Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは
早い段階での更新!!

もうすぐFGOで水着がやってくる!!
楽しみです。既に公開されている水着キャラは魅力的ですね。
そして残りの水着キャラは誰らになるのか気になります。

コミケでは今年も恋姫もといネクストンさんが出店するみたいですね。
どんな商品が…まあ、サイト見れば分かるんですけど現地で楽しみたいというのもあります。
FGOの方は…出店するのかな?
まあ、作者はコミケに行けないんですけどね。


江東の虎物語-また地下牢-

1175

 

 

呉の街でまた炎蓮と再会する藤丸立香と太歳星君。

 

「テメーら勝手にまた居なくなりやがって」

「いやあ、その…ごめんなさい」

「ゴメンゴメーン」

「本当に謝ってンのかよ……まあいい、元気そうだしな」

 

ため息を吐く炎蓮だが何処か嬉しそうだ。何せちゃんと生きていたのだから。

陶謙の城では敵の猛毒を浴びたとなれば心配くらいするものだ。

 

「祭と張昭が心配してたぞ。あの後、捜索したんだからな」

「あちゃあ…」

「2人にぶん殴られろ」

 

祭と雷火は藤丸立香から猛毒に守られた。守ってくれた恩人が道端で死ぬのは後悔しかない。

故に2人は陶謙の城から脱出した後に藤丸立香たちの捜索を願い出たのだ。

 

「あれだけ探したのに…こんなひょっこり出てきやがって」

 

もう何も言えない。

 

「祭さんと張昭さんに謝りに行くか…」

 

呉の街なのだから雷火が住んでいる屋敷がある。炎蓮がいるなら祭も一緒のはずだ。

 

「張昭の奴はいねえぞ。どうやら州刺史に会いに行ったみてえだ」

「あ、そうなの。じゃあ祭さんに」

「祭も今ここにはいねえ。アイツは曲阿でオレの代わりに留守番してる」

「おっとぉ」

 

タイミングが悪いとしか言いようがない。

 

「また今度だな。その分、2人に心配させるのが溜まる…と言う事は拳に溜まる力は強くなるぜぇ」

「暴力は無しにしません?」

「はっはっはー、諦めろ」

 

ニヤニヤと笑う。

 

「ま、再会を祝して酒でも呑もうぜ」

「オレ酒飲めない」

「カーッ。オレの酒が呑めねか?」

「アルハラ」

「ある?」

 

何はともあれ再会を祝しての食事は悪くない。

 

「他の仲間も一緒に居んのか?」

「いるよ。皆を呼んでも?」

「構わねえ。酒は大勢で飲んだ方が美味いもんだ」

 

藤丸立香が無事で良かった飲み会が始まる。

 

「祭と張昭が居ないから第二回もあるぞ。披露宴は祭と張昭の説教と拳か?」

「そ…れは…楽しみだなぁ……」

 

それだけ心配をかけていたという事だ。

 

「太公望たちに声を掛けに行こう」

 

何だかんだで相柳を倒してすぐにちょっと未来の呉の街に飛ぶ。休まる暇もない状況だ。

ちょっとした休憩は身体にも精神にも良いものだ。

 

「…という事なんだけど」

「いいんじゃないですか?」

「某も良い案だと思うぞ」

「肯定」

「ご飯へゴーゴー」

 

全員了承。

これから炎蓮が予約してくれた居酒屋へと行く。しかし、その居酒屋でちょっとしたイザコザが起きているとは思いもしなかった。

 

 

1176

 

 

呉の街に新たに赴任してきた役人がいる。その人物の名前は粋怜であり、警備隊の1人だ。

彼女は優秀で仕事を真面目にこなしており、呉の県令である雄郭からの評価も高い。

そんな彼女が夜間の見回りをしている最中に飲み屋の店主が助けを求めてきたのだ。内容は店で喧嘩が起きているから速く止めて欲しいというもので、その事件で彼女は己が忠誠を誓う人物と出会う事になる。

 

「おい女。黙れとはこの儂に言ったのか!?」

「そうだよ。聞こえてんじゃねえか。ったく、人が良い気分で飲んでるってのに、デカい声でギャーギャー騒ぎやがって」

 

ある女性がある男性に対して注意というかほぼほぼ喧嘩を売っていた。

 

「うぜぇんだよ、クソ共が。目障りだから、とっとと失せな」

「ぐっ…」

 

ギロリと女性が睨むと男性は怯む。

 

「貴様、このお方をどなただと心得ている!?」

「あァン、知るかよ、こんなクソジジイ」

「控えい!! この御方は呉県を治める県令閣下の副官、県丞の副官を務められている御方ぞ!!」

「ぷっ、副官の副官だぁ? ハハハッ、なんだよ雑魚じゃねえか」

「ざ、雑魚だとぉ!?」

 

女性の正体は炎蓮である。炎蓮が呉県の偉い役人たち相手に喧嘩を仕掛けていたのだ。

尤もこの時点で炎蓮の方が立場が上。相手は県令の副官である県丞の副官。対して炎蓮は曲阿の県令。

何故、彼女が呉の県丞の副官に喧嘩を売っているのか。ただ単に理由も無く喧嘩を売っているわけではない。

 

呉の県丞の副官という立場を利用して彼は居酒屋で自分勝手な振舞いをしていたのだ。それが居酒屋の店主や一般客たちにも迷惑をかけていた為、既に店にいた炎蓮がキレた。

自分はこれだけ偉いのだとか。店の料理をタダにしろとか。女性客に酒の酌をさせろとか。炎蓮が嫌いな人間な1人だ。

 

「もういい、消えろ。テメーみてぇなクソジジイ、殴ったところで何の自慢にもなりゃしねーよ」

 

実際に格下相手をぶっ飛ばした所で名が上がるわけでもないので無駄な力を振るうだけと判断している。

 

「おら、酒が不味くなるからよ。消えろ、失せな。帰って屁でもこいて寝ろ」

 

とんでもなく口が悪いが炎蓮なら普通に言えても違和感が無い。

 

「貴様…どうやら死にたいらしいな?」

「ククク、おいおい。相手見てもの言えよ。テメェの方こそもう片足地獄に突っ込んじまってるだぜ?」

 

相手が掛かってくるなら炎蓮も正当防衛でぶん殴れる。寧ろソレを狙っている節がある。

 

「このぉっ!!」

 

県丞の副官が殴ろうとした瞬間に粋怜がビシっと止める。

 

「はい、そこまでよ」

「ああン?」

「ぬ…なんだ貴様は?」

「私は程普。呉の警備隊の者よ」

 

粋怜は堂々と炎蓮と県丞の副官の間に入っていく。

 

「警備隊だぁ?」

「喧嘩は両成敗よ。さあ、二人とも大人しく警備隊の詰め所まで同行してもらうわ」

「うるせえぞ。ガキがしゃしゃり出てんじゃねーよ」

「あんたの方こそガキじゃないのよ。痛い目に遭いたいの?」

 

炎蓮の威圧に粋怜は負けない。寧ろ左から右へと流す。

 

「クックッ、気の強い姉ちゃんだな、おい?」

 

粋怜の強さに気付き、すぐに気に入る炎蓮。気合の強さは祭よりも上かもしれないと予想する。

 

「おい貴様、このお方は呉の県丞の副官だぞ!!」

「吹けば飛ぶような木っ端役人風情が!!」

 

県丞の副官の御付き人たちがヤイヤイと粋怜に対して怒鳴る。怒鳴られた所で彼女は何処風吹くだ。

 

「ええ、私は自分の役目に忠実よ。県丞だかその副官だか知らないけど、街の治安を乱す者は許しておけない」

 

粋怜は相手のが己の上官であっても屈しない。上官であろうとも迷惑行為をしたり、罪を犯したりしたら粋怜は罰する。

 

「なんだと…?」

「ほお…」

 

上官であっても言い返す胆力に炎蓮は気に入る。

 

「さあ、詰め所に来てもらうわ。話ならそこで聞くわよ」

「貴様、分かっているのか。儂は貴様のはるか上役なのだぞ!?」

「じゃあ、それらしくしたらどうです。今はただのならず者しか見えませんけど?」

 

目の前にいる男は確かに粋怜より上の存在だ。上司と部下の関係である。しかし上司が悪事を働いたから部下が見て見ぬふりをするわけではない。

彼女はそういう人間で、相手が誰であろうとも悪事や迷惑を行為を働いた者は牢屋にぶち込む。

 

「この……クソガキが!!」

 

呉の県丞は沸点が低いようだ。

 

「さっきも言ったけどアンタもこれ以上、店に迷惑かけるならぶちのめすわよ」

「本当に言うじゃねえか。オレもこのクソジジイに倣って言ってみるか……オレが誰だか分かってるのか?」

 

炎蓮は面白そうに粋怜に問い質す。ニヤニヤとまるで試すかのような言い方である。

 

「会った事ないけど噂で聞いた事あるわ。たぶん曲阿の県令 孫堅殿でしょ」

「「「なっ!?」」」

 

呉の県丞の副官と部下たちが顔を急に真っ青にしていく。

 

「何だ知ってんのか」

「噂や特徴から推測しただけよ。何でも呉の県令である郭雄殿の元右腕だったとか」

「郭雄殿の右腕だったつもりはねえけどなあ」

 

自分が郭雄の元部下なのは正解だが右腕であったかどうかは首を傾けた。しかしお互いに遠慮のない仲であったのは確かだ。

 

「郭雄殿の言う通り山賊みたいな風貌じゃない」

「この姿の方が楽でいいンだよ」

 

そんな内容の話をしている2人とは裏腹に呉の県丞の副官と部下たちは完全に委縮してしまっていた。

炎蓮は曲阿の県令であり、更に自分たちの上役である郭雄とも旧友のような仲だとも言う。

この居酒屋で一番偉いのが自分たちだと思っていたのに実はより上の存在がいたのだ。もう威張る事も何も出来ない。

権力に縋る者は権力を持つ者に弱いのだ。

 

「さあ、大人しく役所まで来てもらうわよ」

 

粋怜がクイっと親指を店外へと指す。

 

「そう急かすなって。まだ喧嘩の途中だぜ。なあオッサンよ?」

 

ジロっと炎蓮は呉の県丞の副官を見る。

 

「ひっ、いぇ、いえ、まさか貴女様が曲阿の県令 孫堅殿とは露とも知らず…」

「オレが誰かなんて関係ねえだろうが。これは単なる酒場の喧嘩だ。恨みっこなしで、とことんやろうぜ?」

 

グッと拳を握る。

 

「どど、どうかお許しください…」

「ほ、本当にご無礼いたしました!!」

「孫堅殿、何卒ご容赦を…」

 

最初の威勢は何処へやら。完全にへりくだっていた。

 

「カーッ、大の男がそろって何だよ情けねえ。テメーらさっきまでの威勢は何処に行ったんだ。人にさんざん喧嘩を売っておいて、今更ごめんなさいはねーだろ?」

「いぃ、いえ。どうか、どうかお許しを…」

「いいからやろうぜ。ほれ、かかってきな」

 

手をチョイチョイと掛かってこいの仕草をする炎蓮。

面白がっているのか、本当に暴れたくなったのかもう分からない。

 

「もう、いい加減にしなさいよ。さあ、早く店を出なさい。私は酔っ払いと遊んでいる暇なんてないの」

 

こんな状況でも粋怜は通常運転。迷惑客は牢屋にぶち込むだけである。

 

「ふっ、骨がありそうなのはやっぱテメェだけだな?」

 

ニヤリと笑う炎蓮。粋怜こそ炎蓮が求める人材の1人であった。

 

「程普、身の程を弁えんかっ。孫堅殿に向かって何たる口のきき方か!!」

「孫堅殿、ここは我らにお任せを!!」

「この馬鹿者は我らが懲らしめますゆえ」

「はあ?」

「え?」

 

急に炎蓮を守るように粋怜に立てつく呉の県丞の副官と部下たち。

まさかの行動に炎蓮は「何言ってんだコイツら…」と微妙そうな顔。

彼らの行動は炎蓮に歯向かった事を許してもらおうという魂胆だ。

この場で悪役を作って成敗して印象を良くしようとしている。全く意味が無い行動であるのだが呉の県丞の副官と部下たちは勢いで誤魔化そうとしている。

 

「よ、よし、やれ。程普に思い知らせよ!!」

「はー…もう呆れてものも言えないわね」

 

何故か炎蓮に喧嘩を売っていた役人たちが今度は止めに入っていた粋怜に食って掛かって来た。

役人たちは炎蓮の身分を知って慌てて手の平をねじ切れんばかりの掌返しである。

 

「全く…」

 

呉の県丞の副官の部下たちは剣を抜いていた。

 

「呆れた…もう、しょうがないわね!!」

 

粋怜は一瞬で間合いを詰めて蹴りを繰り出す。

 

「ぐげ!?」

 

そのまま拳を顎に目掛けた振り上げる。

 

「ぎゃん!?」

 

無駄のない動きに炎蓮は「ほう」と感心。

 

「きき、貴様、何をするかっ。我らは程普、貴様の上役であるぞ!?」

「街の秩序を乱す輩は誰であろうと容赦しません。それが街の治安を預かるこの程普のお役目です」

「おおっ、渋いねえ。だが程普とやら、オレの分も残しておいてくれよ?」

「もう、アンタは引っ込んでいなさいよ。わかっていると思うけれど、アンタも今夜は牢に泊まってもらうわよ?」

 

既に炎蓮や呉の県丞の副官と部下たちは牢にぶち込まれる事が確定していた。

 

「はっはっ。そいつは楽しみだぜ」

 

これから牢屋にぶち込まれるというのに特に気にしていない様子の炎蓮。

 

「この…程普、馬鹿者が!!」

「馬鹿なのはあなたですよ!!」

「ぎゃう!?」

 

トドメにと踵落としを決めたのであった。

 

「ほぉ…腕も立つじゃねえか。真っすぐな性根も気に入ったぜ」

「だから何? さあ、役所へ行くわよ。逆らう気なら、あなたにも痛い目を見てもらうわ」

「大人しく行ってやるよ。だが、ひとつ条件がある」

「条件?」

 

何を言っているんだと粋怜は細目で睨む。

 

「ああ。程普、今日から貴様はオレの家臣になるんだ」

「はあああ?」

 

本当に何を言っているんだという声を上げてしまった。

 

「意味わかんないんだけど」

 

そう言って粋怜は炎蓮と呉の県丞の副官と部下たちを牢屋まで連行していくのであった。

 

「炎蓮さんが連行されて行ったんだけど」

 

そんな様子を藤丸立香と太歳星君たちはただ見ているだけしか出来なかった。

 

「チョウチョウの次はイェンイェンが牢屋に入るのか?」

 

 

1177

 

 

炎蓮と食事の約束があったのに、その本人が役人に連行されて行った。

 

「…何があったのさ」

「炎蓮殿は波乱な人生を送る御仁か?」

「まあ、確かにそうかもしれない」

 

彼女の人生は波乱に満ちているのは未来での活躍を知っているからこそ言えるのであった。

 

「あと炎蓮さんを連行していった青髪の人って、もしかして粋怜?」

 

面影があった。恐らく、ではなく確実に過去の粋怜の可能性が高い。

そう言えば、と藤丸立香は思い出す。彼女は昔、幽州から呉へと赴任してきた役人だったと聞かされた事がある。

情報が正しければ、炎蓮を連行していった青髪の人は粋怜だ。更に思い出した事がある。

 

「粋怜は昔、呉の県丞の副官と炎蓮さんが喧嘩していたのを喧嘩両成敗したって言ってた。それがこの日だったんだ」

「ほう。マスター、それでこの後はどうなるんだ?」

「牢屋で粋怜が炎蓮さんに口説かれて臣下になったって言ってた。正確には炎蓮さんが太守になったら仕えるって約束だったかな?」

「はは。炎蓮殿はマスターと同じように人たらしかもしれんな」

 

何とも言えない出会いだが炎蓮と粋怜にとってはかけがいのない出会いなのかもしれない。

 

「様子を見に行ってみる?」

「そうだな。この出会いは炎蓮殿と粋怜殿のターニングポイントみたいなものだろうしな」

 

藤丸立香の言葉に黄飛虎は同意した。哪吒たちもコクリと頷いた。

「さあ、これから牢屋へカチコミじゃなくて、炎蓮さんに面会しに行こう」とした時に声をかけられる。その声はつい最近聞いた事のある声だ。

 

「あれ、藤丸のお兄さん?」

「あ、黄忠ちゃん」

 

過去の紫苑だ。

 

「そんな所に立っててどうしたの。それにその人たちは……って、孫堅お姉さんが連行されてる!?」

 

紫苑も炎蓮が連行されているのに驚いていた。

 

「何で何で。孫堅お姉さんは曲阿の県令でしょ!?」

「なんか居酒屋で喧嘩して呉の役人にしょっ引かれてる」

「………孫堅お姉さんならやりかねない気がする」

 

何故か納得してしまった紫苑だった。

 

「それでこれから孫堅さんの面会に行こうとしてる」

「あ~…なるほど」

 

県令なのに牢屋にぶち込まれている炎蓮に対して紫苑は苦笑い。それでも炎蓮だから納得出来てしまうという不思議。

 

「あと後ろの人たちは?」

「オレの仲間。紹介するよ黄忠ちゃん」

 

紫苑は藤丸立香と太歳星君を知っているが黄飛虎たちは知らない。故に自己紹介だ。

 

「黄飛虎だ。よろしくなお嬢ちゃん」

「太公望です。どうぞよろしく」

「哪吒。请多关照」

「姓は黄、名は忠。字は漢升。よろしくねお兄さん達」

 

そつなく自己紹介をこなす黄飛虎と紫苑たち。そして紫苑は黄飛虎たちが熟練の武人達と気付く。

 

(うわ、この人達強い)

 

今の彼女は主人である劉表からお暇を貰って武者修行中。様々な場所を旅しては力自慢をしている。

そんな中で黄飛虎たちに出会ったのは良い経験だ。何せ自分よりも圧倒的に上の存在なのだから。

自分はまだ弱い。故にもっと修行が必要だと理解する事ができ、気合も入るというものだ。

 

(大陸はやっぱ広い。私よりも強い武人はたくさんいるんだ。これは負けられない…でも弓矢の腕は負けてないもん)

「それで黄忠ちゃんも孫堅さんの面会にいく?」

「面白そうだから行こうかな」

 

生意気盛りの紫苑。面白そうな事には首を突っ込む。

 

「じゃあ一緒に行こう」

 

炎蓮の面会の為に牢屋へと向かう藤丸立香一行と紫苑。

面会には手続きが必要だ。場合によっては面会できない可能性もあったがここは太公望の口八丁手八丁で面会に取り付けた。

 

「取引とか交渉とか得意です」

(太公望さん……あの軍師太公望と同じ名前。それに黄飛虎さんや哪吒さんの名前って)

 

知識があれば太公望たちの名前に思う事はある。しかし普通は誰もが思う。ただ同じ名前なだけだと。

 

(もしかして軍師太公望好きすぎて名乗っちゃってる人だったりして)

(…なんて思ってたりしてるんですかね。本人です)

 

面会を取り付けて炎蓮がいる地下牢へ。そのまま案内人に従って進めば炎蓮で面会できる手筈だったのだが出来なかった。

 

「あれ?」

 

出来なかった理由は単純だ。案内人が炎蓮がいる地下牢まで案内できなかったからである。

案内人がワザと案内しなかったわけでもなく、炎蓮がいる地下牢の場所が分からなくなったわけでもない。

地下牢が迷宮のようになっていたからだ。

 

「何で?」

「急すぎないかー」

 

 

1178

 

 

呉郡太守 朱貢。

彼は炎蓮の噂(良い活躍や悪い活躍も含めて)を聞いた。そして裏取りもした。

彼女の強さは良くも悪くも本物だ。故に彼女を曲阿の県令に推薦した。

昨今、江東の情勢はとても不安定だ。農民一揆が相次ぎ、豪族たちは互いの土地を巡って小競り合いを繰り返している。

太守としてそのような問題を収めるのが仕事である。ただし太守1人で解決するわけではない。暴力問題は暴力で解決するために力ある人間を採用して部下として動かす。

朱貢は名を馳せていた炎蓮に目を付けたのだ。

 

「彼女は有能だな」

 

服装は山賊。態度はデカイ。口調は荒い。悪い所はあるが、それを打ち消すように曲阿の県令として仕事はしている。

曲阿の民たちは粗暴な炎蓮に嫌っていない。寧ろ好感を持っているくらいだ。情報によると呉でも民たちには好かれていた。

 

「今時見ない人材だ」

 

権力を持った人間は権力に溺れていくものだ。それが朱貢の導き出した真理。

欲に溺れた人間ほど扱いやすい者はいない。立場が太守であるが故に扱いやすい人材はいくらでも組めるのだ。

 

「しかし彼女は私が思うような人間じゃないな」

「そう。奴は朱貢殿が思うような人間じゃないでおじゃる。権力に溺れず、権力を掌握できる野心家だ」

「それは私の席を狙っていると?」

「うむ。今は木っ端役人でおじゃるがいずれ朱貢殿の脅威になるぞ?」

 

朱貢に話しかけるは韓暹。

 

「まるで確定しているかのような言い方だな韓暹」

「ああいう規格外な馬鹿は偉業をこなすかあっさり死ぬかじゃ。孫堅は前者よりじゃ」

「ほう」

 

お茶を啜る朱貢。韓暹は優雅に杏仁豆腐を口に入れる。

 

「じゃが後者にする事は可能じゃ」

「どうやって?」

「朱貢殿なら分かっておるじゃろう?」

 

何を言っているんだかという顔の韓暹。

 

「上に上がる者の処理の仕方を知らぬとは言わせぬぞ?」

「お前も色々と分かっているな。朝廷でお前を見たことが無いが……朝廷の回し者か」

「さてな。しかし孫堅が朱貢殿や妾の邪魔者なのは同じじゃ」

 

凶悪な笑みを浮かべる姿に朱貢は怖気を感じた。

 

(こいつ…)

「朱貢殿。色々と手回しを頼むでおじゃる。妾も色々と動いておる。そう…色々とな」

 




読んでくれてありがとうございます。
次回の更新は未定だけどお盆中で出来たらなって思ってます。


1175
炎蓮との再会
祭と雷火には再会できなかったけど、もしも再会したら二人からダブルラリアットかも
クロスボンバー?


1176
粋怜と炎蓮の出会い。
ここは原作の流れと同じですね。
粋怜の幕間や後日譚での話のやつです。

そして炎蓮が粋怜に連行されている所を目撃する藤丸立香一行。
「飯は?」


1177
ここからオリジナル展開です。
ここでまさかの紫苑と合流して、炎蓮と粋怜が向かった場所へと向かいます。

炎蓮の面会するつもりなのに地下牢が迷宮に。
まさかの展開です。
地下牢が迷宮になっている理由はちゃんとあります。


1778
黒幕サイド。
やっぱり韓暹が裏で糸を引いてます。

そして呉郡太守 朱貢。
彼は立ち絵なく、台詞も無かった気がしますけど、英雄譚4で名前は登場してます。
オリジナル展開なので作者的に「こんな感じの人かな」って感じで書いてます。

「朱貢」を調べたんですけど情報が無かったんですよね。
似たような名前は出てきたんですけど…もしかして恋姫のオリキャラだったりするかな。
作者の調べ不足かもしれませんが。
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