Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。

FGOではサムレムコラボが始まりましたね。
早速、ガチャり、ストーリーも楽しんでます。
物語の結末がどうなっていくか気になります(頑張って進行中)


では、こっちの物語もどうぞ。


定軍山の攻防の裏①

972

 

 

成都にて。

 

「さて、まずはいつ侵攻を開始するかという事を決めなくてはならないのですが」

 

呉より使者として包と梨晏が訪れる。早速、口を開いたのは包であった。

 

「その前にお互いの戦力をしっかりと把握し、見極める事が必要です。ここ、隠し事は無しですからね!!」

「あ、うん」

 

桃香は力無く頷く。

 

「なんだか反応が鈍いですねぇ。まさか魏に対抗する同盟を組んでおいて戦わないつもりじゃないでしょうね」

「そういうわけじゃないけど…」

「やれやれ。徐州の件もありますし、新野も追い出されたばかりでしょうに。今の曹孟徳は北方の異民族討伐に追われているみたいですが、それが落ち着いたら次はどこに目を向けるか分からないはずないですよね?」

 

曹操の脅威はちゃんと理解している。

 

「三度目ですもんね。三度目なんですよ。ですから、蜀呉で戦いにならなかったおかげで戦力も余裕があるでしょうし、これを機に守勢から攻勢へと切り替えるのが一番なんですよ!!」

「あー」

 

ここで詠がため息交じりの声を出す。というよりも口を挟もうかと思ったら出来ない状況の「あー」である。

 

「勢いです。勢いが大事なんです!!」

 

今、勢いがあるのは包である。

 

「…あのさ、包」

「なんですか梨晏さま。梨晏さまも魏と戦うのは賛成だって言ってたじゃないですか」

「そうだけど、そうじゃなくって。包が延々喋ってるから、みんな話す隙がないんだと思うんだけどなぁ…?」

「………ひゃわ!?」

 

桃香や朱里たちは勿論、いつもなら即座にツッコミを入れてくれる詠でさえ口を挟む隙が無かった。

 

「えーっと…」

 

梨晏が止めてくれなかったらいつまでも喋っていたかもしれない。

 

「どこまで話しましたっけ?」

「とにかく魏を攻めましょう、という所ですね」

 

彼女が一番伝えたい部分は分かっている。魏との戦いは蜀の中でも最重要項目だ。

 

「そうそう、そうでした。でー、とりあえず攻めるのには賛成ってことでいいでしょうか?」

「攻めるかどうかもまだ何も言ってなかったよ。そもそも何も言わせて貰えなかったぞ」

 

包のマシンガントークとも言うべきか、北郷一刀たちも何も意見を挟む事が出来なかったのである。

 

「…あ、ええっと」

「そうですね」

 

そんな包の言葉に頷いたのは桃香の様子をちらりと確かめた朱里。

 

「ゆくゆくは和平を求めるにしても今は曹操さんと並び立つ事が大事でしょうし」

「ひゃわっ、和平なんて結べるんですか、あの曹操と!?」

「今の状況で難しいのは分かっています。ですが呉と蜀が同盟を結べたように魏とそれを行えるかどうかも、やってみなければ分からないのでは?」

 

曹操と同盟を結べるのか否か。

それは包たちが来るまで北郷一刀たちの間でもずっと議論されていた事だ。桃香の意向もあって、そういう方針に決まっている。

 

「えー。基本的に曹操って人のこと見下してますし、呉や蜀なんて地方の一勢力くらいにしか思ってないんじゃないですかねえ?」

「包ー。言い方ー」

「ひゃわわ、これは失礼をば!!」

 

言いたい事を言うのが彼女である。

 

「あはは…実際、地方の一勢力なのは否定できないけどね」

「でも蜀は曹操さんと同盟を結びたいと思ってるよ。少なくとも蜀と呉を相手にするのは意味がないって分かって欲しい」

「同盟はともかく、後半に関しての異論はありませんねー」

「曹操を討てれば言う事ないですけど…向こうにとって我らを攻める利なしと思わせて均衡を保てれば、仮初めの平和は作れますし」

 

喋る勢いとうっかりで変わった子に見えるかもしれないが、一発で蜀陣営の言いたい事を理解するあたり使者を任されるだけはある。

一を聞いて十を知るなんて良く言うが、彼女の場合は十を知った時点でさっさと自分のターンを始めてしまうタイプである。

 

「ならまあ、曹操攻めは決まりとして、具体的にどこから攻めるかって話なんですけどー」

「えっ」

「えっ、って何ですか。最終的にどうするかは国で方針が違うにしても攻めるのは決まりですよね?」

「今、もう決めるのかな?」

 

使者としてこれからの事を話すのは良い事だが、いきなり魏攻めの作戦会議となると今ではない。

 

「こうしているうちにも曹操は北の蛮族連中を平定して、こっちを攻める準備をしているんですよ。その情報はさすがに持っているんじゃないですか?」

 

マシンガンみたいに喋り続ける包の脇に目をやれば、目があった梨晏が「ごめーん」という感じでこっちに手を合わせてきた。

 

「あの、それなら場所を移して、もっと詳細な資料も用意して…」

「ならさっさとそこへ行きましょう。地図はありますかね。呉では大陸全体の地図もありますが、高いですよ~?」

 

そして包は桃香たちに案内されて謁見の間を出ていくのであった。

 

 

973

 

 

魏にて。

 

「そう。劉備と孫権が同盟を」

「はい。長沙を呉、江陵を蜀という形で落ち着いたようです。次に目を向けるのは間違いなくこちらでしょう」

 

魏では蜀と呉が同盟を結んだ情報を手に入れていた。

二国が同盟を結ぶという大きな情報は隠しきれるものではない。それこそ目と鼻の先にある二国だからこそ、その情報を手に入れるのも時間の問題であったのだ。

 

「それがどうした。二国を同時に相手するなど、今までも同じだったではないか」

「その二国が歩調を合わせてくるのよ。負けるとは思わないけど、面倒は増えるでしょう」

 

一国で二国を相手取るのは簡単ではない。如何に強国と言われる魏であってもだ。

 

「とはいえ、まとまった方が叩きやすいとも取れるわ。…どこから攻めてきそう?」

「蜀なら三つ。呉なら二つあります」

「続けて」

 

郭嘉は予想侵攻ルートを挙げていく。

 

「まず蜀であれば漢中から陳留を目指す道。これは漢中を北に抜けて長安から回り込む道と、西に抜けて新野を目指す道の二つに分かれます」

 

荀彧も同じ予想なのか特に言及はしない。

 

「次に呉は合肥から寿春を得て陳留を目指すのが最も効率の良い経路となるでしょう。そして…」

「…漢水をさかのぼって襄陽を経由する道か」

 

夏侯淵も同じ考えだったのか、つい口に出してしまう。

 

「その通りです。これは陸路なら江陵、水路なら夏口から漢水を北上しますので蜀と呉、どちらからも使える共通の経路になります。もっとも、漢水が候補に挙がる可能性はそれほど高くないと思いますが」

「なぜだ。蜀と呉、同時に仕掛けてくる方が戦力は増えるだろう」

 

夏侯惇は純粋に戦力合計で戦を考えていた。戦の基本は兵力の数だからこそだ。

 

「指揮系統の連携が取れない軍なんて、ただの烏合の衆じゃない。黄巾の賊と変わらないわ」

 

同盟を組んだからといって蜀と呉の兵が足並みを揃える事は不可能だ。協力が逆に自国の不利益になってしまう。

ただ数が多いだけの軍であり、烏合の衆というのも頷ける。

 

「連中もそこまで愚かではなかろう。別々に攻めてくると考えるべきだな」

「ええ。向こうとしても初めての合同作戦だし…呉は合肥と蜀は新野あたりを経由して陳留を東西から叩きに来るのが一番現実的でしょうね」

 

蜀と呉が協力して攻めてくるのは脅威だが、付け入る隙はある。そこは軍師の仕事なのだ。荀彧も郭嘉も相手が蜀と呉であっても曹操に勝利を献上する。

 

「して…どうなさいますか華琳さま」

「そうね…」

 

曹操は自慢の軍師の考えをまとめて動き出す。

 

 

974

 

 

桃香たちは包の提案に乗る形で魏攻めの合同作戦に加わる事になった。もちろん今も成都では出陣の準備が着々と進んでいる。

出陣の準備は月や愛紗たちがしており、作戦は朱里たちが詰めている最中だ。

 

「で、どんな作戦になったの立香?」

「おう。聞いておきてえな」

 

ズズイと顔を近づけてきたのは雪蓮と炎蓮である。

蜀呉と魏の戦に手を出す気はない2人であるが、どうやって魏と戦うのか気になるのだ。

 

「一応、機密情報だと思うんだけど」

「でも戦に参加しない立香は知ってるんでしょ?」

「うん」

 

蜀呉と魏の戦に参加しないカルデア。彼らの仕事は裏で于吉等の策略を防ぐ事だ。

この任務は雪蓮たちも参加するつもりだ。何かと因縁のある于吉を倒したいという気持ちと呉の戦の邪魔をさせないという気持ちがある。

 

「内緒だからね」

「誰にも言うわけないじゃない」

「三面同時侵攻作戦」

 

蜀・呉同盟による対魏作戦。それは三面同時侵攻だ。

今回の作戦で蜀と呉から曹操の本拠地陳留を攻めるためにピックアップされたルートは3つ。

 

まずは呉の防衛拠点となる合肥、寿春を陥としつつ北上する寿春ルート。

2つ目が漢中を北に抜けて長安や洛陽を経由する漢中ルート。

最後に夏口で呉と蜀、両軍の戦力を揃えて漢水をさかのぼり、襄陽や新野を押えて進む漢水ルート。

 

「ほほう?」

 

普通は漢中と寿春からそれぞれ攻めようと思うはずだ。そんな状況で朱里が提案し、周瑜が応じたのは、その3ルートを同時に使って攻める策である。

呉との戦や国境警備に回す戦力も余裕ができ、江陵の荊州軍も応援を出してくれたからこそ今しかできない作戦である。

 

今の蜀と呉の関係を考えれば互いに勝手に動く方が良いが、この先も踏まえればどのくらい共闘できるのかも確認したいのだ。

 

「思い切ったわねー」

「同盟を組んだからこそできる作戦だってさ」

 

最終目標はもちろん曹操の拠点である陳留の陥落だが、その前段階の目的が呉と蜀それぞれ別にある。

呉の目指すのは合肥や寿春を奪還し、激しい争奪戦が続いている地の安定支配。蜀はまず襄陽と新野を奪還し、そのあと長安を抑えること。

 

つまり曹操の勢力圏を分断して涼州をこちらの勢力下とする事がひとまず目指すところである。そのような色々目論みがあっての三面作戦なのだ。

 

「確かに私も合肥や寿春を奪還したいと考えるわね」

 

頭の中でシュミレーションしているのか雪蓮は考える。

 

「イケるわね」

「オレは駄目だと思うな」

「母様。そこで茶々入れないで」

 

作戦が上手く行くかは分からない。相手はこの大陸で一番の強者とも言われる曹操であり、部下には有能な人材ばかりだ。

蜀と呉が同盟を組んだ情報を既に手に入れているはずだ。何も対策を考えていないはずがない。

 

「長安まで進んだら馬超たちの伝手で涼州で反乱を起こせるかもな」

 

涼州は曹操が馬超たちと戦ってもぎ取った領地だ。しかし反曹操勢力が多いと聞いているからこそ今回の作戦が上手く行けば反旗を翻す可能性もなくはない。

 

「蓮華には頑張って欲しいわね」

「で、オレらは何すれば良いんだ?」

「三面作戦の裏で動く。于吉が今回の作戦で何かしら仕込んでくるかもしれない。それこそ鬼の襲撃のように」

「そうだな」

 

鬼の襲撃。

三国を襲うように現れた怪異であり、鬼をまとめる上位者も現れている。八傑衆よりも危険で強者の存在たちだ。

 

「三面作戦だからオレらも三組に分けて作戦の裏で動くつもりだよ」

「やっぱりそうなるわよね」

 

藤丸立香たちは3チームに分かれ、作戦の裏で異変が起きた場合の対処になる。

鬼たちが三国が狙いと言っていたのであれば三国の戦に介入する可能性は高い。貂蝉たち外史の管理者としては問題なく三国の戦いを進めて欲しいのだ。

 

「雪蓮と炎蓮さんは3つの中からどれにする?」

「そうねー」

「合肥、寿春の方ね」

 

雪蓮が言う前に言い放つ。

 

「勝手に決めないでよ」

「2人とも蓮華たちに見つかってしまえ」

「こら」

 

いつまでも2人が呉の面々から隠れるわけにもいかない。後が怖い事になるのならば早く自分から顔を出しに行った方が良い。

 

「立香はまだオレらの事が分からねえみたいだな」

「呉の面々と会いたくないのよ」

 

嫌いだから会いたくないのではなく、合わせる顔が無いから会いたくないのだ。

 

「まだ分からせが足りなかったか」

「なら今夜も分からせるしかないわね」

「不穏な台詞を言わないでよ」

 

ニヤリと笑う雪蓮と炎蓮。

 

「で、結局のところ2人はどの作戦経路に付く?」

「合肥、寿春経路」

「結局じゃないか」

「五月蠅い」

「オレはどうすっかな」

 

蜀呉は魏攻めの合同作戦が開始された。そして藤丸立香たちはその裏を動くのであった。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新は…この後かな。


972~973
原作と流れはほぼ同じ。
今回からの話は定軍山の戦いですが、タイトルにあるように裏側の話。
まあ、オリジナル展開なのですが。

974
裏側の話というのが立香SIDEですね。
三面同時侵攻作戦の裏で立香たちが何をしていたかという話ですね。
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