Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
一週間後と言いましたが早く更新出来ました。
203
「うおおおおお!!」
大鵬は鬼気迫る勢いで俵藤太と周泰に襲い掛かる。
「死ねい!!」
「死ねません!!」
周泰は『魂切』という名の長刀を振るって応戦する。
「屈め周泰!!」
屈んだ周泰の後ろから矢が飛来してくる。
「矢なぞ!!」
俵藤太の放った矢を身体を捻って避ける。そのままうっとしいと思っている俵藤太に高速で突撃する。
「ぬううう!!」
「こいつ、これを耐えるか!?」
「悪いがお主以上の妖怪を相手した事があるんでな!!」
刀で一閃して引き下がらせる。
バサリと後退したあと両翼をざわめつかせて複数生える羽の切っ先を鋭くさせた。
「喰らえ!!」
大鵬が両翼を広げて羽を散弾銃のように放つ。
「周泰、吾の後ろに来い!!」
「は、はい!!」
俵藤太のはスキル『矢避けの加護(C)』を発動。散弾銃のように放たれた羽はまるで俵藤太を避けるように逸れた。
「なに?」
「あれ、あれだけの数を?」
スキルの事がよく分からない2人は取り合えず何かが起こったくらいにしか分からない。
「貴様も何か不思議な力を使うのか」
「まあ、ある加護を受けているからな」
弓を張って矢を三連撃ち出す。撃ち出した後は走り出して刀を抜刀。
刀が振るうと同時に大鵬は蹴りを繰り出して受け止める。その間に移動していた周泰が長刀で斬り付ける。
「小賢しい!!」
ぐるり2人を吹き飛ばすように回転して上昇する。そのまま俵藤太たちの上で旋回する。
「あいつら…禍斗を倒しただけはあるか」
簡単に仇が討てるとは思ってない。敵は禍斗を倒した猛者たちである。
倒すには己の力を十全に使わなければ勝てないと判断。大鵬は更に上昇しながら完全変化した。
「大きい…」
大鵬とは伝説の怪鳥とも言われている。
逸話に日食が起こるのは大鵬が上空を飛んでいるからだと言われているほどである。それは人間が空を見上げて見る太陽を隠すほどの大きさを表している。
「完全変化を果たした。このまま突っ込んで船諸共、粉砕してやろう!!」
空を飛ぶ大鵬の大きさには見ていて唸るほどだ。
「どうしますか俵殿!?」
「うむ。こっちも迎え撃つしかないだろう。それにあれだけ大きいんだ。かえって狙いやすいというものよ!!」
スキル『龍神の加護(C)』を発動。龍神の祝福が俵藤太に力を与える。
「行くぞ!!」
「これで終わりだ!!」
大鵬は俵藤太たちに向けて急降下する。
「来ます!!」
俵藤太は弓矢を弾くと鏃の先端に龍神の加護の力が宿る。
「南無八幡大菩薩……願わくば、この矢を届けたまえ!!」
宝具『八幡祈願・大妖射貫』を放った。
龍神ですら恐れた大百足を退治した矢を宝具として昇華させた技だ。その威力は妖魔には堪えがたいほど。
更に俵藤太は退魔の英雄だ。妖魔入り乱れるこの戦こそ専門である。
「ぬおおおおおおお!!」
「あ、あいつが俵殿の放った矢と衝突しました!!」
大鵬の突貫と俵藤太の宝具が衝突。どちらも打ち砕こうと攻めている。
「妖魔を宿した身でありながらその執念…だが拙者らも負けるわけにはいかんのでな!!」
龍神の加護を受けた矢が解放されて爆発した。
「ぬおおおおお!?」
退魔の力は大鵬に大きな傷を与えた。
「だが、耐えたぞ。私の勝ちだ…な!?」
「いえ、私たちの勝ちです!!」
大鵬の目には周泰が映った。
「なぜここに!?」
「ただ俵殿に頼んで投げてもらっただけです!!」
周泰は軽いので俵藤太の筋力ならば空高く投げる事は可能であった。
既に抜刀されていた長刀を大鵬の眉間へと突き付けた。
「ぐおあああああ!?」
「これで終わりです!!」
「こ、こんな所で……友よ仇を討てずにすまん。黄祖様…最後まで仕えず申し訳ありません」
大鵬は突き刺された眉間から崩れて消滅した。
「討ち取ったああああああああああああああぁぁ落ちるううううううう!?」
「キャッチ!!」
「あ、ありがとうございます」
落ちて来た周泰を受け止める。
「さあ、まだこれからが正念場だぞ」
「はい!!」
俵藤太が呂布奉先と陸遜がいる船を見る。
見た瞬間に巨大な兵馬妖が呂布奉先によって破壊されたところであった。呂布奉先たちがいる船も上手く敵を殲滅している。
次に孫権たちが乗る船を見れば巨大な蛇によって攻撃されていた。
「いかんな。すぐに孫権たちがいる船に戻らねば!!」
「蓮華様!?」
204
孫権と孫尚香は黄祖の邪悪な牙を向けられようとしていた。そんな事を甘寧が許すはずが無い。
急いで助けに駆け付けにいきたいが邪魔をする者がいる。黄祖の部下で妖魔となった修蛇である。その巨体は彼女たちが乗る船を沈ませることができる。
今だに船を沈ませないのは黄祖が孫権と孫尚香が討ち取るまで待っているからだ。それまで修蛇は甘寧たちの相手をする事になっている。
「く、急いで蓮華様と小蓮様の御助けにいかなければならないのに!!」
掻い潜って向かおうとするも修蛇は許さない。修蛇もまた黄祖の指示を絶対に守るという忠誠心から甘寧を邪魔をする。
「三蔵殿!!」
「なに張昭さん?」
「建業で妖魔を惹きつけていたじゃろ。あれで何とかならんのか!!」
「出来ると思うけどアタシだけじゃキツイわよー!!」
修蛇をスキル『妖惹の紅顔(A)』で惹きつける事は出来る。しかし1人で相手をしろと言われれば厳しい。戦えなくはないが1人であの巨体な修蛇を相手にしろとは無茶な話だ。
カルナやアルジュナなら出来ると思うが玄奘三蔵は彼等のような戦闘特化な英霊ではない。体育会系キャスターではあるけれど。
「わしも出来ることはする。それに兵士たちもいる。だから興覇を蓮華様たちの元へ行かせるのじゃ!!」
「分かったわよー!!」
スキル『妖惹の紅顔(A)』発動。修蛇となった黄祖の部下は妖魔の性質に引っ張られてターゲットを甘寧から玄奘三蔵へと一瞬だけ移してしまう。
「行け!!」
「恩に着る!!」
甘寧は孫権たちの元へ向かう。
「こっちだって頑張るんだから!!」
玄奘三蔵は手に如意金箍棒を出現させる。
迫ってくる修蛇に向けると如意金箍棒は勢いよく伸びて追い返した。
その隙を見て張昭は部下たちに命じて矢の雨を降らせる。
「本気、出しちゃうんだから!!」
玄奘三蔵たちは修蛇と戦い始める。張昭は修蛇の危険性は分かっていた。おそらく本気を出されれば船はすぐに破壊されてしまうからだ。
実際に修蛇は大きな波を発生させたり、湖水を行き交う船を破壊したりして人々を苦しめていた妖魔である。ならば修蛇は船を壊す事に関しては専門家のようなもの。
黄祖が孫権たちを殺した瞬間に修蛇が本気を出して船を沈めに来る。黄祖が修蛇に足止めの指示をしている今がチャンスなのだ。
「てぇーいっ!!」
玄奘三蔵は如意金箍棒や九歯の馬鍬などを使って奮戦。
戦闘特化ではない彼女だが持前の体力と根性で修蛇と戦っているのだ。その姿に張昭は「キツイと言っておきながら戦えておるではないか」と呟く。
いつだったかある特異点で彼女は討伐戦でタケノコ狩りをした実績がある。マスターの采配もあるのだが、それで戦闘特化ではないというのが微妙な所である。
「わわわ!?」
だが修蛇も簡単に倒せるような相手ではない。大きな波を発生させる力もあり、体当たりだけで人間はいとも簡単に撥ねられてしまう。
他のキャスターよりかは幾分頑丈な玄奘三蔵でも修蛇の体当たりを喰らえば無事ではない。
「皆の者。やつの体躯に矢を撃ってもそうそう効かんようじゃ。重点的に顔を狙え!!」
玄奘三蔵1人だけで戦わせるなんて事はさせない。孫呉の兵士たちも戦う。中には狗頭鰻と戦った兵士たちもいるのだ。化け物退治はもう慣れている者もいる。
「あの時の戦いを思い出せー!!」
「うおおおおお!!」
「孫呉の全てがかかっている。負けるなー!!」
孫呉の兵士たちは鬼気迫る勢いで修蛇と戦う。
「三蔵殿だけに戦わせるな。我ら孫呉の力を思い知らせてやるのじゃ!!」
玄奘三蔵と張昭たちが修蛇と戦っている頃、甘寧は黄祖と一戦交えていた。
彼女は愛用の『鈴音』という幅広刀で斬りかかるが飛来してくる画影剣で受け止められる。
「黄祖!!」
「甘寧。その怒りに満ちた目は良いぞ」
「黙れ!!」
連続で斬りつけるが全て画影剣で防がれる。
「思春。私も戦うわ!!」
「シャオだって!!」
孫権たちも援護に加わるが、それは黄祖も願っても無いこと。孫権たちを自らの手で殺すのだから向こうから戦に来るのは丁度良いのだ。
「貴様らを殺せば孫家は終わりだ」
黄祖は弓を弾いて矢を放った。
「蓮華様、小蓮様!!」
「大丈夫よ!!」
放たれた矢を躱す孫権。だがその矢の威力に慄いてしまう。
孫権に避けられた矢はそのまま別の孫呉水軍の船に直撃して破損したのだ。
船に矢がたった1本当たったところで簡単には壊されない。しかし黄祖が放った1本の矢で船を破損させたのである。
「なっ!?」
どれだけの力で矢を射れば船を破損させる威力が出るのか分からない。
分かったのは黄祖の矢を喰らえば一撃で死ぬということだ。
「この力は于吉の治療による賜物らしいぞ?」
もう1矢放たれるのを躱す。
「于吉は言っていたな。確か膂力の制限が無くなったとか…!!」
今度は孫尚香に近づいて殴るが間一髪で孫権が押し倒す勢いで無理矢理躱させた。
殴った先は船の床で簡単に穴が空いた。
「なんて異常な膂力…」
「私1人で貴様らを殺すなぞわけない」
「黄祖おおおお!!」
甘寧は画影剣を無理矢理撥ね退けて黄祖に突撃した。
「ほお。流石は甘寧だ。画影剣を無理矢理にでも撥ね退けたか」
斬りかかる前に黄祖は幅広刀を持つ甘寧の手首を掴む。
「くっ!?」
その握力に顔を痛みで歪む。
「甘寧。お主は殺さん…だが孫権を殺す邪魔はしないでもらおう」
(っ、何だこの黄祖の手の冷たさは。これはまるで死体に触った時のような…)
「向こうに行っておれ」
「ぐあぅ!?」
黄祖は甘寧の腹部に拳を入れる。吐き気を催す一撃に口を塞ぐが、その隙に船の端に投げ飛ばされた。
「さて、甘寧がまた戻ってくる前に貴様らを殺そう」
黄祖はすぐさま孫権たちに目を向けるが孫権自身が近づいて剣を振るってきた。
「ふん」
甘寧の時と同じように孫権が剣を持つ手首を掴んで止めた。
「くっ!?」
「孫権。貴様では私に勝てん」
「姉様!!」
「孫尚香…貴様も勝てんぞ」
画影剣を飛ばして孫尚香が孫権を助けないように道を塞ぐ。
「姉様!?」
「貴様はそこで姉の孫権を殺される姿を見るがいい」
もう片腕で孫権の首を掴む。
「あ、あぐ……」
「弱いものだな孫権。簡単に首の骨を折れそうだ」
ミシミシと首から軋む音が少しずつ聞こえてくる。
「わ、私は諦めない。孫呉は負けない」
「まだ言うか」
「あんたなんかに孫呉はやれない。興覇は渡さないわ!!」
「…その目は孫策にそっくりだ」
このまま首をへし折ろうとするが出来なかった。
黄祖が聞くはずが無い声が聞こえたからだ。そして孫権たちにとっては希望の声だ。
「黄祖おおおおおお!!」
「なに!?」
声が聞こえた方向は上。視線を上に向けた瞬間に視認したの孫策であった。
孫策が空から降って来たのである。
「孫策だとっ!?」
「私の妹たちになにすんのよ!!」
南海覇王で孫権を掴んでいた黄祖の腕を斬り落とした。
読んでくれてありがとうございました。
次回は一週間後予定です。
黄祖との戦いに孫策投入です。次回にて黄祖と戦いに決着がつきます!!
この2章もあと2話くらいで完結予定です。