Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
もう毎日が熱くて暑くて大変ですね。
しかしFGOではもうすぐ水着イベントが近づいています!!
今年は誰が水着になるか気になります!!

とりあえず来週に少しは水着イベントの情報が公開されるかな?

さて、こっちの本編をどうぞ!!
今回で三国夏物語編は終了です。


三国夏物語 -夏はまだまだ終わらない-

2056

 

 

彩玉勝負の結末は夏鬼・獄夏鬼ペアの敗北。二人は真夏の砂浜にボロボロとなって沈んでいた。

凪たち全員の気を込めた彩玉に加え、英霊の影である源為朝の宝具を直撃。こんな事を言うのはアレかもしれないがまだ形を保っているのが不思議なくらいだ。

 

「グオオオオ…」

「ア…アア」

 

夏鬼と獄夏鬼はうめき声を出しながら幽鬼のように立ち上がった。

 

「まだ立ち上がるか!?」

「アレを直撃して形が保ってるだけで鬼が如何に丈夫か理解させられるな」

「いや、塵になってもおかしくないじゃろ。この固有結界にでも守られておるのか?」

 

立ち上がる二人の鬼は脅威だがもはや立っているのも辛そうだ。立ち上がったのはもはや執念である。

 

「コ、コノ オレガ 負ケルナンテ アリエネエ」

「ソウヨ。私ガ 負ケルナンテ ソンナコト 現実ジャナイ…」

 

獄夏鬼と夏鬼は彩玉勝負に敗北したのが認められない。

二人は肉体を鍛え、絞り、海での視線を独り占めするまでに成った。そして彩玉に関してはどんな鬼にも負けないくらいに上達した。

今の自分らは完璧に仕上がっている。更に赫怒鬼の力によって自分たちの戦場にも引き込んだ。

それだと言うのに二人は敗北した。彩玉にあまり通じていない者達に負けた。

それがどうしても認められなくて、許せなくて、怒りが肉体を駆け巡る。

 

「ウガアアアアアアアア!!」

「コンナノ 違ウ!!」

 

身体がボロボロで満身創痍だというのに二人は怒りを力にして立ち上がったのだ。

 

「オレラ ガ 負ケルノハ 間違イダ!!」

「アンタ達ガ 何カ 不正シタニ 違イナイワ!!」

 

妖気を怒りで練り上げる。

 

「ナラ モウ コッチダッテ 関係ネエダロ!!」

「エエ。向コウガ 不正シテルナラ コッチダッテ!!」

 

藤丸立香たちが不正した証拠も無いのに夏鬼と獄夏鬼は都合の良いようにに考えている。

もはや彩玉勝負も関係無い。ルールも関係無い。ただ自分たちが受けた認められない敗北を消し去るように藤丸立香達を殺すしかないと判断してしまった。

 

「来るぞ!!」

「はっ、もう彩玉は関係ねえってか。ならアタシたちの戦場だ!!」

「そうですね」

 

翠と凪が構える。

 

「彩玉関係無いのであれば私の絶も切れ味が良くなるわよ?」

「南海覇王の真の力を魅せてあげるわ」

 

華琳と蓮華も武器を構える。

 

「お前らの負けだよ」

 

皆が武器を構えて夏鬼と獄夏鬼の先手を待つ。

先手を待つ事が大事だ。此方側から手を出してはいけない。北郷一刀たちは理解しているが獄夏鬼と夏鬼は怒りですっかり忘れてしまっている。

 

「夏鬼。オレノ 後ニ 合ワセロ。獄熱波!!」

「エエ。高壁ノ黒波!!」

 

獄夏鬼は妖気を球状に形成し、獄熱を生成。そして夏鬼は妖気の黒波を発生させる。

「獄熱波」と「高壁の黒波」の合体技である。

 

「「シネエエエエエエエエエ!!」」

「反則。罰則ダアアアアアアアア!!」

 

獄夏鬼と夏鬼に特大の電撃が降り注いだ。

 

「「ギャアアアアアアアアアアア!?」」

 

二人の喰らっている特大の電撃は今までの罰則の中で一番苛烈であった。

 

「罰則罰則罰則罰則罰則!!」

「テメ…赫怒鬼。ナニシヤガァル!?」

「私タチヲ 裏切ルキィナノォオォオォオ!?」

「先ニ 裏切ッタノハ 貴様ラダ!!」

 

赫怒鬼は怒っていた。

 

「彩玉競技ヲ 穢ソウトシタナ!!」

 

怒りの原因は夏鬼と獄夏鬼がルールを破り、度を越した反則行為をしたからである。

彩玉勝負関係無く、殺し合いをしようとした事が赫怒鬼の怒りに触れたのだ。

 

「彩玉勝負ハ 神聖ナ勝負。ソレヲ 穢シタ 罰ハ重イゾォォォォォォォ!!」

 

赫怒鬼には彼なりのルールがあり、誇りがある。

 

「彩玉ヲ 使ワズニ 殺シ合イナゾ 愚劣ナ 戦デシカナイワ!!」

 

良く分からない誇りだが今は赫怒鬼にある意味助けられている北郷一刀たち。

この「常夏地獄彩玉領域」は赫怒鬼のルールに基づいて支配されている。反則をしなければ罰則はない。

故に北郷一刀たちは夏鬼と獄夏鬼が攻撃しようとしてきた時に先に手を出さなかったのだ。

 

(もしかしたら赫怒鬼が夏鬼と獄夏鬼の手を貸すかもしれないリスクがあったけど…赫怒鬼は本当に彩玉審判として公平なんだな)

 

北郷一刀たちは動かず、赫怒鬼の出方を確認する。

 

「コ、コノ 裏切リモンガアアアアアアアア!?」

「グギャアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

既に特大のダメージ負っていた獄夏鬼と夏鬼。反則によって特大の電撃を食らってはもう身体は保なかった。

 

「アガアアアアア………」

「ア…アア……アアア」

 

獄夏鬼と夏鬼は塵となって消滅するのであった。

 

「反則ハ罰則。彩玉勝負ヲ 穢シタ者ノ罪ハ 何ヨリモ 重イ!!」

 

二体の鬼は消滅し、残りは赫怒鬼のみ。

全員の視線が赫怒鬼に向けられる。

 

「彩玉勝負ノ 勝者ハ 三国ダ」

「ああ。そうかよ」

「見事ダッタゾ。途中、気ニナッタ 箇所モアッタガ 白熱シタ勝負ダッタ」

 

怒りが治まったのか赫怒鬼は静かな声量で賞賛してきた。

これで終わったと思ってはいけない。獄夏鬼と夏鬼との彩玉勝負には勝利したが「常夏地獄彩玉領域」は解除されていない。

未だに藤丸立香たちは赫怒鬼の掌の上にいるのだ。

 

(相手を観察しろ。何をしてきても対応できるようにするんだ)

 

藤丸立香は令呪を開放しようと準備をする。

「常夏地獄彩玉領域」は彩玉に関して絶対のルールで縛られている。

展開している赫怒鬼の気分次第で藤丸立香たちを身動きを封じ、仲間同士で殺し合いだってさせられるかもしれないのだ。

 

(二体の鬼には勝った。でも彩玉勝負自体が終わったと明言されていない)

 

もしかしたら残った四組で最後の一組になるまで彩玉勝負をしろと言う可能性がある。

そうなった場合も一応考えはある。試合放棄もしくは試合棄権だ。棄権行為はルール違反ではないが赫怒鬼の固有結界内ではどうなるか分からない。

彩玉勝負に則ったルールで展開されている固有結界。ルールを守れば罰則無く、ルールの隙を突けば罰則を回避できる。

 

(しかし赫怒鬼を倒す方法が無い。このまま閉じ込められるだけ…いや、アイツ自身が彩玉勝負をしてくるのか?)

 

赫怒鬼は腕を組み、仁王立ちしたままであったがゆっくりと腕を解いた。

 

「常夏地獄彩玉領域 解除」

 

固有結界が解除され、元の砂浜に戻る藤丸立香たち。

 

「元の海に戻った!?」

「固有結界とやらから出られたのね」

 

もはや彩玉勝負のルールには縛られない。

 

「我ハ 彩玉勝負ノ 審判ダ。選手デハ ナイ。マア、彩玉ハ 勿論 デキルガ」

 

彩玉を手元に出現させて海へとスパイクする。

 

「シカシ 彩玉勝負ハ 二人一組デ ナクテハナラナイ」

 

彩玉勝負は一人だけでは出来ない。故に「常夏地獄彩玉領域」で赫怒鬼は一人で彩玉勝負が出来ない。もしもプレイしようとしても自分自身に罰則が下るのだ。

 

「コノ場ハ 退コウ。我モ 其方タチト 彩玉勝負ガ シタイガ 条件ガ 満タサレテイナイカラナ」

 

赫怒鬼は背を向けて歩きだす。

 

「サラバダ。 次ハ ヨリ 素晴ラシク、ヨリ 白熱シタ 彩玉勝負ヲ シヨウデハナイカ」

「あの鬼…本当に彩玉に対して真っすぐなんだな」

 

敵であるが何処か嫌いになれない敵がいる。赫怒鬼はそういう敵だと感じてしまった北郷一刀であった。

しかし敵は敵。いずれ決着はつけねばならない事だけは確かである。

 

「ああいう鬼もいるんだな」

「色んな奴もいるさ」

 

そう言って締めくくるつもりであったがここで鋭いツッコミが入る。

 

「逃がして良かったのか。普通は追撃した方がいいんじゃないか?」

 

傾のツッコミは的を得ていた。また襲ってくるというのであれば固有結界を解除した隙に倒すべきだったのだ。

 

「「「あ…」」」

 

固有結界から出られたというのに、みすみすチャンスを逃がしてしまうのであった。

 

 

2057

 

 

夏。海。青い空。ギラつく太陽。

そんなリフレッシュな夏も夕暮れになれば何処か切なさを感じる気がする。

 

「最後の最後に鬼が襲撃してきたけど…遊んだな~」

 

今日は鬼の襲撃を除けば夏と海を大いに楽しんだ。

ビーチフラッグに水上騎馬戦。砂浜でも棒倒しにサンドアート。海に関係するかわからない「ますらお勝負」。

三国が争っていた昔と比べればあり得ない光景だったはずだ。未来では五胡の決戦が控えているが今日この日は良い思い出になった。

 

「また皆で海に行きたいねご主人様」

「ああ、そうだな」

 

夕暮れの海で北郷一刀と桃香は海に沈んでいく太陽を見ながら思い出を作っていく。

 

「何か締めくくってるけどまだまだ帰らないわよ?」

「まあ、そうなんだよな」

 

後ろから華琳が言葉を差し込んできた。

海の訓練もとい夏と海での三国交流は今日だけでなく、まだまだ続く。更に後続で他の面々も合流するのだ。

まだまだ海での水着披露宴は終わらない。きっと素晴らしい水着姿を海で魅せつけてくるはずである。

 

「春蘭たちは大丈夫か?」

「ええ。まだ身体が痺れてうまく動けないけど問題ないわ」

 

春蘭や愛紗たちは赫怒鬼の電撃に撃たれた。命に別状は無いがまともには動けず、せっかくの海だというのに寝ているだけになってしまったのだ。

 

「春蘭悔しがってたわよ。明日も海を楽しむんだって言ってたし」

「それは鈴々ちゃんもだね」

 

これでは夏で海なのに楽しめない。夏風邪を引いて、せっかくの夏休みを潰してしまったような感覚かもしれない。

 

「楽しむのは良い事だけど…」

「ああ。鬼が襲撃してきた事実がある」

 

鬼が襲撃してきたのは間違いなく五胡による刺客だ。

 

「一体の鬼を逃がしてしまった。そして奴はまた襲ってくる可能性が高いわ」

「なんなら別の鬼がいるかもしれないしね」

 

襲撃してくるのが鬼だけとは限らない。五胡の妖術師や戦士が刺客として来るかもしれない。

夏を楽しむのはいいが五胡の襲撃に警戒しなければならない事になったのだ。

 

「明日には後続たちが来るわ。今日の事を共有し、敵の襲撃に警戒しましょう」

「そうですね」

「ところで明日の後続は誰が来るんだっけ?」

「月ちゃんや恋ちゃんたちだよ!!」

 

五胡の刺客は恐ろしい。しかし三国にも強い武将はたくさんいるのだ。

現在でさえ、最強の座に座り続けるは恋である。

 

「恋たちが来るなら百人力だな」

 

五胡が刺客を送ってくるなら此方も援軍で戦力を強化するまでだ。

 

 

2058

 

 

太陽が海に沈み、夜がやってくる。

夜の海辺で空を見上げると星空が広がっている。夜の海も悪くないものだ。

昼の海と違って夜の海は波の音がより聞こえる気がする。潮風も涼しく、潮の匂いも鼻をくすぐる。

 

「夜風が涼しい…」

 

藤丸立香は涼みに夜の海まで来たのだ。

今日は朝から夕方までガッツリと遊んだ。そして鬼の襲撃にも対応した。

なればお腹もガッツリ空くのも当然で俵藤太たちがまた美味しい夕食を用意してくれて、これまたガッツリと食べた。

夜になればすぐに眠くなると思っていたが妙に目が冴えてしまっていた。

 

「んー…まだ眠くならないな」

 

目が冴え、夏の夜の暑さも加わってしまって眠くならない。

 

「一刀も取り込み中だったしなあ」

 

ちょっとした夜更かしのつもりで北郷一刀の部屋に行った。

もしも起きていたら雑談でもしようと思っていたのだ。しかし部屋から『取り込み中』の声というか音が聞こえたのですぐに引き返したのである。

 

「一刀も元気だなあ」

 

北郷一刀の相手は誰かまでは分からない。そこはソッとしておく。

 

「ちょっと散歩したら部屋に戻るかな」

 

夜の砂浜を歩いていると目の前に誰かいた。

 

「あれ。蓮華?」

「立香じゃない。どうしたのよ?」

「いや、何か眠れなくてさ」

「同じね」

 

夜の砂浜に居たのは蓮華であった。

彼女も藤丸立香と同じで眠れないようだ。

 

「思春や明命は大丈夫そう?」

「ええ。二人とも今は安静にしてるわ。徐々に痺れは切れているから二、三日後には動けるでしょうね」

「せっかくの海なのに寝っぱなしは残念だ」

「ふふ、そうね。思春はそうでもないけど明命はとても残念がってたわよ」

 

お猫様でも見せれば何とかなるかもしれない。

 

「今日は楽しかったけど…大変な一日だったわね」

「そうだね。あ、そうだ。穏が後半でやろうとした心の訓練って何やるか聞いてる?」

 

穏が考案してきた「ますらお勝負」以外にも心の訓練がある。それは鬼たちの襲撃で結局開始される事は無かった。

どんな内容かは気になるので聞いてみたかったのだ。

 

「ああ…それ」

 

反応からして蓮華は知っているようだ。しかし答えてくれない。

 

「…内緒よ」

「気になるんだけど」

 

暗くて見えにくいが蓮華の顔がちょっと赤くなっていた。

どうやら刺激が強くて過激な心の訓練かもしれない。

 

「教えてよ」

「だ、駄目ったら駄目」

「えー」

 

そんな雑談をしながら夜の砂浜を歩く二人であった。

 

「あ、ところで」

「なに?」

「包の水着が…その、い、一番の好みって言ってたけど。わ、私のは?」

 

急にもじもじし始めた蓮華。彼女自身気付いていないようだが蓮華はどうやら嫉妬深いらしい。

既に蓮華の水着は褒めているが、もっと褒めて欲しいようだ。どうやら包に対して「一番好み」と言った部分が彼女の心にモヤを少しかけたようである。

 

「とても似合ってるよ」

 

再度確認。

蓮華の水着は鮮やかな薄紫色を基調とした紐ビキニタイプ。プロポーションも素晴らしいので紐ビキニがとってもマッチしている。

その上に半透明のシャツを着ていたが今は脱いでいる。褐色美少女の日焼け跡。刺さる人には刺さるフェチである。日焼け跡も箇所によっては妖艶に見えるのだから不思議である。

 

「い、一番好みかしら?」

 

何処か恥ずかしそうで、もじもじして、頬を染めている姿がカワイイ。

 

「可愛いね蓮華」

「かわっ…も、もう。で、い、一番かしら…」

 

何か一番にこだわるのであった。

 

「一番は妾じゃろうて」

「マスターここに居たんですね。蓮華さんも」

「「え」」

 

新たな声は武則天と楊貴妃であった。

 

「探したのじゃぞ。部屋に居なかったからのう」

「そうですよ」

 

二人とも藤丸立香を探していたようだ。

 

「どうしたの二人とも?」

「なに。妾はマスターから褒美を貰おうと思ってな」

「褒美?」

「忘れたのか。旗取り勝負の時に言ったであろう」

「ユゥユゥもでーす」

「お主は勝負に負けたであろうが。しかも言いだしっぺで。そして妾が罰を与えると言ったぞ」

「そうでしたっけ?」

 

とぼける楊貴妃。

 

「上と下どっちかよい?」

「え、どういう意味ですか!?」

 

何が上と下なのか。

 

「えーと、約束したからね。いいよ」

「うむうむ。約束を守れるマスターは良いマスターの証じゃ」

「それでどんな褒美がいいのかな。あまり無茶なものはちょっと…」

「なぁに簡単な褒美じゃ。尤もマスターじゃないと絶対にいかんがの」

 

藤丸立香の手を取る武則天。

 

「まあ…その、ま、まずはマスターの部屋に戻るぞ」

「え、うん。分かった」

 

そのまま手を連れられて部屋に戻ろうとする藤丸立香と武則天。

 

「「ちょっと待ったー!!」」

「何じゃ。妾は今から忙しくなるのじゃが」

「行かせませんよー!!」

「ええい。邪魔するでなーい!!」

「行かせないわよ武則天!!」

「お主までもか呉の王!?」

 

静かな夜の砂浜でキャイキャイと小うるさく言い合いが響くのであった。

 

「三人とも落ち着いて…」

 

言い合いを止めようとする藤丸立香。そして結局全員で部屋に戻るのであった。

部屋で何が起きたかは四人だけの秘密。北郷一刀のように「取り込み中」になるかもしれないし、ただ雑談するだけかもしれない。

 

「明日はどうなるかな」

 

まだまだ夏は終わらない。

 

 

2059

 

 

何処かの無人島にて。

 

「タダイマ 戻リマシタ」

 

赫怒鬼は本拠地に帰還し、目の前の男に膝を付いた。

 

「良く戻った。わたくしに戦果を報告しろ」

 

目の前にいる男は胡才。白波三鬼衆筆頭の男である。

体格は鬼にも負けず劣らずの鍛え上げられた巨漢の大男だ。その佇まいは異様であり、ヒシヒシと実力を感じさせる。

 

「夏鬼ト獄夏鬼ハ…」

「夏鬼と獄夏鬼は?」

「敗北シマシタ」

「……何ですって?」

「敗北シマシタ。トイウカ奴ラハ 彩玉勝負ノ規則ヲ 破ッタノデ 我ガ 罰シマシタ」

「何言ってンのよアンタ?」

 

第一陣が敗北した。

爪を噛んでイライラを胡才は隠さない。

 

「アンタはおめおめと帰ってきたと?」

「今回ハ 彩玉勝負。我ハ 審判。審判ハ 戦ワナイ。審判ハ 勝負ヲ 判定スルノガ仕事。ナノデ帰ッテキタ」

「アンタも戦いなさいよぉ!?」

 

ズビシっと指を差して説教するが赫怒鬼は首を傾けて「何言ッテンダ?」という顔。

彩玉勝負の審判としてキッチリと仕事してきたので文句も説教もされる筋合いは無いという確固たる顔つきだ。

 

「一人くらい仕留めてきなさよ!!」

「我ハ 審判トシテ 敗北ヲ シッカリト 認メテキタ。ソコニ 恥ハナイ!!」

「恥は無くとも仕事は最後までやりなさぁい!!」

「仕事ヲ ヤリキッテ 来タカラ 帰ッテ 来タンダガ?」

 

話しが通じない赫怒鬼に対して胡才は「きぃぃぃぃぃ!!」とかなぎり声を挙げた。

 

「アンタは本当に…!!」

 

赫怒鬼は変にマイペースというか彩玉勝負にだけ真っすぐだ。彩玉に関してだけは絶対に折れない。

こうなった彼は何を言おうとも響かない。自分はちゃんと仕事をしてきたと言い切ってくるだけだ。

 

(能力は強いのに…何で彩玉なんてものに使ってンのよ)

 

赫怒鬼は妖術の才能がある。能力は彩玉寄りであるが固有結果を発現するくらいだ。

利用できる鬼である為、ここで刺客としての失敗してきた罰を与えるのは無しだ。赫怒鬼の固有結界は能力はアレだがいくらでも利用価値があるのだから。

 

「はあ…もういいわよ。アンタは仕事を失敗してきたから謹慎してなさい」

「仕事ハ 完遂シテキタガ?」

「もういいわよそれは!!」

 

赫怒鬼はまた利用できる。彼はまた別で利用するまで取って置くだけだ。

 

「分カリマシタ。我ハ ヨリ一層 彩玉ノ研鑽ヲ」

「妖術の鍛錬しなさいよ!?」

 

ため息を吐きながら眉間を指で揉む。まだ獄夏鬼と夏鬼の方が制御しやすかったものだ。

 

「それにしても…次の手を考えないといけない」

 

胡才は策を巡らせる。

三国の壊滅は五胡が本格的に動けば決定する。今はその前段階で戦力減らしだ。

しかしせっかく三国の首脳たちが集まっているであれば今ここで潰しておきたいという本音もある。

 

「まあ…わたくしは曹操たちなんかよりも最優先ですり潰したい奴がいるけどね」

 

胡才は実力と美しさを兼ね備えた武人だ。そして元、漢帝国の武将でもある。

漢帝国で己こそが美しさで一番だと自負していた。しかし霊帝の后として現れた何太后によって邪魔された。

 

「報告だと何進の奴もいると聞く。何太后もいずれ来るだろう」

 

ニヤリと笑う胡才。そして口調も武将モードに変わる。

 

「その時はわたくしが一番だと思い知らせてやろう」

 

横を見ると既に五体の鬼が待機していた。

 

「次はお前たちの番だ」

 

彼らも赫怒鬼にも負けず劣らずの色んな意味で個性的すぎる鬼だ。実力も折り紙つき。

 

「任せた。わたくしの特別部隊よ」

 

ギランと鬼たちの目が光るのであった。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新は一週間後予定となっております。

2056
競技で相手が負けて逆ギレして襲い掛かってくるシーン。
けっこうあるあるパターンですよね。

そして意外にも審判役の敵が仲間を罰するパターンもあったりしますよね?
赫怒鬼はいったんここでフェードアウト。また登場はいずれ。

2057
一日の締めくくりみたいなもんです。
エピローグ的な?
しかし夏はまだまだ終わらない!!

2058
こっちもエピローグ的なもの(藤丸立香side)

北郷一刀は最後の〆に夜は取り込み中
そして藤丸立香は……ご想像にお任せします。

ちなみに包は部屋で藤丸立香を待ってたとそうでもなかったとか…

2059
敵side
既に新たな刺客は準備万端。
次の物語にも海らしい鬼が現れる!!

これにて『三国夏物語編』は終了。
次回から『月のドキドキ宝探し編』が始まります。

夏はまだまだ終わらない。
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