Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
あーあ、GWが終わってしまった…連休ってすぐ終わってしまうなあ。
明日からまた頑張んないと。
FGOではFakeコラボを楽しんでます!!
まさか2段構成だったとは…予想外で驚き&楽しいですね。
そしてレイド戦では気が付けば終わっていた…。
あのシルエットの英霊も登場し、正体も判明しました。
これは石を大回転させないと!!
2037
海に入る前はちゃんと準備運動をする。
それは冷たい水による痙攣や心臓への負担を防ぎ、怪我を予防するためだからだ。
準備運動が完了し、身体が温まったら海に入る準備は完了する。後はハイテンションのまま海に突撃するだけだ。
「「「海に突撃。楽しめ!!」」」
藤丸立香たちが海に突撃し、本能のままに楽しむ。
海の冷たさに心地よさを感じる。海水が口に入るとしょっぱさを感じる。
泳ぐ、海水の掛け合い、潜って海中の美しさを楽しむ。
海での楽しみ方はたくさんあるものだ。
「冷たいけど気持ちい!!」
「塩辛いわね。でもこれが海なのよね」
「そーれ海水ですよ不夜奶…姐姐」
「こりゃ、思いっきり海水を掛けるでない楊玉環。ちょ、こ、掛け過ぎじゃ!?」
水着美女たちが海でキャッキャウフフと楽しんでる。これだけで男共は目の保養になるものだ。
海には楽しさが盛りだくさん。これからどんな遊びをしようかと考えている時に、大きな声が響いてきた。
「おっーーーっし。来たなてめえら!!」
「この声は翠か?」
「翠ちゃん?」
北郷一刀と桃香が声の主を当てる。
「よお、ご主人様に桃香様」
「待ってたよー!!」
「お待ちしてました」
「海楽しんでるかなー!!」
翠だけでなく蒲公英、鶸、蒼も揃っている。馬一族の勢揃いだ。
「お、翠も焼けてんな」
「まあな。アタシも先に視察に来てたんだ」
「お姉様めっちゃ焼けたよねー」
翠も日焼け美女になっていた。
「そして…おお。馬一族が水着を着こなしてるな」
翠の水着は緑・黄緑・紺色を基調としたダイバースーツ。ダイバースーツにはハイビスカスの紋様が刺繍されており、お洒落だ。
まさに快活なスポーツ女子であり、日焼けした肌はまさに健康的にすら見える。ちょっとしたお洒落で魚型の髪飾りを付けている。
海を楽しむ全開の水着美女である。
「お、似合ってるじゃないか翠」
「ありがとよご主人。この水着はなかなか着心地がいいし、海に潜るに適してるぜ」
「そうね。似合ってるわよ翠」
「へっ。アンタもな華琳」
「今晩どう?」
「いきなり誘ってくんな!?」
「ずるいぞ貴様!!」
「春蘭は春蘭で突っかかってくんな!!」
翠の水着は誰からも評判が良い。翠だからこそ着こなしている。
「ねえねえご主人様、蒲公英はー?」
蒲公英の水着はオレンジを基調とした水兵服をアレンジしたものだ。
普通の水兵服と違い、水着にアレンジされているので腹部も露出しているへそ出しルック。
小さな錨の金飾りを付けており、水兵風の刺繍をした腰布を巻いている。サンダルには足首を守る様に黒い布が付いており、金のラインに錨の意匠がある。
元気ハツラツな水着美少女だ。これには男子の目を釘付けである。
「うん、可愛いぞ蒲公英!!」
「やったー ご主人様に褒められたー!!」
「うんうんとっても可愛いよ蒲公英ちゃん」
「似合ってますよ蒲公英さん!!」
桃香と明命にも褒められてご満悦だ。
「いいなー。ねえ蒼のはどうかなご主人様?」
「ん、蒼は…おおっ」
蒼の水着はピンクを基調とした三角ビキニスタイル。もしかしたらマイクロ寄りかもしれない。
水色の太い髪結いと金色の短い髪結いの二重結び。左足の太腿・腿に黄緑の帯。右脚の太腿に白レース付きの黄緑バンドを通し、その上に薄桃の紐で付けた金のハートリングを装飾している。
更にお洒落な黒いヒールサンダルを履いている。彼女は何処からどう見てセクシー水着を着こなしている美少女である。
彼女は馬一族の中で一番の末妹であり、幼さも少しあるというのに大人顔負けのセクシーダイナマイトボディであるため北郷一刀は目を奪われてしまう。
(あれってマイクロ水着寄りじゃねえか!!)
「どうかなご主人様?」
「めっちゃ可愛い…というか色っぽくて綺麗だ」
「やった。ありがとうご主人様!!」
「蒼…ちょっと水着の布が少なくないか?」
「そんな事ないよ愛紗さん」
(ご主人様は鼻の下伸びすぎです……もう1つの水着も試してみましょうか)
水着は複数存在しており、どんな水着を着るかとても悩むものだ。そして悩んで2つまで絞ってどっちも捨てがたい時、日を分けて着ればいいという判断になる。
(ああいう水着も立香は好みなのかしら。で、でも私も負けてないわよね。それに水着は他にもあるし…)
「蓮華様?」
蒼の水着は誰からも評判のようだ。それはそれとして「水着が少し小さくないかな」という感想も含まれていた。
「ふふふ~」
嬉しくて思いっきり北郷一刀に抱き着く蒼。
(色々と柔らかいモノがっ!?)
鼻を伸ばしそうになるが我慢である。これで鼻を伸ばした愛紗や桃香たちからまたお尻を思いっきり抓られるからだ。
我慢しようとしているが時すでに遅し。もう桃香と愛紗が指で抓る準備をしていた。
「蒼。ご主人様が困ってるから離れるんですよ」
「えー」
「えーじゃありません」
「鶸か。うん、鶸の水着も似合ってるし、可愛いぞ」
「あ、ありがとうございますご主人様」
照れる鶸。嬉しくて顔がニヤけてしまう。
そんな鶸の水着は青色を基調とした水兵服をアレンジしたモノだ。
赤いスカーフに紺色の布地のセーラーブラに金紐の紺パン。裾先に金の球が付いた紫レースの髪結い。
左右に銀の舵輪飾りが付いた金ラインの白と黒い裾の水色布を腰回りに巻いている。
手の甲と肘までの金ラインの黒いグローブは腕の腹部分がハート型に出ており、足首に巻いた紫レースに紺色帯の黒サンダルを履いている。
彼女もまた健康的なスポーツ美少女である。よく見ると蒲公英の水着とペアルック風にも見える。
「とっても似合ってるのだ!!」
「鶸殿もなかなか引き締まっているな」
「ありがとうございます鈴々ちゃん、秋蘭さん!!」
(馬一族の水着姿…破壊力抜群だな)
馬一族の水着勢が集結。
(むむ…彼女たちも強敵ですね。しかし彼女たちは北郷さんのだからセーフ!!)
翠たちは北郷一刀のものではないのだが、好意の矢印が向いているのは確かだ。そもそもヤル事ヤッてる。
(現段階でライバルはやはり孫呉勢ですね)
「何を考えておる楊玉環?」
「何でないでーす」
「何かムカつくの」
「酷いです!?」
翠たちが北郷一刀たちと合流した。しかしただ合流しただけではない。
合流した理由は北郷一刀たちを楽しませるためのレクリエーションを開くためだ。
「じゃあ、これからアタシたちが海での楽しみ方を教えてやるぜ!!」
「海での楽しみ方?」
「身体を鍛えながら楽しむ方法さ。その名も…旗取り競争だぜ!!」
2038
旗取り競争。
砂浜に背を向けてうつ伏せに寝た状態からスタートの合図で立ち上がり、前方にあるフラッグを奪い合う。たったそれだけ。
((ビーチフラッグだ))
翠の競技説明に藤丸立香と北郷一刀はシンプルに知っている競技名を思い浮かべた。
(ビーチフラッグじゃのう)
(ビーチフラッグですね)
現代の知識を聖杯からインストールされている武則天と楊貴妃も同じような事を思う。
「簡単な競技だろ。そのまんま誰よりも早く走って旗を先に取るだけだ」
「うむ。簡単だ」
「簡単なのだー!!」
「分かりやすいな」
春蘭、鈴々、思春は翠の説明に満足であった。
小難しい説明はかえって混乱するだけ。シンプルイズベストこそ一番である。
「三本勝負だ。アタシたち馬家からも出るから各陣営から一人ずつ選出してくれ」
「ただ鍛えるだけじゃつまんないから勝った陣営にはご褒美があるよー!!」
勝負事にご褒美があれば意欲が湧くものだ。
「さあ、第一走者は誰だ?」
旗取り競争もとい旗取り勝負開始。
第一走者選出。
「ここは私が行きましょう」
「愛紗ちゃん!!」
「負けるなよー愛紗」
「分かっているさ鈴々」
「頑張れ愛紗」
蜀陣営からは愛紗が選出。
「ほう…蜀からは愛紗か。ならば華琳様!!」
「ええ、良いわよ」
「頑張れ姉上」
「旗取り勝負とはいえ、手加減せん!!」
魏からは春蘭が選出。
「へえ、蜀と魏からは愛紗と春蘭なのね。どっちも国の大看板ね」
「蓮華様」
「分かってるわよ思春。頑張りなさい」
「はっ。蓮華様に絶対的な勝利を!!」
(そこまで本気じゃなくてもいいんだけど…)
「頑張ってください思春様!!」
呉からは思春が選出。
「ふむ、じゃあここは…」
「もしかして不夜姐姐が!!」
「行け楊玉環」
「私!?」
カルデアからは楊貴妃が選出。
「頑張って楊貴妃」
「勝ったらマスターからご褒美が欲しいですぅ~」
「馬の者達からご褒美があると言っておろうが」
「いいよユウユウ」
「何でもですか!!」
「あ、出来る範囲で」
カルデアからは楊貴妃が選出。
「どの陣営も強敵ですね。ですが一番手を任されたこの鶸…負けるつもりはありません!!」
馬家の次女として相手が各国の大看板たちであっても最初から気負けしない。本気で勝ちに行く。
「鶸」
「はい 翠姉さん。頑張ります!!」
「アタシが行く」
「はい…って、ええ!?」
馬家からの選出は鶸ではなく、翠。
「何で姉さん!?」
「いや、だって愛紗に思春に春蘭が相手だろ。こりゃ勝負したいと思うだろ」
「ユウユウもいますよー…」
翠は武人として各国の名のある武将たちと勝負したいという欲が出た。
何せ愛紗たち3人は非公式とはいえ、各王の右腕と噂されている者たち。ただの旗取り勝負とはいえ、全力で勝負したいのだ。
「一番手は鶸って決めたじゃないですか」
「悪い悪い。でも勝負したいから代わってくれ。な?」
「もう…しょうがないですね姉さんは」
「しょうがないよ姉様は脳筋なんだから」
「蒲公英うるせーぞ」
「あはは。頑張れ翠お姉ちゃーん!!」
何はともあれ馬家からは翠が選出。
「じゃあ蒲公英が審判するよ。公正な審判するから安心して」
第一走者たちが準備を始める。砂場にうつぶせになり、合図を待つ。
「負けねーぞ」
「ふ、それはこっちの台詞だ翠」
「何を言う。この勝負で勝つのはこの私だ。華琳様に勝利を捧げる」
「言っていろ。私の瞬脚で全員追いつかん」
「あはは…ユウユウだけ場違いな気がしますー」
もしもこの場に秦良玉がいれば立候補していたかもしれないし、譲っていたかもしれない。
(でも勝てばマスターからご褒美!!)
ここでニヤリと心の中で笑う楊貴妃。何故ならこの旗取り勝負のルールを聞いて穴を見つけたからだ。
勝負内容はただ早く走って旗を先に取った人の勝ち。ただそれだけであり、禁止ルールまでは決められていない。
禁止ルールが決められていなくてもやってはいけない事はある。非難される場合もあるのでギリギリ大丈夫な所を突く。
「じゃあ合図するよ。見合って見合って~」
「蒲公英それ違う」
一刀がツッコミを入れた。
「よーい…どん!!」
蒲公英の合図で一斉に立ち上がり、走り出す。しかし楊貴妃だけは琵琶を出現させていた。
「好機!!」
「「「「は?」」」」
琵琶の音色が奏でられた瞬間に蒼炎の精霊が召喚されて、愛紗たちにスライディングを仕掛けた。
「「「「足 払 決 行」」」」
「「「「なっ!?」」」」
蒼炎の精霊たちによる足払いで愛紗、春蘭、思春、翠の4人がこける。
「すきあり!!」
「「「「卑怯だぞ!?」」」」
「競技内容に邪魔しちゃいけないってないですから」
「許可します!!」
蒲公英が許可と書かれた札を上げた。
「何でだ蒲公英!!」
翠が抗議を入れるが蒲公英は取り下げない。
「だって、競技内容に人の邪魔しちゃいけないって確かに言ってないし。それに妨害もあった方が面白くなりそうだから許可!!」
「蒲公英!?」
「ほらほら早くしないと負けちゃうよお姉様」
「くそっ」
翠は立ち上がって走り出す。既に愛紗と春蘭と思春は走り出していた。
「マスターからご褒美!!」
「待て楊貴妃!!」
「よくもやってくれたな!!」
「卑怯な…しかし私の瞬脚なら!!」
思春は足腰に力を入れて一気にダッシュ。
「速っ!?」
「追いつくぞ!!」
「くう…私に敏捷Dしかないのが恨めしい!!」
思春が楊貴妃と並ぶ。
「「「負けるかあああ!!」」」
愛紗、春蘭、翠もまた気合で爆速で走ってきている。
「こうなったらもう1回!!」
「そうはさせん!!」
琵琶を出現させた瞬間に蹴りを繰り出して、蹴り落とす。
「ああっ琵琶になんて事を。楽器を蹴っちゃいけないんですよ!!」
「貴様がその琵琶で私の邪魔をするからだろうが」
思春は楊貴妃を抜き去り、一気に走り去って砂浜に刺さった旗を引き抜いた。
「私の勝ちだ」
「勝者は思春選手でーす!!」
第一回戦の勝者は思春。
「蓮華様に勝利を無事捧げる事が出来ました」
「ええ。見事な走りだったわ」
「申し訳ありません華琳様。私に罰を!!」
「そうね。今夜は覚悟しなさい?」
「ああ…華琳様」
「春蘭の場合勝っても負けてもご褒美じゃん」
春蘭の罰とご褒美は当然ながら華琳の匙次第。
「すみません桃香様…」
「いやいや、そんな落ち込まなくてもいいんだよ愛紗ちゃん。だってこれ遊びだから!!」
「それでも悔しいもんなんだぜ桃香様」
「翠も愛紗も気にしすぎだから」
遊びでも勝負ごとに負けると悔しいものだ。
「ルールの隙を突いた事は褒めてやろう。しかしソレで負けていてはな……勝てなかったらマスターからご褒美はなし。代わり妾が負けた罰をくれてやろう」
「ひえええええええ!?」
楊貴妃は武則天に煮えたぎった毒壺の真上に吊らされていた。
「ほ、ほどほどにね」
藤丸立香は楊貴妃を助けようとするが武則天は止まらない。尤も武則天が楊貴妃をおしおきするのはもう様式美でもある。
「はーい。第二走者を選んでー」
第二走者。
「次は鈴々が出るのだー!!」
蜀からは鈴々が選出。
「頑張って鈴々ちゃん」
「すまん鈴々。私の仇を取ってくれ」
「仇って…」
ビーチフラッグ勝負で仇云々は違う気がするが盛り上がっているのでならば余計なツッコミはなしだ。
「さて、二番手は私が行こうかしら?」
「え、華琳様がもう行かれるのですか」
「ええ。盛り上がってきたしね」
魏からは華琳が選出。
てっきり二番手は秋蘭かと誰もが思っていたが、これこそ華琳の策略。
楊貴妃がルールの穴を突いて妨害工作を許可させた盛り上がり。ならばと、彼女も勝負に盛り上がりを入れる為に敢えて自分を二番手に置いたのだ。
予想通り、どこの組も「え、華琳がもう出るの!?」という顔をしている。何なら春蘭や秋蘭も。
これには華琳も心の中で「してやったわ」とニッコリである。
「応援しております華琳様」
「ええ」
「妨害にはお気を付けください!!」
「ええ、対策は考えてるわ」
何故か手元には武器である鎌を掴んでいた。
「もう華琳が出るのね。ならここは私が出るべきかしら…」
「いえ、ここは私にお任せください!!」
挙手するは明命。
「私も思春様に負けないくらい足には自信があります。このまま連続で蓮華様に勝利を捧げます!!」
「ふっ、私に負けないくらいか。言うではないか」
「頑張りなさい明命」
(明命は妨害工作員としても優秀だ。この競技で妨害が有りなら明命の独壇場かもな)
「ところで明命。その皮袋はなに?」
「内緒です」
明命が笑顔でもぞもぞ動く皮袋を持っていた。
「次こそは妾が出ようではないか。愚か者の敗北は妾が払拭しよう」
「あうう~~」
罰を受けてモザイク状態になった楊貴妃が武則天の足元に転がっていた。
「楊貴妃…だ、大丈夫?」
「だ、駄目かもしれません…」
「いつもの事じゃろうが」
(コレがいつものなんだ)
武則天が楊貴妃にするオシオキは出来れば想像したくない。
「そ、それで…妾が勝ったら……そうじゃのう。楊貴妃がもらい受けるはずだった褒美を妾が貰おうとしよう。うむ」
「あー、ずるいですよ!!」
「負け犬が囀るでない」
カルデアからは武則天が選出。
「へえ。華琳の奴がもう出てくんのか」
「翠姉さん。二回戦目もなかなか油断出来ない勝負になりそうですね」
「ああ、そうだな。鶸ここは…」
「はい。全力で臨みま…」
「アタシが出よう」
「だから何で!?」
馬一族から翠が選出(2回目)
「翠姉さん!?」
「翠お姉ちゃん。本当は蒼の番だったんだよー!!」
「だって華琳が出るんだぜ。ここは因縁の相手ならアタシが出るしかないだろ」
「華琳さんが因縁の相手なら翠姉さんだけじゃなく、私たち全員ですよ!!」
「蒼も勝負したいー!!」
馬一族で選出でごたつく。
「ええい、長女権限だ。ここはアタシが出る!!」
「はあ…翠姉様は」
「蒲公英ー、蒼が出たかったのにぃ」
「しょうがないよ蒼。こうなった姉様は首を縦に振らないし」
海に来てテンションが上がっている翠であった。
「はーい。二回戦目を始めるから定位置に着いて着いてー」
鈴々、華琳、命明、武則天、翠が砂浜にうつ伏せになって合図を待つ。
「いきなり2回戦目で出てくるのは予想外だったが…この勝負どうなるか。楊貴妃が妨害有りにしちまったから…」
「一刀 一刀」
「なんだ立香」
「皆をよく見て見て」
「皆を?」
藤丸立香の言葉に北郷一刀は鈴々たちをよく見る。
「……何か武器とか怪しい皮袋を用意してんだけど」
鈴々は大きな槍を傍らに置いてあった。
オレンジ色の長い柄に槍の刃下に赤い布を結んであるもので蛇矛弐式だったりするかもしれない。
「妨害対策で用意してんのかな」
「それなら華琳さんもだね」
「あ、ほんとだ」
華琳の横には『絶』とは違った別の鎌が用意されていた。
『絶』よりは小振りだが新たに鉞の様な大刃が付けられ、刃の付け根に真珠付きのカラフルな貝が装飾されている。更にその下に真珠とヒトデの装飾もあり、掴尻には巻貝を装飾している。まさに海をデザインされた大鎌だ。
「華琳も妨害を迎え撃つ気まんまんだな。それに1回戦目を反省し、翠も同じように武器を用意してるし」
翠は得物は槍というか銛だ。
先端に三ツ又、後ろにも刃が付いた槍のように長い銛。
(昨日は魚でも突いてたのか?)
実は大物を採っている。
「武則天は能力が能力だからな」
武則天の能力や叩い方を知っているでの、まさに妨害工作はいくらでもやりようがある。
(武則天が何をしてくるか気になるが…)
北郷一刀は命明の方に視線を移す。正確には彼女の横に置いてあるモゾモゾと動く皮袋にだ。
「何だあれ!?」
何か生物が入っていそうしか分からない。
妨害ありの旗取り競争ニ回戦目。何が起きるか分からない。
「はーい、合図するよ~。はっきょい~」
「蒲公英だからソレ違うから」
「よーいどん!!」
蒲公英の合図に全員が起き上がって走り出す。そして最初に仕掛けたのは明命であった。
「てりゃああああ!!」
モゾモゾと動く皮袋を開放すると中から出てきたのは多量のヤドカリであった。
「うえ!?」
「にゃにゃ!?」
「ヤドカリ!?」
「猫娘め、多量のヤドカリを妾たちにばら撒きおったな!?」
ヤドカリを多量に投げかけられたら武人でも一瞬だけ驚いて身体が固まるかもしれない。
誰だって生物を多量に投げられたら驚く。特に小さい虫を多量に投げられたら誰だって嫌なはずだ。
投げられた生物のヤドカリとしてはいい迷惑だ。きっとヤドカリは「解せぬ」とか思っているかもしれない。
「今のうちに走り切ります!!」
明命は華琳たちが一瞬だけ固まった隙に旗まで一気に駆け出した。
「こんなヤドカリ!!」
「撃ち払うわ」
「やってくれたな!!」
鈴々たちが自ら持つ得物で多量のヤドカリを撃ち払い、撃ち落とす。これにはヤドカリも「何故我らがこんな目にぃ!?」とか思ってるかもしれない。
「まだ追いつく!!」
「待つのだー!!」
「今度は負けねえ!!」
華琳たちは明命に追いつくために同じく走り出す。
砂浜を蹴って走るが何処か走りにくい。
(砂浜で走るというのはこれ程まで負荷がかかるのね)
意外な発見を華琳は得るのであった。
砂浜でのトレーニングは不安定な足場が自然な負荷となり、下半身の強化やバランス能力の向上、高強度の心肺機能向上、そして関節への負担軽減に非常に効果的なのだ。
腸腰筋の強化や足裏の感覚向上にも役立ち、通常の地面よりも約2倍の筋肉を使うとも言われている。確かにビーチフラッグは楽しみながら身体を鍛えるのに適している。
翠たちの遊びなら鍛錬するのに海は適していた。
「逃がさないのだ!!」
「止まりなさい!!」
「覚悟しろ!!」
鈴々、華琳、翠が己の得物を投擲した。狙いはもちろん明命。
「ふえええええええっ!?」
投擲された3本の得物によって吹き飛ばされる明命。
「明命選手。ここで脱落!!」
「何をやってるのだ明命は…まったく」
「あはは…明命もよく頑張ったわ」
勝負は鈴々、華琳、翠の勝負になるかと思われた。しかし忘れてはいけないのが存在が武則天だ。
彼女は3人の後方にいる。出遅れたわけではなく、勝つ為の準備を今しがた完了させたところである。
「酷吏よ!!」
酷吏が大量に召喚され、一列に並んでいく。
「妾の為に道となれい」
「「「サーイエッサー」」」
酷吏たちは武則天の為に背中を差し出す。その背中を足場にするつもりなのだ。
砂場を走るより酷吏たちの背中を足場に走った方が負荷は無い。そして武則天の敏捷はA。
砂浜に突き刺さっている旗まで一気に駆け出す。
「早っ!?」
「させないわ!!」
華琳は投擲した『絶(夏)』を拾い上げてもう一度、投擲する。
「回避」
『絶(夏)』を見事に回避する。
「そんな鎌なんぞ当たらんぞ?」
「それはどうかしらね?」
「なぬ?」
『絶(夏)』がブーメランのように軌道が変化する。軌道が戻り、また武則天目掛けて向かう。
「私が適当に投げるわけないでしょ」
「やるのう。じゃがまだまだ…酷吏よ」
「「「サーイエッサー!!」」」
酷吏たちが飛んでくる『絶(夏)』から武則天を守る為に壁となる。
「考えは良かったぞ。じゃが妾の勝ちじゃ」
武則天はそのまま酷吏たちの背中を掛けて砂浜に刺さった旗を引き抜くのであった。
「勝者は武則天さん!!」
「くっふっふー。神聖皇帝たる妾が負けるはずなかろう」
旗取り競争二回戦目の勝者は武則天。
「ちっきしょー。また負けたあ!!」
「まともに競争したら姉様は強いけど、妨害工作とかくらっちゃうと弱いね」
「ぐぐぐ…正々堂々なら負けないのに」
搦め手に弱い人間はいる。それをどうやって克服するか、対処するかが重要なのだ。
「華琳様!!」
「あーあ、負けちゃったわ。でも楽しかったし、いっか」
「華琳様が楽しめたのであれば良かったです」
負けたが華琳はすがすがしい。こういう勝負も悪くないと思うのであった。
(でも次は負けないわよ)
負けず嫌いなので次は必ず勝利するとリベンジに燃えるのであった。
「鈴々負けちゃったのだー」
「ドンマイ鈴々」
負けても全力で臨んだのならば恥じる事はなし。
「申し訳ございません蓮華様~」
「たるんどるぞ明命!!」
「いいわよ。よく頑張ったわね明命」
「帰ったら鍛え直すからな!!」
「思春もほ、ほどほどにね」
次で旗取り競争三回戦目。すなわち最終戦。
「さあ、最後は誰が出るかな。最終戦の選出者を選べー!!」
蒲公英の声もより大きくなっているのでテンションが上がっている。
「じゃあ最後はオレかな」
「頑張ってくださいマスター!!」
「うむ。妾の共同統治者として勝利するのじゃぞ」
「頑張るよ」
これでもカルデアの師匠ズに鍛えられている。
レオニダスのスパルタ式トレーニング、スカサハのケルト流トレーニング、鬼一法眼の天狗流トレーニング等々。
ビーチフラッグ勝負なら藤丸立香も良い勝負が出来るかもしれない。
「勝ったらユウユウがご褒美をあげますよ~」
「ソレだとお主のご褒美になるじゃろ」
「一応聞くけどどんなご褒美?」
「赤ちゃんプレ…」
「第三再臨になってる?」
カルデアからは藤丸立香が選出。
「じゃあ最後は私だね。頑張る!!」
蜀からは桃香が選出するかと思われた。
「いや、ここは俺が出る」
「ご主人様が?」
北郷一刀がズズイと前に出る。
「ああ。俺も勝負したくなったからな。いいか?」
「うん、いいよ。頑張ってご主人様!!」
「お兄ちゃん頑張ってなのだー」
「ご武運を。ご主人様」
蜀からは北郷一刀が選出。
(立香が出るなら俺も出ないとな。ダチだけど…競い合うのもダチだよな)
魏からは秋蘭が選出。
「華琳様に勝利を捧げます」
「頑張りなさい」
「必ず勝つのだ秋蘭!!」
「分かっているよ姉者」
「ふふ、そんなに気を張らなくてもいいわよ。楽しんできなさい」
今回の勝負は楽しんだもの勝ちだ。
「最後は私ね。頑張ってくるわ」
「ご武運を蓮華様!!」
「お気を付けください蓮華様。この旗取り勝負は一筋縄じゃいきません!!」
「えと…これって一応、鍛錬も含んだ遊びよね?」
一部、旗取り勝負を遊びではなくガチで獲りに来ている者たちがいる。真剣にやるのはいいのだが温度差がありすぎる。
しかし、楽しめればなんだって良いのだ。
「お、ご主人も出るのか。てっきり桃香様が出るかと思ったぜ」
「魏からは秋蘭さん。呉から蓮華さん。あ、藤丸さんも出るみたいです」
「なるほどな。じゃあ…」
「翠姉さんはもう駄目ですよ」
「まだ何も言ってねえんだけど」
「翠姉さん。またアタシが出ると言うつもりだったでしょ」
「う…まあ、ここまで来たらアタシが全部出た方が面白いかなって」
「これ以上は駄目ですよ!!」
「そうだよ。蒼だって出たいのにー!!」
流石に自重させられた翠であった。
選出は鶸か蒼のどちらか。
「「じゃーんけーん!!」」
ジャンケンの結果により蒼が選出決定。
「蒼だーー!!」
「うう…今日は運が悪いです」
「まあまあ、鶸。次があるって」
何はともあれ最終戦の選出が決定。
全員が配置に着く。
「負けないぜ立香」
「オレだって負けないよ」
「蒼頑張っちゃうよー!!」
「流石に魏が一本も勝てないなんて沽券に関わるからな。勝たせてもらうぞ」
「私も頑張らせてもらうわ」
全員意気込みは十分だ。審判の蒲公英が合図を口にする。
「はーい。残った残った~」
「だからソレ違うって」
「よぉおーーーい…どん!!」
蒲公英の合図と共に立ち上がり、全員が全力で走り出す。
今回は誰もが妨害工作をせずに真っ直ぐに砂浜に刺さった旗を目指していた。
「あれが本来のビーチフラッグじゃな」
「アタシもああいうまともな勝負がしたかったんだが…というか妨害工作とか全くもって予定になかったんだけどな」
「すごい。みんな早い早い!!」
「へえ。秋蘭の脚に負けないなんて意外にやるじゃない一刀」
「蓮華様の走りは当然素晴らしいとして、立香もなかなか…」
妨害工作なしの真剣勝負。全員が正々堂々と勝負していた。
「やるじゃねえか立香!!」
「これでも鍛えてるんでね!!」
「ほう…藤丸も北郷も意外だ。これは負けてられん」
「やるわね立香」
全員が全速力で走る。砂浜に刺さった旗はもうすぐだ。
全員が同じ考えだったのか、同時に砂浜を蹴って跳んだ。手を伸ばして旗を掴もうとする。
「うおおおおおおお!!」
「負けん!!」
「どりゃあああああ!!」
「はあああああ!!」
全員が気合十分。四人が砂浜に刺さった旗に飛び込んだ。
「おーーーっとぉ。全員が旗に突っ込んだ。誰が旗を取ったんだ!!」
蒲公英が盛り上げるような解説を入れる。
「で、実際に誰が旗を取ったんだ。アタシの目でもよく分からなかったな」
全員が目を凝らして四人の状況を見る。
「うく。全員が跳び込んだからもみくちゃよ……ん?」
「痛…くない。柔らかい?」
何をどうしたら藤丸立香は蓮華の胸に顔を埋める状況になったのか。
「え、あ、立香!?」
「え、あ、ゴメン!?」
漫画やアニメでよくあるようなラッキースケベが起きた。しかも藤丸立香だけでなく、北郷一刀にも。
「あいたた…あれ、ご主人様?」
「まさか全員が同時に跳ぶとは…む、北郷か?」
「や、柔らか…むぐぐ」
北郷一刀は蒼と秋蘭の胸に圧し潰されていた。彼も彼でどうやって2人の胸に圧し潰された状況になったのか分からない。
「何をやっておるのじゃマスター!!」
「あー、それはユウユウの役目ー!?」
「何をしておるんだ立香!!」
「………やはりお胸がいいんですか」
ラッキースケベは都市伝説ではなく、実際に起こるようだ。
「ご主人様何してるのー!?」
「何をやってるんですかご主人様!!」
「お兄ちゃんがおっぱいで潰されてるのだ」
「無事か秋蘭!!」
「全く一刀ったら…羨ましい事をしてるわね」
「なにやってんだご主人!?」
「やっぱりご主人様は持ってるねー」
「あはは…流石はご主人様と言うべきなんですかね?」
ラッキースケベを発動させた藤丸立香と北郷一刀は女性陣からはいつもの事と思われている。
2人としてはいつもラッキースケベを発動させていないのだが。しかしここぞという時に発動するので一級フラグ建築士は流石としか言えない。
「ちょ、ちょっと立香!?」
「ゴ、ゴメン。すぐに退くから」
「ちょ、もっと絡まって…んっ」
「あれぇ!?」
何がどうなったらもっと絡まるのか。
「なにやっとんのじゃー!?」
「蓮華さん、そこ代わってくださーい!!」
「さっさと離れんか立香!!」
「やはりお胸ある人は敵…!!」
北郷一刀の方も似たような事になっていた。なんなら蒼と秋蘭の胸で左右からサンドイッチされていた。
「あははは 藤丸さんもご主人様もやっぱ持ってるね。あれ、そう言えば旗取ったのは結局誰…あ」
蒲公英が旗を持っている人物を見つける。
「勝者は~~蒼!!」
「あ、ほんとだ。蒼いつの間にか取ってた。やったー!!」
最終戦の勝者は蒼。
「よくやった蒼!!」
「わーいわーい」
「ふふ、なかなか楽しかったわ」
これにて旗取り競争もとい旗取り勝負は終了。
勝者は思春、武則天、蒼。
「勝者にはご褒美あるよ。まあ、3人だけじゃなくて結局みんながんばったで賞で出すんだけど」
蒲公英が褒美として出したのは桃であった。それも冷えて甘い桃。
桃は夏の果物の1つであり、水分が多くて夏の水分補給や疲労回復にも適している。
香りと甘みが強く人気の果物であるのだ。更に栄養豊富であるので疲れた体の栄養補給にもピッタリである。
喉の渇きと栄養を補えるなんてスーパーフルーツだ。
「甘ーい!!」
「ふむふむ…悪くないのう」
「ライチも好きだけど桃も好きです」
「甘いわね。これって良い桃じゃない?」
「身体を動かした後に冷えた甘い桃は水分補給はいいな」
馬一族からの褒美もとい差し入れは皆が喜ぶモノだった。
夏の海で冷えた甘い桃をかぶりつくなんてこれもまた夏の風物詩であり、夏の楽しみ方の1つである。
「よーっし。休憩したら次の準備するぞ」
「次ってなんだ翠?」
「もちろん次の種目だよご主人」
前半は旗取り勝負。後半も勝負を考えているのだ。
「何やるんだ翠?」
「水上騎馬戦だ」
読んでくださってありがとうございました。
なんとか一応GW中に更新できました。
ほんとは2~3話くらい更新したかったけど…GW中でも仕事が入ったので…
さて、次回の更新は2週間以内を目指します。
2037
馬一族たちの水着は天下統一伝のモノです。
どれも素敵な水着ですね。
やっぱり蒼の水着は攻め過ぎな気が…まあ、もっと攻め過ぎな恋姫もいるか。
それにFGOにも。
2038
海での楽しみ方はいっぱいありますよね!!
ビーチフラッグも定番です。まあ、作者の私はやった事ないですけど。
とっても楽しいらしいです。でも熱い砂浜にうつ伏せになるって大丈夫かな?
勝負ルールの裏を突く。
どの作品も色々とありますよね。でもルールの裏を突いた人が負けるのは少ない気がする。
すまんユウユウよ。負けて武則天にオシオキするオチの方が良かったのです。
藤丸立香は様々な英霊から鍛えられているし、北郷一刀もちゃんと鍛えていれば恋姫たちとスポーツなら良い勝負が出来ると思いました。
ラッキースケベ発動は主人公補正です。北郷一刀は言わずもがな。
そして藤丸立香だってありますよ。ハプニングキスもあれば無人島のシャワーで女海賊2人にもみくちゃされたり?
桃はとっても美味しい。
今年の夏も食べたいものです。