Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
気が付けば4月の中旬。なんだかんだでGWが近づいてきましたね。
という事はFGOの新イベントは気になるところです。
ACのコラボ…楽しみです!!

さて、此方の本編ではそろそろ南蛮編も最終戦です。
どのような展開になるか本編をどうぞ。


南蛮大乱戦-南蛮決戦④-

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徴姉妹たちの前には孟獲たちが立ちはだかっていた。

 

「ついにここまできたにゃ!!」

「きたにゃきたにゃ」

「きたにゃー」

「にゃー」

 

孟獲の周りには一番の部下であるミケ、トラ、シャムも戦闘態勢だ。

 

「孟獲ちゃん」

「なんにゃ」

 

桃香が一番に孟獲へ声を掛ける。

 

「もうやめうよ。戦う必要なんてない。みんな仲良くなりたいだけ。反乱した子たちはまた孟獲さんと仲良くなりたいって言ってるよ」

「うらぎりもののことばにきくみみないにゃ。おまえたちをたおして南蛮をさいとういつするにゃ」

「孟獲ちゃん…」

「桃香さん。元々戦う予定だったんです。ならこの戦を早く終わらせましょう」

「うん」

 

徴姉妹と桃香。孟獲とミケ、トラ、シャム。両陣営の大将戦が今始まる。

 

「いくにゃあ。ミケ、トラ、シャム!!」

「「「おおーー!!」」」

 

ミケたちが武器を持って突撃する。

 

「踏・南ばんっ!!」

 

ミケによる連続の踏みつけ攻撃。

 

「廻・南ばんっ!!」

 

トラによる転がり攻撃。

 

「堕・南ばんっ」

 

シャムはパチンコのような武器で石を撃つ。

 

「来るよ姉さん」

「うん、にっちゃん」

 

3人のとっておきの必殺技が徴姉妹たちを襲う。しかし徴姉妹たちに届くことはなかった。

 

「人馬一体!!」

 

赤兎馬がミケたちを一蹴したからである。

 

「ミケ、トラ、シャム~~!?」

「ふむ。この程度ですか」

「こいつなんにゃあ!?」

 

ヒヒンとイケメンボイスで赤兎馬は腕を組む。

 

(((そう言えば居るの忘れてた)))

 

圧倒的存在感だが忘れていた徴姉妹と桃香。圧倒的UMAであるがゆえに視界から外していただけかもしれない。

 

「うぬぬぬ…やるにゃあ。なら南蛮のだいおーとして力をみせるにゃ!!」

 

孟獲は得物である虎王独鈷を背中から降ろして構える。

 

「みぃの必殺技をうけるがいいにゃあ!!」

 

虎王独鈷に真っ赤な気を集中させ膨張させる。

 

「南蛮虎印!!」

 

気を集約させた虎王独鈷をおもいっきり力の限り赤兎馬へと叩きつけると地面に大きな肉球の跡が灼けついた。

 

「どうにゃ!!」

「ほほう、なかなかの一撃です。小柄でありながらこれ程とは…貴女を武人として認めましょう」

 

赤兎馬は孟獲から間合いを取る。彼は巨大な槍をブンブンと振り回し構え直す。

 

「いざ、じんじょーに」

「勝負!!」

 

赤兎馬の巨大槍と孟獲の虎王独鈷がぶつかり合う。

 

「出番を取られたね姉さん」

「そ、そうだね」

「さっきまでの流れってわたしたちが戦う流れじゃなかったかな。いや、わたしって剣は全然だけど」

 

徴姉妹と桃香は空気になってしまった。というよりは赤兎馬が彼女たちの出番を圧倒的存在感で分捕ったのだ。

 

「ポカンとしてる暇ないと思う。さっさと孟獲捕まえて終わらせよう。次は黒幕の影姫でしょ」

「弐っちゃんの言う通りだね。うん、真剣勝負と言っていたけど早く戦を終わらせるため」

「うん。武人同士の真剣勝負に入り込むのは駄目って愛紗ちゃんに聞いたけどそれどころじゃないもんね」

 

徴姉妹と桃香は赤兎馬の援護に向かおうとしたが足が止まる。

 

「決・着。ヒヒーーン!!」

「負けたにゃあ~」

 

孟獲は地に倒れていた。

 

「もう終わってる!?」

「あれれ!?」

「あの馬…」

 

巨大槍を振り回し、勝利のポーズを決める赤兎馬だった。

 

「えーっと…これで終わりなのかな?」

「まだ影姫が残ってるよ桃香」

「あ、そうだったね徴弐さん」

 

何はともあれ孟獲はこれで確保かと思えば跳躍して全員から間合いを取った。

 

「まだにゃーー!!」

「ほう。もう勝負はついたも同然ですが?」

「まだみぃにはとっておきの戦力があるにゃ!!」

 

孟獲は手を天に上げてビシと指を赤兎馬たちに向ける。

 

「南蛮大進撃にゃーーー!!」

「とつげきー」

「とつげきとつげきー」

「きーーー」

 

先ほど赤兎馬が倒したミケたちが象に乗って突撃してきたのだ。

孟獲というよりも南蛮の最高戦力の戦象たち。涼州の翠たちが馬に乗るならば、南蛮の孟獲たちは象に乗る。

 

「ぞ、象!?」

「やっぱ象を戦力として持ってましたか」

「だよね」

 

桃香は驚いていたが徴姉妹は予想通りといった顔であった。元々、彼女たちは象を戦力として乗っていたのだ。

 

「象は可愛いけどとっても強いです。怒るととっても凶暴になります」

 

象の力はとても強力だ。猛獣なんかを簡単に踏み潰せる。そんな戦象が人間に対して突撃してくるのだから恐怖ものだ。

 

「来るよ躱して!!」

「桃香さんこっち」

「わわっ!?」

 

徴弐の声に徴側は桃香の手を引っ張って戦象の突撃を回避。しかし赤兎馬はドッシリと立ったまま。

 

「ふむ。象ですか」

 

赤兎馬は巨大槍を地面に刺し、両手を広げて構える。

 

「来い!!」

 

突撃してくる1体の戦象を正面から受け止めた。

 

「ふーー。我、呂布奉先。象の力など如何なるものぞ!!」

「いや、アンタは馬だから」

 

赤兎馬の台詞にツッコミを入れる徴弐。

 

「止まれ」

「ぱおぉぉ…」

 

戦象は大人しくなった。獣の本能で勝てないと分かってしまったのだ。

 

「にゃにゃ、どうしたのにゃ!?」

 

残りの戦象は2体。トラとシャムが乗った戦象だ。

 

「弐っちゃん」

「うん。姉さん」

 

徴姉妹は水を武器へと形成させる。

 

「ごめんね象さん」

 

徴側は一言謝って戦象の脚を狙う。殺すつもりはなく、転ばして動きを封じるだけだ。

 

「にゃにゃにゃ!?」

「にゃ~~~~~」

 

トラとシャムもコロコロと転がっていった。

 

「みぃのさいきょうせんりょくがー!?」

 

まさか最強戦力である戦象が破られるとは思ってなかった孟獲。その顔は驚愕していた。

 

「今度こそ終わりです。孟獲ちゃん負けを認めてください」

「孟獲ちゃん。もう終わりにしよう」

 

徴側と桃香は孟獲に投降を奨める。

 

「いやにゃ。みぃはまだまけてないにゃ!!」

「孟獲ちゃん」

 

敗北を認めない孟獲。大王として負けを認められないのだ。

 

「ええ、まだ負けてませんよ孟獲」

 

濃厚な威圧感が周囲を急に支配する。すぐさま徴姉妹たちは声が聞こえた方に視線を向ける。

視線の先には顔をベールで隠し、白い肌に赤い刺青。美しい長い黒髪を靡かせ、抜群なプロポーションの美女がゆっくり歩いて来ていた。

 

「あの人は…」

「桃香さん。あの人がきっと影姫でしょう」

 

傀儡姫たちを創り上げた妖術士。圧倒的な妖力が滲み出ていた。その力に桃香は震えてしまう。

 

(なにアイツ…あんなの神霊並みじゃないか)

 

徴弐はすぐさま相手が最強の一角だと判断。すぐさま魔力を研ぎ澄ます。

 

「追い詰められてますね孟獲」

「影姫さまにゃか。手をださなくてもいいにゃ。みぃがたおすにゃ」

「しかしもう手が無いでしょう」

「うにゃ…」

 

最高戦力である戦象を止められてしまえばもう孟獲は何も出来ない。

 

「任せてください私が力を貸しましょう」

「パヤ?」

 

影姫はヒョイっと孟獲の頭に乗っていた桃色の象(パヤパヤ)を掴む。

 

「この子に力を授けましょう」

 

影姫は妖力をパヤパヤに注ぎ込むと怪しい光を発した。

 

「パヤーーーーーー!?」

「パヤパヤ!?」

 

パヤパヤはどんどんと大きくなっていき、凶暴な象へと変身した。先ほど止めた戦象よりも大きい。

 

「行きなさい孟獲の象よ。敵を潰すのです」

「パオオオオオオオオ!!」

 

狂暴化したパヤパヤは徴姉妹たち突撃するのであった。

 

 

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狂暴化したパヤパヤは周囲の敵味方関係無く暴れ回る。暴れ回るがターゲットは徴姉妹と桃香たちだ。

圧倒的な体躯と暴力で周囲の兵たちは吹き飛ぶ。柔軟で力強いパヤパヤの鼻はもはや凶器である。

 

「うわわわっ!?」

「桃香さん危ない!!」

「世話の焼ける」

 

徴弐がパヤパヤの鼻から桃香を抱えて回避する。

 

「あ、ありがと徴弐さん」

「出来るだけ遠くに離れてて。あんなの直撃したら胴体が千切れるよ」

「ひえっ…」

 

千切れるは言い過ぎかもしれないが骨が複雑骨折する可能性は高い。現代で言うならば重機が突っ込んでくるようなものだ。

 

「弐っちゃん止めるよ」

「分かってる。赤兎馬も手伝え」

「勿論ですとも。これだけ大きな獲物は久しぶりですね」

 

徴姉妹と赤兎馬が左右に分かれて魔力を研ぎ澄ます。

狙うはパヤパヤの脚だ。どんなに大きな獣でも機動力の要である脚を狙えば動けなくなるものだ。

 

「ぜえい!!」

「「水蜻蛉!!」」

「パァオオオオオオオオオオオン!!」

 

脚を狙うがどうやら効いておらず歩みは止まらない。

 

「む、堅いですね」

「ちょっとやそっとの攻撃じゃ効かないか。姉さんこれは手加減云々言ってる場合じゃないよ」

「…そうだね」

 

罪のない動物に攻撃するのは気が引けるが、逆に襲われて殺されては本末転倒だ。

仲間を救うには、勝利するには本気で挑まねばならない。

 

「巨大な象よ。一体の敵として本気でお相手しよう」

「ごめんね象さん。本気でいくよ」

「謝る必要はないと思うけど…」

 

赤兎馬と徴姉妹はスキルを発動。

 

「武芸百般(馬)、千里疾走(馬)!!」

「「姉妹の絆」」

 

巨大な槍を振り回し、水で形成された武器でパヤパヤを撃つ。

 

「パオオオオオオオオ!?」

「「呼吸を合わせて、二人で一緒に!!」」

「雄々々ぉぉ人馬一体!!」

 

本気を出した赤兎馬と徴姉妹の猛攻に流石のパヤパヤも動きが遅くなり、抑え込まれてゆく。

 

「みんな丈夫で長い蔓でこの象さんを搦めて!!」

「「「にゃにゃにゃにゃにゃーー!!」」」

 

南蛮反乱勢の子たちが丈夫な蔓でパヤパヤを絡め、動けなくしようとする。

 

「こっちも手伝って!!」

「「「オオオオオオオオ!!」」」

 

桃香の指示で蜀の兵士たちも狂暴化したパヤパヤを動けなくしようと丈夫で長い蔓で捕縛しようとする。

 

「パヤパヤ!?」

「おやおや、少し強化しましたが足りなかったようですね。ならばもっと力が必要ですか」

 

影姫は手をかざし、怪しい光を天からパヤパヤへと落とす。

 

「パアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」

「なに!?」

 

パヤパヤはより巨大化し、桃色の肌が黒くなっていく。牙は大きく伸び、鼻も太く長く伸びる。

目は赤くギラつき、尻尾は二股に分かれており、何故か赤と青の色。耳は大きな羽のようだ。

 

「大きい…!!」

「大き過ぎでしょ」

「パオオ、パオオオオオオオ!!」

 

より巨大に狂暴化したパヤパヤに南蛮反乱勢と蜀の兵士たちは簡単に吹き飛ばされる。

エネミーで言うならば巨獣レベルだ。

 

「巨獣特攻のスキル持ってないしマズイな」

「弐っちゃん弱気になっちゃダメだよ」

「大丈夫。なってないよ姉さん」

「ヒヒン。なに、この程度ならば腕が鳴るというものです」

 

魔力解放。赤兎馬と徴姉妹はもう一度スキルを発動する。

 

「戦闘機動(馬)!!」

「「軽やかに、しなやかに、スキル発動。徴聖王」」

「パオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」

 

パヤパヤは耳を大きく羽ばたかせ、荒々しい風を発生させて態勢を崩させる。そして狂暴で太くて長い鼻を振るって胴体を千切る。

それがパヤパヤの獣の本能としての思いついた狩り方だ。しかし狩り取る相手はただの獲物ではない。

 

「やりますな。しかし人馬一体である私に効きはしない!!」

 

赤兎馬は強風に耐え、凶暴な鼻の一振りを巨大な槍で受け止めていた。

 

「パオ!?」

「もう一度いくよ。姉さん」

「うん、弐っちゃん」

「「合体メコンデルタ!!」」

 

徴姉妹は武器を1つに繋ぎ合わせて大きな水の傘を形成させて全力で直撃させた。

 

「パオ…パオオオオオオオオオ!!」

 

攻撃を喰らってもパヤパヤは暴れ回るのが止まらない。

 

「この子…」

「うん。最初は私たちに狙いを定めながら暴れていたけど今は違う」

「「ただ我を忘れて暴れ回ってる」」

 

最初から敵味方関係無かったが今はどう見ても狂乱しているように暴れているのだ。

 

「ぬう…力を付与されたようですが限界だったようですね」

 

最初は狙いを定めていたパヤパヤは徴姉妹たちを視界に入れていない。まるで命を全て燃やすくらいの暴れ方だ。

 

「影姫さまパヤパヤがおかしいにゃ。なんかおかしいにゃ!?」

「おかしくないですよ。あの象は頑張っているのです」

 

頑張っていると聞けば聞こえは良いかもしれないが、どう見てもパヤパヤはおかしい。

象の中でもパヤパヤは孟獲と一緒に育った特別な象だ。だからこそ大丈夫なのか危険な状態なのか分かる。そして孟獲の目からしてパヤパヤは危険な状態である。

 

「ちがうにゃ。あれはだめにゃ。あのままじゃパヤパヤはしんじゃうにゃ!!」

「これは戦です。死ぬのは当然ですよ孟獲殿?」

「だからちがうにゃ。パヤパヤはくるしんでるにゃ。てきみかたかんけいなくあばれてるにゃ。あれじゃだめにゃ!!」

「あの象もあれで本望でしょう」

「そんなはずないにゃ!!」

 

パヤパヤは苦しんでいる。敵味方関係無く被害が大きくなっている。

こればかりは孟獲として望んでいる事ではない。孟獲陣営も反乱陣営も結局は南蛮なのだ。

 

「戦は敵味方関係無く死にます」

「にゃにゃ…」

 

影姫に何を言っても駄目であった。

 

「何でそんな事を言うんですか」

「おや?」

「にゃ…お前は」

 

桃香が影姫と孟獲の前に出る。

 

「簡単な事じゃないですか孟獲ちゃんは王として今の状況が悪いと思ったから止めてと言ったんです」

 

大事な友達であるパヤパヤが苦しんでいる。南蛮の戦士たちが被害に遭っている。孟獲にとってこれでは戦なんて関係無い。

これではただの災害にすぎないのだ。

 

「…悲しいけど。確かに戦であれば人は死にます。ですがこれはもう戦でもなんでもありません!!」

 

桃香の目からしても今の状況は戦いではなく大きな災害。否、獣災だ。

災害というものは敵味方関係無く被害が出るものだ。今だけは一時停戦するべきである。そしてその原因が生み出している者がいるならば止めさせるべきだ。

 

「なぜ止める必要があるのですか?」

 

影姫は首をコテンと傾ける。本当に何を言っているのか分からないといった感じである。

 

「なぜって…これは戦じゃないです。敵味方関係無い被害になってます。武人や戦士として戦いじゃないって事ですよ!!」

 

武人・戦士として戦って死ぬのではなく、ただ災害で死んでいく。それは武人として、戦士としての望んだ死ではない。桃香も武人の志は愛紗たちから教えられている。

本当は武人としての死もあまり納得できない部分もあるが。

 

「何をそんなに声を荒げるのです。貴女も孟獲も?」

 

影姫は桃香の言葉が刺さらない。

 

「ただ死ぬだけ…土に還るだけでしょう。それの何がいけないのです?」

「え?」

「にゃ?」

 

桃香と孟獲は影姫が何を言っているんだという顔をした。

 

「正直なところ皆が土に還るのなら私は望むところですね」

 

影姫はこの場にいる者全員が死んでも構わないと言っているのだ。

 

「何でそんな事を言うんですか」

「何でと申されても…それは人が愚かだからです」

 

人間は殺し合いをする。平和を望んでいながらも平和とは程遠い戦争をするのだから矛盾している。

それを愚かと言って何が悪いのか。

 

「本当に愚かな人ばかりです。私が力を使い切ってまで救った世界だと言うのに争いの種ばかり蒔く。眠らなかったとはいえ、目を離したら人の世は荒れていた。だから私は最初からやり直さないといけないのです。創り直さなければいけないのです」

「え?」

「ああ、愚かなのは私もですね。私が最初から全て丁寧に創り出していたら良かった。途中で数を増やす為に横着したのが私の愚かな行動だった。だから優劣なんてものが生まれてしまった」

 

人間に優劣があるからこそ争いが生まれるのだ。黄巾の乱も反董卓連合も官渡の戦いも何もかも優劣があったからこそ始まった。

優劣があるからこそ人間は争いの種火を撒いてしまうのだ。優劣が平和を遠ざけている1つの原因だ。

 

「だから今度は優劣がないように創り直します。全ての人を土に還して創り直すのです。全ての人が同じように優れ、肉体も丈夫であれば病にも怪我にも恐れる必要はありません。優劣も無く差別もなく、争う事もない」

「な…なにを……言ってるんですか?」

 

桃香は影姫の言っている事が何一つ分からなかった。

人間を創り直す事なんて不可能だ。土に還るとは死ぬ事であり、死んだらやり直す事なんで出来ない。

 

「今度はより良い人を創ります。大丈夫です土に還ってもまた創り直してあげますから。今の自分よりも優れた人になるのですから良い事でしょう?」

 

何も賛同できない。同じ言葉を話しているのに口にしている内容が理解出来ないのだ。

 

「貴女は誰なの?」

「私は影姫ですよ」

 

影姫はまた天に手をかざすと怪しい光がまたパヤパヤに落ちた。

 

「パヤパヤ!?」

「ふふ…もっと強くしてあげます。大丈夫ですよ孟獲。あの象はあれで本望なはずです」

「止めてください!!」

 

桃香は鞘から靖王伝家を抜く。

 

「あれが本望なはずない。どう見ても苦しんでるよ!!」

「りゅ、りゅーび…」

 

桃香の言葉に孟獲の心に刺さる。

 

「先ほどから五月蠅いです。孟獲よそこの人を討ちなさい。元々敵です。ですが敵であっても私は平等に創り直してあげますから安心してくださいね」

 

影姫は桃香から視線を外す。剣を抜いているというのに脅威と思っていない。孟獲だけでどうにでもなると思っている。

 

「りゅうび」

「孟獲ちゃん今は争っている場合じゃ…」

「分かってるにゃ。南蛮の大王として今はあらそってるばあいじゃにゃいにゃ。みぃのなかまが…うらぎりものでも南蛮の民にゃ」

 

孟獲は虎王独鈷を構える。

 

「何のつもりです孟獲?」

「こればかりはみぃも南蛮の大王としてあらそっているばあいじゃないと判断したにゃ。みぃはショクのりゅうびにてぇせんをもちかけるにゃ!!」

「てぇせん…停戦。うん、わたしは孟獲ちゃんの停戦をのみます!!」

 

桃香は孟獲の言いたい事が分かった。争っている両国の王同士が停戦を認めれば戦は一旦止まるのだ。

 

「何を言い出すのです孟獲。このままであれば勝てるのですよ」

「うるさいにゃ。みぃはこの南蛮の大王にゃから大王の言葉が一番えらいのにゃ。いくさはいったんおわりにゃ。だからパヤパヤを元に戻すんにゃ!!」

「私は貴女の言う神ですよ?」

「神であってもこの南蛮でいちばんえらいのはみぃにゃ!!」

 

この戦は孟獲派の南蛮と蜀と南蛮反乱勢のぶつかり合い。トップは孟獲と桃香に徴姉妹であり、そのトップが戦を止めると言えば止まる。

その判断と決定に影姫は覆せないのだ。

 

「………愚かな、本当に愚かです。やはり一度、土に還して創り直さないといけないのですね。愚かであり哀れ…そして愛おしい人よ」

 

ベールで目元は分からないが影姫の視線が孟獲と桃香に向けられる。手には蛇の黄金像が巻き付いた杖が握られていた。

 

「創ったのが私なのですから土に還すのも私でよいでしょう」

 

蛇の黄金像が巻き付いた杖を振るうと赤い珠が複数展開される。

 

「私が南蛮も反乱勢も蜀の愚かな戦を終わらせてあげますよ」

 

より赤い珠が展開されていく。

 

「これで土に還りなさ…」

 

影姫が赤い珠を桃香たちに放とうとした時にこの場に居ない者の声が響いた。

 

「今なのじゃーーー!!」

「今ですよ司馬懿さん老書文さん!!」

「何で君たちが指示するかな」

 

急に飛び出してきたのは司馬懿(ライネス)と李書文(殺)であり、号令をかけたのは袁術と張勲であった。

飛び出した2人は複数展開された赤い珠を破壊する。そして捕縛しようと影姫に向かう。

 

「トリムマウ!!」

「覇っ!!」

「……異物たちめ」

 

鋭い2人の攻撃を再度展開した赤い珠で防ぐ。

 

「司馬懿さんたち!!」

「桃香無事か!!」

「ご主人様!!」

 

更に出てきたのは北郷一刀と藤丸立香。

 

「秘密裏に遠回りで孟獲拠点である祭壇に向かったら誰も居なかったから予想外だったよ。そしたら樹よりも大きい象が暴れ回ってたから急いで来た」

 

「藤丸さんまでありがとう」

 

藤丸立香たちは陳宮に頼まれ少数で孟獲陣営の拠点である祭壇に裏側から攻める作戦を実行していたのだ。

影姫と孟獲を捕縛さえすれば戦は終わる。奇襲部隊として動いていたが影姫と孟獲がまさか前線にいきなり出るとは予想外であったのだ。尤も2人を前線に出させたのは陳宮の自爆特攻作戦のせいであるのだが。

 

「増えた愚かで哀れで愛しい人は2人だけ。後は異物共ですか」

 

カツっと蛇の黄金像が巻き付いた杖を地面に突く。彼女の周囲には黒い瘴気が滲み出る。

 

「2人とも彼女は強い」

「分かってるとも。まさかこんなところでこんなのが出てくるなんて驚いたよ」

「神の類か」

 

藤丸立香たちの目の前にいるのは影姫。しかし神霊並みの存在感であった。

 

「貴方たちは異物だ。創り直す事はありません」

 

黒い瘴気が周囲を飲み込む。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も2週間以内を予定しております。


877
ついに孟獲たちとの戦闘です。
孟獲の「南蛮虎印と南蛮大進撃」。
ミケ・トラ・シャムの「踏・南ばんっ」「廻・南ばんっ」「堕・南ばんっ」。
これらは天下統一伝の技です。

孟獲陣営の猛撃ですが赤兎馬が一蹴しました。
やはりUMAは強い。この段階では桃香たちは空気です。

南蛮大進撃の戦象たち。
つい最近の恋姫†英雄譚5でも孟獲たちが登場する物語でも象が出てましたね。
やはり象は強いのです。

ついに影姫登場。
徴姉妹たちは彼女が神霊の存才だと気付いてます。


878
パヤパヤの強大化&狂暴化
1回目がそのまま大きくなった状態。
2回目がアニメ版のより狂暴化した状態です。
アニメ版の狂暴化したパヤパヤって相当デカイですよね。
ここで徴姉妹や赤兎馬たちがより戦闘描写が書けました。

影姫との会話。
ここでは彼女が人とは違うという狂気さを現したかったのでそういう風に書きました。だって影姫は人間じゃないですし。
桃香は影姫の言っている事が理解出来ずにドン引きです。
ここで影姫の目的も大体分かりますね。

桃香と孟獲停戦
力を合わせて影姫と戦います。
そしてここで袁術と立香たちが登場。全く出番が無かったのでやっとこさ登場。

影姫は藤丸立香たちが異物だと知っています。



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