Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
だいぶお久しぶりです…

いいわけですけど2月は本当に忙しく、ほぼ仕事で休みもないレベルでした。
更に仕事で海外まで行くとは思いもしなかった…。
まさか1か月も更新できないとは…しかし物語完結は絶対にしてみせます!!

なので今回は久しぶり更新。
書くのも一ヵ月ぶり…

生暖かい目で読んでやってください。
(話しの繋がりとか大丈夫なはず…)


三国七夕祭り-鬼に追いつけ-

2027

 

愛する女性と再会するために怠劫鬼は全力疾走で待ち合わせ場所に向かう。

邪魔する者共は全部で7人と2匹かと思われる。どいつもこいつも厄介そうな者共だが止まれない。

彼は愛する女性と再会するためにどんな相手だろうとも戦ってみせる。そして勝手みせる。

 

「ウオオオオオオオッ。オレハ止マラナイ、止メラレレナイ、止マラネエ!!」

「「「止まれ!!」」」

 

怠劫鬼の意気込みに北郷一刀たちはツッコミのように制止を口にするが止まるはずがない。

走っている目の前の鬼が制止を受け入れるはずがない。分かっていながらも北郷一刀たちは制止を口にしただけだ。

 

「邪魔スル者ハ ドンナ奴ダロウトモ オレハ 突破スル!!」

 

怠劫鬼は肩に担いでいた笹を振り回す。

 

「来る。皆、警戒しろ」

 

項羽が未来演算で予測。回避か防衛を推奨した。

 

「オレハ怠劫鬼。彦星ノ鬼。願イヲ叶エル!!」

 

短冊を吊るした笹をまるで儀式のように振るう。すると複数ある短冊の1枚が光る。

その短冊には「炎のように熱い男になりたい」と書かれている。

 

「モット 熱クナレヨォォォォォォ!!」

 

怠劫鬼がその身に炎を纏う。

衣服や笹が燃えないのが不思議だが置いておく。この瞬間に気付いたのは彼が願いを叶える能力を持っているという事だ。

 

しかし、願いを叶える力を持っていると言っても何でもかんでも叶える程の力はない。何故なら、何でも願いを叶えれるのならば最初から三国は滅んでいる。

彼の願いを叶える能力は一定水準の願いのみ。より大きな願いを叶えるにはもう1人の鬼と再会する事で真なる力が発揮されるのだ。

それこそが七夕伝説を模倣した能力であり、儀式である。

 

「なんか燃えてるぞあの鬼!?」

「注意してください白蓮殿。来ます!!」

「え、それどういう意味だ蘭陵おおおおおお!?」

 

火の球が急に放たれた。

全員が火の球を回避や防衛を実行。

 

「むん!!」

「…効かない」

「あらよっと!!」

「はっ!!」

 

いきなり火の球を放ってきたのは少し驚いたが全員が対処。

対処されたとしても怠劫鬼は動揺しない。寧ろ「まだまだ!!」と言わんばかりに火の球を放ち続ける。

 

「諦メルナ。ヤレバ出来ル。オレハ 止マラナイ。オレハモット 熱クナレルンダァァァァァァ!!」

「……何だろう。どっかの熱いスポーツ選手を思い浮かべるんだけど」

「一刀もそう思う?」

 

北郷一刀と藤丸立香は現代人であり、ある有名な熱いスポーツ選手を思い浮かべた。その有名なスポーツ選手は炎のように熱い漢である。

 

「あの短冊を書いた人はその有名なスポーツ選手みたいになりたかったのかな?」

「かもしれない。というか性格までインストールされてね?」

「ウオオオオオオ。イッツミーマー…怠劫鬼!!」

「「何か赤い帽子の配管工事者が混じってる!?」」

 

確かに赤い帽子の配管工事者も火の球は放つ。

 

「ご主人。なんだすぽぉつ選手だが赤い帽子帽子の配管工事者ってのは?」

「えーっと…天の国で有名な人たちかな」

「アイツは天の国の鬼なのか?」

「いや、それは違う。なんか似てるなって思っただけだ」

 

正確には短冊に書いた者が現代人(天の国の人)のような気がする。

 

「ヤッフー。ハッハー!!」

「何かそれっぽいジャンプもし出した!?」

「むん!!」

 

項羽がレーザーを射出し、怠劫鬼に直撃させる。

 

「マンマーミーア!?」

「やっぱ赤い帽子の配管工事者も混じってるだろ!?」

「あの短冊を書いた人は赤い帽子の配管工事者にもなりたかったのかな?」

 

有名で人気なゲームキャラではあり、もしも英霊として召喚されたら認知度は恐ろしいはずだ。尤もゲームキャラなので召喚される事はないが。

 

「まずは私が一番槍で動く!!」

「白蓮殿」

「追撃は任せたぞ!!」

 

白蓮が馬の速度を上げ、怠劫鬼に追いつく。

 

「白蓮。頭上に注意せよ」

 

項羽が助言をしたと同時に白蓮は剣を抜く。

 

「喰らえ。無明・偃月斬!!」

「オレハ負ケナイ。負ケラレナイ。トオオ!!」

 

怠劫鬼は短冊を吊るした笹で白蓮の剣を打ち払う。

 

「嘘だろ。笹で剣が弾かれた!?」

「熱クナレヨ!!」

「頭上!?」

 

項羽の助言によりすぐに火の玉が降りそそぐ。

すぐさま回避行動に移し、助言があったおかげで白蓮は火の球をすぐさま回避。

 

「ウオオオオオオオ!!」

「まずっ…馬の脚を狙われる!?」

 

怠劫鬼は笹で白蓮が乗る馬の脚を薙ぎ払おうとするが急ぎ、回避しようとする。

無茶過ぎる回避の仕方で馬は転倒し、白蓮は落馬。

 

「くそっ無事か!?」

 

白蓮は受け身を取り、急いで転倒した馬をすぐ確認しに駆け寄る。

 

「白蓮殿!!」

「問題ない蘭陵王。後から追いつくから皆は先に行ってくれ!!」

「諦メンナヨ 諦メンナヨ前エ ドウシテソコデヤメルンダソコデ モウ少シ頑張ッテミロヨ!!」

「何でお前が私に発破をかけてんだよ!?」

 

何故か怠劫鬼が白蓮に応援した。

 

「絶対にあの選手の性格が混じってるだろ」

「…白蓮も良い仕事したぜ。あの鬼は武芸を嗜んでるようだ」

 

翠は先ほどの一瞬の攻防で理解した事がある。怠劫鬼の笹の振り方が剣の振り方と同じであったのだ。

ただ相手をぶん殴る為に笹を適当に振ったわけではない。武人である翠や恋たちだからこそ分かった。

怠劫鬼はどうやらあのナリで武人のようだ。

 

「オレハ怠劫鬼。彦星ノ鬼。新タナ願イヲ叶エル!!」

 

纏っていた炎が消える。そして新たな短冊が光り出す。

 

「また短冊が光った。何か来るから皆気を付けて!!」

「カメハ…鬼ノ波阿アアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

両手を構えて「波」を撃ち出した。

 

「何か撃ち出してきたんやけど!?」

「あの短冊書いた人はやっぱ現代に近い人じゃねえか!?」

 

確かに「波」というビームを撃ち出すのはよくある願いの1つかもしれない。男子だったら誰もが一度は真似したかもしれない。

きっと藤丸立香も北郷一刀も子供の時に真似したはずだ。

 

「一直線だから回避しやすいで」

「しかし直撃すればただではすみません。気を付けてください」

「鬼ノ波阿アアアアアアアアアアアアア!!」

「連続で撃って来るぞ!?」

「…でも溜めがある」

 

力強い技である「波」にも隙があった。それは溜め。

気だか妖力を一瞬だけ溜めて放つ技だとすぐに理解した恋と霞。

 

(まあ、あの技は溜めてから撃つ技だからすぐに分かるか。でも直撃したら細胞すら残らず消えるんだよなあ……そう思うと恐ろしい技じゃん)

「次溜める一瞬が隙やな」

「ヒヒン。ここは私にお任せあれ!!」

 

UMAではなく赤兎馬が次に駆け出す。

 

「戦闘機動(馬)!!」

 

ブルンブルンと赤兎馬は武器を回転させながら接近。

 

「カメハ…鬼ノ」

「させん。武芸百般(馬)!!」

 

武芸百般(馬)は多岐に渡り培われた戦闘技術により、あらゆる戦闘状態に対応する事が可能なスキル。

空中戦や水中戦と言った尋常ならざる戦闘や未知・未経験の状況にさえ培われた技術と経験を駆使する事で即座に対応してみせる。

故に赤兎馬はどのような状況でも技を編み出す。

 

「ヘルズフラッ…」

「赤兎馬ソレ別の人の技!!」

「では、太陽け…」

「それもーーー!?」

「声はイケメンだけどさぁ!?」

 

藤丸立香と北郷一刀は普通にツッコミを入れた。見てみたい気もしなくもないが今は止めておく。

 

「波阿アアアアアアアア!!」

「ヒヒーーーン!?」

「しまった。赤兎馬の攻撃を止めたから鬼に隙を突かれた!?」

「でも止めなかったら色々と面倒はあったぞ」

 

赤兎馬は「波」を喰らって転げる。しかし彼はただやられるだけには終わらない。

 

「私は無敵の呂布奉先!!」

「いや、馬です」

「無敵将軍が転んだところで終わりません!!」

 

赤兎馬は大槍を投擲。狙いは無論、怠劫鬼だ。

 

「グゥオオオオ!?」

 

投擲された大槍は怠劫鬼の左肩を抉る。本当は頭部を狙ったのだが微妙に回避されてしまった。しかし片腕を使えなくしたと思えば大きなダメージである。

怠劫鬼が元武人であるならば片腕が使えなくなったというのは痛いほどデメリットだと理解しているはずだ。

 

「グヌヌ…オレハ怠劫鬼。彦星ノ鬼。更ニ新タナ願イヲ叶エル!!」

 

笹に吊られた短冊がまた光り出す。そして金銀財宝が降り注ぐ。

 

「全テ クレテヤル!!」

 

怠劫鬼は降り注いだ金銀財宝に目も向けずに走り出す。寧ろ出した金銀財宝を藤丸立香たちにくれてやる台詞を吐き出した。

多量の金銀財宝というのは人を惑わす。お金はどの時代でも必要で生活するために欠かせないモノ。

多ければ多いほどに生活を楽にし、裕福にする。そして場合によっては堕落させる。

 

「要らない」

「少し目移りしたけど、国と金のどちらか選ぶとしたら分かっとるやろ」

 

今、金銀財宝をたくさん手に入れても国が滅んでは意味がない。

 

「グヌ…」

 

分かり切っていた事だが今の北郷一刀や霞に要らぬモノだ。ただ降り注ぐ金銀財宝が走行の邪魔をしてくる。

降り注ぐ金銀財宝を剣や槍で弾いて、怠劫鬼を追いかける。

 

「う~~ん…金銀を槍で弾くってめっちゃトンデモナイ事してるやんウチ」

「場所が場所ならめっちゃ怒られる案件だ…」

 

お金を武器で弾いてたら色んな所から炎上しそうである。

 

「追イツカレル…ツギノ短冊ハ」

 

チラリと笹に吊られている短冊を見る。その1つに「左慈と愛の結晶を作りたい」とあった。

 

「コレ イラナイ」

 

ブチっと千切って捨てる。空耳で「何故捨てたのですかーー!?」と聞こえた気がした。

 

「オレハ怠劫鬼。彦星ノ鬼。更ニ更ニ 新タナ願イヲ 叶エル!!」

 

またしても笹に吊られている短冊が光る。

 

「今度の短冊は何だ?」

 

藤丸立香は目を細めて短冊の文字を確認する。

 

「強くなりたい?」

 

短冊にはシンプルにしか書かれていなかった。ただシンプルが故に予想が出来ない。

強くなりたいと願っても、どれだけ強くなりたいのかが不明だ。

 

「項羽、あの鬼はどれくらい強くなるのか予測できる?」

「指導者よ。計算済みである」

 

怠劫鬼の妖力が膨れ上がり筋力も膨れ上がる。肩の傷も塞がっていき、肉体が万全の状態になる。

強くなりたいというのは肉体が万全であってこそ。負傷した身体が強いとは言い難い。

短冊にシンプルに「強くなりたい」と書かれた願いはシンプルすぎて漠然とし過ぎている。その漠然さが怠劫鬼にとって良い意味で都合が良かった。

短冊に書かれた願い叶える能力を持つ彼にとって自分をいくらでも強化する事が出来るのだから。

 

(制限ある能力であっても…何処まで強化されるのか)

「奴の強さは一時的だが英霊並い上昇している。並みの英霊以上ではある」

「予想以上に強化されてる…!!」

 

鬼の強さを持ち、更に英霊並にまで強化した。酒吞童子や茨木童子までとはいかずとも厄介な存在となってしまった。

 

「ウオオオオオ。待ッテロ 倫安鬼!!」

 

強化された怠劫鬼は藤丸立香たちを迎え撃つわけではなく、そのまま駆け出す。

 

「逃げたで!?」

「強くなってもアイツはオレらを倒す事必要はないんだ」

 

怠劫鬼はただ愛する者に会いたいだけだ。そして于吉の策は2人の鬼が合流すれば三国を滅ぼせるかもしれない儀式が完成するのだから無理に戦闘させる必要が無い。

 

「我らは急ぎ追いつき、奴を止める」

 

 

2028

 

 

倫安鬼は待つだけである。

愛する者が会いに来てくれる。それだけで彼女は心が暖かくなり、嬉しい気持ちが溢れる。しかしただ待つだけではいられない。

 

愛する者との再会を邪魔する者たちがいるのだ。「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んでしまえ」なんて言葉もあるが今回はばかりは邪魔されてしまうのは仕方がないのかもしれない。

 

何せ倫安鬼が愛する者と再会するとある術式が展開されて三国が崩壊するかもしれないのだ。無論、再会の邪魔してくるのは三国の者達である。

国が滅ぶなんてあれば三国の者達が何が何でも邪魔してくるのは当然だ。立場が逆であれば自分も同じように邪魔をする。

 

「貴女方ガ 国ヲ守ルノハ 当然デスネ。デモ 私ハ 三国ガ滅ブトシテモ 彼ト会イタイノデス」

 

倫安鬼は短冊が吊り下げられた笹を振るう。

 

「私ハ倫安鬼。織姫ノ鬼。願イヲ 叶エマス」

 

笹に吊られた複数の短冊のうち1枚が光る。短冊には「織物が上手くなりたい」と書かれていた。

 

「織物ハ私ニトッテ 手足ヲ動カスヨウナモノデス」

 

倫安鬼の背後から織物が複数、蛇のように現れる。

 

「織物?」

「あらあら、綺麗な柄ねえ。1枚買いたいわん」

 

蛇のように蠢くに織物に月は驚くが貂蝉はお洒落な織物なので買いたいという感想が出た。

 

「アリガトウゴザイマス。デモ 売リ物デハアリマセン」

「買いたいとか言ってる場合ですか!!」

 

栄華がツッコミを入れるが以前に貂蝉を視界に入れようとしなかった。

 

「栄華ちゃんが私と顔を合わせてくれなくて寂しいわあ」

「悪い人じゃないと分かっているんですけど、どうしてもムキムキが…」

 

くねくねと貂蝉は身体を揺らす姿を感じるが栄華は無視する。貂蝉には悪いが栄華にとってまだ直視出来ないので、時間をかけて慣れていくしかない。

 

「手数が増えてようなものですね」

「ま、何とかなるでしょ」

 

貂蝉と栄華の事は置いておいて秦良玉は敵を冷静に分析する。虞美人は相手が何だろうとも関係無い。

 

「アンタらは後ろに控えてなさい。私がもう斬るから」

 

虞美人は駆け出し、双剣を振るう。

 

「さっさと死ね」

「イイエ、死ネマセン」

 

虞美人が双剣を振るい、舞う。狙いは鬼の首。

彼女にとって敵を殺せれば何処を斬ろうが関係無いが敵を倒すのに狙うはやはり首である。

 

「ふっ!!」

「織物ヨ」

 

虞美人は蛇のように動く織物を斬りながら突き進む。

 

「うざったい布切れね!!」

「守レ 織物。私ハ アノ人ニ 会ウ為ニ 死ネマセン」

 

織物はまだまだ増え、倫安鬼は自分を守る為に織物を操りながら虞美人を捕縛しようとする。

 

「こんな布切れで私を捕まえられると思うな」

 

鮮やかな織物が蛇のように動き回る。ある種、幻想的な光景に見えなくはない。

 

「虞美人さんの動きも凄いけど…鬼の操る織物も凄いです」

「月さん。そんな事を言ってる場合ではありませんわよ」

「は、はい。すみません」

 

虞美人が先頭切って倫安鬼へと突き進む。後方にいる月たちも呆けている場合ではない。

彼女たちも自分の出来る事をすべきだ。

 

「速イデスネ。ソシテ 捕マエラレナイ」

「私が布切れなんぞに捕まえられるわけないでしょ。私を捕まえるなら項羽様を呼んできなさい」

「……貴女ニモ 愛スル人ガ イルノデスネ」

 

倫安鬼の操る織物はまだまだ増える。

 

「私ハ 織物ノ上達ヲ 司リマス。イクラデモ 増ヤセマスヨ」

 

気が付けば虞美人を捕縛しようとする織物はどんどんと増えていき、視界全体を埋め尽くすくらいまで増えていた。

 

「貴女ハ 私ヨリモ 強イデスネ。当然デス。私ハ戦エマセンノデ」

 

倫安鬼は元人間の女性。ある貴族のお嬢様といったところだ。

鬼になり、普通の人間よりも強くなったといえ武人や戦士のように戦の仕方は分からない。

特別な異能によって何とか戦えているに過ぎない。

 

「さっきから本当にうざったい布切れね!!」

「織物ハ綺麗デス 織物ニ絡マレテ 封ジラレテクダサイ」

 

相手が如何に達人や人外であろうとも手数が多ければ多いほど厄介だと感じられる。

 

「ちょ、多っ!?」

 

虞美人は多量の織物に絡め取られて動きを封じられる。なんなら繭のようにぐるぐる巻きにされる。

 

「虞美人殿!?」

 

すぐさま秦良玉が駆け寄り、トネリコの槍で救出に向かうが倫安鬼の操る織物に阻まれる。寧ろ「次の獲物は貴様だ」と言わんばかりに織物が秦良玉を捕縛しようと襲い掛かる。

 

「くっ」

 

トネリコの槍を振るい、織物を刻む。

遅いかかる織物の強度はそこまで強くないが四肢を塞がれれば如何に秦良玉でもどうしようもない。

 

「手数が多いですね」

「私ハ 貴女方ヲ 殺ス必要ハアリマセン。タダ捕マエラレレバ イイノデス」

 

倫安鬼は愛する人と再会するのが願いだ。そして愛する人である怠劫鬼は今まさに向かってきている。

于吉にとって2人の鬼が再会すれば術式が発動する手筈になっているので、2人の鬼には敵を倒すのではなく邪魔や動きを封じる事を指示している。

今この段階で殺さなくても、術式が成功すれば勝手に三国が滅びるのだから無理に殺す事はしなくてもいいという事だ。

 

「あらあら虞美人ちゃん捕まえられちゃったわね。ここは私の出番ね」

 

貂蝉は両拳をガツンと合わせ、一気に駆け出す。

 

「愛のショルダータックルゥゥゥゥゥ!!」

「貴方モ 愛スル人ガ イルノデスネ」

「私はご主人様ラブよおおお!!」

「織物ヨ」

 

多量の織物が貂蝉を捕縛しようと絡まるが止まらない。織物を力の限り引きちぎって突き進む。

 

「せっかくの織物を千切ってごめんなさいねえぇぇん!!」

「凄いです貂蝉殿。筋力ランクはA以上はあるかもしれません」

 

貂蝉の筋力は規格外。サーヴァントで換算すれば間違いなく筋力ランクはトップクラスだ。

己のムキムキな筋肉をいつも見せ付けているわけで、見せかけな筋肉ではないわけだ。

 

「止メラレマセン。ナラ」

 

倫安鬼は手に持つ笹を地面に突き指す。

 

「私ハ倫安鬼。織姫ノ鬼。願イヲ 叶エマス」

 

笹に吊り下げられている短冊が光る。その短冊には「大きく育ちますように」と書かれていた。

その願いは作物にしろ、植物にしろ、生物にしろ、成長を意味する。

 

「笹ヨ 育テ」

 

地面に突き刺さった笹が急成長し、倫安鬼を守るように囲む。更に増殖し、貂蝉に向かって波のように押し寄せた。

 

「笹がチクチクするぅん!?」

「今デス」

「あはぁん!?」

 

織物は貂蝉の肉体に巻き付いていき、何故か亀甲縛りみたいに捕縛した。

 

「アレ…アンナ 捕マエ方 シテナイノニ?」

 

倫安鬼は意図せず貂蝉に亀甲縛りをしたわけではなかった。

 

「笹が押し寄せてきます!?」

「私にお任せくださいな!!」

 

栄華が術式を展開する。

 

「偶召排撃!!」

 

巨大なウサギのぬいぐるみを召喚して笹の波を防ぐ。

 

「皆さんぬいぐるみの後ろへ!!」

 

笹の波を防ぎ、襲い掛かる織物は秦良玉が切り払う。

 

「相手の手数が多い敵ですわね」

 

倫安鬼は守りに長ける力を使う。

 

「私ハ 刻ヲ稼グダケデス。アノ人ニ 会ウ為ニ」

 

時間を稼ぐだけでいい。自分を守れればいい。それだけをすれば愛する人に会える。

 

「織物に笹…ここはユウユウにお任せを!!」

 

楊貴妃は琵琶を出現させて奏でると蒼炎の精霊を召喚する。

 

「メラメラっと燃やしちゃって~!!」

 

蒼炎の精霊は笹や織物を燃やしていく。

 

「笹ト織物ガ!?」

 

笹は燃えて灰になり、織物も燃えて灰になる。

 

「ふっふっふ~。ユウユウは貴女の天敵ですね」

「……ソノヨウデスネ」

 

笹も織物もよく燃える。

 

「デスガ…コッチニハ 捕虜ガ イマス」

 

繭のように捕まった虞美人と亀甲縛りをされた貂蝉を倫安鬼は左右に配置する。

 

「コンナ…人質ナンテ 真似ハ シタクアリマセンガ 手段ヲ選ンデハ イラレナイノデス」

「……貂蝉さんなら燃やしても大丈夫じゃありません?」

「虞美人殿なら燃えても無事そうな気がしますぞ」

「栄華さん…ねねちゃんそれは」

 

人質が人質になっていないようだ。

ある意味、虞美人と貂蝉なら大丈夫な気がするという謎の信頼感があった。それを信頼感と呼んでいいかどうか分からないが。

 

「ちょっと聞こえてるわよ!!」

「ヤベッです」

 

音々音の言った心無い言葉が虞美人には聞こえていた。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新もまた未定。
何だかんだで3月も忙しい…でも3月中で七夕編を終わらせたい。


2027
怠劫鬼にはちょっとはっちゃけてもらいました。(ちょっとどころではない)

熱い男と言われて、想像するは あのお方。こればっかりは世代かな?
赤い帽子の配管工事者。認知度凄いから、もしも英霊になったらトンデモナイ。

少年だったら誰もが真似した「波」。私も子供の時にやりました。
なんか「波」が出せそうな気がして(気のせい)真似しますよね。
そして赤兎馬には中の人ネタ。


2028
倫安鬼は怠劫鬼とちがってまともに戦ってもらいました。
もっとも彼女は戦いが出来る鬼じゃないんですけど。だって人間だった頃の彼女は良いとこのお嬢様だったので。

人質に虞美人と貂蝉が!?
「「その2人に人質の価値はねえ」」

名前だけなら人質になったら手出しできなくなるけど…
FGOの虞美人と恋姫の貂蝉だと問題ないと思われるから、あら不思議。

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