Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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またまたまた連続更新だ!!
でもこれで打ち止めです。一旦力尽きました

今回は次回の話への前日談みたいなものです。
幕間の話はこれで終了し、新たな話へと進みます。

それにしてもボックス開封のための鬼周回は大変です。

では、物語をどうぞ



成都での日常9

903

 

 

素材の管理・確認をするのも藤丸立香の仕事の1つだ。

カルデアで保管しているとはいえ、マスターである彼も管理者としての役割がある。特異点などで採取した素材はまず藤丸立香が確認してからカルデアに提出しているのだ。

 

素材は場合によって様々な用途がある。英霊を強化するだけでなく、別の使用方法もあるのだ。魔術の強化や触媒にも使用される。

とても貴重であり、恐ろしい物であるがゆえに扱いは厳重にしなければならない。特異点に持ち出して忘れてしまったなんて事はできない。それが新たな問題になるかもしれないからだ。

 

素材の中には世界の常識を変えるような物もあるからだ。だからこそ外史という三国志演義を元にした異世界でも素材の確認は大事だ。

 

(けど李典には素材を1つ借りパク…じゃなくて盗られてたんだよね。新所長にバレたら説教確実)

 

盗られた素材を素早く取り返すのが当然の行為だが項羽より李典に預けておいた方が良いという事でそのままなのだ。

項羽の未来演算の予測より悪い未来にはならないと信じている。更に貂蝉たちからも李典にまだ貸していて欲しいとの事だ。

外史の管理者と項羽の判断であれば大丈夫と思うしかない。

 

「よし今回はちゃんと素材は全部あるな」

 

今度こそ間違いなく手元にある素材は1つも無くなっていない。

ところで人間とは気になるモノがあるとつい視線がそっちに向いてしまうものだ。集中していても気になってしまうと集中力が途切れてしまう。

藤丸立香もまた例外ではなく、先ほどから気になるモノが視界にチラチラとか堂々とか入ってくるので素材の管理仕事にいつもより少し時間が掛かってしまったのだ。

 

「ねえ立香。コレなに? とっても甘くて美味しそうなんだけど」

「それは悠久の実」

「聞いた事の無い木の実ね。でも美味しそう…さっきまでいっぱい体を動かして喉渇いたから食べていい?」

「ダメ。水で我慢して」

 

水の入ったコップを雪蓮の前に出す。

 

「え~何で~」

「コレ食べたら人間を辞めてしまうから」

「え」

 

悠久の実。

この実を食べた者の肉体はあらゆる変化を拒み、不老不死に等しい存在となるがそれは神々の永遠の僕となることを意味する。

 

「どういう事?」

「不老不死になる」

「えっ!?」

 

不老不死になる。それは人類の夢の1つ。

そんな物が雪蓮の目の前にポンと置いてあるのだから凄いを通り越して反応が無になる。

 

「こんな木の実1つで不老不死になんのかよ」

「なるよ炎蓮さん」

 

炎蓮が悠久の実を摘まんでマジマジと見つめる。

 

「もしかして始皇帝はコレ食って不老不死になったのか?」

「ああ~」

 

炎蓮の質問に雪蓮も納得しかけたが藤丸立香は否定した。

 

「始皇帝は別の方法で自力で不老不死になったよ」

「不老不死のなり方っていくつもあんの?」

「成功するかはともかく色々と手段はあるらしいよ」

 

不老不死の方法は何だかんだで世界中に存在する。しかし言ったように成功するかまでは分からないのだ。

 

「自力で不老不死になった始皇帝ってやっぱ凄いわ」

 

雪蓮もまたカルデアの始皇帝の存在感・覇気・傑物というあらゆるモノに圧倒された。

本当に何をどうしたらあそこまで至れるのか知りたいものである。

 

「コレ食べたら不老不死になるのねぇ…」

「不老不死も良いものじゃないって言う人はいるよ。不老不死となってより進化するか…化け物になるかって」

「進化か化け物か。始皇帝は?」

「始皇帝は真人に至ったんだ」

「真の人か」

 

何故かしっくりときた雪蓮。炎蓮もまたしっくりときた。

 

「そう言えば不死が良くないって言った人ってぐっちゃんだったりする?」

 

虞美人もまた不老不死の存在である。

 

「さあ、どうだったかな」

「なによその返しー」

 

不老不死が良いか悪いかは人それぞれ。そして不老不死になるには覚悟が必要なのだ。

 

「そう言えばオレも身体動かして喉が渇いてんだ。その実がダメならこの酒はどうだ?」

「あ、私も飲みたーい!!」

 

珍しく炎蓮が目をキラキラさせて奇奇神酒をガシっと手で掴む。それに乗っかる雪蓮。

2人もお酒が好きなので珍しい酒があれば気にならないわけがない。それが藤丸立香の大事な素材であっても。

 

「水で我慢して」

 

炎蓮の前にも水の入ったコップを出す。

 

「えー」

「1つくらいいいじゃねえか」

 

渇いた喉にキンキンに冷えたビール(酒)は最高と言うのに否定はしない。しかし運動後の水分補給に酒は如何なものかと思うのだ。

 

「おいおいオレとお前の仲だろ。それにもう深く繋がった仲じゃねえか」

「私だってそうでしょ?」

 

左右からくっ付く炎蓮と雪蓮。

 

「うぐぅ」

 

左右から密着されると色々と反応してしまう。

 

「このお酒はとっても酒精が強いから喉の渇きが潤うって事にならないから」

「「望むところ」」

「おい」

 

単純に珍しい酒が飲みたいだけの2人である。

 

「…はぁ、分かったよ。1つだけだからね」

 

既に魏で1つ飲み比べ勝負で渡しているのだから今さらである。素材の管理者として責任がどんどんと崩れていく。

 

「やったー!!」

「流石はオレの立香だ」

「ちょっと母様。いつ立香が母様のになったのよ」

「はははっ、ついさっきだ」

「もー」

 

笑いながら2人は奇奇神酒を嗜むのであった。酒精は強いが2人にも好評。

 

「んぐんぐ…次にコレ何? 鈴のようだけど全く音が出ないけど。壊れてる?」

「それは閑古鈴。壊れてないよ」

 

閑古鈴。

仙術が施された聞こえない音を放つ鈴。

その音色には鎮静効果と共に馬などの大人しい動物を操る効果がある。

 

「え、この鈴に仙術が込められてるの?」

「うん」

 

閑古鈴を振ってみるが何も聞こえない。その代わり別の柔らかいモノが揺れた。

 

「聞こえない音色を出す鈴か。動物を大人しくさせて操れるんだ…コレも凄くない?」

 

動物の調教にとても欲しくなる物である。

 

「今度試してもいい?」

「ちゃんと返してね」

「ちゃんと返すわよ。それにして立香って色々と持ってたんだ。他にも何があるかな」

 

ズズイっと素材が置いてある机を覗き込む雪蓮。そして炎蓮も気になるのか彼女も覗き込んでいる。

変わらず2人とも左右から密着しているので柔らかい感触が両肩に乗っている。

 

「おいこの羽はなんだ?」

「赤くて綺麗な羽ね。実は鳳凰の羽根だったりして」

「よく分かったね」

 

鳳凰の羽根。

東洋の霊鳥の羽根。

 

「……どこ手に入れるもんだよ」

 

炎蓮もたまに藤丸立香に驚かされるものだ。

 

「アマゾネスが落としたりするよ」

「亜真租根巣ってなによ」

「あと交換できる」

「何処でだよ」

 

鳳凰は瑞鳥だ。その瑞鳥の羽となると持っているだけで縁起が良いかもしれない。

本当に鳳凰の羽根というのならば雪蓮としては蓮華にあげたいものだ。瑞鳥(瑞獣)ならば新たに呉王となった蓮華に縁起物としてピッタリである。

 

「この禍々しい爪っぽいのは何だ?」

「それは混沌の爪」

 

混沌の爪。

この爪で傷をつけられた者は混沌の虜となる。

 

「混沌の虜ってどういう事?」

「それはオレもよく分かってない」

 

混沌の虜という部分が謎である。

単純に精神が汚染されるような事なのか、混沌という存在の虜なのか。

 

「そう言えば大昔に混沌っつー化け物がいたらしいが…その爪だったりするのか?」

「どうだろう。たぶん違うと思うけど」

「分からないもんを管理してんのかよ」

「分からないからこそ厳重に管理・保管してるんだ」

 

その割には英霊の再臨や強化でバンバン消費しているカルデアである。

 

「ほんと珍しい物ばかり持ってるわね。他にも見せて見せて」

「そんなに見せられる物じゃないので」

「ケチー。この瓶は何かしら。なんだか灰だが燃え滓っぽいのが入ってるけど…実は何か特別な粉?」

「灰で合ってるよ。忘れじの灰って言うんだ」

「忘れじの灰?」

 

忘れじの灰。

焼け尽きた灰のようなものが入った小さな小さな瓶。決して忘れえぬ誓いの証。

 

「決して忘れえぬ誓いの証か…」

 

燃えて灰になったとしても誓った証は無くならない。その意味に考えさせられるのか雪蓮と炎蓮は瓶に入った灰を見る。

 

「なんだかこの灰って私たちみたいね母様」

「…そうかもな」

 

忘れじの灰が雪蓮と炎蓮の様だという事。それは2人が呉の指導者として、王として重ねたからだ。

2人は孫呉の為、民の為に誓いを立てて戦った。結果的には生き残ったが燃え尽きた(役目を終えた・倒れた)という意味ではあながち間違いではない。

その誓いは燃えて灰になったとしても忘れない。次の代へと忘れずに残っていくのだから。

今は蓮華に託されている。

 

「………今の孫呉はどうなってるかしら」

「んなもんぐだぐだになってるだろ。お前が死んで急に蓮華に王になったんだからな」

 

蓮華が呉の王としての器がある事は2人とも認めている。しかしまだ未熟だという事も事実だ。

今の呉は恐らく内部がバラバラになっているかもしれない。雪蓮の時のようにまた豪族たちが不審な動きを見せるかもしれない。離反するかもしれない。

王が変わるという事は何かしら大きな変化がある。それが良くも悪くも。

 

「はい返すね」

 

雪蓮は忘れじの灰を藤丸立香に返し、奇奇神酒を口に流し込む。酒精の強さが沈んだ心に浸透していく。

あまり湿っぽい事が好きではないので気分を変えるのが一番だ。また奇奇神酒を口に含む。

 

「気になるなら2人とも帰ればいいんじゃないかな」

「「それは無理」」

「頑なだなぁ」

 

ソレはソレ、コレはコレというものだ。

 

「そうだ。なら立香が見に行って来てよ」

「オレが?」

「そ。ちょっとまずそうだったら力になってきて。そして帰ってきたらどんなだったか様子を教えて」

「それがいいな。よし呉に行ってこい立香」

 

ビシリと命令する雪蓮と炎蓮であるが、ブンブンと首を振って断る。

 

「嫌だよ。オレだって行きたくないよ」

「何でよ!!」

「オレだってどんな顔して蓮華さんたちに会いに行けばいいか分からないからだよ!!」

 

蓮華たちは炎蓮と雪蓮が死んだ事に悲しんでいる。そんな彼女たちの下に2人の生存を知っていながら話せない彼は物凄く居心地が悪いのだ。

炎蓮が生存していた事も黙っていて雪蓮たちと会っていた時も心が痛かったほどである。

 

「我慢しろよ」

「なら2人とも一緒に行こうか」

「「嫌だ」」

「何でだよ!!」

 

雪蓮と炎蓮は頑なに呉へと行こうとしない。

 

「絶対に後悔する時が来るからな2人とも」

 

どのみち、いずれ2人の生存は蓮華たちに明かされる。それがいつになるかは分からないが。

 

「本当にどんな顔して行けばいいんだよ…」

 

藤丸立香が呉にまた行く事は確定。しかし本当に行き辛いのは本音としては本当だ。

きっと孫呉内では暗い雰囲気なのは確定しているのだから。

 

「平気そうに振舞ってると思うけど…蓮華さんだけじゃなくて冥琳さんや粋怜とかはきっと心にキてるよ」

「あ~確かに冥琳は強がって平気に振舞ってそう。なんせ私の半身みたいなもんだし」

「粋怜…そうだな。アイツはオレを守れなかった事をとても後悔してるから雪蓮も守れなかった事でより後悔してそうだ」

 

彼女たちだけでなく他の孫呉の面々も心に傷を負っているはずだ。2度も主を失ったのだから。

だからこそ2人は藤丸立香がその傷を塞ぐ役目になると思っているのだ。

 

「立香にしか出来ない役目だからお願ーい」

 

ガッシリと抱き着いてくる雪蓮。甘い香りに程よい体温が伝わってくる。

 

「わざとらしいお願いだ」

「嬉しいでしょ?」

「雪蓮らしくないしなぁ」

「そこは嬉しいって言いなさいよ」

 

本音を言えばワザとでも嬉しい。

 

「慰める為に冥琳や梨晏を抱いても良いから。私が許す」

 

グっと親指を立てる雪蓮。

 

「そうだな。慰める為に抱いて来い立香」

 

炎蓮も許可が出る。

 

「そもそも孫呉に血を入れる為にもっと抱いて来い」

「この2人は…」

 

またいつもの流れになってきたと思うのであった。

 

「ともかく呉には行くよ」

「さっすが立香ありがと」

 

実は藤丸立香も今の孫呉が気になるというのは嘘ではない。

 

「ところで2人にお願いがあるんだけど」

「なに?」

「なんだ?」

 

先ほどから彼は2人の姿が気になってしょうがないのだ。おかげで素材の管理・確認作業に集中できなかったのである。

気になるものが視界にチラチラ入れば気になって集中力が乱れるのは当たり前。

 

「服着て」

 

 

904

 

 

貂蝉と卑弥呼は部屋で晩酌をしていた。

窓からは月明りが差し込み、小さな灯りだけでも部屋は明るいほどだ。

ツマミにメンマや叉焼を齧り、酒を口に含んで喉に流し込む。

 

「うむ。旨いな」

「そうねえ」

 

漢女である2人はとてもダンディな雰囲気を醸し出している。漢女でもダンディは失われない。

 

「こうやって月を見ながら酒を飲むのも管輅と飲む時以来か」

「あの子ったら今頃何をしてるのかしらねえ。彼の役目は天の御遣いの報せを大陸に広める事だけど、それは終わってるし」

「うむ。役目を終えた後は好きに動いているはずだ。この大陸の何処かにいるか、もしくは帰っているかのどちらかだ」

 

外史の管理者も複数人いる。外史の管理者も役目は様々であり、貂蝉たちは物語を進める手助けをしたり、異常を取り除いたりする。要は外史世界の監視である。

逆に于吉や左慈に関しての仕事は剪定であり、いらなくなったモノを消し去る仕事。そして話に出てきた管輅は外史(物語)の始まりを担っているのだ。

管輅が『天の御遣い』という始まりを広める事で外史世界に天の御遣いが現れるのだ。

 

「彼…んーっと今は彼女? まあいいわ。久しぶりに会いたいけど、会う場面にもよるのよねえ」

「うむ。もしもこの外史の物語に関わるような出会いならばそれは異常事態の1つであるからな」

 

酒を口にもう一度、含む。

 

「異常事態と言えば…立香ちゃんたちカルデアはどんな感じかしら?」

「立香たちか」

 

藤丸立香たちカルデアはこの外史世界ではイレギュラーだ。

 

「見張ってはいるが悪ではない。ただ彼らは儂が呼んだわけではない。貂蝉でもないだろう?」

「ええ。私も立香ちゃんたちを呼んでないわ」

 

外史世界に天の御遣いとして別世界の人間を呼ぶのも管理者の権限だ。

 

「そうなると于吉ちゃんたちかしらねえ」

「奴らにその権限はない。全く…どういう方法を得てその権限を手に入れたのか」

 

藤丸立香たちが悪人ではないというのは旅の中で分かっている。英霊たちの中には性格に色々と難ありというのは否定できないが、それでも外史世界をメチャクチャにするような者たちではないと2人は判断している。

寧ろ彼らは外史世界での異変を解決しているのだ。異変を起こして自分で異変を解決するのはあり得ない。

 

「于吉ちゃんたち以外の管理者というのもあり得ないし…やっぱ于吉ちゃんよね」

「だろう。であるならば何の目的を持って立香たちを呼んだかだ。今のところ呼んでおいて自らの邪魔にしかなっておらんからな」

「そうねえ」

 

左慈と于吉の目的は分かっている。しかし目的の為に用意したモノが『何で用意したか分からない』のだ。

 

「立香たちは悪い者たちではない。だが見張りは続けておいた方が良いだろう」

「そうねえ。立香ちゃんの行動も気になるし」

「む、立香が何か怪しい行動をしているのか?」

「いえ、寧ろ応援したくなっちゃう事なんだけど」

 

貂蝉の言葉に卑弥呼は首を傾げる。

 

「男女の関係よ」

「おお、なるほど」

 

ポっと頬を赤くする卑弥呼。酒なのか照れなのか分からない。それはともかく漢女として男女の関係もとい恋の話は大好物である。

 

「立香のか。うむむ…確かに気になるのう。だがそれは悪いものではないだろう?」

「ええ。司馬懿ちゃんや秦良玉ちゃんとかの絡みを見ると胸がほわほわしちゃうわ」

 

人の恋路を見て尊いと感じるか嫉妬するかは人それぞれ。貂蝉たちは見ていて尊く感じる側だ。しかし北郷一刀が絡むと少し違う。

 

「ただこの世界の子たちとはね」

「むむ、意外だな」

「イレギュラーじゃなかったらの話よ。一刀ちゃんみたいなら全然応援するんだけど」

 

先ほどにも言ったが藤丸立香たちはこの外史世界ではイレギュラーの存在だ。何処まで関わって良いのかという問題がある。

既に深く関わっているので今更の話ではあるのだが、貂蝉たち的には藤丸立香たちどの国にも所属せずに中立としているからまだ問題無しと考えているのだ。

魏、蜀、呉と関わりがあるが、それは基本的に異変が起きた時に手助けをしているだけだ。

 

「今のところ蜀を拠点にしているけど所属はしていない。しかし立香はある意味、呉に所属しているようなものだからな」

「前に于吉ちゃんの策を破る為に過去の呉に送ったけど…アレって実はマズかったかしら」

 

中立をしているが呉からしてみれば藤丸立香たちを所属しているつもりだ。異変を解決する為とはいえ、孫呉に協力した事も少なからずあるのだ。

 

「しかし、そうしなかったら呉はもう滅んでおり、この外史世界はおかしくなっていたぞ」

「そうなのよねぇ」

 

本来であれば天の御遣いは1人だけだ。孫呉を救う為とはいえ、天の御遣いが2人になってしまったのである。

 

「立香ちゃんは天の御遣いじゃないって何度も否定してたけど…結局は孫呉の動きで2人目の天の御遣いになっちゃったからね」

 

孫呉が悪いわけではない。国を大きくするための1つとして動いただけで、孫呉が外史の管理者の考えなんて分かるはずがないのだから。

 

「で、話がちょっと戻るけどイレギュラーである立香ちゃんたちがこの外史世界の子と結ばれるとどうなるかね」

「ほんと今更だな。呉はもちろん…魏や蜀の中でも立香を気にする者はおるぞ。そもそも南蛮で色々とあっただろうに」

 

藤丸立香は男女関わらず仲を深める。それは北郷一刀のようにだ。

 

「悪い事なのか?」

「悪くはないんだけど…何か気になるのよ」

「漢女の勘か」

「ええ」

 

悪くはないのだが貂蝉の漢女の勘が何かを感じている。それこそ、その引っ掛かりが于吉や左慈に近づくようなモノだ。

 

「そっちの方面も気にしていかないとね」

「分かった。しかし当面の問題は五胡だ。南蛮で現れたという影姫なる者だが…」

「間違いなく彼女でしょうね。暗影の存在でもしやとは思ってたけど」

 

影姫を名乗る存在。そして暗影の存在。その2つから貂蝉たちはある外史世界の事を思い出している。

 

「この外史世界はやはり色々と変化しておる」

「…変化というか混ぜ込まれてると言った感じだけどね」

 

今まで異変からこの外史世界には様々な外史世界の流れが起きている。それこそが異常事態である。

その異常事態を解決し、結果的に蜀の流れへと戻してはいるのだ。

 

「次の流れは…大きくて蜀と呉の同盟か」

「そして赤壁の戦いね」

 

2人としては特に『赤壁の戦い』が重要だ。赤壁の戦いによって外史世界の未来が決まるのだから。

 

「于吉は必ず赤壁の戦いで何かを仕組んでくる」

「でしょうね。場合によっては私たちも出る必要があるわ」

「うむ」

 

この外史世界の物語も結末へと近づいていく。

 




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新は未定。


903
素材管理もマスターのお仕事です。
その割にはこの外史世界で素材を盗まれちゃったり、あげちゃったりしてるな。
それで大丈夫だと思っているのも理由が…おっとネタバレになってしまうのでここまで。

藤丸立香の「服着て」発言。
雪蓮と炎蓮の恰好がどんなだったかは…ヒント「抱き枕の絵」
そして何でそんな恰好だったかはご想像にお任せします。


904
貂蝉と卑弥呼たちはカルデアを全て信用してはいません。
なにせイレギュラーな存在ですからね。
藤丸立香が悪い人間ではない事は分かっていますが、何か気になっています。
その何かがまだ分かっていない状態です。
立香と恋姫たちとの関係が深くなるにつれて何が起こるかを貂蝉たちは気になり始めました。


さて、次回は物語にもあったようにまた呉に行きます。
最後の八傑衆との戦いになります。『最後の八傑衆編』です。

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