Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
ワンジナ・ワールドツアーですがまだクリアしてません。
とりあえず聖杯がトンデモナイ事になってるのは分かりました。そして特異点の正体にもびっくり。ワンジナちゃんは可愛いのも分かりましたね!!
あと急なジククリ要素に私は尊さを感じてしまいましたね。
恋姫『白月の灯火』の公式サイトではイベントCGが公開しましたね。
月と詠は可愛いし、空丹は可愛くも色気がありました。
恋と音々音は決まってカッコイイ。そして傾は恐ろしくも美しい。
そんな感想な4点のイラストでした。
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猫。犬と並ぶ世界で代表的な動物だ。
猫は愛玩動物として人気があり、魔力があるのかもしれない。見ていて癒されるし、可愛さに夢中になってしまう。
だからこそ家族の一員として大切に想って一緒に過ごすのだ。
「可愛い~」
「そうだね。姉さん」
基本的に猫を可愛いと思う者は多いはずだ。もしも猫が苦手だと思う者がいれば猫に対して何かしらトラウマを持つ者かもしれない。
猫に対してのトラウマとは何だと思うかもしれないが、例えば小さい子供の時に強く引っ掻かれたから苦手意識があるとかかもしれない。
「くっ……フォウ君。オレ…ゴメン」
「何で謝ってんのさ」
フォウ君から猫に浮気した感じだ。もしもこの場の様子を実際にフォウが見ていれば不機嫌になる可能性はなくはない。
「癒されますね」
アニマルセラピーがあるのだ。動物との触れ合いは悪いものではなく、寧ろ推奨される。
「私は猫派じゃないけど猫派になっちゃいそうです」
「姉さんは象派だよね」
象派というのは珍しいかもしれない。しかし悪い事ではない。象が好きであれば象派なのだ。
「猫派といえば…彼女はもう猫派の中の上位者だよね」
「オッキーや黒ひげが言うには沼に嵌ってるからね明命」
3人はチラリと視線を一か所に向ける。その先には件の明命。
「は~~、お猫様~~」
その姿は猫を神として崇拝しているレベルである。
「お猫様こそ至高です~」
「猫と孫権どっちが大事?」
「………そ、孫権様!!」
徴弐の困らせる選択に明命は即答できなかった。
こういう選択肢というのは好きの意味合いが違うのだから。
「ここまで猫が好きなら猫カフェとか嵌りそう」
「立香様お猫様かふぇとは何ですか!?」
藤丸立香のひょんな言葉に目がカッとし、首をギュルンと向けた明命。まさかの反応速度に少しだけ驚いた。
「猫カフェはね……まあ、猫と一緒にのんびりしながらお茶を飲む茶屋かな」
猫カフェ。
猫とのんびり静かに過ごせる喫茶店だ。
「な、なんと!!」
「モフモフし放題というわけじゃないけど、人間慣れしているから近い距離で一緒に過ごせるよ」
「おお!!」
個体にもよるかもしれないが猫はとってもデリケートな生き物だ。嫌がるのであればすぐに放してあげるのがマナーだ。
嫌がらなければ撫でたり、抱っこしても大丈夫である。猫カフェとは人間と猫が静かにゆっくりと過ごせる場所なのである。
「そ、そんな素晴らしい所があるなんて…天の国。素晴らしいところですね!!」
猫カフェで提供されている飲み物を飲みながら、気ままに動く猫を眺める時間は格別で、時間を忘れるものだ。
忙しくすぎる日常を感じさせない猫の動きは、見ているだけで日常から離れた気分にさせてくれるものである。
「最近の猫カフェは本当のカフェのようにドリンクやスイーツにこだわっているところもあるって聞いた事あるなぁ」
最近と言っても藤丸立香にとっての最近はツッコミしづらい。
「他にも猫を見ながら読書なんてのも出来る」
「そんなことまで!!」
猫とは意外にも何か別の事をやっていると興味があるのか近づいて来てくれるものだ。
「天の国とはとても素晴らしい所なんですね。私もいつか行ってみたいです!!」
(猫カフェはやろうと思えばどの時代でも出来そうな気がしなくもないけど)
国や地域にもよるかもしれないが動物と一緒に過ごすというのが大丈夫であれば犬カフェや猫カフェもどの時代にあったかもしれない。
「猫カフェ。マスター、象カフェって無いんですか?」
「…聞いた事ないかなー」
象をモチーフにしたカフェならあるかもしれないが象と一緒に過ごすカフェは聞いた事がない。
「残念です…」
(落ち込む姉さんも可愛い)
「でも象の国なら知ってる」
「そんな国があるんですか!!」
「ある」
日本の関東地方の某県にある動物園である。何でも国内最多数の象が飼育されていると言う。
象さんと一緒に楽しもうというのがウリである。
「行ってみたいですね。ね、弐っちゃん」
「姉さんが行くなら行くよ」
(2人の故郷の方が象がたくさんいそうだと言うのは野暮かな)
本当に野暮かもしれない。
「徴側様は本当に象がお好きなんですね」
「はい。明命さんは猫ちゃんが好きなんですね」
「はい!!」
良い笑顔の明命。徴側も良い笑顔である。
自分の好きな動物を語っている時は楽しいものだ。動物に限らず好きなものを話す時は幸福を感じるのだ。
だからこそ語りが止まらないのである。
「猫かふぇ…行ってみたいです」
「象の国。行ってみたいですね」
猫カフェはやろうと思えばこの世界でも出店できるかもしれない。象の国は美以に頼めば、象と触れ合いができるのではないだろうか。
そう考えると案外、実現できる夢ではある。
(マスター)
(なに徴弐)
(象の国をここで作れない? ついでに猫カフェとやらも)
(……協力者がいればワンチャンいけるかも)
象の国を建国させるには南蛮の協力が必要だ。猫カフェを出店させるには孫呉の許可が必要だ。
南蛮では徴姉妹の一声で了承出来るかもしれない。孫呉では本来の仕事を疎かにしなければ副業として了承してくれるかもしれない。
(あれ、案外イケるな?)
そのうち呉に猫カフェと象の国が出来るかもしれない。
(マスター、私も力を貸そう。姉さんの為だ)
徴弐は姉の為ならどんな事にも本気を出す人物である。
(マスターも分かってるね?)
(うす)
人知れず呉で象の国と猫カフェの建国・出店計画が出来上がった。
「う~ん…」
「どうしました蓮華様?」
「嫌な予感…というわけじゃないのだけれど、何か妙な予感を感じた気がしたような?」
「奇遇ですね。私もです」
この計画がまさか『あんな事』になるとは蓮華も冥琳も誰も予想が出来なかったような気がした。
『孫呉 象の国』建国予定と『孫呉の猫カフェ』出店予定が出来た。
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長江の河口に海狗が出た。
海の狗と書き、海に住んでいる大きい獣である。何でも水に強くて上質な皮が取れ、お肉も結構おいしいとの事。
臭いは強いので好みは人それぞれである。何より珍重されるのは海狗の性器で、陰茎や睾丸は強力な精力剤の素となるらしい。
珍味や薬の素というのは想像が出来ない物や生物だったりするものだ。
「海狗かぁ」
現在、長江の河口。
長江の河口に海狗が出たという情報が手に入ったので捕まえに呉の何人かが船に乗って動いたのだ。
その中に藤丸立香と李書文(槍)も同行していた。ある意味、良い経験の1つになるという事で連れられたのである。
「揺れますねー。こんなひどいオンボロ船で大丈夫なのでしょうか?」
「オンボロ船だと?」
包の余計な一言で思春に睨まれる。
「ひゃわわ。でもでも、見るからに老朽化が進んでいるっていうか、ほとんど傷だらけじゃないですか」
「歴戦の勲章というものだ。それに案ずるな。この船はこう見えて我が水軍の中でも最速の足を誇っているのだ」
古い船と言われれば確かに不安になるかもしれない。しかし、船に乗っている者には分かるのだ。
乗り慣れた船の方が新品の船よりも良いというものである。
「だいたいお主は何なのじゃ。頼んでおらんのに勝手についてきおって」
「だって狩りは戦みたいなものでしょう? 戦なら絶対に軍師が必要なのです。なのでパオが同行しました。祭様と思春さんは畏れながら2人揃って脳筋に寄っているところがありますので」
「祭殿。この者を河に放り込んでもよろしいか?」
「くっく、まあ待て。こんなたわけでも、海狗をおびき寄せる餌には使えるかもしれんぞ?」
「なるほど。それは名案」
「ひゃわわー!?」
2人に悪い顔で睨まれる。
「立香、良かったねー。包が来てくれたおかげで思春の機嫌の悪いのが全部あっちへいってるよー」
「喜んでいいのかな?」
相変わらず失言が酷いので本当に思春が包を河へと落としそうである。
「シャオは海狗を見た事がある?」
「うん。ちっさい時だけどね。まだ孫家が呉の街で暮らしていた頃に」
孫家が建業ではなく、呉郡に拠点を置いていた頃との事。
「船から見た事もあるし、市場で売っているのも見た」
「どんな見た目?」
「んー、黒くてすっごく大きいの。んで、前足は短くて後ろ足がなくて…あと、すごく太ってる」
「李書文も知ってる?」
「知ってはいるが食った記憶はないな」
(海狗ってどんな動物なんだろ…シャオの説明で何となく予想が出来たけど)
どんな動物かは捕まえれば分かる。しかし捕まえられるかどうかは運もある。
「今日はやけに船が多いですねー」
チラリと海を見ると同じように海狗を捕まえようと他の漁師たちの船がいくつか見られた。
「海狗のせいだろう。噂を聞き、我らと同じように数多くの船が河口を目指しているようだな」
「思春よ、うかうかしておれんぞ。もっと飛ばすのじゃ」
「ハッ!!」
仲良く一緒に捕まえるという考えはない。誰が早く捕まえるかである。しかし早い者勝ちであっても件の獲物が見つからないのであれば意味は無い。
藤丸立香たちは呉郡に入り、目撃情報があった長江の河口までやってきたのだが未だに海狗の群れには遭遇できていないのだ。
「いないねー立香」
「だねシャオ」
周囲には海狗を狩ろうと息巻いているライバル船ばかりであった。
「海狗は警戒心の強い獣だからな。噂を聞き、あまりに多くの船が押し寄せたせいで海に戻ったのかもしれない」
「むぅ…じゃがここまで来て無駄足というのもつまらんの。せめて一匹で良いから仕留めたいものじゃが」
「でも本当に船が多いね」
約ニ十隻の漁船が血眼になって海狗を探している。これだけ探していたら件の獲物も顔を出せないはずだ。
「思春よ。群れが入った時はどんな感じであった?」
「ああ、そうだな書文…何頭かが獲れたらしいぞ」
「そうか、この辺りでか?」
「さあ…漁師どもは、なかなかに口が堅いからな」
「ふむ」
ライバルに情報は渡したくないという事だ。誰だって稼ぎたいのであれば自分のとっておきの場所を教えるはずがない。
「何にせよ最初に目撃されたのはこの辺りなんだよね?」
「でも、こんだけ船が多いと海狗だって隠れちゃって出てこないよ」
「むむ…ここは軍師の腕の見せ所ですね」
キラーンと目を光らせた。
「はあ?」
「おーーーーいっ!! おぉーーーいいぃぃーー!!」
包は突然、大声を張り上げて周囲の船に呼びかけた。
最初は無視をしていた船も何度も彼女が叫ぶので、どうしたのかと近づいてくる。流石に女性が大声で叫んでいると無視はできないものだ。
「まあ、見ててください」
ニヤリ顔の包。
「なんだよ姉ちゃん」
何だ何だと漁師たちが集まってくる。
「でっかい声で呼んで、海狗が出たのか?」
「はい、実は今さっき、ここで海狗の影を見ました」
「え、本当か!?」
「はい、本当です。十頭くらいはいましたねぇ?」
「…おお!!」
普通に嘘を口走る包。その様子を顔に出さないように黙ってる祭たち。
「いや、待て。何でわざわざそんなことをオレたちに教えるんだ?」
「おう。黙って仕留めりゃいいじゃねえか?」
「姉ちゃん。俺たちを担いでんのか?」
「え、えーえ……そんな」
包は動揺しながら何故か首を伸ばしてはるか上流の方へと目を向けた。
その先には何隻か漁師グループがいたのであった。
「なんだよ?」
藤丸立香たちから見ればわざとらしいのだが漁師たちからしてみれば良い演技である。
「あ、てめえ。そうか、上流だな!!」
「え、えええ、な、何がですか?」
何故か焦った演技をする。
「とぼけんな。今、上流の方を見ただろ」
「見てない。見てないですよぉ!!」
「はん、読めたぜ。今、上流でおめーの仲間が群れを見つけたんだろ。俺たちをここに足止めする気か?」
意外にも包の演技が上手い。
「ち、違いますってば」
「はっは。馬鹿め、俺らを騙そうったって、そうはいかねえんだよ」
漁師たちは気勢をあげ、船の進路を上流へ向けた。我先にと向かったので気が付けば周囲の船はほとんどいなくなっていた。
「どうです?」
見事に漁師たちは包の演技に騙されたのであった。この結果に彼女は得意満面の表情で向きなおった。
「お主、やりよるのぉ」
一瞬でよく考えるものだ。競争相手を別の場所に追いやって自分たちが捕まえやすいように仕向けたのである。
演技もなかなか達者で騙されてもおかしくはない。包の事を知らないと漁師たちからは嘘を見抜けやすい人間と思われるだけだ。
「あっはっは。これが軍師の実力なのです」
「うん。びっくりした。包って頭良かったんだね。ずっと馬鹿なのかと思ってた」
「なんと失礼な!?」
小蓮のストレートな言葉にグサリの包。
あまり目立った活躍をしていないせいかもしれない。しかし包は性格はアレだが有能な人材なのは確かである。
「ふん、いささか卑怯な手だったが、此度は褒めてやろう」
「よいよい。狩りなのだから他人を出し抜いた者の勝ちじゃ」
獲ったもん勝ちという事だ。
「はい。皆さん、もっとパオのことを尊敬しないと駄目ですよ?」
「応、ようやった」
これで船は減ったが、すぐに海狗の群れが出現するわけではない。
もしかしたら本当に海に戻っている可能性もある。ここから粘り勝負になるかもしれない。
「絶対に一頭は捕まえる!!」
しかし三日も経過するが全て空振りに終わりそうであった。
「駄目だ~~~」
見つからないとなれば、いつまでも海にいても意味は無い。何も成果が得られないのであれば早めに区切りを付けるべきなのだ。
実際の所ライバル漁師は全く見つけられない為、ほとんどが港へ進路を向けていた。
「はー、見つからないねー」
「はい。せっかくパオがお膳立てをしたのですが肝心の群れがいなければ、どうしようもないのです」
「やっぱり、もう海に戻っちゃったのかな?」
「ふむ…3日もここにおって、一度も姿を見かけんとなれば群れはおらんようじゃな」
ここまで見つからないとなると海狗の群れは海に帰ったという線が濃厚だ。
祭も帰るべきかと考えだしている。
「されど祭殿。群れは去ったとて大抵は一頭か二頭、群れをはぐれた個体が河に残っているものです」
「ならばまだ諦めきれんの」
「はい。このままでは負け戦です。パオが軍師を務めた戦で負けはあってはならないのです」
せっかく海狗を捕まえやすいように他の漁師たちを策で移動させたのに捕まえられなければ意味がない。しかし見つからないのであればどうしようもない。
「けど今日はもう駄目そうだよ。そろそろ港に戻る?」
「むう…」
今日は帰って明日を最後にしようかと考えていた時、李書文(槍)が何かに気付く。
「静かにしろ」
「……お?」
更に船縁に立つ思春も何かに気付いたような声を漏らした。
「思春、李書文如何したのじゃ?」
「祭殿、お静かに」
「海狗ですかっ!?」
「静かにしろと言っているだろうが…!!」
「はいぃ」
李書文(槍)と思春は同じ方向を見ていた。
「思春、海狗がいたの?」
「ハッ、そこに」
「………おお!!」
思春が指さした方向を見て祭も声を静かにあげた。
「おる。確かにおるの」
「間違いありません」
思春は船に備え付けられた銛にそっと手を伸ばす。
「儂がやろう」
「外すなよ」
「外さんさ。2回も投擲せん」
李書文(槍)が先に銛を掴む。
銛には紐が付いている。獲物に突き刺して仕留めたのであれば、後は紐を引っ張るだけだ。
「行くぞ」
李書文(槍)は静かに勢いよく銛を投げ飛ばした。
「仕留めた!!」
銛は見事に海狗に命中した。そして銛にくくり付けた紐を引っ張って船まで引き寄せる。
「うわっ、おっきい!!」
「確かに大物だ」
「うむ、肉付きも良い。立派な成獣じゃな」
「か、噛みつかないですか?」
「平気だ。確実に死んでいる」
黒々とした丸く大きな体をしていて、短い前足と一見、無いように見える後ろ足。
海狗とはオットセイの事であった。
(オットセイだったんだ。トドかと思った)
オットセイもトドも同じアシカ科ではある。
「思春よ。一旦、港へ運ぶか? それともここで捌くかの?」
「肉は鮮度が命。この場で捌くとしましょう。すぐに内臓と血を抜いてしまわねば」
思春は手慣れた様子で短刀を手に持つと、躊躇いなく海狗の腹を裂き始めた。
「ふん!!」
黒い皮がめくられ、真っ赤な血とともにピンク色の内臓が甲板に零れ落ちる。
「わぁ…!?」
「ざ、残酷です!!」
「何を言う。お前も普段、肉を食してるだろうが」
「そ、そうですが…」
「小蓮様もよう見ておくのですぞ。こうして命をいただき、かように捌かれて我らの食する肉は作られておるのですからな?」
「う、うん。わかってる…それでも、ちょっと可哀相な気分になっちゃうけど」
「ふふ、それが当然じゃ」
命を頂くとはこういう事だ。
現代でも当たり前のように食べられている牛肉や豚肉などは同じように捌かれている。
残酷であるかもしれないが食べるという事は他の生き物の命を糧にしているという事だ。だからこそ食する前に「いただきます」や「ごちそうさま」という言葉が出来たのかもしれない。
生きる者たちは他の生き物の命を奪って生きているという事をちゃんと自覚しなければならない。食事が出来るという事は当たり前だとおもってはいけないのだ。
「ふー…さて」
思春はあっという間に海狗を綺麗に捌いたのであった。
すでに皮も剥いて肉は大まかに切り分けられている。内臓も使える部分は持って帰るようだ。
「うん? 包は如何したのですか?」
「倒れおったわ」
「倒れた?」
「うん。途中まで見てたんだけど、目を回しちゃったの。今は船室で寝てるよ」
「軟弱な奴め」
生き物が捌かれ、内臓が出たり、肉が切られたり、血が出たりとしたのだ。
苦手な人が居てもおかしくはない。実際に現代であっても気分が悪くなって倒れる人だっているものだ。
「包には刺激が強すぎたかな」
「小蓮様は偉いのう。最後までちゃんと見届けられた」
「えへへ」
「立香、お主も平気か?」
「うん。大丈夫」
「お前もなかなか強い精神はあるようだな」
獲った獲物が捌かれるのは戦場で斬り合うのとはまた違った生々しさがある。
そもそもサバイバル生活をこなしているので動物の肉を食べる為に捌く状況を見た事があるのだ。
「さてと、祭殿。取り分についてだが」
「おう」
「取り決め通り、皮と肉、骨は七割、私が頂戴いたす。残りの三割と内臓は祭殿にお渡しするということでよろしいか?」
「うむ、それで良い」
既に配分の取り決めは決められていたようだ。
「え、シャオの分は無いの!?」
「ははっ、小蓮様には儂の取り分である肉から今夜にでも早速、腕によりをかけた料理を振舞いましょう」
「あ、本当に? やったー!!」
海狗料理とはどのような料理か気になるところである。
「思春が七割なんだ」
「初めからそういう約束だったのでな。私は部下どもに土産をやらねばならん」
「面倒見がいいね思春」
「ふん」
伊達に錦帆賊の棟梁をやっていたわけではないという事だ。
「祭さんは内臓なんかもらってどうするの?」
「クックッ、内臓と言おうかの…儂の目当てはこれじゃ、これ」
「……」
祭は甲板に並べられた内臓の一部からちょっと気味の悪い形態のモノを手に取った。
「一応聞くけど…何それ」
「ナニじゃが?」
「……」
予想通りであった。初めて見たが感想が出てこない。
「わっ、これが海狗のおちん…」
「シャオ、ストップ」
つい英語で言ってしまった。
「くくく。立香よ、申しておったであろう。海狗の陰茎と精巣は精力剤の素なのじゃ。ふふ…見ておれ、数日は滾って滾って収まりがつかんようにしてくれるからの」
祭はまさに獣のような目で藤丸立香を見ながら言った。
「これから何を食わされるんだオレは…」
「だからナニ」
「ちょっと祭、そんなの独り占めはズルいよ。シャオにも分けてよー!!」
「どうせ食うのは立香じゃからの。あやつがビンビンになった後、皆で立香に群がってやれば良いのじゃ」
「あ、それもそっか」
互いに笑い合う祭と小蓮であった。
「………」
沈黙の藤丸立香。そして南蛮での事を思い出しそうになったが、流石にそこまでにはならないと思い直す。
「この性欲魔め」
「マスターも男だな」
「思春、李書文さあ…」
これは藤丸立香が狙っているのではなく、祭と小蓮が狙っているのだ。
(そもそもオットセイ肉の料理ってどんなのだろう?)
同じアシカ科でアザラシと使った料理でキビヤックというのがあるのは知っている。
(まあ、キビヤックはアザラシを食べるんじゃなくて発酵した海鳥の方を食べるらしいけど)
キビヤック。美味しいらしいが臭い料理で世界第4位との事。
(睾丸料理なんてあるからな…本当にどんな料理が来るんだ)
祭が作るという事で、結局は喰わされる羽目になるのだから待つしかなかった。
「クセは強かったけど美味しかったよ?」
その日の晩、祭による海狗料理が振舞われ、感想を言った藤丸立香であった。
元気になったかどうかは内緒である。そしてその日の晩に藤丸立香の部屋の前である攻防があったとか無かったとか。
読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も未定ですけど…2週間以内をまた目指したい。
今回の日常編もあと次回で終わりにして新たな話に進めようと思います。
本当はあと2話くらい考えてました。
(藤丸立香と張角と雷火の話や陳宮と呂布と梨晏の話とか)
日常編が終わればまた本編に戻ります。
魏での話にするか、赤壁編に進むか…悩む。
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猫は可愛い(それが真実)
象の国…昔、言った事があります。象の背中乗ったのは思い出ですね。
徴姉妹の活躍を公式でももっと出して欲しいですぅ。
孫呉に猫カフェは出店されるのな。象の国は建国されるのか。
それは…気が向けば書くかも?
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祭の幕間での話になります。
オットセイ。食べられるのは初めて知りました。
まあ、世界には色々な料理がありますからね。睾丸料理とかびっくりです。
でも食べたら本当に色々と元気にはなりそうです。
食べた後の立香の話も考えてましたけど……まあ、今回はスルーで。
キビヤックとか衝撃でした。
(知った情報源は『もや〇もん』。