Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
FGOではCBC2025が終わりそうですね。
終わったら次はついに奏章Ⅳかもしれませんね。
とっても気になります!!

さあてと、こっちの物語である『雛プリンセス杯編』も3月中に完結させたいですね。
では、こっちの本編をどうぞ。


雛プリンセス杯-3段目-

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巨大雛段 3段目。五人囃子。

能の囃子方の四拍子に地謡1人を加えた計5人からなるもの。

此方も『うれしいひなまつり』という歌詞でよく聞く単語だ。

 

「雛段の3段目。ここは五人囃子だったな。ここの番人と試練は一体…」

 

藤丸立香たちは段を登り上がると音楽が聞こえてきた。

 

「あらよっと!!」

「ヨ~ヨォイ!!」

「ポンポン!!」

「ピーヒョロロー!!」

「タンタン!!」

 

音楽を奏でながら五人囃子は美羽や季居たちの行く手を阻んでいた。

五人囃子の役割を演じるは雷々、楊貴妃、桔梗、燕青、管輅。

雷々が小鼓。楊貴妃が笛。桔梗が大鼓。燕青が謡(扇持ち)。管輅が太鼓。

 

「お、マスターたちも来たか」

「マスター様に不夜姐姐来ました~!!」

「ご主人様に電々ようこそー!!」

 

楊貴妃達は季衣たちの邪魔しながら藤丸立香や北郷一刀たちに挨拶。

 

「雷々その恰好可愛いよ!!」

「ああ。とっても似合ってるぜ」

「もう電々にご主人様ったら~」

 

雷々の恰好は白と緑を基調とした素襖姿に、侍烏帽子をかぶっている。

素襖はアレンジされているのかミニスカート風になっている。和服美少女の雷々である。

 

「ユウユウや燕青たちの分は無いの?」

「無いぜ」

「予算不足や材料不足らしいです」

 

予算不足・材料不足はしょうがない。

本音ならば全員分のが見たいが、それは我儘すぎる欲望だ。

 

「さて、ここでの試練を説明するぜ」

「隙あり!!」

「隙なしだぜ鉄球嬢ちゃん」

 

季衣の攻撃を回避する燕青はそのまま試練内容を説明していく。

 

「ここでの試練も簡単。オレらを突破して次に向かうだけだ」

 

五人囃子である燕青たちを突破するだけ。しかし燕青たちは挑戦者たちを邪魔をする。

 

「何とかオレらを出し抜いて突破するか…オレらを倒すかすればいいぜ」

 

ここでシンプルに番人を倒すという内容が出てきた。

 

「まあ、ユウユウたちを倒すんじゃなくて楽器を奪うか壊すかでも大丈夫ですよ」

「なるほど。これまた分かりやすい」

 

五人囃子の楊貴妃たちは現段階美羽、七乃、季衣、流琉、香風の行く手を阻んでいた。そこに藤丸立香たち計7人が加わる。

挑戦者たちが増えた事で試練突破の可能性も高くなる。人が増えれば番人である楊貴妃たちの隙を突きやすくなるというものだ。

 

「散開して五人囃子を攪乱させるんだ」

「立香の言う通りだ。相手は5人でこっちは計12人。数の多さを利用するんだ」

 

挑戦者たちは散開して、それぞれ五人囃子の前に出る。

 

「管輅さんもこの大会に参加してたんだ」

「うむ。まあ、貂蝉たちにお願いされたからな……まったく、こっちは宝貝や特別な素材について忙しいというのに」

 

太鼓をポコポコと軽快に叩く。

 

「しかしここで天の御遣いの力試しが出来るのなら面白い」

「管輅って戦えるのか?」

「勿論」

 

管輅は太鼓を叩きながら藤丸立香と北郷一刀の実力を計ろうとする。

 

「ここは通しませんよ。不夜姐姐、シャオちゃん」

「絶対突破してやるんだから!!」

「そこどけ楊玉環。命令じゃ」

「不夜姐姐の命でもどきません~!!」

 

笛を吹くと蒼炎の精霊が召喚される。

 

「電々。姉妹だからって手加減しないよ!!」

「勿論。全力だね!!」

「一緒に行くのだ電々!!」

「わ、私も何かできる事を…!!」

 

電々と雷々は仲の良い姉妹。喧嘩する事は勿論あるがこうやって大会で戦うのは珍しいものだ。

 

「かかってこい魏の小さき将たちよ!!」

「通させてもらうよ!!」

「お相手よろしくお願いします!!」

「勝つ」

 

大鼓を武器のように構える桔梗。

 

「…楽器って武器なんだ」

「武器じゃぞ」

「武器ですよ~」

「更に弾が出れば申し分ないんじゃがのう」

「それもう大鼓じゃないですよ」

 

楊貴妃からも賛同を得られる桔梗。

楽器は楽器で武器ではないのだが殴れば鈍器になるのは確かだ。

 

「てめえらの相手はオレだ」

「七乃。あやつを倒すのじゃー!!」

「ええっと~…」

 

燕青の相手は美羽と七乃。

 

(……倒せる気がしません。何なら楽器というか扇も奪える気もしませんけど!?)

 

美羽も七乃も武人ではない。七乃は剣を振るえるが兵士のように戦えない。よくて君主を守る護衛だけだ。

 

(あ、これ詰んだかも)

「考え事は終わりかぁ?」

 

燕青が七乃を脱落させた。

 

「七乃ーーー!?」

「はいはい。お前さんも脱落だな」

 

美羽も脱落。美羽チームは完全に脱落となった。

 

「さてと、桔梗の姐さんとこの援護にでも行くか」

 

燕青は美羽チームを瞬時に脱落させ、季衣チームの邪魔をしに行く。

 

「ほっほ、よっと」

「意外にも身軽!?」

「捕まえらんねえんだけど!?」

 

藤丸立香と北郷一刀は管輅を捕縛しようとするが身軽に回避される。

 

「これでも私は大陸中を旅する占い師。ちゃんと鍛えておるぞ」

 

反撃せずに回避に徹する管輅と思えばそうではない。反撃してこないと思って、無視して彼女を突破しようとしたら太鼓を叩いて妖気弾を放ってくる。

結局は管輅を倒すか楽器を奪う他ない。

 

「太鼓ではなく月琴の方が本気を出せるんじゃが…まあ、あの月琴を使うと大会の参加者全員がほぼ脱落するから使うなと貂蝉から言われておるしな」

(何かボソッと凄い事言ったな)

 

管輅の持つ月琵はただの琵琶ではない。しかしここでは語られない。

 

「天の御遣い2人もっと本気出すのじゃ。これではお主らの力量が分からん」

 

このままでは管輅の持つ太鼓を奪えるどころか彼女を捕まえる事も出来ない。

藤丸立香は魔術礼装を起動する。北郷一刀は次元刀(抜刀まではしない)を手に持つ。

 

「藤丸立香は魔術を見せよ。北郷一刀は剣術を見せよ」

 

北郷一刀は次元刀を構えて前に出る。藤丸立香は後方にて魔術礼装をいつでも起動できるように準備する。

 

「いくよ一刀。瞬間強化!!」

「サンキュー!!」

 

肉体強化をした北郷一刀は瞬時に間合いを詰めて管輅の太鼓を壊そうと次元刀を振るう。

 

「なぬ、速い」

 

ギリギリに躱し、太鼓を叩いて妖気弾を放つ。

 

「魔術礼装。緊急回避」

「またまたサンキューな立香!!」

「回避は任せて一刀は攻撃に専念!!」

「おうよ!!」

 

北郷一刀が攻撃に専念し、藤丸立香が後方にて援護に専念する。

 

(ふむ…イレギュラーな会合であるはずだが、2人の連携が良いな)

「でえええええええええええい!!」

(北郷一刀の剣術は他の外史で知っておるが、この外史の北郷一刀は他よりも腕が上だな)

 

この外史では他の外史ではない戦いもあった。その戦いが北郷一刀を成長させたと言っても過言ではない。

 

「せぇええええええええええい!!」

「おっとっと」

「爺ちゃん直伝の一撃を喰らえ キェエエエエエエエエエエエエイ!!」

「当たったら痛そうだな。かの大剣士が言っておったな。初太刀は避けろと」

 

猛撃の剣技を北郷一刀が休みなく振るい続ける。

 

「もういっちょ踏み込む!!」

 

北郷一刀はもう一歩踏み込んで間合いを縮める。そして全力で最高速度の一太刀を振るう。

 

「なかなか良い一撃だ。もっと修行すればより速く、強くなれるぞ。私に当てられるであろう」

 

回避する管輅。しかし回避してくれる事を北郷一刀は願っていた。

何故なら北郷一刀は藤丸立香から相手に出来るだけ近づいて剣戟を回避される事を指示されていたからだ。そしてすぐに左慈と戦った時を思い出して作戦を理解したのだ。

 

「魔術礼装起動。オーダーチェンジ」

「なぬ、ワープの類か!?」

 

北郷一刀と藤丸立香の位置が一瞬で変わる。藤丸立香の人差し指が管輅に向けられていた。

 

「ガンド!!」

 

放たれたガンドが管輅に直撃し、身動きが取れなくなる。

 

「うぐ!?」

「太鼓取った!!」

 

藤丸立香と北郷一刀は試練をクリアするのであった。

 

(ふむ…やはり良い連携じゃな。イレギュラーな会合であるが良い流れを作っておる)

「一刀。オレは武則天とシャオの援護に行ってくる」

「ああ、俺は鈴々たちの方に行く」

 

2人は分かれて互いのチームへと戻る。

 

「阿吽の大乱舞!!」

「阿吽の大騒乱!!」

「蛇矛一念!!」

「頑張れー!!」

 

北郷一刀が駆けつけた時、五人囃子の雷々は大技を放っていた。電々と鈴々は迎え撃つ為に同じく大技を放つ。白湯は離れた位置から応援。

 

「てえええい!!」

「たああああ!!」

「にゃあああ!!」

 

大技が解放された時、決着は着いた。

 

「はふ~…やっぱり電々と鈴々の2人相手は厳しいよー」

 

パタンと倒れるは雷々。

一対一ならば雷々も挑戦者たちを足止め出来た。しかし多対一であると流石の雷々も厳しい。

特に相手は自分を良く知る電々と、蜀の将軍が1人の鈴々。足止めを少ししただけでも善戦した方だ。

 

「ふふん。電々の勝ちだね」

「電々だけなら雷々は勝ってたよーだ」

「なにお~」

 

鈴々たちも番人である五人囃子を倒す。

 

「駆けつけたけど俺の出番は無さそうだな」

「あ、お兄ちゃん」

「一刀」

 

鈴々と白湯が北郷一刀に気付く。

 

「よし。さっさと次の段に行こうか」

 

残り雛段は二段。ゴールはもうすぐだが気を抜かない事だ。

本当に気を抜かない事が大事だ。

 

「んじゃあ、次はオレと遊ぼうかぁ?」

「うお、燕青か!?」

 

急に現れた燕青に北郷一刀は驚きながらも距離を取った。

 

「いやあ、桔梗の姐さん所に援護に行ったら儂1人で十分つーもんだから、こっち来たぜ」

 

拳を構える燕青。

 

「鈴々、電々。次が来たぞ」

「分かったのだ」

「まだ試練は突破出来てないって事か~」

 

燕青に対して北郷一刀たち3人が攻撃を仕掛ける。

 

「チェストーーー!!」

「うりゃりゃりゃりゃーー!!」

「くらえーー!!」

「あらよっとぉ!!」

 

燕青は3人の攻撃を捌き切る。

先ほど倒した雷々は戦えるが武闘派ではない。逆に燕青はゴリゴリの武闘派だ。

数の有利はあるが、燕青は過去の経験より北郷一刀たちをあしらっていく。

 

「やっぱ強い」

「負けないのだ!!」

「電々も負けなーい!!」

「ほれほれ。頑張りなぁ」

 

五人囃子を担う5人の中で武闘派は燕青と桔梗だ。試練の中で外れ枠(難易度が高い)とも言える。

 

(手加減してくれてるけど普通に強いんだけど!?)

 

燕青が本気を出したらまともに戦えるのは鈴々くらいだ。悔しいが北郷一刀と電々は瞬殺されそうである。

 

(倒さなくて良い。どうにか燕青の持つ扇を奪うか壊せれば…)

 

北郷一刀は攻略方法を考えながら燕青に刀を打ち込んでく。そんな様子を離れた所から見るは白湯だ。

 

「うう…私何も出来ない」

 

白湯は今回の雛プリンセス杯にくじ引きで選ばれた。

最初は天子である彼女を参加させるのは危ないと意見が出て参加は見送ろうとしたが、白湯本人が「参加したい」と言った。

 

白湯は空丹程では無いが世間を知らない。興味があるものは知りたい、体験したいという欲が強いのだ。故に雛プリンセス杯の参加を希望したのだ。

 

「何も出来ていないのが嫌」

 

己は天子だ。守られるのは当然の事だが、何も出来ないのはもっと嫌だと思っている。

三国同盟が結成される前からも彼女は自分が何か役に立ったという覚えがない。何か力になりたい、人の為になる何かをしたい。

 

彼女の内にある思いは日々強くなっている。桃香たちに保護されてから、自分が何か出来る事は無いかと勉強したり、様々な体験をしてきた。

北郷一刀たちと一緒に農業体験は良い思い出だ。しかしもっと何か力になりたい事をしたいのだ。

 

「私だって…皆の力になれるもん」

 

白湯は魔力を練り始める。

彼女は天子として様々な勉学を励んでいる。その中に妖術等もあった。

まだまだ入門したばかりだが白湯には才能があったのだ。

 

「確か…こうやって」

 

白湯の魔力に最初に気付くは燕青。

 

「この魔力量は…てぇっ!?」

 

炎の球体が白湯の両手に形成されていた。

 

「一刀、鈴々、電々、離れてーー!!」

 

退散の声に北郷一刀たちはすぐに離れた。3人ともすぐに白湯の術がとんでもないと本能で感じ取った。もちろん燕青も。

 

「えーーーい!!」

「ちょっとその火球ヤベェんじゃないか!?」

 

白湯が可愛く投げた火球は爆発した。

 

「熱っぁああああ!?」

 

白湯の可愛さとは逆に火球の威力はえげつなかった。

 

「「「すごー…」」」

 

北郷一刀、鈴々、電々は白湯の妖術に呆然とした。

 

「あちちちちち!?」

 

転がりながら消火する燕青。

 

「あー…当たり前だが扇が燃えてら」

 

手加減していた燕青であったが白湯がえげつない火球を出すとは予想できなかった。

 

「試練突破だ。次に行きな」

「おう。行かせてもらう」

「火傷してないか?」

「大丈夫だ。大丈夫。ところで天子様は大丈夫かぁ?」

 

チラリと白湯を見ると倒れていた。

 

「白湯!?」

 

すぐに駆けつけて白湯の様子を見る。

 

「大丈夫か白湯!?」

「きゅ~~」

「んー、こりゃあ魔力切れだな」

 

燕青も診断すると倒れた理由は魔力切れ。

 

「あれだけの術を使えば当然って事か?」

(しかもアレたぶん不完全だろうなぁ)

 

先ほどの術は不完全。白湯が完全に魔術・妖術を会得した時、その威力は計り知れない。

白湯魔力切れにより脱落。しかし彼女の才能を見せつけた。

 

「私…脱落?」

「ああ。でもありがとな。白湯のおかげで次に進める」

「そっか。なら良かったぁ」

 

脱落したが白湯はやっと己の力が役に立ったと満足そうであった。

白湯チームは脱落。鈴々チームは試練を突破し、次の段へ。

 

「おりゃああああああああ!!」

 

桔梗は大鼓を武器のように振るう。直撃すれば良い大鼓の音が鳴る。

 

「痛って!?」

「大丈夫 季衣?」

「うん。平気だよ!!」

 

番人である五人囃子の桔梗。本来の武器ではない大鼓を振るうが武人としての強さは本物だ。

魏の将3人でも簡単には倒せない。しかし絶対に倒す必要は無い。大鼓を奪うか壊せば良いのだから。

 

「よーし。ここで体力回復だ」

 

季衣は懐から大きな肉まんを取り出す。

 

「何処から出したんだお主」

「あ、それ私が作った肉まん」

「美味しそう」

 

ガツガツと大きな肉まんを食べて体力をチャージする季衣。

 

「よし。気張るぞー!!」

 

季衣は武器を置いて突撃する体勢を取る。

 

「む、来るか」

「流琉、シャン。援護頼むよ」

「任せて季衣」

「分かった」

 

ヨーイドンっと季衣が走り出す。

 

「怪力葉々!!」

「望翔大回斧!!」

 

走り出した季衣の左右から流琉と香風の大技が放たれる。

 

「ぬう!?」

 

桔梗は2人の大技は回避するが、すぐに季衣が凄い勢いで突撃してくる。

 

「獲ったーーー!!」

「しまっ!?」

 

突貫で大鼓を奪い取る事に成功した。

 

「むむ、儂の負けか。なら次の段に行くといい。中々楽しかったぞ」

「よっしゃー!!」

「お手合わせありがとうございました」

「また勝負しようね」

 

季衣チームは脱落者無く次の段へ。

 

「どうしてもそこ退かぬか楊玉環?」

「はい。退きません」

 

武則天と小蓮の前に立ちはだかるは楊貴妃。

 

「鋸による引き裂きの刑でもか?」

 

ドスの聞いた声でもう一度確認するが前を退かなかった。

 

「そうかそうか…ならしょうがないのう」

 

武則天は酷吏たちを召喚する。

 

「こっちにも精霊さんたちがいますから数の不利はありませんよ」

 

武則天を守るように酷吏たちがいるように、楊貴妃にも守護する蒼炎の精霊たちがいる。

 

「ゆけ酷吏たちよ」

「頑張って精霊さんたち!!」

 

酷吏たちと蒼炎の精霊たちがぶつかりあう

 

「酷吏たちよ右から廻り込むのじゃ!!」

「精霊さんたち対応してください」

「次、二手に分かれるのじゃ」

「対応パートⅡ!!」

 

武則天と楊貴妃による召喚使役戦の開幕。お互いに召喚した存在で戦い合う。

 

「シャオも何か手伝うよ」

「よし。其方は…」

「何をしても無駄ですよ不夜姐姐」

 

笛を吹いて蒼炎弾を放つ。

 

「酷吏よ妾たちを守れ。そして散開!!」

 

蒼炎弾を防いだ酷吏たちは楊貴妃の目を攪乱させるために囲むように動く。

 

「精霊さんたち対応パートⅢ!!」

『指示 雑』

『努力』

『只好』

 

蒼炎の精霊たちの愚痴を無視しながら楊貴妃は戦況を確認する。

 

「ユウユウの周りを動き回って攪乱させるつもりですね。そうはいきませんよ」

 

酷吏たちの動きを読み、武則天の位置を確認。

 

「おや、シャオちゃんが居ない?」

 

蒼炎弾を酷吏が防いだところから小蓮の姿が見えない。

 

「何処に?」

 

周囲を見渡すが発見できない。

 

「酷吏たちよ楊玉環を囲んでボコしてしまえ」

「そうはなりません。対応パートⅣ!!」

 

全方位から突撃する酷吏たちに対応する炎の精霊たち。

 

「精霊と言えど妾の用意する拷問器具は効くぞ?」

『真的 痛』

『难的』

『我想回家』

 

蒼炎の精霊であっても痛いものは痛いようだ。

 

「ユウユウの対応は完璧です!!」

『我々 完璧』

「やるのう楊玉環。じゃが」

 

酷吏1人の背中から飛び出す影。

 

「え?」

「隙あり!!」

 

飛び出した影の正体は小蓮。

彼女は酷吏の背中に引っ付いて今まで隠れて、気を狙っていたのだ。

 

「月下美人!!」

「させませんよシャオちゃん」

 

チャクラムである月下美人を楊貴妃は笛で塞ごうとするがすぐに引っ込めて回避する。

いつものように己の楽器で戦う・防ぐは出来ない。今持っている笛はただの笛だ。防いだら笛は簡単に壊れてしまう。

 

「そうすると思っていたぞ楊玉環」

「不夜奶奶いつの間に!?」

「不夜姐姐じゃ」

 

武則天がいつの間にか楊貴妃の背後に現れた。

スキル『皇帝特権』の発動と『気配遮断』の使用したのだ。

『気配遮断』のランクは低いが一瞬でも気配を消して接近出来れば問題無し。そして『皇帝特権』で己を強化する。

 

「後ろを取ったぞ楊玉環」

「しまっ!?」

 

武則天は鞭で楊貴妃の持つ笛を叩き落とした。

 

「ああ、笛がっ」

「ふん」

 

パキリと笛を砕く。

 

「これで其方の役目も終わりじゃ。さっさと帰れ」

「やったやった。シャオたちの勝ちー!!」

「悔しいです~!!」

 

膝を付いて本当に悔しがる楊貴妃。

 

「おーい…って、もう終わったのかな?」

 

藤丸立香が合流した時には楊貴妃との戦いは終わっていた。

 

「うう~~~!!」

「本当に悔しがってるよ?」

「そこまで悔しがるとは…そうまでして妾の邪魔をしたかったのか?」

 

楊貴妃は武則天を揶揄ったり、怖がらせたりしてその反応を見て愉悦に浸る事を趣味にしている。

今回の雛プリンセス杯の番人になったのも武則天を邪魔して愉悦しようとしているのかと思ったのだが実は違う。

 

「うぅ~~…番人として一番活躍すれば褒美が貰えたのにぃ!!」

「なんじゃそういう事か」

 

雛プリンセス杯の番人たちもただ働きをしているわけではない。ちゃんと賃金や褒美も出る。

そして番人の中で一番働いた者(活躍した)には更なる褒賞が与えられる。その褒賞もまた、限られる中で何でも願いを叶えるというものだ。

 

「ユウユウが一番頑張ったら褒賞としてマスターと…………赤ちゃんプレイをしてみたかったにぃ」

「それは妾が絶対に阻止するから絶望しろ楊玉環」

「赤ちゃんぷれいって何?」

「業の深い所業じゃ」

 

藤丸立香は今、近づいてはいけないと心の警鐘が鳴っていた。

 

「マスターと二人っきりで赤ちゃんプレイ…」

「其方もしかして第三再臨か?」

 

楊貴妃の今の姿は第二再臨。しかし中身は第三再臨の人格が滲み出ているかもしれない。

何はともあれ五人囃子の試練はクリア。小蓮チームも次の段へと向かう。

 

 

1101

 

 

雛プリンセス杯も後半に入り、残る雛段は第二段と第一段のみ。

優勝に近づくチームは小蓮チーム、鈴々チーム、季衣チームとなった。

 

「さあさあ雛プリンセス杯ももうすぐ佳境に入りそうです。この陳琳も興奮してきました!!」

 

陳琳はマイクパフォーマンスの如く派手に動く。

 

「さあ、どの組が優勝するのか見物です。三国の王様たちはどの組が優勝すると思いますか?」

「そうね…まあ、ここは自国の組を応援するものでしょう。季衣、流琉、シャン最後まで頑張りなさい」

「シャオたちに頑張って欲しいわね」

「鈴々ちゃん、ご主人様、電々ちゃん頑張れーーー!!」

 

奇しくも魏、呉、蜀のチームが残った。行事とはいえ、国を背負った勝負となったようなものだ。

楽しく行事にのめり込んで欲しいが各国の代表として全力で勝負してもらいたいと思う三国の王たち。

 

「それにしても雛祭りの恰好は本当に予算不足なの?」

 

十二単衣の恰好をもっと可愛い子たちに着せて鑑賞したい華琳の本音。

 

「どちらかと言うと服の納品が間に合わなかったという事らしいです」

「残念ね。もしも私が主催者なら全て間に合わせたのに」

 

もしも次の行事があるのならば必ず衣装やら何やら全てを用意するという華琳であった。

 

(十二単衣という衣装は華やかさがあって素晴らしいわ」

 

十二単衣は色の組み合わせが生み出す雅な美しさの衣装である。

袿と呼ばれる複数の着物を重ねていくことで生まれる色の調和は日本の四季や自然を現す。

 

「天の国には他に良い衣装がありそうね」

「意外に過激な服もありそうだわ」

「今度、北郷に聞いてみようかしら」

(私も立香に聞いてみようかしら。良いのがあったら用意して着てみるのも…)

 

未来の衣装は多岐に渡る。それこそカッコイイものから可愛いもの、過激なもの、美しいもの、エロイものまで様々だ。

 

「次の行事では着る衣装とかあるのかしら?」

 

チラっと聞いた話では水着やらハロウィンやらクリスマスとやらと天の国では色々とあるらしい。

 

「華琳さんってば気が早いですよ。まだひな祭りは始まったばかりなんですから」

「それもそうね」

 

ひな祭りもとい雛プリンセス杯は終わっていない。これからがより盛り上がるところである。

 

「天の国のひな祭りってやっぱ凄いんだね」

 

訂正するならばひな祭りには雛プリンセス杯というものは存在しない。この外史にだけ開催された祭りである。

北郷一刀と藤丸立香も心の中では「「ひな祭りってこういう祭りじゃないから!!」」とツッコミを入れている。

 

「ところで楊貴妃ちゃんが言ってた赤ちゃんぷれいって何だろう?」

「赤ちゃんに関する事ってのは分かるけど」

「後で聞いてみようかしら?」

 

聞かなくても良いやつ。大事な事だが性癖は人それぞれ。

 

 

1102

 

 

雛プリンセス杯。

急に始まったトンチキなイベントじゃが優勝者には『可能な限り何でも願いを叶える』という賞品は丁度よい。

 

妾もマスターも運よく挑戦権を得た。ならば妾の力で優勝を勝ち取るのみじゃ。

 

マスターには共同統治者として自覚と妾の魅力を再確認してもらわねばならぬ。

優勝すれば合法的にマスターとの時間を取れる。抜け駆けでも何でもない。堂々とマスターと過ごせるというもの。

 

妾の魅力と実力はこの雛プリンセス杯中でも魅せる事が出来る。

 

敵はやはり多い。予想していなかったわけではないが雛プリンセス杯の番人の中にはマスターを狙う不届き者共がいた。

特に楊玉環はキツイお灸を据えてやった。しかし挑戦者の中にも敵はいる。故に優勝は必ず妾がしなければならない。

 

恐らくこの雛プリンセス杯の最後は挑戦者たちによる戦いが始まるじゃろう。体力は温存しておきたいところが第二段目と第一段目の試練次第。

 

試練は後半に連れて難易度が高くなっている。特に最後の段である一段目からはとても強く濃い闘気が2つ感じ取れる。

 

何となくじゃが頂上にいる番人の正体2人が分かった。あの2人と戦うのは初めてじゃが超高難易度な気がする。

尤も第二段目の番人の試練をクリアしてからの話じゃ。確か雛段二段目は三人官女じゃったか?

 

誰が相手であろうと神聖皇帝たる妾に敵う者無しじゃ。欲するものは己が努力で手に入れてこそ。




読んでくださってありがとうございます。
次回の更新も3月中です。


1100
番人の五人囃子です。
雷々だけ雛衣装がありました。これは確か英雄列伝の衣装となります。
他の恋姫やFGOキャラにもあれば良かったのになあ。

藤丸立香と北郷一刀の久しぶりのコンビです。
この物語では2人は良いコンビとなってます。

管輅も実は戦える設定にしてます。
彼女の持つ月琴なんですが…実は宝貝だったり。
ある宝貝を月琴に改造したというオリジナル裏設定があります。それはいずれ本編で語られます。

燕青を驚かせた白湯の技。
これは天下統一伝の技で、「救国の夜明け」と言うそうです。
モーションを見たことがあるんですが、けっこうえげつなかったです。
故に彼女…実は魔術の才能があるというオリジナル設定にしました。

季衣の肉まん食べて回復。
これは天下統一伝の技「祝福の防壁」ですね。
モーションはまんま、肉まんを食べて回復だった。

楊貴妃の赤ちゃんプレイ。
これはネタになってますね。私もFGOでそういうネタがあったと知りました。


1001
今後は恋姫の行事衣装やFGOキャラの水着や概念礼装の衣装がたくさん出る予定です!!
4月はどうするか…まあ、間に合えば4月の最初のネタはアレですね。


1002
ある人物の独白(バレバレ)
実は彼女こそが今回の話のメインヒロイン。
まあ、そろそろイチャイチャ話があっても良いと思って。
彼女は優勝できるのか否か。
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