Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
ちょい早めの投稿です。
FGOをプレイしている方はどうでしょうか。自分はちょこちょことイベントを頑張ってます。
ガチャをやりましたが結果は…まあまあ(察してください)。

そんなことよりも本編をどうぞ。


反董卓連合-表の決戦前-

284

 

 

反董卓連合はついに洛陽の前まで進行を成功していた。

 

「ようやく…ようやく洛陽ですわ。偵察からの報告はどうなっていますの華琳さん」

「今のところ、黄忠率いる荊州軍は二ノ関で足止めを喰らっているそうよ」

 

更に董卓軍は洛陽の南に陣を展開しており、決戦を挑む布陣のようである。

配置として、中央に張遼、左翼が皇甫嵩、右翼が呂布、本陣に華雄といったところだ。

 

「董卓は天子様と城内のようね」

「他に黙っていることはありませんわよね?」

「忘れている事もないわよ」

「でしたら、我が軍の配置ですけれど…」

 

敵陣の配置は分かっている。ならば誰が各敵陣の部隊を相手にするかというところだ。

敵の部隊のうち、相手にしたくないのが呂布と張遼の部隊だ。その2つの部隊が董卓軍の中でも抜き出ているのだ。

特に呂布の部隊というよりも呂布の相手を誰がするのかというのが問題である。これはきっと誰もが擦り付け合いが始まるのではないかと思ってしまう。

そう予想した北郷一刀であったが予想は外れた。まさかの挙手があったのだ。

 

「呂布の相手は私たちに任せてくれない?」

 

呉軍の雪蓮であった。

 

「わ、妾もかや!?」

 

まさか雪蓮が呂布の相手をするとは思ってなかったのか袁術はビクリと驚いた。

 

「必要無いわよ。呂布の相手は私たち呉軍だけで引き受けるわ」

「ふむ…ならば妾は文句ないぞ」

「なら中央の張遼は私がもらうわ。他に欲しい者はある?」

 

雪蓮の時と同じように曹操の問いにあえて手をあげる者はいなかった。

呂布も張遼も、わざわざ戦いたい者なんていないはずだ。誰かが引き受けてくれるなら大歓迎というものだろう。

 

「では、張遼の部隊は華琳さんにお任せしますわ」

 

残りは皇甫嵩の部隊と華雄の部隊だ。

 

「さて、でしたら左翼の皇甫嵩さんは自動的に幽州の皆さんという事になるのですけど。よろしくて?」

「仕方ないな。で、全体の動きはどうなるんだ。それぞれが勝手に戦えば良いのか?」

 

ここで田豊が立ち上がる。

 

「それは、こちらから説明させていただきます」

 

反董卓連合の最大目標は禁城にいる天子姉妹の保護と、逆賊董卓の撃破となっている。

基本的には各諸侯が董卓軍が率いる部隊を抑え、その間に袁紹軍が本陣が洛陽に突入するというものだ。

 

「…ちょっと!!」

 

ここで北郷一刀はつい口を開いてしまった。

 

「何ですの。何か問題でも?」

 

ここでマズッたと思ってしまう。隣にいる桃香はハラハラしていた。

そもそも桃香もつい北郷一刀のように口を開きそうになったほどである。なにせ、田豊から説明された内容は彼らの目的にとって不都合なことが多いのだから。

各諸侯が敵軍の相手をしている間に袁紹軍が洛陽に突入されてしまうと董卓もとい月を見つける確率が大いに低くなるのだ。

 

「大ありじゃ。妾の担当がないぞよ。よもや、華雄ごときを足止めしろと言うのではなかろうな!!」

「ああ…美羽さんは、わたくしの補佐として一緒に洛陽に突入していただきますわ。華雄さんは我が軍の猪々子と斗詩の隊で対応いたします」

「…ふむ。ならばよかろう」

 

更に袁術軍まで洛陽に向かうとなった。誰よりも早く洛陽に突入して月を見つけなければならないというのに袁紹と袁術のペアが向かうとなるとマズイ状況だ。

反董卓連合内では立場の弱い桃香たち。ここで自分たちも洛陽に向かいたいなんて言えるはずもない。

 

「で、他に文句のある方はいらっしゃいます?」

「どうせ聞かないでしょう。結構よ」

「…白蓮さん。幽州の皆さんは、いかがかしら。先ほど、誰かが大声を上げていたようですけれど?」

「……いや、私の所のも承知した」

 

洛陽での決戦は間もなくだ。

 

 

285

 

 

城壁の上にて月は洛陽の街を見渡していた。その外には反董卓連合がズラリと陣を張っている。

 

「いよいよ…決戦か」

 

ついに洛陽まで進行してきた反董卓連合。全てが自分を討つためだけに集められたものだと思うとゾっとしてしまう。

 

「月ー。恋とねね、知らへ…」

「すー」

「むにゃむにゃ…」

「なんや。人が散々探しとったのに、月の膝枕で昼寝か。ええなぁ」

 

実は月の膝では恋と音々音がすやすやと寝ていた。その願いがとても健やかに見えるほどだ。

猫や犬というわけではないが、彼女たちにとって月の膝はとても安心して眠ってしまうのだろう。

 

「もう担当の準備は終わったって聞いたよ。昨日からあんまり寝てないみたいだし…もう少しだけ寝かせてあげて?」

「まあ、最後になるかもしれないしね…出来るだけ引き延ばすよ」

「もぅ…そんなこと言って」

 

反董卓連合が攻めてきてからまともに寝ていないのは月もである。もしかしたら一番寝ていないのは彼女かもしれないのだ。

化粧で目の下の隈を隠しているが詠や霞には分かってしまう。

 

「ん…月、おはよ」

「あ、おはよう。恋さん」

 

パチリと目を覚ます恋。

 

「恋、もうすぐ敵陣が動くよ」

 

コクリと頷く恋。

 

「さて…なら恋、ねね、行くで」

「霞。前線は任せて良い?」

「おう。戦はウチらに任せとき。けど…お前らも生きや」

「当たり前だよ。何があっても…生き残ってみせるんだから」

 

何が合っても生きてみせるという言葉にニヤリと笑う霞。

 

「あはは、その意気や。ほな、ちと行ってくるわ」

「ねね、起きて」

「むにゃ…恋殿、抱っこ…」

「……もう」

 

寝ぼけ気味の音々音を優しく抱っこして恋と霞は戦場に向かうのであった。

 

「やれやれ…最後まで緊張感のない連中なんだから」

「でも…みんながいたから、ここまで来れたんだよ。この戦い、負けられないよね」

「……ええ」

 

ついに決戦だ。この戦いで全てが終わるのである。

 

「相国に遷都…向こうの準備が整い切らないうちに、何とか袁家の二人を引き摺り出して…やっと、戦う場を作れたんだから」

「月は…あの二人を討ったら、どうするつもり?」

「そうだね。しかるべき人たちに白湯さまをお預けして…この戦いは、終わらせて良いって思ってる」

「……よく手紙をやり取りしてた、あの子?」

 

詠はある人物の名前を思い浮かべる。その手紙の人物のことは月から聞いていた。

この乱世に生まれた者の中でもある意味、変わった人物である。その人物は反董董卓連合に参加しているのだが。

 

「……かな、この先の新しい朝廷には、あんな子が相応しいって思うし、風鈴先生のお弟子さんなら、先生を助けてくれると思うから」

「月は?」

「私は……ごめんね」

 

全てが終わったらどうするのか。その問いに対して月は申し訳なさそうな顔をした。

献帝には裏方に徹底すると言っていたが、もしかしたら月は力になれないかもしれないのだ。反董卓連合は月を討つために集められた軍だ。

袁紹と袁術を討ったとしても残りの諸侯が命を狙ってこないとは限らないのだ。もしかしたら自分は反董卓連合が終わっても生きていないかもしれない。

それに彼女は誰にも言っていない事がある。悪夢の事である。

月は毎日、悪夢を見ている。そのせいでまともに眠れずにいるのだ。しかし悪夢なんて一時のものだと思って誰にも話していない。

きっと反董卓連合さえ終われば悪夢も消えると思っている。

 

「それを言うなら…ボクこそ、ごめん」

「え………あくっ、詠…ちゃん?」

 

月に衝撃と痛みが走った瞬間に意識が遠のいていった。

 

「ボクは何があっても月に生きてて欲しいんだ。連れて行って」

 

 

286

 

 

禁城内を歩くある人物。その人物を兵や将を見れば驚くだろう。

 

「んう…」

「白湯さま…!!」

「ふえ!?」

 

本当に驚いたようである。最も歩いていた人物も見つかってビクリと驚いたようだ。

見つけた人物が皇甫嵩で、見つかった人物が天子である献帝であった。

 

「楼杏…確か涼州軍を足止めしに出撃したと聞いていましたが」

「はい。それは終わり、戻ってまいりました。それよりもこんなところで供も付けず…どうなさったのですか?」

「楼杏こそ、どうしたのです?」

「私は…詠さんと、この後の事を少し」

「この後…洛陽はどうなるのですか?」

 

洛陽はこの後どうなるか。献帝からの問いとはいえ、難しい問いだ。

 

「…月さんを弾劾せんとする、反董卓連合との決戦に挑みます。それに勝ちさえすれば遷都が行われ…大陸は月さんたちの望む平和に一歩近づくでしょう」

 

今の答えは反董卓連合に勝った場合の未来だ。その未来に進むには反董卓連合に勝たなければならない。

 

「その戦は…勝てるのですか?」

「……」

 

口を閉じてしまうとは確実に勝てるという事ではないということだ。

 

「勝てるのですか。答えなさい皇甫義真」

「……厳しい戦いになります」

「そんな…月は正しいことをしようとしただけなのに」

「誰かの正しいは、他の誰かの正しくない事でもあるのです。それを強引に行えば生まれた歪みはさらに大きな歪みを生み、最後に全て砕けて終わるでしょう」

「悪い事を、やめさせているのに?」

 

誰かの正義は、誰かにとっては悪でしかないという事。納得がいかないかもしれないが現実にはそういう納得のいかないことばかりなのだ。

その結果の1つが反董卓連合でもある。

 

「…その通りです」

「そんなの…おかしい!!」

 

献帝はやはり納得できない。月のやった行為は全て理解している。

大粛清は多くの人を殺した。だが、それは全て漢という国のためである。殺したといっても、殺したのは国を腐敗させた魑魅魍魎たちだけである。

だが、悪人だからといって殺していいかと言われれば自信を持って首を縦に振れないだろう。人を殺すという行為はどんな理由があっても簡単にできるものではないのだから。

全てを理解し、全ての汚れを背負う覚悟で月は国を建て直す事を選んだのである。その行為を献帝は糾弾しない。

未熟ながらも献帝だってこの国が腐敗しているのは理解していたし、原因が自分たちの近くにいた者たちと分かっていたからだ。

分かっていたのに何も出来ない自分が不甲斐ないと思っていたのだ。だからこそ月の考えには賛同できた。全てを綺麗にして、今度こそ良い国にしようと思っていたのだ。

その結果が反董卓連合とは献帝も悲しんだ。

 

「月は朝廷のためにいっぱい考えて、働いてくれただけだもん。月は…なにも悪くないのに。相国をお願いしたのだって朕だし…遷都だって血を入れ替えて新しい政をするための拠点にするべきだって…。悪いのは…朕や、お姉さま…皇帝なのに。朕たちがちゃんと政が出来ていれば」

「月さんも全て分かったうえでしているはずです」

「それでも…月一人が悪者になるなんて、おかしいんだもん」

「…はい。私もそう思います」

 

何が正しく、何が悪いのか。まだ未熟な献帝には分からなかった。

 

 

287

 

 

「まったくヒヤヒヤしたぞ北郷」

「…ごめん」

 

全体の会議が終わった、その日の晩。北郷一刀たちはその情報を持ち帰って、改めて明日の作戦を練っていた。

 

「いずれにしても、袁紹よりも先に洛陽に忍び込む必要があるわけか」

「ええ、趙雲さん。袁紹さんたちよりも早く、せめて月ちゃんだけでも見つけないと…」

「はい。風鈴さんから非常時に脱出する時の抜け穴をいくつか教わりましたので…そこから少人数の捜索隊を禁城内に送り込みます」

 

決して成功率の高い策ではないが、他の策よりマシなものだ。

 

「皇甫嵩さんは、力を貸してくれないかな?」

「皇甫嵩殿にその気持ちがあるのなら、既にこちらに渡りを付けているのでは?」

「そうですね。恐らく、風鈴さんが同行しているのも察していらっしゃるでしょうし」

 

そう言うが今のところ皇甫嵩かたの連絡らしきものは何もない。無論、桃香たちからも送る事なんてできない状態だ。

 

「漢の将として、覚悟を決めているのかもしれないわね」

「なんか難しいのだ」

「でも、鈴々ちゃんも桃香ちゃんのためなら命をかけて頑張ったりするでしょう。それがあの子の場合は漢王朝だったというだけよ」

「…うーん」

 

唸る鈴々だが彼女にはその流れが上手く想像できないようだ。

 

「もちろん、私のことを計らってくれた恩もあるし、戦いたくないけれど…向こうの考えが分かるのは、戦が始まった後でしょうね」

「それで、誰がお城の中に行くの?」

「少数精鋭で行く事にした」

 

袁紹と袁術が洛陽に向かう事が分かっている。そこに徐州軍がそろぞろと向かったら怪しまれる以前の問題だ。

 

「行くのは…そうね。道を知っている私と…」

「桃香さまは風鈴殿に同行してください」

「え、でも軍の指揮が…」

「軍を率いるのは我々でも出来ます。桃香さまは…ご自身の一番やりたい事をなさってください。助けたいのでしょう、董卓殿を」

「…わかったよ。ありがとう、愛紗ちゃん」

「鈴々や朱里たちもいいな?」

「わかったのだ」

「書状などで面識もありますし、私も桃香さまが行くのが良いと思います。軍の事はお任せください」

「洛陽ではどうなっているか分からんからな我々からも勿論、同行させる」

 

まず1つ目のチームが桃香に風鈴、荊軻だ。

 

「北郷、お前も行け」

「了解」

「…なんだ、特に何もないのか。俺でいいのか、とか」

「いや…この規模の戦場だと他に役目もないし、桃香の護衛とか、天の遣いでハッタリ効かせた方が役に立てるかなって思ってさ」

「よし、なら北郷の方は…」

「でしたら、護衛は私にお任せくださいまし」

「孫乾さんが?」

「美花ちゃん、強いんだよー」

「そうそう。雷々も電々も全然勝てないの」

 

電々と雷々のお墨付きだ。孫乾の実力は分からないが、実は相当の腕を持っている。

 

「私もそれが良いかと。立ち振る舞いからして、相当の手練れのはずです」

「だな。彼女の動きを見るだけで大体分かるというものよ」

 

更に愛紗と李書文のお墨付きのようだ。これなら護衛として十分といってもいい。

 

「あら、お恥ずかしい」

 

そう言って孫乾は艶っぽく微笑んでみせた。

 

「…北郷さま、どうかなさいまして?」

「あ、いや、別に」

 

つい孫乾に向けていた視線がバレてしまった。そして逆に視線を向けられてしまう。

何故だか孫乾が北郷一刀を見つめる視線が彼の心にある疑念まで見透かしているようである。

 

「なら…さ、失礼を承知で聞くけど、どうして孫乾はここまで俺たちに力を貸してくれるんだ。護衛の件がバレたら、徐州だってどうなるか分かんないんだぞ」

 

これだけの事を目を瞑ってくれるだけでありがたいのに護衛の件が知られたら、徐州は無関係だって言い張るのは難しくなる。

無論、徐州が董卓に恩があるのは聞いている。しかし、だからといって孫乾がここまでする理由には弱い気がするのだ。

徐州そのものを天秤に掛けるには値するのかもわからない。

 

「北郷さま。人が誰かにお仕えする時、一番大切なものが何か…お分かりになりますか?」

「……何だろう?」

「私は、その何だろうの答えの為にこのお役目を引き受けるのです。私に関する一切の事、気に病む必要はございませんわ」

「……変なこと聞いてごめん。護衛をお願いするよ」

 

おそらく孫乾は北郷一刀が怪しんでいる事も全て分かったうえなのだろう。だが孫乾にも目的があり、その辺りを全てひっくるめての答えだとしたら、これ以上は何も言いようが無い。

 

「では、此方側からは哪吒を護衛として付けよう」

「了解」

 

2つ目のチームが北郷一刀に孫乾、哪吒のチームだ。

 

「では、3つ目…こちらに関しては董卓を見つけるのが目的ではなく、于吉関連があるかどうか見つけるものだ。だが、董卓を見つけられるのならば見つける」

「ああ、それは分かっている」

 

忘れていけないのが于吉の捜索だ。桃香たちの表の目的が月を保護するものとしたら、裏の目的が于吉の捜索である。

この裏の目的は北郷一刀や桃香も分かっている。

 

「マスター頼むぞ」

「うん。任せて」

 

3つ目のチームは藤丸立香に秦良玉、玄奘三蔵だ。

于吉を探すのが目的と言っているが藤丸立香の性格上、恐らく禁城に到着したら于吉ではなく月を探してしまうかもしれない。逆に于吉を探すのがついでになってしまう。

 

「今のところ于吉が何か仕込んでいる様子はない。だが油断はするなよマスター」

「分かってる。油断なんてしない」

「任せてください孔明殿。この秦良玉、命を賭けてマスターをお守りしますので」

「うん。アタシだって頑張っちゃうんだから!!」

 

董卓捜索チーム兼、于吉捜索チームの結成だ。

 

「あ、ちょっといいかしらん」

「なに貂蝉?」

「私も捜索隊として入っていいかしら?」

 

ここで貂蝉が挙手。

 

「構わないが…どの組に入るんだ?」

「そうねぇ…一刀ちゃんか立香ちゃんのどちらかを選ぶとなると海の底並みに考えちゃうけど今回は違うわ。私1人で動きたいのよ」

 

予想としてはてっきり北郷一刀か藤丸立香のどちらかに付いて行くかと思ったがまさかの1人ときた。

 

「……ふむ、良いだろう」

「え、貂蝉さん1人で大丈夫なんですか!?」

 

諸葛孔明は何か考えた素振りをした後に了承。桃香は1人という部分に心配しているようだ。

 

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫よ桃香ちゃん」

「貂蝉なら大丈夫だと思う」

「俺もそう思う」

 

藤丸立香と北郷一刀は貂蝉1人でも大丈夫な気がするという謎の確実性があった。

 

「あら、2人から信頼されてる証拠ねぇん!!」

「信頼と言うか何と言うか…」

「安心して送り出せると言うか…」

 

この貂蝉なら大丈夫という感じが凄いのである。

 

「では残りは反董卓連合として皇甫嵩殿の部隊に当てる事になりますね」

「孔明さん。わたしと雛里ちゃんと皇甫嵩殿の部隊を戦う策を考えましょう」

「ああ、分かった。なら、桃香と公孫賛殿も一緒に聞いてくれ」

「わかった」

「は、はい!!」

 

反董卓連合も最終決戦に突入する。どの諸侯も己の目的の為に戦うのだ。

この外史の反董卓連合の流れは貂蝉や卑弥呼の目には正常に見えるかもしれない。しかし既に裏側は、並行する外史の反董卓連合とは全く異なっている。その違いがついに浮上する。しかもこれから。

幽州、徐州軍合同軍議が終了して藤丸立香は気分転換に外の空気を吸うために天幕に出た。彼が最初に天幕から出てしまった事が異変の始まりである。

 

「…っ!?」

 

天幕から出た瞬間に仮面を着けた道士が待っていたと言うばかりに立っていたのだ。

 

「……ようやく会えました。危険を冒してまでここに来たかいがありましたね。いえ、もしかしたら分かっていて私を放置しているのかもしれませんが」

「え?」

「来てもらいますよ」

 

仮面を着けた道士を中心に陣が展開された。その陣の中にすっぽりと藤丸立香は入っている。

 

「これなに!?」

「マスター!!」

 

異変に察知したのか秦良玉に哪吒が天幕から飛び出す。

謎の陣の中に秦良玉と哪吒がマスターを守る為に入り込んだ。

 

「え、何かあったのー?」

 

ヒョイと危機感無さそうに天幕から出て謎の陣につい玄奘三蔵も入ってしまう。

 

「ええ、本当に何これ!?」

 

これだけ騒げば誰もが異変に気付く。次に天幕から急いで出てきたのは諸葛孔明たちである。

 

「何があっ…マスター!?」

 

諸葛孔明が叫んだ時にはもう遅い。謎の陣が消えたと同時に、陣の中に入っていた藤丸立香たちも消えた。

 

「やられた……くそっ!!」

 

異変はいつだって急だ。まるで物語の流れの中に無理やり違う展開をいきなり差し込んだが如く。




読んでくれてありがとうございました。
次回は…またも未定。早めに更新出来たらします。

さて、ついに異変が起こりました。急な展開ですが次回で何故このような事が起こったのかが分かりますので。
今回のタイトルが『表』なので次回は『裏』。決戦前の裏側というやつですね。

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