻と猪々子が嗅いだ甘い匂い。
全員が4チームに分けられました。逸れて迷いました。
三頭身…これはリヨ姿を思い浮かべてください。
地和たちはそう見えてます。
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あの人相書きの張角が実在した!?