Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
今回は決戦前の準備みたいな話です。
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諸葛孔明、陸遜に貂蝉たちは交渉をするために袁術のいる荊州の南陽まで赴いた。
城に入って彼らは袁術に謁見したのだ。そして諸葛孔明は袁術を見て眉間に皺を寄せた。
(まんま子供ではないか…)
袁術を見てすぐに子供と判断したのだ。どこからどう見ても子供で、荊州の南陽を治めているなんて不思議なくらいだ。
その袁術はと言うと諸葛孔明たちを見て絶叫した。
「陸遜が化けて出たのじゃああああああああああ!?」
「生きてますよ!?」
「筋肉お化けがおるのじゃああああああああああ!?」
「んま、失礼ねん。なあにが鋼鉄筋肉モリモリで、見ただけで龍すら逃げ出す筋肉お化けですってぇ!!」
「のわあああああああああああああああああああ!?」
「何故、私を見て絶叫した。私には何も絶叫する要素は無いだろうが」
まさか謁見して絶叫されるとは思わなかった。
陸遜が化けて出たというのは分からないでもない。貂蝉を見て悲鳴を上げたのも分かる。だが諸葛孔明を見て悲鳴は分からない。
「袁術殿。この2人を見て悲鳴を上げるのは分かるが落ち着いてくれ」
「ちょ、孔明さん酷いです~」
「そうよそうよ孔明ちゃん!!」
「いえ、貂蝉さんは私も分かります」
「何でよん!?」
「逆に何で分からないんですか」
「分からないわん」
取り合えず貂蝉は置いておく。
「落ち着いてくれ袁術殿。陸遜はお化けではないし、貂蝉は筋肉お化けではない」
「ほ、本当かの?」
「ああ。だから話を聞いてくれ」
「わ、分かったのじゃ…七乃」
「はいはーい」
袁術の横にいた女性が前に出てくる。
(彼女は?)
(袁術の腹心の張勲です。気を付けてください。彼女は腹黒いですから)
(そういう相手は慣れているさ)
腹黒い相手なんて諸葛孔明にとっていくらでも相手してきた。疑似サーヴァントになる前はそういう相手をいくらでもしてきたのだから。
「まずあなた方は一体、誰ですか?」
「自己紹介をしよう私は諸葛孔明だ。此方は貂蝉で私の仲間の1人だ。今日ここに来たのは頼みがあってです」
「それって生きてた陸遜さんに関する事ですかね?」
「察しが良くて助かる」
張勲たちもやはり孫呉が黄祖に敗北したという情報は掴んでいた。だからこそ袁術は陸遜の顔を見て驚いたのだ。
きっと陸遜は死んだと思っていたから、今ここにいる彼女を見てお化けだと思ったのだ。
「うむ。よく生きていたの陸遜」
「は、はい~…」
「他の方はどうなんですかね。孫策さんは生きてますか?」
その言葉に穏は口を閉じてしまう。それだけで張勲は察することが出来た。
「孫策さんは死んじゃいましたか」
「何じゃ死んだのか」
その言葉にギリっと陸遜は歯を食いしばった。
袁術たちは何も陸遜を怒らせるために言ったわけではない。単純に思った事を言っただけにすぎないのだ。
「…孫策たちについて生死は不明だ。だが死んだと思っていた孫権や程普たちが生きていたからな。まだ分からんさ」
「ああ、そうなんですね」
孫策の生死は不明である。だが陸遜は孫策が死んでいないと信じている。
「で、私たちに何を頼むつもりですか?」
指をピンと立てて張勲が諸葛孔明たちに自分たちに何をさせようかと聞いてくる。
「隠し事はしない。黄祖打倒のために力を貸してほしい」
「力…兵を出せと?」
「その通りです」
黄祖は孫呉が完全に崩れていない事を知っている頃合いだ。ならば負傷した虎が身体を癒している隙など与えるはずがない。
今頃、完全に息の根を止める為に建業攻めの準備をしていると予想しているのが陸遜たちだ。
「う~ん」
「嫌じゃ」
張勲が応えにくそうしているが後ろから袁術が堂々とはっきりと否定をしてきた。
「何故、妾がそんな事をせねばならぬ」
「そんなこと言わずにまた力を貸してくださいよ~」
(また?)
「今度は妾がお主らに力を貸す必要はないではないか。お主らと黄祖の次の戦いなぞ関係ない。あの時は今までの孫堅の借りを返しただけじゃ。まあ敵討ちは出来んかったがの」
「おー、お嬢様ったら言いますねー!!」
確かに普通に考えれば孫呉と黄祖の戦いに袁術は関係無い。
関係無い戦いに兵士を出すなんて事は曹操だってしない。だが、本当に関係無い場合や自分に利が無い時だけである。
「ふむ。袁術殿の言いたい事は分かる。だが少し頭を捻って考えれば見えてくるものもあります」
「何じゃと?」
「我々が勝てる力があれば力を貸すは必要無いでしょう。しかし、我々は袁術殿の力が無ければ勝てない状態なのです」
「まー…そちらはボロボロの状態ですしね。それに黄祖さんのところには怖い噂を聞きますし。それならば力を貸してほしいのは当然ですよねー」
怖い噂と言った張勲。それならば兵馬妖や妖魔についても少しは情報を得ているということだ。
「どうやら黄祖が持つ力について少しは知っているようですね」
「何じゃそれは?」
袁術は知っていないようだが張勲は知っている。おそらく張勲が意図的に袁術に兵馬妖について報告していなかった可能性があるのだ。
情報を言わなかった理由は張勲にしか分からない。袁術に対して必要ない情報だからか、不安を与えたくないのか、困らせたいだけなのか。それは分からない。
「黄祖には兵馬妖という力を持っている」
「へいばよお?」
「兵馬妖とは動く土人形だ。膂力に優れ、敵を殲滅する。それはよく訓練された兵士にも成ると言われている」
「な、なんと…ガクガクブルブル」
「怖いですねー」
そういう張勲は実は知っていたはずではないのかと言いたい陸遜だったが、取り合えず口を塞いでおく。
対して貂蝉は「しー」っと指で自分の口を塞ぐ仕草をした。
(うふふ、言いたいことはあると思うけどここは我慢よ)
(貂蝉さん)
(それにしても可愛いわね袁術ちゃん。アタシもいずれ、あんな可愛い子を産むのね)
(………え?)
貂蝉が今言った方が色々とツッコミたいと思ってしまった陸遜である。
「まず、このままでは我々は負けるでしょう。で、負けたら次の狙いは何処だと思いますか?」
「む、むむ……七乃~?」
「はいはーい。そうですね…我々ですかね?」
「正解です」
「なんじゃとおおお!?」
黄祖が孫呉を滅ぼせば次は袁術のいる南陽が狙われる可能性は高い。
このご時世ならばどの諸侯も領地を広げようと野心を燃やす。そうなれば脅威の兵馬妖の矛先は多くの諸侯に向けられることになるのだ。
「妾まで狙われるのか!?」
「おそらく。いえ、絶対に狙うでしょうな。南陽と江夏の位置関係を頭に浮かべてみれば分かる事です」
「あー…そうですね。お嬢様の居る南陽って黄祖さんから見てみれば邪魔な位置ですから」
袁術は頭に大陸の地図を思浮かべられなかったようだが張勲はすぐに思い浮かべる事ができたようだ。そもそも南陽という地の重要性を知っているはずである。袁術の本拠地である南陽はよく見れば他の勢力に囲まれている状態。
だが黄祖の江夏を落とせば南陽は安泰になる。
「提案でもある。我々と黄祖を打倒するために力を貸してもらいたい。我々と共に戦うか、袁術殿だけで戦うか」
相手は兵馬妖に妖魔を持つ魑魅魍魎の軍団。そのような怪異を斬り伏せるような将が袁術の軍にいるかと聞かれれば首を縦に振れない。
いくら袁術には兵の数があると言え相手は想像がつかない魑魅魍魎の軍団。そんな予想もつかない相手とまともに戦うのは考えられないと張勲。
(確かに…黄祖さんには怖い噂ばかりで魑魅魍魎の軍団になっていると聞きます。相手の戦力も想像つかないんですよね)
張勲は静かに頭の中で考えを巡らせる。
(もし黄祖さんと戦う事になったら私たちだけではお嬢様を守るので精一杯……ならまだ可能性のある方を選んだ方が良いかもしれません)
張勲は袁術をチラリと見てから諸葛孔明たちを見る。
「力を貸してくれるのならば勝てる可能性はある。しかし、別々では勝てる見込みは無いだろう」
個々で勝てないのならば手を組んで立ち向かうしかない。
「でもでも黄祖さんを攻めたら荊州牧の劉表さんとも戦になりませんかー?」
「そうはならないと思ってます。なんせ劉表さんは黄祖さんに対して不信感を持っていると思いますから~」
州牧の劉表を脅かす力を持った黄祖。そんな黄祖を劉表が良いイメージを持っているとは考えにくい。
このご時世で力を持った者が起こす行動なんて大体予想できる。そもそも孫呉と荊州は過去に盟約を結んだ事があったのに黄祖は独断で破った前科があるのだ。
「確か…孫堅さんがお亡くなりになった時ですね」
「表立って敵対はしてないけどん…劉表にとって黄祖は袁術ちゃん以上に厄介者になってるでしょーね」
「なるほどー。では戦になっても劉表さんは黄祖さんを助けませんか?」
「州牧という立場上、少しは援軍を出すかもねん」
「だが本気で救うとは思えない。寧ろ我らが黄祖を討ったら劉表は内心感謝するのではないか?」
荊州での事情は分からないが黄祖は既に劉表を見限っている。その事は劉表も気付いているはずだ。ただ、お互いに気付いてない振りをしているにすぎない。
見限っている黄祖が魑魅魍魎の力を手に入れたと言う情報も知っていれば劉表も流石に気付かない振りはしていられない。いつ反旗を翻すか分かったものではないからだ。
裏切り者を討伐してくれるのならば劉表からしてみれば寧ろ感謝しかない。それが自分では手が付けられなくなるほど強大で怪物となった存在を倒してくれるならば大助かりだ。
袁術にとって良い事もある。
もし、黄祖さえ潰したら江夏の地を通して南陽と揚州は繋がる。そうなれば袁術にとって揚州を手に入れるのに盤石になるということだ。
「今はお互いにとっての敵を倒すべきでしょう。黄祖討伐も劉表は見て見ぬ振りをするはずだ」
(確かにそうなるかもですね。私なりに調べましたが荊州と孫呉の盟約は黄祖がいなければ破られることは無かった。あの戦いは全て黄祖の独断によっておかしくなったんですよね。しかも劉表さんの名前まで勝手に使ったとまで聞きます…それなら劉表さんもそんな部下が居ても危険なだけ)
張勲の頭の中では考えがまとまった。
「お嬢様…この話は乗った方がよいかもしれませんよ」
張勲は袁術の横に行って小さく呟く。
「む、そうなのか七乃?」
「はい。確かに今のうちに黄祖さんを討伐しちゃった方が良いかもしれません。もしヤバそうでしたら向こうに全て投げちゃえばいいだけですし。それに勝てばそのまま…」
「ふむ………よし!!」
袁術が自信満々に陸遜たちを見る。
「お主らの話を聞く気になった。妾たちはどうすれば良いのか?」
「先ほどに申したように兵士を出してくれると助かります」
「南陽から江夏へ攻めてください。私たちは揚州の建業から江夏へ攻めます。挟み撃ちですよ~」
「ふむふむ」
「更にーー」
諸葛孔明と陸遜は袁術たちと黄祖を倒すための話し合いを続けるのであった。
(うふふ…良い傾向ねえん。袁術ちゃんたちもアタシたちの力になってくれたわん。流れはアタシたちに来てるわ)
貴重な葉巻に火を点けて諸葛孔明は一服する。
「ふぅー…上手くいったな」
「そうねん。袁術ちゃんが素直な子で良かったわん」
袁術たちとの話し合いは上手くいった。彼らはこのまますぐに建業に帰還している。
「あれは素直というより張勲に全て任せっきりに見えたがな」
「まあ、実際にそうだと思いますよ~」
袁術との話し合いは上手くいかないと腹をくくっていたが案外上手くいった。そもそも、袁術があんなお子様だと諸葛孔明として予想外すぎたのだ。だが張勲のような相手に関しては予想通りだ。彼女のように腹黒い相手は慣れていたからである。
話し合いをしていて張勲のこともある程度分かったこともある。彼女は袁術を甘やかす存在で、自分と袁術さえ利になれさえすれば良いと思っているだけだ。
「そういう相手だと上手く此方が先導しないと裏切る可能性があるから気をつけないといけませんね~」
「そうならないようにすれば良いのよん」
「そうさせなければいい」
黄祖との戦いについては話し合った。あとは袁術が上手く動いてくれるだけだ。
「それと恐らくだが…黄祖に勝ったら勝ったで袁術がそのまま建業に来るかもしれんな」
「え、それって?」
「どうせ保護とかそういう名目でそのまま建業に来て居座るということだ。まあ、今言ったのはただの予測に過ぎん。今は黄祖を倒す事が最優先事項だからな」
今の考えは勝利した後の予測だがまずは黄祖をどうにかしなければならない。その考えはまず置いてくしかないのだ。
「さて、急いで帰るとするわよん」
「そうですね~」
「では行くわよん」
貂蝉がガッシリと陸遜と諸葛孔明を逞しい両腕で抱える。
「え?」
「何をする貂蝉」
「舌を噛まないようにねぇん。行くぞ帰還だおらあああああああああ!!」
貂蝉が空高く跳んだ。
「ええええええええええええ!?」
「な、これは!?」
もはや人間の動きではない。ノンストップで建業へと帰還した。
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江夏にて。
「黄祖様。どうやら建業だけでなく南陽にも動きがあったようです」
「…どうせ孫呉の奴らが袁術に力を借りたのだろうよ。孫堅の時のようにな」
「あの時、袁術の邪魔さえなければ孫呉の息の根を止められたものの!!」
黄祖の部下が悔しそうに拳を握る。
「その時、私は生死の境を彷徨っていたからな。私がいれば…いや、もう過ぎた事だな」
「黄祖様…」
「今度こそ孫呉の息の根を止めれば良いだけだ。今度は絶対に油断しない。負傷した虎ほど怖いものはないからな…その怖さは死ぬほど分かっている」
黄祖は自分の胸に手を当てる。
「大鵬」
「はっ、黄祖様ここに」
「こちらも迎え討つ。于吉は見つかったか?」
「いえ、どうやら行方をくらましているようで…」
舌打ちをする黄祖。
「肝心な時に何処に行ったのだあいつは。だが、まあいい。兵馬妖の指揮権はあるからな。それに…」
チラリと横を見るといつの間にか現れた黄祖の部下たち。
「人虎、鑿歯、修蛇」
「「「ここに」」」
彼らもまた妖魔であり、于吉の実験体らである。
「大鵬と修蛇は迎え討ちに行け」
「「はっ」」
「人虎と鑿歯はこの城の守りを固めろ」
「「はっ」」
黄祖もただ待っているつもりはない。負傷した虎の恐ろしさは十分に分かっているのだ。
今度こそ油断せずに孫呉の息の根を止めに行く。
「そうだ。お前もこの城の守りを頼むぞ太史慈」
黄祖の後ろには太史慈が控えていた。
「ふふ、まだ真名を預けてもらえんか。だがこの戦いが終わればな」
「……」
薄く笑う黄祖。それに対して太史慈は無表情のままだ。
「黄祖様は我々と共に迎え撃ちに行きますか。それとも城に?」
「私はそうだな……」
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超特急で建業に帰ってきた陸遜たち。その顔に疲れが出ていた。
「うう…凄い体験でした」
フラフラのくらくらの陸遜。それには原因がある。
貂蝉によってジェット機並みの体感を生身で感じて帰ってきたのだ。よく無事であったものである。
「そう言えばマスターが体験したアーラシュの人間砲台というのもこれくらいだったのだろうか」
「んもう、だらしないわねアナタたち。あれくらい全然普通よん」
「全然普通じゃないですから!?」
流石に抗議をしているが貂蝉は気にもせずにポージングを何故か決めていた。
「ふ、二人とも大変だったみたいね」
「蓮華さま~」
孫権が疲れた陸遜たちを出迎えてくれた。まさかこんなにも早く帰還してきたのは驚きではある。
どこどうやったらこんなにも早く帰って来たのか知りたいくらいである。それがまさか貂蝉が抱えて空を跳んできたなんて誰も信じられない。
「と、取り合えず袁術との交渉は上手くいったぞ。あとは攻めるだけだ」
「そうなのね。助かるわ孔明殿、貂蝉殿。ご苦労だったわね穏」
貂蝉による無茶な帰還方法で帰ってきたがすぐさまどんな内容を話したかを孫権たちに話さないといけない。
すぐにでも軍議を始めるべきなのだ。
「分かった。すぐに軍議を始めましょう」
軍議が始まり陸遜は袁術との話し合いを全て説明する。それから黄祖打倒の作戦もより綿密に話し合いが続く。
その話し合いは長く続いた。生きるか死ぬかの運命を決める戦いなのだから当然だ。
「この作戦を実行するとして二手に分かれる。暗殺組と囮組だ」
作戦とは暗殺。少数精鋭で黄祖の根城に潜入して黄祖を暗殺するのだ。
そのため今ある孫呉の兵力と交渉してきた袁術の兵力全てを囮に使うのだ。この作戦が暗殺と言っていいのか分からないが大がかりの作戦であることに変わりない。
「組み分けをしよう。暗殺組と囮組だ」
「その暗殺組に私を入れてくれないかしら?」
暗殺組に程普が挙手する。彼女には黄祖に因縁があるのだ。
どうしても自分の手で討たねばならない因縁がある。
「それなら私もです!!」
程普の次に周泰も挙手した。彼女もまた黄祖を討ち取りたい理由があるのだ。
「…ヤル気があって良いがお前たちはどちらかと言うと囮組の方がいい。お前たちは将なのだから兵士を率いらないといけないだろう」
至極当然の事を諸葛孔明は言う。それに関しては陸遜も賛成である。
今の孫呉にいる将は程普に周泰に孫権、孫尚香。軍師に陸遜で、その補佐として張昭が入る。
ここで程普と周泰が抜ければ兵の編成が薄くなってしまうのだ。
「う、それは…」
周泰の挙手が少しずつ下がる。
「ええ、無茶を言っているのは分かる。それでも私は黄祖を討たねばならないわ」
程普はそれでも自分が暗殺組に入ると希望を出したままである。
(あらあら…程普ちゃんったら敵討ちする気マンマンねえ)
何故そこまで程普が黄祖を討伐したいか諸葛孔明たちカルデア組は分からないが貂蝉と卑弥呼は知っている。
「どっちにしろ誰か1人は暗殺組に来てもらうつもりだからな。黄祖を知る者がいなくては始まらん」
「なら私を!!」
「ああ、そうしよう」
暗殺組の1人目は程普に決定する。
「更に暗殺組は私に哪吒、武則天で行く」
「了解」
「しょうがないのう」
「そしてアタシたちも行くわよん」
「うむ、于吉がいるやもしれんからな」
貂蝉と卑弥呼も同行する。
そうなると残りのカルデア組が囮組になるということだ。
「では囮組には吾に三蔵に呂布が入るのだな」
「ああ、頼むぞ俵藤太、呂布奉先、三蔵玄奘」
「□□□」
「まっかせて。悪さする妖魔相手なら御仏に代わって成敗しちゃうわ!!」
組み分けは決まった。だがこれで全て上手くいくとは限らないのだ。
これは陸遜が考えている上手くいけばの策だ。しかし、上手くいかない場合もある。
「では、黄祖が囮組の方に出てきた場合も考えないといかんな」
「俵さんの言う通りです~」
暗殺作戦と言っても黄祖が大人しく城にいるとは限らないのだ。もしかしたら自分から前線に出てくる可能性もある。
その場合は暗殺のために黄祖の根城に行くのが無駄足になるのだ。
「そうなると暗殺作戦は失敗じゃが無駄足にはならんじゃろ。根城に行けば行ったでやれることはあるからの」
武則天はニヤリと笑う。彼女の気配遮断スキルならば敵の本拠地でいくらでもやれることがあるということだ。
「そうなる場合はそちらで対処してもらう。無論、こちらで次なる策を実行するためにそちらで時間稼ぎをしてもらうがな」
「そこは任せてくれ」
孫権が力強く頷く。
「だけど私たちで黄祖を討伐できるのならばしていいんですよね?」
「そうだな。戦なんてどうなるか分からないからな」
「勿論、私の考える策全てで黄祖軍を倒しますので」
陸遜も力強く頷いた。
軍議は長く続いたがようやくまとまりだしていく。孫呉の命運の決まる戦いはもうすぐである。
「ところで今の内に聞きたいことがある」
「何かしら?」
「過去にお前たち孫呉に何があったかだ」
ここまでいろいろとあったため、孫呉の過去について詳しく聞いていないのだ。今の内に過去に何があったか分かれば于吉が何をしたのか予想できるというものである。
「まだ時間はあるし、良いでしょう」
「いいの姉様?」
「隠す事でもないしね。実はーー」
孫権が過去に何があったのかを語りだす。
読んでくれてありがとうございました。
次回は2週間後予定です。もし、早く更新出来たらします。
次回は早くも過去sideに戻ります。
過去sideも現在sideも終盤に入りました。過去sideは孫呉革命の見どころの1つである太史慈との戦いと黄祖の襲撃篇に入ります。
ついに于吉も動きますので藤丸立香たちも本格的に解決に向かいます。