Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
FGOではサムレムコラボが終わり、2月14日にバレンタインイベントが配信されますね。
新サーヴァントはアンドロメダ。
彼女はどのような人物なのか気になります。もしかしたらペルセウスの件も触れるかもしれませんね。
そしてバレンタインイベントでは去年より新規追加された英霊たちの甘いひと時が気になります。
全員気になりますけど…女性ではモルガン(トネリコ)。男性では高杉社長ですね。
さて、前書きが長くなりました。本編をどうぞ!!
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武田八鬼将。隋身鬼と天晴鬼が自分たちの事をそう呼んだ。
その名の通り、武田に仕える八体の鬼将という意味に捉える事ができる。
「武田八鬼将…じゃあ、藤太が会った鬼女は間違いなく武田の名を持つ者」
武田と聞いて思い浮かべるのは武田信玄だ。
「お前たちの大将は武田信玄か?」
藤丸立香の知る武田信玄はカルデアにいる。では、俵藤太の出会った鬼女が武田信玄であるのならば別世界の武田信玄だ。
例えばカルデアの呂布奉先とこの外史世界の恋と同じように。
「ホッホッホ。ソレハ内緒ジャ」
隋身鬼が弓を引き、矢を放つ。
「至上礼装・月霊髄液」
トリムマウが藤丸立香に矢が届く前に弾き落とす。
「ムム。矢ハ落トサレタガ精度ハ良好デオジャルナ」
隋身鬼の矢は正確に藤丸立香の眉間を狙っていた。
「夏侯淵ヲ暗殺スル前ニ貴様ラヲ殺ルデオジャルカ」
隋身鬼はまたも弓を引く。
「天晴鬼ヨ麻呂ヲ守ルデオジャル。麻呂ハ後方ニテ射ル!!」
「アッパレ……デハナイガ良カロウ」
天晴鬼は大きな扇を開く。扇の中に『風』という文字が書かれていた。
「圧風。吹キ飛バセ!!」
強風が吹き荒れる。
「うわっ!?」
「スキアリデオジャル」
強風の次に正確無比な矢が飛んでくる。
「トリムマウ!!」
次の矢もトリムマウが受け止めた。
「ムウ…アノ ドロドロシタノ 厄介ジャナ」
隋身鬼は藤丸立香が敵の大将だと理解したからこそ狙ったのだ。彼さえ殺せればいいと理解している。
「軍師の忠言」
司馬懿(ライネス)はスキルを発動する。
状況を把握、分析する。
「師匠と張角は後衛へ。蘭陵王、秦良玉、李書文は前衛へ!!」
素早く指示を飛ばす。
(アノ童ハ修羅場ヲ通ッテルナ。コノ状況デ冷静デイラレルカ)
天晴鬼は再度、大きな扇を構える。
「疾っ!!」
李書文(殺)が瞬時に間合いを詰めた。
「アッパレ。速イナ」
「中国武術(八極拳)。貼山靠!!」
天晴鬼は李書文(殺)によって突き飛ばされた。
「ナーーッ!? 麻呂ヲチャント守ルデオジャレ!?」
秦良玉と蘭陵王が一気に駆け出す。狙いは隋身鬼の首2つ。
「来ルナ!!」
矢を二本放つ。
隋身鬼の矢の命中精度は脅威だ。紫苑や夏侯淵に負けないくらいである。
「白杆槍!!」
「勢い破竹の如し!!」
放たれた2本の矢を斬り落とし、2人は勢いのまま武器を振るった。
「ギャアアアアアアア!?」
ボトリと隋身鬼の両腕が斬り落とされる。
「麻呂ノ腕ガアアアアア!?」
「とどめ!!」
「兄者ニ手ヲ出スナアアアアア!!」
隋身鬼の片首が大きく盛り上がる。首が伸び、新たな身体と腕が出た。
「なっ!?」
「鬼の身体から鬼が出てきた!?」
伸びた腕が蘭陵王と秦良玉を狙う。
「させんぞい。黄巾傀儡兵」
黄巾傀儡兵が張角によって召喚され、蘭陵王と秦良玉の身代わりとなる。
「ナンダ コノ人形ハァ!!」
「何アレ アッパレナ人形。吾輩欲シイ!!」
隋身鬼の弟は黄巾傀儡兵を殴り飛ばす。
「兄者無事カ?」
「グゴゴ…麻呂ノ腕ガァァ」
「兄者 腕ヲ」
「スマヌナ弟ヨ」
切断された腕をくっ付けるとすぐに繋がり、動かせるようになる。
「オノレ ヨクモ麻呂ノ腕ヲ!!」
「兄者ノ腕ヲヨクモ斬ッタナ!!」
隋身鬼は怒り狂う。彼らは2体の鬼が1つになった鬼だ。
「どうやら融合、分離が出来る鬼のようです」
「少し厄介ですね」
一対二の戦いかと思えば二対二であった。
「天晴鬼ヨ。イツマデモ寝テナイデ起キロ!!」
「ウム?」
「麻呂ノ腕ヲキッタノダ。雅ナ矢ヲ放テル腕ヲ!!」
「兄者ノ怒リヲ知レ!!」
妖気が強く滲み出す隋身鬼。
「アノ人形ヲ出ス翁ハ殺スナ。アト美女モ殺スナ。勿体ナイ」
「何ヲ言ッテルデオジャルカ!!」
「吾輩ハ面白イ物ハ欲シイ。女モ欲シイノダ」
天晴鬼は強欲な鬼だ。
「怪異ノ力ヲ解放スル!!」
「……ヤッパリ、アッパレデハナイ」
大きく深くため息を吐く天晴鬼。
「戻ルゾ。コノママ戦ッテモ勝チ目ハナイ」
「何ダト!?」
「冷静ニナレ。一方的ニ負ケル事ハナイガ、吾輩ラガ負ケルゾ。ソレハ貴様ノ言ウ雅ナ事カ?」
「グヌ…」
隋身鬼と天晴鬼には奥の手と言うべき怪異を取り込んでいる。
その力を使えばより強大な力を得る事が出来る。しかし天晴鬼から見てカルデアの英霊達は上級鬼と張れるくらいの強さの持ち主。
更には自分たちと同じように切り札や奥の手を持っている。隋身鬼と天晴鬼だけでは目の前にいる英霊達全員を倒すのは難しいと判断している。
「コノ任務ハ必ズ達成スルモノデハナイ。ソモソモ夏侯淵モ良イ美女ダカラ殺シタクナカッタシナ」
「天晴鬼…オ前」
怒っていた隋身鬼だが天晴鬼の言葉に呆れる。
「カルデアモ必ズシモ殺ス必要ハナイノダ」
「逃がしはせぬぞ」
黄巾傀儡兵が隋身鬼と天晴鬼を囲うように召喚される。
「ウオウ、吾輩アレ欲シイ!!」
「……弟ヨ。帰ロウカ。斬ラレタ腕ノ恨ミハイズレ晴ラスデオジャル」
「分カッタ兄者。哭闇鬼ヨ」
逃がしはしない、と黄巾傀儡兵が一斉に動き出すが煙と共に消えた。
「ぬう、逃がしたか。今のは…まるで回収されたかのような術。逆召喚のような」
隋身鬼と天晴鬼は撤退した。捕縛して情報を聞き出したかったが、そこまで上手くはいかない。
「それでも三国の戦いの邪魔はさせなかった。本来の目的は達成できたから良し…かな?」
「そうだね。兄上にも色々と話す事も出来た。それに…どうやら三国の戦いは一旦終わりのようだぞ」
定軍山での戦いでは蜀と魏は互いに撤退の動きをしていた。
980
三面同時侵攻作戦の結果だが、痛み分けだ。
寿春ルートでは呉が合肥を取り戻したが目標の寿春を突破できなかった。
漢水侵攻ルートは失敗に終わる。蜀と呉の合同軍は目標である襄陽に辿り着けず、魏の防衛勝ちである。蜀と呉の合同軍は江陵まで撤退する事になった。
漢中ルートでは定軍山で夏侯淵の部隊を撤退まで追いやったが仲間の負傷が大きく目立った。そしてその後の漢中ルートには直々に曹操が軍を指揮し、蜀軍を相手取ってみせたのだ。蜀軍は漢中を守るだけで精一杯だったのである。
三面同時侵攻作戦では魏に勝つ事は出来なかったのである。蜀と呉が弱かったのではなく、この場合は魏が強いという事だ。
「…此度の作戦の失敗、申し訳ありませんでした。華琳さま」
夏侯淵は曹操に頭を下げていた。
「構わないわ。こちらももう一歩先んじていれば、漢中を取られていただろうし…失敗の責はお互い様よ」
曹操の畏れ多い言葉により深く頭を下げる夏侯淵。
「…それで、姉者はどうしてそんな部屋の隅に座ったままなのだ」
「今回の漢水の失態を反省しているのですって」
夏侯淵の姉である夏侯惇は学校の先生に叱られて反省しているが如く、体育座りをしていた。
「私たちが助けに行かなかったら、あのまま襄陽まで陥とされていたかもしれないしね」
「ぐぬぬ……っと、喋るのも禁止だった」
「そういう罰なのか」
「一人で勝手にやってるだけよ。ま、静かでいいんじゃない?」
自分の失敗には厳しい夏侯惇。その反省の仕方は微妙であるが。
「……姉者」
「それで…稟もしてやられたようね」
「申し訳ありません。寿春は引き続き、霞が守ってますが…合肥は現状、呉の勢力下にあります」
蜀と呉が起こした三面同時侵攻作戦は魏にとってなかなか苦しませた。
3ルートのうち1つは痛手であったが残り2つは防衛に成功した。痛み分けであると言ったが魏軍の防衛勝ちに傾いている。
「今回は、素直に向こうの健闘を称えるとしましょう。私たちにも無限の兵があるわけではないのだしね」
「ただ連中が、どの程度歩調を合わせて動けるかは見えました。次の敵の予測はもっと精度を上げられるかと」
「ええ。二度目はないわよ」
「御意」
今回の戦いで蜀と呉の戦いの情報を得られた。それを元に2国を攻略する策を魏の軍師陣は考える。
「して、華琳さま。次はどうなさいますか?」
「改めて漢中の制圧を提言します」
荀彧は漢中の制圧は要だと考えている。
「そちらは少し保留にしましょう。燈に任せた件もあるしね」
「まさか…あの件を承諾なさったのですか!?」
「ええ。今回の件で理解したけれど、やはり漢中は攻めるに難く守るに易い地よ。本格的に攻めるには、やはり相応の調査とある程度の戦力を集中させる必要があるわ。だから、その前に…奪われたモノを取り返しておきましょう」
三国の戦いは激化していく。
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武田信虎の本拠地 ○○の塔にて。
「任務から戻ったか。結果は?」
「誰1人トシテ殺セナカッタ」
扇子をバッと開くと「失敗」という文字が書かれていた。そして悪げもなくパタパタと扇ぐ。
「ほう?」
「ソシテ隋身鬼ハ腕ヲ斬ラレテ帰ッテ来タ。吾輩ラハ腕ヲヨク斬ラレルナ」
「…そうだな?」
武田信虎が斬ったのは闇生鬼の腕。
「隋身鬼はどうした?」
「オ茶飲ンデルゾ。気持チヲ落チ着カセル為ダトカ」
「闇生鬼のように荒れないだけマシか」
「デ、今回ノ任務ヲ失敗シタ吾輩ラニ罰デモアルカ?」
新たな扇子を開くと「刑罰」と書かれていた。
「罰なぞ無い。そもそも今回の任務は貴様らの息抜きみたいなものだ」
「吾輩ハ息抜キニナッタガ隋身鬼ハナラナカッタナ」
戦いを楽しんだ天晴鬼と腕を斬られた隋身鬼では楽しんだ感は全く違うはずだ。
隋身鬼の怒りは本番まで溜めて爆発させるのだ。鬼に我慢なぞ御法度だが場合にもよる。
「赤壁マデノ時間潰シ。次モ吾輩ガ行キタイゾ」
「次は凍女鬼と包屍鬼の番だ。尤も2人が行かないのならば、また貴様でもいいがな」
「ナラ次ハ殺サズニ吾輩ガ貰ッテモイイカ?」
天晴鬼は強欲だ。鬼になる前の人間の頃から彼は強欲であったのだ。
「アンナニ美女ガ多イノダ。殺スナンテ勿体ナイ」
「構わんぞ。しかし曹操、孫権、劉備だけは駄目だ」
「ソノ3人コソガ欲シイノダガ」
「駄目だ。儀式に必要だからな」
儀式と言った。その内容は既に聞いている天晴鬼としてはとても勿体ないと思っている。
「勿体ナイ。死体ニナッテハ楽シメナイ」
「他の奴らで我慢しろ」
「ウム、ソコハショウガナイ。曹操タチハ勿体ナイガ他ニモ魅力的ナ者ハオルカラナ。何ナラ カルデアノ美女モ欲シイゾ」
「カルデアの奴らは好きにして構わんぞ」
「オオ!!」
カルデアにも美女が多い。特に司馬懿(ライネス)が天晴鬼の中でお気に入りだ。人間の頃でも会わなかった部類の美女だからだ。
「ウムウム。曹操タチガ駄目ナノハ落胆シタガ、カルデア ノヲ貰エルナラ良シ!!」
また扇子を開くと「天晴」と書かれていた。
既に手に入るとものと思っている。彼にとって欲しいと思ったものは最初から手の中だと妄想している。
人間の頃からそういうものだったのだから鬼になった今でも考えは変わらない。寧ろ鬼になった今は人間よりも強欲になったかもしれない。
「赤壁での戦いは近いぞ」
「ソレマデニ殺シテモ歴史…外史ノ流レニ影響ガナイ人物ハ殺シテモイインダナ。イヤ、吾輩トシテハ全員欲シイノダガ」
「ああ」
「次ニ息抜キニ行クノハ 包屍鬼ト凍女鬼ダッタナ。大丈夫カ?」
天晴鬼は扇子を開くと「不安」と書かれていた。これから生かして欲しい人物をリストアップして他の鬼に渡すつもりであったが凍女鬼に渡しても意味が無い気がしてきた。
「包屍鬼ハ アア見エテ冷静ダカラ大丈夫ダト思ウガ…凍女鬼ハナァ」
「……うむ。我も不安になってきたな。あいつを赤壁まで外に出すのをやめるべきか?」
珍しく武田信虎は顔を顰めた。
読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も2週間以内を目指します!!
979
隋身鬼と天晴鬼の戦いでした。
まあ、本番は赤壁なので前哨戦みたいなもんです。
オリジナル設定なので各鬼たちにキャラ付けはしていってます。
隋身鬼はよくネタである平安貴族っぽい感じのキャラ。
そして首が2つあったので首が2つの鬼ではなく、2体の鬼が融合分離できる鬼という設定にしました。
分かりやすく言うならナ〇トの左近と右近みたいな感じです。
天晴鬼は強欲キャラとして設定していってます。
扇子を持っていたので扇子を武器として使うキャラにしました。
強欲で実は見た目とは裏腹に冷静沈着という設定に。
なんだか上記含めてナ〇ト成分があるなあ…たまたまですよ。
980
三面同時侵攻作戦のその後。
最近は魏sideを書いてなかったので。
これも原作と流れは一緒です。
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鬼sideの話。
信虎と天晴鬼の会話でした。
○○の塔。分かる人は分かるかも。ヒント天下統一伝
儀式。まあ、そんな凝った内容じゃありません。
内容から赤壁まで各武田八鬼将がちょい活躍していきます。
次回は包屍鬼ト凍女鬼。変更が無ければ…。