Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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連続更新です!!
書き溜めたものを放出です。

今回は陳宮たちとねねたちの話です。
原作を知っている読者様であれば「あ、あの話か」ってなるかもです。

では、物語をどうぞ。


成都での日常7

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三国志演義で有名な武将は誰か、と聞かれればきっと劉備、曹操、孫権の3人が挙げられるだろう。

更にその3人と同等に挙げられるのが三国志演義に名高い、反覆・裏切りの将である呂布奉先だ。

他にも色々と有名な武将はいるがまず、日本では三国志演義のメインな人物と言えばの4人である。

 

「呂布奉先に陳宮。そして赤兎馬」

 

北郷一刀がポツリと名前を呟く。何せ目の前にその3騎がいるのだから。

藤丸立香がマスターとして契約した英霊。外史世界の呂布たちではなく、カルデアの呂布たち。

外史世界の呂布たちは可愛い女の子だが実力は本物。しかしカルデアの呂布たちはまさにイメージがピッタリであった。

 

「こりゃ無敵なんて言われるわな」

「実際に無敵で最強だよ」

 

藤丸立香は呂布奉先の強さを知っている。特異点や異聞帯ではとても助けられたのだから。

反覆・裏切りの将なんて言われているがとても頼りになる英霊だ。確かに危険性は含まれているが藤丸立香は彼を信頼している。

 

「これほどの巨体なんだから有名になるくらい一騎当千になるよなあ」

 

呂布奉先の巨体に武力が合わされば一騎当千の将は凄く納得できる。彼が1人で敵軍に突っ込んで壊滅させるなんて余裕である。

 

「呂布奉先はイメージピッタリだけど陳宮は意外だったな」

「おや、意外でしたかな天の御遣い殿?」

「えーっと、呂布奉先の軍師だから凄いとは思ってたけど…その戦法が予想外過ぎて」

「それはオレも同意できるよ」

「マスターまで」

 

カルデアの陳宮。

学者肌で冷静で冷血の軍師。北郷一刀としては最初に出会った時にメチャクチャ頭が良さそうなんて思っており、物凄い理にかなった策がポンポンと飛び出すのかと思っていた。

それがまさかの自爆特攻作戦を実行させるなんて思いもしない。ただ、自爆特攻作戦が少ない犠牲で敵軍を多く壊滅させるという点では理解できなくもない。

 

(当時から自爆特攻作戦を有用していたなんて驚きの発見だぞ…)

 

こんな軍師が敵だったら最悪である。南蛮での戦いでは最初は争っていたが、自爆特攻作戦を喰らう前に和解出来て良かったと思う北郷一刀であった。

音々音と最初に出会っていた為、カルデアの陳宮がマッドサイエンティストのような人物だったのでより驚きであったがもっと驚いた人物(?)が赤兎馬である。

 

「アレを一緒にしないでくれませんかね」

「あ、すいません」

 

陳宮も赤兎馬の存在はよく分かっていない。そもそも理解しようとしていない。

 

「何で赤兎馬はケンタウロスになってんの立香?」

「オレも知らん」

 

件の赤兎馬は背に呂布奉先を乗せて走り回っている。走りながら「これこそ真・人馬一体!!」と叫んでいた。

 

「メッチャ強いし、メッチャイケメンボイスなんだよなぁ」

「ウマ男化したらきっとイケメンだよ」

「ウマ男イケメンダービーってか」

 

カルデアで競馬出来るくらいの馬は存在するが普通のレースにはならない。

 

「ほんと謎だよ」

「雪蓮と炎蓮さんも赤兎馬見たら宇宙猫になってたし」

「それはこっちの陣営も」

 

大概の事には動じない派の炎蓮や恋ですら赤兎馬には虚を突かれた。

馬の扱いに長ける翠たちも「これ馬じゃないだろ!?」と叫んだほどである。尤も赤兎馬は「はい。私は呂布奉先ですから」と返したので更に混乱したくらいである。

 

「きっとあの赤兎馬が呉や魏に現れたらまず混乱するぞ」

「冥琳さんとか理解するの放棄しそうだ」

「曹操なんかはきっと頭痛がもっと酷くなりそうだな」

 

カルデアのUMAは外史世界でもUMAであった。

 

「昔の三国の人たちはこれほど凄いのを相手にしていたってなると…現代人と比べると昔の人の方が凄かったんだな」

「ウルクの人たちは凄かったよ」

 

バビロニアでの人たちはとても力強さに溢れていた。

 

「その話、詳しく聞きた…」

「なーーーーーーー!?」

 

突然響いた聞いた事のある叫び。

 

「何だ何だ?」

 

「この声は…ねねちゃんか?」

 

叫び声の正体は音々音。声質からして見て事件性のあるものではなさそうだが気にならないと言えば嘘になる。

 

「ねね殿。こっちの私でしたね」

 

異世界の陳宮。ならばカルデアの陳宮も少しくらいは興味があるというもの。そもそも異世界の三国志自体に興味があるくらいだ。

 

「気になるし行ってみるか」

 

 

897

 

 

事件性の無さそうな叫び声が気になって向かってみると庭で音々音と詠が将棋のようなモノで勝負していた。

 

「おのれ、なんという綿密な用兵術」

「調子に乗って挑んできた割にはたいして腕が上がってないわね~?」

 

声からして音々音が劣勢で、逆に詠の方が有利なようだ。

 

「調子に乗っていられるのは今の内だけです。全てはねねの掌の上ですよ」

「くすくす、勇ましいね~」

「挑発しているつもりですか?」

「…がんばれ」

「はっ、やすやすと心を乱すなというご助言、しかと賜りました。恋殿の軍師の名に恥じぬ戦いをお見せします」

 

2人の横には恋と月もいた。音々音と詠が勝負しており、月と恋が観戦者のようである。

 

「も~らった」

「お話の途中に兵を進めるとはずるいのです!!」

「どっちみちボクの番でしょ」

「のわーーーーーー!?」

 

音々音の叫び声はオーバーリアクションであった。

 

「何をやっているの?」

「あ、立香さん」

 

ヒョイっと藤丸立香たちが顔を出す。

 

「あら」

「ご主人様たちもいらっしゃったんですね。」

「ああ」

 

恋たちも続いて気付き、声を掛けてくれる。

 

「でかい声だして…喧嘩でもしてるかと思ったぞ」

「…戦争してる」

「そんな物騒な」

「軍師と軍師の誇りを賭けた戦いだそうですよ」

 

2人が挟んだ机の上には将棋の盤面のような物が置かれている。

 

「ほほう。象棋ですか」

 

陳宮が2人の盤上遊戯を見てポツリと呟く。

 

「はい。ねねちゃんが詠ちゃんに遊びに誘ってきたんです」

 

象棋とはボードゲームの一種で、中国及びベトナムにおける伝統的な将棋類である。

 

「遊びに誘われてないわよ。挑んできたの…って、うわっ。たくさん集まって来たわね」

 

集まって来たのは藤丸立香と北郷一刀、陳宮だけでなく呂布奉先と赤兎馬も集まって来たのだ。

 

(この場に異世界同士の呂布陣営が集まったな)

 

見比べるとやはり外史世界の呂布とカルデアの呂布はまったく違う。

呂布奉先と恋はあまり口数が少なく、武力に優れているという点では似ていなくもないが、陳宮と音々音はまったく異なっていた。

音々音がカルデアの陳宮に似ていたら反董卓連合では一杯食わされていたかもしれない。

 

「な、なんですとーーーっ!? そうくるとは…裏切られた感じです。残念な気持ちでいっぱいです」

 

先ほどから音々音のリアクションは大きく、愛紗辺りであれば「騒ぎすぎ」と怒られたかもしれない。

 

「相変わらず、ねねって喚き散らかしながらじゃないと何もできないのね」

 

彼女の大きなリアクションはいつもの事らしい。

 

「やり方ががえげつないのです。詠のやり口にはうんざりします」

「ねねは素直過ぎるのよ。激情家で向こう見ず…ノれば強いけど逸れれば脆い。ふふん、軍師としては致命的」

「ふんぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!」

 

戦いの中でやり方が『えげつない』のに関しては軍師からしてみれば褒め言葉だ。

相手の嫌な事を率先してやっていくのが敵を困らせる手の1つ。カルデアの陳宮や諸葛孔明、司馬懿(ライネス)も同意する。

 

「…詠はヘビ」

「恋ちゃん、ヘビなんて酷い。詠ちゃんはもっと可愛らしいよ。うさぎさんとか」

 

「プッ」と笑う音々音。彼女にとって詠にウサギのイメージはないようだ。恋の言うように軍師としての一面を出すなら蛇(怖いイメージ)は的確かもしれない。

そうなると軍師陣とは化け物揃いだ。カルデアでは諸葛孔明の疑似サーヴァントであるロード・エルメロイⅡ世は諸葛孔明の事を「史実以上の化け物」と評したり、ライネスは司馬懿の事を「普通」に何でもこなす天才と評す。

陳宮は既にその怖さを身に染みて知っている。北郷一刀たちは知らないが藤丸立香たちは韓信という軍師の怖さも知っている。

もしもこの場に韓信がいたら陳宮とは別に恐れられていたかもしれない。色んな意味で。

 

(軍師になる人たちは良くも悪くも狂気を隠し持っているような人たちなのかな)

「抹殺、決定」

「あああぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

何はともあれ、みんな仲良く楽しそうである。こうやって騒いで笑い合って遠慮なく遊ぶ。これも青春の1つだったり、平和の光景なのかもしれない。

 

「見て分かるようにねねちゃんが劣勢なんだね」

「そうなんです。詠ちゃんが有利です」

 

茹でられたタコみたいな顔をしている音々音に比べて、対峙している詠は余裕が見える。

 

「遊びでそこまで顔を赤くせんでも」

「遊びなんかじゃないのです」

「………まったく、ねねは」

 

どうやら一番必死になっている音々音に詠は呆れた顔で肩を竦める。

 

「ねねったら弱いくせにすぎ挑んでくるだもん。面倒くさくて」

「ふふ、楽しいくせに」

 

笑顔の月であるが詠は否定するように言い返す。

 

「楽しくない。メーワクって言ってるでしょ。まったく月は何でもお花畑の出来事にしちゃうんだから」

「「仲いいんだね」」

 

藤丸立香と北郷一刀は同じ事を言った。

 

「はい、みんな仲良しですよ」

「…聞いてる?」

 

この4人は元々、同じ陣営におり、仲が悪いはずはない。

 

「へぼ主人はともかく、恋殿の御前で恥ずかしい姿は見せられません。逆転の策よ降臨せよ」

「追い詰められてんじゃん」

 

北郷一刀には何故か音々音の後ろには虎。詠の背中には龍が見えた。

 

「うるさいのです。これは…そう、盛り上げているだけです。演出なのです」

「今、盤面ひっくり返したらボクでも逆転できないけどね」

「詠ごときの浅知恵では無理というだけです。ねねは不可能を可能にする軍師ですよ」

「じゃ、早く打って」

 

黙る音々音。

 

「あ、黙った」

「へぼ主人が声をかけてきたからです。逆転の策が、もうすれすれのところまで下りてきていたのに!!」

「ごめ」

「流すなですっ。そして軽いです!!」

「こら、劣勢をご主人様のせいにしちゃ…ダメ」

「お叱りより、劣勢と言われたことの方が悲しいです」

 

愛する恋の言葉だから尚更か、音々音ががっくりと俯いた。

 

「ふむ…」

 

陳宮は黙って音々音と詠の象棋を見ていた。同じ軍師として2人の勝負が気になっているのかもしれない。

更に呂布奉先と赤兎馬も観戦していた。なので2人の周囲は色々と圧迫されている感じだ。

 

「何か刺しづらいんだけど」

「気にせずどうぞ」

「気にするわ!!」

 

ただ見ているだけなので気にした方の負けである。

 

「全く…まあいいか。ねね、早くして」

「俺、あんまり詳しくないんだよな…今って、ねねが相当劣勢なの?」

「あ、え~~と」

「がるるるるるる」

「あはは…」

 

劣勢のようだ。

 

「恋、見てて覚えた…教えてあげる」

 

そう言われて、手を引かれてねねの隣へ。

 

「ここを圧制されてるのが、厄介…ねねの左陣に睨みをきかせてる…」

「う」

 

正解のようである。

 

「ふぅん、直情軍師よりもモノが見えてるじゃない」

 

時には軍師よりも武将の方が戦場が分かる時もある。変化する戦場では軍師の策よりも武将の現場判断の方が有利の時があるという事だ。

 

「ねねだってわかってます!!」

「…分かってても、ここに居座られると手出しできなくなる」

 

また黙る音々音から正解のようだ。どんどん無口になっていく。

 

「防戦一方なのか」

「そうですよ、その通りですよ。それもこれもお前のせいで気が散ったからですっ」

「俺のせいかよ」

「そして後ろからずっと見てるお前もですよ!!」

「おや、私もですか。心外です」

 

陳宮は音々音の後ろから盤上を見ていた。時折わざとなのか「あっ」とか「そっちですか…」とか呟いていたのだ。

 

「ふふ、苦しいでしょう。どうせ打って出るしかないんだから迷うだけ無駄よ」

「ふ、ふふふふっ。甘く見るなです。ここへ、こう!!」

「「「あ」」」

 

月の短い声は感嘆の声でなく、「罠に嵌っちゃった」のようなニュアンスであった。そして恋と陳宮も同じだったようだ。

 

「策に乗りましたね。詠がかさにかかって攻め立ててくるこの時を待っていたのです」

「待ってたんだ」

「ふーふふ。この一手で戦況ががらりと変わったのです」

 

得意満面の音々音だが隣で口を開けたり、閉じたりしながら静かに狼狽している恋。

 

(これって駄目なパターンみたいだな)

(そうみたいだ)

「恋殿、これから鮮やかな逆転をお見せ……如何なさいました?」

「……それだとダメ」

「ぷっ、本当にねねよりずっと見えてるわね。野生の勘か何かかしら」

 

野生の勘と言われてなんだか納得してしまう。確かに恋にはそういう直感的な力を持っていそうだ。

 

「なんですとっ、恋殿を獣のように語るとは失礼千万…」

「ボクの番ね。ほい」

「ふぐっ!?」

「いいわよ。左陣なんて好きにさせてあげる。その代わりもらうわよ本陣」

 

恋が首を振った事で結果が分かってしまった。

 

「そんな切り返し方があったなんて。さすが詠ちゃん」

「当然!!」

 

黙る音々音。

 

「おっと、ごめん。まだ勝負は決まってないわよね。ねねの番よ」

「………負けました」

 

何故か敬語だった。

 

「ふっふ~~ん、この賈文和に勝てると思っていたのかしら。悪いけど苦戦もしなかったわよ」

「詠ちゃん…」

 

詠養護派の月もちょっと呆れ顔である。

 

「ううううー」

「なぁに、その顔。今度こそはって鼻息荒く勝負を挑んできたのは誰だったかしら」

「……ねね」

「いわば、ボクは胸を貸してあげたのよ。然るべき態度っていうものがあるでしょ」

「………………ありがとうございました」

 

だいぶ間が空いたが素直にお礼を言うのであった。

 

「詠ちゃんったら…ごめんね、ねねちゃん。また遊んであげてね」

「遊んでとか言わないで」

「もう遊ばない…」

 

拗ねる音々音。当然ながら負けず嫌いの人は負けるのが一番嫌なのだ。

 

「…泣かない」

「恋殿~~、屈辱に次ぐ屈辱。ねねは口惜しいのでございますうぅ~~」

 

恋の胸に飛びついた音々音には耳と尻尾が見えたような気がした。

 

(つい最近パンダになりかけたけど)

 

そのパンダに色んな意味で襲われたのが北郷一刀。

 

「ふぐっ、いわば軍師と軍師の戦い、恋殿の名誉をも背負って挑んでおきながらこのていたらく…」

「いい子……」

「おやめください恋殿ぉ、そのお優しさはねねを苦しめますぅ」

「自分から抱き着いているように見えるけど」

 

音々音はこれで甘えん坊だ。ひとしきり、甘えさせてあげた方が早く立ち直る。

 

「恋さんとねねちゃん、本当に仲良しですね」

「何を物欲しそうにしているのよ」

「じー…」

「月、何を求める目なのそれは」

 

月は逆に勝利の抱擁をしてあげようと思っての目である。

 

「ふふん」

 

恋の胸に埋もれながら、音々音がニヤリと口の端を吊り上げる。

 

「今、『絆の深さではねね達の勝利です』みたいな目で見てたでしょ」

「詠が睨みます~」

 

もう彼女は泣いていた理由は忘れた。もはや恋に甘える事に夢中である。

 

「し、しかし強いんだな詠は。城で一番とかなんじゃないか?」

「ふん、トーゼンでしょ。あんた自慢の軍師連中にだって負けないわ」

「はい。私、詠ちゃんが負けたのは見た事はありません」

「凄い凄い」

 

そう言いながら北郷一刀は詠の頭を撫でる。

 

「わぷ、ちょっと…馴れ馴れしく頭なんて撫でないでよ」

 

そう言いながら彼女は口元を歪ませた。嬉しいけど知られたくないから我慢しているといった感じである。

 

「………!!」

「きゅぶっ…恋殿。あ、あまり強く抱き締めていただきますと…ねねの骨がメキメキと」

 

恋の抱き締めが強くなった瞬間であった。

 

「しかしねね殿はまだまだ未熟のようですね。あの状況から逆転できる方法はあったのですが」

 

やれやれと首を横に振るう陳宮。

 

「へえ、あの状況で逆転できる方法があったの? それは私も知りたいわね」

 

詠としてはあの盤上で逆転は不可能であると確定していた。ある一手から音々音に逆転は無かったのだ。

 

「無論です。では説明しましょうか。ねね殿、しっかり復習するように」

 

陳宮は盤上の駒の位置を戻していく。

 

「ここから逆転できるものなのか?」

「…無理」

「恋も無理って言うくらいだけど?」

「では、説明しましょう」

 

陳宮は駒を摘まむ。

 

「この駒を自爆兵として生贄…ではなく任命し、こことここに突撃させます」

「「「え」」」

「すると壊滅し、敵は総崩れです。そして今度はこの駒…我が君主である呂布奉先を単騎で突撃させます」

「あの…ちょ」

「敵本陣までの道はできました。あとは総突撃すれば簡単に落とせますよ?」

「なんじゃそりゃーー!?」

 

今度は詠は叫んだ。

まさかの説明に恋や詠たちも虚を突かれていた。逆に呂布奉先はウンウンと頷いていた。

 

「□□□□(流石は我が軍師)!!」

「やっぱ自爆じゃないですかー」

 

赤兎馬は元々、予想出来ていたようで虚を突かれていなかった。

 

「そんなん出来るわけないでしょうが!!」

「出来ますよ。私が自爆兵を作…任命出来ますし、呂布奉先なら単騎で突撃させて敵を崩壊できます。ですよね我が無敵君主よ」

「□□□(当然也)」

「アンタたちの常識を詰め込むな!!」

 

もはや象棋のルールから外れている。

 

「ねね殿も陳宮なのですから自爆兵を任命できるでしょう。そして我が軍には呂布奉先がいるのです。動かさないのは愚策です」

「そういう問題じゃないのよ。恋だって出来ないわよ!!」

「おや、恋殿では単騎で敵を倒せないと? ちょっと聞いてみましょう。恋殿、大体これくらいの規模であれば単騎で敵を倒せませんか?」

「…それくらいなら大丈夫。なるほど」

「ほら」

「ほら、じゃないっ。恋も同意しない、納得しない!!」

 

会話の流れが完全に陳宮のペースであった。

 

「象棋の規則を逸脱してるじゃない!!」

「あはは…」

 

月は苦笑いだ。

 

「何を言っていますか。戦に規則なんてありません。如何に敵を殺せるかです」

 

戦争では盤上と同じように綺麗に動くとは限らない。戦に勝つに如何に自分の流れに持っていくかでもある。

 

「ぐぬぬ…ああ言えばこう言う奴ね」

「戦争はそういうものです」

「これは戦争じゃなくて象棋だから!!」

「ははは、はい。知ってます」

「このぉ!!」

 

実際の戦争では陳宮はそういう策を実行するだろう。しかし今は単純にからかっているだけかもしれない。

 

「からかってるだけか」

「うん。でも言っている事は本当みたいだけどね」

 

軍師として彼なりのアドバイスかもしれない。

先ほどにも言ったように戦争は象棋のようにルール通りではないのだ。戦争では予測を超える事が起きるものである。

 

「陳宮って結構、面白い人なんだな」

「そうだね。バレンタインのお返しで精密機械の回路を暴走爆発させる自壊自在自爆ボタンのついた万年筆を贈ってくれる人だよ」

「ちょっと待った」

「それを押せばもう周りはドッカンドッカンらしい」

 

ちなみに、特許出願中。

 

「やっぱすげえ人だった」

 

陳宮の恐ろしさの一端をまた知ってしまった瞬間である。

 

「ところでねね殿は大丈夫ですか?」

「え?」

 

先ほどから音々音は静かであった。何かしら口を挟むかと思っていたが何も喋らなかったのである。

気になって後ろを振り返ると恋が音々音を鯖折りしていた。

 

「ねねを離してあげて!?」

「…ぶくぶくぶく」

 

泡を吐いていた。

 

「ねねーー!?」

 

この後、本当に陳宮と詠が象棋したり、恋が北郷一刀に頭を撫でてもらいたくて詠に象棋で勝負をしかけるのだがそれはまた別のお話。

 

 




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新はまたこの後すぐ。


896~897
前書きに書きましたが今回のは恋とねねの幕間を元に書いたものです。

カルデアで揃った呂布、陳宮、赤兎馬。
もうカオスですね。もしもFGOで貂蝉が実装されたらどうなるんだろう。

原作では明確な記載はありませんでしたがねねと詠たちがやっていた将棋のようなものは象棋かなって思いました。

カルデアの陳宮は赤兎馬談によりほぼ自爆特攻の作戦が多いらしいけど、実際に策を考えだしたらえげつない策な気がしますね。それも人の予想を斜め超えるモノを。

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