Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
今更ですけどFGOハロウィンイベント面白かったですね。
これでハロウィンイベントが完結したかと思うと寂しい気がします。
まだまだハロウィンは終わらないでほしいです。
そしてついに始まった弓の冠位戴冠戦!!
相手はギルガメッシュでしたね。オリオンやアーラシュと予想がネットにありましたがギルガメッシュ・ネイキッド!!
頑張って戦います!!
2002
炎蓮たちは韓暹(共工)に見つからないように異界化した朝廷を探索する。
探索すると言っても朝廷内を攻略するというよりも仲間との合流するために動き回っているのだ。
時たま、韓暹(共工)に発見されるが別空間に繋がる部屋へと入り込んでは何とか回避している。しかし別空間へ繋がる部屋に入るたびに一悶着起こるのだが。
「今度は何の部屋だここ?」
その部屋は暗く、何処か怖気を感じさせる部屋であった。部屋の中心には薄汚れた椅子が配置されている。
周囲をよく見ると何に使うのか分からない器具が並べられている。ただよくよく見れば器具の用途がだんだんと分かってきた。
「おい盧植。ここってもしかしなくても尋問拷問部屋か?」
「……そのようですね」
「そのようって…お主は朝廷で働いておるんじゃろが」
まるで風鈴が尋問拷問部屋を知らないような口ぶりに祭は「はあ?」という風に答えた。
「いえ、私もそういう部屋があるのは何となく知っていました。ただ公然と周知されていたわけではありません」
尋問拷問部屋は襲撃してきた刺客等から情報を聞き出す為に存在する。もしくは己の欲を満たす為だけに憐れな人間を拷問するだけの部屋かもしれない。
朝廷でも公言されているわけでもないので朝廷で働く者は「そういう部屋はなんとなくあるかも」程度だ。知っているのは朝廷で働く者では裏に通ずる者たちばかり。
「朝廷も綺麗ごとばかりじゃないって事かのう」
「ま、賄賂を要求するような奴らがいる場所だぜ。もっと闇深いのがあってもおかしくねえよ」
敵から情報を無理やり引き出すのに非人道的な事をやっている。そういう汚れ仕事をしている者も朝廷にいると言う事である。
「こういう部屋にお世話になりたくねえな」
「誰もお世話になりたくないわい」
朝廷の闇の一端をまた知る炎蓮たちであった。
「さっさとこんな部屋を出るぞ。ずっとおると気分が悪くなりそうじゃ」
雷火がさっさと尋問拷問部屋を出たいと言う。確かにこのような場所に居ても気分がわるくなるだけだ。
誰だって尋問拷問部屋に長居はしたくないもの。
「早く出…うお!?」
「「「ォォ…ォォォォォ…ォォォォ……」」」
雷火が先頭を切って部屋から出ようとした瞬間に不気味な叫び声が何処からともなく発せられた。
「な、何じゃ!?」
「ヨ、ヨオ…クモ」
「ユユユ…ユル、サナイ」
「イタ…イ…イタイ」
「ナンデ…ワタシ…コンナメニ」
這い出てくるはゴーストやスケルトンたち。
どれもこれもが恨み言を口走る。しかし、その恨み言は炎蓮たちには関係無い。
「ゆ、幽霊!?」
「動く骸もいるではないか!?」
妖魔や怪異、悪神、異空間と異常事態を経験してきたが、幽霊や動く骸は別の怖さがあるらしい。
間違いなく幽霊や動く骸なんかよりも悪神の方が怖いのだが雷火や祭たちは違うらしい。しかし人の恨みや怨念等は馬鹿に出来ない。恨みが大きければ大きいほど大きな祟りを引き起こす大怨霊に至る場合もある。
日本では過去の歴史が証明している。その魂を鎮め、神格化する場合もあるのだから怨霊という存在は存外に扱ってはいけない。
「さっさと祓いましょうか」
そんな中、太公望は打神鞭を構えてスタスタとゴーストやスケルトンたちの前に出る。
彼も怨霊の恐ろしさは知っている。しかし、そんな怨霊よりも恐ろしい存在と渡り合ってきたのが太公望である。
「貴方たち恨みはありません。しかし襲ってくるのであれば此方は容赦なく祓います」
太公望はそう言ってゴーストやスケルトンたちを打神鞭で祓っていく。
「幽霊や動く骸をいともたやすく祓ったな」
「はい」
「怖くないのか?」
「はい」
炎蓮の質問に対して淡々と返事をする太公望。
幽霊といった存在は怖いものだ。しかし祓い除ける存在が味方にいるととても心強く勇気が湧く。
炎蓮も幽霊が物理的に倒せる存在ならば恐ろしいとは感じない。実査に動く骸(スケルトン)は剣でも拳でもで潰してしまおうかと考えていた程である。
「太公望がとても頼もしく感じるのう」
「あれ、黄蓋さん。僕のこと頼りないって思ってました?」
「優男だったからのう」
「いやいや、これでも僕けっこう強いですよ」
太公望が強いのは炎蓮は既に実感している。海賊防衛戦では遺憾なく発揮していたし、なんならまだまだ実力を隠しているとも思っている。
「怨霊とは怖いものじゃ。呪い殺されたりするからのう」
雷火は怨霊の恐ろしさを口にする。儒者であっても怨霊は怖い存在である。
「確かに怖い存在ですけど僕はもっと怖い存在と相手にしてきましたから」
「怨霊よりも怖い存在ですか?」
風鈴がつい気になって質問してしまう。そんな風鈴に対して太公望はニコっと笑顔で返すのであった。
(あ、教えてくれないんですね)
太公望の過去には今現れたゴーストやスケルトン以上に恐ろしい存在はわんさかいる。
それらと対抗して来た彼だからこそ怨霊も祓えるのだ。実際のところ祓うというよりも封神かもしれないが。
「さ、早くマスターたちと合流しましょう」
2003
黄飛虎たちは粋怜たちと合流し、異界化とした朝廷迷宮を彷徨う。
ただ彷徨うだけでなく、藤丸立香たちと合流するために様々な扉を開けては別空間に移動して探索しているのだ。
部屋に入る度に一悶着が起こるのは別の場所にいる炎蓮たちや藤丸立香たちとは同じのようだ。
「おっと、隠れるんだ」
「また…!!」
建物の影に隠れて頭上を通過するは韓暹(共工)。結局のところ朝廷迷宮から抜け出さない限り韓暹(共工)からは逃げられない。
「見つからないうちに一旦、部屋に入るぞ」
「入室」
見つかる前に近くの扉を開けて部屋に入り込む。
「ここは何の部屋かしら?」
韓暹(共工)から逃げている際に様々な部屋に入り込んでは一悶着がある。
部屋の特色のちなんだ妖魔が現れる事は予想済みだ。今回の部屋はどうやら武器やら防具が置かれている事から武器庫のようなものだと判断した。
「あら、なかなか良い槍じゃない。官軍は良い武器を取り揃えてるわね」
「むう…私のところにもこれだけの武器や防具が揃えられれば」
郭雄は県令として自分の率いる部隊を強くしたいのであれば官軍が使用している装備一式は揃えたい所である。
「ふむふむ。確かに良い装備であり、手入れもきちんとしているな。某の活躍していた当時でも、これだけがあれば良かったな」
「貝宝より劣る」
「哪吒殿…まあ、それは」
高品質な武器や防具よりも貝宝の上と言われれば黙るしかない。
「むう、あの化け物と戦う為に武器や防具を貰…借りるのはどうだろうか黄飛虎殿?」
「まあ、それくらいなら…」
今は緊急事態。悪神である韓暹(共工)と戦う為に使える武器があるなら利用しない手はない。
郭雄は黄飛虎から許可を得て「ヒャッホウ」と武器や防具を物色し始めた。
「程普も選んでけ。これから絶対に必要だぞ」
「郭雄殿……まあ、そうなんですけど」
粋怜もそんな事を言いつつ、自分も良い武器がないか物色する。
悪神と戦うのだから武器の選定に妥協は許さない。
「って、うわあっ!?」
「郭雄殿?」
「剣や鎧が勝手に!?」
武器庫に置かれていた剣や鎧が勝手に動き出し、郭雄や哪吒たちに剣を突き付ける。
ぱっと見、動く鎧だ。黄飛虎的には「黒武者系のエネミーだろうか?」と心の中で呟く。
「く…動く鎧なんぞこの郭雄は負けんぞ」
「あ、郭雄殿が意外にもヤル気」
悪神である共工に比べればまだ全然勝てると思って郭雄は気合を出す。自分でも今のところ良い活躍をしていないで部下である粋怜に舐められるわけにはいかないと思っているのだ。
「てえええええい!!」
彼も武人であり、軍人であるため戦える。動く鎧というか妖魔と戦うのは初めてであるが。
ガキンと振るった剣が敵の剣に防がれる。
「おお!?」
「郭雄殿、剣を弾き返されますのですぐに後退してくださーい」
「郭雄殿。相手の動きが堅いので翻弄するように動けば隙を見つける事が出来ます!!」
「郭雄 加油(ファイト)」
粋怜たち3人が郭雄にアドバイスと応援の声かけをする。
「ぬおおおお!?」
「あっちゃぁ。郭雄殿、今のは悪手ですよ」
「ソコですソコ。相手の剣を受け流して切り返すのです!!」
「加油 加油 加油一発」
哪吒が何処からともなく栄養ドリンクを取り出して郭雄に見せ付ける。何故、そんな栄養ドリンクを持っているのだとツッコミを入れる者はいなかった。
「というか手伝ってくれ!?」
一対一で戦うよりも多数で敵を戦った方が早い。
「「「いや、郭雄殿が良いところを魅せたいのかと思って」」」
「そうだけども!?」
活躍を魅せたいけど意外にも敵が強かったので焦っている郭雄であった。
この後、頑張って郭雄は敵を倒した。
2004
藤丸立香、太歳星君、紫苑の3人は異界化した朝廷を迷いに迷う。
入った部屋で一悶着が何故か多々起きるので変に疲労する。これも敵の策略なのかもしれない。
「「…………」」
「どうしたー。であであのマスター、黄黄?」
「「…何でもないよー」」
何故か一悶着の中ではアダルチックな展開もあったので藤丸立香と紫苑は変に気まずい。
(なーんでソウイウ系の罠が多いんだよ)
(んむむむ…藤丸のお兄さんの顔が直視できない)
そんな一悶着がありながらも彼らは異界化した朝廷内を進んでいく。
韓暹(共工)になんとか見つからないように進めており、現在は襲撃されていない。見つかったらまず勝てない。
今は逃げに徹するしかないのだ。
「であであのマスター、またアイツが近づいて来てるぞ」
「近くの扉は…あの扉を開けて避難しよう」
太歳星君の言うアイツとは無論、韓暹(共工)。すぐに見つからないように扉を開けて退散する。
「この部屋は…厨房?」
扉を開けた先は調理器具や食材が並べられていた。ここは朝廷の厨房部屋。
皇帝の舌を喜ばせる為に調理器具も良い物であり、食材も新鮮な食材や高級食材が揃えられている。
「……なんだかお腹が空いてきた」
「藤丸のお兄さん…」
「お腹が空くのはしょうがないよ」
「まあ、そうだけど」
お腹が減るのは人間生きていたら当然だ。どんな時でも減るものは減る。
「申し訳ないけど料理して頂こうかな」
「え、こんな時に」
「こんな時だからこそだよ。食って体力を回復するんだ。何なら仮眠もとれるなら可」
「仮眠もって…」
「悪神を倒すの疲労した状態では万全には動けないよ」
「そうだけど…」
藤丸立香の言っている事は間違ってない。そしてこんな状況で料理作って、食って、仮眠を取るのもどうなんだろうと思う紫苑も気持ちは分かる。
今この場は完全なる安全地帯というわけではない。飯を食うのはまだしも仮眠するのは危険だと思っているのだ。尤も仮眠を取るにしても見張りを用意しないといけない。
「よし。じゃあ料理しよう」
「藤丸のお兄さんって料理出来るんだ」
「簡単なものだけね」
藤丸立香が食材を選んで何を作ろうかと考えた時、ガタンと物音が響いた。
「誰!!」
紫苑が矢を構える。太歳星君が銅鐸を持つ。
緊張した面持ちで厨房の陰から出てくる者が何者か警戒するが、実際に出てきた存在に紫苑は驚く事になる。
「コーコケッ!!」
無駄にデカイ鶏であった。
「大きくない!?」
「「あ、ボーパルチキンだ」」
「知ってるの!?」
ボーパルチキン。
首狩り兎ならぬ首狩り鶏。何でも円卓の騎士を倒した事があるとか何とか。
「気を付けて。アイツの殺人音波は本当に人を殺す」
「殺人音波!?」
「ほんとに五月蠅いんだぞアイツ。ワガハイがスヤスヤ寝てたらたたき起こされるから。まあ、起こされたら祟っちゃけどなー」
「そしてキング…王様のボーパルチキンはもっと大きい」
「もっと大きいのがいるの!?」
「そして美味しい」
「そして美味しいの!?」
殺人音波を出すチキンだけどうまく調理すれば美味しいチキンになる。
「コケ」
ボーパルチキンがジィィィっと藤丸立香たちを睨む。
「コッケコッコー!!」
「突っ込んできた!?」
「殺人音波を放つ前に倒すんだ!!」
真っ直ぐ突撃してくるボーパルチキン。殺人音波は危険だが、それ以外は問題ない。
ただ一直線に突撃してくるだけなら対処はしやすい。太歳星君は銅鐸を鳴らして邪念波で動きを止め、紫苑が矢を放ち仕留める。
「コケェ!?」
ドシャアっと矢を撃たれて倒れるボーパルチキン。
「殺人音波を出される前に倒せて良かった。放たれてたらこの厨房が吹き飛んでたから」
ボーパルチキンの鳴き声は寝ている人を起こすのではなく、二度と起こさないようにする鳴き声である。
「さてと…」
「さてと?」
「下処理するか」
「食べる気なの!?」
美味しいチキンなのは変わりない。これから下処理をしようかと思った瞬間にガチャっと2つの扉が開く。
すぐさま警戒し、構えを取る3人であったが入って来た者たちを見て安心する。
「マスター!!」
「立香じゃねえか!!」
黄飛虎や炎蓮たちであったからだ。
「良かった。無事に合流出来ましたね」
ヒョイっと炎蓮の後ろから太公望が顔を出す。
迷いに迷った朝廷迷宮。全員が合流を果たしたのは厨房であった。
2005
朝廷迷宮の厨房室にて藤丸立香たちは炎蓮たちと合流を果たす。仲間と合流するだけで不安だった精神がより安定するし、仲間が多ければ知恵も広がる。
現状の大問題は韓暹(共工)であり、如何に解決するか。まともに戦っても勝てないほど凶悪なのだから。。
それほどの強さだと炎蓮や雷火たちも分かっている。太公望も共工の恐ろしさを油断しておらず、まともに正面から戦っても分が悪すぎると理解している。
故に皆で力を合わせて韓暹(共工)を倒す方法を考えなければならない。
「じゃ作戦会議……の前にご飯にしましょうか」
「「「何で」」」
太公望を頭に作戦会議が始まるかと思えば、調理が始まる。
「「「いや、何で」」」
「お腹空いてません?」
「はい、オレはお腹空いてます」
藤丸立香は手を挙げる。
「ワガハイもー」
太歳星君も手を挙げた。
「ンな時に飯食ってる場合か!!」
「こんな時だからですよ。少しでも体力つけて共工と戦う方がいいでしょう?」
(藤丸お兄さんと同じこと言ってる)
「お腹減って戦えますか?」
「まあ…それを言われるとそうなんだが」
腹が減っては戦は出来ぬ。
これから韓暹(共工)と決戦になる。その前に体力を回復させるのは変な事ではない。
時間がまだ少しでもあるのなら少しでも体力回復に専念するべきだ。
「じゃ、調理再開」
ここは厨房であり、調理器具や食材はふんだんにある。勝手に使うのもどうかと思われるかもしれないが今は緊急事態であるので勝手に使わせてもらう。
「勝手に使わせてもらうぜ盧植」
「えーっと、あ、はい。しょうがないですかね?」
朝廷の関係者である風鈴には一応許可を勝手に頂く。
「お、流石は朝廷。良いもんばっかある。良いもん食ってんだな」
「良い酒もあるではないか」
「酒は飲むでない」
酒も飲みたいところだが戦の前に酒は控えた方がいい。
「料理開始。炒飯調理!!」
哪吒が豪快に炒飯を調理。物理的に燃えるような調理で美味しいパラパラ炒飯が出来上がる。
「哪吒殿って料理作れたんじゃな」
雷火が意外そうな顔で哪吒の調理姿を見ていた。
彼女は武人であり、料理が出来るようなイメージが無いかもしれないが一時、中華料理屋を営んでいた時があるのだ。
紅閻魔と一緒に料理を出来る程の腕がある。意外といえば意外かもしれない。太公望や黄飛虎も最初は「意外」と言っていたのだから。
「張昭も作るか?」
「いや、わしは料理は作った事が…」
「僕は焼き魚でも……魚がありませんね。釣りに行きますか」
「何処に釣り出来るとこがあんだよ」
釣りに行きたいけど釣りに行けないので太公望は日干しでもないか探し回る。
「某も何か作るか…………」
「黄飛虎殿どうしたのだ?」
急に黙った黄飛虎に声を掛ける郭雄。
「…………よし、分かった」
「何かが分かったんだ黄飛虎殿?」
己の内に宿る黄飛虎の妻から料理を伝授したようだ。
早速食材をカットし、炒め、味付けをしていく。
「え、もう少し小さく切った方が良かったか?」
「誰も何も言ってないですぞ黄飛虎殿」
「肉だけじゃなく、野菜も多く取り入れる方が栄養バランスがいいんだ。好き嫌いは駄目だからな天爵、天祥」
「あの…天爵、天祥って誰ですか?」
「え、味付けが濃いのか。うーむむ…塩を入れ過ぎたか?」
「あの、本当に黄飛虎殿は誰と喋ってるんですか!?」
「回鍋肉の完成だ」
「無視しないでくれませんか!?」
黄飛虎の事を知らないとただ独り言をブツブツと喋って料理をする人にしか見えない。
「ふむ…青椒と肉があるのう。じゃあ青椒肉絲でも作るか」
祭がピーマンと肉をカットし、炒め、味付けをしていく。その動作は手慣れたもので迷いはない。
「アンタって料理出来たんだ。意外だわー」
「五月蠅いわい」
「いや、褒めてんのよ。私は全然だわー」
「オレも意外だぜ。意外に家庭的なとこあったんだな祭」
「姉貴まで~」
祭が料理出来た事に意外そうに驚く粋怜と炎蓮。
まさに意外な一面を見たっという感じそのものであった。
「祭さんは家庭的な人だよ。良いお嫁さんになる」
藤丸立香は祭が料理ができる事は知っており、豪快な性格でありながらも優しい家庭的な一面がある事を知っている。
過去と未来の祭は違うかもしれないが善性は同じ。未来で子供たちに人気である事から彼女が良い人である事は確かだ。
「ぬぐっ……こっ恥ずかしい事を言うんでない立香!!」
「でも本当の事だし」
「ぬあ…!?」
真っすぐに藤丸立香は祭の事を褒める。その言葉は建前でも何でもなく本気で言ってるので祭もむず痒い。
むず痒いが何処か嬉しい気持ちもあるので照れそうになる。
「あはは、照れてる」
「黙れい」
揶揄う粋怜に祭は青椒肉絲を口に突っ込んだ。
「もぐもぐ…美味いわね」
祭の作った青椒肉絲は美味しい。
「ねえねえ、藤丸のお兄さん?」
「なにかな黄忠さん?」
「料理出来る女の人って魅力的?」
「え、えと、人には向き不向きがあると思うけど……まあ、一般的に魅力的だと思うよ?」
料理が出来ない人が魅力的ではないとは言えない。しかし料理が出来る方が良いと言う人もいる。こればかりは個人的によるものだ。
「そっか…………私も何か作ろうかなー」
紫苑は何故か料理をしてみようと思うのであった。
「ンだよ立香は料理が出来る女が好みか?」
「いや、世間一般的に答えただけだって」
「そうかそうか」
そう言って炎蓮は何故かおもむろに食材を見る。
(あれ。もしかして炎蓮様も料理作ろうとしてる?)
(オレが作るもんなんざ丸焼きしかできねえんだがなあ)
皆が料理を思い思いに作るのであった。
「そんなオレが作ったのは麻婆豆腐」
藤丸立香が作った料理は彼の中では定番の麻婆豆腐。何故か言峰神父の顔が浮かび上がったが彼は首を振るって消し去った。
あの英雄王ですら食べるのを忌避する程の激辛ではなく、ちゃんと美味しい辛さの麻婆豆腐なので安心である。
「じゃあ食事をしながら作戦会議です」
皆がもぐもぐと食事をしながら韓暹(共工)対策会議が始まる。
「藤丸お兄さんの麻婆豆腐辛が美味しい」
辛さや痺れは絶妙でいくらでも食べられる美味しさだ。
「祭の青椒肉絲も美味いな」
ピーマンとお肉の相性が素晴らしく、ご飯が進む進む。
「黄飛虎殿の回鍋肉も絶品ですな。所で誰と話してたんですか?」
ご飯が進む濃いめの味付け、特にコクのあるタレが野菜と肉に絡まって素晴らしい。
「哪吒の炒飯も美味いですね」
ご飯一粒一粒に油がコーティングされていて、パラパラしており美味しい。
作戦の意見の前に料理の感想が先に出るのであった。
「もぐもぐ……で、どうやってあの黒龍を倒すんだ?」
作戦会議の方向に戻した炎蓮は麻婆豆腐を咀嚼しながら太公望と藤丸立香を見る。
他力本願なんて嫌だが困った時は彼らが何かしら打開策を出してくれるんじゃないかと期待している自分がいるのだ。
情けない事に炎蓮は韓暹(共工)は思いつかない。
「太公望。共工の逸話とか知ってる?」
「そうですね…」
2人は既に打開策を考え始めていた。巨大で圧倒的な敵だというのに諦めている様子はない。
その様子から炎蓮は勇気を貰える事が出来た。2人が諦めていないのなら自分もまだ諦める時ではない。
「何か面白そうな事を考えているならオレも混ぜな」
「うん。炎蓮さんたちの力も必要だ」
こういう時に頼りになるのが藤丸立香たち。
(やっぱ立香も欲しいな…いや、コイツら全員がオレんところに来てくれないもんかね。この異変を解決したらまた口説いてみるか)
炎蓮は人材集めの為に藤丸立香たちは仲間にしたいと心の底から思う。
「おい、祭、粋怜。それに張昭に盧植と郭雄殿も話に加われ。飯食いながら太公望の話を聞こうぜ」
「姉貴?」
「うむ」
「あ、はい」
全員が太公望の話を聞き始める。
「いいですか共工とは…」
太公望が話す共工の逸話を聞き、作戦を立て始める。
儒者である雷火や知識ある風鈴は中国神話は知っている。逸話や神秘から少なからず共工を倒すヒントはあるはずだ。
「……という存在です」
「なるほどな。聞いたことがある名前だと思ったが、まさか本当に悪神とはの」
「とんでもない相手に狙われたものです」
悪神が相手だと言われれば普通は戦慄する。しかし太公望や藤丸立香たちは勝つために話し合う。その目は「勝つ!!」というもので諦めている弱さはない。
「共工は洪水神であり、治水神でもあります。当たり前のように水の力を使うでしょう」
「まあ、確かにアイツは水の塊を降らせてきたからな」
炎蓮たちは人を殺せる程の水塊を降らされて殺されかけた。嫌でも水の力を使うというのは分かってしまう。
更に共工は黒龍であり、巨大な肉体に強靭な鱗、牙に爪。全てを薙ぎ払う龍の尾。
能力も凶悪であれば、龍の全身も凶器である。龍は最強生物なのだから絶対的な力の象徴だ。
「そんな絶対的な龍であり、神である共工も無敵ではありません」
文献・逸話では共工は恐ろしい強さを残している一方で無敵の存在として書かれているわけではない。
最強生物である龍であり、神である共工も敗北を知らなかったわけではないのだ。敗北があったという事は倒せる方法があるという事である。
「倒す材料はまあまあ揃ってます。倒せないわけではありません。ね、哪吒」
「ボク?」
「なら後はやるだけだね」
「各々に役割分担があります。僕の指示通りで動いてください」
太公望の言葉に希望が見え始めた。倒せる材料があるのであれば後は藤丸立香が言うように戦うだけだ。
「さあ、黒龍(悪神)退治と行きましょうか」
読んでくださってありがとうございます。
次回の更新は2週間以内を目指します。
そろそろ江東の虎物語編も完結に向かいます。こりゃもう年内で終わらせないとなあ。
あと2~3話予定です。
2022
炎蓮SIDE
朝廷の闇部分を垣間見た彼女たちでした。
まあ、実際に三国時代の朝廷にそんなもんがあったのかどうか分からないですけど。
太公望。あの時代を戦い、駆け抜けた者にとって怖い物はあまりなし。
2003
黄飛虎SIDE
ここではちょっと郭雄が頑張る。
なんだか彼がこの物語でのおっちょこちょいキャラになってる
悪い人じゃないんですけどね
2004
藤丸立香SIDE
まあ、いろいろとあった。
〇〇しないと出れない部屋は無かった。
ボーパルチキン
円卓の騎士を倒す鶏とはこれいかに。
とんでもないケモノですよ。
2005
厨房といったら料理しないとね。
哪吒は料理出来る。
FGOのアニメーションで中華料理を営むのがありましたよね。
すくなくとも哪吒は中華料理は作れる!!
藤丸立香も作品によっては料理出来ます。
奏章Ⅳではカドックとマシュたちで料理してましたしね。
中華料理美味しいですよね。中華街に行きたい時があります。
韓暹(共工)退治。
色々と作戦会議をします。次回でどのような戦いになるかわかりますのでゆっくりとお待ちください。