Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
またも更新がだいぶ遅れました…でもまだまだ完結まで頑張ります。
FGOでは新イベントが始まりましたね。(まだ私はやってません…)
やはりあのシルエットは清姫でしたか。彼女の活躍があって嬉しいです。
新たな新キャラの活躍もワクワクです!!
さらに新たなCMも公開されて良い!! 徐福ちゃんがカワイイです。
恋姫では双天でOPが公開されましたね。
見ました…カッコイイ
しかし気になるのがあります。幽鬼と一緒に映っていた女性は何者なのか。
まさか始皇帝? まさかね。
更に英雄譚4・5・白月のBOXが発売される事になりましたね。
追加物語の乙女後日談が気になる。特に炎蓮の過去話。
1025
一時的とはいえ、魏呉蜀が1つにまとまった。
まとまった理由は各王たちを救出するために武田信虎軍と戦うからだ。
王たちの処刑日までは時間は少ない。各国はすぐにでも温存している戦力を集め、敵の本拠地である無双の塔へと出立する準備を完了しつつある。
あと必要なのは敵を如何に倒し、王を救出する作戦を確定しなければならない。そこで三国は作戦会議を開く事になる。
状況が状況であるが初の三国軍議が開かれた。
「敵戦力の報告をさせて頂きます」
美花は明命と共に偵察部隊として無双の塔へ赴き、敵戦力を確認してきたのだ。
「敵戦力はおよそ百万」
「百万…!!」
「赤壁で動かした私たちと同じね」
鬼の戦力は約100万。赤壁の戦いと大百足で戦力を減らされたとはいえ、三国の戦力を合わせれば武田信虎軍と戦えない事は無さそうだ。
三国の武将や軍師陣に絶望の顔はしていない。
「百万か。鬼たちはどのような陣形を…」
「待ちなさい蜀の天の御遣い」
「何だ荀彧?」
「鬼の戦力把握も大切だけど一番の問題を先に片付けるのが先でしょ」
一番の問題とは大百足だ。
「アレをどうにかしないと赤壁の二の前になるわよ」
「そうですね…」
朱里も頷くのを見て北郷一刀は先ほどの言葉を置いておく。先の議題は大百足退治だ。
「それなら倒し方を知っている人に聞くのが一番だ」
大百足の倒し方と聞いて魏陣営の視線が集中する。
「頼む立香、藤太さん」
大百足退治は退治した者に聞くのが一番だ。
「アンタたち…あの蟲の倒し方を知っているの!?」
「知っているというか倒した事がある。」
エネミーで大百足を倒した事はあるが俵藤太が倒した大百足と比べるものではない。そして今回で確認した大百足とも比べるものでもない。
しかし俵藤太がいる事が本当に助かったと言うべき展開だ。大百足退治をこれほど知る者はいない。
「ああ。拙者はあの大百足と同じくらいの大百足を倒した」
「ど、どうやって!?」
「矢に唾つけて倒した」
「馬鹿にしてんの!?」
「馬鹿にしていないぞ。大百足は人の唾液を嫌う。そして狙うはここだ」
俵藤太は己の眉間もとい脳天に指さす。
「俵殿、それは本当か?」
冥琳は半信半疑だがこの場面で彼が突拍子もない嘘を言うはずがない。
言っている事は全て本当だ。大百足には唾の付けた矢が有効と聞けばすぐにでも準備は出来る。
「あの蟲の脳天を狙うのは難しいが倒し方がそれほど難しいものでないのは助かったな。矢の補充さえどうにかすれば問題なさそうだ」
「意外だね。そんな倒し方でいいんだ」
冥琳の言葉に同意する梨晏。
「一番の脅威がそんな倒し方でいいのね…」
巨大で宙に浮く大百足の倒し方を荀彧は投石機やらなにやらで考えていたが、まさかの倒し方にガックリしそうになった。しかし冥琳の言う通り、頭を悩ませなくて済みそうだ。
弓矢部隊を多く編成し、唾なんて自分たちのをいくらでも吐きかけて狙えばいい。的が大きいのだから冥琳の言う通り、矢の補充さえ足りてれば問題ないのだ。
「ふむ。であれば魏からは私が」
「呉では儂が出る」
「私に任せてください」
魏より夏侯淵。呉より祭。蜀より紫苑。
各国の腕の立つ弓術者が名乗りを出る。確実に大百足を倒す弓矢部隊を編成する。
「まあ、待て。実は厄介な事になっておってな」
ここで待ったをかける俵藤太。ここの大百足は俵藤太が倒した大百足とは違う力を持っている。
「厄介とは?」
「あの大百足だが特別な結界が張られている」
「結界?」
「あの大百足は恐らく剣や矢が通じん」
「そうなのですか!?」
「ああ。奴はヴリトラを食って、その力を得ている」
「「「ぶりとら?」」」
聞き覚えの無い名前。
「ヴリトラについては美以に聞いた方がいいだろう」
ひょこりと俵藤太の前に出る美以。
「ぶりとらは南蛮にいる龍にゃ。ぶりとらは木、岩、武器、乾いた物、湿ったものにも傷つかず、昼も夜も殺すことができないにゃ」
「ちょっ!?」
「それは反則すぎるだろう」
大百足は龍を喰らう神喰い蟲。ヴリトラも捕食対象であり、喰らって力を得ている。
「拙者が赤壁にて矢を撃ったが効かなかった。本当ならば撃ち落としていたはずだったんだがな」
「そんなのどうやって倒すのよ」
「大百足はヴリトラを喰らって概念の力を得ている。ならば此方も概念の力を持って倒すか、奴の概念を剝すしかない」
「「「概念?」」」
夏侯惇や愛紗たちが首を傾けた。
「雷火先生、がいねんって何ですか?」
「儂も聞かん言葉だな」
人や物といった物質、歴史や物語といった積み重ねられてきた事象。
概念同士の戦いでは相性がある。大百足との戦いでは如何に概念を駆使して戦うかだ。
俵藤太は大百足を倒した事がある。それは俵藤太は大百足を退治できる者として歴史に刻まれた。
であれば俵藤太は水で大百足は火。火は水で消せるのが一般常識だ。そういう関係性となっている。
大百足は俵藤太という弱点をヴリトラで克服した。しかし絶対に倒せないというわけではない。ヴリトラも無敵というわけでなく、弱点は存在するのだ。
「大百足を倒すにはヴリトラの概念を剝し、矢を眉間に撃つ」
「なるほど」
「え、分かったのか?」
概念について理解出来たものと出来ないものに分かれたが大百足を倒せる方法がまだあるというだけで希望がある。
「しかし矢や炎も効かないなんて…」
「大丈夫だ。それ以外で倒せばいい」
「それ以外でって」
「例えば北郷一刀の持つ刀だな」
北郷一刀が腰から次元を切断する刀を見せる。
「でもその刀は鉄で武器じゃ…」
「物理的には効かないが刀の力は通る」
「刀の力?」
「この刀は次元を斬れる。次元の切断はヴリトラの力を貫通し、大百足の硬い皮膚すらも貫通する」
刀という物理の力は通用しないが、次元を切断するという力は通用するはずだ。
「他にも司馬懿殿や始皇帝陛下の力も借りるつもりだ」
「私の宝具の出番だね」
「朕の力に任せるがいい」
敵の弱点を創り出す、剥き出しにさせる宝具に仙術の力。これらも大百足に効く力だ。
「大百足を倒すにはまずヴリトラの力を剝してからだ。なれば矢が届く」
大百足の討伐方法はある。大百足討伐隊を編成し、決戦に臨む。
「大百足の戦いは藤太さんたちに任せましょう。次は鬼たちの戦いと我らが王たちの救出作戦を考えましょう」
朱里が次の作戦について話していく、もとい話を最初に戻す。雛里も朱里を補佐するように纏めた情報を話す。
「美花さんと周泰さんたちの情報だと鬼の戦力はおよそ百万」
「百万の鬼なんて何処にいたのかしら」
ふと疑問に思う鬼の百万という数。
百万という数であれば隠しておける数ではない。
「無双の塔は天高く上がる建造物でした。鬼の百万という数と高い塔が今まで誰にも見つからなかったというのは不思議でしかありません」
美花の言葉に誰もが頷く。
「恐らくだが…結界術や幻術と言った人避けの術を仕掛けていた可能性がある」
「人避けの術?」
諸葛孔明が鬼や大百足、無双の塔が今まで見つからなかった理由を予測説明してくれる。
人避けの術はいくつかある。幻術によって鬼たちを隠したり、人の意識に作用させ、無意識に無双の塔にはちかづけさせないようにさせたり等だ。
今まで見つからなかったのは魔術的な要素があったに違いない。
(それでも鬼が百万もいたなんて…)
(人を鬼にする薬があったはずだ…それでも腑に落ちない。大陸にいる人間が百万も鬼になったなんて事はあり得ない)
自分たちが生きている大陸に百万の鬼が現実的にいるというのは恐怖そのものだ。
「明命さん。鬼たちはどのような陣形をとっていたんですか。それと鬼はどんなのがいましたか?」
「はい。陣形は特にとっていませんでした。あえて言うなら塔の周りに展開していたので方円の陣だと思います」
「ふむ…周囲から塔を守る陣形ですか」
「内側には武装した鬼がいて、外側に武器等は持っていない鬼で展開してました」
武器を持っていない鬼というのが下級鬼。装備を揃えているというのが中級鬼。
「単純に考えると下級鬼が壁で中級鬼が本隊といったところですかね?」
「包ちゃんの言う通りかもしれませんね~」
「でもそれはその時の話でしょう。敵は陣形を組む可能性はあるんじゃない?」
荀彧が一番大事な部分を確認し出す。
「その可能性はあります」
徴姉妹の徴側が答える。
「我々は赤壁の戦いの裏で鬼と戦っていました。その時に将を名乗る鬼と接触しています」
将を名乗る鬼とは武田八鬼将の事。
二体を討伐しているが白川と百々目鬼がおり、将の鬼は以前八体。
「包帯を巻いた鬼でしたが的確に鬼達に指示を出し、陣形を組んでいました」
「それで言うなら私のほうも鬼たちを指揮し、陣形を組む鬼と戦いましたよ。もっともあの鬼は自ら前線に出て特攻するような鬼でしたが」
陳宮たちが戦った鬼もまた武将としての経験がある鬼である。
「将を名乗るような鬼だから戦術も使えるという事なのね」
「鬼も馬鹿ではない。頭の切れる鬼もいる」
偵察で確認した際は塔を守るように方円の陣で鬼たちは展開していたが決戦日では変更している可能性がある。
その事も頭を考えて三国側も陣形を考えねばならない。
「我々三国は一時的に協力をする事になりましたが足並みを揃える事は不可能です」
郭嘉の言う事は確かで全員が頷く。
「なので当然ながら各国に分かれて戦う事になります」
「それでどのように攻めるかですね」
現在の敵が方円の陣で無双の塔を守っている。無双の塔に王たちが囚われているのだから、その本拠地に乗り込まないと救出する事は出来ないのだ。
「三方向から攻めるべきか、それとも三国が横に並んで攻めるべきか」
「三方向から攻めれば鬼の戦力を分散出来ますが…数が数です。現実的ではありません」
「であれば三国を分散させないで一点を三分割した方が良いと思います」
囲まれる事を避けるのと戦力を分散させ過ぎるのも避けたい。
そうなっていくと三国を纏めて一つの方向から攻める。敵によって囲まれる事さえ注意すればいちいち全ての鬼と戦わなくても済むかもしれないのだ。
「ふむ…救出部隊の事を考えると偃月の陣か鋒矢の陣だな」
救出部隊を中心に配置させ、突破部隊を正面、左右を防衛部隊で編制する形となる。
「これらの陣形では後方が危険ですね~。後方部隊を編制するべきです」
「やはり突破力を考えるなら鋒矢の陣かしらね」
陣形は決まっていく。無論、現段階での話なので様々な場合を考える必要はある。
「突破部隊には私が先頭を切ろう」
「項羽様が行くならば私も行きます」
項羽と虞美人による強行突破。頼れる以外の何物でもない程の力強さだ。
「アタシも入れてくれ。馬家の騎馬術の恐ろしさを見せてやる」
「ウチにも任せい。張遼隊の突破力を鬼に見せ付けたるわ」
突破部隊の確定。
「左翼は呉が引き受けるわ。それで良いかな皆?」
「シャオ様の命ずるままに」
「任せて」
左翼は呉が受け持つ。
「なら右翼はこっちがやるっす!!」
「任せてください。虎豹騎の力を見せます」
「絶対に勝手みせる」
右翼が魏が受け持つ。
「なら後方は蜀が受け持つよ」
「後ろは任せろ」
「蜀は守る事に関しては負けない」
蜀は後方を受け持つ。
「次に救出部隊の人員ですが…」
「救出部隊ならば私が当然出る!!」
夏侯惇がすぐに名乗り出る。彼女だけでなく、主を強く思う者たちは名乗りを上げていく。
多くの者が名乗り上げるが全員を投入すると別部隊の戦力が偏る為、戦力を考えて救出部隊を編制していく。
「オレらは各陣営に分かれて動くよ」
藤丸立香たちの大仕事は大百足退治だ。しかし全員が大百足に投入するわけではく、英霊たち何騎かは三国の戦力として加わる。
蘭陵王や秦良玉たちは武将の英霊であるため、大百足よりも三国たちの部隊に入って動いた方が真価を発揮する。
「時間はあまり無いが確実に倒す為に念入りに策をいくつも考えるぞ」
三国軍議はまだ続いていく。
1026
無双の塔にて。
「これより軍議を始める」
武田信虎が力強く発言する。
これより三国対策軍議が始まるのだが一部の武田八鬼将はだらけていた。
「スル必要ガ アルノデ オジャルノカ」
「何?」
「ダッテ、此方ハ 圧倒的デ オジャルヨ?」
武田信虎軍は圧倒的な軍力を誇る。百万の鬼に、大百足という巨大な暴力。負傷した三国なぞ赤子の手を捻るが如くだ。
隋身鬼が余裕だと思っているのは仕方がないのかもしれない。余裕過ぎて梨まで齧っている。
「アッパレ スギル。ソモソモ三国ハ来ルノカ?」
「来る」
武田信虎は確信めいた目で天晴鬼を見る。
「三国の者共はアイツらと同じだ。来る」
(アイツラ?)
気になる発言があったが天晴鬼は武田信虎の言葉をそのまま聞いていく。
「油断慢心したが最期だ」
武田信虎は身を染みて分かっている。
「力を得たからと言って慢心するな。そんな奴らの末路なぞ呆気ない」
力に溺れた者、力に慢心した者の最期は呆気なく、足元をすくわれる。そうなった者が多い。
「死にたくなかったら軍議を真面目に受けろ」
ここまで言われれば隋身鬼と天晴鬼は黙るしかない。
「僕ガ進行ヲ務メヨウ」
包屍鬼が現状を報告していく。
「恐ラク三国ガ 来ルノハ王ノ処刑日ヨリ 前日カ当日ダト思ワレル」
短い猶予期間である為、三国が再編成して無双の塔に到達するのはギリギリだ。武田信虎はそれを見越して猶予を考えた。
「三国ハ団結シテイル」
哭闇鬼が更に補足を加える。
「それは我も予測している。どのようで陣形で来るかだ」
「全軍突撃シテクルンジャネエカ?」
狂射鬼がケラケラと笑いながら予測を口にする。
「そんなわけあるか。真面目に考えろ」
「ガハハハ…オレ様ラハ方円陣デ組ンデイル。ナラ偃月ノ陣カ鋒矢ノ陣デ来ルダローナ」
「僕モソウ思ウ」
三国の目的は王の奪還だ。本拠地である無双の塔に乗り込んでくるのは間違いない。
百万の鬼たちに囲まれた無双の塔に侵入するために壁となっている鬼たちを蹴散らすはずだ。
「相手ハ追イ込マレテイル。背水ノ陣ノハズダ」
「騙妖鬼の言う通りだな。決死の覚悟で来るだろう」
三国の攻め方を予想し、的中させていく。
「タダシ、カルデアノ動キハ 予測出来ヌ」
「カルデアは大百足の対応に走るはずだ。そうでなければ三国は大百足を恐れて何も出来ん」
超常の力には超常の力を持つ者たちが対応する。動きが読めない相手が一番の難所だ。
大百足の対応といってもどうやって倒してくるか分からない。無敵に思える大百足も倒される可能性はあるのだ。
「大百足ガ負ケルナンテ考エラレンガナ」
「歴史に残る英雄は奇跡を起こしてきた。天晴鬼よ絶対は無いぞ。特に相手はあの俵藤太だ」
武田信虎は油断も慢心もしない。敵を認め、全力で潰しにかかる。そうでなければ敗北するのは自分だと理解しているからだ。
その為に彼女は様々な準備をしている。軍議もその1つで、中には大百足が敗北しない策もある。
「我はやり直す。今度こそ日ノ本を手に入れる」
武田信虎は胸の辺りを叩く。
「お前たちもやり直すのだろう?」
武田八鬼将たちを見渡す。
「三国との決戦はもうすぐだ。三国共を蹴散らし、カルデアも潰し、我の日ノ本統一への道が再開される。待っているがいい本田忠勝よ。今度は我が貴様の首を斬る番だ」
武田信虎軍もまた軍議が続いていく。
1027
無双の塔の座敷牢にて。
「…食エ」
包屍鬼が食事を三人分持ってきた。
炊き立ての白米。温かい味噌汁。鮭の塩焼きに卵焼き。ほうれん草のお浸し。そして大根の漬物。
日本人からしてみればご機嫌な朝飯と言うかもしれない。
「鬼の食事を食うとでも?」
曹操は包屍鬼を睨む。
「毒ハ入ッテイナイ。近イウチニ処刑スルノニ毒殺スル必要ハナイカラナ」
儀式として処刑するのに今さら食事に毒を盛る必要は確かに無い。寧ろそのような事をすれば武田信虎に首を刎ねられるだけだ。
「ソレニ鬼ノ食事デハナイ。人ノ食事ダ」
そう言って包屍鬼は去っていく。
目の前に置かれた食事からは嫌な臭いはしない。寧ろ美味しそうな匂いが鼻を擽る。
「普通に美味しそうだよ?」
「劉備あんた…この状況でよく言えるわね」
「でもあの鬼さんが言ったようにわたしたちは、儀式の為に殺されちゃうでしょ。ならご飯に毒を入れるはずないいんじゃないかな」
桃香はそう言って食事を始める。
「あ、美味しいよ。もぐもぐ」
「「……」」
曹操と蓮華は呆れた。
「貴女ってたまに凄いわね」
「え、孫権さんがわたしを褒めた!?」
「どちらかと言えば、褒めたというより呆れたんだけど」
危機感が無いのか、豪胆の持ち主なのか。
「これでもちゃんと危機感あるからね!?」
「敵の食事…鬼が作る得体の知れない物なんてよく食べるわね」
「普通に美味しいご飯だよ?」
「そう言う所が凄いのよね…」
もぐもぐと食べる桃香。
「でも食べなきゃ死んじゃうし。それにいざという時に動けなくなるのは駄目だと思う」
今は捕まって何も出来ないが何も出来ずに処刑されるつもりはないのだ。
体力を温存し、いざという時は動けるようにしなければならない。
「きっと皆は助けに来る。待つ事しかできない自分が嫌だけど…だからこそ動けるようにしなきゃだと思う」
桃香の言葉に蓮華は心に刺さる。彼女もまた仲間が助けに来ると確信しており、何も出来ない自分を嫌だと思っている。
曹操もまた自分の愛する臣下たちが助けに来る事を確信している。3人はそれほどまで仲間・臣下たちに愛され、忠誠を誓われているのだ。
仲間たちが必死に助け出す為に動いているからこそ何も出来ない己が不甲斐ない。捕まっているので仕方ないとはいえだ。
だからこそ桃香が言うようにいざという時の為に今は体力を温存に徹するしかないのだ。
「劉備の言う通りかもね…」
蓮華は恐る恐る食事を始める。
「孫権…貴女まで」
「劉備は間違った事は言っていないわ」
桃香と蓮華が食事を始めるのを見て曹操もため息を吐きながらも同じように食事を始めた。彼女もまた桃香の言っている事が正しいと理解できているからだ。
「食事をしている状況で言うのもなんだけど…孫権」
「何だ曹操」
「私を今ここで殺そうと思わないの?」
箸が止まる蓮華。
「私は貴女の姉の仇よ」
雪蓮の暗殺事件は曹操が望んだ事ではない。部下の独断であったが、部下の責任は王の責任である。
事件の首謀者を討ち取っても、曹操への責任と恨みは消えない。孫呉全てから恨まれているのは理解しており、雪蓮の妹である蓮華に殺されても文句は言えない。
「敵は儀式なんてものをやるわ。その為に私たち三人が必要らしいのよ」
儀式は絶対だ。成功させてこそ武田信虎の目的が達成される。
一矢報いる為に儀式を失敗させるのであれば、儀式用の生贄を先に消せばいい。
元々は魏と蜀呉の戦いだ。座敷牢では逃げ場はなく、二人がかりで曹操を襲えば殺せる可能性は高い。
「するならどうぞ。抵抗はするけどね…でもきっと二人がかりなら私を殺せるわよ。武器も何も無いし」
「そんなことしないよ!!」
蓮華が答えるよりも劉備が叫んだ。
「こんな時にそんな事しないよ。曹操さんもそんな事を言っちゃ駄目!!」
「……米粒が飛んだわよ」
「あ、ごめんなさい」
静かに息を吐く蓮華。
「私は確かにお前を恨んでいるぞ曹操」
「そう」
「しかし…今は殺す気はない。こんな状況で、こんな所で姉の仇を取りたくないからな」
「今が一番の好機だと思うけれど?」
囚われている状況だが曹操を殺せるチャンスは今まさにある。しかし蓮華にとっては、ここが仇を取る場所ではないのだ。
「ここが私とお前の決着じゃない。曹操…お前もこんな終わり方は望んでいないはずだ。違うか?」
「……そうね」
曹操もここで終わるつもりはない。鬼の生贄で終わる最期は望んでいない。
「ならば今は一時休戦だ。決着はここから脱し、鬼を倒してからだ」
「先ほどの言葉は撤回する。戯言を吐いたわ」
曹操は静かに食事に戻った。
囚われている状況であっても腹は減る。腹が減っては戦が出来ぬとも言う。
三人は体力を温存するために飯を食う。今は耐える時である。
「曹操さん、それと孫権さん」
「何かしら?」
「なに?」
桃香はポツリと二人に話しかける。
「もしもここから脱出したら3人で対談がしたいです」
魏の王と呉の王と対談がしたい。桃香は会話での和解を今も昔も望んでいる。
赤壁の戦いまで至ったが、それでも話し合いを大切にしているのだ。
「このような事が起きてるから…今後を考えると三国で対談が必要だと思うんです」
武田信虎という新たな勢力が現れて三国を脅かす脅威となっている。今までも別の脅威は現れては、その背後には于吉という存在がいるのだ。
三国の決着の前に別の脅威をどうにかするのもまた必要と桃香は考えている。
「劉備の言う事も一理あるわね」
「……いいわよ」
曹操は同意した。
「本当ですか!?」
蓮華は言わずもがな、曹操も大陸の裏で蠢く勢力をより危険と今回の事で理解する。
大陸の天下統一よりも前に倒さねばならないのだ。曹操は大陸を統一し、外(五胡等)の脅威を迎え撃とうとしていた。
そのはずが五胡等よりも別の脅威が今まさに大陸を脅かしている状況である。桃香の提案は悪くないと思っている。
「曹操が同意するとはな。なら私も同意しないわけにもいかないわね」
同意を得られた桃香は笑顔になる。
「絶対にここから脱出しましょう!!」
力強く前向きな桃香に曹操と蓮華はちょっとだけ元気を貰ったような気がした。
「ここから脱出したら絶対2人と対談するんだ」
「「…………」」
何か嫌な気がした2人。
「どうしたの2人とも?」
「出来ない気がしてきた」
「私も」
「何でぇ!?」
取り合えず、先ほどの桃香の台詞は撤回した方が良いかもしれない。
読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も未定ですけど…目指すは2週間以内です。
1025
三国軍議。
議題はやっぱり大百足について。
強くなってる大百足ですが、ちゃんと倒し方を考えてます。
ヴリトラの力を得ている大百足も無敵ではなく、付け入る隙はあるものです。
でも最近はその問題を全て解決できる設定が公式の方で公開されたんですよね。
太公望…貴方は本当に凄い方です。
戦の陣形について。
私は素人なので陣形の事を多く語れないのが悔しい…。
調べてはいますが難しいものですね。でも調べていくうちに興味深いですし、面白い。
1026
武田信虎軍も軍議の真っ最中。
今の彼女は油断も慢心もせずに三国とカルデアの戦いに備えます。
全ては日ノ本統一の為。そして恨みを晴らす為。
全力を持って三国と戦います。
この物語の武田信虎は慢心なき武将です。
1027
座敷牢で三国の王たちの食事と話合い。
敵国の王同士とはいえ、一か所に囚われてるとちょっとした団結力が生まれるかな。
一時休戦で脱出する手を互いに考えます。
蓮華は曹操を恨んでいるけど、決着の場はここではないのです。
まあ、「あの2人」が現れたら蓮華だけでなく他の呉の面々も混乱するけど。
最後のはフラグ…すぐに折らないといけませんね。