Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
頑張って執筆して更新中です。

GWでゆっくりしながらまほよコラボを楽しんでいます。
まだあまり物語は進んでいませんが…どうやら嬉しいキャラの登場もあるそうですね。
これはより楽しみになってきました。


さてさて、
此方ではついに赤壁の戦いが始まり、裏で立香たちが動き出します。
では、物語をどうぞ!!


訂正
斬妖鬼ですが…名前を間違っておりました。
騙妖鬼と言う名前でした。修正していきます。


赤壁の戦いの裏

1005

 

 

赤壁の戦いが始まった。

赤壁の対岸は赤い炎に彩られていた。魏に対抗するための策として火計が見事に猛威を振るったのだ。

数を誇る魏軍の船は次々と燃えていく光景は圧巻である。

 

「見よぉぉっ。赤壁は赤く燃えているぅぅぅっ!!」

 

卑弥呼が吼えた。

何故か分からないが物凄く熱いというのが分かる。物理的だけでなく精神的に燃えている。

 

「東方じゃないんだ」

「それは言っちゃいけないわよ」

 

藤丸立香はよく分からない事を言った。そして貂蝉がツッコミを入れる。

 

「やるわね~」

 

雪蓮は燃え盛る戦いを見て呑気そうな一言。しかし、その一言には呑気そうでありながら色々な意味が含まれていた。

本当であれば己自身も赤壁の戦いに参加していたかもしれないのだ。後悔はあるが今の自分が出来る事をすべきなのだ。

 

「火計は冥琳が考えたやつなのよね?」

「あの結果は正確に言うと冥琳や朱里ちゃん、祭さんのおかげかな」

 

計略、秘密裏な行動、腹の読み合い。その全てが絡まり合って火計が成功したのだ。

 

「祭のおかげか…あいつも無茶しやがって」

 

炎蓮は静かに燃え盛る船を見る。その船には祭がいる。

 

「ったく、馬鹿な事しやがって」

 

祭は死ぬ気なのだ。己の命1つで魏軍を倒せると釣りが出過ぎるぐらいである。

 

「これくらいの事をしないと曹操には勝てないって事なのね」

 

曹操は万全を期して蜀と呉を叩き潰す準備をしていた。その戦力こそが百万という数である。

 

圧倒的な差を覆す為に冥琳は祭と共に味方すら騙す策を考えたのだ。その策こそ魏軍を内側から叩くというもの。

祭を裏切り者として周知させ、魏へと送り込む。曹操とは雪蓮暗殺事件の件があるから簡単に信じ込ませる事は難しい。

 

だからこそ念には念を入れる為に祭には孫呉を裏切る理由を作らせ、その噂を自然に魏へと流すように仕向けた。更に孫呉を裏切った証拠も強く残す為に己に鞭打ち100回をその身に受け、曹操に見せるまでした。

 

その流れを冥琳と祭だけで作っていったが、それだけでは曹操の警戒を擦り抜く事は厳しかった。その流れを補強するために朱里も一芝居打ったのだ。

朱里は冥琳と祭の秘密裏の作戦は知らない。しかし2人だけで何かを仕込んでいると気付いてはいたのだ。

冥琳たちは秘密裏に動いていたので朱里が聞いても何も答えはしない。だから朱里は2人の計画補強をこなしたのだ。

 

朱里の鋭さには冥琳と祭は本当に驚かされた。敵であったならば腹の探り合いや策の読み合いは恐ろしい事になっていたかもしれない。

冥琳と祭の秘密の策と朱里による補強が完璧に噛み合った事で曹操の隙を突いたのである。その結果が魏軍の燃え盛る船軍。

 

「この戦いは魏、蜀。呉の戦いだ。この戦に邪魔者を入らせるわけにはいかねえ」

 

炎蓮は燃え盛る船を背に向けて反対側を向く。

 

「来たみたいだ。師匠たちの読み通りだね」

 

藤丸立香たちの前に鬼の群れが現れる。その群れの奥に一際異質を放つ鬼がいた。

 

「なんだあの鬼は?」

「見た事ない鬼だが武田八鬼将の1体だろうね。それと…兄上たちから連絡がきた。向こうも鬼の群れと接触したみたいだよ」

「私も蘭陵王殿から連絡が来ました。狐面の鬼と、その群れに接触し交戦が始まったとの事です」

 

司馬懿(ライネス)と秦良玉から他の箇所の守りを任せていた英霊たちから連絡が来たと伝えられる。ほぼ同時に鬼の群れが侵攻してきたのだ。

 

「各陣営からの連絡だと武田信虎の姿は無いそうだ」

「なら他の予測箇所から攻めて来ている?」

「可能性はあるな。流石に予想箇所全てを吾らだけで守る事は出来ん。ならさっさと鬼の群れを討ち、次へと向かうしかない」

 

カルデアの軍師陣と項羽、始皇帝たちによる敵の侵攻予測。結果はほぼ的中したが予想箇所が八か所だけだったわけじゃない。

その残りの箇所に武田信虎が侵攻してくるかもしれない。

 

(その中に戦場のど真ん中と項羽殿が予測した。項羽殿が冗談で言うはずがない…嫌な気がするな)

 

戦のど真ん中から侵攻してくるなんて突拍子もない。普通では無視する予測箇所だが全員が無視せずに注意していた。

 

「防衛戦だ!!」

 

赤壁の戦いを守るための防衛戦が始まる。

 

「向こうの鬼将が前に出てきたぞ」

 

まるで雪女のような鬼が冷気を放ちながら現れる。

 

「…………ロス」

「何か呟いたわよ?」

「殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス!! 私ヲ裏切ッタ オ前ヲ殺ス。裏切ッタ、浮気シタ、許サナイィィィィ!!」

 

凍女鬼が何故か藤丸立香に向けた怨嗟の声で吼えた。

 

「……え?」

 

その怒りにより冷気が強く放出され、仲間の鬼すら凍らせた。

 

「…朕、始皇帝だけどああいう女の怒りって怖いと思うぞ?」

「拙者も同意だ。女の怒りほど怖いものはない」

「我が弟子よ。あれほど自重しておけと言われていただろう?」

「マスター…リャンはあれだけ言っていましたよね?」

「立香。お前、孫呉に種ばら蒔かねえで別のとこに蒔いたのか?」

「いやー、いつかこうなると思ってたわ。女誑しだし」

「あらあら、立香ちゃんってばそういう?」

「良くないぞ立香!!」

 

何故か皆から責められる。

 

「オレ何にもしてないんだけど!!」

 

本当に凍女鬼と何もしていない。何なら初対面である。

 

 

1006

 

 

蘭陵王・楊貴妃・武則天陣営。

鬼の群れはある鬼の後ろに控えて動きはしない。その鬼は恐ろしい程までの剣気を滲みさせていた。

 

「己ノ名ハ騙妖鬼。ソコノ剣士ニ死合ヲ申シ込ム」

 

そこの剣士とは言わずもがな蘭陵王の事。

 

「指名されたぞ蘭陵王よ」

「はい。どうやら敵は一騎打ちがご所望のようですね」

 

騙妖鬼は一騎打ちを所望しているのは控えている鬼たちが動かないのが証拠だ。

 

「頑張ってください蘭陵王様」

 

「がんばれ」という旗を両手で振る楊貴妃。

 

「妾たちは奇襲がないか警戒するぞ」

「はい」

 

一騎打ちと言いながらも油断させ奇襲させる可能性もある。武則天と楊貴妃は警戒を大きくする。

 

「安心シロ奇襲ナゾシナイ。奇襲スル者ガオルナラ己ガ一刀両断スル」

「どうだかのう?」

 

一騎打ちと言いながらも騙し、奇襲するパターンはありえなくもない。

騙妖鬼は静かに抜刀し、名乗りを上げる。

 

「武田八鬼将 騙妖鬼。尋常ニ勝負」

「セイバー 蘭陵王。推して参る!!」

 

2人の剣士が刃を振るう。

 

呂布奉先・陳宮・赤兎馬陣営。

 

「□□□□□□!!」

「ガハハハハハ!!」

 

呂布奉先と狂射鬼が殴り合いをしていた。

巨大な武装鬼である狂射鬼は鬼の群れを率いて侵攻してきた先にいたのは呂布奉先たちだ。

正面から力づくで鬼たちを蹴散らす呂布奉先に狂射鬼は気に入り、同じく正面から襲撃したのだ。

 

「ヤルジャネエカ!!」

「□□!!」

「ガハハ、何ヲ言ッテッカ分カラン!!」

 

呂布奉先の言葉は分からなくてもいい。ただ敵として倒せばいいだけなのだから。

その考えは呂布奉先だって同じだ。敵である鬼を力でねじ伏せるだけである。

 

「ぬうん!! 呂布である私が鬼を殲滅する!!」

「馬。宝具の生贄になってください。なれば鬼の群れなぞ一瞬で壊滅させてみせましょう」

「やだーーー!!」

 

陳宮の方は良いとして赤兎馬を見て狂射鬼は混乱した。「アレ…向コウニモ鬼ガイル?」なんて小さく呟いてしまったほどだ。

そのような事を呟いてしまったのは鬼の中に馬型の鬼に進化した存在がいるからだ。武田信虎の鬼軍にはいないが、その馬鬼も強力な存在である。

 

「赤壁ノ戦イノ中ニ突撃シテ暴レヨウカト思ッタガ…コッチモ悪カネエナ」

 

玄奘三蔵・哪吒・諸葛孔明陣営。

 

「宝具開放。石兵八陣」

「グヌウ!?」

「ここから先は侵攻させんぞ」

 

鬼の群れの侵攻を抑えるのに諸葛孔明の宝具は効果覿面である。

 

「妙ナ妖術ヲ…」

 

隋身鬼はまんまと石兵八陣に嵌り、動きが鈍くなる。

 

「兄上。コレハ厄介」

「ウム。先ニ アノ長髪男ヲ仕留メルデオジャル。者共カカレ!!」

 

侵攻の邪魔者を仕留めるのは分かっていた事だ。

 

「させないわよ!!」

「守護!!」

 

玄奘三蔵と哪吒が鬼の群れを薙ぎ払う。

 

「悪い鬼にはお仕置きよ!!」

「突貫。妖魔退治!!」

 

項羽・虞美人陣営。

 

「滅ぶべくして滅ぶべし」

「泣いて許しを乞うがいい」

 

項羽と虞美人が抜群のコンビネーションで鬼の群れを蹂躙していた。恐らくものの数分で殲滅が完了する。

流石は項羽。そして項羽と一緒に戦えてハイテンションな虞美人。その力が合わされば無双である。

 

「てか、鬼以外にも妖魔どもがいるんだけど」

「大事ない」

「流石は項羽様です!!」

 

鬼以外の妖魔がいようとも項羽には関係ない。全てを殲滅するのは変わらないのだから。

 

「虞よ。其方と共に戦えるのであれば私は無敵だ」

「ああ…項羽様」

 

戦いの中でもこの2人は愛が溢れている。カルデア夫婦組でも一二を争うラブラブぶりだ。

 

「………コノ戦力ダケデハ勝テヌナ」

 

気配を消し、遠くから観察するは哭闇鬼。

鬼の群れだけでは一瞬で殲滅されると判断し、他の妖魔たちを口寄せの術で召喚してけしかけたが意味はなかった。

 

「フム…下位ノ妖怪デハ傷ツケル事モ難シイカ。デアレバ上位ノ妖怪ヲ召喚セネバナランカ」

 

印を結び、哭闇鬼は上位の妖魔を召喚した。

 

荊軻・燕青陣営。

 

「あいつは確か…」

 

2人の前に現れたのは野武士風の鬼であり、怒りと憎しみに支配されていた。

 

「アノ小僧ト女ハドコダァァ!!」

 

刀を抜刀し、近くにいる者全てを斬り裂く。味方の鬼すら斬り裂いていた。

 

「荒れてるな」

「アレは周りが見えてねえな。敵味方関係ねえ」

 

もはや鬼の群れを指揮すること叶わず。ただ怒りで暴れるだけの鬼だ。

 

「ただ厄介なのは怒りで暴れてるだけではなく、憎しみをもって暴れている事だ」

「ああ。アレはバーサーカーじゃなくてアヴェンジャーってとこか」

 

野武士風の鬼の正体は闇生鬼。

蜀呉同盟の時に独断行動を起こし、藤丸立香と紫苑によって撤退を余儀なくされた鬼だ。

交戦時に大きな傷を与えたのもあり、闇生鬼は必ず復讐を決めている。

 

「アノ小僧ト女ヲ斬リ殺ス!!」

 

燕青を舌打ちをする。

 

「ウチの主を殺させるわけねえだろ」

 

燕青の前でマスター殺害宣言は禁句だ。彼だけでなくとも清姫や源頼光たちなど多くいる。

特に重い感情を持つ者にマスターを害すような言葉を言った敵は一瞬で塵になるほどだ。

 

(燕青もまあまあ重いからな)

 

細目で燕青を見る荊軻。

 

「何だ姐さん?」

「さっさと奴を仕留めようか」

「ああ」

 

李書文(槍)・張角陣営。

 

鬼の群れが2人を襲う。しかし李書文(槍)の槍捌きが、張角の術が薙ぎ払う。

 

「鬼がこの程度か!!」

「黄巾傀儡兵よ!!」

 

李書文(槍)が鬼の群れに突撃し、暴れ回る。張角が黄巾傀儡兵を召喚し、李書文(槍)が取りこぼした鬼を駆逐する。

2人の連携は意外にも取れていた。

 

「アッパレアッパレ。タッタ2人デ鬼ノ群レヲ蹴散ラシテイル」

 

天晴鬼が扇子を開いて軽く扇ぐ。

次々と鬼たちがやられ、数が減っているが彼に焦りはない。冷静に状況を分析している。

 

(群レハ中級鬼デ構成サレテイルガ相手ニナランカ。ヤハリ奴ラ相手ニハ上級鬼ガ必要ダ)

 

カルデアという勢力は化け物揃いと情報を得ているが本当であると再度確認させられる天晴鬼。

今回の戦いは鬼側にとってはまだ第一段階だ。次の段階でこそ本番である。

 

(次ハ中級鬼ダケデナク、大将ガ集メタ上級鬼モ含ム。奴ラノ驚イタ顔ガ見レレバ アッパレダ)

 

所詮は時間稼ぎ。今回の第一段階で武田八鬼将全てが尖兵隊で、武田信虎の部隊が本隊だ。

 

徴姉妹・李書文(殺)陣営。

 

「包帯で身体全部巻かれている鬼…始めて見る」

 

徴弐が鬼の群れを薙ぎ払う中で奥で此方の戦いを静かに観察する鬼を見る。

その鬼は彼女の言う通り全身を包帯で巻かれており、隙間からは病かで侵された肌が見えた。しかし大きな妖気が滲み出ており、見た目とは裏腹に力強さが分かる。

 

「あの鬼は只者じゃないよ弐っちゃん」

「うん」

 

狂暴そうでありながら冷静に此方の様子を観察している。

 

(強イ…此方ノ戦力デ アノ3人ヲ倒スノハ無理ダ。所詮ハ時間稼ギ…ボクノ任サレタ仕事ヲ全ウスルノミ)

 

包屍鬼は近くにある樹を片手で引っこ抜き、徴姉妹に向けて投擲した。

 

「ヌウウウン!!」

「させんぞ」

 

投擲した樹を李書文(殺)は拳で粉砕する。

 

「ホウ…アノ翁強イ。老イボレト思ッテ痛イ目ヲ見ル事ニナルダロウ」

 

3人の実力を見定め、すぐに鬼の群れに指示を出す。

 

「ソノ姉妹ハ連携ガ脅威ダカラ引キ離セ。翁ニハ複数デ取リ囲ミ討テ。弓鬼ハ後退シ矢ヲ撃テ。槍鬼ヨ陣ヲ崩スナ」

 

テキパキと指示を流れるように出し、徴姉妹たちに崩された鬼の群れを立て直していく。

 

「あの包帯鬼…戦の経験があるかも」

「ええ、ただの鬼じゃないのは元々分かるけど…戦を知っている」

 

鬼らしかぬ戦い方。まるでソレは武将の在り方だった。

 

「武田信虎という鬼がおるのだ。武将の鬼がいてもおかしくはあるまい」

 

その可能性はあり得なくはない。武田信虎という存在がいるのだから目の前の鬼も同じかもしれない。

名のある武将か、無名の武将か分からないが実力だけは確かである。

 

「油断はするな。戦上手な者は戦況を変え、兵も化かせる」

 

 

1007

 

 

周囲は凍っていた。まるで氷の世界と言わんばかりだ。

この状況を作ったのは凍女鬼である。彼女の咆哮と共に仲間である鬼の群れさえも凍らした。

敵の数が減ったと思えば良いが、凍女鬼の強さが寒さとともに身に染みる事になった。

 

「殺ス殺ス殺ス。私ヲ裏切ッタ オ前ヲオオオ!!」

 

凍女鬼は藤丸立香を怒りの形相で睨みつける。

 

「我が弟子……いつ彼女を裏切ったんだい?」

「本当に何もやってない!!」

「分かってるさ。君は自重しないが裏切るような事はしないからね」

 

藤丸立香のからかう事を終了し、凍女鬼に視線を移す。

一瞬で周囲を、鬼を凍らせる能力。それは人間を容易く凍らせ、英霊にさえ凍らせる。

 

「寒っ!!」

「我慢しろ」

「寒いんだからしょうがないじゃない母様」

 

司馬懿(ライネス)たち英霊は耐性があり、藤丸立香も魔術礼装で防寒対策は出来ている。しかし雪蓮は防寒能力はない。

 

「母様は平気なの?」

「寒いが我慢は出来る」

「やせ我慢でしょ」

 

我慢は出来るが長引かせると凍らされる。早期決着をつけるか、凍結能力を攻略するしかない。

 

「寒いわぁ。玉の肌に霜焼けが出来ちゃうん」

「こういう時は寒風摩擦だ!!」

 

貂蝉と卑弥呼は寒そうには見えない。

 

「あっちの2人は寒くないのかしら」

「見た目は凄く寒そうだよ。特に貂蝉」

 

何はともあれ目の前の凍女鬼を倒さねばならない。相手はすぐにでも凍死させようとしてくるのだから。

全員が武器を構え、すぐにでも動けるように準備完了させる。

 

「魔術礼装起動。全体強化!!」

「スキル発動。軍師の忠言」

 

藤丸立香と司馬懿(ライネス)の援護魔術が展開。

 

「秦良玉よ行くぞ」

「はい!!」

 

俵藤太と秦良玉が前衛に出る。

 

「藤太に続くぞ雪蓮」

「分かってるわよ母様!!」

 

炎蓮と雪蓮も剣を抜き、駆け出す。

 

「んーー、立香ちゃんからアッツイのがドクドクと流し込まれてるわ!!」

「儂のムチムチの身体がジンジンムンムン熱くなるわい!!」

「何だろう…2人の言い方が変に聞こえる。気のせいかな」

「気のせいじゃないか?」

 

戦力差は藤丸立香たちの方が上だ。凍女鬼が暴走して鬼の群れを凍らせたおかげで、嬉しい誤算である。しかし相手は鬼の群れを凍らせる力を持つのだから警戒せねばならない。

 

「凍レェェェェェ!!」

 

冷気を放出し、己を取り囲んだ雪蓮たちを凍らせようとする。

 

「これ以上は近づくな!!」

 

俵藤太の声で雪蓮たちは止まる。

 

「でえい!!」

 

弓矢を力強く放つ。その矢は凍女鬼の肩に突き刺さる。

 

「グゥギイイ!?」

 

冷気放出が止まった瞬間に秦良玉、雪蓮、炎蓮が得物を振るう。

 

「白杆槍!!」

「やああああ!!」

「おらあああ!!」

 

3人の同時攻撃。

 

「私もいくわよぉぉ!!」

「儂もだ。ふんぬう!!」

 

貂蝉と卑弥呼のダブルパンチで凍女鬼を殴り飛ばした。

 

「オノレェェ。私ノ邪魔ヲスルナァァァ!!」

 

すぐに起き上がり、凍女鬼は妖気を膨れ上がらせる。

 

「氷柱針!!」

 

彼女の周囲に大きな氷柱の針が何本も生成される。

 

「串刺シニナレエエエエエ!!」

 

氷柱針が雪蓮や藤丸立香たち全員に放たれる。

 

「朕の手を煩わせるでない」

「至上礼装・月霊髄液」

 

始皇帝と司馬懿(ライネス)の水銀が盾となり、防ぐ。

 

「マダマダ。マダダアァアァ!!」

 

氷柱針はいくつも生成され、放たれる。

 

「凄い猛攻だな。朕ちょっと引く」

 

怒り・憎しみによる攻撃は恐ろしくしつこいものだ。勢いも落ちる事はない。

攻撃を受けても凍女鬼は痛みを感じず、相手を殺すまで止まらないのだ。

 

「私ヲ裏切ッタ報イヲ受ケロオオオ!!」

「こんなの矢や槍が飛んでくるのよりもマズイんじゃない?」

「質量が違いますからね。威力は恐ろしいですよ」

 

当たれば風穴が空くどころではない。肉体が破損するレベルだ。

 

「鬼だろうけど剣で斬れたんだ。殺せねえ奴じゃねえ」

「それは同感だけ…母様その腕!?」

「ああ?」

 

炎蓮の腕がいつの間にか凍っていた。炎蓮だけでなく、他の者たちも身体の至る所が凍っていた。

 

「いつの間に!?」

 

周囲の温度は低くなっているが凍るまでではない。攻撃をまともに喰らったわけでもないのに藤丸立香や司馬懿(ライネス)でさえ身体の至る所が凍っているのだ

 

「軍師の忠言!!」

 

司馬懿(ライネス)はもう一度スキルを発動。状況を把握、分析して凍った原因を見つけ出す。

 

「いや…攻撃を受けているぞコレ」

「嘘でしょ司馬懿ちゃん。私あいつの技受けてないわよ」

「雪蓮殿。よく凍った部分を見てみたまえ」

「え?」

 

凍った部分をよく見ると極小の氷針が刺さっていた。

 

「うわっ、何これ!?」

「なるほど氷柱針か…針にしてはでけえと思ったが小さいのも放ってたってわけか」

「わたしの玉肌に霜焼けできちゃったぁ!!」

「こんなもの儂の体温で溶かしてくれるわ!!」

 

卑弥呼は寒風摩擦で凍った部分を溶かしていた。

 

「怒り狂ってると思っていたが意外にも考えて殺しに来ているな」

 

俵藤太の肩が凍っている。仕返しのつもりなのか凍女鬼の矢傷と同じところであった。

大きな氷柱針は囮で小さな氷柱針こそが本命だ。

普通は大きい方に目が向けられ、小さい方は目に入りにくい。その隙を突いた攻撃方法であり、気付いた時には氷漬けにさせられている。

 

「全員氷漬ケニナレ。私ヲ裏切ッタ…愛ヲ穢シタ…殺ソウトシタ報イヲ受ケロ!!」

 

極小の氷柱針は大きな氷柱針と共に放たれる。小さい氷柱針は水銀の盾をすり抜け、藤丸立香たちに到達する。

得物で斬り落とそうにも小さすぎ、躱そうとしても放たれる数は多い。

 

「氷漬けになるのも時間の問題か」

 

凍るのであれば熱で溶かせばいい。

 

「身は炉、丹は鼎、仙気はふいごと成り、猛る三昧真火の劫火は天をも焦がす」

 

概念礼装の展開。

 

「防御陣の炎は蛇のようにうねり、堕落した醜態への憐憫すら焼き払う」

 

氷を溶かす為の熱・炎を出現させる。

 

「三昧真火。火炎伯爵」

 

氷が熱によって溶けるのは当然の常識だ。

 

「ナニ!?」

「今だ!!」

 

概念礼装が俵藤太の矢に付与される。

弓の弦を力強く引き、矢を放つ。

 

「マスター!!」

「立香、私にも!!」

 

秦良玉の槍と雪蓮の剣にも概念礼装が付与される。2人は駆け出し、凍女鬼に向けて獲物を振るった。

 

「はあああああ!!」

「やあああああ!!」

 

2人の槍と剣が振るい終わった後、ボトリと凍女鬼の首が落ちた。

 

「ア……アノ人…ヲ許サナ…イ。私ヲウラギッタ……何デ…私ヲ ウラギッタノ…ナンデ」

 

凍女鬼の怒りが消えていく。そして残ったのは悲しみであった。

鬼になって恐ろしい風貌であるが元は献身的で綺麗な女性だったのだ。

彼女を変えてしまったのは夫の裏切りだ。その裏切りとは浮気であり、浮気をした夫を責めるのは当然だ。

 

ただその時に事件が起きた。夫が逆上し、彼女を殺そうとしたのだ。男女のイザコザとは殺人にも発展するのは過去から現在までも変わらない。

彼女は被害者だ。そこに付け込まれたのである。夫に殺されそうになった時に鬼化の魔薬で彼女は凍女鬼となったのだ。

 

鬼になった暴走で夫を殺したが、残ったのは夫への憎しみだけだった。彼女は永遠に夫を恨み続け、誤認した男を殺し続ける鬼になってしまったのである。

 

「アアア…私ハ………普通ニ家庭ヲ…持チタ…カッタ」

 

凍女鬼の怒りはここで消える。

 

「貴女の怒りは否定しません。しかし関係無い人を襲うはの許される事ではありません」

 

秦良玉は凍女鬼の冥福を祈るのであった。

 

「一息つきたいところだが次の場所に急ぐぞ」

 

武田八鬼将を1人倒したからといって終わりではない。まだ戦いは始まったばかりなのだ。

 

「藤太?」

「何だマスターよ」

「いや、険しい顔してるから」

「……やはり嫌な予感がしてな」

 

俵藤太ほどの者が感じる嫌な予感。それは無視できるはずがないので詳しく聞こうとした時、その嫌な予感は発生した。

 

「アレは!?」

 

長江の河より『巨大な生物』が三国の船を潰しながら出現した。

 

 

1008

 

 

孫呉陣営。

 

赤壁の戦いが開戦した。

魏の船が業火によって燃え上がる。その中に呉軍は覚悟を決めて船を進めていた。

 

「必ず魏に勝利し、祭を救う!!」

「「「オオオオオォォ!!」」」

 

蓮華たちは祭の裏切りの真相を冥琳から知った。仲間にまで騙すとは何事か、と文句でも言ってやりたくなるが祭の覚悟に文句を言うわけにはいかない。

祭が命を賭けて魏に勝利を導こうとしているのだ。必ず魏に勝利し、祭を助け出す事が今の孫呉がすべき事である。

 

「空が真っ赤です!!」

「南からの強風で敵の船団はあっという間に炎に包まれていってます」

「うむ!!」

 

今まさに孫呉に勝利の風上が吹いている。

 

「よし、冥琳 今こそ乾坤一擲の時だ。祭の献身を決して無駄にしてはならんぞ!!」

「ハッ。全軍に突撃の合図を出せ!!」

「「「オオオオオオオオオオ!!」」」

 

呉軍が一丸となって進んでいく。

 

「もう祭ったらー!!」

「私は…己が恥ずかしい。祭殿に罵詈雑言を言ってしまった」

「いいのよ。思春の反応が正解だったんだから」

 

祭は裏切りを、不和を起こす為に演技をしたのだ。思春のように見事に引っかかってくれた方が演者としては冥利に尽きるもの。

 

「そんなに後悔しているなら祭を助けるわよ」

「はいっ。必ずや祭殿をお助けいたす!!」

 

粋怜は祭が何かを仕掛けているのは察していた。しかしどのような策、具体案までは分からなかった。

いつも通りに判断し、重臣として接するしかなかったのだ。結果的に正解で、変に勘繰らなくて良かったのである。

 

(鞭打ちまでも策の1つだったのなら冥琳も祭も覚悟が決まってたのね)

 

仲間を騙し、敵すらも騙す為に冥琳と祭は蜀呉同盟頃から計画を進めていたのだ。その先を見る冥琳は末恐ろしい。

 

「祭…全く世話の焼けるわね」

 

孫呉の全員が祭の行動に感銘を受け、必ずや救出すると意志を燃やす。

 

「必ず助けるわ。だから死なないで」

 

蓮華は燃え上がる戦場へ向けて突き進む。

 

「ギキィィッ」

 

いざ、最終決戦だと覚悟を決めた時に獣の声が響いた。

 

「何だ今のは?」

 

視界に映るのは燃え上がる赤であったのにいきなり黒に覆われた。

 

曹魏陣営。

 

「曹操」

「…まさか、ここへの一番乗りがあなただと思わなかったわ黄蓋」

 

曹操の目の前には魏の誇る軍船を燃やした戦犯である祭が立っていた。

 

「一番近い所におったのじゃ。当然であろう…曹孟徳、覚悟!!」

 

祭が矢を放つ。狙いは当たり前のように曹操の首である。

 

「華琳様!!」

「させるか!!」

 

荀彧が曹操の身代わりになろうと前に出るが、その前に夏侯淵の矢が祭の矢を相殺する。

 

「華琳さま、ご無事で!!」

「ええ、助かったわ。桂花も盾になってくれて感謝するわ。でも無茶はしないで」

「私は曹孟徳様の側近です。いくらでも身代わりになります。貴女こそが一番に生き残るべきです」

 

荀彧の忠義は振り切れている。

 

「くそ、貴様まで来たか夏侯淵」

「これ以上、貴様に良いようにされるわけにはいかんからな」

 

燃え上がる魏の旗艦にて曹操は絶(鎌)を構える。

 

「私は確かにあなたを魏に引き入れた。でも信じてはいなかった…ずっと疑ってたわ」

 

祭が孫呉を裏切り、魏に降るという状況を曹操はあり得ない事だと思っていた。

彼女の近状や周辺での噂などを凛たちに調べさせておかしな点はなかった。しかし曹操の勘としてはその情報を信じなかった。

自陣に引き入れたのは何か利用出来ると判断したからである。少しでも怪しい動きをしたら首を刎ねるようにと夏侯淵にも指示をしていたのだ。

 

「私はあなたの演技にみごと騙されたわ」

 

祭は少しでも魏に降った事が本気だと分からせるために有益な情報等を教えた。船上での戦い方や酔わない方法等も教えた。

それらに嘘はなく、本当の事であった為に怪しい動きを悟られなかったのだ。

 

「船での戦は本気で教えたぞ」

「ええ。短期間でありながら船戦の練度は上がったわ」

 

船戦の練度を上げてくれたのは本当に感謝している。しかし、騙された事に関しては許さない。

 

「疑っていた。油断せずにいた。しかし罠に掛けられた。あなたの策…いえ周瑜の策かしらね」

 

祭は答えない。いつでも矢を放てるようにしている。

 

「本当に見事よ。この曹孟徳が騙された。しかしまだ終わりでは無いぞ」

 

確かに冥琳と祭の策に嵌ってしまったが魏はまだ負けていない。

ギロリと睨みつける。

 

「まだ負けたわけではない。すぐに立て直し、今まさに向かってくる呉を叩き潰す!!」

 

曹操の目に不安はない。寧ろ燃え上がっている。

 

「手始めに貴様の首を断ち切ってやろう!!」

「ははは。儂の命なぞで百万の敵に勝てるあら安いものよ。それに…ほれ、見るがいい」

 

祭の視線の先を警戒しながら見る。

 

「秋蘭さま鳥林に敵襲です!!」

「鳥林が燃えているだと。まさかまだ伏兵がいたというのか!?」

 

鳥林で魏の陣営を燃やし尽くしているのは翠が率いる部隊だ。

新野での補給断ち作戦を成功した後は曹洪の部隊に散り散りにさせられたが戦力を戻し、もう一度決戦に踏み込んだのだ。

桃香との約束を違えない翠たちの本気を見せつけたのである。

 

「…やってくれるわね」

「言ったであろう。儂の命1つで勝利出来るものなら安いものだと!!」

「その命は必ず討ち取るわ。この曹孟徳をここまで追いつめたあなたに敬意を表して」

 

合流した典韋は武器を構え、夏侯淵も矢を構える。

 

「覚悟しろ黄蓋。孟徳様に代わり討つ!!」

 

夏侯淵が矢を放とうとした時、何かが叩きつけられる音が響いた。

 

「え?」

 

夏侯淵の目には祭が呆然としている姿が映る。そして視線を恐る恐る己の主人へと向けると、その理由が分かった。

その状況に理解が追い付くのに時間がかかってしまった。

 

蜀漢陣営。

 

「風が…」

 

先ほどまで北から吹いていた風は、今はほぼ逆向きの東南からの風に変わっている。

 

「だから朱里殿は背後じゃなくて横合いから攻めるように言ってたのね」

 

今の魏は下流の南岸から攻めて来た呉に対応してほぼ東南に向いた布陣をしている。

もし背後を突くように動いていたら蜀は魏のさらに風下になっていたはずだ。

 

「でも朱里ちゃん。風って三日目って言ってなかった?」

「はい。誤情報が上手く広まってくれて助かりました」

「それも情報戦かぁ」

 

呉では呉の作戦を。蜀は蜀の作戦を同時に進めており、魏を策に嵌めたのである。

 

「わたしたちや呉はともかく魏にはどうやって伝えたの?」

「いえ。敵陣には黄蓋さんの補佐で美花さんが入ってくれていましたし、翠さんたちにも噂を撒いてもらいました」

「やっぱり鳥林が燃えているのって翠たちの仕業だったのか」

 

最初はゲリラ戦が得意な小蓮かと思われたが、彼女は船で攻めに加わると話していた。であれば、鳥林の襲撃は翠たち馬家だ。

 

「良かった…みんな無事だったんだね」

「新野の物資を焼いた後、襄陽の本隊にも追われて大変だったそうですが…なんとか逃げ延びたそうですわ」

 

行方不明になっていた翠たちを心配していた桃香は、この報告に心の不安が1つ消える。しかし戦いは始まったばかりで、これからが本番である。

 

「後は…電々ちゃんと雷々ちゃんにも商人として魏軍に接触してもらいました」

「もしかしてそうやって黄蓋さんに物資を届けたのか」

「ずいぶんと大がかりな計だったのですね」

「ですが、ちょっと秘密が多すぎますぞ朱里」

「あはは…すみません。でも今回はどこまで上手く行くかが本当に分からなかったので。全部だめだった時はねねちゃんや雛里ちゃんの作戦が頼りでしたから」

 

秘密裏に進められた作戦だ。特に祭の裏切りの策は少しでも魏にバレるわけにはいかなかったのである。

ごく一部の者だけで進められ、その結果が燃え上がる魏の軍船である。

 

「なら…黄蓋さんはやっぱり敵に回ったわけじゃなかったんだね」

「もちろんですわ」

「だったら朱里ちゃん」

「分かっています。優先すべきは黄蓋さんの救出ですね」

「うん。黄蓋さんはきっとこのまま魏と刺し違える気なんだと思う。でも呉の事をそんなに思ってくれる人がいなくなったら、きっとみんな悲しむもの」

「それで…よろしいのですか桃香さま?」

 

ここで待ったをかけるのは美花。

 

「黄蓋さまは言っておられました。たった1人の将の命で孫呉の未来を贖えるなら安いものだと」

 

冷徹に冷静に考えるならば今から祭を救出に行くのは危険な行為だ。助けに行くくらいならば魏を確実に倒す為に別行動をした方が利がある。

呉と同盟を組んでいるとはいえ、無駄な犠牲を出す為に救出するか否かで考えれば分かるはずである。

 

「桃香さまは…そのたった1人の命を救うために数万の将兵を危険に晒すのですか?」

 

どこか厳しい美花の問いかけに桃香は少しだけ口をつぐむ。それでも彼女の答えは決まっている。

 

「……そうだよ」

 

やがてぽつりとそう呟いた。

 

「こんなに必死に戦ってくれた人を見殺しになんてできない。助けられる可能性があるうちは諦められない。わたしは蜀の人全員がわたしと同じ考えだって信じてる」

 

将軍も兵士も全員が祭を助けるべきだというのが桃香の答えだ。

戦に犠牲が出るのは当たり前だ。しかし救える命があるのであれば救うのが彼女なのである。

 

「もしそうじゃなかったら、その時は別の人が王になる時だよ」

 

これこそが蜀王の桃香だ。

 

「頑固なもんだ。思えば昔からそうだったな」

「そこまでの覚悟があるのなら、もう何も申しません。私も…一個人として同じ考えですので」

 

全員が桃香の意志に賛同する。これを他の国の者が聞けば呆れるが、だからこそ彼女に惹かれる者たちが集まるのだ。

 

「ありがとう美花さん。でもわたし頭は良くないし、力もないし、一人じゃ何も出来ない…だから朱里ちゃん、雛里ちゃん」

「「はい」」

「ねねちゃん、真直ちゃん」

「………む」

「はい」

「もう少しだけ、わたしに策をちょうだい。出来るだけみんなが傷付かないで、曹操さんを止められる策を」

 

己は曹操のように完璧ではない。だから足りない部分は仲間の力を借りるのだ。

 

「無茶は麗羽さまで慣れたつもりだったけど…桃香殿も大概無茶をおっしゃいますね」

「ですが、そんな方を主に選んだのも私たちですしね」

「…ねねは選んだつもりはありませんぞ」

「私も成り行きといえばそうですが…」

 

成り行きとはいえ、集まったのは彼女の天運を掴む力のせいかもしれない。

 

「あはは…。でもお願い」

「…ねね」

「むう…恋殿のお願いなら仕方ありませんな」

「朱里ちゃん」

「うん。ならすぐに同伴する艦隊に通達をお願いします!!」

 

既に孫呉は動いている。同盟関係であるのだから今動かずにいつ動くのか。

魏に勝利する為。勝つ為に己を犠牲にしようとしている祭を救う為に蜀は動き出す。

 

「次の攻撃でこの赤壁の戦いに決着をつけますよ!!」

 

朱里の号令に桃香も声を出して鼓舞しようとした時、頭部を誰かに掴まれて船床へと叩きつけられた。

 

「え?」

 

信じられない光景だった。誰かによって桃香が船床に叩きつけられてせいで血が流れている。

朱里や北郷一刀たちは固まってしまって思考も一瞬止まってしまったほどだ。

 

「かの源義経が実行した鵯越の逆落とし。参考にしてみたが…やろうと思ってやるものではないな」

 

桃香を船床に叩きつけた犯人は武田信虎であった。

赤壁の戦いに異変が起きる。

 




読んでくださってありがとうございました。
次回は未定となります。


1005
三国が赤壁の戦いでクライマックスになる裏で立香たちは八鬼将との戦いが始まります。

藤丸立香は女性を裏切るような真似は致しません!!
でも自重しないといけないのは確か(自重するとは言ってない)


1006
八鬼将との戦い手前の話。各々が好き勝手に暴れて囮となります。
八鬼将の中で戦上手は包帯鬼です。


1007
凍女鬼との戦い。
「氷柱針」と言う技名はオリジナルじゃなくて戦国オンラインの技です。
能力設定自体はオリジナルですけどね。

氷にはやっぱ炎だね。

凍女鬼の元は綺麗で献身的な女性でした。
夫の裏切りで彼女を恐ろしい姿に変えてしまったのです。

『巨大な生物』とは


1008
赤壁の戦いが終わりました
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