Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
今回のイベントである「春の終わりに君を待つ」。
またも素晴らしい物語でした。
最後の「家族の再会」に関しては涙が…最近は涙腺が緩くなってもう駄目な作者です。
でも感動したんだからしょうがない!!
後は素材回収のための鬼周回だ!!
そして今年の水着イベントが気になりますね。
だって冬と春が終わって夏が来るんですから!!
2052
危険すぎる彩玉(ビーチバレーボール)が開始させられた。
敵の固有結界によって閉じ込められ、圧倒的に不利な状況。変に独断で動くと「罰則」という名の電撃が放たれる。
ほぼほぼ必中で直撃するので回避が出来ない。まさに敵の掌の上状況である。
「サア 彩玉選手共。死闘場ニ 降リ立ッタナ!!」
「どっちかと言えばテメエに送り込まれたようなもんだぞ。勝手に組を決めやがって…」
「始メル前ニ 最後ノ 競技説明ダ」
「聞けよ」
既に五面コートに立つ藤丸立香達や獄夏鬼達。
「死闘場ニハ 五組。彩玉ノ 打ツ順番ダガ」
通常の二面コートであれば交互に打ち合う。
今回の五面コートも同じように交互に打ち合う。しかし連続で同じ組に彩玉を打ち合う事は罰則となる。
例えばA組がB組にボールを打ち、B組がA組に打ち返すのは通常通りだ。その次はA組はB組には打ち返す事は出来ず、C組・D組・E組のいずれかに返さねばならない。
C組にボールが来た場合、D組・E組のいずれかに打ち返す。必ずボールが五組一周出来るようにしなければならない。
これもボールが公平に五組に通るようにする為であり、一組に集中砲火させない為でもある。
「おい。コレそっちが有利で、こっちが不利だろ」
鬼側は一組。北郷一刀側は四組。鬼側が集中砲火されない為のルールのようにも聞こえる。
「ソンナコトナイゾ」
「オイオイ。ソレヲ 言ウナラ コッチハ 俺ラ 一組。ソッチハ四組。コノ段階デ 俺ラガ不利ダロ?」
「計五組で俺ら四組をそっちが勝手に決めたんだろ」
五面コートにしたのは鬼側だ。そして三国側の四組を強制的に決めたのも鬼側。
「全部そっちが勝手に決めてんだろーが」
「待って一刀」
「立香?」
藤丸立香が北郷一刀の文句を止める。
「彩玉が五組に一巡するように打てばいいんだよね。打ち方に強弱は関係無い」
「ソウダ。ソレハ 罰則ニハ ナラナイ」
新たな説明に対して質問。そして回答を得て頷いた。
「大丈夫。今のルールだと敵以外ならばボールを打ち返しやすいように打てばいいんだ」
「なるほどな」
鬼側に対して思いっきり打ち返せばいい。対して仲間にはパスする程度にボールを打てばいい。
「反則じゃないよね?」
「ウム ソレモ 罰則ニハ ナラナイ」
ルールを確認し、工夫して戦えば敵の掌の上であっても戦える。
「サテ 先制ハ 夏鬼・獄夏鬼カラ」
彩玉が獄夏鬼に渡される。
「クックック。俺ノ球撃デ 早速 終ワラセテヤルゼ」
獄夏鬼は妖気を発し、彩玉に込める。
「カッコイイ トコ 期待シテルワヨ 獄夏鬼」
「任セロ 夏鬼」
彩玉を真上に投げて、獄夏鬼も勢いよく跳ぶ。
「オラアアア!!」
いきなりのアタック。始めの狙いは武則天・華琳組であり、特に華琳狙いだ。
三国の中でも魏は特に強大だ。魏の王を倒せば魏はほぼ瓦解する故の狙いである。
「私狙いか」
「任せよ。酷吏たちよ」
武則天による酷吏召喚。
三人の酷吏が打ち込まれた彩玉をレシーブし、真上に打ち上げる。
「ナイス 酷吏たちよ。華琳」
「任せなさい」
絶(夏仕様)を構えて、闘気を発する。
「はあ!!」
絶(夏仕様)によるスパイク。狙いは仕掛けてきた獄夏鬼。
やられたらやり返すという事だ。
「ヤルジャネエカ」
アンダーハンドパス(レシーブ)で同じように彩玉も真上に高く打ち上げる。
「マアマア ナ 球撃ダッタゼ。シカシ 軽イ軽イ!!」
「ソノ前ニ 赫怒鬼」
「何ダ 夏鬼?」
「アノ 餓鬼ガ 召喚シタ アイツラ 反則ジャナイノ?」
夏鬼の指摘は武則天が召喚した酷吏たち。
これは人数を増やしているという事で反則ではないかという指摘だ。
「酷吏は妾の召喚した手足のようなものじゃ。反則じゃない」
「人数ガ 増エテイルンダカラ 反則デショ」
「反則ジャナイ。ソノ者ガ言ウヨウニ 召喚シタ者ハ 召喚者ノ 手足トイウ扱イダ」
セーフ。しかし常時召喚したままは反則となる。攻撃・防御の際の召喚は罰則にはならない。
「チッ」
「夏鬼。彩玉ヲ!!」
「任セナサイ!!」
彩玉は高く打ち上がっており、重力によって落ち始めた。鬼の脚力で空高く跳ぶ夏鬼。
「天ノ御遣イ 北郷一刀!!」
「え、俺!?」
「ウッフ~ン」
空中で夏鬼はセクシーポーズを取る。
「え?」
「隙アリ!!」
一瞬呆けた北郷一刀。そしてスパイクされる。
スパイクされた彩玉は北郷一刀に目掛けて向かってくる。
「いっ!?」
「隊長!!」
凪が北郷一刀の前に出て放たれた彩玉をレシーブ。
「ふんっ、ぐぐぐ…はあ!!」
彼女もまた彩玉を空高く打ち上げた。
「無事ですか?」
「ああ、助かった。それとだから何で隊長?」
「あれ…何ででしょう。やっぱろしっくりくるので」
「まあ、凪がそれでいいなら」
凪だけでなく真桜や沙和も時折、「隊長」と呼んでくる。
全員が何故かしっくりくるとの事。北郷一刀でさえ、しっくりくるのだから本当に不思議である。
「チッ。防セガレタカ」
「おい。さっきのは何だったんだよ」
先ほどの事とは夏鬼が空中でセクシーポーズを取った事だ。
「フフフ。何トハ…何ヲ言ッテルノ。貴方ハ 私ノ美貌ニ 目ヲ 奪ワレタ ダケジャナイ?」
「は?」
夏鬼が空中でセクシーポーズを取ったのは北郷一刀を誘惑させて油断させる事だ。油断させ、隙を作り、彩玉で叩き潰すという作戦。
「実際ニ 貴方ハ 誘惑サレ 隙ヲ 見セタワネ」
「は?」
何を言っているのか意味が分からなかった。
「隊長。あの鬼に誘惑されたのですか?」
桃香たちや華琳たちから「えー…」という視線が突き刺さる。
「んなわけねえ!?」
先ほど隙を見せたのは誘惑されたからではなく、「何してんの?」という呆けである。
「素直ジャナイワネ」
ムチュっと投げキッスを送る。その投げキッスは北郷一刀は剣で斬る。
「夏鬼。素晴ラシイ 誘惑ダッタゼ。俺ガ敵ダッタラ ヤバカッタゾ」
「デショ?」
夏鬼の誘惑ポーズは鬼目線から言うとめちゃエロいらしい。
「誘惑されてねえから!!」
「隊長が鬼に誘惑された件は一旦置いておいて彩玉が落ちてきます!!」
「置いておくな。俺は誘惑されてねえ!!」
北郷一刀は落ちてきた彩玉をオーバーハンドパス。
ルール上だと夏鬼達に彩玉を返せない為、それ以外の組にパスするしかない。
「立香パス」
「任された」
彩玉は藤丸立香と蓮華組へとパスされ、次は翠・蒲公英組へとパスされる。
敵は夏鬼と獄夏鬼ペアのみ。藤丸立香達は彩玉を間違って落とさないように優しくパスして一巡していけばいいのだ。
「よし。アタシ達の番だな」
「姉様!!」
蒲公英が彩玉を優しくオーバーハンドパスで打ち上げる。
「喰らいやがれ!!」
翠は三又の銛を構え、気を込めて跳躍する。
力の限り振るって彩玉も夏鬼に打ち込んだ。
「夏鬼!!」
「大丈夫ヨ。私ガ 打チ上ゲル!!」
放たれた彩玉を受け止め、再度打ち上げる。
「ウグググググ…ヌハァ!!」
空高く空高く打ちあがった。
「フフフ。ヤルワネ」
アンダーハンドパスをしたが両手首から肘当たりが痣となっている。
翠の打った彩玉の威力が窺えるというものだ。しかし夏鬼はこの程度では倒れない。
「獄夏鬼 ノ チョット 良イトコ 見テミターイ」
「任セナ夏鬼。ウオオオオオオオオ!!」
助走をつけてジャンプし、空中でボールを強く叩きつけようとするが今回はただのスパイクではない。
獄夏鬼は妖気を練り、妖炎を発する。その妖炎を彩玉に纏わせたのだ。
「必殺。獄熱波!!」
妖炎彩玉となったボールを獄夏鬼は殴りつけて放った。狙いは翠・蒲公英ペアだ。
「姉様!?」
「アレは素手じゃ無理だ。武器で打ち上げる!!」
三又の銛で受け止め、真上に打ち上げるつもりだったが妖炎彩玉の威力は翠の想像以上であった。
「な、なに!?」
打ち上げられず被弾。彩玉に纏われた妖炎は爆発し、彩玉も地面に落としてしまったという事で罰則による電撃も食らってしまう。
「うがあああああ!?」
「うああああああ!?」
二人は砂浜に倒れる。
「翠、蒲公英!?」
妖炎と電撃により二人の着る水着が焼き焦げていた。地肌だってこんがりである。
「だ、大丈夫だ」
「うぐぐ…」
二人は立ち上がる。
「続行可能カ?」
「当然だ。やり返さなきゃなぁ!!」
翠は闘気を滲み出す。
「ウム。開始ハ 馬超組カラ」
ただし一巡させる為に獄夏鬼・夏鬼ペアには打てない。
「蒲公英。仕切り直しだ!!」
翠は焼き焦げたダイバースーツを脱ぐ。
「え、翠!?」
ダイバースーツを脱いだ翠はゼブラ色を基調とした三角紐ビキニが露わになった。
下着の日焼け跡が魅える肢体が映える。少しサイズが小さいのか胸部分がちょっと零れそうだ。
普段の彼女からしてみれば大胆な水着スタイルと言えるだろう。
「分かってるよ姉様!!」
蒲公英もまた焼き焦げた水兵服を脱ぐ。
「た、蒲公英も!?」
蒲公英の新たな水着はオレンジを基調とした三角紐ビキニタイプ。
普段は幼さを残しながらも元気いっぱいの女の子。しかし意外にも隠れた大人顔負けのグラビアアイドルにだってなれる素質を持っていた。
これにはギャップが凄くて男子はドキっとさせられてしまう。
「翠、蒲公英…」
「どーしたご主人?」
「ご主人様?」
「死闘中に仲間を誘惑してどうする」
「してねぇえよご主人!?」
「もうご主人さまったらぁ」
死闘中だが反応してしまう北郷一刀は立派な男である。
「ご主人のスケベ!!」
「しょうがないなぁご主人様は」
死闘中だが北郷一刀に意識されて嬉しい二人であった。
「ふむ…翠ってばやっぱり良い身体付きね。蒲公英も意外と…」
「おいこら華琳。お前まで反応すんな」
「翠と蒲公英が魅力的だからしょうがねえだろ」
「そうよ。貴女は自分の魅力を自覚しなさい」
「うるせーぞ!!」
何故かいちゃつき始めるのであった。
そんな様子を見る桃香や愛紗たちは頬を膨らしていた。
「コラアアアアアアアアアアアア!!」
いちゃつき空間が展開されたが夏鬼による怒声によって吹き飛んだ。
「私ヲ 無視シテ イチャツクナ。私ノ方ガ 魅力的デショーガァ!!」
男(北郷一刀)が己ではなく、他の女に目を奪われて気に喰わない夏鬼。
「ソウダ。夏鬼ノ方ガ 魅力的ダロウ!!」
後ろから援護する獄夏鬼。
「何を言ってる。翠と蒲公英の方が魅力的だろうが!!」
ハッキリと堂々と口にする北郷一刀。これにはニマニマしてしまう翠と蒲公英であった。
「グヌヌ…ブッ飛バス!!」
絶対に北郷一刀を己が肢体で骨抜きにすると誓う。そしてチラリと藤丸立香も見る夏鬼。
「アンタモヨ」
「う…」
悪寒が走る藤丸立香であった。
「蒲公英こっちに!!」
「分かったご主人様」
蒲公英が北郷一刀にアンダーハンドサーブ。
獄夏鬼と夏鬼を倒す為に再度、一巡させなければならない。
「華琳」
「ええ」
北郷一刀から華琳へとパス。そして藤丸立香へとパス。
「立香。ここは私に任せて」
「分かった」
闘気を発し、南海覇王に纏わせる。
本当は思いっきり剣を敵に斬り付けたいところだが不可能。パスされた彩玉に斬り付けて敵にぶつけるしかない。
(彩玉を剣で斬り付けて破裂しないのかしら?)
そんな疑問は明後日へ捨て去る。
「玉案攻!!」
彩玉を斬り付け、闘気を纏わせて放つ。狙いは夏鬼と見せかけて地面だ。
彩玉が地面に落ちれば罰則として電撃が放たれる。ダメージを強制的に与えるのであれば通常ルールである得点を狙えばいい。
そして藤丸立香を誘惑すると言っている夏鬼にはさっさと退場してもらいたいという思いもある。尤も誘惑されるはずがないと信じている。
「ム…ソウキタカ!!」
夏鬼が走る。
「タアアアアアア!!」
彩玉が地面に落ちる前に夏鬼は跳び、腕を伸ばす。
伸ばした腕に彩玉が当たって空に浮く。
「ヨシ。今度ハ 俺ニ 任セロ」
獄夏鬼が浮かんだ彩玉をより高く上げる。
「サア。私ガ 魅セルワヨ」
妖気を再度練って身体に纏わせる。特に片手に集中させて彩玉をスパイク。
「天ノ御遣イ 藤丸立香。私ヲ見ロォ!!」
狙いは打って来た藤丸立香・蓮華ペアだ。そして彩玉を打った瞬間にセクシーポーズを決める。
放たれた彩玉からナイスバディな夏鬼に視線を移そうという作戦だ。
「ウッフン」
「ここはオレが」
「いえ、私がやるわ!!」
「え」
「はあああああああっ…だあ!!」
蓮華が藤丸立香の視線を遮るように前に出る。南海覇王で放たれたスパイクを真上に打ち上げた。
「誘惑されるところだったわね立香。間に合って良かったわ」
「されるわけないよ!?」
どうやら夏鬼に藤丸立香は誘惑される危険があったと心配された。
本人として誘惑される事は無いと自負しているのだが蓮華は誘惑されると思っていたようだ。
「オレそこまでスケベじゃないぞ蓮華」
「勝負方法はどうあれ今は死闘中。嘘はよくないわ。」
「嘘じゃないんだけど」
「でも楊貴妃からカルデアとやらで鬼に誘惑されて骨抜きにされた事があるとか聞いたわよ」
「それは………そうだけど違うんだ」
カルデアの鬼というのは恐らく酒吞童子かもしれない。もしくは伊吹童子の事を言っているのかもしれない。
色んな意味で骨抜きにされたので嘘ではないので強く否定出来なかった。そもそも三国志の外史世界とカルデア世界の鬼は違う。
鬼かもしれないが、その在り方や生まれは異なるのだ。目の前の夏鬼と酒吞童子は違う。
「それに立香はますらお勝負で負けちゃったじゃない。誘惑に弱いのは知ってるのよ?」
「いや、誘惑されたのは相手は蓮華だからで」
「え」
頬が赤くなるというか身体が熱くなる。「相手が蓮華だから」という言葉でドキリとさせられたのだ。
それは「貴女でしか反応できない」という意味にも捉えられるかもしれない。少なくとも蓮華はそう思ってしまった。
「ちょ、ちょっと立香ったら。こんな勝負中に…」
「え」
「ちょっとマスター、蓮華さん。ボール、ボール!!」
「「あっ」」
楊貴妃の声に打ち上げられた彩玉に気付く。藤丸立香はすぐさま北郷一刀にパス。
「マスターも蓮華さんも勝負中にイチャつかないでくださーいっ。というかユゥユゥもマスターを誘惑したんですからねー!!」
「立香。蓮華と仲が良いのはもう分かったから時と場合も考えろー!!」
「私ヲ 無視シテンジャネー!!」
色んな方面から怒られた。反省するしかなかった。
「「ごめんなさい」」
気を取り直して彩玉を再度一巡させる。
「ご主人!!」
「おうよ!!」
次の攻撃権は凪と北郷一刀ペアになる。
力の限り彩玉を北郷一刀が真上へと打ち上げた。
「凪!!」
「任せてください隊長!!」
凪もまた闘気を練り、発する。
彼女は三国の中でも上位に位置する程、気の扱いが上手い。
上位と言うがもしかしたら一二を争ってもおかしくないくらいの気の達人だ。
「はああああああ!!」
練り上げた気を彩玉へと纏わせる。
「喰らえ。闘氣弾!!」
両拳で力の限り殴って獄夏鬼と夏鬼へと放った。
「ナントイウ 気ノ塊カ!?」
「アノ女。地味ナクセニ ヤルワネ」
「ココハ 俺ニ!!」
「イエ。私ニ任セナサイ!!」
夏鬼は妖気を練り上げる。今まで以上に大きな妖気が感じられた。
「ソノ球撃。素晴ラシイ一撃。シカシ 直撃シナケレバ 問題無イワ!!」
練り上げられた妖気を開放する。
「高壁ノ黒波!!」
黒い妖気の波が発生させられる。その光景はまるで高波のようであり、凪が放った闘氣弾が押し返された。
「なっ!?」
押し返された彩玉は凪・北郷一刀ペアのコートへと戻された。そのまま地面へと着弾し、爆発。
更に彩玉が地面に落ちた事で電撃が北郷一刀と凪を襲う。更に更に黒い妖気の波にも飲み込まれた。
気の爆発に巻き込まれ、電撃を食らい、妖気の波に飲み込まれるという三重苦。
「ぐああああああ!?」
「うああああああ!?」
「一刀!?」
「凪!?」
砂浜に倒れ込む二人。
「北郷一刀・楽進。競技続行可能カ?」
拳を砂浜に叩きつけて立ち上がる。
「ま…まだまだ!!」
「私も…だ!!」
気合で立ち上がった二人だがダメージは大きく、立っているのもやっとのようだ。
「おい。さっきのは有りなのか」
「サッキノ?」
「何か妖気の波動のようなもので彩玉を押し返したじゃないか。手も武器も使ってないぞ」
「アリダ。己ガ技ナラ 反則ジャナイ。ソシテ 先程ノハ 彩玉競技デ 言ウ所ノ 守備技ダ」
要はビーチバレーのブロックである。
「夏鬼と獄夏鬼ニハ 罰則ハ 無シダ」
北郷一刀・凪はダメージを受けて次の攻撃は難しい。更に彩玉のパスをするのも防ぐのも厳しい状態だ。
藤丸立香や翠たち全員が分かっているのか二人には気を付けてパスをしなければならない。
(後は…あの鬼二人に集中されなきゃいいんだけど)
ダウン中の北郷一刀・凪。敵からしてみれば良い的である。
獄夏鬼達が北郷一刀達をどうするかが問題だ。先に仕留めると考えているか。もう脅威ではないと考え後回しにするか。
「それに…あの二人はハッキリと攻守が分かれてる」
獄夏鬼は「獄熱波」で相手を焼き潰す。夏鬼は「高壁の黒波」で相手の攻撃を防ぎ、逆に相手を失点扱いにさせて罰則を与える。
役割がはっきりとバランスの取れたコンビだ。
「クックックック。俺ラノ 攻守ハ 完璧」
「ウフフフフ。全テノ 視線ハ 私タチノモノ」
彩玉勝負において恐ろしい鬼たちだ。
2053
彩玉勝負。現代で言う所のビーチバレーボールだ。
藤丸立香たちが赫怒鬼たちによって強制的に参加させられたデスマッチ。
普通のビーチバレーボールとルールは違うがほぼ同じである。異なるルール得点を取って勝敗を決めるのではなく、ボールで敵を叩き潰して勝敗を決めるというものだ。
「ちょっとルールを確認しましょうか」
「るぅる?」
「競技内容の決まりという意味ですよ桃香さん」
現状のルール確認。
勝敗はボールで相手を再起不能にすれば勝利。ただそれだけだ。
ボールのタッチは三回まで。武器を使用してのレシーブ・サーブ等は有り。
妖気(魔力)・気の運用は使用可能。故に妖術(魔術)・技術(剣術や槍術等)によるスパイクやブロックもあり。その場合、ボールに一回タッチした扱いになる。
ボールを必ずしも相手にぶつけなければならないわけでは無い。通常のようにボールを地面に落とす事で相手に電撃を食らわせる事が出来る。
要は得点を入れる事で相手にダメージを与えられるという事だ。ボールを使って相手を叩きのめすか、得点を取って相手に電撃を食らわせるかだ。
反則行為を行った場合は罰則として電撃を食らう。やり方によっては相手に反則させて罰則を食らわせるのも有りだ。
攻撃の順番は必ず一巡させなければならない。連続で同じ相手のコートにボールを投げてはならない。
「聞くだけだと公平ではあるのかな?」
「いえ…攻撃を一巡させないといけないという部分は此方に不利ですね」
現状は四対一。
数だけで見れば藤丸立香達が有利だがルールで縛られる場合だと覆る。
攻撃を一巡させなければならないという部分が厄介である。ボールを落とさなければいいと言うのは簡単だ。しかし絶対にボールを永遠に地面に落とさない事は難しい。
緊張や疲労であればプロのバレーボール選手だってミスの一つや二つある。如何に仲間からの優しいパスであってもいずれミスを起こす時がきてもおかしくないのだ。
「敵は誰を狙っても良い。しかし此方は制限があります」
仲間に優しくパスをすればいいが、もしも失敗したらと考えると緊張する。ストレスが溜まり、恐れも出てくる。場合によっては仲間割れも起きるかもしれない。
五面コートにし、強制的に選出させたのも仲間割れを狙ったのかもしれない。
「うぐぐ…私がまともに動ければご主人様の代わりに戦えるのに」
「うにゃ…悔しいのだ」
桃香の膝には愛紗と鈴々。
彼女らは反則行為をした事で強力な電撃を受けてしまった。現在だと身体が痺れて上手く動けないのだ。
痺れて動けないのは愛紗たちだけではない。他にも多くが罰則によって電撃に撃たれた者たちがいる。
「か、華琳様。申し訳ございません…くそっ、不甲斐なさすぎる!!」
「姉者それは私もだ。華琳様をみすみす危険な戦場にまきこむなど…将として失格だ」
「秋蘭様、春蘭様。これも敵の術のせいです」
「すまん、流琉。気を遣わせた」
実際に赫怒鬼が展開した固有結界「常夏地獄彩玉領域」が全員を苦しめている。
行動を制限されているからだ。普通に戦う事は出来ない。もしも襲撃でも何でもしたら「罰則」としてどこからともなく電撃が襲ってくる。
春蘭たちが痺れて動けないのが良い証拠だ。
「しびしびしびしび…」
「痺れて動けないの…」
「真桜さん、沙和さん。動いちゃ駄目ですよ。今はじっとしててください」
「う、動きたくても動けへん…」
「痺れるの…」
真桜と沙和は応援するしかなかった。
「何じゃったかのう…固有結界じゃったか?」
「はい」
「術者を倒すしか解除方法は無いのか?」
「無い事は無いですが…確実なのは術者を倒す事ですよ祭さん」
固有結界を解除するには術者を倒す事。
シンプルな答えだが難しい方法でもある。固有結界を展開した者はほぼ無敵状態。
無敵な者を倒すというのが矛盾した言い方だ。
「別の方法と言うと?」
「此方も固有結界を展開して相手の固有結界を塗りつぶすとか」
この場合は此方の実力が上というのが前提だ。弱ければ固有結界を張ったところで押し負ける。
「この中で固有結界が使えるのは?」
「儂らが使えると思うか?」
「ですよね…」
戦の心得や戦の技術は大いにある。気の運用法も鍛錬している。しかし魔術・妖術といったものはまだ増えてだ。
三国の中でも幾人かは妖術を習得している者たちが出てきていると聞くが固有結界なるものを習得できた者はいない。そもそも固有結界は簡単に習得できるものではない。
「穏たちなら儂よりも得意だろうが流石にこれほどの術は会得しとらんじゃろ」
「いや、穏さん達なら実は…」
「会得出来てませんよ~!?」
楊貴妃と祭の話しを聞いていた穏たち。
呉の軍師陣達だけでなく、魏や蜀の軍師陣たちも密かに妖術の研究は行っている。
実際に会得しているが大規模レベルとなるとまだまだ。
「この天才たる包だってこんなの出来ませんよ!!」
「思春様、明命さん。傷を抑えます。じっとしててください。あ、私も流石に…」
固有結界が簡単に習得できたら魔術の秘奥なんて呼ばれるはずが無い。
「ぐぬ…動け私の身体!!」
「無理ですよ思春様。すっごく痺れてますってぇ…」
「気合だ!!」
「根性論じゃどうにもなりませんよぉ…」
気合で身体の痺れが取れたらどれだけ良かったか。
思春は本当に気合で立ち上がりそうだ。
「お主らどうなのじゃ。儂らよりも妖術に関しては圧倒的に上じゃろう」
「私も使えません…。不夜奶奶も。俵藤太様もですね」
「吾もだ。鬼相手ならいくらでも戦えるんだが」
楊貴妃の宝具は対人/対国宝具。武則天は対人宝具。俵藤太も対人宝具。
「この固有結界の規模は対界級か対陣級か」
「私でも頑張って国を墜とせるくらいでしか…」
「そうか…………ん?」
敵の固有結界を破れる程の妖術は無いと言う楊貴妃だが祭たちにとってツッコミ部分があった。
(((え、国墜とせるの?)))
流石に冗談かと思ったがこの状況で冗談を言える雰囲気ではない。何と言うかポロっと本音が出たようなものに感じた。
「何か今凄い気になる事を言わなかったかお前?」
全員が気になる事を傾がツッコミを入れる。
「そんな事ないですよ?」
キョトンとする楊貴妃。
「コイツ…」
楊貴妃の「国墜とせる発言」は置いておく。
「えーっと、奴の固有結界とやらを他に破るにはどうすればいいんだ?」
「この結界の弱点があれば解析して崩壊させる事は出来ると思います」
「弱点?」
「凄く大まかに説明しますけど炎で形成された結界だったら水を使えば崩せます。そういった考えです」
どんな強いモノでも弱点はある。弱点さえ突けば崩していく方法はあり、弱者が強者に勝つ事だって出来るのだ。
固有結界であっても何か崩壊させる弱点でも分かれば逆転できる。
「この結界の弱点か」
傾が周囲を見渡す。ぱっと見、何もおかしなものは見えない。
視界に広がるは南国の海と砂浜だ。そして彩玉勝負の死闘も広がっている。
「分からん」
常夏地獄彩玉領域はビーチバレーボールの特色が強い結界だ。
ならばビーチバレーボールという部分から何かしら付け入る隙があれば崩せるかもしれない。
「彩玉の弱点ってないだろ」
「ビーチバレーボールに弱点って無いですよね…」
「やはり直接倒すしかないか」
傾は鞭を取り出す。普段とは短い小刀サイズであった。
「ヌ」
ギロリと楊貴妃や傾たちを睨む赫怒鬼。
彼の監視は何も彩玉勝負だけではない。外野もまた監視対象だ。
「くそ」
傾はすぐさま鞭を背に隠す。
「何とか奴に気付かないように近づくしかないか?」
「相当危険は伴いますよ」
赫怒鬼の監視は意外と厳しく、視野は広い。
「フン」
「く…動けん」
「常夏地獄彩玉領域」は彩玉を強制的に参加させる。
それ以外だと脅威は無い。すぐさま八つ裂きにさせられるわけではない。
閉じ込めるという部分に特化しているのだ。閉じ込めてじわじわと彩玉勝負で敵を追い詰める。
(でも彩玉勝負をするにしても選手がちゃんとプレイしないといけない。例えば棄権等はどういう扱いになるのでしょうか)
反則行為には罰が下る。しかし棄権等は反則ではない。どのような競技でも棄権したら反則で罰は起きない。敗北にはなるが罰則はない。
(ただ棄権で敗北を認めた場合はどうなるかですね)
棄権で敗北イコール死となるのか。赫怒鬼はその部分についての説明はない。
「…相手は審判と監視員。この固有結果がビーチバレーボールの特色があるなら」
楊貴妃はふと何かに気付き、赫怒鬼に対して質問をした。
「はいはーい。質問です審判」
「ム、聞コウ」
「棄権した場合はどうなりますか?」
「敗北扱イダ」
「棄権でも罰を食らうんですか?」
「棄権デ 罰ナゾ 与エン。ソンナ 規則ハ 無イ」
「強制的に命を取られんですか?」
「ソンナ事ハナイ」
棄権した場合は五面コートから離脱する。二度と彩玉勝負は出来ない。
(棄権すれば罰はなし。しかし勝負には二度と参加できないか…)
棄権した場合は強制的に殺されるようなリスクもない。
(やっぱり審判としてルール説明はしてくれる。嘘はないはず…審判が嘘をつくなんて反則だからね)
全てを信じられないが赫怒鬼は「常夏地獄彩玉領域」の術者であり、審判だ。審判は公平でなければならないという部分も固有結界の展開に必要な事かもしれない。
(この固有結界の特色を早く理解しないといけませんね)
彩玉勝負はどんどん苛烈になっていく。
読んでくださってありがとうございます。
次回の更新も未定ですが、頑張って早く更新していきます。
目指せ一週間以内!!
2052
彩玉勝負のルール内容を書いていきましたが…おかしなところはないはず。たぶん。
あったらゴメンナサイ。
彩玉(ビーチバレーボール)を組み込んだバトル描写。
頑張って書きましたがなかなか難しいです。
こういうのを書ける作者様方は凄いですね。
獄夏鬼の「獄熱波」
夏鬼の「高壁の黒波」
これらは戦国†恋姫オンラインの技となります。
2053
こっちは外野側。
彩玉勝負を観戦しながら駄弁ってます。
駄弁ってるって言い方が違うかな?
まあ、本当は彩玉勝負のルール確認が出来るという描写。
それと赫怒鬼はやっぱ彩玉勝負に関しては公平というのを表したかった部分ですね。