Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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今年もよろしくお願いします。
これからも完結に向けて頑張って書いていきます。

FGO2部7章前半をクリアしました。後半は1月下旬の予定みたいですね。
もう待ちきれないくらいに楽しみです。これからカルデアはどうなっていくのか…早く続きが知りたいです。

恋姫†英雄譚5。発売予定は月31日。
長いようですぐかもしれませんね。此方も気になります。


此方の物語もどんどんとオリジナル展開に進んでいきます。
そろそろ大きく変化していくかもです。


南蛮大乱戦-孟獲-

828

 

 

咆哮というか叫び声を聞いて村の出口に行ってみればソイツは確かにそこにいた。

 

「たにょもーー!!」

「わぁ」

「お、おお」

 

愛紗たちは相手のまさかの姿を見て癒しを感じた。

 

「みんなしっかりして」

「え、あ…うん」

 

癒しを感じてどうするのか。相手は蜀に侵攻(?)してきた敵である。

 

「こにょ孟獲だいおーの子分にひどいことしたのはだれにゃ!!」

「え、ええっと…」

 

目の前にいるケモノっ子は南蛮たちの首魁である孟獲だ。

先ほどの配下の者たちも凄かったが孟獲は直球にモフみマシマシの方向であった。ちなみに先ほどの子分たちはミケ、トラ、シャムと言う名前らしい。

 

「…恋がいく?」

「いやちょっと待って」

「は、はわわ…」

 

愛紗が朱里のような言葉を呟いた。

まさかの可愛さに愛紗は正面ストレートパンチを喰らったようなものである。実は秦良玉も孟獲の可愛さにちょっとやられてる。これがパンダよりだったら危なかったかもしれない。

 

(これが賊……?)

 

基本は賊を許さない秦良玉も孟獲たちだと賊許さないセンサーがなかなか反応しない。可愛い見た目でもやっている事が賊と変わらないのであれば遠慮はしないのだがやっている事が飯をタカっているだけだ。

一応は家畜や畑に被害にがあっているのだがやはり何処か賊センサーが反応しない。

 

「ここはわたしが行くよ」

 

ここで恋に行かせるとまた何処か彼方へと飛ばされかけない。

まだ可愛いオーラに圧倒されている愛紗を横目に桃香はゆっくりと一歩を踏み出してみせる。

 

「孟獲大王さん?」

「おまえはだれにゃ」

「わたしは蜀の王の劉玄徳っていいます。孟獲さんは、ここに何をしに来たんですか?」

「にゃにゃっ。だったらちゅごーがいいにゃ」

 

桃香の名乗りを聞いた瞬間、孟獲は満面の笑みを浮かべた。この笑顔にまた愛紗は右フックを喰らったようである。

 

「ショクのおうさまなら、おまえをやっつけたらショクはみぃのものにゃ!!」

 

今回の狼藉の目的を明かした。

どうやら本当に蜀に侵攻していたようだ。緊迫感も何も無いが。

 

「な、なんで?」

「みぃにことわらずに、新しく国をちゅくるなど、ぶれいとんでもないにゃ。あとなんか人がいっぱいきたらしーから、珍しいものとか、おいしいものとか、いっぱいためこんでるに違いないにゃ」

 

シンプルイズベストな理由であった。

 

「とういうわけにゃ。もんどーむよーにゃ。覚悟するにゃー!!」

「え、あ、ちょっと!?」

 

秦良玉的には何処かで見た事があるような武器を孟獲が構え、桃香に襲い掛かる。

 

「あぶない」

 

瞬時に恋の拳骨が孟獲の頭に直撃した。

 

「ぴゃっ!?」

「……えい」

 

更に連続で拳骨3連発。

 

「ひうっ!?」

「…よっ」

 

孟獲の尻尾を掴んでブンブン振り回して放り投げると孟獲の小さな身体ははるか彼方へと飛んで行った。

 

「ギニャー!?」

「れ、恋ちゃん!?」

「…桃香を狙ってた」

「だからいきなり手を出しちゃダメだってばぁ!!」

「……?」

 

正直に言って恋の行動は真っ当である。

 

「恋殿は何も間違った事はしてないですぞ」

「ああ、ねねの言う通りなんだけど……まあ、うん。恋はちょっと俺の隣にいような?」

 

コクリと頷く恋であった。

 

(いやまあ、さっきのタイミングは確かに助かりはしたんだけど…生きてるかな孟獲)

 

そんな事を思っていると遠くから凄い速さで孟獲が走ってくる。

 

「おまえ…おまえ、いきなりなんにゃー!!」

「あ、戻って来た。意外と丈夫なんだな孟獲」

 

ジャングルで生活している彼女たちには身体が頑丈かもしれない。

 

「あ、あの…孟獲さん。大丈夫ですか?」

「だ、だいじょばないにゃ。ぐぬぬ、なんて恐ろしいやつらにゃ」

「…ん」

「ぴゃーーー!?」

 

どうやら孟獲は恋がおっかない相手と理解したようである。

恋にチラリと視線を向けられただけで慌てて木の陰に隠れてしまった。まるで怖い動物に睨まれた猫のようである。

 

「フーッ!!」

(威嚇してる…ほんと野生動物みたいだ)

「うう…どうしよう。確かにこれはお話出来る状況じゃないかも」

 

次は北郷一刀が出ていこうかと思ったが同じような展開になると予測できたため、足が止まる。

 

「桃香さま。良かったら私に代わってください」

「朱里ちゃん?」

 

戸惑ったままの桃香に代わって今まで後ろで様子を見ていた朱里が前に出てみせた。

 

「こ…こんどはだれにゃ」

「諸葛亮と申します」

「しょかちゅりょー?」

(ッ…い、言えないのか。これは…!!)

 

孟獲の反応にキュンキュンしてる愛紗。

 

「愛紗殿?」

「ご、ごほん。いや、何でもない秦良玉殿」

 

もう孟獲の可愛さに顔が緩んでいる事がバレバレである。実は可愛いもの好きというのが分かってしまった。

尤もその片鱗はちょくちょく見せていたので意外でも何でもないのだが彼女は隠しているようだ。

 

「でしたら孟獲大王さん。次は桃香さまの代わりに私と勝負しませんか?」

「にゃにゃっ。おまえをやっつけたら蜀はもらえるのかにゃ?」

「そうですね……」

 

何か策がある。そう読んだ北郷一刀。

おそらく単純な武力に訴えれば制圧は容易い。しかしソレは桃香の望むところではないし、正直こういう相手では北郷一刀自身も乗り気になれない。

朱里がちらりと振り向けば視線を向けられた桃香は小さく頷いてみせる。

 

「わかりました。いいですよ。では、私が勝ったら南蛮はいただけるという事でかまいませんか?」

「かまいませんにゃ。おまえみたいな弱そうなヤツにみぃが負けるはずないにゃ」

 

木陰からヒョイっと出てくる。

 

「なら、こちらに来てください」

 

朱里と孟獲の戦いが始まる。

 

 

829

 

 

朱里が孟獲を連れてやってきたのはジャングルを少し入った所にある開けた場所であった。

 

「ここで勝負するにゃ?」

「そうですね。では、何で勝負しましょう?」

「にゃにゃ?」

「孟獲さんが決めて良いですよ?」

「だ、だったら…だったら…だったら……」

 

いきなりそう振られて面食らった孟獲。何かを考える様に頭を抱えてうんうんと悩み始めた。

 

「……なら、私が決めてもいいですか?」

「にゃにゃ。だ…だったら、おまえに決めさせてやるにゃ。みぃがぜったい勝つんにゃから、せめてものにゃさけにゃ」

(思いつかなかったんだな)

(思いつかなかったんだ)

(思いつかなかったのか)

(かわいい)

 

上から北郷一刀、桃香、焔耶、愛紗の感想。

 

「でしたら、そうですね…孟獲大王さんが好きな遊びは何ですか?」

「みぃは、追いかけっこがだいすきにゃ。狩りみたいでたのしいにゃ」

 

狩りは孟獲がいつもやっている事で日常行動にも等しい。

 

「そうですか。では、おいかけっこにしましょう」

「ふにゃ、おいかけっこでいいのかにゃ?」

「はい、日が沈むまでに私を捕まえられたら孟獲大王さんの勝ちです」

「ふんふん」

 

朱里は一字一句、言葉を選ぶようにして孟獲が話の内容を理解しているかどうか確かめながらルールを説明していく。

 

「ただし日が沈むまでに私を捕まえられなかったり、この森から出たりしたら孟獲大王さんの負けということにしましょう」

「ふみゅ」

「何か気になるところはありますか?」

「おひさまが沈むまでにお前をつかまえればいいだけなのにゃ。そんなのかんたんにゃ!!」

 

開けた広場から空を見上げれば太陽は真上に昇ったばかり。これからから傾くにしても日没まではまだ時間がある。

 

「え…いくらなんでも孟獲に有利すぎないか?」

 

ジャングルは広く、朱里も北郷一刀たちの中では体力がない方だ。その朱里相手に南蛮の王である孟獲に素早さと持久力がモノを言う耐久追いかけっこは無謀である。

 

「ご主人様、本当に大丈夫なんだよね…」

「ああ。そう思いたいけど」

 

いくら朱里が神算鬼謀の諸葛孔明といっても、ここまで孟獲に有利過ぎると流石に不安になってしまう。

 

「蒲公英ちゃん、焔耶さん。兵士の皆さんに森を囲んでもらうようにお願いします」

「分かったよ」

「兵士はそれでいいとして、ワタシたちは何をしたらいいんだ?」

「残った皆さんは私か孟獲さんに付いて、この勝負に不正…ズルがないかの見届け役をお願いします。孟獲さんいいですね?」

「もちろんにゃ。なら、いくにゃ!!」

「はい、では私は逃げますから…孟獲さんは百数えたら追いかけてきて下さいね?」

「………にゃ?」

 

朱里はそう言い残すと審判役の何人かを連れて森の中へと走り去っていく。

 

「え…ええっと…ええっと……ひゃく?」

 

残された孟獲は不思議そうに首を傾けていた。

 

「ひゃくってなんにゃ?」

 

百という数字が分かっていないらしい。それから2時間後。

 

「しゃーん、しーい…」

 

孟獲は2時間考え込んだが、やがてモフモフの指を折りながら数を数え始めた。

 

「ろーく、はーち、はーち……はーち、の次はなんにゃ?」

「はちの次はなんにょ?」

「はちってなんにゃ?」

「きゅー」

 

気が付けば孟獲の部下であるミケ、トラ、シャムたちが集まっていた。

 

「はち…はち…あ、ハチミツが取れるやつにゃ!!」

 

それは八ではなく蜂。

 

「ハチにさされたら、いたいにょ」

「でも、ハチミツはあまいにゃ。ハチミツ食べたいにゃ」

 

北郷一刀の記憶が確かならば既に七回目の八の次が分からない問題にぶつかっている。

その度にハチミツだの何だので脱線しては戻ってきている。

 

「うぅ…かわいい」

「ご主人様…これ、止めなくていいんだよね?」

「まあ、いいんじゃない?」

 

審判の立場なら助言するのは不公平になる。百数えられない相手に百数えるのを要求する朱里も朱里ではある。

 

「ねえねえ。百まで数えなくて良いのー?」

 

ここで電々が孟獲に話を戻す。

 

「あ、そうだったにゃ!!」

 

このやり取りも八回目である。

 

「ぐぬぬ…しょかちゅりょーはひゃく数えろっていったけど、はちの次がわかんないにゃ」

 

一応は約束(ルール)は果たすつもりの孟獲。彼女はうんうん唸ったり、その辺をゴロゴロ転がったりしながら八の次が何かを思い出そうとしている。

もしかしたら最初から八の次の数字を知らない可能性があると思う北郷一刀。そんな時、孟獲は考えるのが限界に達したようである。

 

「うがーーーー!!」

(あ、壊れた?)

「もういいにゃ。はちの次はいっぱいにゃ。みぃが決めたにゃ。もうひゃくまで数えたにゃー!!」

 

孟獲は高らかに宣言すると子分たちを連れて今度こそ森の中へと駆け出していった。

 

「…行っちゃった」

「まあ、いいんじゃないかな。百まで数える時間なんてとっくに過ぎているし」

「ですが、朱里は本当に大丈夫なのでしょうか。孟獲とやら数は数えられなくても身体能力は朱里の及ぶところではありませんよ?」

「あれだけ自信満々な以上、大丈夫だと思うんだけど」

 

信じているが心配なのも間違いない。北郷一刀たちも孟獲を追って、森の中へと走り出した。

 

「ギニャーッ!?」

 

走り出した瞬間に森の中から聞こえてきたのは孟獲の悲鳴であった。

 

「あ、落ちた」

 

ポツリと呟く蒲公英。

 

「落ちたって?」

「あれ、言ってなかったけ。この森、たんぽぽが仕掛けた罠がいっぱいあるんだよ」

「なんだって?」

「にゃー!?」

 

落とし穴に落ちる孟獲。

更にその後も孟獲は森中に仕掛けられた罠に端から嵌り続けた。

 

「や、やっと見つけたにゃ。かくごするにゃー!!」

「はわわ、食べないでくださーい」

「そんなわけいかにゃあああああああ!?」

 

また罠に嵌る孟獲。今度はトラバサミ。

 

「ふう、それではまた後で」

 

対する朱里はトラップの配置を完全に把握している。

罠にかかった孟獲を確かめて朱里はまたもや森の中へ消えていく。

 

「ぐ、ぐぬぬ…こんどはまけにゃ…にょわあああああああ!?」

 

孟獲に襲い掛かる新路上に落とし穴を配置しておくのはまだ序の口。今度はスネアトラップ。

 

「…っていうか、なんで蒲公英は森中にこんな罠を?」

「いやぁ。焔耶で遊ぶのにも落とし穴ばっかりじゃ飽きちゃうでしょ。色々あった方が罠にかかるほうも面白いかなって」

「ギニャー!?」

 

次は足くくり罠。

 

「まず罠に掛かる時点で面白く無いだろ。てか、焔耶で遊ぶとかまたケンカになるぞ蒲公英」

「そもそも朱里ちゃん、なんでこんな罠だらけの森の事を知ってたの?」

「桃香さまたちが孟獲と話している間に聞かれたから」

「ああ、あの時か」

 

そう言えばと思い出し、朱里は北郷一刀たちの後ろの方で何かを話していた。

 

「あ、ご主人様。そこにも罠があるよー」

「え、全然気付かなかった」

 

地面の草を結んで転ばせるだけの簡単の罠だが他の草や影に完璧に紛れており、本当に気付かない。

地味であるが油断していると簡単に嵌ってしまう。

 

「その罠は電々が作ったの!!」

「電々たち、罠を隠すのがすごく上手でさー。もしかしたらたんぽぽも気付いていない罠があるかも」

「そんな所をあるいてて大丈夫なのか。こっちは蒲公英がいるからいいけど、桔梗たちは…」

 

ここにいない桔梗たちは朱里側の審判をやっている。

 

「あっちにも雷々がいるから大丈夫じゃないかな」

「それに朱里ちゃんと一緒の方が安全かも。まあ…向こうで引っかかるのは焔耶くらいだと思うけど」

「焔耶、間が悪いしねえ」

「…本人が聞いたら泣くからほどほどにしてあげて」

 

 

830

 

 

ズゴンと倒れるのは朱里ではない方の諸葛孔明。

 

「どうした兄上。いきなり転んで」

「……何でこんな所に足くくり罠があるんだ!?」

「さあね。たぶん南蛮たちの仕掛けたトラップじゃないかな」

 

カルデアの諸葛孔明はブチっと草で出来たトラップをイラつきながら破る。

 

「ったく、泥人間について思案していたのにふっとんだぞ」

「考えながら歩くのは危ないって事じゃないか」

「余所見していたわけではない」

 

転んでしまったものはしょうがない。特に傷を負ったわけではないので気にしないで立ち上がる。

 

「大丈夫、孔明さん?」

「ああ、大丈夫だ三蔵殿」

「もうすぐ着くから頑張って」

「頑張って兄上」

「やめろ」

 

司馬懿(ライネス)にからかわれながら目的地に到着する。

 

「ここが泥人間と戦った場所だ。もう渇いているが崩れた泥がアレらだ」

「ふむ」

 

諸葛孔明と司馬懿(ライネス)は早速、崩れた泥を確認する。

 

「見る限りただの泥だな」

 

触ってみるもただの泥。泥山の中に何か核になるような物もない。泥からも魔力も感じられない。

 

「ライネス。そっちは何かあったか?」

「いいや。こっちもただの泥だね」

 

彼女も確認しているが同じような結果である。

 

「泥から人間を作るか…俵藤太殿、玄奘三蔵殿。もう一度聞きたいが、その泥人間とやらはゴーレムの類では無かったのですかな?」

「ええ。見た目完全に人間だったわ。ゴーレムとかホムンクルスという感じでもなかった」

「なるほど…そして俵藤太殿は謎の者に襲撃があったと」

「うむ。しかしその襲撃者が泥人間を生み出した術者とも見えんかったな」

 

術者ではないが泥人間を率いていた感じではあった。ならば襲撃者は泥人間を生み出した術者の仲間である可能性は高い。

 

「まだこれだけでは分からない事は多いな。もっと情報が欲しい」

 

この謎はまだ解明できない。解明できるだけの材料が少ないのだ。

 

(泥人間。泥から人間を作るか。そういうのは神話などであったな。そしてここは中国。まさか…)

 

解明は出来ないが少ない情報から考察は少なからず出来るものだ。

 

 

831

 

 

朱里と孟獲の追いかけっこ勝負。数時間は経過したが勝負は朱里が有利に働いている。

ジャングル内に蒲公英と電々たちが仕掛けた罠に見事に掛っている孟獲はとても足止めさせられているのだ。

何度も罠に掛かってはなんとか罠から抜け出している。

 

「これもう帰っていいか?」

「傾殿、我慢しましょう」

「そうは言うがコレ全く戦うも何もしておらんではないか」

 

傾は蜀の将として組み込めるかどうかという実験で南蛮遠征の部隊に入っているのに相手が相手の為、全く活躍どころか仕事らしい仕事もしていない。

ただただ悪ガキの相手をしているような感覚だ。楽ではあるのだがこんな事であれば城で侍女の仕事をしていた方がまだ有意義である。

 

「はあ…瑞姫の世話か立香の旅に付いて行った方がマシだったな」

「これで給金が貰えると思えば…」

「当たり前だ。無駄に遠くに来させられて何もしないからと言ってタダ働きさせられるのは御免だ。見てみろ。あれが賊退治か?」

 

よく見ると審判の電々たちも体育座りしながら孟獲の奮闘を観戦していた。その様子に秦良玉はコメントに困る。

 

「……ところで立香の話だが」

「マスターの話ですか?」

「どうやったら誘惑できると思う?」

「………」

 

沈黙の秦良玉。

 

「答えろ。だってお前は立香を誘惑したのだろう?」

「してませんよ!!」

「え、誘惑して押し倒したと聞いたぞ?」

「誰情報ですか!?」

 

やんややんやと傾と秦良玉が騒いでいる一方で孟獲はと言うと。

 

「はぁ、はあ、はあ…もうげんかいにゃ。おなかすいたにゃ…あ、おいしそうなお肉があるにゃ!!」

 

孟獲の目の前に美味しそうなこんがり肉がある。ただしその上には大きなカゴ。

 

「にゃわわわわあああ!?」

 

それはカゴ罠だ。

目を血走らせた孟獲がお肉のもとへと飛びかかった次の瞬間、当たり前のように嵌った。

 

「……あんな所にお肉があるはずないじゃない」

「あれは朱里が仕掛けたのかな」

「どうなんだろうね。焼きたてみたいだったから、ダメ押しで何かしたのかも」

 

普通に考えればどう見ても罠だ。あからさまに見えて他に何かあるのではないかと思ってしまう程である。

 

「もうイヤにゃああああああああ!?」

 

最後にバナナの皮で転んだ。

(バナナが生ってるんだなこの森。後で探そうかな)

 

バナナは美味しい。栄養も満点だからだ。

 

「はあ、はあ、はあ」

 

息切れの孟獲。プルプルしていたが一気に爆発した。

 

「うがああああああっ。こんな、ずるっこばかりのおいかけっこなんかもうおしまいにゃ!!」

 

厳密に言えばズルではないのだが、ここまで片っ端から罠に引っかかりまくったらズルとも言いたくなる気持ちは分かる。

 

「ってか、追いかけっこはお終いって?」

「おまえたち!!」

「「「にゃーー!!」」」

 

孟獲の叫びに応えたのはミケ、トラ、シャムの3人だけじゃない。応援はジャングルのあちこちから姿を見せた。

多すぎるほどの南蛮の者たちが集まって来たのだ。ただし見た目がほぼ同じに見えるから目を疑う。

 

「え、ちょ、ええ!?」

「おんなじ顔がいっぱいいる!!」

「こういうの知ってる。量産型っていうんだ!!」

「何処でそんな言葉を覚えたの電々!?」

 

量産型云々は置いておく。似たような服装、装飾をしているから同じように見るだけでよくしっかり見えば違う。しかし追いかけっこで決着をつけるはずであるがこれでは約束を破った事になる。

 

「孟獲。約束を破るのか?」

「うるさいにゃ。みぃは大王にゃ。いうこと聞かないヤツはしょけーするにゃ」

 

強行手段に出るようだ。もう追いかけっこで勝てないと判断して数で頼る事にしたのだ。

相手がルールを破るというのであれば対応方法は決まっている。

 

「これだけ努力したのに結局武力での激突になってしまうのか。朱里の策で懲りて帰ってくれたらよかったんだけど」

「努力したかわかんないけど」

「蒲公英、しっ」

 

指を口元に沿える。

何はともあれ追いかけっこ勝負は孟獲の反則負けだ。これで蜀から手を引く話になるのだが相手は引きはしない。

これから南蛮と蜀の全面衝突だ。すぐさま蜀の兵士たちが集まり、迎撃する準備をする。

 

「こっちも同じのがいっぱい!!」

「いや、兜取ったらちゃんと別の顔だからね雷々!?」

 

みんな揃って体格が良いのはそういう人たちを選んで近衛に持ってきているだけだ。

 

「気を付けてみんな。そして出来るだけ傷つけな…」

「はわわわわわわーーーー!?」

 

桃香が号令を掛けようとした時、ジャングルの方から朱里の悲鳴が聞こえてきた。

 

「朱里ちゃん!?」

「まさか伏兵か!?」

 

意識を孟獲側に向けて伏兵を朱里の方に向かわせていたのかもしれない。そんなのはマニュアル通りの作戦と同じだ。

 

「にゃ?」

 

孟獲の方に顔を向けると彼女自身も朱里が悲鳴を上げた意味が分かっていないらしい。

 

「孟獲がやったんじゃないのか…伏兵を隠してたとか」

「ふくへい…みぃの部下はここに全員いるにゃ」

「え?」

 

孟獲が嘘を言っているようには見えない。そもそも彼女は人を騙すようにも見えない。

 

「でも、朱里ちゃんの方には焔耶ちゃんに桔梗さん、楼杏さんがいるのに」

 

まさか謎の泥人間かもしれないと気付く。謎の勢力が攻めて来たのかと予想していたら南蛮の者たちがヒョコヒョコと現れた。

 

「あ、朱里ちゃん!?」

 

南蛮の者たちは気絶した朱里を数人で抱えていた。

 

「ちょっと何がここにいるで全員よ。嘘ついてんじゃん!!」

 

蒲公英が指を指して孟獲を非難するが孟獲は蒲公英の言葉なんて無視して武器を握りしめて飛びかかった。

飛びかかった相手は桃香や蒲公英たちではなく、朱里を捕まえた南蛮の者たちに。

 

「このうらぎりもにょー!!」

「「「にゃにゃにゃーー!?」」

 

朱里を捕まえた南蛮の者たちはまたジャングルの中へと入って行った。そして孟獲たちも追いかける為にジャングルに入り込んでいった。

 

「う、裏切り者?」

 

孟獲はひょこっと現れた南蛮の者たちに「裏切り者」と言った。もしかしなくても南蛮では内部分裂が起きている可能性が高い。

内部分裂が起きている中でよく蜀の侵攻攻め(?)を出来たものだと考えたが、内部分裂を起こしているからこそ食糧を手に入れる為に侵攻したのかもしれない。

 

「いや、考えている暇はない。急いで追いかけよう」

「そ、そうだね。私たちはこのまま朱里ちゃんを助けに行こう。秦良玉さんと傾さん、電々ちゃんと雷々ちゃんたちは桔梗さんたちを探して!!」

 

「分かりました。行きましょう」

 

秦良玉は傾たちと共に桔梗たちを探しに行く。そして桃香たちは朱里と孟獲たちを追う。

ジャングルの中に入ると南蛮たちが争っている声が周囲から聞こえてきた。

 

「これは嘘でも演技でもないのだ。本当に争っているのだ」

「…うん。仲間割れ」

 

鈴々と恋も本能で南蛮の者たち嘘偽りなく争っていると判断。

 

「まさか南蛮で仲間割れが起きてるなんて…」

「楼杏や桔梗もそんな情報は言ってなかったからな」

 

南蛮で内部分裂が起きているなら情報で知っているはずだ。それなのに何も言わなかったという事は本当に知らなかったという事である。

 

「南蛮で一体何が起きてるんだ?」

 

南蛮の状勢が気になるが今は攫われた朱里を助けるのが先決である。北郷一刀たちは茂みを掻き分けながらジャングルを進んでいく。

 

「…っ、待って」

 

恋が皆を制止する。

 

「どうしたの恋ちゃん!?」

 

恋が警戒するように周囲を見渡す。彼女ほどの武人が警戒するという事は『何か』が近くにいるという事だ。

 

「危険なのか恋」

「……強い」

 

恋が「強い」と言った瞬間に愛紗と鈴々、蒲公英はすぐさま桃香と北郷一刀の前に出る。

 

「ねね下がって」

「は、はいです」

 

音々音も恋の後ろに下がる。

緊張が場を支配する。

 

「ほう…我が気配に気付きますか」

「なっ…!?」

 

何処からともなく誰かの声が聞こえてきた。

 

「な、な、なんてイケメンボイスなんだ!?」

「ご主人様?」

 

聞こえてきた声は誰もが認めるイケメンボイスであった。

 

「てか左慈の声に似てる気がするんだが…まさか!?」

 

実は左慈の声がカッコイイと認めていた北郷一刀。

 

「私の気配に気付くとはなかなかの実力者と見た。これは戦い甲斐があるというものです」

 

口調からして左慈ではない。しかし恋だけでなく愛紗や鈴々ですら緊張で汗を垂らしていた。相当な実力だと覇気で伝わっているという事である。

 

「何者だ。隠れていないで姿を現せ!!」

「これは失敬。これから戦うのにいつまでたっても姿を見せないのは良くありませんね」

 

茂みから鍛え上げられた巨体が姿を現す。

 

「人中に呂布、馬中に赤兎、今や一つ。我が名は呂布奉先!!」

 

現れた武人は「呂布奉先」と名乗った。その名乗りに恋は「え?」と普段では聞かない声で呟いた。

 

「どうしました。今度は其方が名乗ってください」

「う…」

「う?」

「「「馬だーーーー!?」」」

 

北郷一刀たちの前に現れたのはUMA(馬)だった。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新は1週間後予定になっております。


828~829
ほぼ原作と同じ流れですね。

愛紗は孟獲たちに対して癒されてますね。
気持ちは分かります。見ていてほっこりしますし。優しい気持ちになります。
愛紗は猫派かもしれませんね。

革命で孟獲が罠に掛かりまくる一枚絵がありましたね。
やはりアレが『七縦七擒』をテーマにしたものなのかなって思います。


830
蒲公英や電々たちが仕掛けた罠にカルデアの孔明が引っ掛かりました。
はい、それだけです。

泥人間に関してはまだ謎。しかし中国、泥、人間というワードで考察はできます。
まさかの答えに近づいています。


831
UMA。
ここは全部コレで持ってかれたと思ってます。
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