Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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GWですね!!
そしてFGOの新イベも始まりました!!

ライネス司馬懿はお迎え出来ました!!(勝手な報告)
でもアストライア(ルヴィア)が来ない…(勝手な報告)

では、物語が進みます。


まさかの援軍

180

 

 

雪蓮たちが豫章城に退却した後、城は黄祖軍によって包囲されていた。やはりと言うべきか、衰弱している孫呉軍を見逃すほど甘くは無い黄祖軍。

今の黄祖軍を指揮しているのは黄祖の配下の将の1人である。だが裏で黄祖軍を動かしているのは于吉であった。

 

「于吉殿、このまま豫章城を攻めようと思います」

「それは……まだ攻めなくともいいと思いますよ」

「それは何故です?」

「恐らく向こうは和睦をしてくるからです」

 

話を少し戻すが、そもそも炎蓮を奪うのに黄祖を見殺しにする必要は無かった。

于吉が炎蓮を奪う際に黄祖の動きを止めて、投げられた槍を調整してまで黄祖を殺させたのには理由がある。

その理由こそが今の自分の立ち位置である。黄祖がいなければ黄祖軍を利用するのなんて于吉にとって朝飯前だ。

 

「和睦ですと?」

「ええ」

「和睦なぞする必要は無い。我が主に傷を負わせた相手に和睦なぞ必要ないではないか!!」

 

雪蓮たちが黄祖軍や于吉を恨んでいるのと同じように黄祖の配下たちも雪蓮たち孫呉を恨んでいるのだ。

 

「まあまあ、落ち着いてください。和睦の話になれば太史慈と甘寧を手に入れる事ができるかもしれませんよ?」

「なんだと?」

「黄祖は太史慈と甘寧に御執心の様子。ならば目が覚めた時に2人を手に入れていたら喜ぶでしょう。それに2人を手に入れたら残りは殺せばいいだけですよ」

「それは確かに…」

「そうでなかったとしても、時間を駆けてゆっくりと疲弊させていくのも面白いかもしれませんよ?」

 

部下も主の趣味は知っている。ならば于吉の言った通り和睦になったならば太史慈と甘寧を手に入れるように交渉した方がよいのだ。

 

「そもそも于吉殿は本当に黄祖様をお救い出来たのですか?」

「ええ、治療は成功しましたよ。あとは目覚めるのを待つだけです」

「それなら良いのだが…」

 

正直なところ胸を槍で貫かれた状態からどうやって救うのかと疑問であったが実際に于吉は黄祖を治療した。それが信じられないものだ。

 

「まあ、今は相手の動きを待ちましょう」

「…分かりました。しかし長くは待てません。建業からも援軍が向かっていますから」

「どうせ間に合いませんよ」

 

実はこの後の流れは分かっている。本来ならば黄祖は軽傷であり、孫呉の陸遜と和睦の話をする事になっているのだ。

そしてたった1日の猶予を与える事になっている。そのたった1日によってまさかの援軍が来るのである。

しかし本来の流れと変わっているのがこの外史である。何か流れに変化が起きているかもしれないのだ。

 

(さて、どうなる事やら…ですが孫呉軍にはこの窮地から頑張って脱してもらいたいものです。何せこの後、孫呉にはプレゼントを用意してますから)

 

一方その頃、豫章城では緊急の評定を開いていた。まずこれからどうするかを考えているのだ。

そこで考えた結果が、和睦である。和睦に関しては祭などは反対であったが生き残るには和睦しかないのだ。

孫呉軍も黄祖軍もお互いの大将を失っている。これ以上の損害を防ぐためという理由から可能性は無いことはない。だが本当の狙いは時間稼ぎに過ぎない。

今まさに建業から援軍が向かっているのだ。援軍と合流すれば迎え撃つ事ができる。それだけでなく、南陽の袁術にも救援を求める事も考えた。

本当ならば嫌だが、そんな私怨で考えられる策を潰すわけにはいかないのだ。

袁術には江夏を攻めてもらうように頼むのだ。もし、袁術が江夏を攻めれば黄祖軍も無視して孫呉軍を倒している事なんて出来ないはずだ。

 

「南陽には明命を向かわせる。頼めるわね明命?」

「はい、任せてください!!」

「黄祖軍の方への使者は…」

 

黄祖軍へ和睦をしに向かわせる使者を誰に決めようかとした時、まさかの展開が起きたのだ。

 

「孫策様!!」

「どうしたの?」

「袁術殿が我らの援軍として来てくれました。その数は十万!!」

「ええ!?」

 

これから明命が南陽の袁術まで使者として向かおうとしたところ、その目的の人物が向こうから来てくれたのだ。まさかの事態に雪蓮は目をパチクリさせてしまう。

 

「な、何でぇ?」

 

まさかの展開に喜んで良いのか驚いていいのか分からないものだ。

あの冷静な冥琳ですら驚いているほどである。

 

「もしかして母様が?」

「恐らくは…」

 

粋怜は思い出す。そういえば黄祖軍が攻めてきた時に「一つだけ手を打っていた」と言っていたのである。

まさかのその一つだけの手とはこの袁術の援軍だったのだ。

雪蓮だったら既に袁術との縁を切っていた。だからこれは炎蓮が袁術との縁を切らなかったおかげでもある。

十万ほどの兵を出陣させるには相応の時間がかかる。炎蓮は黄祖が動くことを仮定して袁術に早く打診していたのだ。袁術にとっても黄祖は目の上のこぶ。話に乗らない確率は低かったのもあるのだ。

 

「まったく…母様には敵わないわね」

 

雪蓮は複雑ながら軽く笑ってしまう。こんな状況でさえ母親に助けられるとは、嬉しくもあり、不甲斐ないっと思ってしまうものだ。

だからこそこのチャンスを逃がすわけにはいなかない。

 

「雪蓮、今こそ勝負する時よ」

「ええ。討って出る。袁術軍と挟み撃ちよ!!」

「ハッ!!」

 

黄祖軍の後方からは袁術軍。前方からは豫章城から出てくる孫呉軍。完全に挟まれた黄祖軍は混乱してしまった。

 

「ば、馬鹿な。ここで袁術だと!?」

「何故、十万もの兵に気付かなかったのだ。見張りは何をしている!?」

 

何故十万の数の兵に黄祖が気付かなかったと言うと、袁術軍と合流した思春の軍が敵軍に気付かないように見張りの黄祖軍を仕留めていった行ったからこそである。

よく見ると袁術軍の中に思春の指揮する錦帆賊もおり、戦っている。

 

「ここまで来て…!!」

 

黄祖の配下の将は歯ぎしりをしてしまう。もうすぐ憎き孫呉軍を潰す事が出来たと思えば、まさか袁術軍が援軍で来ると思いもしない。

 

「おのれ袁術め!!」

 

怒っていても戦況は変わらない。黄祖が居ない今、勝手に戦って兵を減らすわけにはいかないと判断して配下の将は直ちに撤退することを決めた。

 

(早い…もう袁術が来ましたか。本来ならもうちょっと後なんですが本来の流れと変化しているから袁術軍がこの豫章城に到着するのも変化したのかもしれませんね)

 

ある分岐から変化すれば未来もある程度変わるというのは考えられる。恐らくその変化というのが、袁術軍がちょっと早く到着するというものだ。

 

(結果的にはここで孫呉軍は黄祖軍の魔の手からが逃れることができました。そこは同じ未来になりましたね)

 

于吉もここでは孫呉は黄祖軍から逃れて欲しいと思っている。何せこの後、彼女たちには渡したいプレゼントがあるのだから。

 

(フフフ、未来は変わります。この外史はこの段階で孫呉が滅ぶのですから)

 

于吉はこれからこの外史の歴史の変化を起こす戦いの準備をするために黄祖軍と共に撤退していく。

 

「于吉殿、すぐに撤退しますぞ!!」

「分かっていますよ」

 

于吉はチラホラと黄祖軍の兵や将を見る。

 

(…それと妖魔融合の実験も少しやっておきますか。活きの良い素体もチラホラいますしね)

 

 

181

 

 

袁術軍の援軍のおかげで孫策達は黄祖軍の魔の手から逃れる事に成功した。しかし彼女たちの戦いは終わっていないのだ。

黄祖軍にいる于吉の炎蓮を誘拐されたままなのである。本当ならば袁術軍と挟撃した時に炎蓮を奪い返すつもりでいたが不可能であったのだ。

敵も甘くは無く、撤退戦では堅牢な守りで素早く撤退していったのだ。あと少しというところ逃がした雪蓮たちは悔しさを噛みしめる。

 

「何とか危機は去ったな」

 

ポツリと荊軻が呟く。

 

「ええ。ですが母様は…」

「そうじゃ、炎蓮様を奪い返しに行かねばならぬではないか!!」

 

危機は去ったかもしれないが炎蓮を助け出しにいかないといけない。今すぐにでも奪い返しに行きたいが孫呉兵だけの戦力だけでは奪い返しに戦うの無理に近い。

援軍に来てくれた袁術軍には感謝しているが遺体を取り戻すべくこのまま黄祖軍と戦ってほしいという頼みを聞いてくれるか分からない。

炎蓮を取り戻すための戦いに袁術とってのメリットが無い。それに炎蓮は額に矢を受けてしまったのだ。

袁術ならばそれを聞いたら死んだと聞いて助け出す必要は無いと判断してしまう。そもそも今の段階で炎蓮は討ち死にしたという情報が流れているのだ。

彼女にとって遺体を取り戻す戦いのために力を貸してくれることはないだろう。

 

「……やはり交渉しに行くしかないか」

 

孫呉軍はこれ以上戦うのは厳しい。黄祖軍も江夏へ撤退している今なら士気も落ちている。

この状況で可能なのは交渉して炎蓮の遺体を返してもらうことだ。交渉の材料としては劉表との不戦の盟約を独断で破って襲ってきた事を不問にすること。

戦いが終わった後の黄祖軍は劉表から罰せられる。黄祖が独断で劉表との盟約を破ったのだから当然である。しかし黄祖はいない今、誰が責任を取るという話になるだろう。

流石に責任を取るという話は黄祖がいない状況では配下の将だけでは難しい。その問題を孫呉側が不問にするのだから残った黄祖軍も考える余地があるからだ。

本当ならば心底嫌だが炎蓮を取り戻せるのならば溜飲を飲み込むのも耐える。

 

「では、このまま江夏に向かいますか?」

「そうね」

「ならば私の水軍が護衛致します」

 

思春が錦帆賊と共に来てくれた事は大いに助かっている。彼女の水軍ならば長江を素早く渡って江夏まで向かうことが出来るからだ。

 

「よし、江夏に行くぞ!!」

 

雪蓮たちは炎蓮を取り戻すべく長江から江夏へ向かうのであった。しかし道中でまさかの事件が起きるとは思わない。

 

 

182

 

 

于吉は黄祖水軍の船を5隻借りて長江を渡っていた。

5隻の船には兵馬妖が陳列されている。その数500体。

 

「500体くらいあれば足りますかね?」

 

これから于吉は長江を渡ってくる孫呉軍を迎え撃つ計画を立てている。もう于吉は黄祖軍から離れていたのだ。

彼はこのまま長江を渡ってくる孫呉軍を潰して、建業に攻め込むつもりなのだ。

 

「やっぱ足りないですかね…いや、足りますか。なんせ兵馬妖の将が化け物ですから」

 

チラリと後ろの兵馬妖の大将を見る。

自分で作り上げた傑作品。その完成度に自分を褒めたいくらいであるのだ。兵馬妖の大将からは目に見えて強さが滲み出ている。

 

「やはり貴女は素晴らしい才能の持ち主です。その力をこれから試してみてください」

 

孫呉を滅ぼすのともう1つ目的がある。それは単なる兵馬妖の大将の試運転だ。

自分の作り上げた作品を試すのは作成者として当然の行為である。

 

「勝手な行動は許しませんよ。まあ、この太平妖術の書で反抗する気なんてできないでしょうが」

 

太平妖術の書から不気味な光が発せられていた。

 

「フフフ、コレですよコレ。コレを燃やしたり破けば貴女は自由です。まあ、操られている貴女には無理な話ですが……っと見えてきましたね」

 

于吉の視線の先には孫呉の船がある。これから兵馬妖の大将の試運転ができる獲物たち。

 

「ほら、あそこに見えるのが貴女がこれから殲滅する敵ですよ」

 

于吉は背後に立つ兵馬妖の総大将に語り掛ける。

 

「いやあ、なかなか壮観ですね。きっと貴方を奪い返しに来たんですよ」

 

彼の背後にいるのは炎蓮である。

 

「孫堅。貴女が孫呉の基盤を作ったのなら…自分自身の手で孫呉を終わらせるがいい」

 

そう言われた炎蓮は力の限り歯を噛んで于吉の言葉を否定したかったように見えた。

 




読んでくれてありがとうございました。
次回は更新出来たらGW中。駄目ならGW明けかなぁ

さて、物語(孫呉の過去side)も最終局面です。
ついに于吉の策が孫呉たちに牙をむきます。最悪の形で。

次回『兵馬妖の大将 孫堅』

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