Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
正月も終わり、またいつもの日常に戻ってしまいました。
正月休みって終わるのが早いものです。今年もまた頑張っていかないといけませんね。
南蛮編。またまた立香サイドになります。
今回の此方の物語は短いですがどうぞ。
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蜀の城の廊下を絵になるが如く歩くのは始皇帝。その様子からして誰かを探している。
「これは陛下。どうしましたか?」
「おお、蘭陵王か。丁度良い」
「丁度良いとは?」
事務仕事の手伝いをしていた蘭陵王。手元には書類関係がかさばっていた。
「なに、時間は取らん。天女と会稽零式の居場所を知りたくてな」
「虞美人殿と項羽殿は城を出ております。南蛮の方に向かうと仰ってましたね」
「逢引きか?」
「そんな雰囲気では無かったですが」
逢引きでなければ項羽が動く事態とも言える。彼は意味の無い行動はしないのだ。
たまにお茶目な行動をするがソレは全て虞美人が関わってくる。逢引きでなければ項羽の未来演算で南蛮にて何か異常事態でも起こる可能性があるという事だ。
「うーむ。ちと会稽零式を借りたかったが仕方あるまい。帰ってくるまで待つか」
「私でよれけば力になります陛下」
「いや、大丈夫だ。必要なのは会稽零式の処理能力だからな」
しょうがないと思って始皇帝は思考を変え、空丹や白湯たちと飲茶でもするかと考える。
天子姉妹は始皇帝に懐いてきているのか最近は飲茶の回数が増えているくらいだ。2人とも始皇帝との会話は良い刺激になっているのだ。
流石の黄も口答えはできない。空丹の変化を喜ぶべきなのか残念と思うかは黄だけしか分からない。
「何か調べものですか?」
「うむ。此方の朕についてだ」
「この世界の陛下ですか」
この外史世界の始皇帝を調べるに藤丸立香たちの世界と似た流れの人生を歩んでいる。しかし何処か異なった部分もあるのだ。
異聞帯の始皇帝と同じく、汎人類史とは異なる流れも含んでいる。その例が兵馬妖だ。
外史世界の始皇帝が造り上げたゴーレムである。全ては解明されていないが考察では外史世界の始皇帝は妖術を極めていたに違いない。
「兵馬妖は兵器だ。しかし兵馬妖だけではないと思っている」
「兵馬妖だけではない…まさか別の兵器があると?」
「朕だったら他にも造ってるな」
兵馬妖は于吉が手に入れ、自分の手駒として使用している。もしも外史世界の始皇帝が他に強力な兵器を作っており、于吉が隠し持っていれば予想外な猛撃を喰らう可能性があるのだ。
まだ于吉が手に入れていなければ事前に兵器のある場所を見つけて抑えておきたいのだ。
「可能性は大きいと?」
「まあな。玉璽の仕掛けも見るに他にも造っていてもおかしくない」
規格外な皇帝である始皇帝。異聞帯の彼が特別過ぎるが外史世界の始皇帝も規格外の可能性は大いにある。
「いくつかピックアップはしてあるがゆえ、会稽零式の意見も聞こうと思ってな…まあ、天女と出かけておるなら致し方なし」
飲茶して待つしかないという事だ。
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険しい山を登るのは簡単ではない。軽装備で登るなんてのは命知らずだ。登山は命がけである。
「なんかここ歩きにくいな」
「儂はそうでもないがな」
何処からどう見ても登山をするには見えない軽装備で山を登る男女。彼らは一般人でなく超人だからこそ必要最低限の装備で登山が出来るのだ。
「この山の天辺に龍が住んでいるのは本当かよ」
「あの童たちが言うには本当らしいがな」
この男女は李書文(槍)と炎蓮だ。蜀から出発して南蛮のある龍が住むという山まで歩いてきたのだ。
元々は何となく南蛮まで宛てもない旅だった。しかし龍の噂を聞いて興味が湧き、赴いたのである。
炎蓮曰く、一度は龍と戦ってみたいというもの。そして心のモヤモヤを解消出来る程、がむしゃらに戦えるかもしれないという望みだ。
「龍と戦うなんて人生でそうそうねえ。だろ李書文」
「いや、何度か手合わせした事はあるな」
「何であるんだよ」
正確には龍ではなくドラゴンやワイバーンだ。
「ここまで来るにあたって賊や熊、虎なんて暇つぶしにもならなかったからな。龍は良い相手になるといいんだがな」
「なるだろうな。龍を甘く見るな」
龍を賊や虎と一緒にしてはならない。龍は世界・幻想でも高次元の存在だ。
炎蓮の言動は完全に甘く見過ぎている。
「ちっ。分かってるよ」
その龍を餌としている怪物も存在しているのだがこの外史世界・大陸では知られていない。
「相手にするのは構わんが命を捨てる覚悟を持て」
「はっ、こちとら一回死んでんだ。死なんざ怖くねえよ」
彼女の目を見るに本当に死は怖くないように見える。戦って死んでも本望という顔だ。
彼女はバーサーカークラスの適正があるのかもしれない。
「呵呵、良く言った。それでこそ炎蓮だな。お主はバーサーカーだ」
「ばぁさぁかぁ?」
「狂戦士って意味だ」
「オレ様の何処が狂戦士だ!!」
今までの事からバーサーカーと言われても納得出来る。娘の雪蓮や臣下の雷火たちも頷くはずだ。
「ったく、失礼な奴だな。そういうてめえだって狂戦士だろうが」
「適正はある」
「素直に認めたな…」
適正があるのだから嘘を付いても仕方がない。
「む…そろそろだな」
「ああ。強ぇ力を感じる。龍のお出ましって奴だな」
李書文は槍を、炎蓮は剣を構える。
「かかってこいや龍!!」
「かかるのは儂らだがな」
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張勲の病魔を治す為に最後の薬の材料は龍の肝。
龍の肝を手に入れる為に華佗達は様々な情報を手に入れていた。その中で南蛮方面の険しい山の天辺に龍が住むという噂を元にジャングルにて決死の大側索をしていた。
「ムシムシして暑い~」
「何でこんなに蒸し暑いのよ」
「ジャングルだからね」
熱帯雨林とも言う。
「立香は暑くないの?」
「確かに暑いけど慣れてるから」
バビロニアを思い出す。バテそうである時はマンゴーを食べるのが一番だ。栄養があって水分補給も出来る。
「マンゴーは万能食材なんだ」
「まんごぉ?」
「甘くて美味しい果実だよ。こういう森の中で生ってたりすると思う」
キョロキョロ探すも見渡すも簡単には見つからない。その代わりに何か雄叫びやら悲鳴やらが聞こえてくる。
動物かと思ったが人間の声だ。藤丸立香たちは警戒態勢に入る。
「え、何々!?」
「な、なななななんじゃ!?」
今のところは藤丸立香たちに敵意は向けられていない。
「袁術ちゃん。私の後ろに隠れててん」
「地和たちもオレらの後ろに」
耳を澄ますと雄叫びや悲鳴だけでなく、何かが木々を飛び跳ねる音も聞こえてくる。それは此方に近づいてきている音でもあった。
「ここって南蛮よね。なら南蛮の現地人じゃないの?」
「雪蓮の言う通りかもな」
南蛮の現地人にとって余所者が入ってくるのは嫌なのかもしれない。その可能性があってもおかしくないのだ。
誰だって自分の領地に他人が土足で入ってきたら良い気はしない。
「オレらは薬の材料を採りに来ただけって正直に言ったら何とかならないかな」
「あまり南蛮の方は知らないけど、話が通じる相手って聞いた事ないわよ」
南蛮の者たちは蛮族だと漢帝国では知れ渡っていた。だからこそ南中異民族の正式な総称である西南夷でなく、『南蛮』と言われているのだ。
「襲ってきたら返り討ちにするしかねえって事か」
「しょうがないのう」
薬の材料を手に入れる為に現地民との戦闘は避けられない可能性を考慮しつつ、ジャングルの中を進むとやはり南蛮の者たちに発見された。
「にゃにゃにゃっ。おまえらだれにゃー!!」
何だか幼い声が聞こえてきた。しかし姿は見えない。
「まさかこいつらもショクの奴らかにゃ。もしくはにせめがみのなかまにゃ!?」
(今、蜀って言ったのかな。それと偽女神?)
気になる単語を口にした謎の者。
「敵にゃらたおすにゃーーー!!」
茂みの中から飛び出した者は何処からどう見てもケモノっ娘であった。しかしその者の姿に武器を見てしまって藤丸立香はある者の名前を叫んでしまった。
「ジャガーマーーーン!?」
何故か分からないがジャガーマンの系譜を感じたのである。
「じゃがぁまんって誰よ」
「あのチビッ子。ジャガーマンの部下か亜種か?」
「ジャガーマンの進化前かもしれん」
ジャガーマンの印象力は強い。
読んでくださってありがとうございました。
次回の更新は2週間以内を予定しております。
832~833
こっちは「一方その頃の更にその頃」の話になっております。
恋姫世界の始皇帝。
前々からちょくちょくと話題にしていたネタ。今までは伏線というか本格的な話に入る前振りみたいなものです。
オリジナル展開で恋姫の始皇帝について展開していけたらと思ってます。
炎蓮と李書文(槍)
一足先にあの龍の元にむかっております。
なのでそろそろ再会も近いです。
834
藤丸立香たちはついに孟獲と接触。
実は時系列的に前話の北郷一刀たちが「馬だーーー!?」と叫んでいる時と同じです。
はい、一刀と立香たちは同じ南蛮にいる事になってます。
どうも孟獲がジャガーマンの系譜に感じてしまう。