Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
前の更新から大分 空いてしまいました。すいません。
FGOでは奏章Ⅱイドが配信されてますね。
まだ全然クリアしていませんが…ネットの方とチラリと見ると、気になる物語です!!
どのような展開か気になるところ!!
でもクリアすると喪失感もあるとかなんとか…どういうことなんだろう?
では、こっちの本編もどうぞ!!
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道士の目の前に現れたのは雪女のような鬼女であった。その名は凍女鬼。
ただしヒステリックに叫んでいた。これでは電々と雷々が目を覚ましてしまうと思って道士は防音の術を展開した。
「私ヲ裏切ッタ男。ヨクモ私ノ愛ヲ裏切ッタ!!」
「いやいや、それ僕じゃないですよね!?」
何故か分からないが凍女鬼に恨みを買われている道士。その怒りに全くもって身に覚えがない。
完全に人違いであるのだが凍女鬼にとって関係無い。彼女にとって視界に入る男は全員が抹殺対象である。
「正直な話…予想外な妖魔ですね」
異常気象の雪に関しては妖魔関連が発生させたものだと道士は予想していた。正解であったが、まさかその妖魔がヒステリックに叫ぶ鬼女とは思わない。
「私ノ愛ヲ裏切ッタ。浮気シタ!!」
「浮気してないんですけど!?」
そもそも道士は鬼女の旦那ではない。
「浮気シ、私ガ邪魔ニナッタカラ殺ソウトシタ。ユルセナイ!!」
「あー…それは許せないですね」
「殺ス殺ス殺ス!!」
凍女鬼の怒りと共に冷気が発生し、地面がピシピシと凍っていく。
彼女にも于吉によって妖魔が埋め込まれている。その妖魔とは『雪女』だ。凍女鬼と雪女は相性が良いのか能力がかけ合わさり、強化されている。
「殺ス!!」
氷柱が形成され、道士目掛けて飛来する。
「さてさて、うん」
道士は自前の鞭のような杖を振るって氷柱を全て叩き壊す。
全て叩き壊さなければ鋭い氷柱によって串刺しになっていたところだ。
「オノレ!!」
氷柱が更に多く形成され、飛来してくる。その全てを打ち壊す。
串刺しにならないのが気に食わないのか凍女鬼の苛つきは昇り、怒りが爆発していく。そんな怒りは道士にとって無関係なのだが、襲われている当事者としては叩き潰すしかない。
「オノレオノレオノレッ。マダ死ナナイカ。私ヲ裏切ッタアナタ!!」
「僕、貴女の旦那じゃないんですか」
「裏切ッタ裏切ッタ裏切ッタ。私ノ愛ヲ裏切ッタ。アレダケ尽クシタノニ!!」
「う~ん…会話が一方通行」
「私ガ邪魔ダト、殺ソウトシテキタ。許セナイ!!」
「貴女を裏切った男は相当酷い男だったんですね」
もはや凍女鬼はバーサーカーだ。狂化されており、暴れる事だけしか考えていない。
復讐の事を考えているのでアヴェンジャーでもあるかもしれない。どっちにしろ目につく男を殺すだけの鬼女だ。
「防音の術を展開しているとはいえ、これ以上暴れられると彼女たちが起きてしまいますね」
チラリと電々たちを見る。彼女たちは今のところ気付かずに寝ている。
この状況で起きてしまえば悲鳴は間違いなく響くはずである。もしも狙いが道士から電々たちに変われば問題だ。
「凍レ凍レ凍レ。凍死凍死凍死シロ!!」
口を大きく開き、冷気を吐き出してくる。その冷気は豪雪を吐き出しているかの如く。
身体が凍るのを感じ、5分もしないうちに凍結しそうな程だ。
「やれやれ。封神執行」
スキル『封神執行』の発動。
彼は封神の執行者だ。妖魔退治はお手の物と言われている。
「これ以上温度が下がると彼女たちの身が危ないので、もう片付けますよ」
道士は細目を見開く。
「貴女の怒りは当然かもしれませんが向ける相手が違いますよ」
術式を展開する。
「貴女は何処からどう見ても雪女の怪異だ。鬼と雪女の融合体。であれば、対処法はいくらでもあります」
敵の正体が分かれば道士にとって敵ではない。
「妖魔退治はお手の物なんです」
道士の妖魔退治が始まる。
ここから先は道士の独壇場である。
「………んう?」
パチリと目が覚める電々。単純に目が覚めただけである。
異変を感じたとか、悪い夢を見て起きたというわけではない。重い瞼を擦って寝床から出る。
雪は止んでいた。そして変わらず焚火の前で番をしているのは道士であった。
「おや、もう起きたのですか。まだ寝ててください。明けるのはもう少し先ですよ」
「そうなの?」
「ええ。おやすみ」
「うん……おやすみなさい」
電々は寝ぼけながらも床に戻る。
その様子を見て道士はホッと息を吐く。どうやら彼女たちは凍女鬼の襲撃に気付いていないようだ。
「……は~~」
今度は重いため息を吐く道士。
「逃がしちゃったなあ」
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ある森の奥。
「グウゥウウ…殺ス、殺ス。私ヲ裏切ッタ アノ男ヲ……!!」
殺意は尽きないが肉体に傷を負っているのか一歩も動けず、横たわるは凍女鬼。
「簡単ニ ヤラレタナ」
「アノ道士ハ強イヨ。只者ジャナイ」
横たわる凍女鬼を見るのは哭闇鬼と包屍鬼。
「拙者ガ口寄セ シナケレバ彼女ハ 退治サレテイタ」
「アノ道士ヲ倒ス方法ヲ考エナイトイケナイ」
「包屍鬼殿デハ倒セナイノカ?」
「僕デハ無理ダ。膂力ハ僕ノ方ガ上ダケド道士ノ術ニハ叶イソウニナイ」
道士の強さを瞬時に理解したからこそ包屍鬼は哭闇鬼に凍女鬼の回収を命じたのだ。
「モシモ倒ス可能性ガ アルノデアレバ 君ノ方ガアル」
「拙者ガ?」
「ウン。僕モ道士ヲ倒スダケノ膂力ハアルケド近ヅケル方法ガ考エラレナイ。ナラ君ノ妖術ノ方が…」
「妖術デハナイ。忍術ダ」
「…失礼シタ。君ノ忍術デ戦ウ方ガ道士ニ届クダロウ」
「ソウカ。忍者ト道士デハ全然違ウノダガナ」
(似タヨウナモノダト思ッテタ…確カニ忍者ト妖道士ハ違ウケド 術ニ関シテハ似テイルト思ウ)
哭闇鬼にとって忍術は忍術であり、妖術や仙術と一緒にしてほしくないようだ。
「君ノ忍術ハ強力ダ」
「…褒メルモノデハナイ術ダ」
「ソウカ」
包屍鬼は凍女鬼を抱える。道士は追撃する様子はないと判断しているが、いつ心変わりするか分からない。
早く退散した方が身のためだ。
「戻ルノカ?」
「ウン」
「今回ノ息抜キハ オ主モダロウ。良イノカ?」
「ココデ暴レテモ僕ハ道士ニ退治サレルダケダヨ。ソレニ僕ハ息抜キスルホド溜マッテナイヨ」
呪詛を吐く凍女鬼を無視して、抱えながら包屍鬼は森の外を目指していく。
「逆ニ聞クケド哭闇鬼ハ良イノ?」
「拙者ハ忍ダ」
「忍ダカラ 大丈夫ダッテ事?」
忍という言葉が便利というのが分かったような気がした包屍鬼だった。
「殺ス…殺ス…殺ス」
「凍女鬼ハ ズット呪詛ヲ吐イテバカリダナ」
「彼女ノ心ハ死ンデイル。否、人間ノ心ヲ失ッタノダ。残ッタノハ裏切ッタ男ノ怒リダケ」
「鬼ニナッタノ ダカラ ソウダロウ?」
「デモ僕ラハ マダ人間ノ心ヲ持ッテイルダロウ?」
武田八鬼将は人間が鬼になった集団だ。
「何故、ソウ思ウ?」
「君ノ願イハ忍衆ノ再興ダト言ッテイタ。鬼ニナッタノナラ ソンナ願イヲ抱カナイ」
「………」
「僕モダ。鬼ニナッタノナラ病ヲ治シタイナンテ思ワナイ。病ニ侵サレタ身体デ暴レルダケダ」
武田八鬼将は正確に言うと人の心をまだ持つ鬼と欲望に忠実になった鬼の集団だ。
不思議な事に鬼になれば完全な鬼になるというわけではない。たまに人の心を持つ鬼もいる。
その存在が鬼化にとって不完全なのかどうか分からない。もしかしたら人の心を持ったままの方が強い鬼である場合もあるのだ。
「…オ主ハ変ワッテイルナ」
「ソウダネ。変ワッテイル自覚ハアル」
己の病を治す為に鬼になった。しかし鬼になっても身体は病に侵されたままであった。
この病は鬼にも効くものなのか。それとも己にとって切り離せない呪いのようなものなのか。それでも治す事を諦めないのだ。
「僕ハ鬼ニナッテモ暴レル事ヨリモ病ヲ治シタインダ」
「………我ラ以外デマダ人ノ心ガ残ッテイル者ハオルカ?」
「ソウダナ…残リノ八鬼将モ凍女鬼ニ比ベテ多少ハ人ノ心ハマダ残ッテルヨ」
隋身鬼、狂射鬼、天晴鬼の三体はまだ人の心を持っている。欲望に忠実になっている。
「闇生鬼ハ凍女鬼ニ近クナッテキテイル」
「分カランデモナイナ」
辻斬りで殺人鬼。そして以前に敗北し、怒りで身を燃やしている。
闇生鬼はより狂暴な鬼に近づいている。
「騙妖鬼殿ハドウダ。我ラト同ジクライカ?」
「彼ハ…違ウカナ。僕ラヤ天晴鬼タチトモ違ウ。彼ハタダノ鬼デモ人ノ心ヲ保ッテイルワケデモナイ」
「ナヌ?」
「彼ハ剣鬼ダヨ」
ただの鬼でも人ではなく剣鬼。
「正直ニ言ウト彼ハ大将ト互角ダト思ッテルヨ」
「……ソウカ」
「サッサト帰ロウ。ソロソロ息抜キノ時間モ終ワリダ。赤壁ノ戦イガ始マル」
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翌日。
雪は止み、朝日が積もった雪を溶かし始めている。
魏の捜索は昨日の雪により中止になっていたが晴れた事により再会するかもしれない。そう思った電々たちは急いで桃香たちと合流する事を決める。
「あの山の峰を目指して歩けば西に続く街道に出られるます。そこから森に入った方が仲間とも探しやすいと思いますよ」
「ありがとう道士様!!」
道士には何から何までお世話になってしまった。何かをお礼をしたいと思う彼女たち。
「そうだ。道士様も一緒に行かない?」
「そうだよ。雷々たち蜀に戻る所なんだけど、一緒においでよ」
「蜀ですか」
「うん」
何か考える道士。
「嬉しい申し出ですけど僕にも向かう所がありますので」
「そっかー残念…」
「じゃあ、もし気が向いたら遊びに来てねー!!」
「はい、それは勿論」
にこやかに手を振る道士。
「またねー!!」
「ええ。また」
電々と雷々は走っていくのであった。
「さて、僕たちの方も色々と動かないとなあ」
電々たちはその後、桃香たちと無事に合流する事が出来た。桃香に凄く心配されていたので合流した際は力強く抱き締められた。
苦しいと思いつつも嬉しさが滲み出る電々と雷々。笑顔なのが良い証拠だ。
合流後は周囲を警戒しつつ、森を通って西へ進むことしばらく。ようやく夷陵に到着するのであった。
「桃香さま、お館様!!」
「おかえり一刀」
出迎えてくれたのは桔梗たちや藤丸立香たちであった。
「あれ、立香!?」
「こっちの方が速かったみたいだね」
藤丸立香たちも魏の陣営から無事に夷陵へと到着していた。
「無事だったんだな」
「ああ。何なら魏の陣営で茶を飲んできたよ」
「おいおい」
冗談ではないが冗談だと思って軽く笑う北郷一刀たち。
「お姉ちゃーん!!」
「ご無事で何よりです!!」
今度は鈴々と愛紗が出迎えてくれる。
「愛紗ちゃんに鈴々ちゃんが何でここに!?」
江陵陥落の報を受けた時に桃香たちは既に夏口であった。だからこそ急いで来たのである。
「ってことは江陵奪還じゃないのか」
「さすがにそこまでの戦力となると時間が足りませんでしたので…まずは救出隊のみで。本当は朱里や翠たちも来たがっていたのですが、その辺りの事もありますし、成都に残らせました」
「そうだったんだ。ありがとう2人とも」
「ですが、本当によくこの人数で夏侯惇の警戒網を…」
「どうやって帰って来たのだ?」
「まあ、雪が降ってきたおかげかな?」
「その雪に苦しまれたけどなー」
森の中で野宿した際は雪の寒さに死にそうになったものである。何とか火を点ける事が出来たので無事であったのだ。
「そして美以ちゃんのおかげかな」
「にゃー!!」
「美以!? 月が心配していたぞ。ですが、どうして美以が?」
「色々あったんだよ」
色々とあったかが無事に戻る事が出来た。
ここからは船が使えるので成都まで戻る事が可能である。早く成都に戻りたい気持ちはあるが休憩が必要だ。
最後の決戦が近づいているが今だけは休んでも悪い事は起きないはずだ。
読んでくださってありがとうございました。
次回の更新は今度こそ2週間以内を目指すように頑張ります。
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道士VS凍女鬼
まあ、そこまで激しめな戦闘にはなってません。
ちゃんとした戦闘シーンは赤壁で
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八鬼将SIDE
彼らは人間が鬼になった存在です。なのでまだ人間の心が残っているのです。
その状態が『鬼』にとって完全か不完全かは不明。
ちょっとでもいいから彼らのバックボーンを何処かで書きたいなあ。
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原作の流れとほぼ同じ。
本当なら電々たちが活躍して夏侯惇の捜索から脱出するのですがオリジナル展開になっていたので泣く泣くカット。
次回からより駆け足になるかも?