Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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またまた連続更新!!
書き溜めた話をまだまだ放出です。

今回はまた南蛮での後日談のような話。
まあ、南蛮で起きた事を知らない者たちが何が起きたか知りたいという話。
特にある部分の話。


では、物語をどうぞ。


成都での日常8

898

 

 

ある1室にて飲茶をしている女性が3人。楊貴妃、月、紫苑の3人で全員が美少女、美女であり、男性ならば目を向けてしまうのはしょうがない。

優雅に飲茶をしていれば絵になるが、実際は優雅ではなさそうである。

 

「南蛮から帰って来たマスターですが何かおかしくありませんか!!」

 

机を軽くバンバンと叩くのは楊貴妃。それに対して苦笑いの月と紫苑。

 

「不夜奶奶は何も教えてくれないですし!!」

(おばあちゃん?)

 

奶奶とはおばあちゃんという意味だ。楊貴妃がなぜ武則天を「おばあちゃん」と言っている意味が分からなかった月と紫苑。

見た目的に楊貴妃の方が年上だから武則天が「おばあちゃん」とういうのはどうも合わない。寧ろ「お嬢ちゃん」くらいだ。ただ悪口を言っているようにも見えない。

 

(楊貴妃さんと武則天さんはどういう関係なんでしょうか)

 

本人たちはまだ知らないが実は家族である。ただ色々と複雑であるのは確かだ。

 

「何も教えてくれないですし…と言うか何か勝ったような顔をされたんですけど」

「勝ったって…何に勝ったんですか?」

「分からないんです」

 

何があったか分からないが南蛮で色々とあったというのは分かっている。

楊貴妃は南蛮に向かった玄奘三蔵や諸葛孔明に何があったか聞いてみたが何故か濁されたのである。

マスターである藤丸立香本人にも聞いてみたが「色々と大変だった」としか話してくれなかったのだ。

 

「まあ、何かはあったと思いますけど…そこまで気にする事ではないと思います」

「月ちゃんは気にならないんですか。紫苑さんも」

「いえ、まあ…」

 

気にならないと言えば嘘となる。

南蛮で何かあったからこそ何かが変化したのだ。変化したというのは藤丸立香と特定の人物との距離感というか雰囲気である。

元々、藤丸立香は人と仲良くなるというのが上手い方だが今回でより一層変化と感じられたのだ。

 

「と言うかこの人選は?」

 

紫苑は楊貴妃に飲茶に誘われたのだ。そしたら部屋に月が居たのだ。それは月も同じくであった。

 

「乙女の勘です」

「はあ…」

 

乙女の勘とは馬鹿に出来ないものだ。男の勘は外れやすいイメージだが乙女の勘はめっちゃ当たりやすいイメージである。

紫苑と月もなんとなくどういう基準で誘われたかは薄々と感づいてはいる。

 

「なので…南蛮で何が起きたかを知りましょう!!」

 

楊貴妃の勢いに何故か飲まれる2人であった。しかし月も気になるので乗り、紫苑は面白そうという事で乗るのであった。

 

「でもどうやって知るのですか?」

 

知りたいのであれば誰かに聞けば良いだけだ。しかし今まで聞いたメンバーははぐらかされた。

 

「聞き込みするしかないのです!!」

 

結局は誰かが教えてくれるまで聞き込みをするしかないのであった。

 

 

899

 

 

ケース①。司馬懿(ライネス)、秦良玉、武則天。

 

「不夜奶奶!!」

「あっ?」

「不夜姐姐、姐姐!!」

 

早速、聞き込み開始1発目。部屋に跳び込んでそうそうに武則天に折檻をされる楊貴妃であった。

 

「急ですね」

「ごめんなさいね秦良玉さん、司馬懿さん」

「いえいえ、紫苑殿が謝る程ではありませんよ」

 

部屋に跳び込んで騒がしくなった事に謝る紫苑であったが秦良玉たちは気にしない。騒がしい日常なんてカルデアで日常茶飯事だ。

 

「どうしたんだい紫苑殿、月殿」

 

部屋主の司馬懿(ライネス)たちはどうやら飲茶をしていたようだ。

 

「えーっと…楊貴妃さんの主催?の聞き込みなんです」

 

月は苦笑いしながら今回の事を説明した。

 

「なるほど。南蛮で何があったか聞きたいと」

「はい」

「南蛮では怪しげな妖術士が現れて…」

「そっちの話じゃないの司馬懿ちゃーん!!」

「黙れ」

「ぎにゃーー!?」

 

折檻はまだまだ続行中。

 

「あの、大丈夫ですか。なんかその…危ない刃物を取り出してますけど」

「ああ。向こうは大丈夫」

 

武則天と楊貴妃のやり取りもカルデアでは日常茶飯事。

 

「楊貴妃さんが知りたいのは立香さんが南蛮で何かあったかどうかなんです」

「なるほど」

 

司馬懿(ライネス)は普段通りだが秦良玉が一瞬だけ頬を染めた。その一瞬に気付いたのは紫苑。

 

(やっぱり何かしらあったのね)

「まあ、我が弟子が呪いで獣にはなりかけたな」

 

獣の呪いについては報告で聞いていた。

愛紗たちが呪いで獣化したのは可愛くて大変だったと。

 

「それは報告で聞きましたわ。可愛かったみたいですね」

「なかなか愉快だったぞ」

 

面白い状況だったのは確かである。しかしソレが今回で感じた変化ではない。

変化とは藤丸立香と特定の人物との距離感である。

 

「獣化した立香さんたちが何かをしたのかしら司馬懿ちゃん?」

 

紫苑がちょいと確信に近づく質問をする。

 

「実は獣化の呪いが進行していててね。暴走して私に襲い掛かって来たのさ」

「え、大丈夫だったんですか?」

 

大丈夫だったからこそ目の前にいるのだが、つい質問してしまう。

 

「いや、大変だったさ。全く…我が弟子ながら手が付けられないくらい暴走していたよ」

「暴走していたなんて…それは報告で聞きませんでしたね」

「暴走はしたけど被害は大きくなかったし、色々とあって鎮まったからね。いや、鎮ませたというか」

 

意味深に微笑する司馬懿(ライネス)。

 

「本当に色々と大変だったさ。北郷殿も愛紗殿たちに襲われたらしいからね」

 

北郷一刀は愛紗たちに襲われて干乾びかけたくらいだった。

 

「そういえばご主人様が帰って来た時は何処か元気が無さそうでしたが…まさか愛紗ちゃんたちが原因だったなんて」

「あまり詳しく報告が無かったのは色々と伏せたい部分があったのさ。まさか家臣が呪いで暴走して主人を襲うなんて人に聞かれたくないだろう。それに襲われたと言うが大きな被害はなかったからね」

「そういう事だったのね」

「でも本当に大変だったさ」

「そうですね。私と武則天殿が駆けつけた時には既に司馬懿殿が襲われかけていたのですぐに止めるべく応戦しました」

 

何度も言うが本当に大変だったのだ。ただ藤丸立香だけが獣化の呪いで暴走していたわけではない。他にも暴走していた者はいたのだ。

 

「更にその場に炎蓮殿や雪蓮殿たちも居てね。もう…」

 

フルフルと首を振るのを見て何度も「大変だった」というのを強調していた。

 

「そうだったんですね」

 

獣化の呪いで暴走していたという事があったのは理解できた。しかしまだ完全な答えではないと直感が告げている。

司馬懿(ライネス)は答えを濁しているのだ。

 

(これは何を質問しても濁してきそうね)

 

こういう相手ははっきりと答えを言わずに面白がるだろうとすぐに分かってしまった。これ以上の追及は意味は無く、他の者から聞いた方が良い。

 

「ありがとうね司馬懿ちゃん。ところでその場にいた獣化した人たちって他に誰がいたの?」

「孫親子に傾に天和だったな」

 

もしももっと詳しく聞くのであれば、その4人に聞いた方が良いかもしれない。

そう思って紫苑は月と共にモザイクになりかけた楊貴妃を回収して部屋を出るのであった。

 

「やっと出ていったか」

 

一仕事終えた感を出すように布巾で手を拭ったらお茶を一口飲む武則天。

 

「まるで厄介払いを終えたように言いますね武則天殿」

「実際に厄介じゃったからのう」

 

武則天が言う厄介者とは楊貴妃であり、月と紫苑は厄介者とはカウントしていない。

 

「こっちはこっちの話が中断されてしまったからね」

「うむ」

 

3人も飲茶していたが、ただお茶を飲んでいたわけではない。ある事について追及していたのだ。

 

「さて、話の続きをしようか秦良玉殿」

 

ここで「ギクッ」と反応をした秦良玉。

 

「のう秦良玉よ。昨晩はマスターの部屋で護衛をしていたそうじゃな?」

「は、はい。マスターの部屋には色々と侵入して安眠の邪魔をする者たちは居ますから」

「ここには溶岩水泳部はおらんぞ?」

「予備部員としての楊貴妃殿がおります」

「そう言えばそうじゃったな」

 

武則天自らも楊貴妃の事は溶岩水泳部の予備部員と考えている。

 

「で、昨晩は何をしていた?」

「ですのでマスターの安眠の為に護衛を…」

「そのマスターの安眠を邪魔していたのはお主ではないのか。ん?」

「フフッ。鉄の理性」

「……………」

 

黙る秦良玉。圧迫する武則天と、その様子を面白そうに見る司馬懿(ライネス)。

 

「ちょっと用事が」

「逃がすかーっ。酷吏!!」

「すみません!!」

 

逃げ出す秦良玉と追いかける武則天。そして面白く観察する司馬懿(ライネス)。

何故、秦良玉が武則天に追いかけられている理由は分からない。

 

 

900

 

 

ケース②。諸葛孔明、李書文(殺)、朱里。

 

「うう…不夜姐姐の拷問のキレは落ちてないですね」

「楊貴妃さんは何で武則天さんを怒らせるような事をしてるんですか…」

 

つい出ちゃった部分もあるが、時折ワザとでやっている部分もあるのだ。酷い目に合うのが分かっていながら何故ワザとやるのか理解できない。

 

「だって、面白いですし。それにとっても反応が可愛いんです!!」

 

良い笑顔で返す楊貴妃であった。

 

「あ、はい」

(楊貴妃ちゃんって案外良い性格してるのね)

 

楊貴妃の裏を少しだけ知った瞬間であった。

 

「じゃあ次に行きましょう。もう一回、孔明さんに聞きに行きます!!」

(何も得られなさそうな気がします)

 

諸葛孔明がいる部屋へと突撃する楊貴妃たち。

 

「孔明様。南蛮でマスターに何が起きたのか教えてください!!」

「なんだなんだ?」

「はわわ」

「施術中だ」

 

部屋に入ると諸葛孔明が李書文(殺)の按摩を受けており、その横で朱里が書物を開いていた。

 

「お疲れですか孔明様?」

「肉体的にも精神的にもな…」

 

諸葛孔明は鬼周回や高難易度クエストではほぼ出勤。そして色々と精神的にも苦労が絶えないのだ。

李書文(殺)の按摩は癒しの1つである。

 

「戦闘系ではない私は何故ここまで肉体疲労があるのかと…いつも思うよ」

 

いつも思っていてもとても助かっているからこそ鬼周回や高難易度クエストに連れて行くのである。

 

「儂もここまで疲労が溜まった身体を施術するのは多くないぞ」

 

諸葛孔明の身体は岩のように凝りでバッキバキである。

 

「英霊が肩とか凝るとか何なんだ」

 

それは分からない。

 

「それでですね南蛮でマスターに何が起きたか聞きたいんですけど」

「前にも言ったようにその話は面倒だから別の者から聞いてくれ」

「はぁ~」と大きくため息を吐いていた。

「老書文様?」

 

聞いてもやはり駄目だったという事で楊貴妃は李書文(殺)に目線を変えるが結果は同じである。

 

「個人のプライバシーというものであろう? ならば儂からも何も言うまい」

 

李書文(殺)はそのまま諸葛孔明の按摩を続ける。

 

「朱里ちゃん」

「はわわ…その、わたしも何も言わないです」

「そんな~」

 

何故か顔を赤くする朱里であった。

 

「ねえねえ朱里ちゃん」

「何ですか紫苑さん?」

「ご主人様が愛紗ちゃんたちに襲われたって本当?」

「聞いちゃったんですね」

 

誰から聞いたのかと聞かれたので司馬懿(ライネス)と答える。元々は隠してはおらず、愛紗や音々音たちが『暴走』した事が恥ずかしいと言ったから伏せているだけだ。

 

「襲われたって言っていたけど具体的には?」

「私も気になります」

「月ちゃんまで」

 

顔を赤くしながら朱里は考える。

一瞬だけだが愛紗たちが北郷一刀を襲っている状況を見てしまったのだ。その時の感想だが「物凄く激しかった」である。

そういう出来事は好き勝手に第三者に言うものではない。

 

「すみません。あまり私の口からは…あとで愛紗さんやねねちゃんから怒られるので」

「そうですか」

 

ここでも詳しくは聞けないのであった。

 

「ところで朱里ちゃんは何か本を読んでるみたいだけど…戦略のとか?」

「あ、これは妖術の本なんです。本物かどうか分かりませんけどね」

「妖術ですか?」

「はい。独自に勉強してるんです。それで孔明さんにちょっとだけ助言を頂いていたんです」

 

朱里の方から諸葛孔明に妖術(魔術)について聞きたいと会いに来たのである。

諸葛孔明としては本格的に師事はしておらず、朱里が妖術の見解を聞いて少しだけアドバイスをしているだけだ。その程度であれば問題は無いと判断した結果だ。

本格的に妖術を師事する事は良くも悪くも影響を与えてしまうから「少し」程度なのだ。

 

(ここは特異点でも異聞帯でもなく異世界だ。私たちの行動が汎人類史に大きな影響を与える事はない。しかし絶対に問題ないとは言い切れん)

 

最初はこの世界が特異点かと思っていた。しかし外史の管理者である存在から話を聞く限り、特異点ではなく『異世界』であったのだ。

 

(異世界での私たちは異物だ。この世界の者と関りを持ってどうなるかは分からない)

 

友人として、仲間として関係を持つ程度であれば何も問題はない。ただそれ以上となった場合は分からない。

 

(本当なら止めるべきだったかもしれない。しかし私は…いや、私たちは動かなかったんだ。何で大丈夫だと思ったんだ?)

 

異世界の異物であるカルデアが関わる関わらない一線はあるはずだ。しかし外史の管理者である貂蝉や卑弥呼は特に何も言わなかったからこそ大丈夫だと思っている。

彼らが注意しているのはこの外史の歴史の流れを大きく変えない事であった。三国で大きな手助けはするなという事だ。今のところそれ以外は何も言われていない。

 

(そもそも同じくこの世界の異物である北郷一刀には何も注意は言っていない。この世界の者と関係を持つ事も止めはしなかった……彼らとしては三国志演義の大まかな歴史の流れさえ守られていれば大丈夫だという事だろうか?)

 

カルデアには歴史の流れで大きな変化を与えてはならないと注意された。しかし北郷一刀には何かを注意しているような素振りは無かったのだ。

 

(最も言われなくても北郷は歴史を変えるような行動はしていない。だからこそ言わなかったのか?)

 

何処から何処までが超えてはならないラインが曖昧だ。しかし分かっている事は三国志演義に似た外史世界の大きな歴史を変化させてはならないという事だ。

だからこそ同じ外史の管理者である于吉がばら撒いた『策』を貂蝉たちと協力して撃ち破って来たのだ。

 

(流れがある程度変化しようとも結果さえ丸く収まれば問題ないという事かもしれないな。それでも止めるべきであったかもしれない。しかし止められなかった。いや、止めなかった)

 

当時は何故か女難の相に関わりたくないから、まあまあで済ましてしまったのだ。藤丸立香の命の危機であれば絶対に助けたが今回はそうだと思わなかったのだ。

 

(近くにいた項羽でさえ止めなかったのだ。それも疑問に思わなかった…何故だろうか)

 

結局のところ何も外史の管理者である貂蝉からは言われないのだから大丈夫なのかもしれない。しかし諸葛孔明は何か思考が上手く纏まらなかったのだ。

 

「迷いがあるか?」

「老書文殿…ええ、ただ答えがはっきりしないのですよ」

 

 

901

 

 

ケース③。天和、地和、人和、張角。

 

「今度は天和ちゃんのとこに来たんですけど…」

「何か凄いわね」

「まるで戦のようです」

 

楊貴妃達が天和に会いに彼女たちの会場に来たのだが、客たちの熱気で圧されていた。

 

「そこ、角度が曲がっておる。正確に腕を上げるのじゃ」

「「「はい。ほあっほあっ!!」」」

「腰を落として脚をしっかり地面に固定するのじゃ」

「「「はいっ。ほあっほあっほあ!!」」」

「声を張るのじゃ!!」

「「「ほあーーほあっほあっーー!!」」」

 

何故か張角が数え役満☆姉妹のファンたちを扇動していた。

 

「終わるまで待ちましょうか楊貴妃ちゃん、月ちゃん」

「そうですね」

 

数え役満☆姉妹のライブが終わった後の事務所にて。

 

「張角様なにをしているんですか」

「孫たちのライブを盛り上げる為に儂がファンたちを指示しておった。もうすっかり天和ちゃんたちの親衛隊の出来上がりじゃ。ほっほっほ」

「それきっと後でマスターたちに怒られるんじゃないですかね?」

 

張角の洗脳術を知っているので数え役満☆姉妹の親衛隊ではなく、張角の手駒が出来ただけではないかと思う楊貴妃であった。

 

「お爺ちゃんがお客を扇動し始めてから凄い一体感になったわよね」

「ちぃちゃんの言う通りだね~」

「張角さんの指示というか扇動力は目を見張るわ。あそこまで上手いなんて驚いた」

(たぶん洗脳されている気がするけどなぁ)

 

張角の洗脳術を知らない張三姉妹であった。

 

「で、どうしたのじゃ?」

「ああ、そうだった。天和ちゃんたちに聞きたい事があったんだ」

「なになに~?」

「南蛮でマスターと何があったのか聞きたくて」

 

天和もまた獣化の呪いを受けた1人だ。何が起きたか知っていると思って会いに来たのである。

 

「ええ~、それはね~」

 

両手を頬に添えて何処か嬉しそうな天和。

 

「凄かったよ~」

「何が凄かったんですか!!」

 

獣化の呪いが暴走していたと聞いており、人を襲ったと聞いたが何処か悪いような雰囲気を出さない天和。それが分からない程、鈍感ではない楊貴妃たち3人。

 

(暴走して襲ったけど怪我という云々ではないみたい)

(獣、暴走…襲う。あら、もしかして)

(天和さん何か嬉しそう?)

 

紫苑は南蛮で何が起きたのか徐々に気付き始めてきた。愛紗たちが北郷一刀を襲ったと聞くが暴力的に襲えばただでは済まない。しかし無事だったというのであれば「襲う」の意味が違う可能性があるのだ。

 

「凄かったらしいわよ。天和姉さんがいちいち報告するんだもん」

「まさか天和姉さんがそこまで入れ込んでるとは思わなかったわ。まあ、藤丸さんは良い人なのは分かるけどね」

「儂の孫じゃからのう」

「じゃあ、家族だね」

「何だろう…その家族発言はカルデアのある人物が頭に過ります」

 

楊貴妃の頭には自称、母や姉が過る。

 

「で、詳しくは何が起きたんですか」

「立香が私を襲ってきて~」

「え、姉さんが襲ったんじゃなくて?」

 

地和の記憶には藤丸立香を追いかけに行ったと残っている。

 

「立香の方から襲ってきたんだよ」

「そこだけは私も疑問」

 

藤丸立香の人柄を知っているからこそ彼から襲うと言うのに違和感を感じるのであった。

 

「襲ってきたもん。それで…」

「はいはい止まった止まった。ここから話すと天和姉さん長いんだもん」

「私はそこが詳しく聞きたいんですけど」

 

ここでようやくまともな話が聞けそうになるかと思うがここで待ったをかける人和。

 

「どこで変な輩が聞いているか分からないから駄目。今が大事な時なんだから」

「むぐぐ~」

 

人和が天和の口を塞ぐ。

張三姉妹の夢は歌で大陸一になる事だ。ここでパパラッチのような事が起きて人気が落ちるのは問題である。

今は色々と大事な時期であり、次の段階に進むための準備をしているのだ。

 

(今のところ私たちの活動範囲は蜀付近。出来れば呉や魏でも広めたいのが本音なのよね)

 

前に呉まで行くつもりであったが雪蓮との合流で呉までたどり着けずに数え役満☆姉妹の名を広める事が出来なかったのだ。

 

(次こそは…。それに今は色んな人が力を貸してくれてる)

 

蜀の方も援助してくれており、藤丸立香や張角も力を貸している。人和の頭の中では数え役満☆姉妹をより大きくするための策を練るのであった。

 

(もしも三国で数え役満☆姉妹が認知されれば試してみたい事はあるのよね。藤丸さんや北郷さんが言っていた『ふぇす』や『全国つあぁ』とか)

 

数え役満☆姉妹が大陸一になる未来はまだ分からないが実現させようと努力しているのだ。

 

 

902

 

 

ケース④。雪蓮、炎蓮、傾、瑞姫。

 

「結局、誰も詳しく教えてくれませんね」

 

南蛮で何が起きたのか。話を聞いても詳しく教えてくれず、うやむやにされている。

大体、何となく何が起きたのか少し感付いたのは紫苑。楊貴妃も何となく分かっているがそれでも事実を確認しておきたいのだ。

月だけがまだよく分かっていない。

 

「こうなったら最後の砦です」

「最後の砦って何ですか楊貴妃さん?」

「聞けば恐らくはっきりと恥ずかしがらずに答えてくれる人たちです」

 

そんなわけでという事で赴いたのは雪蓮たちがいる場所へ。

 

「お邪魔します!!」

「どうぞ~」

 

楊貴妃が雪蓮の部屋にお邪魔すると雪蓮が居るのは当たり前だとして、他に炎蓮に傾、瑞姫が居た。

 

「珍しい組み合わせですね」

「それはそっちもだろ」

 

炎蓮が楊貴妃に言葉を返す。

楊貴妃の後ろには月と紫苑がおり、確かにいつもいるようなメンバーではない。

 

「あら楊貴妃ちゃん」

「あ、瑞姫ちゃん。你好」

 

どちらかと言えば楊貴妃がよく一緒にいるのは瑞姫といった身分が高いような人物である。何故かそういう風な者たちと相性が良いらしい。

 

「なんだかよく分からん面子が揃ったな」

 

雪蓮の部屋にてゆっくりしている炎蓮であり、侍女姿の傾と瑞姫。

 

「瑞姫ちゃんたちはどうして雪蓮さんたちの部屋に?」

「えへ」

「ただのサボりで私の部屋に来てんのよ」

「えへ」っと可愛い笑顔をされたが理由はどうでも良かった。

「雪蓮さんたちと傾さんたちがそういう仲とは意外でした」

 

サボる為に傾たちが雪蓮の部屋に行くというのが確かに意外だ。まだ顔合わせて日も浅いのにも関わらずだ。

 

「色々とあって仲が良くなったんだよ」

「仲良くなった理由ってんのがまさかのまさかだけどね」

「一緒に獲物を食い合った仲だしな。尤も私としては独り占めしたかったがな」

 

意味深に笑う傾。

 

「姉様ったらズルイわよ。私が先に味見したかったのにぃ」

「ソレ!!」

「「「え」」」

「ソコの部分を詳しく聞かせてください!!」

 

ズズイと楊貴妃が乗り出してくる。

まさに彼女が一番聞きたかった部分である。

 

「いいけど。あんまり人に話すものでもないんだけどね」

「いいじゃないか。なかなか愉快な話なんだからな」

 

ニヤニヤと笑う傾。

 

「よし、私が話してやろうじゃないか。ククク…」

(う~ん…姉様の説明だと場合によっては思い込みも入っているのよね。まあ、いっか)

 

傾が南蛮での出来事を説明する。主に獣化の呪いの影響によって発情した事について。

 

「……と言う事があってな。ククク」

「や、やっぱり…」

「あうう…」

「あらあら」

 

楊貴妃たち三者三様の反応だった。

 

「あいつも中々な男だったな。オレらを相手に出来たんだ。呉での役目は大丈夫そうだ」

「いやあ、立香も逞しかったわね~」

 

ケラケラと笑い合う孫親子。愉快そうだが南蛮での事を思い出しているのか良い意味で思う所があるようだ。

 

「姉様が先に襲ったの?」

「その時の私は黒豹。立香はアライグマ。どっちが獲物かなんて分かり切ったところだろう?」

「わぁお」

 

黒豹とアライグマ。弱肉強食で比べてしまうとどちらが襲う方か分かり切った事である。

 

「ど、どうだったんですか雪蓮さん、傾さん」

 

楊貴妃が両拳を強く握りしめながら当時の状況を再度聞く。

 

「ククク…何度も絞り取ってやったわ」

「とっても逞しかったわよ。華奢かと思えばやっぱちゃんと鍛えてたわね」

「ああ。見せかけの肉じゃなかったな」

「こう…抱き抱えてきてな」

 

美女トークが止まらない。内容はなかなか赤裸々なものであるが。

 

(ねえねえ雪蓮さん)

(なに瑞姫ちゃん)

(実際のところ姉様はどうだったの? 何処か妄想入ってない?)

(う~ん…どうだろ。実はみんな獣の本能でイっちゃってたから曖昧なところもあったのよね~)

 

獣の本能で理性を失いかけていたというのは本当だ。当時は時折、本能のみで行動していたので全て鮮明に記憶に残っていない。

 

(それでも詳しく知りたいんです)

(私も気になるわね)

(わ、私も…)

(わあ)

 

ぎゅむっと入り込む楊貴妃たち3人。

 

「ん~…確かに傾が襲ってたけど、逆になってた時もあったような」

「へえ、立香くんもヤるじゃない。これは面白くなりそうかも」

 

姉の性癖を知っているからこそ妹である瑞姫は面白がった。

 

「司馬懿ちゃんもいたし、途中で秦良玉と武則天ちゃんも来たわね」

「やっぱり不夜奶奶のあの余裕の笑みは…勝ち誇った笑みはそういう事だったんですね。うぬぬ」

「あううう…」

「あらあら。これは面白い事になっているわね」

 

女性たちの赤裸々トークは止まらない。

 

(これはマズイです…私の天子様が取られちゃいます)

(あうう…立香さんが)

(これは色々とありそうね。ええ、そうね…私も)

 

人の心とは何かの拍子に大きく変化するものだ。人間関係もまた誰かの行動次第で変化する。

南蛮での出来事は確かに一部の人の心と関係を変化させた。そしてその変化が良いか悪いかはまだ分からない。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新もこの後すぐ。



898
お留守番していた楊貴妃が武則天たちの様子から何かを感じました。
呼んだメンバーが月と紫苑なのは乙女の勘。
まあ、カルデアたちと他よりかは縁はありますね。

899
余裕の司馬懿(ライネス)
勝ち誇った武則天
鉄の理性?秦良玉
の3人でした。

900
孔明は何か気付きそうです。
何故、止めなかったのか。項羽ですら止めようとしなかった。
これにも訳があります。どういう事かはいずれ。

901
張角は数え役満☆姉妹のプロデューサーになりつつあります。
いずれ『フェス編』が始まります。

902
真相を知った3人でした。
まあ、それ以前に何となくは察していましたが。
藤丸立香と英霊や恋姫との関係がこれから物語にどう影響するかは完結に向けてどんどんと明らかになっていきます。
南蛮編は物語を大きく変化させた話でもあったのです。

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