Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
今回から洛陽に入ります。ということで彼女たちが登場します。



洛陽

31

 

 

洛陽に到着したカルデア御一行。やはり一番の都と言うだけあって、今まで立ち寄ってきた町や村に比べてどれだけ発展しているかが分かる。

人も当たり前のように多く、貧しさを感じさせない。やはりこの大陸の中心地はある意味平和だ。

だがそれは外見だけに過ぎない。本当は内側が酷く汚れているのだ。

平和な場所のくせして、内側にこの大陸を蝕むモノが存在しているのだ。俗に言うと政治を腐敗させている存在達。

 

「着いたね」

「ああ。着いたな」

 

着いたから直ぐにどうにかできる訳では無いし。まずは足を休めたいところだ。

これだけ大きい都ならば良い宿屋が在るだろう。

 

「ふーやー。妾もう疲れたぞ」

「アタシも疲れたわ」

「お前らずっとおぶさってただろーが」

 

武則天と玄奘三蔵に的確なツッコミを入れる燕青。

 

「じゃあ、まずは宿屋にレッツラゴー」

 

洛陽を歩くカルデア御一行達。他の村や町では今まで気にもしなかったが藤丸立香達はこの洛陽では案外目立つ。

なんせこの時代からしてみれば変わった服装を着ているのだから。その目立つというのが藤丸立香と諸葛孔明の服で、現代の物なのだからより目立つ。

この時代に魔術礼装の服や現代のスーツ姿なんて似つかわしくない。

だから直ぐに彼等の事が噂でこの洛陽で広まることになる。だが所詮、旅の者という位で警戒される訳でもなく、物珍しさに大勢が集まると言う事はない。

ただただ、「あれが噂の?」程度くらいにしか見られないだろう。

でもその噂を面白がって聞くかはその人次第。そしてどう捉えるかもその人次第なのだ。

 

「報告から聞いた怪しい奴らとはお前らだな」

「え?」

「んー、そこまで怪しい奴か。まあ、確かにあの2人は変わった服を着とるけど」

「え?」

 

何故か偉い人っぽいのが兵士達を連れてきた。

これはおかしい。何もやっていない筈だ。藤丸立香は仲間を見ると全員が首を横を振っている。

 

「神妙にお縄につけ!!」

「何もやってないから」

「認めない気か!?」

「じゃあ俺らが何をしたっていうんだ!!」

「それは………………なあ霞、こいつらの罪状何だっけ?」

「何もあらへんよ」

 

空気が止まる。

 

「……」

「……」

「神妙にお縄につけえい!!」

「え、続けるの!?」

 

閑話休題。

 

「いやーすまんすまん。なんや、怪しい奴がおるって報告が有ってな。只の勘違いみたいやね」

「誤解が解けて良かったです」

「すまんなあ」

「いや、本当に」

 

皮肉を込めて大きくはっきりと言う。

 

「そんな目で見て責めんといて…本当にウチらが悪かったから」

「まったく。誰がこんな報告をしてんだか」

「いや、華雄っち。あんたがいきなり話も聞かずに突っかかったんやからな?」

「むう…」

 

いきなり罪人認定されたのだが誤解が解けたのは良かった。

自己紹介をしたがこの2人、実はまたも三国志の英雄だと分かった。その名も張遼と華雄だ。

広い大陸と言えど、まさかこうも三国志の英雄たちに出会えるとは思わなかった。だがまだ主役級の英雄には出会えていないが。

 

「で、お前が呂布~?」

「どうしたの張遼さん」

 

張遼が呂布奉先をジト目で見ていた。それは華雄も同じく。

 

「□□□!!」

「うわ、びっくりした!?」

「お、脅かすな!!」

「えーと、呂布はハッキリ言えだって」

「え、こいつが何て言ったか分かるんか!?」

「うん。この陳宮の翻訳書のおかげで」

 

これで誰でも呂布奉先とコミュニケーションができる翻訳書を見せる。でもあげない。

 

「陳宮?」

「なあ…」

「うーん」

「だからどうしたの?」

「いや、うちらの陣営にも恋…呂布と陳宮がいてなあ。まさか同姓同名がいるなんて珍しいもんやなーっと。見た目は全然ちゃうけど」

「え!?」

 

洛陽にて、ついにこの時代の呂布奉先を知る者と出会う。彼女の話からするとこの時代の呂布奉先は藤丸立香の知っている呂布奉先では無いようだ。

そもそも見た目も性別も違うらしい。この事からこの三国時代が自分達の知る時代で無い事が決定した。

亜種並行世界でも相当ズレているのかもしれない。そもそも並行世界と言ってもいいか分からない。これだとこの時代の諸葛孔明も女性の可能性がある。

それを予想しているのか此方の諸葛孔明も微妙な顔をしている。どうやら何か思い当たる節があるようだ。

 

「ねえ、どんな人?」

「めちゃくちゃ強いで」

「うちの呂布も強いよ」

「□□□」

 

この時代に2人の最強武将が揃ったことになる。

 

「なら会ってみる?」

「うん」

 

 

32

 

 

目の前にこの時代の呂布と陳宮がいる。

 

「□□…」

 

カルデアの呂布奉先は物凄く微妙な顔をしている。はっきり言って彼のこの顔は相当レアだと思う。

尤も藤丸立香もちょっと予想外であったが。呂布よりも陳宮に対して。自分の知るあのサディストがこの三国時代では小さい幼女だから。

カルデアの呂布奉先もこの陳宮を見てまた微妙な顔をしている。彼からしてみれば小っちゃすぎる。

 

「なんなのですかこいつらはー!?」

「いやあ、このデカイの恋と同じで呂布ちゅうんよ。しかも仲間に陳宮って名前も居るらしいんよ」

「な! ねねばかりか、恋殿の名を不遜にも利用している賊ですか!?」

 

また誤解が起きそうだ。

 

「こんな賊は即刻首を撥ねるです!!」

「誤解だから!」

「まさかお前がねねの名前を利用してる輩ですか!!」

「違うから」

 

よく突っかかって来る元気な子である。でも言葉の節々から彼女がどれだけ恋、もとい呂布を大事に思っているかが分かる。

きっと彼女にとってはこの時代の呂布に並々ならぬ恩が有るのかもしれない。

 

「霞。どうしてこんな奴らを連れて来たです!!?」

「そろそろ落ち着かんか!!」

 

張遼が陳宮の頭にチョップして黙らせる。

 

「こいつらはな、全然賊でもなんでも無いんや。寧ろこっちが迷惑をかけた側や」

「そんなのそっちの失敗じゃないですか!!」

「そやね」

「開き直ったです!?」

 

張遼と陳宮が言い合っているのを無視してこの時代の呂布に目を向ける。

 

「………」

「こんにちは」

「………」

「こんにちは」

「………ん」

 

即刻理解。これは意思疎通が難しいタイプだ。

まさかこの時代の呂布も意思疎通が難しいとは。そもそもバーサーカーでも無いのに意思疎通ができないとはこれ如何に。

ちょっと考えて、陳宮のもとに。

 

「ねえ陳宮さん」

「何ですか。今こっちは霞を叱るのに…」

「呂布さんの翻訳書とかある?」

「そんなのあるかですー!?」

 

翻訳書は無いようだ。

これはしょうがないと言うことで自力でコミュニケーションするしかない様である。

どうやって意思疎通をするかと考えていたが犬が近寄ってきた。普通に可愛らしい犬で頭を撫でる。

この犬はどうやら人に懐きやすいのかもしれない。犬を見ると新宿で会ったカヴァスⅡ世を思い出す。

 

「セキト」

「この犬の名前?」

「うん」

 

セキトと今言った。てことはまさかこの犬が赤兎馬なのだろうか。

呂布奉先の愛馬が此方側だと犬。またカルデアの呂布奉先が微妙な顔をしていた。一体この三国時代はどうなっているんだろうか。

 

「あ、恋殿ダメです。そいつに近づいちゃダメです!!」

 

ふるふると首を振る。

 

「大丈夫。セキトが懐いている。だから良い人」

「で、でも~」

 

なにか分からないけどこの時代の呂布には認められた。犬の判断で良いのか分からないけど、此方としても悪事を働いているわけではない。

属性で悪は仲間にいるけど、だからと言って今ここで悪事を働く理由は無いし。そもそも悪事を働く気もさらさら無い。

おそらくこのセキトと言う犬は藤丸立香という人間が善人で安全だということを動物の本能で理解したのだろう。

彼の近くに居る事が絶対に安全だという事も理解しているので悪属性の英霊からも大丈夫と思ってるのだろう。

 

「お前。良い人」

「恋が認めたってことはほんに良い奴って事やな!!」

「そして、彼奴らとても強い」

 

藤丸立香の後ろに居る李書文や燕青、そして同じ名前の呂布奉先達を見る。彼女も武人として本能でみんなの力を感じ取ったのだろう。

 

(ふむ、流石はこの時代の呂布。此方の強さを感知したのか…いやはや、性別が違う呂布でも呂布か。そしてこの時代で出会った武人の中で1番強いな)

(おいおい神槍、手合わせしてみたいんだろーが俺らと向こうは未だそんな仲じゃねえーからな。話を聞くと向こうはお偉いさんらしいし)

(うむ、分かっておる)

(その割には戦いたそうな目をしてるぜ)

 

李書文。旅をしていたら実はこの時代の英雄達と案外会えるので、英雄達と戦ってみたいという我儘が自分の中に出てきたのだ。

同じ大陸の出であり、武人として三国時代の英雄と戦えるなんてまるで夢の様であろう。武人の誰もが過去の英雄たちと戦いたいなんてあるかもしれない。

最も李書文はカルデアで何人もの英雄達と戦っているが。でも残念だが三国志の英雄とは呂布と諸葛孔明以外に会ったことは無い。

 

「華雄、霞。こんな所に居たのね。恋にねねまで」

「あれ、何方でしょうか?」

 

またも誰かがこの場に訪れる。言葉からして張遼の知り合いの様だ。

 

「あ、詠に月」

「あ、詠に月…じゃないわよ。不審者の件はどうしたのよ。つーか、誰よそいつら」

 

なんかツンツンしてそうな女の子と物凄く大人しそうで儚げな女の子。まさかこの2人も三国志に出てくる英雄じゃないだろうかと考える。

だが自分の知る三国志の英雄の誰かと当てはまる人がいない。

 

「誰?」

「それはアタシの台詞よ」

「ああ、詠。こいつらが報告であった怪しい奴等」

「何でこんな所に居るのよ!?」

「ちょい待ち。実はその報告は勘違いみたいでな…こいつら何でもなかったんよ」

「ふーん。で、それで何で此所に居るわけ?」

「いやあ、実はこのデカイのが恋と同じ呂布って名前でな。だからちょい会わせてみようかと」

「そんな事せず仕事しなさいよ!?」

 

詠の呼ばれる女性はどうもツンツンレベルが高そうだ。

 

「落ち着きなよ。あと眼鏡似合ってるよ」

「な、何よいきなり!?」

 

いきなり眼鏡が似合っていると言われてつい照れる彼女。だが警戒しているのか一歩後退された。褒めたつもりだが警戒されてしまうとは少しショックである。

 

「……」

「で、誰?」

「藤丸立香です」

 

自己紹介って大事。

 

「あ、この2人はな董卓様と賈駆や」

「董卓ぅ!?」

「へうう!?」

 

今、張遼が凄い事を言った。本人からして見ればそうでもないんだろうけど、此方からしてみれば予想外の言葉だ。

だって、史実では凶悪な暴君としてその名が知られているのに目の前の儚げで心優しそうな人物が董卓だというのだから。

カルデアの呂布奉先を見るとまたも微妙な顔をしていた。今日は呂布奉先の珍しい顔ばかり見ることができる日だ。

 

「ちょっと月を脅かさないでよ!!」

「あ、ごめん」

 

だけど本当に予想外すぎる。予想外すぎてつい何度も見てしまう。

 

「じーーー」

「あ、あの」

「じーーーー」

「へうう」

「照れた。可愛い!」

「か、可愛い!?…へうう!」

「なに月を邪な目で見てんのよ!!?」

「邪な目とは失礼な!!」

 

どうも彼女は董卓の事になると五月蠅くなる様だ。陳宮と同じで、董卓をとても大切にしているのだろう。

それはまさに親馬鹿の様に。

 

「まあ、詠っちは月っちをメッチャ大切にしてるからな。しょーがないって思ってーや」

「うん。そうする」

 

そんな時に1人の部下らしき人が現れる。

 

「賈駆様。何進様がお呼びです。それとその後は張譲様も…」

「はあ、またか。分かったわ今行く」

(何進? 張譲?)

(何進とはこの国の大将軍だ。そして張譲は宦官だ。特に張譲は十常侍という宦官グループのリーダーだぞ。この勉強不足め)

(勉強頑張ります孔明先生)

 

この国の上にいる存在達。特に張譲達十常侍こそが黄巾党との内通者だと歴史に残っている。

すなわちこの大陸を腐敗させている黒幕がまさかのまさかで国の重要人物という事だ。国を良くするはずの存在が国を腐敗させていくという矛盾。

だけど案外そういう魑魅魍魎が国の内部に居るものなのだ。

 

(…どの時代の国にも魑魅魍魎は居るものだ)

(世知辛いね)

(悪いが私達ができる事は無いぞ。これが三国時代の通る歴史なのだからな)

(…それは分かってるよ)

 

この大陸が腐敗している原因が分かったとしても藤丸立香は何もできない。苦しんでいる人々をどうにかしたいという気持ちが無いわけではない。

しかし、この時代は歴史通りに進んでいる。ならば自分たちができることはなにも無いのだ。例えここが異世界とも言えるような並行世界でも。

 

(何かもどかしいな)

 

でも何もできない。今ここで彼らが動いたらもしかしたら歴史が変わるだろう。

彼らが動くときはこの時代の特異点を修正する時だけだ。

 

「って、ふーやーちゃんが董卓さんと何か話してる」

 

武則天が董卓と話している。

 

「ほっほーう、お主があの董卓か。くっふっふー…信じられぬのう」

「あ、あの?」

「ふむ、儚げながらも何事も断行できる意思はありそうじゃな」

「え、えと?」

「普通は先輩からじゃが今回は後輩からのアドバ…じゃない助言じゃ。敵が多いならば先に仕掛けろ。そして自分の欲に従え」

「それはどういう…?」

「そういう意味じゃ」

 

そう言って武則天はそそくさと戻ってくる。

 

「何を話してたの?」

「ちょっと後輩からの助言を。尤もあやつは皇帝ではないが国を意のままにしたことがあるのじゃろう」

 

この時代的にはこれからの話だが。

 

「余計な入れ知恵をするな」

「よいではないか。ただの気まぐれじゃ。それにああ言ったくらいで歴史は変わらんじゃろうて」

 

確かに武則天の先ほどの言葉では歴史は変わらないだろう。

 

「それにしても…あやつが本当に暴君に成るのかのう?」

「うん。正直信じられないね」

「人間は変わる者だ」

 

そうは言うが、それでもやっぱり信じられない。あの儚げな少女が暴君に成るなんて。

でもよく女は化けるなんて聞くからあながち間違いではないのかもしれない。結論で言うとよく分かりませんという事で。

答えはこの時代の未来ということだ。

 

 

33

 

 

「荊軻、燕青」

「何かな?」

「何だい軍師の兄さん?」

 

諸葛孔明の声に荊軻と燕青が集まる。

 

「今から霊帝の宮殿に潜入してきて情報を集めて来て欲しい。何も無ければそれでも構わない」

 

仮定として宮中にこの時代が特異点となる原因が在るかもしれないのだ。もしくはこの時代に召喚された英霊の存在など。

そして宮中でしか知らない情報も有れば欲しい所だ。きっと普通には手に入らない情報が有るかもしれないのだ。

 

「やってくれ。お前らが私たちの中で気配遮断スキルが高いからな」

「了解した」

「良いよぉ」

 

そう言った瞬間には2人はその場から消える。

彼等なら見つからずに宮殿での情報収集をしてくれるだろう。普通の人間になら絶対に見つから無いだろうが、油断はしてはいけない。

可能性として此方と同じく英霊が居たら、見つからないという保証は無いのだから。

 

「さてさて、宮中で何が出てくるやら…」

 

何かしら情報が出てくる事を予想しながら葉巻を吸う。

だけど出てくる情報にはまた諸葛孔明の頭を痛めてくるモノが有るのだが。男性だと思っていた人が女性だったという点で。

 

「…本当にこの時代の諸葛孔明が私の思う諸葛孔明ではないで居てくれよ」

 

この言葉に込める思いは切実だが、結果がどうなるかは分からない。安心するか、顔を顰めるかはこの時代の諸葛孔明に会った時に分かるというもの。

 

「あ、ここにいたんだ孔明先生」

「どうしたマスター?」

「張遼さんからご飯誘われたんだ。先生も良かったら行こ」

「…お前は本当に人と仲良くなるのが早いな」

「荊軻と燕青は?」

「少し出払っている」

「そっか」

 

すぐに諸葛孔明の顔を見て察する。彼らは今頃仕事をしているのだろう。

ならば自分が言う事は無い。宮中で情報収集をしているのならマスターとしても言う事は無い。その選択は正しいのだから。

 

 

34

 

 

詠はまた頭を抱えている。董卓と共に涼州で部隊を率いて居た所を張譲に引き入れられて洛陽に来てから心身共に疲労が溜まってきている。

はっきり言って引き入れられたのは失敗で有った。ここまで酷使されるとは思わなかったのだ。しかも何進にすら良いように使われる羽目になっているのだからたまったものじゃない。

しかし相手は官僚の重要人と加えて漢の大将軍。その2人に逆らえる筈も無く、無駄に働かされて居るのだ。

正直言って、霞なんて文句ばかり言っている。だけど月が使い潰される寄りマシだと詠は思っている。

そもそも文句を言っているのに霞や恋たちが渋々仕事をして居るのは全て月の為で在る。本当に彼女は仲間から愛されているのだ。

 

「ったく何進は大陸中に増えて居る賊まで倒せって…無茶にも程があるわ。他の諸侯にも手伝わせないと無理よ」

「じゃあ手伝わせれば良いやん」

「最終的にはそう成るわよ。だってもう自分の所で賊退治をして居るのだから」

 

大陸全土で出没している黄色い布を纏った賊達。黄巾党。

どの州にも出没して居るのだから各太守が迎え撃っているのは当たり前だ。だが最近の黄巾党は本当に有象無象に出没して居る。

もはや賊の集団から大軍へと膨れ上がって居るのだ。ならば結局は自分の治める町を守る為に戦うしかないのだ。

 

「でも正直な処アタシたちの面子も有るから此方で多くの賊を退治したいのよね」

「無茶言うなぁ」

 

官軍が先頭を切って戦わなければ他の諸侯も動かない場合も有るだろう。だからこそ自分たちが今増えている黄巾党を倒せると各州に伝えないといけない。

 

「流石に何進も動くそうよ」

「えー、無茶な命令してこんやろうなぁ?。こう…無茶な作戦で黄巾の連中を倒せとか」

「すると思うわ」

 

溜息を吐く霞。

 

「アタシたちの所には強い将が霞に恋、華雄のみ。できればもっと将が欲しいわね」

 

大々的に部隊を動かしたいが数もあるし、率いる将も必要だ。何だかんだで人材不足という事である。

 

「んー…なら彼奴らに声かけてみるか?」

「彼奴らって誰よ?」

「ほれ、今日ウチらん所に来てたやろ。つーかウチが呼んだ彼奴らや」

「まさか彼奴ら?」

「なんせあの恋が強さを認めたんやでぇ。十分戦力になってくれるやろ………了承してくれたらの話やけど」

「褒賞を少し高めに出しなさい。もしかしたら食いつくかも」

「了解したで。なら今から飯にでも誘ってみるか。ウチあの小僧と仲良くなってん、まずは飯くらい一緒に食べてくれるやろ」

 

 

35

 

 

ある屋敷の中。

 

「例の件はどうなっている?」

「貴方が密かに行っている悪政のおかげで民の怨嗟の声によって太平要術は順調に妖力を溜めていますよ」

「…民の怨嗟の声を妖力に変えるか。恐ろしい書が在ったものだな」

「そして貴方は太平要術を使って巨大の力を手に入れようとしている」

「ふん…しかし太平要術を黄巾党に渡しといて良かったのか?」

「ええ。あれは妖術書でなくとも人を惹きつけ、纏め上げる内容も在りますので…より怨嗟の声を出すのに役立ってますよ」

 

悪政によって大陸は荒れ、民達は餓えていく。そしてそこから脱する為に賊と成り、似た様な境遇の民から奪う。その繰り返しだ。

貧しい者同士が蹴落とし合う最悪な展開だ。これならより怨嗟の声が出てくる。

 

「それに私ならいつでも回収できますので」

「いつでも回収できないと困るぞ」

「任せてください。では私はまだやる事が有りますので」

 

そう言って男は屋敷から出て行く。

 

「ふん…似非道士め。力さえ手には入ればすぐに口封じで消してやる」

 

屋敷から出て行った男に汚い言葉を吐く。所詮あの男も利用しているだけにすぎないのだ。

全ては自分の掌で世の中が動いて居ると思っているこの者は張譲。十常侍という宦官グループのリーダーである。

 

「ここの外史の張譲も結局は同じような末路を辿ると言うのに…まるで道化ですね」

 

ヤレヤレと何もない空間から出てきたのは先ほどまで居た男である。

 

「貴方の末路は変わりませんがこの外史の流れは変えてみせますよ…終わりのね」

 

彼のその目には今度こそ終わらせるという覚悟がある。

 

「さて、この洛陽にカルデアが来ている様ですし…一旦身を潜めますか」

 

 

36

 

 

趙雲もとい星は噂にあった『天の御使い』を初めて見た。

顔は男前。体格からして多少は鍛えているようだ。服装も大陸を旅してきたが初めて見る服である。

知略もありそうで、抜け目も無さそう。でも武人というわけでは無さそうだ。もし、今ここで戦ってもすぐ倒せそうである。この集まっている人物のなかで一番弱い。

だけど只者ではないのは確かかもしれない。

 

(何故、私の字を?)

 

天の御遣いはどうやって字である『子龍』の名を知っていたのか。星は字を一度も名乗っていないのに天の御遣いである彼は言い当てたのだ。

しかも妙に一方的に知っている感じでも在った。それがまた不思議である。

その理由は劉備とやらが「天の御遣いだから」と言うが、「その理屈はおかしい」とツッコミを入れた。

 

(ふむ、彼が天の御遣いか)

 

性格はお人好しそうな感じで気さくで優しい。悪い人間ではないだろう。器量もなかなかありそうだ。

 

「北郷一刀だ。天の御遣いなんて呼ばれてる。よろしく」

「ああ。よろしく」

「ふふ、なかなかの器量の持ち主のようだ」

「おいおい、まさか私を捨てて北郷の下につく気じゃないだろうな星?」

「さて、それはまだ分かりませんな」

 

天下を憂う者としては徳ある主君に仕えることが喜びらしい。

 

「俺は主君になる気なんてないけどなあ」

 

そんな事を言う北郷一刀だが劉備達にとって彼は主君である。

 

(徳ある主君か…)

 

北郷一刀を見ていると『彼』を思い出す。

そういえば服装とか少し似ている気がする。北郷一刀は白い服を着ているし、『彼』も似た様な白い服を着ていた。

髪の色や顔つきとかもどこか似ている気がする。歳も同じくらいだ。

そうなると彼も『天の御遣い』なのかと考えてしまう。

 

(いや、それは早計だな。それに彼は天の御遣いなんて言っていない)

 

恐らく北郷一刀と藤丸立香は関係ない。

今はそう思う星であった。

 




読んでくださってありがとうございました。
次回もゆっくりとお待ちください

さてさて、ついに呂布同士の会合でした。
やっぱ、カルデアの呂布は恋姫の呂布を見たらどんな反応するかと考えて、ああなりました。喚いたりとかはしそうには思えませんので。
またいずれ呂布同士の話は書きたいと思います。

洛陽(漢側)のキャラは他にもいるのでいずれ出したいですね。
革命で新規キャラが増えたので何進とか慮植とか。
そして張譲を出しましたが、アニメ版の張譲です。原作だと名前のみしか出ていませんので。

そんでもって星は北郷一刀と接触。
藤丸立香を知る星が北郷一刀を見て…っての感じになりましたね。

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