Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
いやあ、台風が来てますね。
気を付けないといけませんね。いや、ほんとに。


そして本日。
FGOで水着イベントの情報が解禁される!!
これは楽しみだ!!
さて、こっちの本編もどうぞ。


月のドキドキ宝探し-ビーチコーミング①-

2063

 

 

いざ、宝探し。藤丸立香たちは海辺でビーチコーミングを実施。

海辺には様々な宝物が眠っている。なんなら落ちている。

色々な物を拾って観察したり、お土産として持って帰るのも楽しみの1つだ。しかし今回は武器や武具の素材になるような素材を見つけるという目的がある。

ビーチコーミングを楽しみながら素材探しをして一石二鳥。更に刺客の本拠地を見つけられれば一石三鳥だ。

 

「ま、欲張っちゃいけない。ビーチコーミングを楽しめれば一番だ」

 

海辺での宝探しの開始。

各々が綺麗だったり、珍しかったり、面白かったり、なんじゃこりゃ、という宝物を見つけるのであった。

 

「ご主人様。コレとか使えるんじゃないですかね?」

「綺麗な貝殻です」

「お、貝殻か」

 

海辺に来て見つける物と言えば、やはり貝殻は定番だ。

海岸を歩けば様々な貝殻が落ちている。綺麗な状態な物もあれば割れた物もある。そして綺麗で鮮やかな貝殻を見つければ何だか嬉しい気持ちになる。

 

「わあ」

 

ビーチコーミングではタカラガイやアオイガイは当たりの物だとも言われている。

 

「綺麗な貝殻だな」

 

人によっては貝殻なんて価値は無いかもしれない。しかし海のお土産としては何処か良いと思う人だっている。

 

「お、コレはアオイガイ」

 

波の状況でしか打ち上げられないアオイガイの殻は見つけたらラッキーと言われるほどのレアらしい。故に幸運の象徴とも言えるのだ。

 

「アオイガイは貝じゃなくてタコの仲間って言うよね」

「そうそう。あ、タコが食いたくなってきたな」

 

タコ料理は美味しい。

特にタコ料理と言えばタコ焼きがすぐに浮かぶが海辺だと焼きだこを思い浮かべる。

タコの脚を串に刺し、火で焼きながら醤油をタラリ。これだけの想像で涎が出てしまう。

 

「昼はタコを用意できるだろうか」

 

昼は海鮮焼きを所望したくなるのであった。

 

「でもアオイガイを見つけられて良かったね。幸運の象徴って言われてるんだ。幸先が良いぞ」

 

アオイガイはなかなか海辺に流れつかない。故に希少なのだ。

 

「ビーチコーミングでもレア物だからな」

「ご主人様と藤丸さんは貝にお詳しいですね」

「博識です」

「「いや、そんな事はない」」

「でも貝殻を見てすぐに種類が分かったじゃないですか」

「日本人は貝が大好きなんだ」

「特にハマグリ、あさり、シジミなんか大好きだ」

「ボンビノス貝も良いよな」

 

日本人の貝に対する愛は大きい。何せ古代から愛された食べ物だ。

 

「天の御遣いは貝に詳しいのですか?」

 

日本人の全てが貝に詳しいわけではない。

 

「あ、この貝も綺麗ですね」

「割れていませんし、状態も良いですね」

「それはタカラガイだな」

 

タカラガイ。

色や模様が美しいものは価値があると言われている。

何せ昔は世界各地で「お金(貨幣)」として使われていた程だ。

 

「これが昔はお金代わりになってたんだよな」

「そうですね。この貝は私も知ってます」

「殷や周の時代では美しく貴重なタカラガイの貝殻が貝貨というお金として使われていたと聞きます」

 

「貝」の文字はお金と密接している。お金や財産を表す「財」「買」「貯」「貨」等の漢字に「貝」が付いているのは昔の中国でお金として使われていたためとも言われている。

タカラガイの事は太公望に聞けばより時代の事が色々と分かるかもしれない。

 

「今も装飾品の一つとして使われてますね」

 

光沢や形が好まれ、神聖な宝物として扱われているのだ。現代でも装飾品として人気がある。

 

「そういや露店でたまに見た事あるな。それに献上品の中にもあった気がする」

 

たった一粒では価値は無いが、多くの数が集まれば価値は大きくなる。まさに塵も積もれば山となるだ。

 

「貝は喰えば美味いし、お金にもなるってある意味凄いよな」

「昔は今よりも価値があったんだろうね。それに卑弥呼さんも貝が好きって言ってたし、特にハマグリが大好きって言ってた」

 

ハマグリは美味しい。そしてボンビノス貝も負けていない。

 

「ひみこさん?」

「俺の国の女王様だよ」

「天の国の女王様!!」

 

天の国の女王と聞いて驚く朱里。

とても神々しくて凄い御方なのだと思うのであった。

 

「という事はご主人様の女王様でもあるんですね。」

「雛里。その言い方はちょっと誤解が生まれるような…いや、何でもない」

 

日本の女王という意味では日本人である北郷一刀にとって、確かに彼(日本国民)の女王様だ。

 

「天の国ではどのような統治をなさってるんですか?」

「ああ、いや…卑弥呼様はもう亡くなってるんだ。だって俺が生きてる時代から大体1800年前くらいの人なんだよ」

「そ、そんな昔の御方なんですね」

「それに日本…天の国。多くの小さな国から一つの大きなまとまりへと動き出した国家の始まりを作った人なんだよ」

 

朱里は卑弥呼の事を自分が生きる大陸の始皇帝のような存在と思うのであった。

 

(…というか立香がさっき卑弥呼様がハマグリが好きって言ってたな。という事はカルデアにいる?)

 

思いっきりいる。なんなら邪馬台国二代女王の壱与だっている。

 

(そう言えばこの世界にも卑弥呼様がいるんだろうか…)

 

邪馬台国の卑弥呼が活躍している時代だと中国はまさに三国時代。そして魏と関わりを持っていたと歴史的に証拠が残っているのだ。

 

(あ、こっちの卑弥呼様はアレだったか…)

 

三国志外史世界の卑弥呼はどのような存在かと想像したが既にいた。

筋肉モリモリマッチョの卑弥呼様であった。

 

(そうなるとこっちの司馬懿が気になるな)

 

カルデアの司馬懿(ライネス)ではなく三国志外史世界の司馬懿だ。

卑弥呼と間接的な関りがあるのは司馬懿なのである。北郷一刀はこの外史世界の司馬懿とは出会っていない。

もしかしたら今後、この外史世界の司馬懿と出会う事があるのかもと思うのであった。

 

「あ、このタカラガイも綺麗な状態ですね」

「案外見つかるもんだなあ」

「そう言えばタカラガイって別名で子安貝って言われてるんだっけな」

「へえ、そうなんですね」

「そうだったそうだった。そして安産や出産、子どもの成長を願うお守りとしても使われてるんだよ」

「天の国ではお守りとしても使われてるんですね」

 

どんな物でも意味があればお守りとして扱われる。

 

「でもタカラガイが何でも安産や出産のお守りなんですか?」

「あー…えっと。なあ立香?」

「まあ、うん。でもちゃんと説明するだけなんだから変じゃないでしょ」

「そうだな」

 

二人とも一瞬だけ言いよどんだ。

これから説明するのは先生が保健体育の授業をするようなもの。何も恥ずかしくないし、いやらしい意味は無い。

 

「タカラガイって独特な殻口の形をしてるだろ?」

「そうですね。あまり気にしていませんでしたが言われてみると」

「この形が女性器に見立てたことに由来するらしい」

「「あ」」

 

朱里も雛里も想像したのか少しだけ顔を赤くした。

 

「急にタカラガイがお金じゃなくていやらしい貝に…」

「待て待て雛里。そういう貝じゃないからな。お守りとしての貝だ。いやらしくない」

「そ、そうですよね」

 

安産・出産のお守りなのだからいやらしいものではない。全く逆の神聖なモノだ。

 

「それにしても出産ですか」

「出産…」

((ご主人様の…))

 

二人して恋する乙女だ。相手は勿論、北郷一刀である。

好きな人と付き合って結婚し、子供を産む。そんな未来を想像する恋する朱里と雛里であった。

いつの間にかタカラガイを二人とも握っていた。そして熱い視線を北郷一刀に向けるのであった。

 

「と、ところで貝って武器や武具の素材になるのでしょうか?」

「う~ん、集めておいて何だけどどうだろう…」

「いや、素材としてちゃんとなるよ」

 

藤丸立香は手元ある貝を見せる。

 

「それは何の貝ですか?」

「追憶の貝殻って言うんだ。魔術的にも良い素材になる」

 

追憶の貝殻。

悠久の時を生きた貝の殻。殻口に耳を当てると、遥か太古の清らかな潮騒が聞こえてくる。

 

「だから貝殻も妖術の触媒として扱って武器や武具を強化できるかもしれないんだ」

「なるほど」

 

見つけたタカラガイやアオイガイを手のひらに乗せて見つめる。

 

「結局は貂蝉や卑弥呼たちに聞いてみないとだけどね」

「それもそうか」

 

様々な貝殻を集めていく。その中で一際、綺麗な貝殻を見つけた。

 

「この貝殻綺麗です」

「空色ですね」

 

朱里が新たに見つけた貝殻は空色をしていた。

何の貝か藤丸立香と北郷一刀も見て見るが分からない。

 

「新種?」

「かもな。でも何か使えそうだ」

「……何だか藤丸さんが見せてくれました追憶の貝殻と似てます」

「似てる?」

「はい。あ、でも同じ種類というわけじゃなくて…何だか妖力を感じると言いますか」

「なに」

 

朱里や雛里は妖術に関して修練している。

素材から妖力をや特別な力を感じる事くらいは出来るようになったのである。

 

「コレもしかしたら当たりかも!!」

 

朱里と雛里は『空色の貝がら』を手に入れた。

 

 

2064

 

 

海辺には貝殻だけがあるわけではない。他にも様々な物や生物がいる。

 

「うっひゃー。海が冷たい!!」

「ちょっと季衣。ちゃんと素材になるの探してよ」

「分かってるって流琉。でも素材探しだけじゃつまんないし、海も楽しまないと!!」

「こら、蘭陵王さんだって真面目に探してるのに!!」

「ははは、構いませんよ。確かに目的である素材探しも大事ですが一番は海を楽しむ事ですよ」

 

素材探しに義務感を得てはいけない。今は海を楽しむのは一番である。

 

「流琉殿も季衣殿も海を楽しんでていても構いません。私が素材を探しておきますから」

「だ、駄目です。楽しむなら蘭陵王さんもです」

「おや。なら私も楽しみましょう」

 

三人で海に足を突っ込む。

 

「冷たいです!!」

「つっめたーい!!」

「海というのは良いものですね。毎年夏が来ると私も心が躍ります」

 

暑い夏だからこそ海にいく。

火照った身体を海の冷たい水で冷やす事で気分爽快だ。ただ足を海に浸からせる事だけでも気持ちいい。

 

「えいっ」

「ちょ、季衣」

「冷たいでしょー」

「もう、やったなー!!」

 

季衣は海水を流琉にかけ、お返しと言わんばかりに流琉も季衣に海水をかけた。

海での海水の掛け合いっこ。これもよく海で見かける定番のシーンだ。

 

「ふふ。二人とも水の滴る可愛い女性ですよ」

「ありがと蘭陵王の兄ちゃん!!」

「あ、ありがとうございます蘭陵王さん」

 

蘭陵王に褒められ、元気いっぱいで返事する季衣と嬉しさとちょい恥ずかしさでしどろもどろになる流琉であった。

 

「おーい!!」

「みなさ~ん」

「おや、マスター。それに北郷殿。朱里殿に雛里殿」

 

海を楽しんでいる季衣たちの前に藤丸立香や朱里たちがが合流。

 

「なんか良い素材あったか?」

「あ、ごめん一刀兄ちゃん。素材探してないで海で遊んでた」

「構わないよ。楽しんでるのならそれが一番だ」

 

何度も言うが今回は海を楽しむのが一番だ。

 

「雛里さんたちは何か見つかりましたか?」

「そうですね。こっちは珍しい貝殻を見つけました」

「わあ、綺麗ですね」

「見た事もない貝殻もあれば変わった特殊の貝殻もあるんです」

 

網にいっぱいの様々な貝殻。

 

「美味しそう」

「季衣。貝殻だからこれ。中身ないから」

「ちぇー」

 

涎を垂らそうとしている季衣だが中身が無いと聞いてちょっと残念がった。

これはもう自分で貝を掘り起こして流琉に貝料理を作ってもらうしかないと思うのであった。

 

「あ、じゃあコレって食べられる?」

 

ふと思いついたように季衣はいつの間にか掴んでいた物を皆に見せる。

 

「これは…」

「え、ナニコレ」

「ヒトデですね」

 

見せられた物を蘭陵王が説明する。

ヒトデ。

多くの種は、体が平たい星形の姿をしている。

ヒトデの正体はウニやナマコと同じ棘皮動物というグループに属する生き物である。

 

「へえ、これヒトデって言うんだ」

「蘭陵王さんは博識ですね」

「たまたま知ってただけですよ」

 

ヒトデは海に行けば結構な確率出会える。

海側に住む者なら知っているが、陸地側に住む者であれば知らない可能性は高い。

 

「で、これって食えるの?」

「食えなくはないですが…食べる所は少ないですよ。ただ珍味らしいです」

「流琉料理して!!」

「コレってどう料理するのさ。焼けばいいのかな?」

 

ヒトデの食べられる部分は卵巣や精巣だ。

ウニやカニミソに似た濃厚な味わいらしい。

 

「食べられるのはどの部分なんですか蘭陵王さん?」

「卵巣や精巣部分です」

「じゃあ塩ゆでとか揚げればすればいいかな?」

 

一発でヒトデの調理方法を当てるのであった。

日本でも一部の地域で珍味として食されている。更に中国でも食用として市場や屋台で楽しまれている。

 

「ただ食べられるヒトデは限られてます。ヒトデには毒を持つものもいますからね」

 

一部の例だと、食べられるヒトデはマヒトデ(キヒトデ)という種類だけらしい。

 

「え、そうなの!?」

「はい。このヒトデは毒はありませんが食べられるヒトデではありませんね。いえ、食べようと思えば食べられるかもしれませんが…美味しくないですよ」

 

食べられないと知って季衣は手に持つヒトデを海へとリリース。

 

「じゃあ食べられるヒトデを探そう!!」

「いや、だから素材を探すっていってるでしょ。朱里さんや雛里さんはもう探してるんだよ」

「ヒトデも素材になるんじゃない?」

「え…なるのかな。朱里さんと雛里さんはどう思う?」

「「うう~ん…」」

 

二人ともヒトデが武器でなくとも妖術の触媒になるかどうか分からなかった。

 

「蘭陵王さんはどう思います?」

「そうですね。なるかもしれませんね?」

 

蘭陵王もヒドデが妖術の触媒になるか分からなかった。しかし再臨素材には様々な物がある。

もしも特別なヒトデがあれば妖術の触媒になってもおかしくない。

 

「食べられるヒトデを探しながら素材も探そう!!」

「おいおい…ま、いっか」

「一刀兄ちゃんや藤丸兄ちゃんも一緒に食べよ!!」

「「え」」

「朱里と雛里も食べよ!!」

「「え」」

 

まさかの提案をされた。季衣の良い笑顔に断りづらい雰囲気だった。

 

「流琉調理の準備して!!」

「もう季衣ったら」

「蘭陵王の兄ちゃんも食べられるヒトデを一緒に探して!!」

「あ、はい」

「蘭陵王の兄ちゃんはヒトデ学者だからね」

「いえいえ、私なんてまだまだですよ。ヒトデ学者なんてそんな…もっと凄いヒトデ学者はいますよ。例えばオラオラする人とか」

「オラオラ?」

 

メチャクチャ強くてメッチャ強い漢を思い浮かべる蘭陵王であった。

 

「やれやれだぜって漢だな」

「ある男の顔を見たらプッツンしちまう漢だな」

 

何故か藤丸立香と北郷一刀はあるヒトデ学者を同時に思い浮かべるのであった。

 

「ヒトデを探すぞー!!」

 

食べられるヒトデを探し始めるのであった。

 

「見事に見つけたー!!」

「早っ」

 

見つけたヒトデは「キヒトデ」である。これは美味しいヒトデと言われている。

 

「流琉お願い」

「塩ゆで出来る準備は出来てるよ」

「じゃあ投入~」

「まずはちゃんと洗ってから」

 

ヒトデを調理中。

グツグツとヒトデが茹でられていく。

 

「出来ました」

「まんま茹でたヒトデだな」

「じゃあ実食!!」

 

全員に一匹ずつ配られる。

朱里や雛里は微妙な顔をしていた。それは北郷一刀もそうである。

未知の食べ物やゲテモノ料理となると食うのに覚悟がいるものだ。

 

「な、なあ…立香はいけるか?」

「イケる」

「って、もう食ってる!?」

 

藤丸立香はヒトデをむぐむぐと食べていた。

ゲイザーの目玉焼きを食べればヒトデの塩ゆでなんて可愛いものだ。

 

「ふむ…確かに珍味ですね。これはお酒が欲しくなります」

「蘭陵王も既に食べてた!?」

 

上品にヒトデの卵巣を摘まんで少しずつ味わっていた。

 

「美味しんだ。で、どうやって食べんの?」

「足を1本ずつ外して食べてみてください」

 

素直に足をブチっと外す。すると中にはカニ味噌みたいな色の粒が詰まっていた。

カニ味噌色だがカニ味噌みたいにねっとりしている感じではない。

 

「じゃあ、いただきます」

 

直接はむっと食べる季衣。そして勇気を出して恐る恐る食べる北郷一刀と朱里たち。

 

「お、案外うまいじゃん!!」

「ほんとうですね」

「でも好き嫌いは別れるかもしれません」

「なんかカニとカニ味噌がコラボしたような味だな」

 

海の生物だが磯臭いというほどではない。

 

「そのままでも美味いが生姜入りの酢醤油をつけたいな」

「あ、それ美味しいやつ」

「それとお酒も合うでしょうね」

「食感はモロモロとしてる。やっぱ蟹と似てるかな?」

 

ちょっと量でお酒がたくさん進みそうだ。酒好きの者達にとって良いツマミである。

 

「うん、意外な発見。確かに珍味として食通の人に出すのもいいかも」

 

華琳も食指が動くかもしれない。

 

「もっと食べたい。いっぱい捕まえるぞー!!」

「乱獲は駄目だぞ。というかこういうはちょっとがいいんじゃないか」

「というか素材は季衣?」

「……これじゃ駄目?」

 

季衣が食いかけのヒトデを出す。

 

「駄目でしょ!!」

 

素材なんかよりも食の季衣であった。

 

「私が一応よさそうな物を見つけましたよ」

 

蘭陵王が取り出したのはまたもヒトデ。ただしただのヒトデではない。

金色のヒトデであった。

 

「わ、本当に金色!?」

「こんなヒトデ見た事ないな」

「オラオラするヒトデ学者が黙ってないぞコレ」

 

季衣たちは『金色のヒトデ』を手に入れた。

 

 

2065

 

 

海辺を歩く三国最強の武人と最強の武人を支える軍師。

ただ今は海を楽しむ美女と美少女に変身中だ。

 

「…海」

「青くて綺麗ですなー」

 

ちゃぷりと海に足を付けると冷たさが伝わってくる。

 

「…泳いでくる」

「あ、ねねも泳ぎます」

 

恋と音々音は海のダイビング。身体全体に海の冷たさが広がり、暑い夏に気持ちいものだ。

海の透明度も高く、濁りは無い。美しい海とこういう事かもしれない。

魚が優雅に泳ぎ、太陽の光が差し込んだ光景は神秘的な。海の中に潜ると何処か神秘的に感じてしまうものだ。

 

(…綺麗)

 

海に身体を支配されている。海の中でゆらゆらと身体が揺らめく。

息が続く限り海の中で潜っていたい気がするが、どうしても限界はある。

チラリと音々音を見ると頬をいっぱい膨らませて息が限界のようだ。手合いをジタバタさせていた。

つい冷静になって「溺れてる?」と思ってしまった。すぐに恋は音々音を抱えて海から浮上する。

 

「…ぷは」

「ぷはぁっ!?」

「大丈夫?」

「だ、大丈夫です…」

 

恋と同じくらい海の中に潜っていたかったが肺活量が違って無理だった。

 

「…陸に上がろ」

「はいです」

 

ちゃぽちゃぽと海から上がると正面に北郷一刀と季衣、雛里がいた。

 

「…ご主人様。雛里に季衣」

「どうしたです?」

「様子を見に来たんだよ。どうやら海に潜ってたみたいだな」

「…うん。綺麗だった」

 

恋も音々音は海から上がったばっかり。水の滴る良い女と女の子だ。

特に恋はプロポーションが抜群だ。最強の武人でありながら男女関係無く視線を独り占めする。

 

「綺麗だぞ恋」

「…ん、嬉しい」

(やっぱ大きいです)

(燈ほどじゃないけど…やっぱデカイ)

「恋殿が綺麗なのは当たり前なのです!!」

 

何故か「ふふん」と胸を張るのであった。

 

「海で何か見つけたか?」

「…綺麗な魚がいっぱいいた」

「そっか」

「…全部美味しそうだった」

「そ、そうか」

 

恋も美しいものよりも「食」だった。

気持ちは分からんでもなく、大きい魚を見ると食べ応えがありそうと思ってしまう。

 

「おっきな魚もいた?」

「…いた」

「よし、あたし捕ってくる。皆で焼いて食べよ!!」

「季衣さん。ご飯じゃなくて素材探ししましょう」

「あ、そうだったそうだった」

 

武器や武具の素材は案外、海や海辺に見つかるものだ。特に魔術的要素になる触媒は見つかる。

 

「…これは?」

 

恋はある欠片を拾った。

 

「それってサンゴか?」

 

恋がふと拾ったのは「珊瑚のかけら」だ。

 

「珊瑚…」

 

珊瑚とは植物でも岩でもなく、ポリプという小さな生き物が集まってできた刺胞動物という動物の仲間。

 

クラゲやイソギンチャクと同じグループに属しているとされている。そして珊瑚は真珠などと同じ「有機質起源の宝石」とされている。

まさに海の宝石だ。世界の海では色鮮やかな珊瑚群が存在する。その光景は誰もが神秘であると口にする。

そんな珊瑚に魔力があってもおかしくない。何せ宝石系統は魔力を有しているのだから。

 

「…欠片だけど」

 

海岸に打ち上げられた珊瑚を探すビーチコーミングでは、白い死滅珊瑚や化石珊瑚の欠片、有孔虫(星の砂など)が見つかる。

珊瑚の持ち帰りには注意が必要だ。特に沖縄県などでは、自然の砂浜から貝殻や珊瑚(原形を保っているもの)を持ち出す行為が法律や条例で禁じられており、違反すると罰金などが科される可能性がある。

 

各地の自治体が定めるルールや「海岸法」「種の保存法」に従う事が大事だ。

尤も、この外史世界では「海岸法」「種の保存法」は無いのだが。

 

「白いな」

 

色鮮やかな珊瑚は海岸に打ち上げられ、時間が経つと白くなる。

まるで魔力も色素も生命力も抜けた落ちたようなものだ。しかし真っ白珊瑚というのも見た目は悪くない。

ただ見た目が悪くないだけでは素材としての意味はない。

 

「どうだ雛里。何か妖力とか感じる?」

「そうですね」

 

雛里がジッと珊瑚のかけらを見る。

 

「う~んと…あ、ありますね」

「お、あるんだ」

 

海の宝石だからか。それとも恋の持つ珊瑚が特別なものなのか。

 

「雛里。これなんかはどうですか?」

 

音々音が両手いっぱいに取って来たのは「星の砂」であった。

星の砂とは、有孔虫という小さな生き物の殻である。

言い伝えや伝説もあり、「星の子どもの誕生」や「大蛇(または海蛇)の襲来」、「砂に残った骨」というものがある。

 

これは天の神が海にたくさんの子供を産み落としたが海の怪物が星の子供たちを次々と飲み込み、白い小さな星型の骨が砂浜に残されたという伝説だ。

他にも星の砂を歳の数だけ持っていれば幸せになれるというものだったり、願い事が叶ったり、魔除けになったりとすると言われている。

 

やはり「星の形」をしているからこそだ。魔術的にも妖術的にも「星」というのは触媒にしても言葉としてもとても重要な役割を持つのだから。

 

「何か不思議な力は感じませんが妖術の触媒にはなりそうですね」

「そっか。ねね。コレ何処で捕って来たんだ?」

「そこら辺です」

 

周囲をよく見ると星の砂がたくさん打ち上げられていた。

どうやらここは星の砂が多くある当たりスポットのようだ。

 

「じゃあたっくさん集めよう!!」

 

季衣は手あたり次第 星の砂をかき集める。

 

「確か歳の数だけ集めると幸せになれるとか」

「え、本当!?」

「願い事も叶うとか」

「え、これが!?」

 

星の砂と流れ星と繋げた結果かもしれない。

流れ星の三回願い事を祈ると叶うという派生のようなものだ。

 

「へえー」

「願い事が叶うんですね…」

「こんなのがですか?」

「…願い事」

 

雛里たちは「珊瑚のかけら」よりも「星の砂」の方に興味があるようだ。

 

「まあ、珊瑚も言い伝えというか伝説はあるんだけど」

「え、兄ちゃん。どんなどんな?」

 

珊瑚の縁起や言い伝え。

魔除け、長寿、幸福、安産祈願が込められている。

更に伝説だとギリシャ神話からも珊瑚について語られている部分がある。

英雄ペルセウスが怪物メドゥーサを倒した際、その血が海に落ちて赤い珊瑚に変わったという伝説がある。

 

他には海の木の伝説というものがあり、古代ローマやギリシャでは深海の美しい森の木が波で打ち上げられたものと信じられ、海の神からの贈り物とされた。

 

(この内容なら武器というよりも妖術とかの触媒になりそうだな。確か立香の言っていた概念とかそういうのに)

 

武器や防具よりも魔術具や魔術礼装の素材になるかもしれない。特に素材に言い伝えや伝説が込められているとより良い。

魔術や妖術にも伝説の概念を多少なりとも付与される。

 

(そう言えばカルデアにメドゥーサがいるって立香が言ってたな。めっちゃ美人って…どんな人だろ)

 

なんならゴルゴン三姉妹全員が揃ってる。なんならメドゥーサのIFであり、過去・現在・未来の姿だって存在する。もしも北郷一刀がカルデアにいたらステンノとエウリュアレに玩具にされるかもしれない。

 

(今まで特に気にした事はないけど……物には意外な意味や伝説があったりするんだな。こういうのが魔術の触媒になるんだろうな)

 

今まで集めたヒトデや貝にだって言い伝えや伝説があったりする。

素材に妖力や魔力があるかどうかで判断してはいけない。

 

「…願いが叶う」

「お、恋は何か願い事でもあるか?」

「…うん」

 

意外と言っては失礼かもしれないが恋に何か願い事があるとは思わなかった。

人間誰しも願い事の一つや二つくらいあるだろうが、恋はそういうのには無頓着かと思っていた。

 

「…家族がお腹いっぱいご飯が食べられる」

 

恋の言う家族というのは犬や猫といった動物たちだ。

 

「そうだな。家族がご飯がいっぱい食べられるのは幸せだよな」

 

ご飯がいっぱい食べられる。ささやかな願い事かと思われるが、ご飯がいっぱい食べられない人だっている。

当たり前だと思っているのが当たり前じゃないのだ。

 

「…ご主人様も」

 

恋が頬を赤くした。彼女の言う家族には北郷一刀が含まれているようだ。

彼女の言う家族の中で北郷一刀がどういう立ち位置かは恋の表情を見れば分かるというものだ。

 

「あたしもお腹いっぱいご飯が食べたい。でも一番食べたいのは兄ちゃんの国のご飯!!」

 

以前、季衣に天の国の料理を説明した事がある。その時の彼女は鈴々と一緒に涎をめっちゃ垂らしたし、目をキラキラさせていた。

この外史世界で現代の料理を再現できる事は可能だ。しかし全ての再現は出来ない。

故に季衣は天の国(現代)の料理を全部食べてみたいと思ったのだ。

 

「ねねは?」

「ねねは恋殿の傍にいる事ですぞ!!」

「はは。ねねは相変わらずだな」

「笑うなです」

「笑ってないよ。きっとその願いは恋も幸せにするさ」

 

信じてくれる仲間がいる。恋(呂布)にとってもしかしたらもったいないくらいの部下(仲間)が音々音だ。

正史の呂布にも音々音のような存在がいたらまた未来は変わっていたかもしれない。

 

「雛里は?」

「私は…そうですね。人並みですけど朱里ちゃんに勝ちたいですね」

「お」

「ふふ。朱里ちゃんは尊敬できる友達で勝ちたい友達でもあるんです」

 

朱里と雛里は親友でありライバルでもある。軍師として勝負して勝ちたいという欲求はあるのだ。それはきっと朱里もだ。

お互いに認め合っているからこそ軍師として勝負してみたい。勝ってみたいというのだ。

 

「あと…ご主人様と…その、め、夫婦に…」

「え?」

 

雛里の声が段々小さくなって最後の言葉が聞こえなかった。しかし顔が真っ赤だ。

 

「…ご主人様は?」

 

恋に北郷一刀の願いは何かと聞く。

 

「俺の願いか…う~ん」

 

北郷一刀は何を願うか。

彼は無欲なのか「この願いを叶えたい!!」というものはすぐに思いつかなかった。

人並みな願い。金持ちになりたいとか、美食を食べたいとかはない。

 

「う~ん…やっぱ桃香の願いを叶えたいかな」

 

桃香の願いは大陸の平和だ。とてつもなく難しすぎる願いである。

 

「それは私たち全員の願いですね」

 

桃香の願いを叶えたいというのは蜀の武将達の共通の願いだ。

 

(あ、でも…もっと強くなりたいってのが直近の願いか)

 

ある男の顔を思い浮かべる。次会った時は負けないと誓ったのだ。

因縁ある男である左慈との決着だ。今の北郷一刀と左慈とでは実力が差がある。

以前は藤丸立香と共に魔術や機転を利かして一太刀だけ入れた。しかし次は藤丸立香と共に勝負できるとは限らない。

 

否、次は己自身の手で勝ちたいと思っている。左慈とは思っている以上に縁があり、彼との決着は自分だけで着けねばならないのだ。

今でも鍛錬は欠かしていない。何なら以前よりも鍛錬量を増やし、愛紗や翠たちにも教えを頼んでいる。

 

余談だが、北郷一刀に師事するのに愛紗や翠たちが一時イザコザが起きたがそれは一旦置いておく。

 

(次会った時は決着を付ける。俺と左慈の因縁を断ち切るんだ)

 

左慈が言うには因縁の始まりは最初の北郷一刀(別外史)らしい。この外史世界の北郷一刀は全く知らない。

別外史とはいえ、自分自身の因縁は自分で決着を付けるしかないのだ。

 

「結構集まったですぞ」

「壺一杯ですね」

「集め過ぎな気がするが…たくさんあった方がいっか」

 

恋と音々音達は「珊瑚のかけら」と「星の砂」を手に入れた。

 

 

2066

 

 

海中にて。

海の鬼達が侵攻している。侵攻先は三国の武人や天の御遣いがいる場所だ。

彼らの目的は三国の者共を屠るため。その為に五体の海の鬼を結成させた特別な部隊である。

 

「目標マデ 徐々ニ 接近中ヨ。メデタイワ!!」

「ウフフ。急グ事ナイワ。ユックリ ユッタリ 確実ニ」

「儂ハ 蟹ジャガ 前ニモ 歩ク事ガ 出来ルンジャア」

「オイラハ 泳ギニ関シテ 疲レ知ラズ。背中ニ 猿ヤ大猩猩(ゴリラ)ヲ 乗セテモ スイスイ」

「シャ。私ノ自慢ノ 鮫肌モ 万全デス。ドンナ 相手モ 削リ喰ッテヤリマスヨ」

五体の鬼は順調に侵攻中。

侵攻と言っても海の中を泳いで進んでいるだけだが。その内一体は海底を歩いている。

 

「オ腹ハ 減ッテナァイ。コレカラ 襲撃ニ オ腹ガ減ッテハ 襲撃 出来イワヨ!!」

「私ハ 減ッテナイワ」

「アー、儂ハ 少シ 減ッタノオ。鼠ヲ 海ノ モズク ニシテ 食ウトオゥナァ!!」

「モズク ジャナクテ 藻屑デショウ?」

「ホウカ 藻屑カア。マタ 頭ガ 一ツ 良ク ナッタワ!!」

「ソノ鼠ッテ 悲鳴ガ ビビデバビデブー トカ 言ワナイ?」

「言ウカモナア。ナンナラ 爆破ノ達人カモノォ!!」

 

そんな鼠がいてたまるかというツッコミを心の中で誰かが入れた。

 

「鼠ナンカ 食ベチャダメヨ。タベルナラ 鯛!!」

「鯛カ!!」

「鯛ハ 煮テ良シ、焼イテ良シ、デモ…タタキハイヤ。デモデモ ヤッパ 叩キハ最高!!」

 

鯛は確かに美味しいし、めでたい時に食うにはピッタリである。そしてゲン担ぎにもなる。

 

「ソノ鯛ッテ 足生エテナイ?」

「アタシハ 生エテルワヨ。ナンナラ 腕モ」

「ソノ鯛ッテ 足生エテ 足ニ網ヲ 履イテナイ?」

「アラ 良イワネ」

「アト 蝸牛ガ 友達ダッタリシマセンカ?」

「鯛ト蝸牛ニ ソンナ 関係性ハ ナイダロ」

 

そんな鯛いるわけないだろうとツッコミを入れる。しかし何故か否定できないと思う者もいた。

 

「オイラハ 鯛ヨリモ 香蕉ガ 良イナ」

「香蕉ッテ 確カ 南国ノ果実ジャ アリマセンデシタカ?」

「ソウ。オイラノ 友達ノ 猿ヤ大猩猩ノ 好物ダ。特ニ 黄金ノ香蕉ハ 最高」

「何デ 貴方ハ 猿ト大猩猩ト 友達ナンデスカ」

「猿ト大猩猩達ト カジキハ 友達ダヨ?」

「一番 アリエナイ 関係性ナンデスケドネ」

 

まずありえない組み合わせである。

 

「シカシ 鰐。テメーハ 駄目ダ」

「マダ 鰐ト友達ナラ 同ジ 水ノ中デ 住ム トイウ点デ 分カルンデスガ」

「鰐ハ 敵ダ」

 

何故か鰐に敵対心があるのであった。

 

「鯛食ッテ 元気モリモリ。サア 目標地マデ アト少シヨ!!」

 

海の鬼の魔の手が近づく。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新はまたお盆期間中を予定しております。
それがダメなら来週かなあ。


2063
ビーチコーミングその1
貝殻は定番ですよね!!
FGOでも再臨素材になってますし。

恋姫世界の卑弥呼。
いずれ、彼女?の話や恋姫世界の倭を書けたらなって思ってます。

恋姫世界の司馬懿について
今の所、登場予定はありません。
何かネタが思いつけば…書くかな?


2064
ビーチコーミング2
ヒトデ

ヒトデとなるとどうしても「オラオラ」が頭を過るなあ。

そしてヒトデって食べられるんだ。
食べた事ないけど美味しいらしいです。


2065
ビーチコーミング3
珊瑚の欠片と星の砂
これらは海のお土産とかで貰った事があります。
確かインテリアとかに使ったような…そうでもないような。

そしてやっぱ物には意味が宿ってますね。
星の砂の伝説や珊瑚の言い伝えって調べて初めて知り、驚きました。


2066
敵side
個性的な海の鬼が三国に近づいています。
前回にもあとがきに書きましたが…この鬼って?みたいに思うかもしれませんね。

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