Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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盗賊たちとの戦いです。
まあ、無双になります。


掃討

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戦の準備は出来た。あとは賊達を掃討するだけである。

 

「みんな、俺達は逃げなかった。だから戦うしか道は無い。でも負けるなんて考えちゃ駄目だーー」

 

藤丸立香は村人達を鼓舞していた。こういうのは村の長がするものなのだが気が付いたら村人達の前に立たされて居た。

 

「勝ち負けを決める為に戦うんじゃない。生きる為に戦うんだ!!」

 

こんな絶望的な戦いでも諦めず足掻き続ける藤丸立香の意思が村人に伝わったのか、村人たちも足掻こうと決めたのだ。

カエサルのように扇動(EX)スキルは無いが、こんな絶望的な状況だからこそ村人達を扇動してくれる人が必要なのだ。

 

「中々様になってるぜマスター」

「だな。よく言ったものだマスター」

「よしてよ。俺の柄じゃないよ」

 

流石に柄でもない事をしたので村人たちの前から降りるとドッと疲れた顔した。前に少しだけカエサルから教えてもらった扇動の仕方が役にたったものだ。

こんな扇動をカエサルに見られたら鼻で笑われそうだけど。

 

「いやいや、立香殿。本当に様になっておったぞ」

「趙雲さんまで」

「いえ、本当に良かったです」

 

楽進達まで褒めてくれる。彼女達に褒められると嬉しいものだが、少し恐れ多くもある。

 

「哪吒」

「何 ますたぁ?」

「もしもの場合を考えて宝具の使用を許可する」

 

令呪を一画使用した。彼女の宝具は対軍宝具であるから今回の戦で切り札になる。

尤も威力が威力なので奥の手だ。

 

「了解」

「さあ、生き抜くよ!!」

 

 

17

 

 

戦が始まった。この絶望的な戦は苛烈を極めると趙雲や村人達は思っていたがその予想は大きく外れた。

なんせ、盗賊達がもう既に瓦解しているのだから。しかも瓦解させたのはたった数人でだ。

李書文が、燕青が、呂布奉先が、哪吒が、俵藤太が盗賊の大軍を相手取っている。

そもそも呂布奉先が一番槍を決めた時点で盗賊側の士気が下がったのだが。一番槍で盗賊達をゆうに数十人殴り飛ばしたのだから。そのまま中心にまで突撃して本隊を瓦解させた。

盗賊達もまさか自分達が成す術も無く空中に殴り飛ばされる未来を想像する事等できなかっただろう。今も戦場の色んな所で盗賊たちが空を舞っている。

 

「呵々々々!! こんなものか!!」

「おーおー。武闘家さんは張り切ってるな。ま、俺も我が主の為に粉骨砕身で頑張りますかね。あらよっと!!」

「□□□□□□□□□□□□!!」

「お主達も飢餓に苦しんでいるのだろうが…こちらも負けるわけにはいかんのでな!!」

「一騎当千!!」

 

この光景を見ていた趙雲や村人達は唖然。

 

「何だあれは…」

「わー。いや、本当にわーですよ」

「何ですかあの人達は!?」

 

現状を理解するのに少し時間を要したほど。

堀やら弓矢やら用意したが意味は無さそうだ。趙雲や楽進達も待機していたが、このままでは本当に出番は無いだろう。

 

「孔明先生。このままなら勝てるね」

「ああ。特に策を考えるまでも無かったな。それに全員倒す必要もなくなったぞ。もう彼奴らは戦意を喪失している」

 

よく見ると盗賊の大軍は後退し始めている。そもそも後退する前に全滅しそうであるが。

 

「宝具使用を哪吒に託したけど…意味無かったかな」

「いや、そうでもないさ。二度と此方に来ないように恐怖を植え付ける」

 

既に戦意を喪失し恐怖しながら後退しているのに、これに更に恐怖を植え付けるって何をするのだろうか。

盗賊とはいえ戦う意思の無い人を攻撃するのはちょっとって思う甘い考えかもしれないが、そうではないらしい。

それに李書文は特に戦わない腑抜けを相手なんてしないだろう。逃げる相手に振るう拳は無いとか言いそうである。

 

「無駄な殺しはしないさ。疲れるだけだからな…哪吒の宝具を使う。攻撃地点は盗賊達の眼前だ」

 

指示を受けた哪吒は空高く飛び上がった。その光景に趙雲や村人達は驚いている。

「飛んだのか!?」とか「妖術士!?」とか「そもそも槍から火が!?」とか後ろから聞こえてくる。

この時代にも『妖術』という概念はあるようだ。驚きはしているけど哪吒の能力はこの時代でも理解されるらしい。

ならば藤丸立香たちカルデアの行動もある程度隠さなくてもよいのかもしれない。

高く飛び上がった哪吒は燃えながら急落下する。そして盗賊の軍団の手前で落下して巨大な火柱が発生した。

彼女の宝具である『地飛爽霊・火尖槍』。風火輪の超加速で空に駆け上がり、文字通り槍と一体となって突撃降下する灼熱攻撃である。

 

「流石は哪吒だ。封神演義の花形」

「いつ見ても派手だな」

「お、荊軻の姐さんいつの間に?」

「敵将の首はこの混乱に紛れて討ち取ってきた。もう盗賊達は纏められないだろう」

「流石だねぇ」

 

盗賊達の眼前はクレーターが出来ており、周りはメラメラと燃えている。そして中心には哪吒。

盗賊の軍の前方で恐ろしいことが起きて、後方では頭が討たれた。

 

「お前達 二度とこの村に近づくな このように燃やされたく無くば 消えろ!!」

 

哪吒の声は大きく響く。

英霊達により大軍は壊滅され、荊軻によって気が付いたら賊の頭を討たれ、更には哪吒の宝具の力を見せつけられた。

特に哪吒の宝具がもし直撃していたらというのは考えたくもないだろう。もう盗賊の大軍は、もう大軍と言ってもいいか分からないけど戦意喪失し恐怖しかない。

これで二度と盗賊たちはこの村に近づかないだろう。そして生き残った盗賊たちは今回の出来事を話していくだろう。

世には想像を絶する存在がいるという事を。

戦とは言えず、一方的であったがもうこれで終わりである。絶望から一転、村は救われた。

 

 

18

 

 

盗賊との戦が終わって村では村人達が勝鬨を上げていた。何もしていないけど勝鬨を上げたのだ。

その勝鬨は全て藤丸立香達に向けている。帰ってきた李書文達には感謝しかない。村人達にとって彼等は救世主だ。

 

「ありがとう。ありがとう!!」

「貴方がたのおかげで村は救われました」

「この御恩は一生忘れません」

 

もう本当に感謝の言葉しか耳に聞こえないほどだ。

 

「困ってる人たちを見捨てるなんて御仏としてできるはずないわ!!」

「まあ、妾は特に何もしなかったがのう。ていうか出番がなかったわ」

「それを言うなら私もだな。この趙雲、武を滾らせて満を持していたのだがな」

 

趙雲や楽進達もいつでも戦えるように待機していたのだが結局は出番が無かった。だけど出番が無かったとはいえ、彼女たちは村人達を守るという役割があった。

それだけでも村人達の精神を落ち着かせる為に十分だったのだ。弱い者は強い者に率いてもらう、守ってもらう事で安心するものだ。

玄奘三蔵はどんな状況でも村人達に声を掛け続けた。彼女の性質である隠さないほど揺るぎない自信が村人たちに伝達していったのも大きかった。

武則天も出番は無かったがもしも盗賊達が流れ込んで来たら酷吏を召喚して迎え撃つつもりであった。

 

「みんなお疲れさま。おかげで助かったよ!!」

「なあにマスター、苦戦するかと思ったけど案外なんとかなったぜ」

 

そう、案外なんとかなるものだった。

 

「さて、勝鬨を上げたのなら宴だな!!」

 

俵藤太はニカリと笑う。戦の終わった後の飯は美味いを体現させる男だ。

宴は良いものだが、村人達としては宴をするほどの食料の備蓄は無い。村人達だってこんな奇跡を起きた今日くらい宴をしたいが『貧しい』という現実を忘れてはいけない。

今このまま流れに任せて宴を開けば明日からより生活が厳しくなってしまうのだ。

 

「なあに安心しろ。お主たちの備蓄は削らん。全てこちらが出すとも!!」

 

はっきり言って彼らのどこに宴を開くほどの食料があるのか疑問だ。どこからどう見ても何も無い。

そう思っていたら気が付いたら俵藤太が大きな米俵を持っていた。

 

「いつの間に?」

「アレを使うんだね」

「おおともマスター!!」

(アレって…前に言っていたアレか。でもアレとは一体何だ?)

 

趙雲が頭にまたハテナマークを浮かばせているが俵藤太はアレとやらを発動する。

 

「悪虫退治に工夫を凝らし、三上山を往来すれば汲めども汲めども尽きぬ幸。お山を七巻き、まだ足りぬ。お山を鉢巻、なんのその。どうせ食うならお山を渦巻き、龍神さまの太っ腹、釜を開ければ大漁満席。さあ、行くぞぅ!!」

「な、なんだ?」

「対宴宝具。美味しいお米が、どーん、どーん!!」

 

宝具『無尽俵』の発動。一つの村の飢えを満たすことは容易い宝具だ。

美味しいお米が滝のようにどんどん出てくる。更には『山海の珍味がいくらでも湧いてくる鍋』の能力も纏められているのでお米だけでなく山海の珍味も出てくる。

これには趙雲達や村人達も空いた口が塞がらない。これは人々の腹を満たし、飢えを退ける恵みの奇蹟。

 

「な、何なのだこれはーー!?」

 

叫びたくなるのも分かるってものだ。

第六特異点での記憶が蘇る。あの時のマシュに呪腕のハサンやベディヴィエール、百貌のハサンも驚愕しまくってた。

 

「さあ、宴だ!!」

 

宴が始まる。

村人達にとってもう今日は本当に奇蹟の一日だろう。大軍の盗賊を退け、食いきれないほどの米や山海の幸を食らう。

もうこれが夢だって言われても信じてしまうだろう。だけど米を噛みしめることでやはり現実だと認識する。

老若男女全員が勢いよくがっついている。こんな御馳走は初めてなのかもしれない。

 

「ゆっくり、腹いっぱい食え。まだまだあるからな!!」

 

豪快に俵藤太は大きな焼き魚をペロリと平らげる。その姿を見て村人の男たちも真似してがっつく。

玄奘三蔵は前みたいに『おにぎり百連如来掌』でおにぎりを大量生産して子供たちに分け与えていた。

荊軻は趙雲と酒盛りをしている。全員が全員で宴を楽しんでいる。

 

「みんな笑顔だね」

「だな。やはりみんなで囲って飯を食うのは良い!!」

 

おにぎりを口に放り込む。同じくしておにぎりをかぶりつく。美味しい。

まさかこの時代に来て戦に巻き込まれたのは予想外であった。そして自分たちが戦うことになるとは。

本当にこの時代は生きるためには戦わねばならないというのが嫌なほど実感してしまった。今までも似たようなものであるが今回ばかりは魔術とか関係なく生きるための人間同士の戦いであったのだ。

藤丸立香だって思うところはあるのだ。でも自分の選んだ道に疑問を覚えてはいけない。

 

「立香殿。これも食べますか?」

「ん、楽進?」

「ちょ、待てや凪!!」

「それは流石にマズイのー」

 

楽進が持ってきた食べ物は赤かった。

 

「何これ」

 

赤い。でもエリザベートの紅い料理ほどではない。

 

「どうぞ」

「いただきます」

「ちょ。立香はん!?」

 

辛い。ただ辛いだけの料理であった。

だが概念礼装の激辛麻婆豆腐を持つ彼にとってこれくらいの辛さは平気だ。本当に平気ってわけじゃないけど。

 

「立香殿!!」

 

初めて自分の料理を完食した彼に楽進はちょっぴり感動。

 

「よく食ったな立香はん…」

「大丈夫なのー?」

「口の中が大炎上だ」

「それ大丈夫じゃないやん」

 

いつの間にか集まる仲良し3人組。

 

「それにしても凄かったなあ。なんやのあの人ら?」

「俺の大切な仲間だよ。彼等が力を貸してくれるから俺も戦えるんだ」

「彼等とは何処で?」

「そうだな…何処だったかな。でもどうやって出会ったかと聞かれればそれは縁かな」

「縁?」

「そ、人と人を紡ぐつながりだよ」

 

マスターが多くの英霊を召喚したのは『縁』のおかげだ。だからこそ彼は『縁』を大切にしている。

 

「それに君達や趙雲達に出会えたことも縁なんかじゃないかと思ってるよ。だからもしかしたらいつかまた会えるかもってね」

「縁か…良いですね」

 

今までの旅は人との縁があったからこそっていうのもあった。

 

「みんな笑顔ですね」

 

楽進は村人のみんなを見る。これは藤丸立香達が助けた結果だ。

今回は奇跡のような出来事であったが、その奇跡を起こしたのは人間であるのだから自分でもできるのではないかと思ってしまう。

自分だって強いのだからこんなご時世でできる事があるのかもしれない。例えば義勇軍に所属して各地で悪さをする賊達を懲らしめるとか。

今回の事が楽進を義勇軍に入る切っ掛けとなったのは藤丸立香は知らなかった。そして彼女だけでなく李典や于禁も。

今度、彼女たちと再会するのはまさかの陣営となる。いや、予想すれば分かることなのだが。

 

「おーいマスター」

「今行くよ」

 

宴は続く。

 

 

19

 

 

宴の熱気を冷ますために、息抜きがてらちょっとばかし抜ける藤丸立香。さっきから村人に酒を飲まされそうで大変だ。

それに荊軻と燕青も悪ふざけで酒を進めてくる。そこは2人らしい悪ふざけである。飲んで食って遊んで歌う。それが好きな2人だ。

 

「ふう」

「一息かな立香殿?」

「あ、趙雲さん」

 

一息ついていたら趙雲が来てくれる。彼女もまた一息つきにきたのだろう。

彼女も酒を進めてくるが、何度も言うが藤丸立香は飲めない。それに残念そうな顔をしているがしょうがないものだ。

 

「飲めぬのか。私としては立香殿と酒を酌み交わしたかったものなのだがな」

「ごめんね」

「仕方あるまい。なら話は付き合ってくれるな?」

「いいよ」

 

ひょいと隣に座る趙雲。

 

「さて、お主たちは何者なのだ?」

 

いきなりな会話の切り出しだ。確かに今回の戦いでいろいろとあったのだから聞き出したいことがあるのだろう。

 

「カルデアの者です」

「かるであ?」

 

前には言ったかもしれないがそう言う他ない。

説明しようにも難しいものだ。魔術やら科学やら英霊やら特異点とか言っても分からないだろう。

あるいは魔術に関しては伝わるかもしれない。妖術という言葉はしっているようだから。

 

「まさか五胡の妖術師の連中ではあるまいな」

「違います」

「ふむ…あれだけの力を持つ将たちをまとめるのだ。やはりこれから名声でもあげるつもりか?」

「名声?」

 

趙雲の言った言葉に首を傾ける。

名声なんて目的ではない。目的は特異点たる原因だ。これも説明するか悩むものだが。

 

「ただの探し物だよ」

「セイハイというやつだな。それはそんなに重要な物なのか?」

「うん。それを目的に何度も旅をしてきたからね」

 

聖杯に特異点などの目的のために様々な時代をレイシフトしたのだ。

それに重要も重要。世界を賭けて戦ったのだから。

 

「お前たちの目的はよく分からないところもある。だがそれが第一で覇権を手に入れるとか国を建国させるなど考えはせんのか?」

「しない。建国って…考えられないよ」

「そうか。その力を何かのために役立てたいとかは?」

「出来るなら役立てたいね。でも俺に力は無いよ。俺は皆に力を貸してもらってるだけなんだ」

 

皆が力を貸してくれるから人を助けることができた。特異点を解決できた。自分だけでは何もできない。

 

「でも、そんな俺でも何かできる事が有るなら何でもやるさ」

 

本当に不思議な男だと趙雲は思う。

これだけ有能な仲間を持っておきながら何故そこまで無欲なのだろうか。

目的はあるようだがそれは物探し。言っては悪いかもしれないが、それは仲間たちの力や才能の無駄遣い。

それなら何処かの国にでも仕えればすぐにでも昇進するだろう。だけど燕青達は藤丸立香から離れるつもりは毛頭もない。

それは何故か。

藤丸立香にはやはり趙雲にはまだ分からない何かがあるという事なのだろうか。

 

「お主たちの目的は私には分からんが重要なのだな」

「うん」

 

彼の目は真っすぐであった。その目の色から彼の言う物探しは馬鹿にはできない旅路なのだろう。

馬鹿にはできないが結局、分からない部分もある。

それは趙雲の世界観と藤丸立香の世界観が違うからだ。この時代の趙雲と未来の藤丸立香では価値観が違うし、見据える未来の目的や夢もズレがある。

こればかりは時代に生きる者たちの違いである。

 

「…星だ」

「え?」

「私の真名は星。受け取ってくれ」

「いいの?」

 

真名とはとても大事なものだ。聞いた話だと不用心に言葉にすれば斬りかかられてもおかしくないという。

その真名制度を知らない者にとっては初見殺しすぎる。

そんな大切な真名を急に受け取ってほしいとはどういうことだろう。

 

「真名とは家族や親しい友人や認めた者に受け取ってもらう名だ。それならお主に預けても構わんと思ったからさ」

 

趙雲曰く藤丸立香を認めたから真名を預けた。それだけだ。

 

「認めてもらえたってこと?」

「ああ。お主の人柄は旅を共にしたから分かる。それに最終的にはお主の言葉によってこの村を救うことになったのだ。お主は正義感のある人で信頼におけると判断した」

 

そう言われると少しむずかゆいものがある。

 

「受け取ってもらえるか?」

「もちろん。ありがとう星さん」

「さん付けはいらんさ。そのまま星でいい」

「そっか。じゃあ改めて、俺は藤丸立香。よろしく星」

「待て」

 

ピタリとストップが掛けられた。

 

「何?」

「まさか今まで呼んでいた名前が真名か?」

「俺が住んでいたところには真名っていうのが無かったからね。苗字と名前。この2つで名を名乗ってる」

 

真名隠しと言うものが聖杯戦争であるが、それはこの時代特有のものではない。

 

「むむむ…いきなり真名を呼ばせていたのか」

「真名ではないから…真名?」

 

藤丸立香という名前は彼だけの名前。本当の名前ということなら当てはまるが、この時代の真名に当てはまるかと言われれば微妙なところだ。

 

「住んでいる地域や国が違えばしきたりや制度が違うってことかな」

「そ、そうなのか?」

 

やはり藤丸立香には不思議なところがありそうだ。

 

「話が折れたけどよろしく星」

「ああ、立香」

 

お互いに真名を預けてまた2人は宴会に戻るのであった。

 

 

20

 

 

何処か。

 

「うう~ん。なんなのかしらこの外史?」

「どうしたのだ貂蝉よ」

「あらん、卑弥呼じゃない。実はちょっと気になる外史があってねえん」

 

2人の筋肉達磨がある1つの外史を見る。

 

「この外史がどうしたのだ。どこか異常があるようには…むむ!!」

「でしょう?」

「むむ、これは…なんと言ったらいいか。確かに変だな」

「でしょう?」

「うむ。原因が分からんが」

「ええ、原因が分からないけどん」

「あいつらの線は?」

「あの子たちは今、大人しいし違うと思うわよん。それにあの子たちなら手が出せないはずよ」

 

原因が分からないけど確認している外史はどこかおかしい。何かおかしいのだ。

その違和感とはまるでこの外史自体が危険を訴えているようなのだ。

 

「この外史にイレギュラーでも紛れ込んでいるのかしらねん?」

「可能性は無くは無いぞ。いくつかの外史には『彼』以外の奴もおったからな。でも外史として成り立っていたぞ」

「ならこの外史もご主人様以外の誰かが…」

 

複数ある外史には『彼』以外の存在がいる場合もある。その結果『彼』とは違う歴史の外史になるのだ。

その結果、外史に大きな影響が出る場合もある。平穏になったり、まさに歴史通りになったり、苛烈な世界になったりとある。

だがどの外史も1つの物語として存在している。それを貂蝉や卑弥呼は認めている。

だがこの外史だけは輪にかけて今までと違うのだ。

 

「なら見に行くか貂蝉よ!!」

「ん勿論よん!!」

 

2人のある意味最強筋肉達磨たちはこの外史に飛ぶことを決めたのであった。

 

「「じゅぅわ!!」」

 

2人の筋肉達磨がこの場から消えた後、2人の男性がコツコツと現れる。

 

「やっとこの外史に飛んだか人外筋肉達磨どもめ。何が手が出せないだ。手を出さなかっただけだ」

「では、やっと計画が始動ですね左慈」

「ふん。下地はもう出来てるんだ。あとは始めるだけだ」

 

さっきの筋肉達磨たちは見た目はアレだが、どちらかと言えば善性の存在。今いる男性2人は見た目は整っているのに混沌のような存在だ。

彼らは何かを仕出かそうとしている。それはきっと良いことではないだろう。

 

「しかしよくこんな方法を見つけましたね左慈」

「様々な外史を見たり、正史を見たりしたからな。そして多くの繋がりを辿って見つけた世界だ。あの世界を見つけたのは本当に運が良かったにすぎない。それはまさに天文学的な確率だ」

「あちらの世界にも三国志という概念があってこそ見つけられて、繋げることも可能でしたが…大変無茶でしたよ。下手したらと考えると」

「だが繋げることができた。そのおかげでこの外史に無かった概念が付属された」

 

付属されたおかげで彼らの言う計画が始まったのだ。

 

「では俺はこれからこの器を持って行ってくる。この器に込めるモノを狩らないといけないからな。残り半分の器をお前があの外史に持って行け于吉」

「了解です」

 

左慈と呼ばれる男は于吉と言う男に半分に割れた鏡を渡す。

 

「それがあの外史に送り込まれれば計画が本格的に始動だ。なんせそれが大事な願望器の代わりなんだからな」

「では私が責任を持ってあの外史に持って行きます。ですが左慈も急いでくださいね。この計画は時間制限があるんですから」

「分かっている。俺がそっちの外史での各陣営の戦が終わる前に戻ってくる」

「それにしても大変ですね…その器に70人以上の魂を入れなければ為らないのですよね?」

 

その言葉に左慈はうんざりした顔をする。

 

「ああ。1つの外史で70人以上主要人物を殺すとなると流石に奴等にバレるし、外史に影響が出る。影響がでる分には構わないがそれだとあの2人にバレるのが問題だ。彼奴がそっちの外史に行っている間にバレないようにするとなると面倒だが1つの外史に対して1人を殺すペースだな」

「それでも70以上の外史を渡りますか」

「こたえるな…」

「疲れたら私の胸をお貸ししますよ」

「断る!!」

 

両腕を広げて左慈に近づく于吉だが凄い嫌な目をされた。でも于吉にとって、それも可愛いと思っているようだが。

 

「お前は変わらないな…」

「全く左慈ったら恥ずかしがらなくても良いのに」

「本当に嫌がっているのが分からないのかお前は!?」

「ええ」

「凄い笑顔で肯定したな!?」

 

ギャイギャイ文句を言う左慈に対していきなり真顔になって質問する。

 

「しかし、代わりになるのですか?」

「幻霊くらいの価値はあるだろ。外史とはいえ仮にも三国志の英雄たちだ。だからこそ多くの魂が必要になる」

「分かりました。ではご武運を」

「ああ。そっちは任せたぞ于吉」

 

左慈はそう言って消える。

 

「さて、私も行きますか。向こうの外史では私もあの時のように久しぶりに裏で動きますかね………カルデアの者たちには悪いですが私も本気でいきます」

 

于吉もまた消える。そして計画始動。

 




読んでくれてありがとうございました。

しかし、趙雲達の活躍を書けなかったのは俺の力不足です。

英霊たちは盗賊相手なら無双できます。だってFate/EXTELLA LINKで無双してますし。
でも少しやりすぎたかもしれませんね。でもこんなものですかね。

藤太の無限俵はどうしても出したかったです。

さてさて、次回もゆっくりとお待ちください。


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