Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
原作タグの方を変えました。


魑魅魍魎なる黄祖軍との決戦

200

 

 

諸葛孔明たちが暗殺作戦を実行している頃、孫呉軍と黄祖軍は長江で既に水上決戦が始まっていた。

黄祖軍は兵馬妖と精鋭の江夏の水軍で孫呉軍を攻める。しかし孫呉軍だって負けてはいない。敵の猛攻に負けじと猛攻で食って掛かる。

 

「やはり手負いの虎というものは危険だな。よもやここまで食って掛かるとは」

「黄祖様。ここは私にお任せください」

「うむ。大鵬は誰か将を討ち取ってくるのだ。そうだな…禍斗の仇を取ってくるのを許す」

「はっ!!」

 

大鵬と呼ばれた男は両腕を大きな翼に変化させて飛び立った。

彼もまた于吉によって妖魔の力を植え付けられた者である。

 

「そろそろ討って出る。修蛇も動け」

「はっ!!」

 

修蛇と呼ばれた男は命令を受けた瞬間に船から長江の河へと跳び込んだ。

 

「孫呉も新たな仲間を集めたようだが無駄な努力よ」

 

黄祖はある船で兵馬妖を叩き壊す武人を見る。

 

「□□□□!!」

 

呂布奉先は力の限り兵馬妖を破壊していた。

方天画戟を振れば兵馬妖を砕き、もう一回振れば黄祖の兵士たちを薙ぎ払う。一騎当千を現していた。

 

「す、凄いですね~。最初に助けてくれた時もそうでしたがたった1人で倒してますよ。あの人、炎蓮様みたく強すぎです」

 

呂布奉先の強さに陸遜は慄きながらも頼もしく感じていた。今の孫呉には彼のような強い武人が必要だ。

相手は魑魅魍魎の軍団ならば強すぎる戦力はいくらいても良いくらいである。

 

「みなさん、呂布さんの後に続いてください!!」

 

先頭を切って戦って敵を潰すおかげで被害もまだ少ない。更に彼の強さは兵士たちに士気を高めてくれる。

仲間に一騎当千の武人がいて一緒に戦ってくれる。これほど頼もしい事はない。兵士たちは呂布奉先の圧倒的なまでの強さに引っ張られて奮戦しているのだ。

それはまるで孫堅が先頭を切って戦っていた時のように。

 

「□□□□!!」

「さあ、行きますよー!!」

 

陸遜が号令をかけた瞬間に呂布奉先が吹き飛んだ。

 

「へ…!?」

 

後ろを見ると呂布奉先が仰向けで倒れていた。そして前を向くと巨大な兵馬妖が立ちふさがっていたのだ。

巨大兵馬妖。呂布奉先も一回りも大きい。

 

「えええええ!?」

 

巨大兵馬妖が武器を振り上げて陸遜に振りかぶったかと思えば呂布奉先が受け止めていた。

 

「□□□□□□□□□□□□!!」

 

お返しと言わんばかりに今度は呂布奉先が巨大兵馬妖を殴り飛ばす。

 

「□□□□(所詮ただのでかい土人形なり)」

 

天下の飛将軍は大きな土人形如きではやられない。

 

 

201

 

 

「てやああああ!!」

「はああ!!」

「てええええい!!」

「美味しいお米がどーん!!」

「美味しいお米!?」

 

周泰と俵藤太ペアも別の船で兵馬妖と戦っていた。

俵藤太が米俵を投げて兵馬妖や敵兵を倒す姿に「あのお米はどこから出したんですか!?」なんて驚きながらも上手く戦っている。

敵は手強いが手も脚も出ないわけではない。孫呉軍は兵馬妖相手に戦えている。

 

「1人で戦うな。兵馬妖には複数で掛かれ!!」

 

俵藤太は孫呉の将ではないが、まるで将のように兵士たちに指示を出して上手く動かしている。指示された兵士たちも素直に従っているほどだ。

彼は「共に戦うのであれば、何より信頼が大事だ。信頼は、同じ釜の飯を食うことで生まれる」なんて言って実践していた。気前が良くて料理上手な面倒見のいい兄貴肌な包容力は日が浅くとも孫呉の兵士たちと打ち解けるのは早かったのだ。

そんな彼を周泰は素直に驚くのは当然であった。

 

「俵殿は凄いですね。兵士たちを手足のように指示で動かしてます。ますで炎蓮様のよう…」

「これでも将として働いていたからな!!」

「うう、私なんかまだまだです」

「そんな事無いぞ周泰。誰だって最初は未熟だ。ならば努力して上に上がるのだ。お主ならもっと上に上がれる素質がある。だがまずはこの戦に勝ってからだ!!」

「は、はい!!」

「うむ、その意気…む!!」

 

俵藤太は妖気と殺気が混じった気配を察知した。すぐに弓を張って矢を放つ。

 

「…避けられたか」

 

空から飛んでくるのは大鵬と呼ばれていた黄祖軍の将だ。

速さを緩めずに突撃してきた。

 

「無事か周泰!!」

「は、はい。大丈夫です!!」

 

態勢を立て直し、己の武器を構え直す。

バサリと大きな翼が広げる大鵬が視界に映る。

 

「于吉より妖魔をこの身体を宿した者。名を大鵬!!」

「大鵬…三蔵がそういえば言っていたな巨大な怪鳥だとか」

「貴様を討つ。我が友の仇だ!!」

「仇だと?」

 

大鵬の目には燃えるような怒りを宿していた。

 

「建業であいつを…禍斗を討っただろう」

 

建業奪還時に戦った禍斗という妖魔を思い出す。

 

「あいつは友であり、共に黄祖様に仕え、競い合った仲だ。まだまだあいつは黄祖様に仕え、黄祖様の覇道を歩みたいはずだったのに…その無念を晴らす!!」

 

大鵬からは濃い殺気が漂る。

 

「貴様を討ったら次は周泰だ!!」

 

禍斗に重症を与えたのは俵藤太で、トドメを刺したのが周泰だ。

 

「敵討ちか。戦になれば殺す殺されになるもの……だが、だからと言って拙者も貴様に殺されるわけにはいかんのでな!!」

「私もこんな所で負けるわけにはいきません。それに私にだって黄祖を討ち取ります。我が主の仇です!!」

 

弓を構える。剣を構える。

 

「敵討ちだ!!」

「来い大鵬!!」

 

真っすぐに突撃してくる大鵬に連続で3本の矢を討つが旋回されて避けられる。そしてそのまま突撃をし直す。

それに対してすぐさま俵藤太と周泰も回避する。

 

「まだまだ!!」

 

翼を広げて叩き弾く。

 

「ぐぬ!?」

「うあ!?」

 

刀で防ぐがそのまま押し返される。

 

「おおおおおおおお!!」

 

弾き飛ばした俵藤太に急接近して頭部を蹴ろうとするが、流石にさせまいと腕で防いだ。

 

「ぐう、なんと猛烈な攻撃よ!!」

 

大鵬の苛烈な攻めは休まることは無い。

 

 

202

 

 

孫権たちが乗る楼船。彼女たちが乗る船はこの戦における最終防衛ラインだ。

まだこの船に敵兵や兵馬妖は届いていない。

 

「雷火、被害はどう?」

「マシな方と言ったところか」

 

楽な戦いではない。孫呉の全てを賭けた戦いだ。「マシな方」という言葉は本当にマシである。

 

「だがどの船も戦況が変わりだしたようじゃ」

 

呂布奉先と陸遜のいる船には巨大兵馬妖。俵藤太と周泰の船には大鵬。

黄祖は次なる手を仕掛けてきている。

 

「蓮華様。私も前線に出ます」

「ええ、思春おねがーー」

「危ない蓮華様!?」

 

遠くから飛来してくる何かを甘寧は剣で弾く。

 

「何だ!?」

 

甘寧が弾いた何かとは剣であった。ただの剣でなく浮いている剣。

 

「動く土人形に妖魔ときて、次は何が来るかと思えば勝手に浮いている剣か」

 

しかも剣から何か怪物のような声も聞こえてくる。そして浮いている剣の切っ先が孫権に向く。

 

「姉様!?」

「おのれ!!」

 

飛来してくる剣を甘寧が打ち返す。何度も何度も飛来してくる剣を甘寧は何度も何度も打ち返した。

 

「何なのあの剣、姉様ばっかり狙ってくるじゃない!?」

 

浮いている剣は先ほどから孫権しか狙ってこない。まるで命令された指示を忠実に従っているようだ。

 

「黄祖の仕業か!?」

「そうだ」

「この声はまさか…!?」

 

静かに不気味に黄祖の声が聞こえた時、船が大きく揺れた。

 

「な、なに!?」

 

大きな揺れの正体がすぐに分かった。

河の中から大きく長い蛇の怪物が出現したのだ。

 

「あ、あれってもしかして…修蛇!?」

「あの巨大な蛇が分かるのか三蔵殿!?」

「う、うん前に調べた事があって…確か巨大な蛇の怪物で大きな波を発生させたりするって」

「黄祖のやつこんな怪物まで…!?」

 

修蛇の口がパカリと開くとそこには黄祖がいた。

 

「黄祖!!」

 

黄祖はそのまま修蛇の口から孫権のいる船へと乗り移る。孫権はここではっきりと黄祖の姿を見た。

甘寧は黄祖の事を底知れぬ恐ろしい人物と評していた。孫権も前に1度だけで暗闇の中で出会ったが、その時よりも今の黄祖は更に不気味な存在に見えた。

 

「孫堅に仕えていた者たちよ…まだあがくか。もはや滅ぶしかないというのに」

「孫呉は滅びないわ。何故ならあなたをここで討つからよ!!」

「言うではないか孫権。だが私はお前たち孫呉を甘くは見ていない…お前たち孫呉は仕留めたかと思えばすぐ後ろから剣を伸ばしてくるからな」

 

黄祖が孫堅を仕留めたかと思えば、孫堅は最後の力を振り絞って相打ちまでさせた。次は于吉の手によって蘇った後に孫堅を失った孫呉を滅ぼしたかと思えば今の状況のように黄祖を討ち取ろうと攻めて来たのだ。

復讐に燃える虎の娘たちは侮れない。倒しても倒しても這い上がってくる孫呉に黄祖は今度こそ引導を渡すために自ら孫権のいる船まで来たのだ。

部下たちに任せては不安は消しきれない。孫家の者を全て自分の手で殺さなければ満足できないのだ。

 

「私自らここで孫家の歴史に幕を閉じさせてやろう」

「いえ、孫家はまだ滅びない!!」

「その言葉は聞き飽きた」

 

黄祖が指を孫権に向けると剣が飛来する。

 

「この!!」

 

飛んでくる剣を甘寧はもう一度打ち返す。

 

「甘寧…その女を守る必要は無い。滅びゆく主君に仕えるなぞ可笑しな話ではないか?」

「黙れ!!」

「ふふふ…その目がいい。必ずやお主を手に入れてみせるぞ」

 

黄祖は指で指揮棒を振るように動かすと連動して剣も同じように動く。

 

「その剣…やはり」

「ああ、私の剣だ。最も于吉から貰い受けた剣だがな…確か画影剣と言っていた」

 

孫権にまた剣が、画影剣が飛来する。

 

「また!?」

「甘寧よ…お主を縛りつけている鎖は孫権だ。ならばその鎖を壊すのは当然だろう」

「させん!!」

「甘寧よ…少しここから離れておれ。修蛇」

 

修蛇が楼船に覆うように乗り掛かって破壊する。完全に破壊はされていないが孫権と甘寧を離れさせるには十分であった。

 

「蓮華様!?」

「思春!!」

「ぎゃてえええ!?」

「姉様!!」

「蓮華様、小蓮様!!」

 

船の破壊によって皆がバラバラに離れ離れになってしまう。

 

「いったーい…」

「うぐぐ、腰に…」

「雷火様、無事ですか。三蔵殿も無事か?」」

「なんとか…」

「わしも大事ない。それよりも蓮華様と小蓮様は!?」

 

離れたところを見ると孫権と孫尚香が黄祖と対峙していた。

 

「いかん、すぐに助けに行かねば!!」

 

甘寧がすぐに助けに向かおうとしたが長江から修蛇が顔を出す。

 

「くっ!?」

「こいつをどうにかしないと!?」

 

孫権と孫尚香は黄祖の手によって甘寧たちと分断させられた。

 

「今ここで私自ら孫家の血を絶やしてやろう」

「いえ、何度も言うわ。孫呉が滅びないわ!!」

「母様の仇を取ってやるんだから!!」

「貴様ら私に敵うと思っているのか?」

 

長江での水上決戦も佳境に入ろうとしていた。

 




読んでくれてありがとうございました。
次回は一週間後予定です。もし早めに更新出来たら更新します。

現代sideも本当に決戦です。
残り2話で黄祖と孫呉との戦いも決着がつきますかねえ。
この章ももうすぐ完結です。次の3章ももうすぐです。

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