Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
ついに始まった二部七章後半。
まだプレイしてませんが噂だと熱戦激戦超決戦らしいですね。
これは期待しかない!!

ガチャはもうしました。トラロックはお迎えできましたがテスカトリポカが来ません。
PU2があるかもだし、まさかのすぐにバレンタインイベントだし…。
アカン。もう石が…ない。


さて、では此方の本編をどうぞ!!


南蛮大乱戦-南蛮反乱勢力-

841

 

 

泥人間の兵士に襲われていた劉備たち。彼女たちを助けたのは徴姉妹と名乗る姉妹であった。

 

「えっと…徴側さんに、徴弐さん?」

「はい。徴側です」

 

ニッコリと笑顔を作るのはおっとりと優しそうな緑髪の美女である徴側。そして横にいるのは真面目一筋の仕事人の様な雰囲気を醸し出している青髪の美女である徴弐。

2人合わせて徴姉妹と呼ばれている。そんな彼女たちの名前を聞いて北郷一刀は何かを思い出そうとする。何処かで聞いた覚えがあるようなと思って2人をついつい凝視していると後ろから愛紗に抓られた。

 

(ちょっ、愛紗)

(なに見とれてるんですか…もうっ)

(いや、そうじゃなくてだな)

 

確かに彼女たちは美人だと見て分かるが今はそういうつもりで見ていたわけではないと弁解する。

 

「助けてくださってありがとうございます」

「いえ、困った時はお互い様ですよ」

「姉さんの優しさに感謝しなよ。本当だったら助けるつもりは無かったんだから」

「こら弐っちゃん。そんなこと言っちゃダメでしょ」

 

「メッ」と注意する徴側。その姿に無表情である徴弐だが心の中では「姉さん可愛い」と思っている。

その動作に徵弐だけでなく桃香たちも可愛いと思ってしまった。何ともポワワンと和みそうである。

 

「あ、わたしは蜀の劉備って言います」

「俺は北郷一刀だ」

「私は関羽です」

「鈴々は…」

 

順々に桃香たちは自己紹介をしていく。その中で自己紹介をしただけなのに徴側は少しだけ驚いた顔をした。特に音々音の「陳宮」という言葉を聞いた時だ。

 

「こっちの陳宮さんと違って可愛い」

 

ポソリと呟いた言葉は誰も聞こえていなかった。

 

「蜀の方々だったんですね」

「知っているんですか?」

「ええ。有名ですからね」

 

有名と聞いてちょっと照れてしまう桃香と誇らしげな愛紗。

 

「あの、徴側さんたちは一体?」

「そうですね私たちは」

 

徴側が己の素性を明かそうとした時に元気よく「にゃーにゃー!!」と鳴き声が響いてきた。もしかしなくても南蛮兵たちである。

 

「南蛮の!!」

 

蒲公英がいの一番に槍を構えようとするが待ったがかけられる。

 

「待ってください!!」

「え?」

「この子たちは私たちの仲間です」

 

よしよしと南蛮たちの頭を撫でる徴姉妹。

 

「南蛮勢力!?」

 

警戒心が上がる愛紗たちだが桃香は手で制す。

 

「桃香様?」

「みんな待って。徴側さんたちから悪い感じはしないから大丈夫だよ」

「そう言ってくれると助かります。私たちも劉備さんたちと争う気はありません」

 

もしも徴姉妹が桃香たちの敵であれば泥人間の兵士から助けたりしない。

 

「この南蛮では色々と複雑になっています」

「「「分かります」」」

 

主にUMAとか。

 

「私たちは南蛮勢力に組しています。正確には南蛮反乱勢力ですね」

 

南蛮反乱勢力。そのままの意味で今の南蛮に反感を持っている南蛮たちの派閥だ。

 

「孟獲が言っていた裏切り者たちってのは貴女方だったんですね」

「そもそも私たちは南蛮じゃないけどね………いや、一応、南蛮ではあるのか」

 

ボソリと呟く徴弐。

 

「私たちは色々あってこの子たちの所で世話になっているんです」

「どっちかって言うと私たちが世話をしてるけどね」

 

南蛮の子たちに果物を分け与える徴姉妹を見て確かに世話になっているというよりも世話している。

 

「何で徴側さんたちは孟獲さんたちと敵対を?」

「うう…それなんですけど」

 

とても言いにくそうな顔をした徴側。

 

「私のせいなんです」

「姉さんのせいじゃないよ。この子たちが勝手に勘違いしただけ」

「徴側さんのせいって?」

「実は…」

 

簡単に説明すると徵姉妹が困っていた南蛮たちを助けたのが始まりだ。そしてなんやかんやあって一部の南蛮の者たちは彼女たちの事を女神と崇拝したのである。

 

「なんやかんやって所が気になるんですが」

「姉さんが女神ってのは本当だけどね」

「弐っちゃん」

 

一部の南蛮の者たちが徴姉妹を女神と崇拝してしまった。それが気に食わないと孟獲は怒り、対立してしまったのだ。

孟獲としては自分の部下がひょっと出の分らない者に取られれば気に食わないのは当然である。

 

「狙ってやった事じゃないんです。まさかこの国を二分にするまで発展するなんて思わなかったんです」

 

とても申し訳ない顔をする徴側。

 

「私としてはすぐに孟獲さんと話し合ってこの反乱を治めようとしたんですけど…どうも孟獲さんは話し合いに応じてくれなくて」

 

南蛮の国を二分するつもりはこれっぽっちもない徵姉妹。すぐにでも元に戻そうと動いたのだが孟獲は全くもって取り合ってくれないのだ。

結果的に孟獲率いる南蛮勢と徴姉妹が率いる事になってしまった南蛮反乱勢との戦いが始まってしまったのだ。

 

「そ、そんな事が」

「はい。早く和解したいんですけどどうも上手くいかないんですよね」

「孟獲が全く話を聞かないからね。姉さんの話を聞かないとか許せない」

(徴弐さんってシスコンか?)

 

先ほどから徵側に対する徵弐の気持ちを察する北郷一刀。

 

「話し合いで解決出来るのが一番なんです。でも出来ないから戦うしかないんです。戦いたくて戦うのではなく、守る為に民の為に戦うんです」

 

話合いで解決出来ないのであれば戦って決めるしかない。戦争とはそういうものだ。

話合いで解決出来ないからこそ戦争が始まり、戦争で勝つ事でやっと話し合いが始まる。その話合いも勝った者が一方的に話すというものになってしまう結末になってしまうのだが。

 

「話し合いで済むならそれが一番です。戦なんて誰も望んでませんから」

 

ガシっと桃香は徴側の手を両手で握る。

 

「えと、あの劉備さん?」

「分かります!!」

 

物凄く感極まったのかウルウルしていた。ようやく同士が見つかったかのような感動である。

 

「話し合いで解決出来るのが一番ですよね!!」

 

意気投合。

何となくだが徴側と桃香は相性が良いように見える。見えると言うかもう既に親近感が湧いて仲良くなろうと桃香は行動を示した。

 

「わたしの真名は桃香って言います!!」

「ちょっ…真名をいきなり!?」

 

まさかの真名を預ける。愛紗や蒲公英もまさかの行動にすぐに止めようとするが桃香は止まらない。

 

「あの、真名の意味は理解してます。嬉しいですけどそんないきなり預けて良いものなんでしょうか?」

「本当は駄目です」

 

ピシャリと愛紗は伝える。いきなり真名を預けるのはこの外史世界ではそうそうない。悪い言い方をすれば非常識である。

非常識かもしれないが信頼の証として真名を預けるというのは絶大だ。この外史世界にとって真名とはそれ程の意味を持つ。

 

「愛紗ちゃん徵側さんたちは良い人たちだよ。絶対仲良くなれるよ!!」

 

目がキラキラしてる桃香。それほどまでに徵側の人柄と思想に共感できたのだ。

正直に言うと桃香は徵側が自分と同じようにも見えたのである。

 

「ふっ…姉さんの良さが分かるのか。劉備って奴も話が分かるな」

「さっきから何だお前は」

「徴弐」

「いや、名前はもう聞いている。確かに貴女方は悪い奴じゃないかもしれないが桃香様もいきなりすぎる」

 

桃香が騙されている感じではないので愛紗もまた徵姉妹には悪い印象はない。

 

「我が姉ながらこういう時は止まらないからな」

 

義姉妹の誓いを立てているので立場上は姉妹だ。もちろん鈴々もだ。

 

「まあ、それも桃香様の良いところでもあるんですが」

 

たまに突拍子の無い事をいきなり行動するがそれが良い方向に進むのだから桃香は色々と持っている。

 

「ふぅん。関羽も姉を大事にしてるんだね。ま、うちの姉さんが一番凄いけど」

「む。それは聞き捨てならないな」

 

姉の良さについて戦争勃発。ここで夏侯淵がいたら三つ巴の戦になる。

 

「愛紗は何やってるのだ」

「愛紗も桃香の事が好きすぎるからな」

 

徵弐と愛紗は互いの姉の自慢し合い中。本当だったら徵側と桃香は恥ずかしくて徵弐と愛紗を止めるのだが今はその2人は意気投合中。

 

「やっぱり対話って大切ですよね!!」

「はい。対話するという事は人と人が繋がる大事なものです」

「ですよね。でもそれが駄目だったら…」

「戦うしかありません。でも甘い考えかもしれないけど出来るだけ被害は少なくしたいですね」

「分かります!!」

 

戦争で出来るだけ少ない被害を出したいと思うのは当然だ。甘い考えではない。

桃香は徵側の手をまた両手でガッシリと握る。

 

「徵側さん、元々わたしたちは孟獲さんが蜀に攻めて来たから南蛮まで来ました。わたしは孟獲さんを止めたい。そして仲良くなりたい。貴女は孟獲さんと和解したい」

 

桃香の言いたい事がすぐに理解出来た。

 

「なるほど劉備さんの気持ちは分かりました。此方こそよろしくお願いします」

 

徵側も桃香の手を両手で握り返す。

桃香も徵側も南蛮での戦を止めたいのだ。敵でなければ彼女たちは強力するのは簡単であった。

 

「止めたい相手は孟獲たちだけじゃありません。先ほど戦った泥人間の兵士たちもです。むしろ彼らを生み出す術者こそがこの南蛮で暗躍しているのです」

「泥人間の兵士を生み出す術者ですか?」

「はい。私たちと孟獲との戦いも最初は喧嘩程度でした。しかし泥人間の兵士が現れてからガラリと変わったのです」

 

まだ泥人間の兵士が現れていなければ徵側は孟獲と対話で和解できたかもしれない。しかし現れてからは喧嘩から本格的な戦へと変化していったのだ。

間違いなく術者が孟獲に入れ知恵を入れて孟獲派を変化させたのだ。まだ穏健のように見えるが過激派へと変化している。

 

(まあ、此方も過激になりつつあるのが困るのですよね…)

 

思い浮かべるは南蛮反乱勢の軍師。

 

「泥人間の兵士。ただ事じゃないと思っていましたが…それに喋る馬も出ますからね」

「あ、それきっと私たちの仲間ですね」

「え」

 

そう言えばと思い出すと謎のUMAは南蛮反乱勢力的な事を言っていた。

 

「なら朱里ちゃんが…わたしたちの軍師がそちらの南蛮の子たちに攫われたんです」

「ええ!?」

 

まさかの内容に驚く。

 

「私はそんな指示は出してない。まさかこっちの軍師が…陳宮さんが?」

「え、ねねちゃん?」

 

何故ここで蜀の軍師の1人である音々音の名前が出てくるのかと疑問が出た。

どういう事なのかと聞こうとしたら爆発音が森に響いた。

 

「爆発音?」

「もしかしてあの子たち本当にアレを!?」

「アレって何ですか徵側さん?」

 

すぐに駆け出す徴姉妹。

 

「あの外道軍師、本当にあの子たちにアレ教えたのか!!」

 

真面目でクールな徴弐も少しだけ感情を露わにした。

 

「劉備さんまた後で会いましょう。其方の軍師もすぐに連れてきますので!!」

 

木々を飛び跳ねて爆発音の響いた方向へと向かった。

 

「みんな。わたしたちもついて行こう!!」

 

桃香も駆け出す。

 

「あ、ちょっと桃香!?」

 

 

842

 

 

南蛮の森に響いた爆発音。爆発したのは南蛮の者だ。

何がどうやって爆発したかはまだ分からない。ただ威力は中々のもので近くにいた焔耶と兀突骨は地面に叩きつかれた。

 

「ぐ…ぐう。何が起きたんだ」

「ば、爆発した…まさか反乱勢力の奴らがこんな力を使うとは」

 

爆発した時に瞬時に守る態勢に入った兀突骨だが焔耶はもろに爆発を喰らってしまったのだ。肉体への負担が大きいのは焔耶の方でまだ立ち上がれない。

よろよろと兀突骨は立ち上がるが爆発の威力によりすぐさま戦う事は出来ず、撤退する事を頭に入れる。

 

(まずいな。思いのほか効いてるし、この鱗ですら完全に防げないとは…それにあっちはまだ仲間がいる)

 

既に泥人間の兵士は倒されている。このまま残っても負ける可能性は高い。

 

(あの力を使えばこの場にいる者全員を殺す事が出来るが…この傷ついた身体ではキツイか。やはり撤退するしかない)

 

兀突骨は両足に力を入れて飛び跳ねる。

 

「逃げる気か!!」

「逃げるわけないだろ。これは撤退だっ。魏延、必ず殺すから待ってろ!!」

「ま、待て…ぐっ」

 

立ち上がろうとするが足に力が入らず倒れてしまう。

 

「無理しないでください」

「秦良玉か。すまん」

 

肩を貸して立ち上がらせる。

周囲の様子を警戒しながら確認すると泥人間の兵士はもう居ない。南蛮たちが争っている様子も感じられない。

 

「どうやら南蛮の者たちも退いたようですね」

「そのようだな」

 

思ったより焔耶の受けた傷は大きい。すぐに戻って治療しなければならない。

 

「焔耶よ傷を見せろ」

「これくらい平気です桔梗様」

「えい」

 

チョンっと突く電々。

 

「いったぁ!?」

「やせ我慢はよくないよー」

「ぐぬぬ」

 

武将として「痛い痛い」と言ってられないからこその我慢である。

 

「朱里ちゃんを助けに行かないと」

「ああ。ここから先は別れよう。儂と秦良玉、傾はこのまま朱里を助けに行く。楼杏たちは焔耶を連れて天幕に戻ってくれ」

「分かったわ。後は頼むわね桔梗さん」

「任せろ。必ず朱里を救い出してく…む?」

 

ぴょこぴょこと南蛮の者が草むらから出てくる。

まさかもう第二陣が来たのかと思って警戒したが南蛮の者は桔梗たちを無視して爆発して地面に倒れている南蛮の者を抱き抱えた。

彼女たちは爆発した仲間を回収しに来たのだ。

 

「捕まえて奴らの拠点まで案内させるか?」

「傾の言う通りだな。向こうはこっちを気にしていないようだし容易く捕まえられる」

 

捕縛しようとした時、女性の声が響いた。

 

「あーーっ、やっぱりーー!?」

 

桔梗たちの目に入った2人組の女性。見た目的に姉妹だというのが分かった。

 

「誰だ?」

 

桔梗の疑問に答えたのは秦良玉だった。

 

「徴側殿に徴弐殿?」

「あれ、秦良玉さん何でこんなところに」

 

パチリと目が合う秦良玉と徴姉妹。

 

「知り合いか秦良玉よ」

「はい。仲間です」

 

仲間と聞いて警戒は緩む。しかしすぐに警戒が元に戻る。

爆発した南蛮の者を回収しに来た南蛮の者たちが徴姉妹の元に集まって来たのだから。

 

「女神さまー」

「さまー」

 

よしよしと頭を撫でてる徴姉妹。それもすぐに終わらせ、爆発した南蛮の者の様子を診る。

 

「……うん、命に別状はない。大丈夫だよ姉さん」

「良かった~」

 

ほっと顔する。命に別状が無くて本当に良かったと思っている顔だ。

 

「魔術回路が暴走した跡がある。やっぱあの外道軍師ホントに教え込んだというか細工したな」

「うう、陳宮さん…」

(コレ魔術回路まだ生きてるってことはあと数回は自爆出来るって事だよね。でもあと1回が限度だ。これ以上は…)

 

魔術回路が暴走して自爆すれば人体に影響が出るのは当たり前だ。それが何回も暴走していれば命に関わる。

 

(もしかして魔術回路の暴走を一応抑えているのって、あの外道軍師なりの優しさ?)

 

優しさかもしれないし、威力は半減するが回数を増やす為だけかもしれない。

 

「敵ではないのか?」

「仲間と言ったじゃないですか。まあ、先ほどまで戦っていた南蛮の方と関りがあれば警戒しますけど」

 

警戒心がまた下がるがこのあと現れる者たちのおかげで完全に警戒心がゼロになる。

その者こそ桃香たちである。

 

「徴側さーん!!」

「と、桃香様!!」

「焔耶ちゃん大丈夫なの!?」

 

追いかけて来た桃香だがすぐに焔耶を容体を見て方向転換し、すぐに駆け寄る。

 

「かすり傷です」

「かすり傷じゃないよ!?」

「本当に大丈夫なのか?」

「うわーやられたね」

「お館と蒲公英に心配される筋合いはない」

 

そんな事が言えるのであれば平気そうだと思う蒲公英であった。

 

「すいません。うちの子たちが…」

 

またも申し訳なさそうな顔をする徴側。

 

「桃香様こいつは?」

「この方は徴側さん。そして此方が徴弐さん。南蛮反乱勢力の指導者です」

「仮の指導者ですけどね。色々と行き違いがあったというか、出会うのが早ければ防げた事もあったと思います」

 

ペコリと頭を下げる。

 

「今は孟獲を止めるために劉備さんと同盟を組みました」

「徴側さん。真名で呼んでもいいんですよ?」

「そうですか。ではよろしくお願いします桃香さん」

 

同盟を組んだという事も驚きだが既に真名も預け合っているとは更に驚きである。

 

「お館…なんか桃香様すごく彼女に親しみを感じてないか?」

「あー。徴側さんは桃香と似てるから親近感を感じてるんだよ」

「似てる?」

 

見た目的なものではなく、思想や生き方だ。違うとなると結果かもしれない。

 

「いつの間に南蛮反乱軍と同盟を…流石は桃香様ですな」

「やっぱ凄いね桃香様は」

「いやいや、たまたまだよ。それに目的が一致したし」

 

桃香も徴側も孟獲を止めたいのだ。

 

「ここで話し合うのもなんですから私たちの拠点に来てください。恐らく貴女方の軍師もいるはずです。其方の方も治療しないといけません」

「平気なんだがな」

「つんつん」

「痛っ!?」

 

やせ我慢は身体に良くない。

 

「あと馬と此方の軍師とも顔合わせしましょう」

「其方にも軍師がいるのか」

「はい」

「なんですか」

 

徴側は音々音を見る。

 

「あと馬も顔を合わせる?」

「はい。馬ともです」

 

桔梗たちは知らない。UMAの存在を。

ここで北郷一刀は気付く。

 

(待てよ…徴姉妹が秦良玉さんたちの仲間だという事は馬もカルデアって事だよな。え、アレも英霊って奴なのか?)

 

UMA(馬)の英雄や偉人なんて聞いた事がない。

 

(ケンタウロスって奴なのか。でもそれは種族だしな。ケンタウロスで有名なのいたっけな…もしかしてケイローン。いやいや半人半馬なのはず。あれは半人要素があまりないぞ)

 

UMA(馬)について考えると脳が溶けそうになる。

 

「では私たちの拠点に行きましょう。もう日も沈みますし急ぎましょう」

 

 

843

 

 

南蛮反乱勢力の本拠地。そこはちょっとした集落になっていた。

周囲を見るに南蛮の者たちが食料を運んでいたり、寝床を作っていたり、自主的にも鍛錬していた。

既に辺りは暗くなってきたので食事の用意をし始めてもいる。

 

「わあ、いっぱいいる。それに可愛い」

「ここにいるのが私に付いて来てしまった南蛮の子たちです」

「付いて来てしまったって…」

「そうなんです。そのせいで孟獲さんと争うようになってしまったんです」

 

徴姉妹が悪いというわけではない。南蛮の者たちも悪いわけではない。たまたま間が悪かったというかタイミングが悪かったというようなものだ。

そんな程度で国が分かれるなんてふざけないでほしいと思われるかもしれないが国が分かれるのも崩壊するのもちょっとした亀裂で起こるものである。

 

「こっちが私たちの天幕みたいなものです」

「たぶんそっちの軍師がここにいるはず。私たちの軍師と馬もいるはず」

 

南蛮反乱勢のトップ陣。その正体はまさかのカルデア陣営であったのだ。

徴姉妹たちに案内されている道すがら秦良玉が話してくれたのだ。そのおかげでより警戒は下がる。

藤丸立香たちの仲間であれば信頼できる。ただしこれから会う軍師とUMAはある意味、警戒した方が良いと言っていた。

何でも色々とある意味厄介な人物との事だ。

 

(馬の時点で厄介だと分かってるからな。馬以上の厄介って…)

 

秦良玉曰く馬以上に厄介な軍師だと言っていたのだ。それは天幕に入れば分かる事である。

 

(さて、どんな人物が出てくるか)

 

天幕に入って北郷一刀が目にするはまさかのものであった。

 

「もうびしょ濡れじゃないですか」

「気つけとして7回も水をぶっかけましたからね」

「あうう…」

 

天幕の中にてUMA(馬)が哀れそうな顔で腕を組んでいる。褐色の肌、オールバックから一筋だけ前髪が垂れる紫銀の頭髪の眼鏡男が桶を持っていた。その真下にはびしょ濡れの朱里。

 

「うえええええええええ!?」

「何やっているんですか!!」

 

叫ぶ桃香と徴側。

 

「陳宮さん何やってるんですか!!」

 

眼鏡男の事を徴側は「陳宮」と呼んだ。その時に反応したのは桃香や音々音たちであった。

 

「ねねちゃん?」

「ねねはここです」

 

ちょっとだけ混乱している桃香たち。しかし北郷一刀だけは理解できた。

 

(立香たちは過去の英雄や偉人たちの力を合わしていると聞いてる…世界中の英雄たちがいる。なら中国の英雄たちがいてもおかしくない)

 

実際に秦良玉や諸葛孔明たちが証拠である。

 

(あの眼鏡男が三国志の陳宮なんだ。俺らの世界の……たぶん)

 

UMA(馬)が今だに謎である。

 

「なんて事してるんですか!!」

「鬼畜眼鏡」

「酷いですね。気つけをしていただけです。私は一般の人にはこんな事しません」

「本当かな」

 

スンっと冷静な佇まいの眼鏡男改め陳宮。

 

「其方の方は?」

「蜀の劉備さんたちです」

「なるほど一網打尽にするためにここに」

「そんなわけないじゃないですかっ。同盟を組んだんです!!」

「はっはっは。冗談です」

 

本当に冗談を言っているか微妙な所だ。それよりも徴側は聞きたい事がある。

 

「聞きたいんですけど、私は蜀に手を出せとは言ってませんよ」

「はい。知ってます」

「なら何でですか」

「蜀の者たちが仲間になるとは限りません。どれ程のものか知りたかったからですね」

 

要は敵勢視察・戦力を調べるのは当然である。

 

「我々の目的は孟獲を討ちと…和解する事。蜀が邪魔してきたら面倒ですから」

(いま孟獲を討ち取るって言おうとしたぞ)

(この人ちょっとまずくないかなご主人様?)

(なんか嫌な感じがするんだが)

 

上から北郷一刀、蒲公英、焔耶。

何となくだが秦良玉が厄介な人物と言っていた意味が少しだけ分かった気がしたのだ。

冷静沈着でありながら内側には狂気を感じる。北郷一刀は心の中で「理性的な狂人」と思ってしまった。しかしこれだけで陳宮の全てを知った気でいるのは大間違いである。

 

「ご、ごめんね…え、えっと孔明さん?」

「あうう…起きたら馬が、水が」

「すぐに身体を拭いて乾かしましょう」

 

閑話休題。

 

「では紹介しますね。此方が陳宮さん」

「よろしくお願いいたします」

「此方が赤兎馬さん」

「呂布です」

「馬の戯言は気にしないでください」

 

ニッコリ顔の陳宮。苦笑いの徴側。そして赤兎馬の部分で混乱する桃香たち。

何事も無かったのように自己紹介する徴姉妹たち。色々と聞きたい事や説明してもらいたい事、文句を言いたい事はあるかもしれないが置いておく。

まず重要な本題があるからだ。しかしそれでもUMA(馬)が気になる。

 

「赤兎馬?」

「ええ。この馬は自分を呂布だと思い込んでるだけのUMAです」

 

陳宮が説明してくれるが未だに分からない。

 

「セ、セキト?」

 

恋にとっての赤兎馬は赤毛の犬のセキト。そして実際に乗る赤毛の馬である赤兎馬。

目の前にいる赤兎馬はやはり彼女であっても混乱するらしい。

 

「ねねと同じ名前…」

 

音々音もまさか自分と同じ名前の人がいるとは思わなかったのかジト目で陳宮を見ていた。

よくよく考えればカルデアと外史世界の呂布チームが揃った事になる。

 

(この場に呂布奉先殿が居れば……より混乱しますね)

 

心の中でもしも呂布奉先が居たらよりカオスになるのを想像してしまった秦良玉であった。

 

(う~ん、ここまで来るとカルデアから桃園3兄弟が来てもおかしくないな)

 

正直に言って会ってみたいと思ってしまう北郷一刀。

 

「色々と申し訳ありませんでした孔明さん」

「いえいえ、敵対せずに同盟まで組んでくれて助かりました。流石は桃香さまですね」

「そんな事ないよ朱里ちゃん」

 

濡れた身体を拭き、乾かした服を着る朱里。色々とカルデアの陳宮に言いたい事があるかもしれないが置いておく。

まだまだ混乱しそうだが早く本題に入るべきである。

 

「其方の陳宮殿」

「何ですかそっちの陳宮」

「貴女も軍師で?」

「そうですが」

「軍師同士色々と話したいですな。どのような策をお考えで?」

「恋殿…呂奉先殿を主軸に考えますね。呂奉先殿が一番なのです」

「貴女とは話が合いそうですな。ならば自爆も?」

「え、自爆?」

「はいはい。その話は後にしましょうね!!」

 

このままだと陳宮が音々音に余計な事を教え込みそうだったので徴側が止める。

 

「本題に入りましょう。私たち南蛮反乱勢は蜀と同盟を組みました。目的は孟獲との和解です」

「うん。わたしたちも孟獲さんと和解出来るなら力をお貸しします」

 

徴側と桃香はお互いにどのような人物か理解出来ている。だからこそ話し合いはスムーズに進んでいく。

 

「孟獲は悪い子じゃありません。自由で純粋な子です。話をなかなか聞いてくれないけど対話さえ出来れば分かり合えるはずです」

「わたしもそう思います」

「そうかな。蒲公英たちが対話を試みようとしても全然だったよ」

 

今までの事を思い出す。蒲公英や桔梗たちが接触した時や、桃香たちが接触した時も上手く対話ができなかったのだ。

 

「はい。対話までが難しいんです。向こうも此方を敵として見てます…悲しいですけど戦って対話まで持って行くしかないと思ってます」

 

何度も対話を試みても駄目であった。そして泥人間の兵士が現れてからはより対話ができなくなったのだ。

 

「現実的な方法だと戦って勝って話すしかありません」

「……やっぱりそうなりますよね」

「桃香さん」

「ううん大丈夫。和解するために戦う。それしかないならそうするしかない」

 

乱世では戦うしかないのだ。それでも対話をしようとする事を辞めないと決めたのが桃香である。

 

「孟獲と和解すると言っても彼女は影姫によって掌握されてます。なので影姫をどうにかしないと無理ですよ」

「影姫?」

 

陳宮の言葉に全員が首を傾けた。

 

「敵の真の首魁です。泥人間の兵士を生み出し、孟獲の前に現れ、崇拝させ、裏で操る。まあ、何が目的か分かりませんがね」

「泥人間の兵士は僵巴兵と言うらしいぞ」

 

焔耶がボソリと呟く。

 

「ほお。あの泥人間の兵士の名称をよく知ってましたね」

「まあな」

 

孟獲陣営にいる兀突骨が口にしていたのだ。桔梗や秦良玉も「そうだ」と言う。

 

「影姫さえ抑えれば孟獲と対話は出来るでしょう」

 

影姫は謎の存在だ。何が目的で孟獲を唆しているかも不明だ。ただ僵巴兵を貸し与え、孟獲の好きなようにさせている。

現在の状況として南蛮反乱勢を倒そうとし、蜀を侵攻している。影姫にとってその中に何か目的があるのかもしれない。

 

「影姫さんって人をどうにかすれば孟獲さんと話せる。でも影姫さんとも話したい。何が目的なのか。わたしたちと何で敵対するのか」

「対話するならどうぞ。しかしそこまでにどうやって辿り着きますか?」

 

陳宮が桃香に質問するが「えーっと…」と口ごもる。しかしそういう時こそ軍師の出番である。

 

「桃香さんをいじめないでください陳宮さん。もう既に色々と情報を手に入れているなら開示してください」

「ははは。承知です」

 

南蛮反乱勢の軍師を担っている陳宮。様々な情報収集をしていないわけがない。敵である孟獲陣営の情報は既に手に入れているのだ。

 

「これを見てください」

 

陳宮は自作した南蛮内の地図を広げる。

 

「我々が居る場所がここ。孟獲の拠点がここです。孟獲の拠点には祭壇があります。ここに影姫がいるでしょう」

 

地図に指を指していく。

 

「敵戦力は孟獲派閥に影姫の生み出す僵巴兵。数は圧倒的に相手が上です。なんせ影姫は兵士を50万は生み出しますからね」

「50万!?」

「偵察に向かわせた際に孟獲の本拠地付近に僵巴兵の数をおおよそ確認しました。もしかしたらもっと多いかもしれませんし、もっと生み出せるかもしれません」

 

サラッと敵の脅威を伝える陳宮。そして驚く桃香たち。

簡単に50万の兵力を生み出せると聞けば誰だって驚くものだ。

 

「戦うとなれば長期戦は愚策です。短期決戦で決めるべきです」

 

勝つ為には此方側から攻めなければならない。敵の拠点を一気に駆け抜けて首魁である影姫を捕縛するのだ。

 

「でもどうやって…」

「それを考えるのが軍師の役目ですよ桃香様」

「朱里ちゃん」

 

どんな苦難な戦いも勝てるようにするのが軍師である。ふふんの胸を張る朱里。相手の戦力が多いからといってすぐに諦めるのは愚行である。

 

「ふふふ。其方の孔明の実力を見るのも一興ですが必要ありません。私が既に策を考えてますからね」

 

キラリと眼鏡が光る。

 

 

844

 

 

南蛮の森にある謎の祭壇。その場所こそが孟獲たちの本拠地である。

 

「うにゃー、よくもやってくれたなショクの奴らに裏切りものたちめぇ!!」

「ショクー」

「うらぎりものー」

「くーのー」

 

孟獲たちは拠点にてグチグチと文句を言っていた。本日の戦いは一旦終わり、本拠地に戻って来たのである。

 

「あら。どうやら負けてしまったようですね孟獲」

「まけてないにゃ。ただお腹がすいたから戦いをいったん止めてやっただけにゃ!!」

「あらあらそうでしたか」

 

謎の祭壇の上にて神のように椅子に座っている影姫。ここではトップは孟獲のはずであるが彼女がまるでトップのように見える。

実際のところ孟獲は影姫の事を女神だと信じ込んでいるのだからこそ祭壇の椅子に座らせているのだ。

 

「うんにゃあああ。どうにかして奴らをぎゃふんと言わせたいにゃ!!」

「荒れてるね孟獲」

「にゃにゃ。ゴツゴツ!!」

「ゴツゴツ…いや、孟獲は名前を間違えているわけじゃないんだよな」

 

孟獲の今のは愛称で呼んでいるに過ぎない。

 

「おかえりなさい兀突骨」

「はっ。ただいま戻りました影姫様」

 

シュタっと膝を付き、頭を垂れる。

 

「…どうやら痛い目にあったようですね」

「油断しました。まさか爆発するとは…あっちの兵はどうなってるんだ」

(そう言えば爆発音が聞こえました。向こうの南蛮兵が爆発したと言っていましたね…ふむ)

 

影姫はカットされた南蛮の果物を摘まんで口に含む。口に広がるは濃厚な果実の甘さ。

 

「おい孟獲。爆発する事が出来るのかお前らは?」

「爆発なんてできないにゃ」

「じゃあなんであいつら爆発したんだ?」

 

南蛮の者たちは爆発するような能力は持っていない。ならば与えられた可能性が高い。

 

「向こうの女神を驕る偽物のせいかもしれませんね。人を爆発させる力を与える術者かもしれません」

「あの爆発の威力はなかなかのものでした。人の命を使ってまでの…納得ですね」

 

兀突骨は爆発を喰らった身だからこそ爆発の力を警戒する。

 

「孟獲。向こうの偽女神は貴方の部下を、民を爆発させるなんて力を与えてます。まるで使い捨ての道具のように扱っているようですね」

「実際にそうだと思います。我々の方が数が多く、影姫様の僵尸兵も含めて圧倒的な差だ。だからこそあんな力を使ったのかもしれないな」

 

あの威力で考えるにたった1人を敵軍に放り出して爆発させれば一騎に壊滅する。数が少ない自軍が敵の大軍を倒すのに少ない犠牲で済む話になる。

 

「向こうの偽女神はなかなか冷酷ですね」

「孟獲。やはり敵を許せませんね。向こうは裏切り者だとはいえ孟獲さんの部下であり民。そんな非道な使い方をするなんて」

「たしかに許せないにゃ。裏切り者たちの目をさまして助けるのににゃ」

 

実際のところ爆発を仕込んだのは徴姉妹ではないのだが影姫にとってそんな事はどうでもいい。孟獲を上手く扇動出来れば十分なのだ。

 

「絶対に偽女神をたおしてみんなを助けるにゃ!!」

「その意気です孟獲。この影姫も力をもっとお貸しいたしましょう」

 

パチンと指を鳴らすと僵尸兵が泥から生まれる。

 

「50万くらいならすぐに創れるので」

「助かるにゃ影姫。流石は女神様にゃ」

「ふふ…いえいえ女神なんてそんな」

 

ベールで顔が隠れている影姫であるが満更でもないような含み笑いだ。

 

(流石は影姫様だ。50万の泥人間の兵士を生み出すなんて…やはりこの方は人間ではなく神)

 

兀突骨は影姫の力に恐れ戦く。そしてもっと崇拝してしまう。

彼女は影姫から力を与えられたのだから。

 

「ところで兀突骨?」

「は、はい。なんでしょう影姫様」

「僵尸兵の具合はどうですか。正直にどう感じたか言ってください」

「はい……畏れ多いですが僵尸兵は少々脆いと思われます」

「ふむ、そうですか。正直に言ってくれて助かります。他には?」

「指示通りに動いてくれます。ただ、まだまだ臨機応変な動きは出来ていないようでした」

「なるほど……改良の余地はまだまだありますね」

 

またもカットされた南蛮の果物を摘まんで口に含む。

 

(やはり僵尸兵では傀儡姫よりも劣りますか。いえ、まだ私の力が完全でないからですね)

 

官能的にペロリと口に付着した果物の汁を舐める。ベールで顔を隠しているので誰も見れないが。

 

「そうだにゃーーー!!」

「も、孟獲さん?」

「うわっ、驚いた。いきなりなんだよ孟獲」

 

何か名案を思い付いたように飛跳ねたので驚いた影姫と兀突骨。

 

「思いついたにゃ。あいつらをぎゃふんと言わせる方法を思いついたにゃ!!」

 

腕をぶんぶんと振る孟獲。ミケたちも同じように腕をぶんぶんと振っていた。

 

「思いついたって…」

「兀突骨。せっかく孟獲が何か思いついたのですから聞いてみようじゃないですか」

「影姫様がそう言うなら」

 

南蛮反乱勢力と蜀にぎゃふんと言わせたいというのならば何か倒す作戦を思いついたのかもしれない。

今回はお互いに撤退したが次もぶつかる。ならば勝つ算段を考えるのは当然だ。

 

「で、何を思いついたんだ?」

「呪いにゃ!!」

 

予想より斜め上の回答であった。

 

「の、呪いって…確かに孟獲が妖術を少し使えるのは知ってるけど」

「ほう…孟獲も妖術が使えたんですね。興味があります」

「影姫様ほどじゃないですよ」

 

孟獲の妖術と影姫の妖術の差は圧倒的だ。しかし孟獲の妖術は面白さがある。

 

「面白い?」

「面白い内容の呪いなんですよ」

 

孟獲は呪いを掛ける準備をする。

 

「影姫様。ちょっと祭壇の上をつかわせていただくにゃ」

「分かりました」

 

影姫は椅子ごと浮いて祭壇を孟獲に譲る。

 

「南蛮の術…確かに面白そうですね」

 

孟獲、ミケ、トラ、シャムが祭壇の上で踊り出す。

 

「「「うんにゃかぱっぱにゃんぱっぱー。うんにゃかぱっぱにゃんぱっぱー。うんにゃかぱっぱにゃんぱっぱー」」」

 

ぐるぐると祭壇の上でもっと回り、踊り出す。

まるで儀式魔術に見える。実際に複数人で行なっているのが証拠だ。

 

「兀突骨。ところで面白い呪いとは?」

「色々あるんです。今回はどんな呪いを掛けようとしているかは孟獲に聞かないと分からないですね」

「なるほど。ところでこの踊りはどれくらいかかります?」

「…………たぶん結構かかると思います」

 

辺りはもう暗くなっており、上を見上げると満点の星空だ。

 

「終わりそうになったら呼んでください」

「あ、はい」

 

呪いの発動は次の日になるかもしれない。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も2週間以内を目指してます。


841
ついに徴姉妹が登場!!
彼女たちをどんどんと活躍させていきたいです!!

姉の徴側と桃香って仲良くなれそうな気がします。
なのでこの物語ではすぐに仲良くなりました。
いきなり真名預けはやりすぎかな。でも信頼の証としては一番なんですけどね。


842
南蛮反乱勢の子は自爆を覚えました。
威力は抑えられてますけど数回自爆ができます。しかし何度も自爆すると死にます。
そういう設定にしました。

兀突骨と焔耶の決着はまた今度です。

焔耶。桃香がいきなり知らない奴(徴側)と仲良くなってて実は嫉妬してます。


843
やっとこさカルデアの陳宮と赤兎馬が登場!!
やはり彼らが登場すると全部持って行かれる。

陳宮と音々音。恐らく軍師として会話したらねねちゃんが洗脳されるかも。

陳宮の危険さというか厄介さの一端を少ししった一刀たち。でもそれは序章にすぎません。

彼の策が孟獲と影姫との戦いで炸裂します。


844
孟獲サイドの話。
謎の祭壇。アニメ版の恋姫に登場したアレです。

孟獲が思いついた呪い。パヤパヤを凶暴化させるアレではありません。(でもいずれは凶暴化します)
どんな呪いかはゆっくりとお待ちください。
もしかしたら予測できてしまうかもですが。



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