Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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反撃開始

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武則天は隠しているつもりであるが藤丸立香たちにバレている弱点がある。前に藤丸立香と苦手の1つを克服しようと頑張った。

本当に克服できたか微妙な結果であったが以前よりはマシになったはずである。しかし、もう1つの方はまだまだである。

藤丸立香とマイルームでイチャイチャする時は必ずフォウは追い出している程である。武則天はまだ猫系が苦手であるのだ。

 

「猫ぉおおおお!?」

「だから虎だよ」

 

まさか玉座の間の天井で人虎に接触するとは思わなかった武則天。しかも相手が猫系だなんてより予想できるわけがない。

 

「餓鬼だがこんなところにいるんだ。油断なんて…」

「待て待て…あやつは猫ではない。あやつは妖魔じゃろう。猫っぽいけど猫ではない。そもそも妾が猫なぞ苦手なわけないのじゃ」

「……おい」

「大丈夫じゃ妾は聖神皇帝。皇帝たるもの猫が苦手なぞ…」

「おーい」

「うむ。あやつは猫じゃない。トラ猫っぽく見えるが…猫じゃないのじゃ。あやつじゃただの妖魔の類じゃ!!」

「いや、だから虎だって最初から言ってるだろが」

 

ブツブツと呟く武則天に人虎は肩透かしをしてしまう。だが彼のやることは変わらない。

 

「黄祖様のためにお前を殺す」

 

人虎は虎の力を得た獣人だ。瞬発力に膂力は普通の人間を軽く凌駕する。

 

「ふわ!?」

 

人虎は武則天を鋭い爪で切り裂こうと動いた。

 

「危ないじゃろ!!」

「また避けられたか。その体躯のくせして素早いな」

 

武則天の俊敏のステータスはAと高い。人虎の瞬発力に負けはしないのだ。

 

「速さ勝負といくか」

 

人虎は屈んで脚力をキリキリと膨張させる。

 

「行くぞ餓鬼!!」

「にゅにゃ!?」

 

脚力を爆発させて人虎は天井内を縦横無尽に跳び回った。

爪を鋭く伸ばし、全身の筋肉を全て暴力に変える。武則天に人虎の暴力を全て向ける。

 

「死ね」

「お主のような不敬者に殺されるか。愚かものーう!!」

 

武則天は人虎の攻撃を紙一重で躱してそのまま武則天も天井内を跳び回る。

そのまま動かなければ恰好の的になる。ならば動いた方が狙いが定まらないのだ。

 

「やはり速いな。しかし膂力の方はどうだ!!」

 

筋力に関していえば武則天よりも人虎の方が上だ。更に彼女の耐久ステータスはEと低い。

まともに人虎の攻撃を受けて何度も耐えられるほど頑丈ではない。

 

(むう。流石に妾1人であやつの相手をするのは分が悪いのじゃ…てか、普通はこんなやつはあの拳法家か侠客が専門じゃろが)

「さっさと貴様を殺して下の奴らも殺す。下の相手の方が手強そうだしな」

「なに勝手に妾を殺せると思っておるのじゃ」

「殺せるさ。これからな!!」

 

俊敏さは負けていないが筋力は負けている。しかし筋力が相手より下だからと言って勝てない道理はないのだ。

戦い方はいくらでもあるのだから。

 

「ぐぬ!?」

 

急に人虎の動きが鈍くなった。

 

「何だ…身体がうまく動かん!?」

「気付かぬか阿呆めが。よく周りを見てみい」

 

周りを見ると至る所に壺が設置されていた。その壺から毒霧のようなものが出ている。

 

「いつの間に!?」

「本当に気付いてなかったのか。阿呆じゃな」

 

動きが鈍ればいくらでも攻撃のチャンスが生まれる。

 

「酷吏」

 

武則天は酷吏を人虎の周囲に複数召喚。

 

「そこの不敬者を叩き落とせ」

 

召喚された複数の酷吏は人虎をそのまま真下へと叩き落とした。

 

「下に敵もいたし丁度よかろう」

 

 

198

 

 

武則天が天井で猫っぽい敵と戦っていると同時に程普と哪吒は玉座の間で兵馬妖を叩き壊していた。

後方では諸葛孔明は罠を仕掛けたり、八卦を出して光線を撃って援護していく。

 

「こいつらの倒し方はもう分かってるのよ!!」

 

程普が兵馬妖を破壊し、そのまま黄祖に突撃するが妖魔に阻まれる。

 

「こいつ!?」

「ぐおおおお!!」

 

彼女の目の前には盾と矛を持ち、長さ5、6尺の鑿のように長い牙を生やした怪物が邪魔をしてくる。

 

「鑿歯殺せ」

「邪魔よ!!」

「てい!!」

 

真横から哪吒が鑿歯を蹴り飛ばした。

 

「こいつ倒しておく 黄祖まかせた」

「ええ、お願い!!」

 

哪吒が鑿歯を相手取っている間に程普は今度こそ黄祖に向かう。

 

「黄祖!!」

「…私を守れ」

 

程普が黄祖に武器を振り下ろそうとしたが誰か防がれた。

 

「貴女は!?」

 

その誰かというのが程普にとって驚きの人物であった。

 

「何で太史慈が!?」

「……程普、ごめん」

 

太史慈の顔はどこか申し訳なさそうである。

 

「くっくっく。太史慈は我が手に落ちているのだ」

 

太史慈は孫呉に降ったはずだ。日は浅いが孫策が認めた仲間である。

彼女は義に厚い人物で一度孫呉に降ったなら、次に黄祖軍に乗り換えるなんて真似はしない。

 

「何で!!」

「それは私から説明しようじゃないか」

 

黄祖が手を振ると兵馬妖が動いた。その後ろには孫策、周瑜、黄蓋がいた。

縄で縛られて何も話せないように口も塞がれている。

 

「雪蓮様、冥琳、祭!!」

(彼女たちが…確かに孫権と孫尚香に似ている女性がいる。彼女が孫策か?)

 

一旦、程普は太史慈から離れる。

 

「太史慈はな…孫策たちの命の代わりに我が軍団に降ったのだ」

「何ですって!?」

「彼女は義に厚い人物だ。普通に降しては自害される恐れがあった。だから孫策の命と引き換えに降ってもらった」

 

義に厚い太史慈だからこそ孫策の命と引き換えという交渉、要求は嫌というほど効いてしまう。

 

「太史慈…」

「ごめん。私を許さなくてもいい」

 

太史慈は程普に接近して槍を振るう。

 

「く、止めて太史慈!!」

 

彼女の行動は本末転倒だ。孫策たちを救うために黄祖に降った。なのに孫策の仲間の程普と戦う。

 

「そのまま程普を殺せ」

 

この言葉を太史慈は聞きたくなかった。しかし従わないと孫策を殺される。

彼女は黄祖の言葉に従うしかなかったのだ。

 

「く、やはり強い!!」

 

太史慈の実力は孫策と拮抗する。程普は実力を知っていたからこそ手を抜いて戦える相手ではないと判断して本気で防ぐしかなかった。

 

「太史慈…!!」

「……本当にごめん。でも本気で私も戦わないといけないの。だから程普も私を本気で斬りに来て!!」

「そんな事できるわけ…」

「やって!!」

 

程普と太史慈は己の武器で打ち合う。

 

「太史慈よ…孫策のために、その仲間を討つ姿は美しいぞ」

「趣味が悪いな」

「貴様は…誰か知らんが死ぬ定めの人間だ。聞く言葉はないな」

 

黄祖は諸葛孔明を見て無視する。

 

「早く殺すのだ太史慈!!」

 

本当は黄祖の命令は聞きたくない。しかし聞かねば孫策達は殺されてしまうのだ。

 

「太史慈、あんな奴の言う事に耳を貸してはいけないわ!!」

「く…でも!!」

「私たちは負けていない。孫呉はまだ負けていないわ。そんな奴のいう事は聞かないで!!」

「そうだ。あんな奴のいう事なぞ聞く必要は無い」

「え…あの人、誰。てかさっきの槍持ってる女の子も知らないんだけど」

 

太史慈は諸葛孔明と哪吒を知らない。だが程普たちの新たな仲間だというのは分かる。

大きな傷を受けた孫呉にも新たな仲間が集まっているのだ。まだ孫呉の威厳が残っている証拠である。

 

「この戦いに力を貸してくれた仲間よ。諸葛孔明に哪吒って言うわ」

「そう。やっぱ孫呉はこんな状況でも力を貸してくれる人たちが集まる威厳があるんだね」

「太史慈と言ったな」

「あなたは…?」

「彼が諸葛孔明よ」

 

今の太史慈は『孫策の命と引き換えに』という言葉に縛られている。この言葉は呪いになっているのだ。

その言葉だけで太史慈は黄祖の言いなりになっている。

 

「よく聞け太史慈。あいつの命令を聞く必要は無い」

「な、何を…」

「あいつは孫策の命と引き換えにと言っているが…その約束を守ると思うか?」

「な、何を言って…」

 

今の太史慈は言葉だけで操られている。ならば彼女には黄祖の言葉を撥ね退けてもらわねければならない。

 

「黄祖は最終的に孫呉を滅ぼす。ならば孫家の血を残すなんて事をすると思うのか?」

「…そ、それは」

「はっきり言おう。全てが終われば黄祖は孫策たちを殺すぞ」

 

今は殺さないで孫策たちを生かしているが、いずれ黄祖にとって孫策は邪魔な存在になる。このまま生かしておくはずがない。

太史慈に悟られず殺す方法なんて黄祖ならいくらでも考える。

 

「太史慈、そいつの言葉を聞くな。そやつはお主の心に揺さぶりをかけている」

「太史慈。黄祖の言葉こそ聞かないで!!」

 

太史慈は程普と鍔迫り合いをしながら諸葛孔明と黄祖からの言葉が頭に突き刺さる。

 

「聞け太史慈。彼女たちは孫呉を取り戻そうと戦っている。その相手が黄祖だ。本当の敵を見失うな」

「聞くな太史慈。私が約束を破るはずがなかろう」

 

太史慈は頭が混乱しそうになる。諸葛孔明の言葉も黄祖の言葉も真実のようで嘘のように聞こえてくる。

しかし、どちらかが嘘を言って真実を言っているのだ。太史慈が最終的に選ばねばならない。

 

「孫呉は戦っている。勝つか負けるか分からない…だが負けるつもりは無い。勝つためにここに来ている」

 

孫呉は一度、黄祖に負けている。だが諦めては無いからこそ程普は諸葛孔明たちと黄祖の城まで来ているのだ。

孫権たちは今頃、程普達の暗殺作戦のために囮として黄祖軍の多くを相手取っている。

 

「戦えば勝つか負けるかなんて当たり前だ。ならば勝つために後悔するな」

 

負ければ死ぬ。勝てば生き残る。

 

「太史慈よ。お前は孫策のために黄祖の命令を受けているだけなのだろう。ならば孫策のために戦っているということだ」

 

諸葛孔明はスキル『軍師の忠言(A+)』を発動していた。

状況を把握して分析することにより味方側に正しい助言を与えることが出来るスキルだ。

ランクが上がれば上がるほどその助言の正しい確率は上昇し、『A+』であればあらゆる不測の事態を含めても100%的中するほどだ。

今の状況だと太史慈は敵になっているが程普から聞くに彼女は本来は仲間だ。仲間ならば諸葛孔明のスキルが効くはずである。

 

「お前は黄祖のためではなく孫呉のために戦っている」

「それは……そう…だけど」

 

太史慈は仕方なく黄祖の命令を受けているだけだ。黄祖のためではなく孫策のために黄祖の命令を受けている。

 

「孫策は自分のためにお前が黄祖の操り人形になる事を望んでいるのか?」

「そ、それは…」

「孫策は望んでいないはずだ」

「そうよ。雪蓮様もそれは望んでいない」

「聞くな太史慈よ!!」

「黄祖の言葉こそ聞くな」

 

黄祖の言葉を被らせるように諸葛孔明は言葉を放つ。

 

「お前は武人だろう。ならば後悔しない選択をするんだ」

「後悔しない選択って…」

「このまま我らを…程普を討ち取っていずれ孫策が殺される道を選ぶか。それとも我らと共に孫策たちを助け出して黄祖軍と戦うかだ!!」

 

諸葛孔明が2つの選択肢。その選択肢が太史慈の頭に突き刺さる。

 

「太史慈そんな男の言葉を聞くな。そやつはただ甘言のようにお主を混乱させているだけで口走っているにすぎんぞ」

「太史慈…孔明の言う通りよ。あなたなら分かるはずよ」

「くう…」

 

程普と太史慈は一旦、離れる。

程普は諸葛孔明の前に後退し、太史慈は黄祖の前に後退した。

 

「わ、私は……」

「悩むな太史慈よ。お主はただ孫策のために目の前の敵を斬り伏せるのだ」

「く……」

 

太史慈は悩みに悩む。彼女は孫呉のため、孫策のために戦っている。

義に厚い彼女は今の自分に対して疑問を思っているのは当然だ。しかし孫策の命を救うためにその疑問を考えない事にしていた。

 

「太史慈」

「て、程普」

「私を見なさい。そして雪蓮様も見て」

 

程普は真っすぐな目で太史慈を見る。

 

「元々、私たちは敵だったわ。でも私はあなたの事をもう仲間と思っている。日は浅いけどもうあなたは孫呉の一員よ!!」

「て、程普…」

「私を見て。雪蓮様を見て。あなたの本当の仲間は誰か確かめて!!」

 

太史慈は程普を見る。そして雪蓮を見た。

雪蓮の目からは強い意思を感じ取れた。黄祖の捕虜になっても彼女は絶望もしていない。諦めていない強い目だ。

 

「雪蓮…」

「太史慈よ。お前は賢い人間だ。感情に任せて動くなんて事はしないだろう。お前の仲間は私だ」

「太史慈!!」

 

太史慈は武器を構える。

 

「私は……私の敵を倒す。それだけ」

「そうだ太史慈よ。お主の敵はあやつらだ」

 

太史慈は選択した。自分の敵を決めたのだ。

 

「敵は……アンタだ!!」

「な、何をっ!?」

 

太史慈は後ろを振り返って黄祖を槍で斬り伏せた。

 

「た、太史慈…きさまぁ!?」

 

太史慈は選んだ。孫策たちと一緒に戦う道を選んだのだ。

 

「黄祖ぉおおお!!」

「なあっ!?」

 

程普は槍を投げつけて黄祖を貫いた。

貫かれた黄祖は力無く仰向けで倒れるのであった。

 

「私は太史慈。今は孫呉のために戦う武人よ!!」

 

 

199

 

 

鑿歯とは中国南方の湿原地帯に棲んでいたと言われる妖魔。

長さ5、6尺の鑿のように長い牙を生やし、闘いの際には盾と矛を使用する頭の良さもあるのだ。人間を襲って喰らう危険な妖魔である。

 

「お前のような妖魔 今まで倒してきた これからも倒す」

「ぐおおおおお!!」

 

襲い掛かってくる鑿歯に対して哪吒は火尖槍を構えてカウンターをしようと待つ。

 

「くらっーーえ?」

「ぐぎゃあああああ!?」

 

いきなり上から何かが落ちてきて鑿歯は潰された。

 

「これは 人虎?」

「よしよし、タイミングはバッチシじゃ」

「おかえり」

 

ストンと軽く降りて来たのは武則天。

天井から人虎を叩き落として下にいた鑿歯を潰した張本人である。

 

「くっふっふ、妾が機転を利かしてやったのじゃ。褒めれ」

「助かった」

「うむうむ。しかし、こやつのせいで暗殺は失敗してもうたわ」

「大丈夫 決着ついた」

 

武則天と哪吒の視線は程普たちに移すと孫策たちを助け出すのに成功していた。

 

「雪蓮様…!!」

「心配かけたわね粋怜」

 

雪蓮たちが生きていた事に程普は心の底から安堵する。守るべき主君が生きていた事に臣下として当然の気持ちだ。

 

「冥琳も祭も無事で良かった」

 

被害が少ないわけではない。失われた孫呉の兵士たちの命は軽くは無い。

それでも程普は、孫呉の兵士たちにとって孫策たちが無事であるのはとても大きな希望であるのだ。

 

「雪蓮…ごめん。私は」

「いいのよ梨晏。あなたは自分の誇りを曲げてまで私たちを助けてくれたのよ。感謝こそあれ、恨みなんてないわ」

「雪蓮…」

 

過去は過去。今は未来に進むために現在こそ大事なのだ。

 

「でも、もう終わったのよね」

「いえ、まだよ粋怜」

「そのようだぞ程普」

 

諸葛孔明は討たれた黄祖を見て、まだ戦いは終わっていない理解した。

 

「え、でも黄祖なら討ち取った…」

「偽物だ」

 

討ち取った黄祖の顔を見るとベラリと皮が剥がれて別の顔が剝き出ていた。

更にその別の顔は人間ではなく怪物の顔であった。

 

「確かそいつ…画皮って名前だったような」

 

太史慈が偽物の正体を思い出そうと頭を捻りながら妖魔の名前を口にする。

 

「がひ?」

「確か人間の皮に絵を描いて、その皮を被ることで人間に化ける妖怪だったな」

 

黄祖は妖魔たちに城を任せて孫権たちを討ち取りに行ったということが分かった。

 

「城は落としたが暗殺は失敗か」

 

黄祖暗殺は失敗に終わった。しかしまだ負けではない。

暗殺作戦が失敗ならば次の策を実行すればいいのだ。孫呉軍と黄祖軍の戦いは始まったばかりである。

 

「暗殺は失敗したが城は落とした。これは大きい事だぞ」

「…ねえ」

「何だ?」

「アンタ誰。てか、そこにいる2人…」

「うっふぅぅぅぅん!!」

「ふんはあああああ!!」

「今、壁を破壊してきた筋肉2人も誰なのよ?」

 

孫策の疑問は当然である。程普と一緒に戦ってくれたので敵では無い事は分かるが名前も分からないと呼ぶのも困る。

 

「彼らは仲間よ雪蓮様」

「そこの筋肉も?」

「そこの筋肉もよ」

「諸葛孔明だ。詳しい自己紹介は後にしよう。これからすぐに孫権たちの援護に向かわないといけないからな」

 

彼の「孫権たちの援護にいく」という言葉は孫策に少し安心した。その言葉は孫権たちが無事であると言うことだからだ。

 

「む、そうか。孫権だけでなく孫尚香たちも無事だ。孫呉を取り戻すべく戦っている」

「そっか。蓮華、シャオ。無事で良かったわ」

「安心するのは早いぞ孫策」

「ええ、分かってるわ」

 

無事であるが孫権たちは今頃、黄祖たちと戦っている。急いで助けに行かないと彼女たちの命が危ないのだ。

 

「助けに行くと言っても何か策があるのか孔明とやら?」

「周瑜…で合っているかな?」

「ああ。孔明殿は次にどんな策を考えている?」

 

そもそもまともに戦えないから暗殺作戦を実行したのだ。暗殺が失敗した今、次はどうするか気になるのは当たり前である。

 

「援軍は用意してある」

「援軍だと?」

「袁術軍よ」

「なるほどな。挟撃作戦でもするのか。よく袁術を丸め込んだものだ」

 

すぐさま周瑜は諸葛孔明の策を理解する。

 

「袁術は兵士の数はあるからのう」

 

黄蓋は袁術軍の兵士の数だけは認めている。やはり名家というステータスは伊達ではない。

 

「それに兵馬妖は黄祖さえ倒せば動かなくなるはずよん」

「お前は…」

「都の踊り子。貂蝉よん!!」

「そ、そうか…」

 

いきなり出て来た貂蝉には流石の周瑜も一歩退きそうになるが堪える。

 

「于吉を探しながら妖魔と兵馬妖を倒しながら城内を調べていると捕虜になった孫呉兵たちも見つけたわん」

「兵士の数は少ないがいないよりマシだろう」

 

暗殺が失敗しても黄祖軍と戦うことはできる。

今の黄祖軍は妖魔と兵馬妖の力で成り立っているのだ。ならば頭の黄祖さえ討ち取れば兵馬妖は全て動かなくなる。更に黄祖によって掌握されている妖魔の力も消える。

ただ黄祖1人を倒せば戦況はひっくり変える。そのために数の力である袁術を味方につけたのだ。

 

「黄祖の元まで辿り着けるまでが大変なんだがな」

「それでもやるしかなかろう」

「ああ、既に袁術軍には合図をしておいた。すぐに袁術の船に乗って長江に向かう。だが哪吒は先に向かってくれ」

「了解」

 

哪吒は風火輪のおかげで空を飛ぶ事が出来る。船に乗って長江に向かうより飛んで向かった方が速い。

孫権側には早く救援の戦力が1人でも欲しいはずだ。

 

「ちょっと待って」

「何だ孫策殿?」

「いろいろ聞きたい事があるけど…その子はすぐに蓮華たちの元に行けるのよね?」

 

哪吒ならばすぐに長江まで飛んでいける。

 

「なら私も一緒に連れてって!!」

「分かった 掴まれ」

「お願い!!」

 

孫策は哪吒に掴まって飛んでいく。目指す先は黄祖軍と戦っている孫呉軍のいる長江。




読んでくれてありがとうございました。
次回は2週間後予定です。

暗殺作戦は失敗しましたが終わりじゃありません。まだまだ戦いはこれからです。
次回は孫呉軍と黄祖軍の最終決戦に入ります。
于吉によって改造された黄祖と妖魔たちが孫権たちに牙を剥きます。

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