Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
FGOではついに開催された妖精騎士杯!!
新たな英霊であるブリトマートはカッコイイ&可愛いですね。
鎧モードのデザインは良い…。キャストオフ姿はなかなか際どい…それが良い。
高難易度は後回しにしてゼッケン集めのために鬼周回中です。
此方の物語ではついに魏と呉の戦が始まります。
まあ、流れは原作と同じなんですが…しかし何か異変が起き始めます。
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呉軍の船団は翌朝にて長江の北岸に降り立った。その後は淮南を北上して散り散りになっていた守備部隊とも合流を果たした。
「で、僕らは長江の北岸に到着した時点で呉軍と別れたけど空からこうやって監視していると」
「この土遁の術は便利じゃな」
道士と管輅は土遁の術で空を飛びながら呉の進軍を監視していた。更に認識阻害の術も発動しており、同じ道士や妖術士でなければ2人は見つかる事は無い。
有能すぎる道士に管輅は小さくパチパチと拍手する。正直に言って補佐として欲しいくらいと思っている。
「絶対見つからない?」
「見つかる時は見つかりますね」
「大軍師で仙人なのに?」
「大軍師ですけど仙人じゃなくて道士です。認識を阻害してもバレる時はバレます」
かの大軍師であり道士の術を見破るとなると相当な者であるはずだ。
「僕が知らないだけかもしれませんけど今の呉軍に僕の術を見破るような人は居ませんでしたよ。まあ、才能がある人はちらほら居ましたけどね」
「今の呉は他所を警戒できるほど状況ではないから簡単には見つからんじゃろう」
今の呉は曹操と戦う為に気を張っている。更に呉の筆頭軍師である冥琳は雪蓮の状態に気が気でなく、無理やり冷静にいようとしている。
まさか第三者が今の呉を監視している可能性があると頭の隙間に入れるほど無い。
「今の呉の進軍に何者かが横やりを入れられる様子はありませんね」
「そのようじゃな。このまま魏と決戦まで待つか…そろそろ法正と姜維に連絡を」
「そうですね」
符を出して「もしもし?」と話しかけると「はい。法正です」と聞こえてくる。
「其方は大丈夫ですか?」
『大丈夫です。道士殿の術のおかげで見つからずにすんでいます』
『道士様のおかげです』
「あまり無茶はしないように。絶対に見つからないとは限りませんよ」
『分かってます』
呉で道士と管輅が異変が無いか情報を集めている。実は魏でも異変が無いかどうか情報を集めているのが法正と姜維である。
2人には今回の要注意人物の情報を渡しており、その人物こそが許貢だ。
今回の雪蓮の暗殺は許貢が計画したもので本来の外史の流れでも彼が犯人だ。もしも何か于吉が関わるのであれば許貢と接触しているのではないかというのが管輅の予想だ。
「何か怪しい動きはあったか?」
『ありません。于吉なる者も現れておりません』
「む…そうか」
于吉が何か仕込んでいるのであれば許貢のところに現れるかと予想していたが一向に姿を見せる気配はない。
「既に策を仕込んで高みの見物を決めているのかもしれん。それともこの外史の流れに任せているのか」
何かを考え込む。
「法正殿。何か変わった事…少しでも気になった点はありましたか?」
少しでも情報がないかと道士は尋ねる。
『実は…』
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魏の陣営にて。
「そうかやったか!!」
喜色の声を上げたのは許貢であった。大声で嬉しさを叫びたいが出来ない。
出来ないわけは彼が行った事は誰彼構わず話す事ができないからだ。
「見届けた者によりますと毒矢を当てる事はできましたが刺客は全員やられたとの事です」
「いや、毒矢を当てた事だけでも刺客全員殺られてもお釣りがくるくらいだ。くくく…孫策は死んだ」
恨みつらみある人物の死こそ気が晴れるものはない。
魏と呉の戦は魏の勝利。今回の戦で最大の功績者は自分だと許貢は自画自賛した。
なにせ呉の王を仕留めたのだ。もはや呉という国を潰したのと同じである。
「くくく…これで曹操も私を認めるはずだ。王朗よりも私が有能なのだ。いや、夏侯惇や夏侯淵よりもな」
「殿、曹操様に報告しますか?」
「まだだ。毒矢を当てたとて、まだ完全に死んだわけではない」
矢に塗られた毒は猛毒だ。死んでいないと言うが実際に死んだものだと思っている。しかし確実に死んだとは分からない。
呉は魏に対抗するために進軍している。それは降伏する気は無く、打って出ると言っているものだ。
「呉は孫策の弔い合戦でもしようとしているのか分からんが降伏する気はない。しかし戦が始まれば孫策が死んだかどうか分かる」
孫策が毒で死んでいれば戦が始まろうとも呉の士気は低い。魏の戦力で簡単に潰す事が出来る。
「では孫策の死亡をはっきりと確認してから報告で?」
「うむ。呉との戦が始まれば嫌でも孫策の死は分かる。その時こそこの許貢が今回の戦の最大の功績者と称えられるだろう」
「おお!!」
口元がニヤけるのが戻せない。
「しかし先ほども言いましたが…刺客が15人も殺されたのは痛いですね」
「刺客が15人だと?」
「はい。私も見届け役から聞いたのですが追加で10人を加えていたとは…最初の5人で油断させ、確実に殺すために10人追加するとは流石です」
結局は全員殺された(任務失敗のため自害した)のだから多くの人材を無くし、痛手でになってしまった。
「ま、まあな」
「では、我が隊の戦準備を始めます」
「う、うむ」
許貢の部下は戦の準備の為に出ていく。
「……追加の刺客10人だと。まさか私以外にも孫策に刺客を放った奴がいたのか?」
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伝令より呉の動きを確認した曹操は臣下たちと軍議を開いていた。
「そう…孫策は長江を渡ったか。ふふふ、面白くなってきたわね」
「はい。少々、意外でした。呉の精鋭は水軍…渡河中の我が軍を狙ってくるかと思いましたが」
「良いではないですか。我々にとっては好都合です」
呉の強みは水軍だ。魏よりも水軍の練度は上であり、水上決戦となれば相当な苦戦になると予想していた。しかし陸で決戦するとは予想外であり、嬉しい情報でもある。
「孫策を甘く見るな。討って出たからにはそれなりの勝算があるはずだ」
「そうね、地の利は敵にある。どこに伏兵が潜んでいるかもしれないわ。油断大敵よ」
己の強みを捨ててまで打って出てくるのであれば確かに何かあるのではないかという考えは当然だ。
敵が有利な戦い方を捨て此方が有利になるとは限らない。
「そんなことをおっしゃっている割には楽しみで楽しみで仕方ないというお顔ですね」
「ええ。反董卓連合の陣で孫策と会って以来、こうして矛を交える日を心待ちにしていたもの」
程昱は曹操が嬉しそうな顔になっている事を指摘する。
天下分け目の戦を楽しむのが不謹慎とは言わない。好敵手との戦を楽しむという事で士気を上げるのであれば推奨してもよいとも思っている。
「はぁ…いよいよ孫策との決戦。胸が高鳴るわね」
「華琳様。これはあくまで戦でございます。左様な興奮は胸の奥に仕舞っておいてください」
戦を楽しむのが悪いとは言わないが、それで己を見失う事はしてはならい。戦争は勝つ事だけを考え、突き進むのだ。
「遠征中の連合軍においても孫家の勇猛さは際立っておりました」
郭嘉は反董卓連合での孫呉を思い出していた。
「だから楽しみなんじゃないの」
「呉軍の強さに新兵の多い先鋒部隊は腰が引けてしまっています。そこも気掛かりですね」
孫呉は揚州を統一し、呉という国を建国。所属する兵士たちは皆、練度が高い。魏も練度は高いが多くの人材を集めた中で全員が完成しているとは言いずらい。
新兵たちは孫呉の勇敢な兵士に戦わずして威圧だけで負けているのだ。
「意気地の無い新兵を奮い立たせたかったら、褒美をちらつかせるのが一番よ。名のある将を討ち取った者には金二掴みを与えるという触れを出しておいたわ」
「おー、さすが桂花ちゃん。一掴み増やしましたね」
「三掴みよ」
「え…は、はい。別にそれは問題ございませんが」
兵士は主義では戦えない。やる気と気合を出させるには報奨が必要なのだ。
名誉も重要であるが、名誉だけでは腹は膨れない。物欲を刺激させるのが一番である。
「ところで、ここまでの王朗隊の損害はどの程度なの?」
「死傷者が三千ほどです。戦果に比べれば、まあよくなっている方かと~」
「そうね。七万の我が軍にとってはかすり傷みたいなものだし」
三千という数字は多い方だが合計七万から換算すればまだ被害は少ない方だ。すぐさま程昱は次の動きを考える。
「はい…王朗隊には後詰めの許貢隊を増援に加えました」
「許貢。ああ…王朗を私に紹介したあの武将ね」
そう言えばと思い出す曹操。彼も孫呉と因縁があるが内容はあまり良くない。
「畏れ多くも許貢は華琳様が王朗殿ばかり重用すると普段から不平を漏らしているそうですね」
「ふん…もともと孫策や袁術を裏切ったヤツだもの。どこに行っても不満しか言わないのよきっと」
今は魏に所属しているが評価は悪い。主君の悪口を言っていれば評価が悪くなるのも当然であるが。
「別に言わせておけばいいわ。王朗も許貢も単なる駒に過ぎないんだから」
「華琳様…確かに許貢は身の程をわきまえぬ将にございますが、あまり左様なことはおっしゃらない方が良いかと」
部下が悪くて上司も悪くては意味がない。不満を言われるのが先ほどの「兵士を所詮は駒扱い」している発言が事実であれば第三者からしてみれば否定できない。
臣下・部下を大切にしてくれない王に従いたくはないはずだ。
「華琳様がますます誤解されますよー?」
「誤解じゃないわよ」
荀彧たちは心の中で「これではまた悪く誤解されてしまう」と思った。
「華琳様!!」
軍議中にて夏侯惇が急いで入ってくる。
「春蘭…敵に動きがあった?」
「はっ。後退していた淮南の守護部隊が我らの正面に進軍して参りました。すでに孫策の本隊とも合流している模様です」
「ついに決戦ね。巨大な敵を正々堂々、倒してこそこの曹孟徳の覇道が華やかに彩られる。伯符、良い戦をしたいものね」
魏と呉の決戦はもうすぐだ。
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呉の天幕の1つ。近くに誰も近づけるなと指示出されている天幕であり、中に居るのは雪蓮である。
耳を傾ければ苦しそうな息遣いが微かに聞こえてくる。
「ハァ…ハァ…ハァ…うぐっ」
痺れる。身体の中に何本も熱い杭が撃ち込まれたような感覚が襲う。
苦しくて辛くて叫びたくなるが歯を食いしばって我慢する。
(母様から何度も油断するなって言われてたのにホント情けないわ)
息をするのも辛くなってくる。
(ああ…キツイ。これホント駄目っぽい)
彼女の脳裏に「死」という言葉が浮かんだ。
(死ぬの…こんな一本矢を受けただけで、本当に死ぬ?)
首を斬られたわけではない。心臓を貫かれたわけでもない。
彼女が受けたのはたった1本の矢だ。そして鏃に毒が塗られていただけ。たったそれだけで人間は死ぬ。
(やだ…いやだ。死にたくない。死にたくなんてない。やっとここまで来たのに、まだまだこれからなのに)
母親の悲願を達成し、呉という国を建国し、天下を獲ると決めたばかりだ。自分の中でやっと始まったばかりだというのにもう終わりが見えてくる。
たった1本の毒矢を受けて終わりとは受け入れたくない。しかし肉体の苦しみが現実を無理やり見せてくる。
「冥琳、蓮華、シャオ、立香…別れたくない。一緒に未来が見たい…」
大切な友人や家族と別れたくない。もっと一緒に居たい。もっと生きたいと強く思う。
(みんなと一緒に歩めるなら、本当は王でなくたっていい。強い姿を見せるとか本当はどうだっていいのに)
自分は呉の王として民を導くと決めた。しかし本当は王でなくてもいい。みんなと楽しく生きていけたら雪蓮は十分だったのだ。
「早く明日になって…戦いの熱狂で何もかも忘れさせて」
彼女にはもう時間が無い。
「…っ、ぐ、雪蓮…」
誰も天幕には近づけるなという指示があったはずだが1人だけ破っていた者がいた。
彼女は普段冷静だが、この時だけは冷静にいられない。それでも心を押し殺す。
読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も未定。
789
道士たちは雪蓮たちと別れたと見せかけて、後をついてってます。
土遁の術って便利。てか、道士が有能。
790
今回の雪蓮暗殺事件の黒幕である許貢。
彼が黒幕ですけど…彼の知らない何かが動いてる?
791~792
原作とほぼ同じ流れ。
華琳たちは自陣で勝手に何かが動いている事に気付かない。
雪蓮…死は怖いものです。