Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。更新が久しぶりになります。
リアルが忙しくて最近は執筆が遅くなっております…。う~ん…もっと頑張ろう。

FGO
今さらですけどライダー冠位戦のノア強かったですね。
我がカルデアのグランドライダーは牛若丸になりました!!
推しだったのすぐに決まりましたね。

ノアズ・アークロボとの戦いを楽しみたかったんですけど忙しくて気が付いていたら沈んでいました…世間のマスターたちの実力が凄すぎる。

そして次回のイベントがぐだぐだ!!
どのような物語が気になります。そして新規ぐだぐだサーヴァントも!!


江東の虎物語-朝廷にて-

1189

 

 

朝廷にて。

 

「こんにちは漢升ちゃん」

「盧植様、こんにちは!!」

 

盧植の挨拶に対して元気に返事したのは紫苑。

 

「あら、汗びっしょりね。鍛錬でもしていたのかしら?」

「はい、練兵場で弓矢の稽古をしていました。昼食が済んだら、午後は西門の警備です」

 

劉表の臣下である紫苑が朝廷で務めている。彼女は劉表の臣下を辞めたというわけではない。

当時、各地の領主の元から兵や官吏が交代で洛陽へ務める制度があった。彼女が朝廷に務めている理由である。

 

「貴女はいつも真面目ね」

「せっかく洛陽に務めていますから。劉表様のために、武事も政も天下の都で多くの事を学びたいと思っています」

「ふふふ、本当に感心ね」

 

風鈴は紫苑の働きぶりにとても評価している。彼女のような若者が今の朝廷に必要なのだ。

 

「盧植よ。待たせたな」

「あ、はい」

 

2人の宦官が風鈴に声を掛ける。

朝廷にいる宦官は一癖も二癖ある。その中でも2人はより癖がある人物であり、魑魅魍魎だ。

 

「こんにちは」

「うむ。お主は……黄忠じゃったか?」

「はい」

 

紫苑は気付かれないように2人に対して挨拶しながら警戒する。

 

「儂らはこの盧植と大事な話がある。お主は外しておるのじゃ」

「承知しました。盧植様、それではまた後で」

「ええ」

 

紫苑は素直にその場から離れていく。この場に無理言って留まっても悪い方向にしか進まないと判断したからだ。

まだまだ自分は未熟であり、2人の宦官に口論で勝てない。ここは風鈴に任せた方が一番だ。そもそも2人は彼女に用があるようだ。

 

「……あれはまだ幼いのに使えそうじゃ」

 

紫苑の姿が遠くなったのを確認して宦官が呟いた。

 

「はい。将来有望な若者ですよね」

 

宦官の「使えそう」という言葉に引っかかった風鈴。

きっと目の前の宦官は紫苑を有能な人材ではなく、使える道具とでしか思っていないのかもしれない。

 

(漢升ちゃんみたいな子が次々と官軍に仕官してくれるのなら都の将来も安泰なのだけれど…)

 

朝廷が腐敗し始めているのは彼女自身も気付いている。宦官たちによる朝廷の支配が広がりつつあるのだ。

このままでは国が亡ぶと危惧しているが風鈴1人だけではどうしようもできない。だからこそ先ほど若い有能な人材が欲しいと思ったのである。

 

(今の朝廷にもまともな人がいないわけじゃないんだけど…)

 

風鈴のように朝廷の良心ともいえる人材は複数いる。尤も朝廷の良心であっても風鈴よりも一癖も二癖もある人材であるのは否めない。

 

「うむ。して、本題じゃが」

「あ、はい」

「盧植は明日、孫堅と会う予定じゃったな?」

「あら、ご存じだったのですか?」

「噂になっているからな。呉の狂った虎が都見物にやってくると」

 

朝廷で噂は敏感だ。特に宦官の身に降りかかりそうな噂ほど耳に入りやすい。

すぐに宦官が心奥底で何を思っているのか理解できた。目の前の宦官たちは炎蓮が自らの敵になるか否かを考えている。

 

「まあ」

「あれを県令に推したのはお主じゃったな?」

「え、いえ、推したと言いますか……呉郡太守の朱貢殿が孫堅の活躍には目を見張るものがあると仰っていまして。私はその話を都に持ち帰っただけです」

 

呉郡太守の朱貢が炎蓮を県令にするように動いていたのは確かだ。

 

「今、揚州の情勢は不安定ですから。民の暮らしを守るためにも力ある者が県令に抜粋されたということでしょう」

「盧植の目から見て、孫堅はどうなのだ。貴殿は何度か会っているそうだが」

「私の目から見て……非凡な人物だと思います。塩城県の県丞時代、曲阿の県令になってからも政において特異な才を見せていますね」

 

炎蓮という人物はある意味特別だと思えた。それこそ風鈴と一緒に今の朝廷を変えられる1人ではないかと思えるくらいに。

 

「大きな戦の経験はないようですが賊の討伐等では功績を挙げています。その指揮ぶりも優れたものだと」

「孫堅はその県丞時代、県令を殴ったのだろう。その廉で県丞を罷免されたと聞いたが?」

 

宦官たちも既に情報を独自に手に入れている。

 

「そうですね。ですがあれは……以前にもお話したかと存じますが孫堅は県令の不正の証拠を掴んでいてわざと私の前で粗暴な振舞いを見せたのです」

「なるほどな」

「ふ~む。油断のならぬ者のようじゃな」

「はい?」

 

2人の宦官は風鈴から炎蓮の素性を聞き出している。

 

「きにするな。こちらの話だ」

「え?」

「ようわかった。盧植よ、明日はご苦労じゃが揚州の田舎者の相手を頼んだぞ?」

「はい…」

 

勝手に聞いて勝手に話を終わらせた。そして勝手に帰っていく宦官たち。

 

(何だというのかしら?)

 

何か嫌な予感がする。

 

 

1190

 

 

洛陽での飲食店。

藤丸立香達と炎蓮達は再会を祝して都の良い飲食店で夕食を一緒に共にしていた。

 

「うむ。都の飯は美味いのう」

「イケるが味が薄い気がするぜ。お高く留まった味って感じ」

「そうかな。十分な味付けだと思うけど」

 

もぐもぐと都の料理を食べる炎蓮たち。

田舎育ちの人間は都会の味が分からないとか言われるが人による。都会の高級料理の味が物足りなく感じるのは故郷の味の方が好きだからだ。

尤もこの感想は個人的なものだ。結局の所、田舎料理も都会料理も美味しいのだから。

 

「明日、炎蓮さんたちは朝廷まで何をしに?」

「盧植に会いに行く。色々と洛陽もとい朝廷の話が聞きたくてな」

 

本来の目的は都見物だ。朝廷の人物と小さな伝手があったからこそ洛陽に訪れようと思い至ったのだ。

 

「そういう立香はどうして洛陽に来たんじゃ?」

「ああ、オレは……オレも都見物かな」

 

ここには過去転移事件の黒幕退治の為に来たとは言えない。

 

「ふーん。そうなのか」

「オレらも朝廷内の見学とか行きたいけど…一緒に付いていけないかな?」

「そればっかり難しいの。朝廷に行くのはわし、孫堅、黄蓋としか手紙に出しておらん。約束事と違う人数で行けば門前払いされるやもしれん」

「そっか。そうだよな」

 

朝廷は大陸の頂点。そして至高で崇高な存在である皇帝もいる。

簡単にそこら辺の人物を招き入れる事は不可能である。

 

(どの時代もそういう場所にアポなしで行くのは難しいですよ)

(だよね…)

 

藤丸立香たちが朝廷に入るには別の理由を用意しなければならない。

 

(この時代の朝廷に知り合いなんて居ないから、朝廷で働く友人に会いに来たなんて無理か)

 

どうにかして朝廷に入り込む算段を考えていると飲食店の店員が本日のメインディッシュを運んできてくれた。

 

「おお、これがフカヒレか!!」

 

フカヒレ。中国三大珍味の1つ。

サメのひれを乾燥させたもので、コラーゲンを豊富に含む高級中華食材。

 

「美味しそう」

 

フカヒレの姿煮。

サメのヒレ全体を使って鶏ガラやオイスターソースなどで味付けされた濃厚なスープで煮込んだ中華料理だ。

 

(この時代にオイスターソースや鶏ガラあるか知らないけど)

 

フカヒレはサメ一匹あたりの割合は0.5%~1.0%と非常に少なく希少。

更に加工がとても手間。ヒレから皮や肉を取り除き、繊維状にするなど多くの手間と時間をかけるという部分も含めて高級食材なのだ。

現代ならまだしも過去の時代なら猶更、手間がかかってもおかしくない。

 

「「「もぐ」」」

 

全員がフカヒレを食す。

 

「うん。美味い」

「煮込むことでフカヒレのゼラチン質が溶け出し、とろけるような食感が素晴らしい」

「フカヒレの糸一本一本のしっかりした食感もいい。部位によって異なる食感を楽しめるの」

「味付けも絶妙じゃの」

 

フカヒレにはコラーゲンが豊富に含まれており、肌の美容効果や滋養強壮、骨の強化などに効果があるとされている。

 

「肌がプルプルになった気がする」

「骨が丈夫になった気がする」

「滋養が付いた気がする」

「そこまで効果がすぐに現れんじゃろ」

 

グルメ漫画みたいにすぐに食して効果が現れるわけではない。

 

「オレも高級食材が食えるくらいには金は稼げるようになったか」

「今後は他の高級食材も食べたいのう」

 

他の高級食材。中国三大珍味だとツバメの巣や干しアワビだ。

 

「そうだなあ」

「炎蓮さんも祭もいずれはツバメの巣やアワビも食べれるよ」

 

それだけ力と金を得られるほど未来では呉は大きくなる。

 

 

1191

 

 

翌日。炎蓮たちは朝廷へと赴いていた。

 

「長い渡り廊下じゃな。これはどこまで続いておるのか?」

「なあ張昭。洛陽は何度目なんだ?」

「これで四度目…いや、五度目になるかの」

 

炎蓮たちは朝廷内の長い廊下を世間話をしながらも歩く。

 

「左様に何度も来ておるのか。いったい何の用があってじゃ?」

「儒者と話をするためじゃ。他にも付き合いのある官吏から助言を求められたりの」

 

雷火の顔の広さはこの時既にまあまあ広かった。

 

「なら、城には知り合いもいるんだろ?」

「それはおるが…まあ、儒者以外とはさして親しい付き合いもしておらん」

 

朝廷の者と縁があるとはいえ、太いパイプがあるわけではない。彼女自身も朝廷の奥底と繋がりがあるわけではない。

もしも雷火が朝廷の奥底、魑魅魍魎と繋がっていれば炎蓮と一緒に居る事はなかったかもしれない。

 

「失礼いたします。県令の孫堅殿とご家来の方々ですな?」

 

衛兵の1人が話しかけてくる。

 

「おう」

(わしは家来ではないわ)

 

まだ雷火は炎蓮の家臣ではない。まだもうちょっと先の未来の話だ。

 

「これより先は私が案内いたします。盧植様はこの先の執務室にてお待ちです」

「ああ、よろしくな」

 

もう少し朝廷内を観光がてら歩いていたかったが勝手に歩き回って捕縛されては意味がない。

 

「はい。それなのですが…実は、今朝は大変、来客が多いものでして」

「客だぁ?」

「なんしゃ。盧植殿は朝一番に会ってくれるという約束ではなかったのか?」

 

約束と違うと思って顔に出てしまう。

 

「申し訳ございません。しばしお待ちいただくことになるかと」

「しょうがねえな。どれくらい待てばいいんだ?」

「早くても正午過ぎになるかと…」

「正午じゃと。話が違うではないか!!」

 

全くもって話も約束も違う。朝廷では人と会うの簡単ではないのかと思う。

 

「何分、盧植様は御多忙な御方ですから。……へっへっ」

「何を笑っておるのじゃ…………ふー…」

 

雷火は全てを察した。心の中で「そういう事か…」と思うしかなかった。

隣にいる炎蓮と祭はまだ分かっていない様子。しかしこの後の雷火の行動で全て理解する事となる。

 

「そなたもお役目ご苦労じゃな。これは孫堅からの、ほんの気持ちじゃ」

 

チャリンと衛兵に少なからずに金を渡す。それは賄賂である。

 

「おお、これはこれは。ははっ、それでは一番にお会いできるよう私が話を通しますので!!」

 

打って変わったように衛兵は声を大きくした。

 

「回りくどい野郎だぜ」

 

小さい声で炎蓮は呟いた。

 

「それではここでお待ちを。すぐに戻りますゆえ」

「ああ」

 

まさか風鈴と会うために賄賂を渡す羽目になるとは思いもしなかった。

 

「ふん。まったく呆れたわい。何かと思えば袖の下の要求か。どうせ先客の話も嘘じゃろう」

「洛陽ではよくあることじゃ。何をするにしても金を積まんことには話が前に進まぬ」

「えらく素直に払ったもんだな。張昭は賄賂が嫌いじゃなかったのか?」

「わし一人であれば一喝してやったわ。都の有様をそなたらに見せてやろうと思っての」

 

これが朝廷の現状だ。朝廷が腐敗していると言われてもしょうがない理由の1つだ。

 

「お待たせした」

(宦官か…)

 

現れたのは先ほどの衛兵ではなく宦官だった。

これには「はて?」と思うかもしれないが、この流れも今の朝廷だ。

 

「っ……そなたが孫堅殿か?」

 

宦官が「なんだコイツ」とも言いそうな顔で炎蓮に声を掛ける。

 

「はい、オレが孫堅ですよ」

 

ここで炎蓮はすぐさま何をすべきかを理解し、どうすべきかを行動に移した。

普段では出さないようなへつらうような声で宦官に対応する。

 

「いや、その服装はあまりにも…」

「言わんことではない」

 

雷火がため息を吐く。やはり今の炎蓮の服装は朝廷では似合わない。

 

「すみませんね。ちょっと手違いがあって、先に送った県令の衣装が届かなかったんスよ」

「……まことに孫堅殿なのだな?」

「左様じゃ。このお方が曲阿の県令、孫文台じゃ」

 

彼女が炎蓮であると信じてもらえなさそうだったので祭も口添えをする。尤も口の聞き方が荒いが。

 

「おい黄蓋、口のきき方に気を付けろ」

「ぬう、姉貴?」

 

まさか注意されるとは思わなかった祭はキョトンとしてしまう。

 

「私は呉の張昭です。この者は孫堅に間違いありません」

 

雷火も口添えをする。彼女の名は朝廷でも少しは知れ渡っており、目の前の宦官も知っているようであった。

 

「ああ…張昭先生の名は存じているが」

「なんですかな?」

「私ではご本人かどうか判断できん。他の者を呼んでくるゆえ。しばし控えの間でお待ちいただけるか?」

「またか」

 

この流れは先ほどの衛兵でやった。何をどうすればいいか理解してしまった。しかし今回動いたのは雷火ではなく、炎蓮であった。

 

「へっへっ、まあ待ってくださいよ。何度も行ったり来たりするのは面倒でしょ?」

「んん?」

「オレは孫堅で間違いねえスよ。それでアンタの名前は?」

「私は宦官の帳田だ」

「じゃあ帳田殿、オレも時間がねえスから……ここはこいつでお願いしますよ?」

 

チャリンと炎蓮は宦官の帳田に賄賂を握らした。

 

「ぬぅぅ…」

 

祭は炎蓮が宦官に賄賂を渡す姿を見たくなかったのか小さく唸り声をあげた。

 

「くくっ、まだ足りませんか?」

 

炎蓮は更に賄賂を握らせる。

 

「あっ……い、いや!!」

 

流石に宦官の帳田もここまで賄賂を渡されるとは思わなかったのか少し焦ってしまった。

 

「オレはまだしばらく洛陽にいます。帳田殿の御屋敷には改めて挨拶の品を送らせていただきますよ」

(………ふむ。孫堅とはこんな人間か)

 

宦官の帳田は炎蓮の人間性を理解した。理解した気になっただけだった。

まさか炎蓮が演技しているかすらも分からない帳田。

 

「ふ…はっはっは。いや、左様に気を遣わなくても良いがな。いやいや、大変失礼した。盧植の執務室は角を曲がった先の突き当りの扉だ」

「わかりました。また何かあった時は相談させてもらいますよ」

「うむ。洛陽滞在中のことは何なりとこの私に相談するが良いぞ」

「恐縮です。以降、お見知りおきを」

「うむ、良い心がけじゃ。ふっはっは」

「へへへ」

 

炎蓮は宦官の帳田はお互いに愛想笑いをするのであった。

そんな様子を見て祭は嫌な気持ちになり、雷火は意外そうな顔をするのであった。

 

「ではまたお会いしましょう帳田殿……っ!?」

 

宦官の帳田と別れてやっと風鈴の元へと行けると思った時、炎蓮は大きな覇気を感じ取った。

 

「宦官め。また金を毟り取っておるのか?」

「ちっ…貴様は」

 

宦官の帳田は現れた者に対して小さく舌打ちをして嫌な顔をした。

 

「貴様らのそういう行動が朝廷の品位を落としているのであろうが」

 

ギロリと宦官の帳田を睨む漢。

 

「そんな事はありませんよ徐栄殿」

 

漢の名は徐栄。漢王朝の忠臣であり、官軍の将が1人。

 

「…………では、私はこれで。孫堅殿、盧植殿によろしく頼む」

 

そう言って宦官の帳田は去って行った。

ここで徐栄と口論しても時間の無駄と判断した為、さっさと立ち去ったのだ。

 

「ふん、朝廷を腐敗させる魑魅魍魎め。いずれ処理してやる」

 

徐栄はチラリと炎蓮、祭、雷火を見る。

 

((…っ!?))

(こ奴は…なんと大漢か)

 

炎蓮と祭は徐栄が発する覇気を感じ取って内心、冷や汗を掻いた。今まで出会った人物でも上位に当たる実力があると感じ取ったからである。

黄飛虎たちを除けば炎蓮でも徐栄を相手する場合、真正面から戦うのは躊躇うと感じさせてしまう。

 

「噂に聞く孫堅か。さっさと用事を済ませて帰るといい。ここは今の貴様が長居する場所ではない」

 

そう言って徐栄は立ち去った。

 

「あのヤロウ…」

 

何処か心の底で負けた気がした。そう思ってしまった自分に苛ついてしまう。

 

「姉貴…あいつは相当やる奴じゃぞ」

「ああ。朝廷には糞な魑魅魍魎だけがいるわけじゃなさそうだ。張昭はアイツを知ってるか?」

「話しに聞くくらいじゃ。官軍が将の1人で実力は相当と聞く。そして漢帝国の忠臣だとも」

「ふーん」

 

朝廷には朝廷の強さがあると知った。徐栄の他にも油断ならない相手はいるかもしれない。

この後に会う風鈴に話を聞くのもいいかもしれないと思った。

 

「……それにしても姉貴!!」

「何だ?」

「何故あのような輩に金なんぞ渡したのじゃ」

 

祭が言う「あのような輩」とは宦官の帳田だ。

 

「これが洛陽のやり方なんだろ。オレはそれに従っただけさ」

「姉貴らしゅうないわ」

 

炎蓮が宦官に賄賂を渡す姿が嫌で仕方が無かった。

 

「じゃあ、テメーは盧植と会う為にあと何刻もボーッと待てって言ってんのか?」

「不当なカネを払うくらいなら、待たされた方がよっぽどマシじゃ」

 

ツーんとしてしまう祭。朝廷には朝廷のやり方があるのは知っている。

賄賂を要求する事に関して嫌悪を抱くが鉄弓党時代の自分が似たような事をやっていたのであまり強くは言えない。

今は炎蓮によって公正させられた故に炎蓮が賄賂を渡す姿を見るのが嫌なのである。

 

「ふむ…わしも少々、意外であったな」

「何がだよ」

「お主らしくないぞ。此度はわしも突っぱねようかと思っておったのじゃが」

「洛陽で宦官の機嫌を損ねてどうするんだよ。清濁併せ呑む器量がねえと世のなかやっていけないだろ?」

 

炎蓮は朝廷に訪れて、最初に見た雷火の行動を学んだ。時には自分の筋を曲げないといけない時もあるという事だ。

 

「ふん、それでも筋を通すのが姉貴じゃろうが。だいたいなんじゃ、さっきのあの態度は。宦官ごときにペコペコしおってからに!!」

「そう頭に血を登らせんなって」

 

臨機応変に。時には相手のルールに則って動かなければいけない時がある。

それこそ自分がまだ弱いのであれば。

 

 

1192

 

 

朝廷にて。

 

「「「仕官しに来ました」」」

「仕官面接」

「きたぞー」

 

藤丸立香たち5人は横に並び揃って朝廷に仕官を受けに来た。

 

「なんだコイツら」

 

仕官に来たと連絡を受けて対応しに来た衛兵は現れた藤丸立香たちを見て怪訝な顔をした。

まず身なりは良いのでそこら辺の平民が仕官しに来たわけではない。しかし只者ではなく、腕に覚えはありそうだと衛兵は判断。

只者では無いが簡単には仕官させられない。もしも不当な輩だった場合の可能性もあるからだ。

 

「仕官しましたら精一杯働きます!!」

 

藤丸立香たちが朝廷に入り込む作戦はシンプルに仕官しに行く体で潜入するである。

仕官が合格不合格はどうでもいい。ただ朝廷に入り込めばこっちのもんである。

ただ仕官する体で朝廷に訪れているので面接や試験は受けなければならない。

 

「子供もいるが?」

「ワガハイは小っちゃくても強いぞ!!」

「太歳星君はとっても強いんですよ。本当です!!」

「ああ…そう」

 

衛兵は太歳星君と藤丸立香を見る。どう見ても武官には合わなさそうな人材だ。せめて文官あたりだろうと考える。

尤も太歳星君は子供なので仕官は不可である。

 

(ふむ)

 

衛兵は太公望たちを見る。

 

(この3人は当たりだな。佇まいで分かるぞ…強い)

 

怪しいが本当に仕官しに来ているのであれば今の漢帝国の戦力になる。

 

(黒髪の青年も誠実そうだ。子供の方は……うん、大きくなってからだな)

 

衛兵は仕官しに来た5人が本当に裏が無ければ前向きに仕官をさせても良いと思うのであった。

 

(ここ最近は宦官共が朝廷を牛耳り始めてきた。このままでは本当に国が宦官共に支配される)

 

衛兵は宦官共が皇帝を傀儡にし、国を支配するという最悪の未来を予想してしまう。

 

(内面はまだ分からないが腕はありそうだ。ここは高順様に相談した方がいいな)

 

一度、藤丸立香たちを待機させて衛兵は自分の上司に相談を持ち掛けに行くのであった。そして自分の上司である高順が姿を現すのであった。

 

「私は高順。漢帝国を支える将が1人だ」

「藤丸立香です。よろしくお願いします」

 

現れた漢は漢帝国が武将の1人である高順。特に主にと決めた者への忠誠心が高い。現在の忠誠相手は漢帝国である。

清廉潔白で寡黙な武将。威厳があり一切酒を飲まず、また賄賂等の贈り物を受け取らない真面目気質。実力も折り紙付きだ。

 

(なるほど。部下の言っていた5人組とはこの者達の事か)

 

高順は藤丸立香たちを観察。

 

(青年と子供は……置いておく。しかし残り3人は想像以上だ)

 

太公望、黄飛虎、哪吒の3人の実力を一瞬で見極めた高順。部下の衛兵から聞いた時は期待の新人以上の人材かもしれないと言われたが、更にそれ以上だ。

藤丸立香と太歳星君は武官ではなく、文官として見極めた方が良いと想定する。

 

(子供の方は返ってもらって……いや、子供ではないかもしれん。子供の背丈の大人もいるからな)

 

特に未来では小さな少女姿の大人もいる。「あわわ」や「はわわ」なんて口癖の天才もいるのだから。

 

「私の目から見て想像以上の腕だ…実力と才能はなかなか隠せないもの。このまま君たちを仕官させたいが試験と面接をしてもらう」

「試験ですか」

「ああ。君たち二人は文官として。残り三人は武官としての試験だ」

「僕としては文官が良いんですけど」

 

太公望が手を挙げた。

 

「冗談を言うな。君は武官だ。軍師が適任だろう」

(そこまで見抜かれてましたか)

 

高順が歩き始める。

 

「ついてきたまえ。まずは武官の試験会場へと向かう」

「試験とは何をされるので?」

 

黄飛虎が高順に試験内容を尋ねる。

 

「武官の試験は簡単だ。実際に実力を見せてもらう」

「具体的には?」

「我が陥陣営と戦ってもらう。千人組手だ」

「「「え」」」

(本当は七百人だが)

 

無茶ぶりな試験をさせられる太公望達であった。

 

(確実に実力を見極めさせてもらう。そして我が陥陣営に組み込めば戦力は上がる。なれば宦官共を抑制できる手が増える)

 

高順は既に彼らを陥陣営を組み込む事を想定している。寧ろ今回の仕官で彼らが来てくれた事に運が良いとも思えた。

 

(逆に彼らを宦官共の手足にさせられん。させたら余計に宦官共が変な行動を起こしそうだ)

 

今の朝廷は宦官が牛耳り始めて腐敗し始めている。国に忠誠を誓う高順には許せない事態なのだ。

 

(彼らを対応出来たのが私で良かった。胡軫や牛輔よりも先に見つけられて良かったものだ)

「あのー…」

「なんだ?」

「オレらはどうすれば?」

「ワガハイ何すればいーい?」

 

藤丸立香と太歳星君の2人は文官として試験する高順は言った。

 

「ふむ…彼ら三人が組手している間に二人は私が信頼する文官に見てもらおう。おい」

「はっ」

「二人は案内してやってくれ」

「分かりました」

 

高順の部下に藤丸立香と太歳星君は別の場所に移動するのであった。

 

「試験って何やるんだ?」

「筆記試験?」

「ケイケイのところでやったみたいな?」

 

太歳星君が言う「ケイケイ」とはケイローンの事。

 

「勉強は苦手だぞー」

「オレも…合格できるといいなあ」

 

そう言いながらも藤丸立香達にとって合否は関係無い。ただ朝廷内に入り込めれば良いのだから。

 

(普通であれば2人のような素性の知れん者を文官雇用するための試験は受けられん。しかしあの三人組の仲間だから何かあるのだろう)

 

今の朝廷に実力や才能ある人材は喉から手が出る程ほしいのだ。

 

「お前たち」

「「「はっ」」」

 

高順が部下たちに小さく声をかけて指令を出す。

 

「あの5人をよく見張れ。そして素性を調べておくんだ」

「「「承知いたしました」」」

 

高評価を付けている高順であるがやはり素性は調べておきたいのは当然だ。

尤も未来からの訪問者である為、彼らの素性は今の時代を生きる彼らには分からない。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新はまた未定です。最近忙しくて…ほんとに

そうなってくると予定していた更新がだいぶ遅れますね。
夏の間に水着編の物語とか考えていたの…世間はもう秋になります。


1189
ここも原作と流れは一緒ですね。
英雄譚の後日譚の部分です。しかし徐々にオリジナル展開になっていきます。

1190
フカヒレ
作者の私は一度だけ食べた事があります。でももう味は思い出せない…
小さい頃だったから記憶も曖昧すぎる。

1191
この場面も英雄譚の後日談の流れとほぼ一緒です。
最後の方でオリジナル展開です。徐々に変化していきます。

ここで登場した徐栄。
彼も恋姫に登場するキャラです。
作品は星が主役の恋姫†無双外伝 紫電一閃!華蝶仮面
この物語では彼は相当な実力者との事。
調べると孫堅軍を撃破した事があるとか。恋姫に当てはめると強いと思います。
まあ、彼がこの時代で活躍していたかどうかはツッコミなしで。

1192
高順
彼も恋姫†無双外伝 紫電一閃!華蝶仮面で登場するキャラです。
彼も実力者で、調べると曹操軍の夏侯惇を撃破した事があるとか。
恋姫に当てはめるとやっぱ実力者です。
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