Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
妖精騎士杯を鬼周回中です。
メリュジーヌにはとっても頑張ってもらってますね。
魏と呉の戦編ももうすぐ終わりです。
前回で黒幕が退治され、あとはその後の話になります。
では、本編をどうぞ!!
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魏と呉の戦は終わった。
魏は撤退に成功したが今回の戦で発覚した事が多くある。
曹操は今回の結末は全て己のせいだと理解しているのだ。何故なら戦の如何なる悪しき結果も、その責めを負うべきは総大将だ。
「全ては私の慢心が招いた結果。私は上に立つ者として将兵の心を掴むという最も大切なことを疎かにしていた。私が至らなかったせいでこのような結末になってしまった」
曹操は逸っていた。そして自惚れていた。自分以上の自分を演じようとしていたのだ。
(伯符……どうか許して…)
きっと許してくれないはずだ。それでも謝罪がしたかった。
「華琳様」
「秋蘭…私は自分に苛立っているわ」
「……華琳様」
「だが苛立っている暇はない。今回の件で我が軍の現状は理解した。そしてその原因が私であった事も」
「そ、そんな事ありません。全ては許貢と王朗の勝手な判断で…」
「桂花いいのよ。それに気付かない私のせい。貴女たちの進言をまともに聞かなかったせいでもあるのよ」
進言を聞いていたが結局は自分の考えだけで動いていた。それでは臣下がいる意味は無い。
己1人で国は成り立たない。そんな単純な事すら見失っていたのだ。
「もう一度やり直す。今度は間違えない」
「我々一同…華琳様の為に」
「…私には勿体ない臣下たちね。まずは軍を一度解体する。そして再編成よ」
魏軍の内部には飛燕によって裏切りの種を蒔かれている可能性がまだある。まずは洗い出しだ。
全て洗いざらいにしてからようやく天下統一への戦が再開だ。
(でもその前に…呉には正式に謝罪しなければ)
「華琳様」
「何かしら秋蘭?」
「呉への正式な謝罪については私に行かせてください」
「それには私も」
「桂花まで」
呉の正式な謝罪。
蓮華たち一同はきっと許してくれないだろうが謝罪はしておきたいのだ。それから再戦をしたいのである。
「我々が赴くという意味ならば呉の者たちも分かるはずです」
「………私には本当に出来過ぎた臣下ね」
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呉の陣営では既に雪蓮の死が全軍に知れ渡っている。
炎蓮に続き、雪蓮まで失った事で魏に勝利した喜びは消え去っていた。
「……なんたることじゃ。まさか二度も主を見送ることになろうとはな」
「やっぱり私が…なんと言われてももっと強くお引き留めするべきだった」
「いや、あの様子じゃと、建業に残っておっても結果は変わらなかったのじゃろう」
「やっと揚州を統一して呉を建国したばかりだったのに…これからだったのに。雪蓮様…さぞやご無念だったでしょうね」
「何故、あのような若いお方が逝って、儂のような老いぼれが生き永らえておるのか。天は残酷すぎるわ」
これからの呉の先行きもどうなるか。
蓮華はまだまだ若い。雪蓮は己の妹である蓮華を自分以上の器だと評していた。その言葉に疑いはないが未熟であるのは確かだ。
「他国も揚州の豪族たちも蓮華様を侮るでしょうね」
「……うむ、そうじゃな」
「私たちでしっかりとお支えするのよ」
「分かっておるわい」
遠くで佇んでいる蓮華を見る2人であった。そんな蓮華の元に冥琳が近づいていく。
「つらくとも現実を受け止め、前に進まねばなりません蓮華」
呉の王である雪蓮が死んだ。早急に決めなばならないのは孫呉の後継である。
「分かっている……今、我らは揚州全土を押さえている。だがそれは孫呉の母、孫文台。我が姉、英雄孫策の名前があったればこそ……その英雄の名、私が引き継ぐ!!」
悲しみを拭い捨て、蓮華は冥琳から渡された剣を受け取る。
その剣は「南海覇王」。孫呉の王が持つべき宝剣だ。今ここに蓮華へと受け継がれた。今日この日を持って冥琳たちの主は蓮華となった瞬間である。
「さあ、蓮華様。我らの勝利を宣言し、孫呉を継がれたことを…兵たちにお示しください」
「ああ。この剣とともに私は孫家の当主に…孫呉の王となろう!!」
南海覇王の剣を抜刀し、後ろ髪を纏めて一切の躊躇なく斬った。
「敵に立ち向かう勇気を…敵をねじ伏せる豪傑を。将を率いる人徳と民を愛する慈悲を。これよりは公平にして無私となり、王としての義務を果たす!!」
蓮華の大きな声により宣言された。今ここに新たな孫呉の王が生まれたのである。
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魏と呉の戦は終わり、勝利したのは呉であるが両国ともに望んだ結末にはならなかった。しかし外史の管理者からしてみれば上々な結末であった。
「まあ…この結末で良い」
「そうなんですね」
「うむ。妖魔となった許貢と王朗が余計な事をする前に片付けられてよかった。あの2人には恨みは無いが…」
「あの巨人を倒すの大変でしたよ」
「嘘付け」
遠くより蓮華が王となった姿を見届ける道士と管輅。
2人は今回の異変を片付け、魏と呉から静かに去ったのだ。
「しかし派手に片付けたな。私のようにひっそりと片付けて欲しかったのじゃが」
「あの巨人をひっそりと倒すのは無理ですよ」
「…それもそうか」
月琴は奏でる。
「呉の流れがこの世界線に入り込んだが…更によりズレが起きるような事にならずに済んで良かった」
この外史は本来蜀ルートであるが呉ルートも混じってしまっている。既に本来の流れが大きくズレているのだ。
まだ修正出来る範囲であるが于吉が何処までズレを様々な所で起こしているかは分からない。出来る限り大きなズレとなるターニングポイントは守りたいのが管輅の目的だ。
(まだ修正できるかどうか……もはや修正が難しいのであれば次の手を準備しなければならぬ。私がこの外史にいる時点でおかしいのだから)
月琴を奏でるのを止める。
「それにしても本当に孫策殿はあのままでいいんですね?」
「む?」
「だってアレ…仮死状態ですよ?」
「よい。ここから先はこの外史の流れに任せる。あのまま火葬されようが土葬されようがそれは彼女の運命じゃ。もしも助かるならばそれはこの外史が決めた事じゃ」
道士は雪蓮の状態どのようかを理解していた。
「それよりも私たちは次の手を打つ」
「次の手ですか…そろそろ僕、マスターと合流したいんですけど」
「まだ先じゃ」
「ええー…まあ、良いですけど」
道士の希望を即却下された。しかし彼女と動いた方が良いと道士は判断している。
この外史世界とは道士が簡単に思っているほど単純ではなさそうだからだ。
「道士様。管輅様」
「おお、戻ったか姜維、法正」
2人の女性が管輅の元に戻ってくる。
「2人にも魏での情報収集助かったぞ。早速だが次に向かう」
「次ですか?」
「うむ。貂蝉たちの方や私たちもそうだが…ほぼ後手に回っている。そろそろこっちから先手を打とうと思う」
「先手を打つと」
「その為の準備をするつもりじゃ」
確かにほぼ于吉の策によって先手を取られている。後手に回って動いているのが現状だ。
「私としてはあの者が動き出す事態だけは避けたいものじゃ…いや、もう遅いのか」
管輅はチラリと姜維を見る。
「そして…本当に神が動き出す前に」
「先手と言いますがまずはどうするんですか。もしかしてそれを僕が考えます?」
「いや…まずは拠点が必要じゃ。これより仙境に赴く」
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魏と呉の戦はつまらないものであった。その感想は観戦していた曹操(暗影)のものだ。
彼女が満足したのは雪蓮の命を燃やした大号令。そして蓮華を守る為に残りわずかの命でありながら精神だけで肉体を動かし、王朗を倒した戦いだ。
「戦自体はつまらなかったけど孫策だけは良かったわ」
「飛燕の策も潰れましたね。まあ、この結末で構いません。ようやく最後の八傑衆に仕事を手配できます」
八傑衆は全員が敗北してないない。残り1人だけが生き残っている。
「彼にはまた呉に向かってもらいましょう。今の呉は精神的に削れてますし、呉内部自体がグチャグチャでしょうからね」
それほど雪蓮の死は大きいのだ。于吉にとって今の呉ほど攻めやすい国はない。
「それにしてもあの道士とやらは強いわね」
「ええ。于吉や左慈の大先輩みたいなものですし」
「貴方たちの?」
「いえ、于吉と左慈の」
何を言っているのか分からなかった。
「それは置いておいて…カルデアからもどんどんと英霊が増えてますね」
「それってただ邪魔な敵を増やしてない?」
「大丈夫です。これから増えようとも絶対に倒す必要はないので」
カルデアは于吉たちの計画に邪魔であるが必要な存在でもある。
特に藤丸立香というカルデアのマスターは于吉の策に重要でもあるのだ。それをまだ誰も気付かない。
「魏と呉は一旦おとなしくなるでしょう。呉には次の策を手配するとして…魏はどうしましょうかね」
「またちょっかい出すの?」
「そうですねえ…そろそろ赤壁の戦いに近づいてますし何かあれば策を仕込んでおきましょうかね」
軽く一杯飲んでいくみたいなノリで国を混乱させる策を仕込むのは迷惑でしかない。
「蜀は?」
「そっちは我らが神が動いてますよ」
「本当に動いてるのね女カ様は」
「決戦まで大人しくして欲しかったのですがね」
蜀方面で暗躍しているであろう女神に対して遠い目をする2人。
「女カ様ってけっこう行動的よね」
「ずっと神殿に篭ってましたから反動が凄いんでしょう」
蜀というよりも南中で何かが色々と起きている。
読んでくださってありがとうございました
次回の更新は未定。
『魏と呉の戦編』は次回で終了です。まだ少しだけ続きます。
今回の物語の最後にもあったように次の章は南中(南蛮)編へと入ります。
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華琳は目が覚めました。
原作でもこの時の彼女は本当に慢心してましたね。ですが失敗から学ぶというのか…その後の彼女は変わりましたね。より強くなってます。
この物語でもそうなります。
そういえばここで「己1人では国は成り立たない」と書きましたがカルデア(異聞帯)始皇帝はほぼ1人で国を成り立たせてたんだよなあ。
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蓮華が呉の王となりました。
原作でもあった髪を南海覇王で斬るシーンは過去の自分の決別ですかね。
私はこれを見る度にテイルズのアビスのル〇クを思い出します。
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道士たちはやる事だけやって魏と呉から去りました。
曹操も蓮華たちも「あの道士はどこいった!?」となっております。
まあ、それは物語に書いてませんけどね。
雪蓮は仮死状態
彼らは立香たちとは合流しません。別行動はまだ続きます。
合流は…6章かな?
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魏と呉の戦を観戦してた2人。
ただ観戦してただけです。特に何かしたわけではありませんでした。
2人の活躍はまた何処かで。