Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。

FGOではバレンタインイベントが終了してホワイトデーイベントが始まりましたね。
高杉晋作!!
彼が実装とは…嬉しいです!!
もっと、もっと魅力あるNPCたちの実装を!!
そんな事を考えてたら今回のイベントでまた魅力あるNPCがあ!?
もう興奮しっぱなしです。

恋姫†英雄譚5
なんだかんだでもうすぐ発売ですね。
あと2週間といったところです。


南蛮大乱戦-南蛮決戦①-

858

 

 

孟獲の本拠地である祭壇にて。

 

「ふむふむ。ショクとうらぎりものの連中がちかくにきてるにゃ?」

「きた」

「もうちかくにきてる」

「きてるのにゃー」

 

孟獲は部下たちから状況を聞いていた。

蜀と南蛮反乱勢との戦いはもう始まる。既に孟獲たちの戦準備は出来ている。

 

「ついに始まりか。待ってろ魏延」

 

バシっと手に拳を当てる兀突骨。鍛え上げた力と影姫により与えられた力で魏延を潰す事に全力を注ぐ。

孟獲の戦力は影姫の力によって強大だ。蜀と南蛮反乱勢の連合でもどうしようにもならないほどである。

 

「相手も此方の戦力が分かっているはずなのに手を出してくるとは向こうは愚かなのかもしれませんね」

「影姫様の言う通りですね。アタイもこんな戦力差で戦う真似はしません」

「蜀とは何と愚かな。愚かな人間はやはり間違いばかり犯す。やはり今の人間は劣化を辿る一方。ならば新たに創りださねば…」

「影姫様?」

「いえ、なんでもありませんよ兀突骨」

 

ベールで隠れているから顔は分からないはずなのに影姫は笑顔を作る。

影姫はカツンと杖で床を叩くと8人の傀儡姫が現れる。

 

「貴女たちは指示した配置に行きなさい。せっかくですから自分たちと戦ってみなさい」

 

傀儡姫たちは無言でコクリと頷いて素早く移動していく。

 

「影姫様。アタイも」

「ええ。行きなさい兀突骨。せっかくですから魏延とやらの首を持ってきてみてくださいね」

「はっ、影姫様!!」

 

兀突骨は素早く飛び跳ねて焔耶を討ち取りに向かうのであった。

 

「ミィもいくにゃ」

「ミケも」

「トラも」

「シャムも」

 

孟獲たちも迎え撃つ為に出撃しようとするが影姫に手で遮られる。

 

「かげひめ?」

「孟獲が出る幕もありません。奴らは私の僵巴兵によって蹂躙されるのですから」

 

圧倒的な数の暴力で敵を倒す。戦の基本で忠実な戦い方である。

 

「それだとミィは暇にゃあ」

「王とは後方で堂々とふんぞり返ってるものですよ」

「ミィの性に合わないにゃ~」

 

ゴロリと寝転んでゴロゴロと抗議の行動を移すが影姫は無視。

 

「甘い果実でも齧りながら待っててください。蜀と反乱勢の児戯なぞすぐに終わ」

 

大きな爆発音が南蛮中に響いた。

 

「…なんです今の音は?」

 

立て続けてに爆発音が響いていく。

 

「何が起きているのですか?」

 

ポテポテと斥候の南蛮兵たちが戻ってくる。

 

「ばくはつはくはつ」

「どかんどかんどかぁん」

「みんなふっとんでるー」

 

南蛮兵よりも僵巴兵たちの被害が甚大である。爆発音が響くたびに僵巴兵たちが砂屑になって消えていく。

 

「何が起きているのです!?」

 

影姫ですら予想できなかった相手の策。まさかの火力に呆けてしそうになってしまった。

 

「やっぱミィも出るのにゃーーーー!!」

「いくのにゃ!!」

「とつげき!!」

「きー!!」

 

待つ事が性に合わない孟獲。ここは突撃するのが一番だと判断した。

 

「ちょ、孟獲待ちなさい!?」

 

相手の策でいきなり孟獲軍は大混乱である。

 

 

859

 

 

陳宮は見晴らしの良い場所で孟獲軍もとい僵巴兵軍を見据える。

 

「女性の張角殿。貴女の目から見て敵はどう動いていますか?」

「えっとー、大きく右に動いてます。でも左にちょっと動いてるよ」

「なるほど。右が陽動で左から奇襲でもしようとしてますね。迎撃を止めて突撃に変更しましたか。ですがもう遅い」

 

投石機に南蛮反乱勢の兵が乗る。

 

「ちょうせいちょうせい」

「もっとみぎー」

「ひだりだよー」

 

投石機の放出軌道線を確認。放出先が決定。撃ち出される戦士は覚悟を既に決めている。

 

「呵責なく。加減なく。温情なく。そして、命の価値に区別なく」

 

陳宮は腕を孟獲軍に向けて突き刺す。

 

「発射です!!」

「はっしゃー」

「うてー」

 

投石機によって放出された南蛮反乱勢の兵は綺麗に弧を描きながら僵巴兵軍に着弾して爆発する。

 

「フフフハハハハハ、これこそ我が策なり。たった1人の犠牲にて数多くの敵軍を討ち取る。最強の策です!!」

「いま犠牲って言った!!」

「自爆ですから」

 

しれっと犠牲発言をする陳宮。しかし確かに僵巴兵を一気に減らしているのは確かである。

見ていられない光景であるが敵戦力を加減なく減らしていく。

 

「凄いです。わたしには考えられない策です」

「普通は犠牲を出さないように考えるものだからな」

 

死んだ目で戦場を見る朱里と諸葛孔明。

 

「こんなのって…こんなのってないよ」

「桃香さん。これがあの子たちの覚悟なんです」

「分かってる。でも…」

 

犠牲の特攻自爆作戦。これしか勝つ方法は無いのであれば断腸の思いで実行するしかない。

 

「桃香さん。我々がするべき事は早く孟獲たちを拿捕する事ですよ」

 

徴姉妹は水を形成させて武器を象る。

 

「姉さんこっちは準備完了だよ」

「うん。行こうか弐っちゃん」

 

徴姉妹の後ろには戦士の南蛮反乱勢の兵たちが控えている。

陳宮の策によって孟獲の本拠地への道が出来た。今から決死の覚悟で敵陣に突撃するのだ。

 

「私たちはもう覚悟出来ました。桃香さんは出来ましたか?」

 

桃香は静かに深呼吸をする。そして覚悟を決めた。

 

「わたしも大丈夫です」

 

桃香の後ろには愛紗と鈴々が立っている。そして蜀の兵士たちも控えている。

 

「行こう愛紗ちゃん鈴々ちゃん」

「はい」

「うん!!」

 

開いた道に一直線に突撃する部隊は徴姉妹の部隊と桃香たちの部隊だ。

 

「一番槍は私が行きましょう。ヒヒーーン!!」

 

赤兎馬が一番槍として早速突撃していく。僵巴兵たちを薙ぎ払っては突き進む。

 

「赤兎馬さんの後に続きましょう桃香さん!!」

「うん。行こうみんな!!」

 

徴姉妹と桃香たちは走り出す。目指すは孟獲のいる本陣である。

 

「決戦だね姉さん」

「徴王の名において命じます」

「立ち上がれ、覚悟を決めし南蛮反乱勢たちよ!!」

「皆の力が郷土を正し、六十五城の奮起へと至る!!」

 

徴姉妹が鼓舞を上げる。すると南蛮反乱勢は力強い咆哮を上げ始めた。

 

「すごい。こんなにも士気が上がっている」

「なら我々も負けてられないですね。お前たち、彼女たちに負けるな。我らも力を示す時だ!!」

 

愛紗も鼓舞を上げると蜀の兵士たちも負けないくらいに咆哮を上げる。

 

「わたしも負けてられないね。みんな、お願い力を貸して。わたしもみんなの力になる!!」

 

蜀の兵士たちは桃香を信頼している。だからこそ彼らは桃香の為に戦うのだ。そして己の目指す平和の世の為に。

 

「行こう桃香さん」

「うん。徴側さん」

「そこで自爆です!!」

「「……」」

 

清々しい程の陳宮の声が響くのであった。

 

 

860

 

 

蜀と南蛮反乱勢の策は自爆特攻作戦と徴姉妹たちによる突撃作戦だけでない。

他の部隊も自爆特攻作戦が始まる前から動いているのだ。自爆特攻作戦と徴姉妹たちの突撃作戦は敵からしたら目を見張る。

だからこそ慎重に動いている部隊が敵陣の深い所に入り込める。既に焔耶たちは孟獲本陣近くに進んでいる。

 

「来たな魏延」

「ゴツゴツトツ」

「兀突骨だ!!」

 

焔耶は兀突骨と相対した。

 

「恐ろしい事をしているな仲間を犠牲にするとは。いや、元々は敵だから痛くもかゆくもないか。最悪な王だな」

 

自爆を食らった事があるからこそ今起きている作戦の恐ろしさをいち早く気付く。

 

「劉備様はあいつらの覚悟に心を痛めていた。だがその覚悟を尊重もしている。素晴らしい君主だ。ワタシを陥れるのは構わないが劉備様を陥れるのは許さないぞ兀突骨!!」

 

焔耶は強く己の得物を握って駆ける。

 

「やっとアタイの名を呼んだな!!」

「劉備様を陥れる貴様はワタシが潰す!!」

 

鉄の棍棒と大剣がぶつかり火花が弾けとぶ。

焔耶は兀突骨と戦闘開始。

 

「おいおいこりゃ面白い事になってんな」

「私は気持ち悪いんだけど」

 

炎蓮と雪蓮の目の前には自分とうり二つの人間が立っていた。その光景は何も彼女たちのところだけではない。

 

「…恋がいる」

「なななななな、ねねがいるですとー!?」

 

恋と音々音の前にも自分とうり二つの人間が現れる。

 

「おいおい。これはなんの冗談だ」

「傾が2人?」

 

傾もまた自分と顔合わせしている。

 

「わ、わわわ私!?」

「天和姉さんが2人!?」

 

天和も同じく自分と出会う。

 

「鈴々がいるのだ!!」

「お前は…いや、あいつじゃないな。これ以上増えても困るぞ」

 

鈴々と愛紗の前にも自分自身が立っている。

南蛮の地で自分自身が現れるという謎の現象が起きた。

完全に見ても自分とうり二つである。

違うとすれば今の自分たちは獣装束を着ており、現れた己はいつもの恰好という点。

 

そして虚ろな目と額に刻まれた謎の刺青だ。

ただの偽物というわけではないのだけは分かる。現れた自分自身の強さは油断できない。

 

だからこそ愛紗たちは油断しないで武器を構えた。

愛紗たちは己自身(偽物)との戦いが始まる。

 

 

861

 

 

己自身にそっくりな人間。

愛紗は己の未来の自分だという者に出会っている。しかし目の前にいる者は完全に偽物だと分かる。

ただの偽物であればただ倒すだけである。

 

「愛紗ちゃんと鈴々ちゃんにそっくり…でもアレ、あの額の紋様は」

 

桃香は謎の洋館で出会った曹洪の偽物を思い出す。あの偽物も額に謎の紋様が刻まれていたのだ。

同じように目も虚ろで生気の無い。しかし不気味さだけは強く恐ろしい。

 

「あの屋敷で出会った曹洪さんの偽物とそっくり」

「桃香様と楊貴妃が戦ったという偽物ですか」

 

妖術も使ったという偽物。ならば相手も妖術を使うかもしれない。

 

「桃香様ここは私と鈴々で相手します。徴側殿に徴弐殿、桃香様をお願いします」

「分かりました。必ず守ります。行きましょう桃香さん」

「愛紗ちゃん、鈴々ちゃん気を付けて!!」

 

徴姉妹と桃香が目指す先は孟獲の本陣だ。

 

「さて、鈴々。さっさと偽物を倒して桃香様を追うぞ」

「分かってるのだ」

 

彼女たちは自分そっくりの偽物の正体が影姫が生み出した傀儡姫だという事は分からない。しかし偽物なのだから倒せばよいという事だけは即理解できたのだ。

 

「偽物だが未来の自分だとかもうウンザリだ!!」

 

愛紗は青龍偃月刀を振りかぶると関羽(傀儡姫)も同じく振りかぶって交差する。鈴々と張飛(傀儡姫)も同じ状況だ。

 

「ぐぬぬ、鈴々の偽物けっこうやるのだ」

 

蛇矛での打ち合いは拮抗する。

偽物だというのに同じくらい強いのが気に入らない。偽物に負けるのがもっと許せない。

 

「にゃあああああ!!」

 

今の鈴々は呪いとはいえ、兎の力が身に付いている。

脚に力を入れて踏み込む。そして一気に張飛(傀儡姫)に突撃し、吹き飛ばす。

 

「どうなのだ!!」

 

倒れたかと思ったが張飛(傀儡姫)は幽鬼のように起き上がる。

 

「んにゃ、けっこう丈夫みたいだよ愛紗」

「そのようだな。しかしアイツよりは弱い!!」

 

愛紗は青龍偃月刀で関羽(傀儡姫)の片腕を切り落とす。

 

「偽物とはいえ自分の腕を切り落とす時がくるとはな」

 

切り落とされた腕からは血は流れず、泥が崩れた。

 

「やはり僵巴兵と同じか?」

 

僵巴兵と同じであれば影姫が作り出したので間違いない。

 

「影姫とやらは何者だ?」

 

泥から人間を作り、更に同じ人間を泥から作る術を使う。方法によれば恐ろしい使い方が出来るものだ。

簡単に敵を騙し、人を疑心暗鬼にし、コミュニティを内部から崩していく。内部分裂を簡単に出来るというもの。

 

「愛紗。なんか来るのだ」

「偽物どもめ何をする気だ」

 

警戒する愛紗と鈴々。

 

「んにゃアレは!?」

 

張飛(傀儡姫)は蛇矛を地面に立てて手放すと腕を顔の前で交差させて気を溜める。

 

「鈴々の技!?」

「□□□□□ーーー!!」

 

雄叫びと共にため込んだ気を爆発させるように開放した。

愛紗や鈴々だけでなく周囲に蜀の兵士や僵巴兵ごと吹き飛ばす。

 

「り、鈴々ぶじ!?」

 

愛紗は衝撃によって態勢を崩された時、視界に映ったのは片腕で炎を纏った青龍偃月刀を持った関羽(傀儡姫)だ。

 

「あの偽物、あいつの技を使うのか!?」

 

今度は周囲に爆炎が巻き起こった。

 

 

862

 

 

重く強き衝撃音が響き渡る。その衝撃波で周囲にいる南蛮の兵士や僵巴兵たちが吹き飛ぶ。

戦っているのは恋と呂布(傀儡姫)だ。方天画戟が一度撃ち合うだけで嵐のような衝撃が生まれる。

 

「…こいつできる」

 

恋の偽物だが強さは馬鹿には出来ない。だからこそ恋は自分の偽物に油断しない。

 

「恋殿の偽物なんて許せません。そしてねねの偽物もいるってなんですか!?」

 

陳宮(傀儡姫)は旗を武器に音々音に襲い掛かる。それを何とか回避していく。

音々音は軍師であり、武人ではない。しかし陳宮(傀儡姫)は戦える。そっくりと言っても戦える戦えないの違いはあるようだ。

 

「ねね殿!!」

 

颯爽と現れるは秦良玉。陳宮(傀儡姫)の旗をトネリコの槍で受け止める。

 

「秦良玉殿ですか」

「ねね殿。無事ですか」

「無事です。助かりました」

「まだパンダになってませんね」

「今のは残念がったんですか。それとも安心したですか」

 

答えない秦良玉。それに対してジト目の音々音。

 

「まあ、ともかく秦良玉殿の力を貸してください」

「そのつもりです」

 

秦良玉は陳宮(傀儡姫)と撃ち合う。

 

「ねね殿。貴女の力も貸してもらいます」

「分かってるです。このパンダの力を見せてやるです」

 

音々音は軍師で武人ではない。しかし今はパンダの力が身に付いているのだ。

彼女は足に力を込める。敵に隙が出来ればすぐさま彼女の十八番が繰り出されるのだ。

 

「…斬る」

 

方天画戟を自由自在に振るうが呂布(傀儡姫)も同じように振るって迎え撃つ。

 

「…………」

「…何か言った?」

 

呂布(傀儡姫)は何か呟いたが恋の聴力でも何を言ったのか聞き取れなかった。

 

「…何か来る」

 

方天画戟を高速回転させた呂布(傀儡姫)は気を溜める。そして恋に向かって振りかぶった。

 

「…撃ち返す!!」

 

陳宮による自爆特攻とは別に大きな爆発音が南蛮の森に響くのであった。

 

 

863

 

 

楼杏部隊が率いる蜀軍は僵巴兵軍を徐々に圧していく。敵の数は多いが楼杏の指揮と練度の高い兵士たちの連携によって何倍も戦果をあげていく。

 

「敵は所詮、数が多い泥の兵士だ。臆するな、我が力を信じろ。全ての敵をなぎ倒せーー!!」

 

彼女の号令によって蜀の兵士達は雄々しく雄叫びを上げながら僵巴兵を切り崩していく。

 

「いっけーー!!」

「みんな一緒にがんばろー!!」

 

電々と雷々も素早く動きながら僵巴兵を攪乱させていく。そして俵藤太が刀で切断。

 

「俵さーん、こっちこっち」

「こっちもー」

「おう。任せろ」

 

俵藤太にとって僵巴兵は取るに足らない存在だ。油断はしないが僵巴兵では彼には勝てない。

 

「それでも数が多いな」

「ほんとだよ」

 

実力では負けないが数が多すぎて疲労が溜まる。限界に達した時が敗北の時だ。

 

「傷を負った者は退くのだ。あまり前にも出過ぎるな。距離を保つのだ!!」

「皇甫嵩様。左翼より奴らが向かっております!!」

「迎え撃つのだ。あの実力では我らの敵ではない!!」

「はっ!!」

「皇甫嵩様。南蛮兵が奇襲を仕掛けてきました!!」

「南蛮兵は此方の南蛮兵を向かわせろ。あの子たちなら大丈夫だ」

「はっ!!」

「がんばる」

「いっぱいがんばる」

 

楼杏は適格にテキパキと指示していく。

 

「楼杏さんやっぱりすごい。指示が正確だ」

「うんうん。あれがカッコイイ大人の女性って奴だね」

「流石は将軍だ。これなら…いや、また何か来たぞ」

 

僵巴兵たちの軍勢の中から掻き分けて現れたるは大きな毒蛇だ。

 

「でかっ!?」

「大きな蛇!?」

 

人間を何人も一気に丸飲みに出来るくらいの大きさだ。この怪物には流石に蜀の兵士たちも臆してしまう。

 

「これはちと手こずるかもな」

 

俵藤太は刀の柄を強く握り直す。

 

 

864

 

 

バチュンと鞭と鞭が弾け合う音が響く。その鞭の使い手は傾である。

 

「ええい。敵が自分と同じとは気味が悪いな!!」

 

傾が相手をしているのは己自身。正確にはそっくりな偽物である傀儡姫。

彼女は荊軻、桔梗、蒲公英を含めた部隊で南蛮本陣を攻めていたがまさかの傀儡姫に接触。

すぐさま桔梗から「お主が倒せ」と命令されて相手をする事になった。偽物が我が物顔で存在するのは傾としても不快なので速攻処理するつもりであったが実力があったので苦戦しているのだ。

 

「こいつ…流石は私の偽物といったところか!!」

 

傾と何進(傀儡姫)の鞭捌きが激しく蛇のようにうねる。

 

「よし。傾に偽物を任せて儂らはこ奴らを殲滅するぞ」

 

豪天砲を発射し、僵巴兵たちを消し飛ばす。その威力は自爆特攻に引けを取らない。

 

「んもう、こいつら数が多いし気味悪い!!」

 

蒲公英は槍を振るって僵巴兵をなぎ倒す。

 

「確かに多いがこの程度の数だと思えばいい。もっと多くなる戦いがこれから起きるだろうからな」

「え?」

 

荊軻がポツリと呟いた言葉に蒲公英は反応した。

 

(これよりもっと多くの…確かにね。私たちが戦う相手は南蛮や謎の影姫だけじゃないんだから)

 

蒲公英たち蜀の敵は南蛮だけじゃない。呉や魏はもっと大きい。そして更に謎なのが于吉という方士。

数が多いだけの不気味さだけで弱音は吐いていられない。

 

「弱音を吐いてられないね」

 

己の得物を力強く振るう。荊軻は流れる様に匕首を振るい僵巴兵を切っては泥に還していく。

 

「やっぱ荊軻は早いね。なら私も負けてられないね」

「儂の豪天砲はまだまだ発射できるぞ!!」

「傾よ。そっちは片がつきそうか?」

 

鞭をうねりように打ち合う傾と何進(傀儡姫)。

 

「まだかかりそうだ。こいつ案外手ごわい。流石は私の偽物といったところだ」

「そうか。手助けはいるか?」

「必要ない。自分の偽物は私でケリをつける」

 

彼女は自分の偽物に踏み込んで蹴りを腹に叩きこむ。

 

「ちっ、痛がっている顔もしないな。効いているのか分からん」

 

何進(傀儡姫)はゆらりと不気味に立ち上がっては無表情でまた鞭を振るってくる。

 

「こうなったら獣の力を解放するか?」

「獣の力と」

「今の私は黒豹とやらの力があるんだろう。ならその力を使うまでよ!!」

「具体的には?」

 

黒豹がどのような獣か分からない傾。

 

「黒豹とはどのような獣なのだ?」

「お主が着ている下…服の柄の動物だ。四足歩行で猫科だ」

 

やはりどこからどう見ても傾の獣装束は服でなはく下着である。戦いの最中も激しい動きをしていると危ない部分がはみ出そうになる。

 

「こうか?」

「女豹ポーズをしてどうする。誰かを誘惑するつもりか」

「誘惑するなら立香だな」

 

余談だが藤丸立香の中で一番男としてグッときたのは傾なので誘惑は効く可能性は高い。

なにせ彼女だけが他と違って服というよりも下着だからだ。

 

「何となくだが感覚が鋭くなってきた気がするぞ」

「女豹のポーズで……む、なんか彼女の背後から黒い気が滲み出てるな」

 

何故か本当に獣の力が解放できそうになっている。

 

 

865

 

 

剣戟の音が響き渡る。

激しく、強く、重く、素早く、剣が振るわれる。

 

「もう、私の偽物が案外強いんだけど!!」

 

雪蓮は孫策(傀儡姫)と斬り合う。そして炎蓮もまた孫堅(傀儡姫)と斬り合っている。

自分の偽物と戦うのは変な感じだが、前に蓮華は自分と同じ存在に出会ったと言っていた事を思い出す雪蓮。

未来の自分だか何だとよく分からないが、蓮華もまた今の雪蓮と同じ気持ちかもしれない。

 

「同じ顔がいるってのは何だか不気味ね。しかも無表情で何も喋らないなんて」

「………」

「なに?」

 

孫策(傀儡姫)が何か呟いたようにも聞こえたが気のせいだと判断してすぐさま剣を振るう。

 

「うおうりゃああああああああ!!」

 

激しく重い一振りを孫堅(傀儡姫)を受け止める。

 

「ちっ、こいつなかなかやるな!!」

 

久方ぶりの自分自身とまともに戦える相手。少しだけ楽しいと思ってしまうが今はさっさと不気味な自分の偽物を倒すだけだ。

 

「援護はいるかぁ?」

「「いらん!!」」

 

燕青は突き出した拳で僵巴兵を泥に還す。

 

「では儂らはこ奴らを片付けるだけだ」

「だなぁ」

 

李書文(槍)は槍を振るって僵巴兵を泥に還す。

2人の視界には数多の僵巴兵たちが写る。

 

「片付けられるよな?」

「虞問だな」

 

2人は同時にスキルを全開放。僵巴兵たちは敵ではないが数が多いのは難点すぎる。

時間を掛けてはいられない。時間が経てば経つほど魔力を消費し、疲労が溜まる。やるならば短期決戦で相手を全滅させる。

 

「どっちが多く倒せるか競争だ」

「ふっ、すぐに終わる」

 

雪蓮たちが己の偽物と戦っている間に燕青と李書文(槍)は僵巴兵の軍団に不敵な笑みを浮かべながら突っ込んだ。そして僵巴兵たちは宙に舞った。

 

 

866

 

 

陳宮の自爆特攻作戦は順調だ。少ない被害で僵巴兵の軍団をどんどんと壊滅させていく。

 

「良いですね。順調に道は出来上がりました。徴姉妹たちには頑張ってもらえましょう」

 

他の部隊も戦闘に入っており、陳宮の想定内の戦闘状況と被害状況である。

 

「張角さん。まだ奥の方は見えますか?」

「見えるよ陳宮さん」

(ふむ。草食動物は目の位置からして距離を測る能力は悪いはずですが今の彼女は人間と動物の混ざり物状態。今は良いとこ取りってとこですかね。しかし時間が経てば本当に羊と同じ視界になる。なら今の内にもっと活用してもらわねば)

「孟獲はもうすぐ桃香ちゃんたちと接触しそう」

「ふむ。そこに自爆投下はできませんね」

 

現在な状況は各配置にて戦闘が行われている。張角の視界には戦況は蜀と南蛮反乱勢の方が優勢。

これも全て陳宮の自爆特攻作戦の戦果である。おかげで僵巴兵の数は徐々に減りつつある。南蛮の方は南蛮反乱勢たちが抑えている。

 

「あ、焔耶さん…魏延さんの方はマズイかも」

 

タラリと冷や汗が頬を伝る。

 

「ゴツコツコツだっけ……なんか凄い事になってる」

「凄い事?」

「うん。なんか木になったというかなんというか。いや蔓?」

「蔓?」

「えーっと蔓の妖魔みたいになってる」

「……まあ、大丈夫でしょう。ところで祭壇には影姫とやらいますか?」

 

天和は目を細めながら祭壇の方を見るが影姫らしき人物は見当たらない。

 

「あれあれ?」

「どうしました?」

「何か…祭壇のところには誰も見当たらないけど靄っぽいのがあって見にくいかな」

(認識阻害の術でもかけているのかもしれませんね)

 

現在は祭壇の所には誰も居ないが予想では影姫だけがいる。

 

「次弾装填です」

「じだんじだん」

「そーてん」

 

投石機に南蛮反乱勢の子が乗る。

 

「投下先は祭壇です。おもいっきり飛ばしてください」

「かくごかんりょー」

「はっしゃはっしゃ」

 

投石器によって発射される南蛮反乱勢の子。そして祭壇に投下された瞬間に爆発した。

 

「張角殿。状況は?」

「えーっと、祭壇は無事です。なんか靄のようなところで防がれた感じです」

「やはり…張角殿。別動隊の動きは?」

「まだ敵にみつかってないよ。順調に近づいていってる」

「ならよし」

 

またも次弾を装填している時に地和の悲鳴が聞こえた。

 

「ちぃちゃん!?」

 

天和の視界は南蛮勢から外れて地和の悲鳴の方に向く。そしてまさかの光景が写る。

 

「え…わたし?」

「天和姉さんが二人!?」

「まあ、状況からしてあっちが偽物でしょうね」

 

冷静に人和は状況に分析。すぐさま現れた己の姉は偽物だと判断。

 

「偽物よちぃ姉さん」

「だ、だよね」

「それよりも偽物の姉さんの後ろに連れてきたのが厄介」

 

張角(傀儡姫)の後ろには僵巴兵の軍団。

 

「ち、陳宮さんこれまずいんじゃ」

「おやおや。まさかここまで接近されてたとは…まあ予想通りです」

「予想通りだったの!?」

「ええ。此方の数と相手の数では相手が圧倒的に多い。ならいずれ此方の隙を突いて来るはずですから」

「先に言ってよ~」

「いえ、既に皆は予想していましたよ」

 

張角(傀儡姫)と僵巴兵の軍団の前にカルデアの張角と諸葛孔明が立ちはだかる。

 

「その敵をこっちに近づけないでくださいよ張角、孔明。私は自爆特攻作戦で忙しいので」

「貴様はただ面倒事を押し付けただけだろう」

「まったくこちとら爺なんじゃ。少しはキツイ仕事はさせんでほしいの若造どもめ」

「貴方たちにうってつけの敵ですよ」

 

南蛮の森の各所で戦闘が始まっていく。しかしまだまだ戦いは始まったばかりである。

 

 




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新も2週間以内をめざしてます。


858~859
ついに始まった南蛮との戦い。
はい。いきなり陳宮の自爆特攻作戦で影姫たちの陣営はメチャクチャです。

公式ではどうかわからないけどカルデアの陳宮はこういう戦だと満面な笑みな気がします。(個人的な感想です)。めちゃくちゃ宝具を撃ってるようなもんですからね。

傀儡姫。恋姫たちの偽物です。
僵巴兵よりも性能は断然格上です。


860~865
各場所での戦闘です。まだまだ始まったばかりなので盛り上がりには欠ける。
次回から盛り上げていきたいです。(頑張る)
焔耶・恋姫(獣)・カルデア。この3つに分かれますね。
その次に徴姉妹と桃香VS孟獲たちになる予定です。

立香と一刀たちは別に動いてます。
今回は出番なし。

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