Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
FGOではバレンタインイベントがまさに配信中ですね。
なかなかツッコミ所が多かった気がしますが面白かったです。「らぶらぶはぁとヨハンナ象」はものすごいパワーワードでした。
チョコの受け取り、渡しのイベントは色々と楽しんでます。しかし我がカルデアではまだ2部7章後半をクリアしてません。
なので南米で怪獣大決戦をしている傍らで、ツッコミどころ満載の甘いひと時を過ごしているというとんでもない状況です。
とても温度差がとんでもないです。
こっちの物語では南蛮大乱戦編もそろそろ佳境に入って行くかもです。
852
9つに分かれた謎の光が空より地上に落ちた。丁度その真下にいたのは藤丸立香たちだ。
落下し、大きく爆発したように発光した後は何故か藤丸立香たちを含めて9名がアニマル化していたのである。
「何故だ」
「俺も分からん」
現状況を冷静に分析する藤丸立香と北郷一刀。しかし何も分からない。
「マスター!!」
「おかしな事になってるねマスター」
「徴側に徴弐じゃないか。2人もこの世界に…」
「可愛いですマスター!!」
徴側はアニマル化した藤丸立香を普通に可愛いと思っている。
「姉さんそこじゃないでしょ」
せっかく合流したのに第一声がまさかの「可愛い」であった。確かに可愛いかもしれない。
よく周囲の声を聞くと似たような言葉が聞こえてきた。
「可愛いよ愛紗ちゃん、鈴々ちゃん」
「み、見ないでください桃香様」
「鈴々の頭に長い耳が生えてるのだ」
愛紗と鈴々のアニマル化は恐らく猫と兎。
「天和姉さんその角はもしかして…羊?」
「お姉ちゃんの頭に角が~!?」
「動物を基にした衣装。良いかもしれない」
天和のアニマル化は羊。
「…可愛い」
「ななななな。ねねの身に一体何が起こったんです!?」
「こ、この大将軍たる余がこんな畜生に身を堕とすとは…」
恋は犬、音々音はパンダ、傾は黒豹のアニマル化。
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっは。オレ様を笑い死にさせる気か雪蓮!!」
「笑い過ぎなのよ母様。そういう母様も私と同じだからね!!」
炎蓮と雪蓮は親子揃って豹。
「で、オレはアライグマ」
藤丸立香はアライグマ。
「マスターを含めて合計9人。空から降って来た光の数も9つ。数は合ってるのお」
「不思議な事もあるものだな。いや、そうでもないか?」
「ハロウィンでマスターはモンスター化したりカボチャ人形になってるからな」
ハロウィン特異点を突破した英霊達にとってマスターの変身は驚く事でもない。荊軻や燕青たちは平然としている。
謎の9つの光が原因で藤丸立香たちがアニマル化したと考えて間違いない。しかし誰が何の目的にかまでは分からない。
「今日からオレの事はフジミャルと呼んでくれ」
順応が早い藤丸立香。
「おいおい立香」
「今はフジミャルだ一刀。そう呼んで欲しい」
「分かったフジミャル」
北郷一刀も何だかんだでノリが良い。そして「フジミャル」が少しだけ言いにくいというか噛む。
「はわあ…マスター。その耳と尻尾を触って良いですか?」
「姉さん。それは一旦置いておこう」
まさかのアニマル化事件で混乱していたがカルデアの徴姉妹と合流出来た。これは嬉しい戦力強化である。
「徴側たちはいつこの世界に?」
「つい最近…てわけじゃないですね。でも数週間前くらいにはこの世界にレイシフトしてました」
「そうなるとオレらが呉に向かって色々としてた頃か。他にもカルデアからの仲間はいる?」
「陳宮さんと赤兎馬さんもいます」
「んう。これはまたカオス」
カルデアでは陳宮と赤兎馬は悪い者たちではないのだがある意味、要注意人物である。
どちらも何を仕出かすか分からないといった危険さがあるのだ。陳宮は冷静に何をするか分からない。赤兎馬は普通にカオスだ。
「カオスって言うなら今のここもカオスだけどね」
「徴弐の言う通りではあるね」
藤丸立香含めて雪蓮たちのアニマル化の事だ。
自分自身が当事者だから分かる。生えておる耳と尻尾は間違いなく自分の身体の一部だ。
耳が合計で4つあるのに違和感があるが機能しているのは今のところ元々の耳。ただしアライグマの耳にも神経が通っているのか感覚はある。
「尻尾も動かせるんだよな。これが尻尾がある感覚か」
「ふわふわです」
「姉さんってば」
徴側は藤丸立香のアライグマの尻尾を優しく触っていた。
「ご主人様ご主人様。愛紗ちゃんたち可愛いよね!!」
「ああ。可愛いな。ネコミミ愛紗か」
「ご主人様も見ないでください!!」
可愛い可愛いと連続で言われて愛紗は照れで悶死しそうになっていた。
「お兄ちゃん。鈴々も可愛いなのか?」
「ああ、可愛いよ鈴々」
「えへへ」
まさかのアニマル化だが可愛いというだけで片付けている。しかし可愛いだけで片付けてはいけないはずだ。
張角と華佗が藤丸立香たちのアニマル化について調べているとすぐに分かったとの事だ。
「これは間違いない。呪いじゃな」
「ああ。人間を動物にする呪いだ」
まさに見た目通りであった。
「これは恐ろしい呪いだ。呪力も強い」
「こんなのが恐ろしい呪いなのか。耳と尻尾が生えた程度で…いや、まあ、畜生に身を堕とすのは屈辱だが」
傾の言葉はまだ危機感が無い。確かに耳と尻尾が生えた程度で現在は支障は全くないからだ。
「今はまだ大丈夫だが…これは進行型の呪いだ」
「進行型だあ?」
「ああ。時間が経つに連れてどんどんと獣になっていくぞ。それこそ本当にただの獣になってしまう」
肉体的でなく、精神も獣になってしまう。それは自分が自分でなくなるという事だ。それは本当に恐ろしく、傾の言う通りで身を畜生に落とす事である。
現在の藤丸立香たちのアニマル侵攻率は5パーセント程度くらいかもしれない。これから時間が経つにつれてどんどんと動物になっていく。
「ケモノ100パーセントでオレは本当にアライグマに」
冗談でなく本当に『フジミャル』になってしまう。彼だけでなく雪蓮たちも完全に動物になってしまうのだ。
「すぐに獣になるってわけじゃないが…それでもすぐに解呪しないといけないな」
肉体的な変化よりも精神的変化の方が恐怖だ。早く解呪できるものならば解呪したういのが当然だ。
「解呪出来るか張角、華佗」
「ほっほっほ。解呪の仕方は簡単じゃ。術者をどうにかすれば良い」
「もしくは俺が解呪薬を作る」
呪いを解呪する方法は2択。術者を倒して解呪させるか、華佗の製作する解呪薬を服用するかだ。
「礼装の状態異常解除も効かない…強い呪いのようだからやっぱその2択か」
「どちらか1つを選ばなくてもいいだろう。どっちも選べばよい」
「李先生の言う通りだな」
術者を探し、同時進行で華佗が解呪薬を製作すればいい。
「解呪薬だが3つの材料が必要だ」
張勲の病を治す為に薬の材料集めをした。またも薬の材料探しをする事になる。
「今度は何の材料が必要なんだ?」
「まず1つは泰山の頂上に咲く持久草」
「持久草」
「実は運が良い事にそれは持ってる。前に採取していたからな」
「持ってるんだ」
華佗は医者であり、薬剤師でもある。様々な薬を作るのだから多くの薬の材料はストックしているのだ。
「次は江東の孫家に伝わる秘薬、江東丸。これは流石に俺は持ってない」
「孫家に伝わる秘薬?」
視線が豹になりつつある炎蓮と雪蓮に向かう。聞いていたのか2人とも会話に加わってくる。
「あー…そんな薬あったわね」
「あるな。あんな薬が何に役立つかと思っていたが…解呪薬の材料だったのか」
孫家に伝わる秘薬なのだから2人が知ってるのは当然のようだ。しかし効能までは分かっていなかったらしい。
「毒を受けた時、飲んだけど全く効かなかったもの。何が秘薬よ」
秘薬は秘薬でも解呪薬の材料であったらしい。何故、孫家の先祖がそんなものを作ったのかは炎蓮ですら知らない。
「じゃあ呉まで取りに行かないといけないか」
「あ、それなら大丈夫。実は持ってるから」
雪蓮は何気なく秘薬を取り出した。
「でかした娘」
「天幕から出る時なんとなく持ってきたんだけど…意外なとこで役立ったわ」
またも運が良い。解呪薬の材料が3つ中2つ揃っている。
「残り最後だがこれも運が良い方だな」
「まさか華佗持ってるの?」
「いや、持っていない。その材料がこの南蛮にあるからだ」
最後の材料は持っていないが今いる現地で採取できるというのならば確かにこれも運が良い。
「最後の材料は南蛮象の臍の胡麻だ」
「南蛮象の臍の胡麻…」
チラリと徴姉妹の頭の上に乗っている赤と青の小さい象を見る。
「たぶんこの子たちのじゃないですよマスター」
「そうだな。その動物じゃない」
「残念だ…同じ象なのに」
パオンパオンと可愛く鳴く赤と青の小象。
「恐らく南蛮象とは孟獲さんと一緒にいた桃色の象ですね」
そう言えばと思い出す藤丸立香。彼は既に孟獲と接触しており、彼女の頭に小さな桃色の象が居たのだ。
「アレか!!」
あんな小さい象がいるのかと思ったが今更である。
解呪薬の目処はついた。次は術者をどうにかするかだ。
「術者はそう遠くない場所にいるじゃろう。この南蛮だな」
「それでも南蛮は結構広いぜ」
燕青の言う通り、南蛮も広い地域だ。闇雲に探しても見つかるとは限らない。
「この呪いがマスターたちを狙ったのではなく、私や桃香さんたちを狙ったものであるならば大体は予想できますね」
「ああ、孟獲たち…いや、影姫か?」
「影姫?」
「この南蛮で異変を起こしている黒幕かな」
「詳しく聞きたい徴弐」
「分かってる」
影姫について話す。
孟獲を裏から操っている謎の存在。僵巴兵という泥人間の兵士。何故、孟獲を裏から操っているのか。
分かる事を全て藤丸立香たちに話していく徴弐。
「教えてくれてありがとう徴弐」
「これくらいいいよ。もっと詳しくは私たちの拠点に戻ってから」
「でも、その前に孔明さんたちと合流する手筈になっているんです」
孔明とはカルデアの諸葛孔明だ。
「孔明先生たちもここに来ているんだ」
「はい。それに秦良玉さんは今、私たちの拠点にいます」
南蛮に多くの英霊達が集まっている。影姫という謎の存在。
まさに異変案件でカルデアが動いてもよい案件かもしれない。
「何だか面白い事になっているね我が弟子よ」
「この声は…師匠!!」
「ああ。君の唯一の師匠だ」
「ちょっとー。アタシも師匠ではあるんだけど」
藤丸立香の師匠は司馬懿(ライネス)だけではない。玄奘三蔵もまた師匠である。彼女たち2人だけでなく、他にもいるのだが今は割愛する。
話せば色々と長くなるのだから。
「いや、それにしても本当に面白い事になっているな我が弟子よ。くく…」
顔をニマニマさせながら悪魔の尻尾を生やす司馬懿(ライネス)。間違いなく弄り甲斐があると判断したのだ。
「あー…本当に何が起きたんだコレ?」
諸葛孔明も周囲の状況を見てもよく分からないといった感じだ。しかしソレを理解するのも彼の仕事である。
「孔明さん。無事もご無事で…合流できて良かったです」
「孔明先生」
「徴姉妹たちがいるのは知っていたがマスターたちまでいるのは予想外だったな」
「オレらも丁度ここに来たんだ」
「ふむ…呉の王を連れてか」
何故か居る雪蓮。
「まあ、色々とあったんだ」
「それも詳しく聞きたいが…」
「場所を移しましょう。この南蛮で起きている事を詳しく話す事がありますので」
「それもそうだね」
853
南蛮反乱勢力拠点にて。
「自爆しかありますまい」
「言うと思ったぞ!!」
北郷一刀たちは諸葛孔明たちと、まさかの合流を果たした藤丸立香たちとで南蛮反乱勢の拠点に到着。
拠点にて藤丸立香は外史世界に転移していた陳宮や赤兎馬と再会して色々と話がしたいと思ったが今は色々と解決しなければ問題がある。
まず1つ目が南蛮にて発生している異変だ。南蛮を裏から操っている影姫という謎の妖術師がおり、蜀と南蛮の戦を起こしている。
「その中で私たちとの戦いも入っていたから三つ巴の戦だったんですよね」
南蛮と南蛮反乱勢と蜀の三つ巴が発生していたが今は南蛮反乱勢と蜀は手を組んでいる。
現在は南蛮と戦うための軍議をしているのだ。どうやって影姫と孟獲率いる軍を倒すかと話が出た時、陳宮の第一声から荒れた。
「またソレか。自爆も何もアレは最悪だからな!!」
「何を言いますか。自爆ほど敵の数を減らす策はありますまい」
「生贄にされる方はたまったもんじゃないからな!!」
カルデアの諸葛孔明と陳宮が早速、口論をぶちかましていた。
「あ…あの、軍の編成や陣を考えるのが大切だと思うのですけど」
蜀の軍師である朱里は2人の間に入れず「はわわ」している状況だ。
「ええ。軍の編成や陣を考えるのは大切です。しかし敵と此方の戦力差は圧倒的ですよ?」
蜀の戦力は約1万人。南蛮反乱勢も約1万人。南蛮は2万人。これだけなら同等だと思われるかもしれないがここで影姫が用意する僵巴兵が問題だ。
徴姉妹が敵戦力の把握の為に南蛮の拠点に調査に向かった時に目にした僵巴兵の数が目測で50万人は確認できたのだ。
約2万と約52万。これでは圧倒的に不利だというのは誰だって分かる。
「更にここは南蛮の森。此方も南蛮の者たちがいますが孟獲がいる方がより有利でしょう」
陳宮の言葉は正論だ。諸葛孔明も朱里も何も反論はしない。
「だからこそ圧倒的な火力で敵を屠る策が必要です」
「だからって自爆はないだろうが」
「問題ありません。残弾数は確保してます」
「残弾数とか言うな」
陳宮は洗練に鍛え上げられた南蛮反乱兵を見ながら眼鏡をクイっとする。
「洗脳したか」
「失礼な。彼女たちは戦士です。ならば男も女も関係ありません。平等に戦士として私は扱います」
「洗脳というか改造ですね」
「黙りなさい馬」
圧倒的な数の差。
まず戦争に勝つには数を用意しろと言ったものだ。不利であっても勝利をつかみ取る策を考えるのが軍師の役目であるが物理的にどうしようにも出来ない時が現実的にある。
地形を利用して戦い方法や罠を仕掛ける方法も考えたが難しい。朱里としては成都から更なる援軍を呼ぶべきだと考えたのだが陳宮は不要と言い切ったのだ。
「南蛮の有象無象は我が策でどうにでもなります。問題は影姫と孟獲の確保及び討伐です」
孟獲の実力は確認済みだが問題は影姫である。僵巴兵を50万も生み出せる程の実力者であれば国を墜としてもおかしくないレベルだ。
「相当な術者です。将を複数で囲まなければ厳しいでしょう」
「それに関しては私も同意見だ」
「私もです」
軍師3人とも影姫を要注意人物として認定している。
「問題ないです。恋殿がいればそんな怪しい奴は即倒してしまうのです」
音々音はふんっと胸を張る。そしてぴこぴことパンダの耳を動かすが3人は敢えてそのパンタ耳に関してはツッコまない。
「此方の呂布ですか。確かになかなかの実力だと見ました。更に我が無敵君主が居れば文句なかったんですがね」
無敵ロボの呂布奉先は成都でお留守番である。
「策はこうです。南蛮反乱勢による特攻(自爆)からの道を作りますからその間に首魁である影姫と孟獲の拿捕及び討ち取りです。完璧な策ですね」
「ええいこの自爆魔め…」
頭痛がするが陳宮の策は確かに勝つ策だ。朱里は数の差を覆す為に援軍を呼ぶべきだと言ったがそれは敵が待ってくれた場合である。
敵方も此方の戦力を把握しているに違いない。相手が先に動けば勝てる可能性は低くなる。ならば陳宮の策で短期決戦を望んだ方がまだ勝率は高いのだ。
「あ、あの~」
ここでおずおずと桃香が手を上げる。
「なんでしょう劉備殿」
「陳宮さんが言う自爆って焔耶ちゃんが受けた爆発の事ですよね?」
「はい」
「それって南蛮の子たちを犠牲にする策じゃ…」
「はい」
一瞬で肯定する陳宮。
「そ、そんなのダメだよ!!」
「何故です?」
「犠牲にする策は間違ってます」
「そもそも戦自体が命を落とすものです。命を犠牲にしない戦なんてありません」
戦争が始まれば命を失うのは当然だ。殺し合いなのだから当たり前の事である。
「で、でも」
「劉備殿。貴女は1人も犠牲を出さずに戦に勝った事があるのですか?」
「っ…」
何も言い返せない桃香。陳宮の言葉を言い返す者はこの場に誰も居ない。
天才の朱里も、漢帝国に仕えていた楼杏も、徴聖王の徴姉妹も、藤丸立香と北郷一刀も言い返せないのだ。
「それに我が策は全て使い切るつもりはありません。生き残るのであれば、それはそれで良いのですから」
陳宮の策に桃香は納得できないが朱里は納得できている。数の差を覆すための自爆作戦はたった1人を犠牲にするだけに敵陣に深刻な被害を与える。
この策の有用性は確かにあるのだから。
「桃香さん。犠牲にすると言っても本当に死ぬわけじゃありません」
「徴側さん…」
「確かに私もこの策はしたくありませんがコレしかないのであれば私は心を冷徹にします。そういう時もあるんです」
「……そうなんですね」
誰も傷つけたくない、犠牲にしたくない。それはとても優しい心だ。しかし戦わなければ終わらないのであれば傷つけられるしかない。
「桃香さんの気持ちは正しいです。それはそのままで良いんですよ」
「ありがとうございます徴側さん」
本当に桃香は優しい心の持ち主だ。戦争はしたくないが、それでも戦わなければ彼女の目指す平和は訪れないのだ。
彼女の試練や葛藤はまだまだこれからである。
(おい陳宮)
(何ですか徴弐殿?)
(1回限りだからな。2回目の運用はするな)
(………)
(はいって言え鬼畜眼鏡)
陳宮が鍛え上げた(改造した)南蛮反乱兵は数回自爆が出来る。
それは火力を押さえたからこそできるもので身体を治せばまた自爆が出来るという事だ。しかし身体が治れば何度も使えるというわけではない。
「何はともあれ作戦会議はこれにて無事終了ですね」
「何はともあれじゃないだろ」
「やっぱ自爆一択じゃないですかー。それやるの嫌なんですけど」
「馬。貴方には名誉の一番槍を与えましょう」
「ヤダーー!?」
まさかの特攻(すぎる)作戦が決まった。
無事に作戦会議が終了したかどうか微妙である。まさかの自爆特攻となれば桃香たちの顔は納得しにくい顔だ。
納得しにくい顔をしているが圧倒的な戦力差を覆すには犠牲なくして勝てるとは思っていない。そういうシビアな考えが出来る傾や楼杏、朱里は陳宮の作戦を認めている。
犠牲なくしては戦に勝てない。まさにその通りである。
「さて、軍議は終わりました。では次の問題について話しましょう」
陳宮は藤丸立香たちを見る。その姿は獣の耳や尻尾が生えているという珍百景状況。
「面白い状況ですね」
「いやあ、ホントだ」
司馬懿(ライネス)は藤丸立香にしれっと首輪を付ける。
「師匠なぜ!?」
「ふふふ。やっぱ動物には首輪だからね」
「うむうむ。そうじゃのう」
武則天も面白がっているのかリードを用意していた。
「ちょっと武則天!?」
「アライグマって確か雑食だったね。バッタとか食えるのかな?」
『イエス。用意しました』
トリムマウは既に昆虫を採取して持っていた。
「昆虫食ってのはあるけど普通のが良いよ!!」
「ゲイザーを食べた事あるんだから昆虫なんて今更だろう」
「まあ、確かに…」
サバイバル生活も長いので生きる為には基本的に何でも食べるの精神である。
「それにしても面白い状況だな。我が弟子がアライグマで…」
愛紗が猫。鈴々が兎。恋が犬。音々音がパンダ。天和が羊。傾が黒豹。雪蓮と炎蓮は豹。
「傾と炎蓮たちが被ってるな」
「おい傾。今から黒豹止めて牛にでもなれ。犬、猫でもいい」
炎蓮はズビシっと傾に対して指を指す。
「犬は恋」
犬枠は譲らないという恋。
「そもそも人間に戻りたいわ!!」
己は犬畜生になる気はさらさらない傾。さっさと元に戻りたいのだ。
何故か分からないが猫でなくて良かったと思うのだが自分でも何故そう思ったのか分からない。尤も黒豹も猫科であるのだが。
「面白いものだ。カルデアにも人を豚にする英霊はいるけど、アレは一発で百パーセント豚になるからね」
キュケオーンという言葉と共にキルケーの顔が思い浮かぶ。
「こっちは徐々に動物になっていくようだからね」
華佗の診断によると動物化の呪いは時間が経つにつれてかかった呪いの動物に近づく。完全に呪いが侵攻した時、人間でなく肉体的にも精神的にも動物となる。
自分が自分でなくなるというのは怖いものだ。
「でも解呪薬を作れるんだよね?」
「そうみたいなんだ。何でも人を動物に変える薬もあるみたいで、それを治す薬と同じらしい」
原材料は3つ中2つは揃っており、残り1つもこの南蛮で手に入る。術者を捕縛して解呪させるという手もある。
呪いに関しては解決方が分かっているのが救いだ。もしも解決法が無ければ困っていた所である。
「うふふ。早く治したいだろうけどカワイイわねん」
「確かに」
貂蝉の言葉に何人かは納得してしまう。
司馬懿(ライネス)は面白がって藤丸立香を弄り、桃香は純粋に愛紗と鈴々に可愛いと言いまくり、秦良玉は音々音のパンダに興味を引かれている。
呪いを受けた本人からしてみたら大変であるが周りからしてみれば面白いし可愛いのだ。
「ぴょんぴょんなのだ」
鈴々は兎だからなのかぴょんぴょん跳ねていた。
元気いっぱい、天真爛漫の鈴々に兎耳と尻尾が生えてより可愛くなっているのでニコニコの桃香である。
「ぴょーーーん!!」
「え」
鈴々はメチャクチャ跳躍した。そして見ていた桃香は素の声でポカンとした。
元々、身体能力が高い鈴々であったがそれでも普段以上の跳躍力だ。
「凄いのだ凄いのだ。鈴々こんなに跳べたのだ!!」
本人もまた自分の跳躍力に驚ていた。もとい楽しんでいた。
「わあ!?」
「どうしたの愛紗ちゃん!?」
「い、いえ…手から急に爪が伸びたので」
愛紗の指から鋭い爪が伸びていた。
「それなら私も伸びるぞ」
「オレも」
「あ、私もー」
傾、炎蓮、雪蓮もまた爪が鋭く伸びている。
「くんくん」
「わ、どうした恋?」
恋が北郷一刀をくんくんと可愛く嗅いでいた。
「…ご主人様いつもより良い匂い」
「そ、そうか?」
「…恋の鼻よくなったみたい」
ぷにぷにと恋は自身の鼻を突く。
「こらーっ、恋殿に近すぎですぞー!!」
「ぐほーーーーー!?」
「ご主人様ーー!?」
陳宮キックが北郷一刀に炸裂。そして北郷一刀は彼方へと吹っ飛ぶ。
「ちょっとねねちゃんやりすぎだよ」
「ほえ、ねねもここまで強く吹っ飛ぶとは思わなかったのですが」
「…ねね、だめ」
恋がオシオキの拳骨を作る。
「恋殿。ほんとにここまで力が出るとは思わなかったのです!?」
まさかの蹴りの威力に自分自身でも驚いている。
「なんなんだ?」
チラリと天和の方を見る藤丸立香。
「天和姉さん今どんな感じ?」
「なんか目がいつもより良くなった気がする!!」
「例えば?」
「こっからここまで見えるー」
「それ視野広すぎない?」
「ちょっと天和姉さんの片目の黒目がちょっと横になってない!?」
それぞれ動物の呪いに掛かった者たちは肉体の変化が起きている。
「痛てて…ねねの奴パンダの力が宿ってるんじゃないか?」
可愛いパンダだが力は笑い物にならない。パンダもまた熊であるのだから筋力は恐ろしい。
「大丈夫か一刀?」
「ああ、大丈夫だ。もしかしなくても愛紗たちは動物の力が宿ってるんじゃないか?」
動物に変化していくにつれ、その動物の特性が出ているのかもしれない。
動物にはその動物の特性がある。それが人間に付与されれば、それは強い力となる。
なにせ動物によっては人間よりも優れている力があるのだ。例えば犬の嗅覚は人間よりも優れており、豹の脚力は人間よりも強力だ。
「怪我の功名ってわけじゃないかもしれないが…これは利用しない手はないぞ」
呪いに悲観しているだけかと思えばまさかの力が手に入ったのであった。
「ところ立…フジミャルは何か変化あるか?」
「何か皿洗いとか早くできそう。100枚とか余裕」
「そっちなのかい」
今ならば皿洗いのバイトで世界一になれそうと意気込む藤丸立香。
「しかし動物の力か……ハッ、待てよ」
ここで北郷一刀は天啓を受けた。
854
アニマル化した藤丸立香たち。徐々に肉体と精神が動物になってしまうという呪いは恐ろしいが怪我の功名というものがあった。
それは呪いによって動物化したその動物の力が使えるという事だ。呪いの力に悲観するのではなく、逆に利用するのである。
動物の力をより使うにあたって、北郷一刀の「動物の格好をしたらより獣の本能が身に付かないか?」という発想により藤丸立香たちは決戦武装というわけではないが獣装束を着る事が決定。
最初は何人か渋っていたが服装を変えるだけでも雰囲気は変わるという部分には納得できたので了承。すぐに獣装束の製作に取り掛かったのである。
「やっぱこういうデザ…意匠はどうかな?」
「いいんじゃない。もっと色気と可愛さを強調しましょ」
「地和姉さん。それは流石に露出が多いわよ」
獣装束の製作・監修は北郷一刀と地和と人和。北郷一刀はデザインを考える才能があり、地和たちはアイドルとしてデザインはもちろん衣装の作成も出来るのだ。
大陸一番のアイドルを目指すだけはあり、衣装はお金が無かった時に自分たちで作成していたのだ。その腕は衰えていない。
「材料も案外ここで調達できるのが良かったわ」
南蛮では衣装の材料にあまり困らない。調達班も足りているのですぐに用意が出来たのだ。
藤丸立香としてはハベトロットやミス・クレーンを簡易召喚でもしようとしたが地和たちだけで事足りそうと判断した。
「さあ、出来たわ。着てみてちょうだい!!」
ついに完成した衣装が愛紗たちに渡される。これから獣装束のお披露目会である。
「どんな衣装か気になる」
「俺はデザインしただけだが…人が着るとより光る。楽しみだ」
藤丸立香と北郷一刀は愛紗たちがどのように変身するか楽しみであった。
「ところで立…フジミャルは自前のがあったんだ」
「ああ。フジミャルになった時、この魔術礼装が一番似合うと思ったんだ」
今の藤丸立香は『第五真説要素環境用カルデア制服』を着ている。
魔術礼装カルデアとはジャケットとボトムスの配色が逆転しているものだ。バビロニアの気温の高い環境にも耐えられる服装であるため南蛮の気温にも耐えられる。
首には山吹色のネックウォーマーを通しており、こちらは防塵と汗止めのものだ。
「似合ってるな」
「ありがとう一刀」
アライグマの耳と尻尾があるのでカッコイイというより可愛いであるが。
「うんうん。可愛いぞ我が弟子よ。ところでアライグマはやはり雑食でな。何でも食べるらしいんだ」
「へえ」
「これでサバイバル生活がより逞しくなるな」
「そうですね」
「バッタを食べてみるか」
「だからなんで虫!?」
トリムマウが既に虫を捕獲済み。
「もしかしたら虫の力も取り込めるかもしれないじゃないか。ならバッタだろう」
バッタの力は取り合えず凄いと誰かから聞いた事がある。何でもどんな怪人も倒せる超人がバッタの力を持っているのだ。
「確かにライダーには憧れはあるけれど!!」
少年は仮面ライダーに憧れるものである。
「お、出てきたぞ」
まずは鈴々。
「ウサギなのだー!!」
兎の呪いを受けた鈴々。
彼女の衣装はその名の通り兎をイメージした衣装である。
裏地がピンクの純白フードに襟がオレンジ。純白の服装と純白のスカートが穢れなきを現す。
襟元にはリボンが結ばれており、左のウサミミやスカートの腰・ロングブーツに紐飾りを結んでいる。頭の表情が変わるトラネコ髪飾りもウサミミ髪飾りになっていた。
何故か蛇矛の柄尻に大きな花弁とニンジン飾りがついていた。
「可愛いぞ鈴々」
「似合ってるよ鈴々ちゃん!!」
「えへへ」
似合っていると言われて満開の笑顔の鈴々。彼女は強き武人であるが年頃の女の子だ。可愛い服を着てみたい願望があり、好きな人に褒められたいのだ。
「良いですね」
「おや、馬が褒めるとは珍しい」
「人参が良い」
「そっちですか」
赤兎馬は人参が好き。
「あ…あの、桃香様、ご主人様」
2番手は猫の呪いを受けた愛紗。
猫モチーフのノースリーブの服に両手に肘まで守る猫手袋。暗い赤色のリボンと鈴に白い毛皮のマフラーで彩る。
純赤と大きな鈴のリボンを結ぶシッポは黒く、毛皮っぽい黒タイツと黒ブーツを履いている。
鈴々は完全にカワイイ系であるが愛紗はセクシーよりのカワイイ系である。
青龍偃月刀の柄部分には表情が変わる不思議トラネコ顔の装飾品が付けられており、尻にはピンクのリボンと白黒毛の大きな肉球飾りが取り付けられている。
「愛紗ちゃん可愛いよ!!」
「ああ。すっごく似合ってるぞ愛紗」
キャイキャイと騒ぐ桃香と違って北郷一刀は見惚れてしまった。それに気付いた桃香と鈴々はつい頬をぷうっと膨らませる。
愛紗は自分が好きな人が見惚れていると気付いて顔を真っ赤にしながらもとても嬉しく思うのであった。
「愛紗も鈴々も似合っておるな」
「そうですね桔梗様」
「焔耶としては桃香様の動物の服が見たかったのではないか?」
「き、桔梗様なにを言っているんですか!?」
実はそう思っていた焔耶。しかし君主に呪いにかかってほしいわけではない。
「うう…猫っぽいのがまた」
武則天は藤丸立香の後ろに下がる。そもそも南蛮兵たちはどれも猫っぽいので実は南蛮に来てから居心地が悪かったりしてる。
正直に言ってマスターである藤丸立香が猫っぽくならなかったのが救いである。
「次はわたしだよ~!!」
3番手は天和。彼女が受けた呪いは羊である。
肩出しコーデの服でミニスカート。黒と桃色のニーソ。大きな角と衣装に飾られたベルが特徴的だ。
今までの中で一番現代に近い服装である。雑誌モデルに出ていてもおかしくない可愛さだ。
「ほっほっほ。可愛いのう。流石は儂の孫」
「いつからアンタの孫になったのよアタシたちは」
「マスターも孫だったような…何処かの田舎で暮らしたような」
「何処の特異点だ張角」
「燕青も居たような」
何故か『張角さん家の藤丸くん』という題名が頭に浮かんだ。
「天和よ。これをやろう」
「これは?」
張角が天和に渡したのは金色のマイクスタンドであった。
「これが役に立つぞ」
「おお~」
本格的にアニマルアイドルに見えてきたものである。
「可愛いかな立香」
「可愛いよ」
「えへへ~」
ニコニコの天和であった。
「…ご主人様」
「お、恋か?」
4番手は恋。彼女が受けた呪いは犬である。
彼女の服装はカウガールスタイルだ。何処に犬要素があるとツッコミを入れてはいけない。
犬耳を通す穴付きカウハットと赤いロングバンダナ。身体のタトゥーを見せつける様に上半身はレースブラとウエスタン柄のレース付き袖。
下半身はガンベルトとレースの腰巻とウエスタン柄の腰布だ。ハットとガンベルトの中心には青い装飾品が付けられている。
方天画戟の刃と柄の連結部に黒い羽根のオブジェを五つ通した涅色の紐を下げており、柄も何処となくウエスタン風だ。
「ウエスタン風…これは一刀がデザインしただろ。天和も」
「イエス。俺のデザインが採用されたんだ」
「なんでカウガール?」
「恋に似合うと思って」
実際に似合っているのだから文句はない。
「…似合ってるご主人様?」
「ああ、バッチシだ!!」
「…ふふ」
似合っていると言われて嬉しそうな顔をする恋。普段は見せない可愛い笑顔。
その笑顔にキュンとしてしまう者が多数続出する程である。
「恋さんはあまりこういう服を着ないから新鮮ね」
同僚である楼杏も彼女の姿に新鮮な気持ちであり、可愛いと思ってしまう。
「ふむ。私ならもっと改造して色々と仕込むのですが…」
「陳宮殿無粋ですよ」
恋は呂布であるが陳宮の思う無敵ロボではないのであしからず。
「こら、恋殿に近付きすぎですぞ」
5番手は音々音。彼女が受けた呪いはパンダ(猫熊)である。
中華帽と白黒の中華風のロングスカートドレス。パンダ耳にはピンクの花飾りに赤リボン・小さな赤の宝珠の紐飾りが付いている。
得物は赤い布地に金の刺繍を施したパンダさん顔プリントの旗。棒の部分はパンダを意識してか竹風だ。
「わあ、良いですね」
秦良玉はパンダが好きなので音々音の衣装に大絶賛。これでよりふっくらしてくれたら文句なしであると思っているが、それでは音々音が完全にパンダだ。
「ねねも似合ってるぞ」
「むう…お前に褒められても嬉しくないのです」
そう言っている彼女だが実際のところ口がにやけているので嬉しいようだ。
「照れてる」
「うるさいです」
「あ、待った待った。今のねねの力は洒落にならんって」
パンダのパワーは圧倒的。
「なんだか色物集団になりつつあるわねー。ま、私も人の事言えないか」
6番手は雪蓮。彼女が受けた呪いは豹だ。
豹の耳と尻尾が可愛く動いており、豹柄のニーソと腕カバーを付けている。服装はチアガール風の衣装でヘソ出しスタイルだ。
普段は着ないであろう姿の彼女は何処か新鮮だ。色気はあるがどちらかと言えば綺麗寄りの可愛い系の女豹と言えるかもしれない。
「どうかしら?」
「似合ってるよ雪蓮」
「ふふ、どーも。でも立香はどの女の子にもそう言うからね~」
「いや、本当に似合ってるからそう言ってるんだよ」
本心である。藤丸立香は誰彼構わず褒めるような人間ではない。ただ何故か八方美人のように見えてしまう時があるだけである。
「お、中々似合ってんじゃねえか雪蓮」
「母様もなかなかじゃない。いや、すごく違和感あるわ」
「うるせえぞ」
7番手は炎蓮。彼女も雪蓮と同じ豹の呪いを受けている。
彼女の服装は豹柄の女スパイスタイルだ。娘の雪蓮とは逆で完全に色気を全面に出している。
どんな男も骨抜きにしそうな女スパイだ。尤も力で骨を抜き取ろうとするような恐ろしさであるが。
「炎蓮さんも似合ってるよ」
「お前はほんと……そういうのはオレ様じゃなくて雪蓮たちを褒めろ」
「もう褒めてるけど」
「ったく」
まさか炎蓮まで獣装束を着るとは予想外だ。娘の雪蓮だって不思議に思っている。
(ここで茶々入れたらぶっとばされそうだな)
(ここは黙っておいた方が良いだろう)
燕青と荊軻も何かしら言おうとしたがお口チャックした。
「最後は私か」
「あ、傾…え」
最後は傾。彼女が受けた呪いは黒豹。
彼女の獣装束に藤丸立香は唾を飲んだ。他の者たちは目を丸くしてしまう。
「ん、どうした。なるほど私の姿に目を奪われたな?」
「け、傾さん?」
「どうした楼杏。今の私に変な所なぞないぞ」
色々とツッコミを入れたいが楼杏は何も言えない。傾の獣装束は超が付くほど露出が多すぎるのだ。
布地を限界まで削減したハイレグにガーターベルトの上には金の装飾品が付けられている。
黒豹の耳に髪飾りとグローブには白ポンポンを下げた黒い紐を結んでおり、髪留めも濃紫リボンを結んでいる。手には尖った黒マニキュアを塗っている。
獣装束というよりも完全に下着姿だ。
(これデザインしたの…)
(いや、これは俺じゃないぞ)
北郷一刀と地和たちがデザインしていた。デザインを色々と考えているあまり途中で変なテンションになっていたので無意識に案を出した可能性はある。
「うわあ…すご」
「やるなアイツ」
同じ豹の呪いを受けた雪蓮と炎蓮としては何故か傾に少しだけ負けた気がした。何に負けたかは2人ともよく分かっていない。
「ふふん。どうだ立香?」
傾の獣装束は炎蓮よりも色気があり、まさに女豹である。もはやセクシーという言葉で現して良いのかすら分からない。
彼女は獲物を追い詰める様に藤丸立香に近づく。
「す、すごく…綺麗です」
このような姿で攻められれば色々と我慢が出来なくなる。男の獣が覚醒しそうである。
(ふふふ、やはり効いておるな。最初はこの衣装どうかと思ったが案外良いではないか)
「ちょ…近い」
「どうだ。襲いたくなったんではないか?」
アライグマと黒豹。どちらかというと藤丸立香が襲われる側だ。
「傾さんなんて恰好してるの。服着て!!」
玄奘三蔵が藤丸立香と傾の間に入る。
「傾殿。流石にその姿はどうかと思います」
秦良玉も追加で間に入る。
「お前らに言われたくないんだが」
玄奘三蔵と秦良玉の服装に関しては場合によっては煩悩が膨らむ。それでも傾の方が凄いのだが。
「ふむ、我が弟子はああいうのが好きか」
「いや、師匠…」
「マシュのデンジャラス・ビーストに反応していたしな」
「ぐうの音も出ない」
藤丸立香もやはり男である。
「……何はともあれお披露目会は終了だな」
「だね。本来の目的についてより作戦を練ろう」
「自爆しかありますまい」
「陳宮ぇ…」
蜀と南蛮反乱勢の連合と南蛮勢の戦いがついに始まる。
855
孟獲陣営の祭壇にて。
「おなかいっぱいにゃー」
「おなかいっぱいー」
「ねむたくなったにゃ」
「なったー」
食事を終えた孟獲たち。
呪いの儀式で飯抜きで夜通しで踊っていたのだ。ガッツリ食べたら眠たくなるものである。
「おい孟獲。影姫様が大事な話があるんだからまだ寝るな」
「眠いにゃゴツゴツ」
「蜀の奴らを倒す作戦をこれから考えるんだ」
南蛮勢も偵察は出している。相手方の情報を手に入れるのは必要だ。
「蜀と反乱勢は手を組みました。であれば近いうちに攻めてくるでしょう。それに孟獲の呪いを解くためにも来るでしょうから」
呪いの儀式は成功している。今頃は呪いが蜀と南蛮反乱勢に掛かっているはずだ。
「すぐに攻めてくるにゃ?」
「間違いなく。であればどうしますか。攻められる前に攻めるか。それとも迎え討つか」
影姫の背後には大群の僵巴兵が跪いている。
「数は圧倒的に此方が有利です。恐らく正面から攻めても勝てるでしょう」
蜀と反乱勢の兵力と南蛮勢の兵力差は圧倒的だ。
「にゃらむかえうつまでにゃ」
「迎え撃つと?」
「うむ。むこうからせめてくるにゃら行くひつようないと思うにゃ」
孟獲はそう言いながら小さい象のパヤパヤを見る。
「それにみぃにはきりふだがあるにょ」
「切り札?」
小さい象のパヤパヤが切り札らしいが影姫的には何も力を感じるものはない。
(孟獲は妖術が使える…あの象を触媒に何か強い術が使えるのでしょうか?)
「それに眠いからむこうが来るまで寝てるにゃ」
そう言って孟獲とミケたちは一瞬で爆睡した。
「ったくこいつらは…」
そう言いながら兀突骨は孟獲たちを寝床に運ぶ。呆れながらも孟獲を悪く思っていないのは仲間であるからだ。
「防衛戦ですね。では色々と配置を考えないといけません」
「配置ですか?」
「ええ。ここいらの地形を把握し、僵巴兵を配置します」
「しかし僵巴兵を配置しても指揮をどうするかです。アタイや美以だけじゃ面倒見切れないですよ」
孟獲は元より自軍を指揮する。兀突骨は影姫より借り受けた僵巴兵を指揮する。しかし僵巴兵の数が多すぎて兀突骨だけでは指揮しきれないのだ。
「それには及ばず」
指をパッチンと鳴らすと僵巴兵の中から8体の特別製が現れる。
「こいつらは…」
「傀儡姫と言います。僵巴兵の上位種で彼女たちに指揮を任せようと思います」
「奴らにそっくりですね」
「ええ。彼女たちを参考にしましたから」
傀儡姫。僵巴兵よりも上位種で強固な個体。
(なかなかの出来ですね。しかしそれでも暗影とは程遠い。やはり大事なのは素材と魂ですかね?)
「では彼女たちを将として僵巴兵部隊を分け、配置させます」
「ええ。周囲には毒の泉があるでしょう。それを利用するのも良いでしょう」
「毒の泉か。朶思大王や木鹿大王の力を借りれるか確認してみるか」
南蛮勢も蜀と反乱勢を倒す動きを見せる。
読んでくれてありがとうございました。
次回の更新も2週間後を予定しています。
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孟獲が発動した呪いとは人を獣に変えるモノです。
恋姫アニメ版で人を動物に変える薬があったので、それをオマージュしました。
解呪薬の材料もまんまそのままです。
人を獣に変える呪い…怖いですね。あれ、でもカルデアにも…(キュケオーン)
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南蛮と戦うのための軍議。
初っ端から陳宮が作戦を決めました。「やはり自爆しかありますまい」
桃香は陳宮の作戦に納得できないでしょうが実行するしかないのです。圧倒的な数の差を覆すには。
ところで数の戦力ですが恋姫革命の戦闘パートの兵力数を使わせていただきました。
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獣装束のお披露目会です。
前話のあとがきにも書きましたが天下統一伝と乙女乱舞の衣装です。
藤丸立香はラスカルコラボのものです。ラスカルコラボの立香たちは可愛かったです。
そして恋姫たちの獣衣装も可愛いし、綺麗でセクシーでした。
本文にも書きましたが傾の獣衣装は別格でした。
これらの衣装は検索すれば出てくるかもです。
855
孟獲たちも蜀と反乱勢を迎え撃つ為に着々と準備をはじめています。
南蛮大乱戦がついに始まります。