Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
ついに反董卓連合篇も決戦に入りました。そして異変も発生していきます。
第3章も終盤です。ラストスパートに向けていきますよ!!


反董卓連合-決戦-

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反董卓連合と董卓軍の全軍が向かい合わせに並び、睨み合っている。

これから最終決戦が始まる。

 

「麗羽姉さま。敵陣が動き始めたのじゃ!!」

「ええ。でしたら、銅鑼をお鳴らしなさい。総員、攻撃用意。攻撃用意ですわ!!」

 

大きく銅鑼の音が響く。戦の合図である。

 

「恋殿、連中が動き始めましたぞ。月殿をお守りする戦、絶対に勝ちましょうぞ!!」

 

コクリと頷く呂布こと恋。

 

「呂布…絶対に勝つ。李晏!!」

「はいよー。冥琳の作戦もあるし、私と雪蓮が力を合わせれば打ち破れないものなんか何もないってね!!」

「ホントそのノリ、心強いわ。行くわよ!!」

 

雪蓮たちと恋の戦いが始まる。

 

「ほう、うちらの相手は孟ちゃんとこか。心残りも全部のうなったし…最後の大舞台としちゃ、悪うない相手やな!!」

「…張文遠。あの才、あの武勇、やはり欲しいわね」

「やれやれ。華琳さま、悪い癖はお控えください」

「あら。春蘭なら、私の欲しい物は…全て手に入れてくれるわよね?」

「もちろんです。華琳さまがお望みなら、張遼ごとき、いくらでも捕えて御覧にいれましょう!!」

 

曹操たちと張遼の戦いが始まる。

 

「公孫賛さん…関羽さん」

「…もう多くは言わない。勝負だ、皇甫嵩殿」

「かつては共に戦った仲間ですが、手を抜くわけにはいきません」

「結構よ。私も漢の禄を食んだ看…逆賊を相手に、容赦などしないわよ!!」

 

愛紗に公孫賛たちと皇甫嵩の戦いが始まる。

 

「「総員!!」」

「「「突撃ぃぃぃぃぃぃ!!」」」

 

ついに董卓軍と反董卓連合の最終決戦が始まった。

 

 

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「せやぁあああああああ!!」

「…ぐっ!?」

 

趙雲こと星の強力な一撃が皇甫嵩を捉えた。

 

「終わりだ義真殿。この趙子龍、兵を率いてならばまだしも、個の武で負けるつもりはさらさらないぞ」

「……せめて、関羽さん達の足止めくらいはしておきたかったけど」

「あれらこそ、大きな使命を背負った連中だ。その露払いは、手空きの我らがすれば良い。指揮者を封じられた皇甫嵩隊も伯珪殿が抑えておろう。あの御仁、全てにおいて並みだ並みだと言われるが…並みであるぶん抜けが無い」

「皇甫嵩殿、既に部隊は抑えた。あとは貴公だけだ!!」

 

噂をすれば何とやら。公孫賛の部隊は皇甫嵩の部隊を見事に抑えたようだ。

 

「うむ。見事な手際だったぞ公孫賛殿!!」

「お、おお。そうか俵殿」

 

俵藤太は公孫賛と共に皇甫嵩隊の鎮圧に向かっていたのだ。

星の言う通り彼女は何処か影が薄く、一般的なんて言われているが仕事が出来ないというわけではない。

頭のネジがぶっ飛んだ発想は出来ないが、誰もが認める仕事や成果が出すことができる。それは十分な人材である。

 

「なんか褒められ慣れてないせいか照れ臭いな」

「そうなのか。なら拙者が褒めちぎってやろうか!!」

「よ…よしてくれ俵殿。こっぱずかしい!!」

 

豪快に笑うが出来る者を褒める事は何も悪くない。

 

「と、ともかく…皇甫嵩殿。無駄な抵抗は止めてもらおう」

「だそうだ…降られよ」

「一つだけ聞かせて。あなた達は董卓さんをどうするつもり?」

「連合ではなく、我らという事であれば説明がややこしくてな。伯珪殿、任せた」

 

星は自分たちの内情を説明するのは確かにややこしく、更に面倒くさいので全て公孫賛に丸投げした。

 

「ん、何の話だ。よくわからんが、めんどくさい役回りを振られた気がするな?」

 

まさに正解である。

 

「…十分よ。説明しにくい事情なら、単純に討つという話ではないのでしょう」

 

単純な話ならば逆賊董卓として討つだけだと言う。だが討つという話が出てこなかった時点で目的が違う事が分かる。

まず、彼女たちならば董卓の危険が晒される可能性は低いという事だけが分かっただけでも皇甫嵩は少しだけ安心した。

 

「でえええええええい!!」

「だぁらああああああ!!」

 

別の所では華雄と文醜が打ち合っていた。

 

「文ちゃん、危ない!?」

「お、すまんな、斗詩」

「ぐう、なかなかやるな、貴様ら!!」

「そいつはお互い様だよ!!」

 

華雄の部隊は文醜と顔良の部隊を早く打ち倒そうとしていた。早く打ち倒して門の開錠をしている袁紹たちを討伐するためである。

 

「麗羽さま、美羽さまは今の内に門を!!」

「わ、わかりましたわ。美羽さん!!」

「そんなに急かすでない。七乃、早よう洛陽の門を開けるのじゃ!!」

「それが、思ったより守備隊の抵抗が激しくて……ほら衝車隊は次の突撃お願いしまーす!!」

「させるかーー!!」

 

華雄は武器を握る力がより入り、早く文醜と顔良を倒そうとする。

更に別の所では激しく戦が始まっている。恐らく一番荒々しい。

 

「せぇい!!」

「まだまだ。城門に行きたい気持ちはわかるけど、ここは通さないよ!!」

 

雪蓮と李晏は二人がかりで恋と戦っている。2人とも自分の武に自信を持っているが恋と戦う場合だけは1人では厳しいのだ。

それほどまでに恋の武力は2人を抜いている。

 

「…邪魔!!」

「…ぐ!?」

「他に気を取られていても、さすがは呂奉先か。一筋縄ではいかないわね!!」

 

恋の実力に雪蓮は冷や汗がダラダラである。強い強いと認めているが想像以上に強い。

 

(嘘でしょ…呂布のやつ母様より強いんじゃないの!?)

 

自分より強い存在は母親である炎蓮くらいかと思っていた。しかし大陸は広いと言うべきか、母親である炎蓮を超える武人が目の前にいる。

一撃一撃が重く、速い。一発でもまともに喰らったら立てなくなるのは確実だ。一瞬たりとも油断は出来ない。

 

「でも、呂布隊は粋怜さんたちがほとんど下してるよ。大人しく投降…」

「関係……ない!!」

 

梨晏の言葉を無視して方天画戟を振るった。

 

「なるほど。個の勇しか考えてないやつか…なんで軍なんて任されてるんだか」

「雪蓮としては羨ましいやつじゃない?」

「そうかも…ね!!」

 

雪蓮は方天画戟の一撃を躱し、連続で斬り付ける。

 

「……ちぃっ!!」

「恋殿まずいですぞ。呂布隊はほとんど壊滅、洛陽の城門ももう限界で…!!」

「恋が……追い払う!!」

 

恋は更に肉体に力を込めて突貫した。

 

「この…っ!?」

「ちょっ…、まだこんな力が残ってるの!?」

「…あぁぁああああああ!!」

 

全てを薙ぎ払うように方天画戟が2人を襲う。

呂布隊が壊滅状態なのは痛いが恋はまだ戦えている。その様子をチラリと張遼こと霞は一瞬だけ見た。

本当に一瞬だけ見て、すぐに視線を戻す。視線を長く逸らしていたら今斬り合っている相手に負けてしまう。

 

「余所見とは良い度胸だな!!」

「……ちぃ!! やるなぁ夏侯惇!!」

「貴様こそ思った以上だ。神速の用兵と聞いていたが個の勇もこれほどとは思わなかったぞ!!」

「あったり前や。用兵がどうこうなんざ空気読んでええ子にしとっただけや。こっちがホンマのウチや!!」

 

霞は素を出して夏侯惇と斬り合っている。個として戦う時は自由に全力で戦えるのだ。

部隊を率いて戦っている時とは全く違うのである。

 

「その良い子にしている必要もなくなったわけか!!」

「この戦況でもうそんな必要もないやろ。せやから…もう、やりたいようにやらせてもらう!!」

 

2人の武器が交差する。そんな様子を離れた所から曹仁たちが見ていた。

 

「ふわぁ、戦いながらお話してるっす」

「凄いね…」

 

彼女たちが様子を見に来たということは張遼隊を制圧したという事である。

 

「張文遠。もう貴様の軍の大半を制圧した。大人しく孟徳さまの元に降れ!!」

 

夏侯淵が降るように言い放つが霞は毛頭そんなつもりはない。

 

「アホ抜かせ。ようやく余計なモンがのうなったんや。こっから一番おもろいところやろ。なあ、夏侯惇!!」

 

飛竜偃月刀を構え直して地面を蹴って飛び掛る。

 

「張りょおおおおおおおおおおおお!!」

「夏侯とぉおおおおおおおおん!!」

 

2人の決着も近い。

 

 

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徐州軍の本陣では軍師たちが戦況を観察していた。

 

「決着も見えてきましたね孔明さん」

「ああ、そうだな朱里」

 

反董卓連合と董卓軍の決戦は終わりに近づいている。反董卓連合が徐々に董卓軍の部隊を制圧しているのだ。

今だに霞たち将が奮起しているが優勢は変わらない。

 

「呂布たち、すっごく強いって言ってたけど…董卓軍に勝てそうだね」

「愛紗ちゃんたちが、もっと強かったってことかな?」

 

電々と雷々も戦況についてポツリと感想を口にした。

彼女たちは本陣の守りを任されている。もしも本陣を攻撃されたら幽州、徐州連合は総崩れしてしまうからだ。その任を自分たちから挙手したのである。

彼女たち曰く「徐州で美花ちゃんからちゃんと教わったもん」とのことだ。

 

「それは少し違いますね。十人、百人程度の競り合いなら、呂奉先殿や愛紗さんたちの個人の勇で戦況を変えることも出来るでしょうが…千、万の兵がぶつかる規模の戦いでは敵将を直接討ち取るような事でもしない限り…全体に大きな影響を与えるのは難しいという事です」

「大きな戦いって、すごいんだねぇ」

 

勉強になりましたと言った顔をする電々と雷々であった。

 

「決戦の方は今のところ順調だが…あとは洛陽の方だな」

「そうですね。桃香様たちが上手くやってくれるといいのですが…」

 

諸葛孔明と朱里は戦から視線を外して洛陽の方を見る。今頃、桃香たちは風鈴に教えてもらった抜け道を通って洛陽に侵入している。

無事に目的を果たせる事を願っているが現実はそうも言っていられない。燕青からの情報だと今の洛陽では何かが起こっているからだ。

 

(無事でいてくれよマスター)

 

マスターである藤丸立香たちも連れ去られたという事件が起きている。カルデア陣営からしてみれば大事件である。

董卓の救出作戦も大事である。しかしカルデア側からしてみれば董卓救出や于吉捕縛よりもマスター救出が最優先である。

こればかりはカルデア側の事情だ。

 

(董卓救出チームと于吉捕縛チームには荊軻と燕青たちがいる。禁城内に侵入したら彼らに任せるしかない)

 

洛陽の禁城では一体、何が起きておるのか。もはや反董卓連合と董卓軍の決戦だけではない。

 

 

297

 

 

青龍偃月刀と蛇矛が煌めき、華雄と文醜の間に入り込んだ。

 

「な、貴様は!?」

「二人とも、大丈夫か!?」

「た、助かりました」

「あんがとな、劉備んとこのちびっこ。今度飯でもおごるわ!!」

「約束なのだ!!」

 

文醜たち華雄との戦いに苦戦させられていた。猪突猛進と言われている華雄ではあるが将としての実力は本物である。

 

「ぬう…増援か」

 

文醜と顔良の二人がかりでも手一杯だというのに関羽と張飛まで増援で来られるとキツイ。だが華雄はそんな事で弱音は吐かない。

どんな不利な状況でも華雄は勝利するために己の武器を振るい続けるのだ。

 

「いくら来ようが私は負けんぞー!!」

「やったー、上手に抜けましたー!!」

「な、なんだと!?」

 

華雄が仕切り直しだと言わんばかりに武器を握り直した後に喜色のある声が響いてい来た。すぐに声の響いてきた方向を見ると袁紹たちが門を開錠した所であった。

流石に門が開錠させられたとなれば焦る。このままだと洛陽に反董卓連合が流れ込んでしまう。

 

「ま、まずい!?」

「さあ、突撃ですわー!!」

 

袁紹が開錠した門に突撃しようとした瞬間にある人物が急に飛び込んでくる。

 

「……させない」

「ちょ、なんでこんな所に呂布がおるんじゃ!?」

 

飛び込んできた人物とは呂布こと恋であった。彼女は確か雪蓮たちが抑え込んでいるはずである。

董卓軍の中でも一番の危険人物として認識している将が急に現れれば誰でも焦るものだ。

 

「も、もう…揚州軍の方たちは何をしていますの!? 猪々子さん、斗詩さん!!」

「……お前たちも邪魔!!」

「って、おわ!?」

「きゃっ!!」

 

恋は文醜と顔良を簡単に退けて袁紹の元へと駆け出す。

 

「なぜ、呂布がこんな所に!?」

 

愛紗も呂布がこんな所にいるのに驚いていた。だが驚いていても何も始まらなく、何も解決しない。

遠くからは「ごめーん、突破されたー!!」なんて声が聞こえて来た。

 

「…呂奉先、これ以上は進ませるか!!」

「そうなのだ!!」

 

愛紗と鈴々は駆け出している恋の前に出ていく。

 

「そうですわ。わたくしたちのために、しっかり足止めなさい!!」

「…別にお前たちの為ではない。我が姉のために…私はこの程度の事しか出来んのだ!!」

「来る奴は全部、倒す!!」

 

 

298

 

 

詠は焦りながら禁城内を走り回っていた。

 

「ど、何処に行ったの!?」

 

彼女が焦っている理由は月が居なくなったからだ。

月は詠が気絶させて兵士にある場所に秘密裏に運ぶように命令していた。そして時間になったら更に秘密裏にある場所に連れていく手筈であったのだ。

全ては月を救うためだ。しかし救うべき対象が消えていた。これは詠でなくても誰もが焦る。

まさか天子様を狙った時のように裏切りでも出たかと思ったが首を振るう。月を救うための計画は詠本人を含めて最も信用のおける者にしか伝えていない。

更に慎重に慎重を重ねて恋や霞たちにすら伝えていない。知っているのは詠や皇甫嵩、他数名の兵士だけである。この中から裏切り者が出るとは思えないのだ。

 

「な、何で…何処に行ったの!?」

 

この計画を知る兵士たちに聞きだしたが意外な情報が出て来た。話によると月を運んだ兵士も行方不明との事だ。

その話を聞いて、月を運んだ兵士が裏切ったかと思ったが考えられない。他の信用のおける兵士からその運んだ兵士が裏切ったとは考えられないと聞いたからである。

確かに月を救うために洛陽から逃がす計画の為に詠自身が絶対に裏切らない者を選出したのだ。だからこそ兵士が裏切ったという考えがあり得ないのである。

詠は乱暴にも部屋をいくつも開けていって調べていく。

 

「月ぇ!?」

 

最後に扉を開けた場所は大広間。その中心には少女が立っていた。

 

「月…良かった」

 

大平間の中心に立っていたのはまさしく月であったのだ。ただ気になった点はいつもの服ではなく、薄紫色の高級そうな服を着ていた事。

 

「おや…君がここに来たって事は董卓をそろそろ外に連れ出す算段だったかな?」

「え?」

 

ようやく月を見つけて安心したかと思えば急に不安感が襲ってくる。何か全て狂っているかのような感覚だ。

 

「月?」

「それにしてもやっとだ。忌々しい董卓の身体だが今は相国という役職を得られている事は嬉しい誤算だよ」

 

急に月の口調や雰囲気がガラリと変化した。大切な友人のはずなのに彼女からは嫌悪感を感じてしまう。

 

「月…よね?」

「ん、ああ…賈駆」

 

月は詠の事を真名ではなく「賈駆」と口にした。それだけで月がおかしいと分かってしまう。

まさか気絶させて逃がそうとした事を怒っているのかと思ったが、その程度で真名を呼ばなくなる仲にはならない。

そもそも目の前にいる月からは詠が知っている彼女とは雰囲気は全く異なる。姿かたちは一緒であるのにまるで中身が違うようだ。

だからこそ詠は普段ならば言わない言葉をした。

 

「月…じゃない?」

「フフフ…流石に分かるか。まあ董卓の演技をしているつもりは無いからね」

 

月なのに月でない彼女に詠は足を後退させてしまった。目の前にいるのは月であるはずだが中身が絶対に違うと嫌な想像が頭に過る。

 

「あんたは誰なの。月は!?」

「ボクが分からないのかい賈駆?」

 

月の中身から感じられる嫌悪感。この感覚は前にずっと感じていたものだ。

過去に自分たちを苦しめていた人物を思い出す。だが思い出した人物はあり得ない。その人物は死んだはずなのだ。

それでも、その人物の名前を振るえながら口に出した。

 

「張譲…」

「分かってるじゃないか」

 

月の中身にいるのは張譲であった。

 

「そんな嘘よ…!?」

 

嘘と言いたい気持ちは当然だ。張譲は詠の目の前で死んだのを確かに確認したからである。

月が演技をしているわけではない。演技だとしても悪すぎる冗談である。

 

「絶対嘘よ!?」

「嘘じゃない。ボクは張譲だ。この身体は董卓のものだけどね」

 

身体は月だ。声も月のものだ。しかし今の月からは月を感じない。感じるのは因縁のあった張譲である。

あの優しく儚い顔からは考えられない悪い顔をしている。

 

「信じられない、あり得ないと言った顔をしているね。まあ当然だと思う。ボクだって最初は信じられなかったからね」

 

指にいつの間にか絡みついていた紐をクイクイっと引っ張ると何処からも無く絡繰り人形が現れた。

 

「ボクは確かに死んだ。でも死んだと言っても肉体が無くなっただけさ」

「死んだって…」

「魂という概念は実在するのさ。ボクは肉体が消えたあと魂だけとなった…幽霊さ。幽霊となってボクは朝廷を彷徨い続けた。でもボクにはこの力がまだ残ってたんだ!!」

 

月もとい張譲から膨大な妖力が滲み出した。

 

「太平要術の書の力さ!!」

 

もはや目の前にいるのは月ではない。現世にしがみ付いた怨霊である。

 

「月はどうしたのよ!?」

「董卓なら心の奥底に抑え込んだよ。もう二度と出てこないようにね」

 

今の月は張譲に取り憑かれている。取り憑かれた事によって月の精神は縛られたのだ。

 

「董卓のくせしてなかなかの抵抗があったよ。もっとも最後の最後まで取り憑かれた事に気付かなかったようだけどね」

 

月自身としては張譲に取り憑かれたなんて想像も出来なかった。だが自身の身体に異変があったというのは自覚していた。

毎日毎日見る悪夢は全て張譲が見せていたのである。彼女には呪言のように言葉を掛けて少しずつ精神を摩耗させていった。結果が月を酷く衰弱させたのである。

精神を徐々に蝕ませていき、徐々に肉体を操作していったのだ。今では完全に月の肉体を手に入れて張譲が完全に表に出ている。

更に取り憑いている今でも月の精神を摩耗させている。もう彼女が自分の心に引き籠って出てこないようにさせるためだ。

 

「最初は抵抗していたが反董卓連合の事も合わさり、董卓の精神を摩耗させるのは容易であったよ」

「そ、そんな…」

「精神を摩耗させた頃には徐々に肉体を操ることもでき、今では完全に掌握して自分の体のように動かせるようになったね。このように」

 

まるで舞うように動いてみせる張譲。

 

「まったく…手間を掛けさせて。だがこの身体は完全にボクのものだ」

 

時間は掛かったがついに張譲は完全にこの反董卓連合の戦いに表立って出てきたのだ。

 

「あはははははは!!」

 

とても愉快そうに笑う張譲。そして急に眼を鋭くさせた。

「さて、外にいる有象無象共が邪魔だな」

 

張譲の目には自分が放った妖魔を通して外の反董卓連合を見渡す。

 

「おっと…袁紹たちが既に洛陽の中に入ってきている。む…他にもこの朝廷内に入ってくるのが何人かいるな。だけどまだ入ってこられるわけにはいかないんだよね」

 

ニヤリと笑う張譲。既に朝廷内は下準備をしている。この月の肉体を使いさえすれば完全に掌握できるのだ。

何せ今の朝廷の実質のトップは月だ。彼女の言葉だけで何もかも動くのである。

 

「これから賈駆を始末した後は朝廷内を完全把握するんだ。今から反董卓連合共が入ってこられても困る。それにこの馬鹿な戦もさっさと終わらせないとね」

 

パチンと指を鳴らす。何が起こるのかと詠は身構えたが何も起きない。

 

「何も起きない?」

「よく見るといい」

 

周囲をよく見ると床にヒビが入り、何かが這い出てきた。その何かとは骸であった。

 

「ひぃっ!?」

 

骸はウゾウゾと大量に這い出てくる。

 

「ここにはボクみたいに死んでいった無念の有象無象共がたくさんいる。こうやって力を使えば骸として呼び出すことも可能だ。兵ならいくらでもいるさ。なんせこの董卓が数えるのも馬鹿らしくなるほど殺したからな」

 

実は呼び出された骸はここだけではない。洛陽全体に呼び出されているのだ。

 

「朝廷内はこれから掌握する。反董卓連合も今から皆殺しにしてやる!!」




読んでくれてありがとうございました。
次回は1週間後予定です。早く更新出来たら更新します。
今年中に第3章は完結したいけど…頑張りますか!!


さて、今回の物語で前半は原作とあまり変わらず董卓軍と反董卓連合の決戦でした。
ですが最後はオリジナルでついに異変の発生です。
董卓を操っているのは誰か…正体は『張譲』でした。
既に予想していた読者様方もいたようですが…はい張譲です。
次回から大きく異変が起きていきます!!

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