Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
もそっと更新です。
タイトルで分かるかもしれませんが過去の呉で立香たちが過ごす日常回です。
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早速、孫家の下に入ったということで今の情勢を聞くところから始まる。
説明を聞くとやはり貂蝉が言ったように黄巾の乱が終わった後にあたる。その頃だと今頃、月や恋たちと遊んだり仕事したりしていた頃だ。
(ふむふむ)
そしてこの揚州では孫家の力が一番有力との事。
兵力、土地の結束力は他家には負けないくらい強い。これは孫堅もとい、炎蓮の統治のおかげだ。
炎蓮の善政を慕って、近頃は他の土地からも孫家の支配地に大勢の民が入っているらしい。
祭や雷火の話を聞くと炎蓮のカリスマ性をこれでもかと聞かされたものである。
「おい立香。貴様に話があるからついて参れ!!」
「はいっす」
そしてその件の炎蓮から散歩と言う名の城下町の警邏に行く事となった。
「うむ」
町に到着して炎蓮は町の様子を満足そうに眺めている。
町にはたくさんの品を積んだ荷車がひっきりなしに行きかい、立ち並んだ店からは活気に満ちた商人の声が途切れることなく響いていた。
更には炎蓮の周りには民たちが大勢集まってくる。民からには誰もが彼女に感謝し、称えたりしている。
誰もが本当に炎蓮を慕って、かつ威風堂々とした建業の主を畏れているようだ。
「我ら建業の民、孫堅様のご統治には皆々、心の底から深く感謝しています!!」
「わかったわかった。ンなことはいいから、しゃべってないで働きやがれ。もう散った散った!!」
言葉使いは最初に出会った時から思っていたが乱暴だ。でもその声には民への優しさが籠っている。
立ち振る舞いや言葉の節々からも人としての器の大きさが感じられるのだ。やはり英雄となる者は一味違う。
「大人気だね炎蓮さん」
「そうか?」
「そうです」
「そんなことより立香、この町を見て見ろ」
思った事はやはり活気があるということだ。その思った事を口にすると炎蓮はどうやってここまで活気のある町にしたかを語ってくれる。
色々と大変だったのは間違いない。ここまで活気になれたのは彼女の力のおかげであり、民たちの力でもある。
「立香はこの町より大きな町を見た事があるのか?」
「あるよ。いくつも見て来たよ」
「ほう、洛陽よりも大きな町ならどうだ。と言っても、貴様は洛陽を知らんか…」
知っている。ここで話すと説明が面倒であるので見てないという事にしておく方が良いだろうと思って黙っておく。
「確かに知らないけど…たぶん洛陽より大きいと思う町は知ってるよ。百万とか三百万とか住んでる町に国なんてね」
「百万だと!?」
その数に笑いながら驚いている。
「嘘じゃないよ」
「疑ってなどおらんさ。そいつは征服のし甲斐があるってもんだ」
目が本気だ。
「それは難しいんじゃない?」
「ほお、何故だ」
「そういう凄い所を治めている凄い人がいるってこと。炎蓮さんのようにね」
「クックック、確かに」
国を治める者と聞いて、頭に浮かべる王様系の英霊たち。
「炎蓮さんの目的って大陸統一だったりするの?」
「それはつまり、このオレに漢王朝を倒せと申してるのか?」
「違うの?」
「…そうさな、我が願いは天下の民の安寧だ。漢王朝にその力が無いのならオレが代わりにやるしかあるまいか」
洛陽の宮中にいる人たちが聞いたら大変だ。
「だが、今の孫呉の力では、天下など夢のまた夢よ。オレの代では揚州の統一がいいところか」
真顔に戻って目を細めそながら呟く。豪快そうに見えて現実的だ。
「その時に後を任せる者が育っておればいいのだがな」
「あれ、雪蓮さんは?」
「雪蓮か。あれはな…」
娘の名前を聞いて渋い表情になった。雪蓮もとい孫策は三国志でも有名な英雄。
だがそんなことは今を生きる炎蓮は知らない。親の目からしてみればまだまだと言う事かもしれない。
「噂をすればだ。あれを見ろ」
顎をしゃくって前の方向を見ると、雪蓮が昼間っから酒盛りしていた。
「ほれ見ろ。あのバカ面が孫家の跡取り娘のツラか?」
「残念ながらそうです」
「そうか…残念ながら跡取り娘か」
雪蓮は昼間から真っ赤な顔で瓢箪掲げて悠々と町を散歩していた。
民からは慕われているが一歩見間違えればダメ人間である。
「クク、良い事を思いついた」
「その割には悪い顔ですよ炎蓮さん」
彼女は音も無く消える。どうやらアサシンクラスの適合があるかもしれない。
「あ、立香!!」
「雪蓮さん。昼間から酒盛りですか」
「いーじゃない」
雪蓮が此方に気付いて近づいてきてくれた瞬間に炎蓮は彼女の背後に現れた。
「あ」
「へ?」
鬼の形相でおもいきり拳を振りかぶっている。
「あ」
「うおおおおりゃあああああ!!」
「んぎゃあああ!?」
見事に炎蓮の拳骨が雪蓮の脳天に直撃。
「見事な一撃でした」
「だろう?」
悶絶している自分の娘を余所に手応えあり、という顔の母親という図になっている。
「何するのよ!!」
「ハッ、未熟者め!!」
「はあ!?」
「我らは常に命を狙われておるのだ。それが易々と不意打ちを食らうとは…オレの教えを忘れたか!!」
「殺気があれば気付いてたわよ。母様にいきなり襲われるなんて考えるわけもないでしょ!?」
母と娘の口喧嘩が開始された。
正直に言ってなんとも豪快すぎる母親だ。雪蓮は不満を言いまくるが炎蓮をそれを論破して黙らせる。
すぐに母親である彼女が優位にたって口喧嘩も勝利した。
「ううぅ、もう分かったわよ!!」
「ふん、口の減らん奴め」
口喧嘩に負けたのが悔しいのか、頬を膨らませながら城の方に歩いていくのであった、
「…というわけだ。あのような半端者にまだまだ家督は譲れんな」
厳しい母親である。
炎蓮としては孫家の跡継ぎとして警戒心が足りないということらしい。だからと言って気配を消して娘の脳天に拳骨とは過激である。
「そういう炎蓮さんには護衛がついてるの?」
「ふん」
彼女が手を挙げると数人の人が姿を現す。装いは庶民と変わらないが、見せつけるように懐に忍ばせた刃を光らせている。
間違いなく彼女専属の護衛部隊だ。そして姿を見せたと思ったらすぐにでも人込みの中へと消えていった。
「己を省みずに理不尽に娘を殴ったりせんわ」
「すると思ってた」
「一言多いな貴様」
彼女曰く、かなり強引に三群を征服したから、恨んでいる者は多いとの事。街中だろうと戦場だろうと刺客に襲われるのは変わらない。
人の上に立つ者として足元が絶対に安全というわけではないのだ。
「そういうお前はどうなんだ?」
「何が?」
「貴様がどう考えようと貴様の体には利用価値がある。天の御遣いを攫おうと、或いは殺そうとする者がいることを肝に銘じておけ」
殺されるなんて特異点攻略時にいくらでもあった。それくらいの心構えはある。
「というか護衛もいるのに、その護衛をつけていないじゃないか」
てっきり近くにいるものかと思って炎蓮はさっきからあの3人を探していたのだ。自分の護衛のように隠密行動をしていれば見つからないのは当たり前だが自分なら見つけられると思っていたのだ。
だが見つからない。上手く隠れているか、本当に居ないかだ。もし本当に護衛が居なく、炎蓮がいるからということで安心して任せているのなら藤丸立香の護衛は失格だ。
「…誰かいる?」
そう呟くが誰も出てこない。
「おい、誰がいるのか分かってないのか」
「たまに誰がいるか分からない時がある」
「何だそりゃ?」
特にアサシンクラスの護衛は誰がいるか分からない時があるのだ。なんせ、自主的に護衛してくれるから。
その自主的に護衛してくれるのが忍者英霊の誰かだったり、ハサンの誰かだったりする。
「お前、危機感がないな」
「これでも危機察知能力はあるよ」
「本当かよ」
実は呪腕のハサンから「危険感知は一流」と言われている。
「嘘だろ」
炎蓮は信じられないようだが。
そんな時に先ほどの炎蓮の護衛がまた姿を現した。
「孫堅様」
「どうした。何かあったか…む?」
炎蓮の護衛が1人近づいた瞬間に先ほどまでいた護衛が全員また現れた。
「孫堅様から離れろ!!」
そして声を出した護衛が今、炎蓮に近づいていた護衛であった。
「っ!?」
すぐさま炎蓮は後方に跳ぶ。
護衛を見比べても全く同じ。同じ体形に同じ顔に同じ服装で、はっきり言って違いが分からない。
「何者だ」
炎蓮と護衛たちは殺気を滲み出す。
「おい立香、離れていろ」
「いや、大丈夫」
「大丈夫だと?」
「もういいよ燕青」
藤丸立香はこれが茶番だと分かった。
「ははは、流石は我が主。よく気付いたなぁ」
「こんな状況だと燕青くらいしかいないでしょ」
偽護衛が正体を現すと出てきたのは燕青であった。
「いやあ、驚かしてすまなかったな。それにしてもあんたの殺気はビリビリくるぜ」
「貴様…そうか、変装か」
「ああ。これでも変装の達人なんでな。あんたにだって、あんたの娘にもなれるぞ」
ニカッと笑う燕青。だがこれで炎蓮はもっと彼が只者ではないと再認識させられる。
あの変装した護衛の姿に何の違和感も無かった。もし彼が敵で、護衛が居なかった場合はもう結末は分かってしまう。
「俺は見た事がある奴なら誰でも変装できる。これでも怪人∞面相もやったこともある気がするし」
誰でも変装出来ると聞いてピクリと片眉毛を上にあげる。
「誰でもか。ならオレに変装してみろ」
「お安い御用だ」
燕青はどこからとも無く大きな布を被って、すぐに大きな布の中から出てくる。
「どうだオレ?」
大きな布の中から出てきたのは炎蓮であった。護衛の者たちには動揺が走る。
何せ護衛の者たちでさえ見分けがつかないくらい完璧な変装なのだから。
「ほお」
炎蓮は自分自身になった燕青をマジマジと見る。
まさかここまでソックリに変装するとは思わなかった。これは物凄い特技だ。
「他にも変装出来るぜ」
すると立て続けに雪蓮や冥琳に雷火と連続で変身する。これには流石に久しぶりに驚いた。
目の前で変装されなければ偽物だと分からない程なのだから。彼が敵でなくて良かったと思える。
もし敵であったらみすみす暗殺されたりとか、国の内部をメチャクチャにされたりとかされそうだ。
「姿は完璧だ。だが中身はそうでもないようだな」
「そこを突かれると痛いね。中身に関しては演技しかないからな」
中身は流石に違う。そこの部分をすぐさま分かった炎蓮の回答には燕青もばつが悪い顔。姿形までは完璧に変装出来るが中身は観察して真似しなければならないのだ。
「…ふん、天の御遣いの護衛はやはり只者ではないと言う事か。おいお前ら大丈夫だから持ち場に戻れ」
炎蓮が一声掛けると護衛たちはまた消える。
「うっし。姿を現しちまったからこのまま同行するぜ」
「ったく、面白い奴らだぜ」
やはり面白い奴らを孫呉に引き込めたと思うのであった。
燕青の利用価値について炎蓮の中で考えが巡る。この変装術はいくらでも有効活用ができるのだから。
「さあ、行くぞ立香。そろそろ腹も減った。その辺でメシでも食うか?」
「食べる」
「俺もご相伴に預からせてくれ」
「いいとも。さあメシだ!!」
いろいろと勉強させてもらいながら炎蓮と昼飯を食べるのであった。
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炎蓮と昼飯を終えてからは別々の行動になった。彼女はまだやることがあるらしく、先に城に戻ってろとのこと。燕青も姿を消して護衛に戻った。
このまま一緒に居ても良かったのにと藤丸立香は思ったが今日は護衛に徹底するらしい。
この後、最初は城に戻ろうとしたがこのまま町の探索をするの良いと思って寄り道していると角の曲がった道先で昼前に会った雪蓮が立っていた。
よく見ると老夫婦と楽しそうにお喋りしている。その姿を見るととても親し気だ。
老夫婦も雪蓮と話している姿はとても楽しそうで、とても温かな雰囲気である。
彼女もまた民から慕われているようだ。
(何か約束事をしたみたい)
雪蓮と老夫婦と会話が終わったようで今度は藤丸立香と目が合う。
「あ、立香」
「やあ、さっきぶり」
老夫婦と別れて雪蓮は藤丸立香と肩を並べて城への帰路につく。
「何であの時、母様が後ろにいたことを教えてくれなかったのよー。頭にたんこぶ出来たのよ」
「その文句は炎蓮さんに言ってください」
拳骨したのは彼女の母親である。そして自分の娘に拳骨を背後からするなんて思うはずもない。
「次は私の味方でいてよね」
それはその時による。
「ていうか雪蓮さんはあのまますぐに城に戻らなかったんだ」
「ええ。さっきのお爺ちゃんとお婆ちゃんと話が弾んじゃってね」
先ほどの老夫婦は昔馴染みでよくご飯を食べにも行く間柄らしい。更には人生の先輩として色々と教えてもらっているようだ。
それにはとても感謝して、よく遊びに行くこともあるようだ。彼女には彼女を慕う者がいるということが分かる。
「何か頼まれごとしてたみたいだけど」
「そうそう。実はね絵姿を描いてほしいみたいなの」
こういう頼まれ事も彼女は引き受けてくれるのも慕われる要因かもしれない。
「だから城に戻ったら絵師の手配お願いね。詳しいことは冥琳に聞けば分かるから」
「何て?」
「何て、じゃないよ。お爺ちゃんとお婆ちゃんの絵姿の事よ」
「それは分かってるけど…何で俺に頼むのさ」
「乗り掛かった舟でしょ。それに立香が教えてくれなかったから母様から拳骨を食らったのよ」
それは藤丸立香のせいではない。
「いーじゃないのよー!!」
「あーもう。分かったよ」
「やったぁ流石は立香。私の婿候補!!」
「婿候補じゃないでしょ」
「じゃあ呉の種馬?」
「それは酷いよ!!」
呉の種馬とは酷い。だが彼は知らないが世界線によっては種馬認定の天の御遣いがいるのだ。
「で、俺に頼むってことは何か用事でもあるの?」
「私は忙しいのよ。今日もこれから豚さんのエサやりをしに行かなきゃならないんだから」
「サボリじゃないか!!」
どうやら城に戻らないらしい。昼前に炎蓮に注意されたのは忘れたのだろうか。
「それじゃまたね立香!!」
そう言って人込みに消えていくのであった。
彼女はとても活発で奔放そうな人だ。自由人という言葉が似合う。
いつまでも元気のままであろう。
「――と言うわけです冥琳さん。絵姿の件と雪蓮さんがいない理由が以上です」
ところ変わってその後は冥琳と一緒に居る。あのまま城に戻って雪蓮に頼まれた絵姿について手配のことを伝えたのだ。
「成程、絵姿の件は分かった。それと雪蓮が仕事をしていない理由も」
そして雪蓮は最初からサボリをしていたようだ。てっきり非番かと思えば仕事を途中でほうり出して街中に繰り出していたらしい。それなら炎蓮から拳骨を食らっても文句は言えない。
「雪蓮め…帰ってきたらどうしてくれようか」
「あ、折檻ならもう既に受けてるからお手柔らかに」
「何故だ?」
昼前に起こった事を話すと冥琳と笑った。
「ははは。大殿らしい」
彼女の笑った顔は何となくだがレアな気がした。彼女のようにクールそうな女性にとって笑顔とはドキリとさせられる。
カルデアでもそういう女性英霊は何人かいたものだ。例えば最初の頃のマシュとかもだ。
「まあ、でもサボった罰は受けてもらうがな」
「雪蓮さん…冥琳さんは甘くないようです」
ここには居ない雪蓮に「頑張れ」と心の中でエールを送る。
「当たり前だ。雪蓮を甘やかしては調子に乗るだけだから。というかまたサボる」
「もう何度もサボってんじゃないのかな。アレはもう常習犯な感じだったよ」
「正解だ」
雪蓮の隣にはとても優秀な仲間が傍にいる。炎蓮は自分の娘を心配していたが、彼女の周りにも頼りがいのある仲間がいるようだ。
「ん、その本は?」
「これか。ただの物語さ。私だってたまにはこういうのを読む。難しい本ばかり読んでいるわけではないぞ」
紙やペン等が世の中に出てくれば物語を書く者は現れる。そうすれば作家たちが多くの物語を生み出すのだ。
「面白い話の本ならたんとある。今度おすすめの本をお贈りしようか?」
「うん、ありがとう」
「そう言えばお前は字が読めるのか?」
「これでも字を教わってたから少しはね」
中国圏内の英霊にたまに教えてもらったりしている。中国と言わず様々な国の英霊からもだ。
英語ならビリーやアビゲイルに。フランス語はエドモンやマリー、デオンに。インドだとラーマやアルジュナとか。
流石に全てを完璧にマスターできたわけではない。その中でも英語は頑張っている。
「エルキドゥからウルク語を教えてもらった時があるけどサッパリだったな…」
「えるきでう?」
「こっちの話」
「…たまに立香は聞かない言葉を言うな」
藤丸立香は天の御遣いでありながら普通だ。だが何もできない小僧というわけではない。
前に軍師のような事をしていたというから軍師組である冥琳たちで少し見てみたが戦に対してどのような編成が良いか、どうやって攻めるか守るか等を彼なりの考えはできていた。
その案は冥琳や穏でもたまに意表を突かれる時があるものだ。だが本職の軍師としては藤丸立香はまだまだ甘いという評価である。軍師レベルで見れば冥琳や穏の足元に及ばないのだ。軍師でないから当たり前だが。
(戦略の中に時たま誰かの色が見える気がする)
これでも諸葛孔明から教えてもらった事がある。それを感じ取った冥琳。
前に「もしかして軍師として誰か師がいたか?」と聞くと「孔明先生だね。たまに教えてもらってる」と彼は言った。
藤丸立香の師である諸葛孔明。
後世の者からしてみれば軍師の偉人と言えば誰か、と聞かれればまず諸葛孔明の名前が必ず挙げられるだろう。そんな人物から教えてもらうなんて後世の者からしてみれば羨ましいだろう。
(その孔明という者とは話してみたいものだな)
軍師同士で何か実りのある話ができるかと思っている。
「前に戦に出た事があると言ったな」
「うん。いろいろな所に行って戦ってきたからね」
「その戦に関して聞いてみてもよいか?」
「いいよ。戦ってきた戦争は…」
特異点や亜種特異点などの戦いは全て大きかった。その中でこの三国時代に通じる戦いを考え、分かりやすく話す。
特異点での話を全てそのまま話すわけにはいかない。そもそも信じてくれるかも分からないからだ。今までも特異点のことを話す時は多少脚色しないと相手に伝わらない時があるのだから。
冥琳に分かりやすいように選んだ戦いの話は第2特異点と第5特異点。特に第2特異点の戦いは軍師として分かりやすいだろう。
何せネロの率いるローマ軍で客将をしていたのだから戦いの状況は上手く説明できる。
「よく勝ったものだな」
「今思うとそうだね。でも負けられない戦いだったから」
今思うと全てが負けられない戦いだった。諦めかけた時だってあるが、ここぞと言う逆転があったからこそ前に進めた。
そして今ここにいる。
(今の話は嘘ではないだろう。それでも分からないところもあるが…)
今まで出会ってきた人物が思うことを冥琳も思う。不思議な男だと。
そして気になる事も出てきてしまう。
(天の国とはどんな国なのだろうな?)
読んでくれてありがとうございました。
次回はまた1月中に更新します。
日常回をもそっと書きました。
日常回はあと2回書きます。その後に現在の話に戻すような流れを考えてますね。