Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
FGO二部七章後編さっそくプレイ中です。
忙しくて少しずつの進行ですけど、やっぱ面白いですね。
まだ進行度は13節ですがこの先に何が起こるのか楽しみです。
ガチャではついにククルカンが来ましたね。
ガチャりました。すぐにお迎えできて今回は運がよかったです。しかしテスカトリポカが来てくれません…もう石がない。魔法のカードもこれ以上は…。
さて、こっちの本編ですが今回は短いです。
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華佗たちは張勲を治すための薬の材料を全て手に入れた。あとは山から下山して薬を作るだけなのだが下山するころには辺りはもう暗い。
暗い中で下山するのは危険という事で途中で野宿する事になる。山での野宿するには雨風を防げる場所が良い。よって貂蝉と卑弥呼は山壁を拳でぶち抜いて洞穴を作る。
「わたしの拳は天をも貫く拳よん」
「我が拳の前に敵なし!!」
何処かで聞いた事のあるような台詞だったが今は張勲の薬を作る事が先決である。
「じゃあ俺は薬を作ってるから」
「分かった。何か手伝いがあれば言ってくれ」
「ああ。ま、薬を作るのは1人で大丈夫だから立香たちはゆっくりと休んでてくれ」
華佗は張勲の薬の製作に取り掛かった。
「じゃあこっちは焚火を起こして食事の用意をしよう」
焚火を起こす時は酸欠に注意だ。換気が可能な入口付近で起こす。
「藤太がいれば食料に関しては問題無いけど今は居ないからなあ」
「んじゃこれ焼こうぜ」
炎蓮が手渡したのは肉。
「これ何の肉?」
「さっき倒した悪龍の肉」
「………」
ヴリトラ(仮)の肉。
どうしてもカルデアのヴリトラの顔が過る。ブンブンと顔を横に振ってワイバーンを思い出す。
ワイバーン肉を食べた事があるので龍を食すこと自体に躊躇いはない。
「私ってば龍の肉食べるの初めて。どんな味なんだろ」
(異世界とはいえ悪龍の肉食べて大丈夫なのかな?)
ゲイザーを食べた事のある藤丸立香に怖いものはない。そもそも毒物を食べた事もあるので何でも来いの精神である。
「取り合えず焼いてみようぜ」
「そうだぜ主ぃ」
燕青はカットした肉を串に刺していく。
「おい爺さん」
「「どっちだ?」」
李書文(殺)と張角が顔を向ける。
「張角の爺さんのほう。もうちょっと火を強くしてくれ」
「うむ。ところでその肉は硬いかのう。柔らかいと助かるんじゃが」
「どうだろな?」
「ちゃんと下処理してほしいのう。この歳じゃと堅いもんは顎が疲れる。いや、まだまだ現役じゃぞ」
パチパチと肉が焼けていく。野菜などはないので肉オンリー。
「味付けはないのか?」
「調味料セットはバッチシです」
エミヤ(弓)にいつも助けてもらっている。いつもカルデアで美味しい料理も頂いて本当に感謝である。ついたあだ名がオカン。
母の日にみんな感謝のプレゼントをする。何故かエミヤ(弓)本人は微妙な顔をしていた。本人曰く「私はオカンではない」。
シンプルに塩や胡椒が良い。もしくは焼き肉のタレ。
「あぐ」
かぶりつくと肉の旨みが広がる。
「おっ。案外イケるぞ」
「確かにイケるわね」
(ヴリトラ(仮)を食べる孫親子…なんとも妙な光景だ)
そんな事を思いつつ藤丸立香も悪龍の肉をガブっと食うのであった。
「マスターこれもうちょっと柔らかくならんかったかのう?」
「顎が弱いな張角よ」
「お主も爺のくせに何で喰えるんじゃ」
「ふ、鍛え方が違う」
もぐもぐと悪龍の肉を食う李書文(殺)。
「ところで李先生に聞きたいんだけど」
「なんだマスター?」
李書文(槍)が肉を食いながら顔を向ける。
「一刀たち…蜀の方はどうしてるのかなって」
「蜀の奴らは南蛮の方に。ここいらにいるぞ」
劉備たちは南蛮勢力が侵攻してきたのでその対処だ。部隊を編制して南蛮に進軍している。
藤丸立香たちがいる山は南蛮付近だ。案外、近くに北郷一刀たちがいるのかもしれない。
「師匠たちもいるかな?」
「それは知らん。儂らは桃香たちが南蛮に進軍する前に成都を出たからな」
単純に蜀と南蛮の戦いであれば藤丸立香たちは介入はしない。
「挨拶だけして蜀に戻るか」
せっかくだから顔出しして成都に戻ろうと考えた藤丸立香。今ここでちょっとした問題がある。
新たなに加わった張角はカルデアの仲間として紹介出来る。しかし雪蓮や袁術たちの事をどう話せば良いか分からない。
(まあ、まだ雪蓮や袁術たちがこのまま付いてくるとは限らないけど)
袁術に関しては張勲の具合が良くなれば別れるかもしれない。雪蓮はもしかしたら気が変わって炎蓮と呉に帰るかもしれない。
「え、なになに玄徳ちゃんって今ここにいるの?」
雪蓮がにゅっと藤丸立香の左から出る。
「そう言えば、成都に出る前に劉備の奴は南蛮の問題に頭を抱えていた気がするな」
今度は右から炎蓮がにゅっと顔を出す。藤丸立香を挟むように孫親子。
「なるほどねえ」
魏と呉が戦をしたからこそ警戒していた二国の隙を突いて別の問題を解決しようと動いているのだ。
「確かに私も立場が逆だったら同じような行動をしていたかも」
もしもの話、魏と蜀が先に戦争を起こしていたら雪蓮もまた呉に別の問題があればそちらを解決しようと行動していたはずだ。
「南蛮ってどんな人たちか気になるわね。私も見に行っていい?」
「構わないけど…たぶん驚くよ」
南蛮の住人たちに。
「あんま期待しない方がいいぞ雪蓮。お前の思うような強者はいねえ。面白くはあるがな」
炎蓮も南蛮の者には出会っていたそうだ。
「ああ。悪龍について情報を聞いたのが南蛮の者らであったからな」
「そうなんだ李先生」
こうやって様々な者たちが南蛮に集まるとは面白い偶然だ。
「あんま期待しない方がいいって。でも面白いって…どっちよ母様」
「そのまんまの意味だ」
会えば分かるという意味でもある。
「………人を挟んで会話しないように」
「いいじゃん」
「そこまで悪くねえだろ」
右には炎蓮。左には雪蓮。普通に密着しているほど近いのだ。
(ふつうに当たってるんだけど)
何処に何が当たってるか第三者が見れば誰もが分かる。
「どうしたの…あぁなるほど」
「何だこれくらいで恥ずかしがってんのか。立香は漢を魅せる時もあればヘタレな時もあんな」
そのままより密着するように挟む炎蓮と雪蓮。
「ちょっとなに恥ずかしがってんのよ。これくらい別に平気でしょーが」
「孫呉の女ども孕ませるのがてめえの仕事なんだ。いちいちこれくらいで恥ずかしがってんじゃねえよ」
ピククっと反応したのは天和。
「あの荊軻さん」
「なんだ~?」
肉食って酒飲んで酔っ払ってる荊軻。
「いま、炎蓮さんが凄い事を言ったような…」
「それか。うちの主は色々あって呉の女たちを孕ませる仕事を請け負ったんだ。面白いよな。はっはっは」
「何がどうしてそんな事に~!?」
説明するのが面倒な荊軻は酒をグビグビと飲んでいる。
「そうだ。いま思い出したが呉に行ったんだろ。誰かしら孕ましたか立香?」
「してません。そもそも正確には呉まで行ってません。途中で雪蓮さんを助けてそのままこっちに来たんです」
「じゃあ雪蓮を孕ましたか?」
「してません」
「ああん?」
ガシっと首を絞める炎蓮。
「ほんとなんでシねえんだよ。誘惑しねえ雪蓮も悪いのか?」
「ちょっとー、私のせいにしないでよ。押し倒してくれない立香が悪いの」
「オレのせいなの!?」
この流れもまたいつもの流れかもしれない。
「しかしこれだけ押し倒せって言ってるのにシないって事…ほんとに立たねえのか?」
前にも似たような事を言われた事を思い出す。
「大丈夫だから!!」
藤丸立香はちゃんと男の子である。
「何でだと思う李書文よ?」
「儂に振るな」
「燕青はどう思うよ?」
「俺にまで振るな。まあ、絆レベルが足りねえんじゃねえ?」
絆レベルという名の信頼度。
「俺的にはアンタら2人とも5はいってそうだけどなー」
「その基準はどこで決めてんのよ」
「さあ。人それぞれだし」
絆を上げるための旅路は人それぞれ。速攻でお互いに絆を深め合う事もあれば時間を掛けて絆を深め合う事もある。
「もっと信頼し合えって事ね。でも十分信頼しあってると思うんだけどな。まだ足りないの?」
雪蓮的には十分に心を許した男だと思っている。炎蓮もまた藤丸立香の事を認めているのだ。
「絆レベル10までいけばいいんじゃね?」
個人的解釈もあるが絆レベル10までいけば結婚レベルかもしれない。
絆レベル5で人によっては「好き」や「忠誠を誓う」、「地獄まで一緒に落ちてもらう」など言う者まで現れるほどだ。その2倍の10なら結婚レベルと言われても違和感はないはずだ。
藤丸立香もまたそう言われれば誤魔化したり、聞こえなかった振りなんてしない。彼自身も相手の言葉を真剣に受け止め、己もまた絶対の信頼を置き、全てを任せるのだ。
「どんな事をすれば今より信頼し合えるって言うのよ」
「そうだな。例えば………」
「例えば?」
「説明すんの面倒だな」
「ちょっとそこが一番大事な部分なんだけど」
今までの旅路を話すとなると説明がとても長くなる。
「すぐに信頼し合える方法は簡単だろ」
「母様も言うじゃない」
すぐに絆を深める方法は藤丸立香も気になる。
「取り合えず1発ヤる」
「おい」
「そういう始まりもあるって事だろ」
肉体関係から始まる信頼もあるものだ。そもそも肉体関係になっている時点で十分な信頼関係はある。
「何でそう否定するかね」
現代の価値観と外史の乱世の価値観では色々と違うというのもあるかもしれない。
親同士で決めた結婚や優秀な子孫を残すために顔の知らない有能な人物の血を加えるというのは過去でも逆に現代より普通だったかもしれない。
現代の価値観と別時代の価値観はぴったりと噛み合う事は無いのだ。どちらもそれが普通だと思っているのだから。
「出来たぞ!!」
ここで熱血な声が響く。言わずとも華佗である。
張勲を治す薬が完成したのだ。
「薬が出来たみたいね」
どれどれと言った感じに集まる藤丸立香たち。薬が出来た事により張勲を起こすと周囲の人物たちを見て驚く張勲。
「美羽様…」
「おお、七乃。薬が出来たぞ」
(うろ覚えでしたけどやっぱ孫策さんがいるんですけど…いや、孫堅さんまでいるんですけどー!?)
死んだと言われた2人が居て、「あれ、やっぱ私ってば死んだ?」と思った程である。それでも袁術の声でまだ生きているとは実感し直す。
「さあ張勲。この薬を飲めば元気になるはずだ」
「えええ…」
早々に用意された粉薬を前に張勲はすごく嫌そうな顔をしてみせた。
病に伏せている自分には薬は必要だ。更に袁術が自分のために用意してくれたと聞けば感動ものなのだが華佗の手から何故か薬を受け取らない。
「我慢するのじゃ七乃。これで元気になるからの」
薬は美味しくはない。良薬は口に苦し。だからこそ張勲は受け取らないのかと思ってしまった袁術。
「それはそうかもしれませんけど」
「糖衣のほうが良かったか?」
「いえ、そういうわけじゃなくってですねー」
「あら、お水じゃ飲めないのならお茶でも用意する?」
「そこでもなくって」
「やはり粉薬より丸薬の方が良かったのではないか?」
「ああ…なにせ急いで作ったからな。気が利かなくてすまない」
薬を飲まない理由を考える華佗たち。
「…そこでもなくてですね」
張勲が薬を飲まない理由はちょっとした我儘だ。気にしたら負け的なもの。
「これ、材料は?」
「「「…………」」」
黙る皆の者。
「あ、はい。分かりました。その反応でだいたい」
「面倒だなぁ。何も聞かずグっと飲んじまえよ」
燕青がヤレヤレと言った感じにため息を吐く。
「じゃあ貴方はコレ飲めるんですか?」
「………病気治すには飲むしかねえだろ」
「今の間はなんですか」
病人からしてみれば材料云々で薬を飲まないは愚行である。ただこういう材料を使っていると聞けばちょっとは思う事はあるかもしれない。
「七乃…妾の用意した薬が飲めんのかの?」
「ええっとぉ…そういうわけじゃありませんけど、中身が分からない事には」
余程、薬の材料を気にする張勲。気にする人は気にするというものだ。
「別に言えないものじゃないが」
「じゃあ言ってくださいよー」
気になるんなら答えるぞっと言う華佗。
「ああ。まず冬虫夏草に熊胆だろ…あとは蓬莱の玉の枝、火鼠の皮、燕の子安貝」
「あれ、別に珍しい薬でもありませんね。ならなんでみんなそんな顔を?」
蓬莱の玉の枝云々は藤丸立香からしてみれば珍しい以上のものであるがこの外史世界ではそうでもないらしい。
「それから人食い虎の骨と、大事な二つのお玉と…その先のガチガチに硬くなってるトコロでしょ」
「え…?」
貂蝉も薬の材料の説明に加わる。
「あと暴れ龍の生き胆に仏の御石の鉢の欠片も入っておるな」
「暴れ龍はオスだったからアレも入れてみたぞ」
卑弥呼と貂蝉がニカっと笑顔で白い歯をキラリと光らせる。
「あらあら。何だか精力絶倫な感じねえ」
「滾ってたまらんな」
笑い合う貂蝉と卑弥呼。
「………」
「さあ、ぐっと飲むんだ!!」
「それ聞いて飲める人なんているわけないじゃないですかー!!」
それでも飲まなければ治らないのだから飲むしかない。
(あのヴリトラ(仮)って雄だったんだ)
カルデアのヴリトラの影響で雌だと思っていた藤丸立香。そもそも彼女は元は邪龍であり、女性の姿をしているのも不明だ。
「三日三晩は治まらなくて大変な事になるかもしれないが、それを過ぎれば大丈夫だ!!」
「それは大丈夫って言わないですってば!!」
「死にはしないぞ!!」
名医である華佗が大丈夫と言っているのだから大丈夫なはずだ。それでも何か違うような気がするのは気のせいだと思っていく。
「ええい。黙って聞いてりゃぐちぐちと面倒くせえ」
炎蓮は華佗から薬を奪う。
「あ、おい」
「李書文抑えるの手伝え」
「無理やりはどうかと思うが…飲まねば治らんからな」
李書文(槍)は張勲の肩を押さえる。そして炎蓮は張勲の顔を掴む。
「あ、いやちょ孫堅さん、何で私を押さえ付けてって、そんなの無理…むりむりむり飲めないですからやめてってば、むぐぐぐぐ!?」
無理やり彼女の口に薬をねじ込んだのであった。
「飲めるじゃねえか」
「うぇぇ…」
「よし、今だ。2人とも離れてくれ」
「ひゃ、今度はなんですか!?」
炎蓮たちが離れたのを確かめて華佗は懐から金の鍼を取り出す。
「我が身、我が鍼と一つなり。善利益・注利薬・威禍消離厄。げ・ん・き・に・なれえええええ!!」
「え、ちょっ…きゅう」
鍼を打ち込まれて気絶するように眠る張勲。
「治療。完・了!!」
「な、七乃、七乃ー!?」
「今の大丈夫なのか?」
「薬が効くまでは少し時間が掛かるからな。まだ寝ておいた方がいいだろう」
病人は安静にして眠っておくべきなのだ。
「うう、七乃ぉ」
「袁術。張勲はもう大丈夫だから。オレも看病手伝うから一緒にいてあげよう」
「う、うむ…ありがとうなのじゃ立香」
「立香ちゃん、袁術ちゃん。私も看病お手伝いするからね」
「貂蝉もありがとうなのじゃ…ぐす」
何はともあれこれで張勲はもう大丈夫である。
「やれやれ。ともあれ、これで一件落着かしらね」
「しばらくは様子を見る必要があるだろうが…ひとまずは病魔を打ち砕いた。後はゆっくりと養生すれば問題ないはずだ」
「そう。ありがと華佗」
これで面倒事は終わりである。今夜は野宿して明日は南蛮の地域を周ろうかと考える雪蓮。
「医者として当然のことをしたまでだ。しかし、袁術とは因縁があったんじゃないのか雪蓮?」
「ま、それはそれとしてよ。臣下を持ったことのある身として…ね」
「ふむ」
袁術の事は嫌いであるが臣下の為に危険を冒す事に関しては否定しない。袁術もまた臣下の事を大切に思う人間であったという事である。
「みんなも手伝ってくれて良かったぜ。俺一人じゃあの龍を倒す事はとてもできなかった。本当にありがとう」
「がははは。礼をいうなど。だぁりんらしくないぞ」
「いいのよん。私の華佗ちゃんの仲じゃないのん」
「何だか字が違うような気が」
「気のせいでしょん」
時たまに字が違う事を言う貂蝉。
「ところで華佗」
「なんだ炎蓮?」
「あの薬ってやっぱ精力剤でもあるのか?」
「ああ。その効能もあるぞ」
「余ってたりするか?」
「あるにはあるが」
「くれ」
チラっと藤丸立香を見る炎蓮。
「しょうがねえからオレ様が余計な気遣いをするか」
恐らく本当に余計な気遣いである。
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悪龍を倒した山の頂。その場には悪龍の死骸が残っていた。
死骸をそのままにしていいわけがないので藤丸立香たちは埋めるなり何なりの処理をすべきかと考えたところ貂蝉はそのままで良いと答えた。
この悪龍はある意味天災であり、このままであれば自然消滅をするとの事。周囲に影響を及ぼす事はないのだ。
ただ貂蝉のこの選択は間違えてしまった。まさか悪龍の死骸を利用する奴が現れるとは思わなかったからだ。正確には利用するというよりも喰らう。
「まだ消滅してなくて助かった。早く向かって奴らに見つかるわけにもいかなかったからな」
外套を纏った謎の人物は悪龍の死骸を見る。
「ふむ、まだ食う部分は十分に残っているな」
謎の人物は赤黒い刃を鞘に納める。もしもまだ生きていれば倒す気でいたのだ。
「お前には残飯を食わせる羽目になるが我慢しろ」
ギチギチと音が響く。
「静かにしろ。お前をまだ見つからせるわけにはいかん。人避けの術は張っているが…絶対に見つからないというわけではないからな」
蟲はギチギチと音を立てながら悪龍の死骸を喰らうのであった。
「十分に育ってきたな」
外套を纏った謎の人物は頂から南蛮の森を見る。
「俵藤太…藤原秀郷よ。いずれ斬る。今度は我が勝つ」
外套を纏った謎の人物こそ南蛮の森で俵藤太を襲撃した犯人だ。
「向こうは我の事を知らないようだな。身を隠しているとはいえすぐに分かってしまうかと思ったが…やはり奴は我の知る俵藤太ではないという事か」
一応、仲間である于吉が言っていた事を思い出す。
「時間軸が違うやらなんやらと言っていたな。我には分からんが、それでも奴は俵藤太。我が屈辱を返す時。そして我は元の時代に戻って復讐を果たすのだ」
怨嗟の炎が彼女を覆う。
「元の時代に戻るには三国を滅ぼす。それが于吉との条件であったな。待っていろ劉備、孫権、曹操。待っていろ忠勝!!」
彼女は復讐に燃える鬼である。
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蜀と南蛮の境目付近が蜀陣営の天幕。
その天幕にはカルデアの諸葛孔明たちは待機していた。そんな彼らに愛紗の部隊である伝令兵が南蛮の森で起きた出来事の説明を受ける。
「どうやら桃香殿たちは南蛮反乱勢の拠点にいるらしい。明け方に指定された場所に来て欲しいとの事だ」
「まさか南蛮反乱勢に徴姉妹たちに陳宮殿、赤兎馬殿がいたなんてね。これは驚きだよ」
司馬懿(ライネス)は紅茶を優雅に飲む。最近は茶葉が少なくなってきたので代わりがないか探している。
「それに斗詩殿たちからは張角なる人物が弟子たちに同行したというが間違いなくカルデアの張角だな」
またも新たなカルデアの仲間が外史世界に転移してきたのである。より多くの仲間が集まってきている。
「こうなると他のカルデアの仲間がこの外史世界に来ていてもおかしくなね」
「そうだな。まだ中華圏内の呼ばれていないのは…」
この外史世界に呼ばれる英霊は基本的に中華圏内の英霊だ。
「太公望や呼延灼たちだな。もしかしたら既に呼ばれている可能性はあるかもしれん。南蛮での問題が解決したら探してみるか」
もしも呼ばれているのであれば早めに合流しておきたい英霊はいる。
(悪い奴ではないのだが性質的にな…)
諸葛孔明と司馬懿(ライネス)的に気になるのが太歳星君。良くも悪くも呪の塊だからだ。
「まあ、それは置いておいて明日には桃香たちと合流しよう」
南蛮反乱勢には陳宮たちがいる。苦手な相手だが謎の泥人間の兵士についても情報を得ているかもしれないのだ。
「陳宮殿か」
重いため息を吐く諸葛孔明。
「どうしたんだ兄さま?」
「いや、陳宮殿とは良い思い出がない…」
「あー…鬼周回や高難度クエストだとやる事やったら撃ち出されるしね」
司馬懿(ライネス)もまた陳宮の宝具は苦手である。
「南蛮反乱勢の軍師が陳宮殿だからな…南蛮反乱勢の者たちがどんな風になっているか怖いものだ」
「徴姉妹がいるから大丈夫ではないか?」
「俵殿…甘いぞ。奴はやる時はやる男だ」
何はともあれ明日で分かる事である。
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明け方にて藤丸立香たちは下山する。
張勲に関してはまだ眠っている。よって燕青によってまだ背負われている状況。
起きたら起きたで薬の副反応で色々と大変らしいので気絶したようにまだ眠っているのだ。
「袁術たちはこれからどうするんだ?」
「七乃が元気にならないとどうしようもないのじゃ。まずは近くの村に行って七乃を安静にしたいのじゃ」
確かにその通りである。
南蛮にて北郷一刀たちや諸葛孔明たちがいるかもしれないが、まずは袁術と張勲を安全な村に送るまでが優先である。
「私は南蛮の奴らに会ってみたいけどしょうがないか」
「それで雪蓮はどうするんだ。オレは今、蜀のとこで世話になってるから蜀に戻るけど」
「母様も蜀の所で世話になってるんでしょ。なら私も玄徳ちゃんとこで保護してもらおーかな」
正確には蜀に保護してもらうよりかは藤丸立香たちの仲間に入る事を考えている。彼らといれば大陸中を周れそうだと思ったからだ。
雪蓮の叶えたい夢の1つとして大陸中を旅してみたいというものがあるのだ。完全に叶えるのであればあと冥琳と梨晏も居なければならないが。
「色々と面倒な事になりそうだね」
主に桃香たちが。
「絶対に呉に帰れって言われそう」
「母様が帰ってないんだから大丈夫でしょ」
炎蓮に関しては正体が完全に分かっていなかったからである。尤も今は既にバレているが。
ただ訳があるという事で桃香は話さないだけである。ただし朱里や紫苑たちには監視させられている。
「まずはさっさと近くの村に行って袁術たちを置いて…ん?」
「どうしたの雪蓮?」
「誰かの声が聞こえたのよ。あっち」
雪蓮が指を指した方向に向かってみると北郷一刀たちがいたのだ。
「一刀!!」
「立香か?」
まさかの再会である。昨夜に挨拶が出来ればと思っていたが実際に会える事が出来た。
よく見ると諸葛孔明たちもいる。全員集合というやつだ。
「全員しゅうご」
キラリと天から光が落ちてきた。
「え…?」
いきなりの展開である。
読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も2週間以内を予定しております。
今回で南蛮大乱戦編の一方その頃が終了です。
次回にてやっと合流になります。そして完全にオリジナル展開になります。
恋姫の天下統一伝ネタもどんどん組み込まれていきます。
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オリジナル展開と呉革命の漢ルートを混ぜた話でした。
恋姫世界のヴリトラの肉を食って大丈夫かなっと思ってましたが、そもそもが薬の材料でしたね。
そして本編にも書きましたが立香はゲイザーも食べてますし、今更でした。
絆レベル。
前にも書いた気がしましたがレベル10なら結婚レベルですかね。
お互いにそれほどまでに信頼しているのですから。
レベル15ならほんとどれくらいなんだか。もう心が通じるレベルですかね。
炎蓮と雪蓮の絆レベルはとりあえず5以上はあります。
書いといて炎蓮が性に奔放というかなんというか、そんなキャラになってしまったかな…と思ってたけど原作でも大体そんなだった気がした。
もっとも認めた相手というやつだと思います。
最後に炎蓮が薬を手に入れました。まあ、何かに使われます。
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復讐に燃える謎の鬼。
いや、まあ…既に本編に名前で登場してますけど。
彼女の過去はオリジナル設定もありますので、その詳細は赤壁の戦い編あたり。
蟲がヴリトラを喰らいました。どんどん成長してます。
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一方その頃の別その頃ですね。
カルデアの孔明たちもそろそろ合流します。(忘れてたわけじゃありませんよ)
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やっとこさ合流。
そしていきなり謎の光が…。(急展開)