Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
正月も終わって今しましたね。なんだか憂鬱というかなんというか…。
今年もまた頑張っていかないとですね!!

さて、今年こそはこの物語の完結を目指していきます。
まずは5章の完結を!!

では物語をどうぞ!!


辻斬りの鬼

965

 

 

鬼が会談会場とは別に町を襲撃している。町の守備隊が鬼の襲撃に対応しているが1体、特に強く恐ろしい鬼が兵士と民関係無く切り裂いている。

町には紫苑の娘である璃々がいる。鬼の目的が何にしろ、町を襲撃しているのであれば璃々も襲われる可能性は高い。

 

璃々の母親である紫苑であれば冷静にはいられない。自分の命よりも大切な娘に命の危機が迫っているのだから。

緊急の報告を聞いた瞬間に彼女は勝手に脚が動いていた。桃香たちが何か言っていたが聞こえていない。今の彼女は蜀の黄忠ではなく璃々の母親である黄忠なのだ。

後ろからも誰かが叫んでいたが聞こえていない。手に持つ弓矢を強く握り、璃々を助ける為に鬼を殲滅する者と化す。

 

「紫苑さーーん!!」

「まずいな。聞こえていないぞ」

 

星が紫苑の状況を確認する。勝手な行動は危険を及ぼすが桃香達は紫苑の気持ちを分からないわけではない。

同じ立場であれば同じ行動をしていたかもしれないのだ。

 

「すぐに隊を編成して紫苑さんを追いかけよう。早く璃々ちゃんを、町の人を助けにいかなくちゃ!!」

「私たちも力を貸そう。こんな状況になったが同盟を組んだのだ」

 

蓮華が桃香に援軍を提案する。同盟を組んでおきながら、この状況で国に戻るつもりはない。

 

「ありがとうございます孫権さん」

「鬼という存在は我々も知っている。それこそ于吉の奴が仕組んできているからな」

 

既に怪異イコール于吉という認識の蜀と呉。

 

「思春よ此方もすぐに動ける者を確認しろ。すぐに鬼が襲撃している町に行く」

「ハッ!!」

「立香も…あれ、立香は?」

「立香ならさっき燕青たちと一緒に黄忠を追いかけにいったよ」

「そうか。なら我らもすぐに追いかけるぞ」

 

本来であれば軍を再編成して行くべきだ。それすら理解できない程に今の紫苑は焦っている。そして怒っている。

 

「璃々、璃々、今行くから無事でいて!!」

 

全力で走っているが今も町は鬼に襲われている。その事実がより紫苑を焦らせ、冷静さを掛けさせる。

 

「落ち着け 注意散漫 危険」

 

紫苑を止めたのは哪吒であった。

 

「離してください哪吒ちゃん。早く行かないと璃々が、璃々が!?」

「理解してる」

 

璃々に危険が迫っているのは誰もが理解している。早く助けに行きたいのも分かっている。

早く助けに行きたいからこそ哪吒の出番である。

 

「紫苑さん」

「立香さん哪吒ちゃんに離すように言ってください!!」

「いえ、このまま離しません。そして紫苑さんも哪吒に離れないようにしてください」

「な、何を言って」

「飛ぶ」

 

哪吒は紫苑を捕まえたまま宙に浮いた。

 

「え」

「こっちが速い」

 

紫苑が現場に走っていくよりも哪吒に掴まって飛んだ方が速い。

 

「マスターも」

 

哪吒の筋力であれば大人2人を持ち抱えても問題ない。後は紫苑たちがしっかりと掴まるだけだ。

 

「風火輪 超加速 全力噴射!!」

「え、あのっ」

 

当たり前であるが紫苑は空を飛ぶなんて初体験である。別の意味で心をかき乱されるのであった。

 

「おー飛んでったな」

「では、我らも追いかけよう」

「ではでは、呂将軍に乗りなさい」

 

呂布奉先に乗る荊軻や陳宮たち。

 

「オレは自分で走るわ」

「□□□□□(我が猛進を止められる者無し)!!」

 

暴走特急機関車の呂将軍が爆走した。

 

 

966

 

 

鬼たちが町を襲っている。

鬼とは恐ろしい存在だ。人間を襲い、奪い、食らい、殺す化け物とも言われているのだ。

大体の人が鬼と言われれば恐ろしく強いというイメージがあるはずである。そのような存在が今まさに町を襲い、人を襲っている。

 

「斬リ捨テ御免」

 

野武士風の鬼が刀を抜刀して守備隊を斬る。

 

「斬リ捨テ御免」

 

男を斬る。

 

「斬リ捨テ御免」

 

女を斬る。

 

「斬リ捨テ御免」

 

子供や老人すら斬る。

 

「ククククク。某ノ鬼門左文字ノ切レ味ハ素晴ラシイ」

 

野武士風の鬼の名は闇生鬼。独断で町を襲う鬼。

目的は特に無し。ただ己の刀の切れ味を試したいだけ。ただ人を斬りたいだけだ。

本能のままに鬼の力を、剣の腕を、満足感を得るために動いている。それが武田信虎の命令を無視しているとしてもだ。

 

「グオオオオオオオオオ!!」

「五月蠅イ。某ノ近クニ寄ルナ」

「グゴギャ!?」

 

闇生鬼は自分が連れてきた中級鬼を斬り捨てる。たまたま近くにいた中級鬼の雄叫びが耳障りだった。

 

「某ハ某デ楽シンデイル。貴様ラハ貴様ラデ楽シメ。ダガ某ノ楽シミヲ邪魔スルナ」

 

闇生鬼は町内を進みながら人を斬っていく。進む先は町の中心地と思われる大きい屋敷だ。

遊戯のように思っているのか、王たる者を斬ろうとしている。王たる者と言っても王限定というわけでなく、地位ある者であれば誰でもいい。

大物や特別な者を斬ったという悦を味わいたいだけである。それが大人であろうとも子供であろうとも関係無い。

 

「コノ町ニハ誰ガイルノダロウカ。名ノアル者ガイルトイイナ」

 

ニヤリと笑いながら刀の鯉口をカチャカチャ鳴らす。鼻歌交じりで気分よくを歩いて行く。

 

「この化け物め!!」

「斬リ捨テ御免」

「よくも仲間を、よくも民たちを!!」

「斬リ捨テ御免」

「止めろおおおおお!!」

「斬リ捨テ御免」

 

辻斬りは止まらない。時間が経つほど人が悪意に、欲望によって斬られていく。

刀の切れ味は恐ろしく鋭く、兵士の剣や鎧も紙のように切断する。民たちは逃げるしかなく、兵士は恐ろしくとも守る為に立ち向かうしかない。

気分が乗って来た闇生鬼の剣術はより鋭くなる。調子が上がって来たのだ。

勝負で勝ち続けると調子が上がり、誰にでも勝てる感覚が湧くはずだ。勝負の運が流れて来ている感覚にも近い。

 

「ココニ コノ町ノ地位ガアリソウナ者ガイソウデゴザルナ。城主カ、武将カ、町長カ、武官カ、文官カ。誰デアロウト斬ル。ソレデ コノ町ハ落トシタ」

 

人間だった頃はただ人を斬るだけの力しかなかった。しかし今では町や村を1人で落とせる。何なら城だって落とせるかもしれない。

 

「ココニイル一番ハ誰デゴザル!!」

 

斬ッと屋敷の扉を切断して侵入する。屋敷にいた侍女や従者たちは悲鳴を上げる。すぐに守備兵士が武器を抜いて向かってくるが敵ではない。

守備兵士を斬り、屋敷を血染めに塗る。そんな中で闇生鬼はある人物を見かけた。

 

「アノ童ハ誰ダ?」

 

兵士や侍女がいの一番に守ろうとし、逃がそうとする子供を見つけた。大人は子供を守るものだが扱いが他と全く違う。

子供の正体は重要人物のご息女であることは違いない。「プッ」と口に咥えていた草を吹き出す。

 

「アノ童ダ」

 

その子供は璃々だ。紫苑は命よりも大切だと思っている娘である。

 

「此方にお逃げください!!」

「我々が時を稼ぎますのでお早く!!」

 

兵士や侍女たちは璃々を守る為に命を賭ける。

 

「うう…おねえさん、兵士さん」

「此方です!!」

 

侍女に抱えられ、闇生鬼から逃げる璃々。

怖い、泣きたい、助けて。そのような感情が璃々を支配する。早く母親に会いたいと思うのも当然だ。

 

「お母さぁん…」

 

小さく母親に助けを求める。しかし泣かないように口を手で閉じる。

璃々は子供の中でもしっかりしており、最善の行動が分かるのだ。今は恐ろしい敵から逃げる為に泣いてはいけない。大きな声で泣けば敵に気付かれ、抱えてくれている侍女にも迷惑をかけてしまうのだから。

 

「見ツケタゾ」

「いやああああ!?」

 

闇生鬼は璃々と侍女を見つけて刀を抜刀した。

窓を、壺を、扉を、壁を簡単に斬り裂いた。璃々と侍女には当たりはしなかったものの、恐怖で転んでしまう。

 

「コノ屋敷ニハモウ オ前ラシカ居ナイ。斬ッテ終ワリデゴザル」

 

ニヤリと狂気な笑顔で闇生鬼は刀を鞘に戻して抜刀の構えをする。

 

「いやっ!?」

 

侍女は璃々を守るように抱き締める。

 

(お母さん!!)

(黄忠様のご息女様だけは守らないと!!)

 

侍女は死を覚悟した。しかし璃々だけは守らねばならないのだ。

彼女は紫苑に恩があるからこそ璃々を守らければならないという使命を持つ。自分は死んでも良いから璃々だけは助かってほしいと強く思って目を瞑った。

 

「璃々!!」

 

死を覚悟した時、紫苑の声が響いた。この身は鬼の剣に斬られた感覚は無い。

ゆっくりと璃々と侍女は目を開いた。

 

「お、お母さぁ…ん。うわあああん!!」

 

視界に映ったのは紫苑、藤丸立香、哪吒の3人であった。

 

「もう大丈夫よ璃々。貴女もよく璃々を守ってくれました」

「後は任せて」

「鬼 討伐!!」

 

哪吒が闇生鬼の抜刀を防いでいた。

 

「ヌウ!? 某ノ鬼門左文字ヲ止メタダト?」

「よくも璃々を!!」

 

紫苑は颶鵬に矢を合わせ怒りのままに弦を引く。

 

「貴方は許しません!!」

「絶許!!」

 

紫苑の矢が、哪吒の火尖鎗が闇生鬼に目掛けて放たれる。

 

 

967

 

 

闇生鬼は上級鬼であり、武田八鬼将に選ばれた強者だ。そしてより強き力を得る為に怪異を喰らった。

武田八鬼将とは上級鬼よりも上の存在なのである。

 

「無駄デゴザル」

 

紫苑の矢と哪吒の火尖鎗が闇生鬼の身体を通り抜けた。

 

「え!?」

「クククク。切リ捨テ御免」

 

抜刀された凶刃が紫苑を捉えたかと思ったが空振りに終わる。

 

「ヌヌ、何ガ起コッタデゴザルカ?」

 

紫苑は闇生鬼の前から消えて、藤丸立香の横に移動していた。

 

「魔術礼装起動 緊急回避」

「面妖ナ」

 

それはこっちの台詞だと言いたいくらいである。

紫苑と哪吒の攻撃が何故か透き通ったのだ。もう一度、矢を放つがまた透き通った。

 

「何だ?」

 

矢が透き通った瞬間の闇生鬼を見ると身体が揺らいでいた。まるで煙のように。

 

「某ハ不死身デゴザル」

 

ニヤリと凶悪そうに笑っている。

 

「もう一度!!」

 

攻撃が当たらない原因は不明。再度、攻撃をするがまた透き通って当たらない。

 

「隙アリデゴザル」

「防御!!」

 

抜刀を哪吒が受け止め防ぐ。

 

「不可解」

「某ハ怪異ヲ喰ラッタ。ソノオカゲデ某ノ身ニ傷一ツ付カンゾ!!」

「まるで煙のように…」

 

怪異を喰らった事で怪異の能力を得ている。その力は攻撃が通らないという事だ。

分かる事は攻撃した瞬間に煙のように貫通する。

 

「煙のような怪異って言ったら煙々羅とか」

「分かるの立香さん?」

 

ボソリと呟くと口を大きくニヤリと開いた闇生鬼。

 

「ヨクゾ当テタデゴザルナ。如何ニモ、某ガ喰ラッタ怪異コソ煙々羅!!」

 

煙々羅。煙の妖怪、または煙に宿った精霊と言われている。煙は気体であり、物理が当たらない。煙を手で触れられないのと同じだ。

 

「貴様ラハ某ニ触レラレヌ。タダ某ニ斬ラレルダケデゴザル!!」

 

ユラリと闇生鬼が霧散し、煙が充満する。

 

「某ガ何処カ分カルカ?」

 

煙は見えるが闇生鬼が見えない。

 

「見エル煙コソガ某デゴザル!!」

 

煙が収束されると闇生鬼となり刀を抜刀。

 

「防御!!」

 

抜刀を再度防ぐ哪吒。

 

「マタ防グカ。デキルデゴザルナ…シカシ!!」

 

防いだ後に攻撃しても、煙のように霧散し意味をなさない。

 

「物理無効…」

「クククク、某ハ不死身ダ。鬼門左文字ノ錆トナレ!!」

 

連続で斬り付ける。剣の腕は本物であり、少しでも気を抜けば胴体を真っ二つにされてしまう。

 

「ハハハハハハ。某ノ鬼門左文字ヲ何処マデ防ゲルデゴザロウカ!!」

「喰らいなさい!!」

「無駄デゴザルト言ッテオロウ!!」

 

紫苑の放つ矢は透き通るだけで直撃はしない。

煙は触れない。煙に矢は当たらない。煙は槍で貫けない。

 

「貴様ラハ 某ニ斬ラレル運命ナノダ!!」

 

楽しそうに、凶悪に、残忍に刀を振るい続ける。獲物を切り刻むまで止まりはしない。

まさに化け物であり、璃々にとって恐怖の対象でしかない。

 

「うう…こわいよう」

 

小さな子供なのだから当然だ。大人だって鬼(化け物)は怖い。

 

(相手は煙で触れられない。でも相手は刀を振るっている時は此方に触れている。触れている時はこっちも触れている)

 

藤丸立香は冷静になろうとして状況を分析する。戦えない己が出来るのは戦況を分析して、仲間の勝利へと少しでも貢献する事だ。

分かった事は煙状態になっている時はお互いに物理的に触れられない。攻撃の隙は相手が攻撃する際にある。

カウンター狙いの作戦が1つの手だ。

 

(そして概念の力であれば対処も出来るだろうか?)

 

概念礼装の力を活用すれば別の対処方法もあるかもしれない。

藤丸立香は闇生鬼に見られないように概念礼装を展開していく。

 

(どれなら効くんだ…そうだコレなら)

 

概念レベルも注意しなければならない。相手の持つ能力(概念)が此方よりも上であれば焼石に水になる。

 

「ソロソロ終ワリニシヨウカ。貴様ラトノ戯レモ飽キテキタ所デゴザル」

 

闇生鬼は斬りたいという欲望のみだ。敵を斬れないとなれば楽しくない。

 

「ヤハリ狙イハ童デゴザル。某ハ一度 決メタ首ノ順番ハ変エナイデゴザルノデナ!!」

 

ゆらりと煙となった闇生鬼が狙う首は璃々。

 

「駄目、璃々!?」

 

紫苑は侍女と璃々を守るように庇おうとする。

 

「ハハハハハハハハ。ソウスルト思ッテイタゾ!!」

 

煙が収束し、闇生鬼の形となり、刀を大きく振り上げた。

 

「マトメテ 斬リ捨テ御免!!」

 

凶刃が紫苑の、璃々の、侍女の首を刎ねたと確信した闇生鬼は心の底から愉悦感が湧き出る。

 

「させるか!!」

 

紫苑たちの周囲に輝く塵のようなものが展開され、斬撃が届かなかった。

 

「マタカ!!」

 

魔術礼装の『オシリスの塵』。

守りの魔術であり、一時であれば敵の攻撃を防ぐ事が出来る。しかし連続では防げず、高火力のものも防ぎれない。

 

「一瞬だけ防げればいい。その一瞬だけで間に合う!!」

「突撃!!」

 

哪吒が火尖鎗を連続で刺突を繰り返すが煙となった闇生鬼には効かない。

 

「効カヌト何度モ言ッテイルデゴザロウ!!」

「いや、効くさ」

 

概念礼装が起動される。

 

「その起源は切断と結合。多くのものを切り捨て、より多くのものを繋ごうと足掻いてきた。ひび割れた窓に映る残像よ。どうか、あの美しい日々のままに」

 

概念の力が紫苑の持つ矢に付与される。

 

「紫苑さん その矢を放つんだ!!」

「ええ、立香さん!!」

 

今まで藤丸立香の力を貸してもらって紫苑は負けた事は無い。彼の力を信用して矢を力の限り放った。

 

「矢ナゾ効カヌト言ッテイルデアロウ。無駄ナ事ヲ…ウゴオオオオオオオ!?」

 

紫苑の放った矢が闇生鬼に直撃した。煙に物理的なモノが当たるはずがない。それが自然の摂理である。

この異常事態が闇生鬼には理解不能であった。そして矢を受けた傷より更に激痛が走る。否、肉体がおかしくなっている。

 

「グオオオオオオ、何ダ。身体ガア!?」

「概念礼装『起源弾』」

 

起源弾の「切断」と「結合」が同時に現れる力を利用したのだ。

闇生鬼は煙々羅と繋がっている。魔術回路のようにグチャグチャには出来ていないが似た現象が起きている。

 

「身体ヲ煙ニ変化出来ナイ!?」

「今がチャンスだ哪吒、紫苑さん!!」

「決める!!」

「これで終わりよ!!」

 

2人の攻撃が届けば決着のはずだった。決着のはずだったのだ。しかし予想外の展開が発生した。

 

「鬼ノ太刀 燕飛」

 

謎の斬撃が飛来し、哪吒たちと闇生鬼の間を斬り裂いた。まるで「勝負はここまでだ」と言わんばかりである。

 

「何者!!」

 

現れたのは左目部分の割れた狐の京劇面で、顔を隠した赤い道着服に羽織りを羽織った鬼であった。

間違いなく新手であり、闇生鬼と同じか、それ以上かもしれない。

 

「オオ。騙妖鬼カ!!」

「仲間のようね」

 

強敵がまた増えたという事実。藤丸立香たちは警戒をしながら2体の鬼を睨む。

 

「………フム」

「騙妖鬼ヨ手助ケハイラヌデゴザル!!」

 

闇生鬼は怒りの形相をしていた。藤丸立香たちに虚仮にされた事が許せないのだ。

 

「バラバラ ニ 斬リ刻ンデヤルゾ!!」

「…戻ルゾ」

「何ダト!?」

「貴様ハ命令違反ダ。コレ以上ノ独断行動ハ不可ダ」

「フザケルナ!!」

「哭闇鬼ヨ。己ラノ回収ヲ頼ム」

「待テ、某ハマダッ」

 

闇生鬼が喚く前に騙妖鬼と共に消えた。

 

「逃げた…の、かしら?」

 

これにてもう1つの鬼の襲撃は終わった。

町で暴れている鬼たちは追いついた呂布奉先や蜀と呉の部隊によって全て討伐される事になる。

 

同盟の為の会談がとんだ会談となったものだ。しかし蜀と呉の同盟は成された事は事実である。

 

 

968

 

 

武田信虎の拠点にて。

 

「グオオオオオオオオオオ!?」

 

床や壁に血がベッタリと張り付き、闇生鬼の片腕から血がボタボタと垂れ落ちていた。

 

「これは罰だ。次は無いぞ」

 

武田信虎は赤黒い太刀に付着していた血を振って落とす。

独断行動と命令違反をしていた闇生鬼に罰として片腕を斬り落としたのである。

 

「我は勝手な行動をするなと言ったのだ。肝に銘じておけ」

 

斬り落とした片腕を闇生鬼に投げ返す。すぐに斬られた腕を戻すと繋がる。

 

「……鬼ハ自由ナ存在デゴザル。好キニ生キ、好キニ喰ウ。欲望ノママニ殺ス生キ物デハナイカ!!」

 

己の受けた罰に納得がいかない闇生鬼。藤丸立香たちにやられた傷に武田信虎によって受けた罰に苛つきが燃える。

 

「そうだな。鬼とはそういう生き物だ」

「ナラバ何故、罰ヲ受ケルノダ。某ノ行動ハ鬼ソノモノ!!」

「鬼の世界にも組織はあるのだ。かの大江山の酒吞童子、茨木童子、鬼の四天王。配下の鬼たちは上の鬼の指示には従っている」

 

人間や鬼、妖怪、動物であっても群れを成せば自ずと指導者が現れる。そして組織となり、規則が作られるものだ。

規則を破れば組織の輪を乱すからこそ罰を与えられるものだ。

 

「我らは鬼の軍だ。烏合の衆ではない」

 

ギロリと睨らまれる。

 

「不満があるのならば我を殺して貴様が変わりに大将となれ。なれば貴様の好きにすればいい」

 

チャキっと太刀の鯉口を鳴らす。鬼の世界は強さこそが全てである。

 

「我慢しろ。戦が始まれば好きなだけ人を斬るがいい」

「グギギ…ヌゥ、委細…承知」

 

己の牙を噛み砕くほどの力で食いしばる闇生鬼であった。

赤壁の戦いまで鬼たちは暗躍し続ける。

 

「フム……」

 

カチカチカチカチカチカチ。凄い勢いで鯉口を鳴らす騙妖鬼。

 

「貴様も我慢せんか…いや、そういう奴だったか貴様?」

 

彼は早く強者と戦いたい鬼である。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も二週間以内を目指します!!


965
普段は冷静の紫苑も愛する璃々に危険がせまったら冷静になれないと思います。
彼女が動揺や冷静でいられなくなるのは璃々や年齢に関する事かもしれない。

まさか彼女も飛んで行く事になろうとは思いませんでしたでしょう。
物語の彼女もキョトンとしました。ある意味、冷静になったといえるでしょう。


966~967
闇生鬼との戦いです。
剣の腕も確かですが怪異の力も合わさって厄介な相手です。
煙々羅を喰らい、己を煙となる事が可能になりました。まあ、ワ〇ピースのス〇ーカーみたいなものです。

そんな彼も起源弾には有効でした。そのような設定にします。
結果、もう彼は煙々羅の能力は使えません。
宝具によってはいくつか対処できそうですけどね。


968
命令違反の闇生鬼は罰を受けました。
ちゃんと厳しい武田信虎です。

鬼の世界でも組織が出来れば最低限の規律はあると思いますからね。
FGOの酒吞童子や茨木童子も鬼たちの棟梁をしていた時はあったんじゃないかなって思います。
2人にも気に入らない事はあるはずなので。

この物語の闇生鬼は野武士風の鬼ですが、中身はただの人斬りです。
武士というよりも殺人鬼より。
闇生鬼の持つ刀の名は「鬼門左文字」
これはオリジナルの刀ですね。
ちょっとした設定では鬼の打った刀という事で。いずれ戦国オンラインでも鍛冶師の鬼が現れてもおかしくないかも?

この物語の斬妖鬼は闇生鬼とは逆に完全に武士の鬼。
性格はFGOの柳生宗矩に近いです。
堅物だけどちょっとはお茶目な部分があるかも。
「鬼ノ太刀 燕飛」
これはある流派から使わせていただいているものです。
もしかしたらこの物語の斬妖鬼の人だった頃の流派が分かるかもしれません。
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