Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
閻魔亭を頑張って周回内。
概念礼装があまりないので素材がなかなか回収できない…
それでも頑張ってます。物語のラストも心温まるのでいいですよね。
さて、サブタイトルが「さんどあーと大決戦!!」だけど大決戦しません。
ただサンドアート作って鑑賞するだけです。
あと他にも…。
2045
サンドアート。砂を素材にして作り上げる芸術作品やパフォーマンスの総称。
砂を削って作る彫刻や砂浜をキャンバスとして描くものだったりと様々だ。今回、沙和が提案したものは前者の砂山を削って彫刻等を作るモノである。
「何じゃ。ただの砂遊びではないか」
そう言いながらも武則天は砂山を削り、形を整えていく。
「追加の水持ってきましたー。うう、壺に海水入れて持ってくるの重いぃ」
「どんどん持ってこい楊玉環。休みなくな」
「うう~…不夜奶奶が鬼畜ですぅ」
「あ?」
「早く持ってきまーす」
なかなか学習しない楊貴妃であった。もっとも「不夜奶奶」と呼ぶのは完全にワザとなのだが。
武則天も分かっているのでいつものやり取りである。
「おいマスター。下段をしっかり作るのじゃぞ」
「分かってるって。土台が大切だからね」
藤丸立香チームは上段・中段・下段の三段構成のサンドアートを作成しようとしているのだ。
「じゃが中段が一番難しいからのう。バランスが…」
「逆三角形だしね」
「それに上段も細かいしのう」
「やっぱ全部難しいね」
武則天と藤丸立香はテキパキと砂山を削っていき、形を整えていく。
作成しているサンドアートは三人だけで作成するにはなかなか酷だ。故に武則天は酷吏を召喚して人海戦術作戦も実施している。
「お主らよ。気を付けて砂を削るのじゃぞー」
『『『アイアイサー』』』
巨大な砂山がどんどんとある形に形成されていく。
「む、水が足りなくなってきたの」
「じゃあオレも水汲みに行ってくるよ」
「いや、酷吏に任せ…って、もう居ない」
藤丸立香は壺を持って海辺に走っていた。
『逃げられましたね陛下』
『陛下とマスターの二人っきり作戦失敗ですね』
『我らがいる時点で二人っきり作戦でもないすけど』
『この状況だと楊貴妃様の方に行きましたね。敵に塩送ってます』
「五月蠅いぞお主ら。それに敵に塩送っておらんわ!!」
召喚した部下にツッコミを入れられる武則天であった。
「水汲み水汲み…あ、ユウユウいた」
先に水汲みに言っていた楊貴妃を見つける。
「あ、マスター」
「サボり?」
「そんなんじゃないですよー」
「本当~?」
「本当ですよ。だってサボったら不夜奶奶に拷問されますので」
「ああ…」
茶化したつもりがマジな返答が返されたので苦笑い。
武則天なら楊貴妃を笑顔で容赦なく拷問しそうである。
「もう何度もされてます」
「何故、何度もされてるのに反省しないの?」
「不夜奶奶を揶揄うのが可愛いので!!」
「やっぱユウユウってイイ性格してるよね」
楊貴妃が武則天に拷問されるのはイジメではなく、当然の報いだったようだ。
「ところでマスター」
「なに?」
藤丸立香は壺に海水を汲む。
「マスターはこの外史世界でどれだけ女の子をモノにしたんです?」
「その話まだ続くのぉ!?」
水上騎馬戦での話の続き。楊貴妃にとっては大事な話らしい。
「だってだってマスターこの世界に来てから異様に女の子たちとの関係が多くなってるんですもん」
「そ、そうかな?」
「そうですよ。カルデアで新たな女性(英霊)と契約しては関係性を濃く深くしていく時よりもこっちの世界で女の子とズブズブなる方がペースが早いです」
「いや、言い方ぁ!?」
楊貴妃の言い分も分かる。
藤丸立香は三国志の外史世界で蓮華たちと絆を深めていく。それは人の見方によっては不特定多数の女性たちと仲良くなってはハーレムでも作ってんのかと言いたくなるほどだ。
彼を想う人物からしてみれば気が気でない状況だ。ただでさえ、孫呉の種馬任命されたり、蜀や魏の何人かとも良い関係や爛れた関係になった等と変な噂も聞く。
「で、どうなんですか」
「どうなんですかって…」
「実際にマスターはどれくらい女を増やしたんですか。なんなら絆レベル超臨界点突破をした方たちは誰ですか!!」
「絆レベル超臨界点突破って何!?」
新たに出来た『絆レベル超臨界点突破』という言葉。何となくだが隠語にも聞こえる。
(まず確定しているのは孫呉の人たちなんですよね)
孫呉の種馬に任命されている藤丸立香。
仕事(役目)をしたという話しは噂でも聞かないが孫呉の面々と絆を多く深まているのは事実。
特に蓮華たち孫親子を筆頭に呉の中核となる者たちとは濃ゆいくらい親密になっているのだ。
この状況に楊貴妃は色々と危機感は募らせている。故に自分自身も大胆に動かないといけないと。
「マスターはバレンタインの時の事を覚えてます?」
「もちろん。覚えてるよ」
バレンタインはとても大切な思い出の1つだ。英霊たちとより絆を確認し合い、深め合うものなのだから忘れるわけがない。
楊貴妃ともまたバレンタインを一緒に過ごした仲だ。
「マスターは複数の英霊たちと比較しても自分の方が上だと言い切りましたね。例えばユウユウよりも美形と言ったり」
「ぐはっ!?」
「アタランテ様よりも足が速く、ナイチンゲールさんよりも優しい」
「うぐう!?」
「ホームズさんより賢いし、ヘラクレスさんよりも強いと」
「あがぁ!?」
バレンタインで楊貴妃と過ごした日は忘れない。しかし大胆にヘラクレスよりも強いとか言い切ったのは後々から恥ずかしく、黒歴史ものだ。
「そこの部分だけはカットしてくれないかな…」
「いやです。その部分も含めて良い思い出ですので」
思い出して顔が羞恥で赤くなる。楊貴妃を元気づかせるためとはえ、とんでもない大見栄を言い切ったものだ。
名を挙げられた英霊たちがもしも聞いたとしても怒りはしない。恐らく生暖かい目をしたり、微笑んだりするかもしれない。
もっともアタランテの場合は「プロポーズ!?」と誤解されるかもしれないが。
「うふふ。あの言葉はユウユウもポカンってしちゃったけど」
「うぐぐぐぐ」
「でも嬉しかったんですよ」
楊貴妃の気持ちは真実だ。本当に嬉しかったのである。
マスターである藤丸立香は楊貴妃の悩みを肯定し、有り方も肯定した。
過去の犯した罪。そんな罪人である彼女が言う我儘すらも受け入れてくれた。うわべだけでなく、本当に受け入れてくれたのだ。
そんな人間である彼に興味を引かれ、絆を深めていくにつれて想うようにすらなったのである。
古参の英霊たちから「マスターに絆される」という言葉を時折聞くが、良い意味で本当であったのだ。故に彼は様々な人・英霊から気に入られるのが分かった。
(だからマスターを本当に想う人が現れるのも分かります。ユウユウもそうなのですから)
バレンタインで楊貴妃は我儘を言った。そして悩みも吐露した。
己は魔性の女であり、傾国させる力を持つ。意図的に傾国させているわけではなく愛する人の為の献身によって滅ぶ。
悪意なく、愛の為なのに何故か愛する人や国が滅びに繋がる。故にカルデアでは心に枷をつけ、心の鼓動を抑えた。
バレンタインでは傾国の女としての楊貴妃としてではなく幼馴染のような関係として、楽しみたかったのだ。
バレンタインだったからか、勢いのままだったかが分からないが楊貴妃はそこで悩みと我儘な願望を吐露してしまった。
藤丸立香はそんな悩みと我儘を当たり前のように受け入れてくれたのだ。そして藤丸立香がいればその程度のことで再び悲劇を繰り返すことは無いと励ましてくれた。
自分の心を抑えなくても良い。もしも暴走しようとも止めてみせる。だから本来の自分で過ごしていいのだと、そんな自分を誇っていいのだと教えてくれたのだ。
(だからあたしは)
そんな事を言うマスターである藤丸立香に想うようになった。彼は邪神でも天子様でもない。たまに重なってしまうがマスターはマスターで、藤丸立香は藤丸立香だと想っているのだ。
「ねえ、マスター。バレンタインの時にあたしが言った事を覚えてます?」
「ユウユウが言った事…」
彼女は藤丸立香にこう言った。「私はとても欲しがりで、嫉妬深いですからね」と。
バレンタイン時で女性が目の前の男性にそんな事を言う。これはからかいや冗談で言うような台詞ではなく、明確な好意を伝えている。
更に彼女は他にも『自分の笑顔がマスターの笑顔になる事が嬉しい』と言っていたり、『一緒に温泉に浸かりながらお饅頭を食べましょう』とかも言っている。
特に気にならない人と温泉に一緒に入ろう等と普通は言わない。藤丸立香が難聴系野郎や鈍感系野郎じゃなければ楊貴妃の言葉の真意に気付けるものだ。
「覚えてるよ」
「忠告しましたよね?」
「え、忠告?」
バレンタイン時のあの台詞は告白ではなく忠告である。
楊貴妃は間合いを一瞬にして詰めて、藤丸立香の正面から抱き着いた。
「わ!?」
いきなりの事すぎで対応しきれなかった藤丸立香。
真正面から楊貴妃の甘い香りと柔らかな感触が地肌に直で伝わってくる。夏の暑さなのか楊貴妃の体温なのかもう分からなくなるくらい身体が熱くなる。
海の中にいるからこそマシだが、もしも海の外であったら燃え上がるかもしれない。心臓の鼓動が早くなり、音すらも大きくなっているのが良い証拠だ。
「ちょっ!?」
「覚えてるならいいですよね?」
楊貴妃は嫉妬深く、とても欲しがりなのだ。
彼女自身も今の自分の大胆な行動に驚きである。多々大胆な行動をしてこなくはなかっただが今のような行動は無かった。
これも夏や水着の影響かもしれない。まるで夏の魔力にでも当てられたのかのようである。
ただ夏の魔力という線は否定できず。水着サーヴァントになった者たちは通常時よりも大胆になるのだから。
もしくは本当に別の要因があるのかもしれない。楊貴妃は夏の魔力とはまた何か違うナニカがあるのではないかと少し思っているが分からない。もしくは今はどうでもいい。
「ユウユウはマスターの事が好きです」
「ユ、ユウユウ」
「返事はまだしなくていいです。言いたい事を言いたかったんです」
抱き締める力が強くなる。
「ただ…前にも言った通り、ユウユウは嫉妬深くて欲しがりなので」
密着する力がより強くなる。胸板に柔らかい感触が広がる。甘い香りが海の匂いと混ざる。
楊貴妃の熱を帯びた視線が突き刺さる。彼女の顔が近づくと彼女が何を求めているのか分からなければ藤丸立香は男ではない。
「ユウユウ。その…」
「ずっと我慢してたんですよ。カルデアだと色々と戦争が起こりますから」
冗談ではなく、本当に起こる可能性があるから笑えない。誰か1人でも動けばカルデアで保たれて来た均衡が崩れるのだから。
「でもこの外史世界に来てから我慢ができなくなったというか…大胆になった人たちはいます。それはあたしも含まれるんですけどね」
秦良玉や武則天が最たる例かもしれない。もしかしたら他の者たちも胸に燻る火種が燃え上がっているかもしれない。いずれ動き出すかもしれない。
(遅れるわけにはいきません)
もう楊貴妃と藤丸立香の顔は目と鼻の先くらいの近さである。
お互いの身体はもはや隙間が無いくらい密着している。太陽の熱さとお互いの体温で汗が滲み出る。汗だらけの身体が密着すると不快だが今はそれどころではないし、不快とも感じない。
普通の男であったら楊貴妃のような美女に密着されたら我慢できるはずがない。人類最後のマスターでも我慢出来ないかもしれない。
「マスター…」
ここまできたら逃げられるはずが無い。誤魔化す事も出来ず、ここで日和るのであれば楊貴妃にも失礼だ。
お互いに紅潮する顔。熱が帯びる目。ゴクリと唾を飲んでしまう。
「ん…」
「ユウユウ」
近づく唇。大胆に静かに水着が乱れてしまう2人であった。
2046
各陣営が自由に好きなサンドアートを作っていく。
想像力と器用さと大胆さでサンドアートには必要だ。どの陣営も、その三要素は持っているので凄いサンドアートが出来上がるかもしれない。
「やっぱり砂で人を作るって難しい。特に自分自身となると…妥協するか。いや、妥協は駄目だな」
「あぁ、崩れちゃった」
「もう少し水を足しましょう桃香様」
「砂と泥をぺたぺたぺたなのだ」
北郷一刀たちは各々が自分を模したサンドアートを作っている。
「更にここから自分の武器も作るのですからより難しいです」
「四体の並び方は大丈夫そうだな」
「武器を持たして腕を伸ばす形を作るの難しいよ~」
「枝か何かで骨組みを作ろうか」
凝るのであれば武器の細部まで砂で作る。蜀陣営は自ら高難易度のサンドアートを作ろうとしている。
「あっ、俺の顔が崩れた」
「お兄ちゃんの顔が!?」
「いや、砂の方な」
「あ、私のお腹に穴が空いちゃった」
「桃香様の腹部に穴が!?」
「いや、愛紗ちゃん。砂の方ね」
ワザとオーバーリアクションをして笑い合う北郷一刀たちであった。
「秋蘭。追加の水を!!」
「任せろ姉者!!」
「うおおおおおおおおお!!」
魏陣営では春蘭と秋蘭がガチでサンドアートを作成していた。
春蘭は大胆で大雑把というのが大体の人の評価だ。故にサンドアートのような事は苦手と思われてしまう。
しかし彼女はある分野というか人物に関わると才能を開花させる。絶対に素晴らしき物を完成させるという本気度が見える程だ。
「秋蘭。もう少し短い枝はあるか!!」
「これでいいか姉者?」
「完璧だ秋蘭。コレが欲しかった!!」
「他に欲しい物はあるか?」
「後はそうだな…」
春蘭は秋蘭に欲しい具材を伝えていく。
「うおおおおおっ妥協はせん。本物の足元にすら及ばずとも…華琳様を不快にさせないくらいの完成度にせねば!!」
「姉者、それと」
「ああ、必ず我らの作品が一番になる程の完成度にするぞ!!」
「ああ!!」
彼女たちからは燃え上がるような闘気が滲み出ていた。否、発せられていた。
これを本気と書いてガチと読むと言わず、何と言うのか。まるで戦に臨むかのような気合である。
「春蘭、秋蘭。良さそうな貝殻があったわよ」
「流石です華琳様!!」
「何だか二人とも凄い気合ね」
「「それはもう勿論」」
夏侯姉妹がどのようなサンドアートを作っているのが何となく分かる。
絶対に妥協出来ないし、変な物を作ろうものなら夏姉妹は自分の首を刎ねるはずだ。特に春蘭は。
(……やっぱ許可しないで別の物を提案すれば良かったかしら?)
今、作成しているサンドアートが悪いわけではないのだがニ人の気合にちょっとついていけない。
春蘭の提案を許可したのは華琳自身なので今さら別に変更しようとは言えない。少しだけ疎外感があると思う華琳であった。
「だいぶ完成してきたわね」
「明命。もう少しそっちを綺麗に削るんだ」
「はい。お任せください。ショリショリ」
呉陣営のサンドアートも良い仕上がりだ。後は調整し、出来栄えを上げていくだけである。
「…もう少し胸部を大きくしてみるか?」
「これ以上大きく!?」
何故か明命が反応した。
「いえ、これくらいでいいんじゃないかしら」
「ならお猫様を左右に作りましょうよ」
「猫よりも虎の方が似合うんじゃないか?」
「そうね。猫よりも虎ね」
「お猫様を作りたかったです…」
残念がる明命に見かねて蓮華は猫も添える事にした。
「やったー!!」
「じゃあ私と思春で虎を作るから。明命は猫をお願いね」
「お任せを!!」
新たに虎と猫のサンドアートを作っていく呉陣営。
「お猫様 お猫様 お猫様 お猫様 お猫様~」
「ちょ、明命作りすぎ作りすぎ」
砂浜に猫のサンドアートが大量生産ならぬ大量作成されるのであった。
「ふんふんふ~ん」
沙和は鼻歌交じりでサンドアートを作っていく。
「おりゃあああ。螺旋槍!!」
「真桜ちゃんこっちも頼むのー。細かい所は沙和に任せるの」
「任しぃや」
真桜のドリルで砂を削っていく。
大胆に砂を削るのであれば真桜の武器はとても有用である。
「沙和。海水汲んできたぞ」
「ありがとなの凪ちゃん。そっからぶっかけて欲しいの」
「よしきた」
壺に入った海水を指定された箇所にぶっかける。
「ぺたぺたぺた。ザクザクザクっと~」
曹魏三羽烏陣は順調にサンドアートを作成している。
「ここの角度はこれでいいか?」
「いいのー」
「四本の腕はこんなもんか」
「下半身部分は絶対に沙和が完成させるのー!!」
どの陣営のサンドアートは完成しつつある。
全てのサンドアートが完成したら全員で鑑賞会だ。
「遅いっ、遅いぞマスター、楊玉環!!」
「ごめん武則天。実はサンドアートに使えそうな貝殻とかあって」
「申し訳ありません。遅れてしまいましたけど良い材料がありましたから」
藤丸立香と楊貴妃は壺に入った海水にサンドアートに仕えそうな枝や貝殻を回収してきたのだ。
「…………………」
ここで武則天は女の勘というものが働いた。そして観察する。
「のうマスター、楊玉環」
「何かな武則天?」
パシンと鞭で手を軽く叩く。
「そこになおれ」
「「え」」
「酷吏よ。2人を拘束せよ」
『『『アイアイサー』』』
「「ええ!?」」
酷吏たちに拘束され、縛られる藤丸立香と楊貴妃。
「色々と聞きたい事がある。妾が頑張って砂山を弄ってた間にどうやら色々と楽しんだみたいだのう?」
「そ、そんな事はないよ!?」
「違います。何も無かったですよ~!?」
「安心しろ。拷問してから聞いてやる」
「普通は拷問を逃れるために口を割るように言うところじゃないの!?」
サンドアート鑑賞会の前に武則天による拷問ショーが開催されるかもしれない。
2047
ついに各陣営のサンドアートが完成した。
これから各陣営が作成したサンドアートのお披露目である。
「さあて。一刀はんや桃香さまたちは何を作ったんや~?」
まずは蜀陣営からお披露目である。
「これがわたしたち作ったモノです」
「力作なのだー!!」
蜀陣営が作成したサンドアートは『桃園の誓い』である。
桃香、愛紗、鈴々、北郷一刀が桃園で誓い合ったシーンをサンドアートにしたのである。
少しアレンジされているのか持っているのが酒ではなく、武器というところだ。
「へえ。貴女たちそんな誓いなんてしてたのね」
「うん。そうなんだよ華琳さん。これがわたしたちの始まりなの」
蜀の始まり。
そう聞いて華琳は何か思うところがあるのか少しだけ感慨深そうな顔になった。それはきっと魏にも始まりの何かがあったという事である。
「よく見ると一刀さんの砂象の顔がちょっと変なの」
「頑張って作ったんだけど。俺だとそれが限界なんだよな」
「あ、下半身のは大きくしすぎ。見栄張り過ぎなのー」
「え…あれえ!?」
北郷一刀の下半身が何故か盛られておっきくなっていた。
「俺こんなの作ってないんだけど!?」
チラっと桃香、愛紗、鈴々の方を見るが誰も犯人ではなさそうであった。
「誰だ盛ったのコレ!?」
クスクスと笑われるのであった。
「それなら桃香の砂象だけど…お腹周りがすっきりしてるわね」
「ギクゥっ!?」
「桃香…貴女ねぇ」
「いいじゃないですかー!!」
どうも自分の砂像を作る時は色々と盛ってしまうかもしれない。
桃香の場合は減らしたと言うべきか。
「鈴々ちゃんのはちょっとお胸盛りすぎじゃないですかね。というか身長も違うような」
明命が鈴々の砂像にツッコミを入れた。
「そんな事ないのだ。これは鈴々の大きくなった姿なのだ」
「えー…」
鈴々の未来の姿。意外にも可能性があるので馬鹿には出来ない。
「真面目に作ったの私だけですか」
特に盛る事なく自分の砂像を作ったの愛紗のみであった。
「桃香様たちの作品は素晴らしいものですね」
「蜀の絆を感じる作品ね」
凪も蓮華も真正面かた評価するのであった。
「次は我々の番だな!!」
次は魏陣営。
春蘭と秋蘭は自信満々に作成した作品の左右に仁王立ちで立っていた。
「へえ、華琳が作った作品は………華琳なのね」
「春蘭が張り切って作るならそうだろうと思ってたけど予想通りじゃん」
夏侯姉妹の真ん中には華琳の砂象が堂々と完成させられていた。
「めっちゃ凄いデキじゃん」
「当然だ!!」
「しかし、これでもまだ納得がいっていないのだがな」
「これで!?」
夏侯姉妹の作品は凄いデキであるが、本人達からしてみればまだまだ不満らしい。
「華琳様を完璧に作る事は出来ん。しかし不出来な物を作るわけにもいかない……時がまだあるのなら色々とまだ修正したかったぞ!!」
「うむ。まだまだ顔の輪郭やおみ足部分等を直したいのだ」
「いや、十分すぎる完成度だけど」
華琳の砂像はもはや芸術作品である。
「ああ言ってるけど華琳?」
「春蘭も秋蘭も職人気質なのよ。だから2人が何を作らせてもとんでもない物を作るわよ?」
「いえ、たぶん貴女のだからだと思うわよ?」
華琳が関わればどんな作品も芸術作品にするはずの夏侯姉妹。
「流石は春蘭様やなー」
「ぬ。奴の忠誠心はここまでの作品を造り上げるのか」
「く、私も桃香様への忠誠心は誰にも負けん。私もあれほどの作品を次こそは作ってみせる!!」
華琳の砂像は完璧だった。
「次はウチらの番やー!!」
曹魏三羽烏の作品のお披露目。
「沙和たちの作ったのはコレなのー!!」
「頑張りました」
砂浜に創造されるは『絡繰り夏侯惇』の砂像であった。しかも色々とパワーアップしている。
「これ私か!?」
「何故に絡繰り夏侯惇…」
「しかも色々と強化されてるぞ」
曹魏三羽烏の3人は何を作ろうかと検討した際、真桜は何が何でも絡繰り夏侯惇を題材として出したのだ。
彼女の我儘が通り、絡繰り夏侯惇の砂像を作成する事が決定したのである。ただ本当に『絡繰り夏侯惇』の砂像ではない。本当にパワーアップしているというか魔改造されている。
「丹精込めて作った絡繰り夏侯惇の砂像を作ったんや!!」
「なんか腕が左右含めて4本あるぞ」
「項羽はんを参考にしたんや」
「下半身が馬なのだ」
「項羽はんを参考にしたんや」
「鎧の形に見覚えがあるな」
「項羽はんの鎧を参考したんや」
「額部分に角っぽいのがあるけど」
「項羽はんを参考にしたんや」
「もうほぼ項羽じゃねえか」
項羽警察の虞美人が出動するかもしれない。
「ウチの夢は絡繰り夏侯惇と項羽はんの合体や。これは前段階の前段階の前段階。やっぱ合体は浪漫や」
「それ虞美人に聞かれたら殺されるんじゃない?」
絶対に虞美人は怒って真桜をぶちのめしにくるかもしれない。
「沙和も虞美人さんに怒られると思ったけど作るのは楽しかったの」
「私も久々に楽しめましたね」
沙和と凪は何だかんだで楽しめたようだ。ただし虞美人に後で絞められる真桜だけにしてほしいと思う二人であった。
「次は私たちね」
孫呉の作品もまた凄いデキであった。華琳の砂象にも負けず劣らずである。
作成された作品は炎蓮の砂像である。真横には虎の砂像も配置されており、周囲には猫の砂像もたくさん配置されていた。
「ふっ、私が作った華琳様の砂像に及ばん」
「炎蓮殿の荒々しさをよく表現できてるね」
「やはりデカイ…!!」
「虎の砂像も良いデキなの」
「猫の砂がいっぱいだな」
「お猫様はいっぱいは良い事です」
桃香が言った感想のように炎蓮の砂像は雄々しさと荒々しさをよく表現出来たモノであった。
躍動感もあり、今にも動き出しそうである。隣に作られた虎の砂像もマッチしている。たくさんの猫の砂像は少々ミスマッチな気がするが。
「蓮華のを作らなかったのね」
「最初は作ろうとしましたが蓮華様が炎蓮様のをとなりましたので」
(私の砂像を作られるのは恥ずかしいし…)
蜀、魏、曹魏三羽烏、呉の作品と続き、最後はカルデアの番である。
「最後は立香たちの作品だよな。そういえばさっきから立香たちがいないけどギリギリまで作ってんのか?」
藤丸立香たちがいる箇所へと移動する北郷一刀たち。そして到着した瞬間に圧倒的な迫力と意味不明さで混乱するのであった。
「「「なにこれ?」」」
チェイテピラミッド姫路城。
カルデアがハロウィン時に遭遇してしまった違法建築物。
文化遺産をこれでもかと冒涜してしまった存在物。これは各国の偉い人たちに申し訳ない。もしも各国の偉い人達に見られたら絶対に怒られる。
怒られるというだけで済まされるのか分からないものだが。
「…………これは本当に何?」
「城…ですよね?」
「こんな城は見た事ないわよ?」
「なんなんコレぇ!?」
「「………ぽけー」」
「あ、明命が宇宙猫みたいになってる」
「姉者も…北郷の言ううちゅう猫になってる…のか?」
「凄いの…凄いの?」
「たぶん凄いんだと…思うのだ?」
蓮華たちはチェイテピラミッド姫路城の存在感に呑まれ、混乱していた。そして全員が引きつったような表情になった。
「…まさか、これが立香が言っていたチェイテピラミッド姫路城……なのか?」
北郷一刀は以前、藤丸立香が何とも言えないような顔で話してくれたのを思い出していた。最初は「立香。君は疲れてるんだよ」とマジレスしたがどうやら真実らしい。
何故か怯えては楽しそうにハロウィンの話しをしている姿に少しは戸惑ったものだ。それでも藤丸立香にとっては忘れられない思い出らしい。
「知ってるのご主人様?」
「ああ。これは俺らの世界の…」
「え、天の国の城なの!?」
「天の国にはこんな城が…」
「やはり天の国は凄いところなのね?」
「いや、あるんだけど無いんだが…ああもう説明が出来ねえんだけど!?」
チェイテ城、ピラミッド、姫路城は北郷一刀の世界にも存在する。しかし悪魔合体したかのようなチェイテピラミッド姫路城なる違法建築は存在しない。
存在するのは藤丸立香が言う特異点でしか存在しないのだ。この説明が北郷一刀でも出来ない。カルデアはなんて物を作ったんだとツッコミを入れたい。
「これどうやって建てたんだろう……うう、意味が分からないよ」
「城攻めするとしたら…どうやって…………意味分からないんだけど」
「桂花と真桜が作った投擲兵器でも厳しいんじゃないかしらコレ。意味不明なんだけど」
華琳たちはどうやって建築したのか、どうやったら城を落とせるのかと考えるが途中でチェイテピラミッド姫路城の存在感が思考を邪魔する。
もはやチェイテピラミッド姫路城は人の脳に影響して思考を放棄させるような力でもあるのかと疑ってしまう。
「この作品の説明は立香にしてもらわねえと分かんねえ。おーい立香は何処だー!!」
作品は目の前に存在するのに製作者達がいない。
「一刀…こっちー…」
「お、立香の声が向こう…か…ら」
藤丸立香の声が聞こえた方に視線を移すと、煮えたぎった湯が入った大壺の上で縛られ、吊るされた藤丸立香と楊貴妃がいた。
「何でそうなってんの!?」
「ちょ、立香!?」
「ユゥユゥちゃん!?」
チェイテピラミッド姫路城の存在感に加え、拷問ショーの見世物になっている藤丸立香と楊貴妃に更に混乱する。
「た、助けてくださーい桃香ちゃん!!」
「え、どうして。どうしてこんな事になってるのユゥユゥちゃん!?」
意味が分からない状況が続いている。もはやサンドアートどころではない。
サンドアートとしてチェイテピラミッド姫路城を作ったのにこれ如何に。
「こ奴らは妾一人だけに仕事させ、馬鹿な事をしていたようでの。しっかりと罰を与えているところじゃ」
サンドアートは皆で作るもの。
二人は武則天に結果的に一人でサンドアートを作らせてしまった。「酷吏がいるので一人じゃないだろ」という言い訳は潰される。
酷吏がいようとも実際に二人がサボって武則天だけにサンドアートを作らせたのは事実である。故に藤丸立香と楊貴妃に擁護は無い。普通に二人が悪いし、罰は当然である。
『えいえい』
『つんつん』
酷吏たちが吊るされている藤丸立香と楊貴妃を棒か何かで突く。
「あう」
「あん」
ツンツンと突かれて揺らされる。その姿は滑稽であった。
「「そして熱ぅーい!?」」
下は煮えたぎっている湯が入った大壺。
「楊貴妃さんは武則天を揶揄ってお仕置きされてんのはたまに見かけるけど立香まで何やってんだよ」
「色々とあって…」
何を仕出かしたか言わない藤丸立香は「いやあ…ちょっと」という顔をしていた。これには「ん?」と思う北郷一刀であった。
「ねえ武則天」
「何じゃ孫呉の王よ?」
「流石にやりすぎじゃ…」
「こやつら2人はどうやら熱ぅい逢瀬を交わしてたようでな。…それをお主も妾の立場でやられたらどうじゃ?」
「それは処罰ものね」
目が笑ってない蓮華。武則天の言葉の真意を理解したので拷問ショーに同意した。
「「あちちちちちちちち!?」」
吊るされてるニ人が煮えたぎっている大壺に少しだけ降ろされた。
「本当に何をしてるんだよ立香は…」
「いやあ…ちょっと。熱っ!?」
恐らく北郷一刀も藤丸立香と同じ立場だったら「いやあ…ちょっと」と言うはずである。
何はともあれサンドアートから武則天の拷問ショーになってしまった。
「サンドアートどころじゃねえじゃん」
笑えるんだか笑えないんだが。しかし賑やかなのは確かであった。
『陛下が忙しそうなので私が説明しますー』
「え、あ、はい」
何故か1人の酷吏が北郷一刀たちに近づいてきてチェイテピラミッド姫路城(サンドアート)を説明し出す。
(あれ。武則天の酷吏ってこうも喋れたんだ)
サンドアートの説明よりも酷吏が意外に感情豊かというか会話が出来たのに少し驚いた。
『作品の正式名称は超絶縦長魔城 チェイテピラミッド姫路城です』
「正式名称あったんだ。そしてこれほどまでに超絶縦長という言葉が似合うものなんだな」
『略してチェピ路城』
「「「チェピ城」」」
『チェイテピラミッド姫路城は違法建築です。それを表現しました』
「見りゃ分かる」
『チェイテ城の上に逆ピラミッドが突き刺さり、更に姫路城が乗っかています』
「それも見りゃ分かる」
懇切丁寧に説明されている。説明されなくても分かる部分があるのだがチェイテピラミッド姫路城の存在感に呑まれて分からなくなる時が時折あるのが不思議だ。
『チェイテピラミッド姫路城は人の記憶を奪います』
「「「怖っ!?」」」
『実際に陛下の共同統治者であるマスターが記憶を一部失いました』
「マジかよ!?」
『チェイテピラミッド姫路城はしぶとい』
「「「しぶとい?」」」
チェイテピラミッド姫路城は何故か様々な特異点内に幾度も再出現を繰り返しており、一向に完全消滅の気配が見えないくらいしぶといのだ。
華琳たちは城攻めが困難な意味という意味で捉えた。実際如何に城攻めしようかと考えた時、作戦が思いつかない程だ。
『でも観光名所になってます』
「観光名所になってるんだ…」
『そしてこればかりはと再現できなかった要素があるのですが…』
「再現できなかった要素?」
『チェイテピラミッド姫路城は…飛びます』
「「「飛ぶの!?」」」
全員が破顔した。そして信じられない顔をしている。
チェイテピラミッド姫路城が飛ぶなんてあり得ない。藤丸立香たちカルデア勢であっても、そんな事を聞かされても信じない。
本当に飛んだ光景を見るまでは。チェイテピラミッド姫路城が飛ぶ光景はまさに奇跡と絶望が混じったかのような状況であったのだ。
「「「もう本当に意味がわからない」」」
サンドアートであるがチェイテピラミッド姫路城は三国の者たちでさえ混乱させるのが証明された。
これが実物であったら北郷一刀や桃香たちを更に驚愕させるはずだ。気絶するか、何なら適応して芸術性を見出すかもしれない。
「なんや藤丸はん達が全部持ってったなー」
チェイテピラミッド姫路城の存在感に勝てる建造物は三国外史世界に存在するのか。そもそもカルデアでもチェイテピラミッド姫路城を超える建造物がこれから現れるのか。
そればかりは誰も分からない。これにて皆のサンドアート発表は終了だ。砂遊びも久しぶりにやってみるのも楽しいものだった。
サンドアートはどの陣営が一番かは決められなかったが記憶に焼き付いたのはカルデア陣営の『チェイテピラミッド姫路城』であった。
「これにてウチらとの鍛錬は終了や。次が待ってるでー」
「鍛錬だったどうか微妙でありましたが少しでも『技』に昇華されたのなら成功です」
「楽しんでもらえたのなら良かったのー!!」
第二陣である曹魏三羽烏のサマーレクリエーションは終了である。
まだまだ海での楽しみは続く。
読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も未定です。
2045
始まった「さんどあーと大決戦!!」
まあ、大決戦しませんでしたけど。
ここの段階で藤丸立香たちが何を作っているか分かってしまうでしょう。
藤丸立香×楊貴妃のカップリング話。
やっぱカップリングの話を書くのは難しいですね。
また賛否両論かもしれません。でも私はこのカップリングも好きです。
2046
各陣営がサンドアートを作っている場面です。
各陣営ともに何を作っているのか分かりましたかね?
まあ、沙和たちの作品は分からないでしょうけども…予想外のものなので。
次の場面で答え合わせです。
そして戻って来た藤丸立香と楊貴妃は武則天に拷問されます。
擁護はできませんね。
2047
各陣営のサンドアートの発表です。
蜀陣営は『桃園の誓いーこれが私達の始まりー』
魏陣営は『華琳様ーこれでも本物には及ばないー』
呉陣営は『炎蓮ー虎と猫を添えてー』
曹魏三羽烏は『絡繰り夏侯惇将軍ー項羽合体形態(ほぼ項羽)ー』
カルデアは『超絶縦長魔城 チェイテピラミッド姫路城ー脳が理解を拒むー』
こんな感じでした。
やっぱチェイテピラミッド姫路城は凄いんよ。
もう何度擦っても飽きない味がします。