Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
4章の本編に入ります。タイトル通りに呂布こと恋が再登場です!!
恋姫原作ではあの話になりますね。それに加えてオリジナル要素が加わっている形です

いつも誤字脱字を報告してくださる皆さまには感謝しかありません。
ありがとうございます。


呂布

337

 

 

「まったく。愛紗は怒ってばかりなのだ。あれだと白髪が増えるのだ」

 

鈴々は南の徐州警備をしていた。実はちょっと前までその事を忘れており、愛紗から怒られてしまったのだ。

鈴々曰く、「平和の時間が短いからちょっとでも楽しんでおく」ということで昼寝をしていたのである。最も、その言葉は星からの受け売りであるが。

 

「白髪が増えるのー?」

「なのだ。星が言ってたのだ」

「そっか…じゃあ雷々、怒らないようにしよっと」

「鈴々もそうするのだ」

 

何とも平和な雑談である。そんな雑談を横で聞いているのが蘭陵王だ。

 

「愛紗殿は鈴々殿にもっと真面目になってほしいのですよ」

 

蘭陵王が何故、鈴々たちと警備をしているかと言われれば手伝いである。藤丸立香たちが劉備軍でお世話になっているだけでは、という事で出来る手伝いはしているのである。

 

「鈴々はマジメなのだ!!」

「ははは…」

 

苦笑いで誤魔化す。

鈴々は真面目かどうかと聞かれれば、大体が首を横に振る。そういうイメージが出来ているからだ。しかし彼女も彼女なりに考えている。

考えていれば何かしら悩みだってある。鈴々だって悩むし、考える。そういう風には見えないのだが。

 

「早くちゃっちゃっと仕事を終わらせてラーメンでも食べたいのだ」

「なら警備の仕事を頑張りましょう」

「うん。お姉ちゃんも言ってたのだ。鈴々が頑張れは平和に近づくって!!」

「はい、その通りです」

「なら雷々も頑張るー!!」

 

平和に向けて頑張ろうと意気込んだ瞬間に徐州の兵士がある報告に来る。

 

「張飛さま、糜竺さま。丘の向こうに、騎馬の群れが見えたと報告が」

「…騎馬の群れ?」

「盗賊かなぁ?」

「いえ、賊というには規模が大きいそうで…」

 

賊というには大きい騎馬の群れが近づいている。

 

「なら、鈴々が様子を見てくるのだ。雷々は…」

「とつげき?」

「違うのだ。本隊の指揮を頼むのだ!!」

「あ…そっか。雷々、間違えちゃった!!」

 

この会話を聞いてまたも苦笑いをしてしまう蘭陵王。しかし苦笑いをしている暇は無い。これから戦をする可能性があるのだから気を引き締める。

 

「まったくもう、しっかりするのだ。だったら、張飛隊は鈴々について先に…」

「張飛さまっ!! 丘の向こうから、突っ込んでくる部隊が!!」

 

部隊というよりもたった1人で突撃してきたというのが正しい。

 

「………にゃ!?」

「月を…返せぇ!!」

 

方天画戟が振るわれる。

 

「鈴々殿!!」

 

振るわれた方天画戟を蘭陵王は剣で受け止める。受け止めた威力がとても重い。

 

(この威力…!?)

「ああああああ!!」

 

そのまま無理矢理、方天画戟を振るって蘭陵王を振り払った。

 

「蘭陵王のお兄ちゃん!?」

「私は平気です!!」

 

薙ぎ払われたが問題無く態勢を直して着地する。

 

「月を…返せ!!」

「ぐう…!?」

「鈴々ちゃん!?」

「雷々、先に撤退するのだ!!」

「鈴々ちゃんはどうするの!?」

「鈴々は…こいつを食い止めるのだ。雷々はお姉ちゃんたちに伝えて!!」

 

今の恋を見てすぐにヤバイと判断した鈴々はすぐさま撤退を決めた。そのヤバさとは反董卓連合の時に戦った時のようにだ。

恋の目はまるで充血したかのように真っ赤であった。

 

「うう…わかったよ。みんな、撤退、てったーい!!」

「ここは通さないのだ」

「私も残ります」

 

蘭陵王と鈴々が武器を構えて恋の前に立ちはだかる。

 

「…邪魔!!」

 

恋の身体から妖気が滲み出ていた。

 

 

338

 

 

「南部に賊?」

 

そんな報告が桃香の元に届いたのは鈴々が城を発ってから数日後の事である。

 

「鈴々たちと入れ違いか…間は良いのやら悪いのやら」

「揚州から逃げてきた人たちでしょうか?」

 

徐州のすぐ南にある揚州は袁術が州牧をしている。どうやら桃香たちが平原にいた頃の冀州のような状況らしい。

もしも炎蓮がこの話を聞けばどう思っただろうか。

 

「いえ、そうではないようです。報告では既に城を一つ落とされたとありますが…」

「城を!? 被害は?」

「小さな出城ですから、被害はそれほどでは。拠点が欲しかっただけなのか、兵と将が城を放棄した後、追撃もなかったとか」

「とはいえ、城を落とす賊となると尋常ではありませんね」

 

ここから南部の州境まで馬を飛ばしても数日はかかる。そのタイムラグを考えれば、もう1つや2つの城を落とされても不思議ではない。

 

「袁術が攻めてきたわけでもないんだよな?」

「はい。それらしき旗や印は何も無かったとか」

 

旗や印が無ければどこかの諸侯が攻めてきたという線は薄れる。

 

「袁術の性格からして、自分たちから率先して攻めはしないと思う。天子様がここにいるのも、薄々は感づいているだろうし…」

 

詠は袁術の性格からしてどう動くかすぐに予測できた。そしてある事も危惧している。

それは劉備陣営に月と天子姉妹がいると気付かれる可能性があるからだ。反董卓連合が解散してから月日が経った。

月日が経ったにも捜索している諸侯はいる。その中でも鋭い者たちはある程度は感づいているのだ。もしかしたら劉備陣営に董卓と天子姉妹がいると。

 

「私たちはともかく、天子様に刃を向ければ逆賊の汚名を被るのは自分自身ですしね」

「わたし、そんなつもりで、白湯ちゃんたちを匿ってるんじゃ…」

「つもりじゃなくても、そこにいらっしゃるだけでそういう恰好になるんだよ。天子様ってのは」

 

天子を匿うというのはそういう事だ。桃香だって心の何処かで分かっていたはずである。

彼女はおっとりしていて天然だが、馬鹿ではないのだから。

 

「じゃあ、孫策たちが逃げてきたとか?」

「それなら城なんか落とさなくても彭城に来れば良いのに。孫策さんならわたし、いくらでも歓迎するよ」

「…だよなぁ」

 

連合の時の付き合いがあり、太史慈もいる。繋がりが出来ている以上、わざと力づくで城を落とす必要なんてどこにもない。

 

「うーん…雪蓮さんたちの性格から逃げてくるなんて真似はしないと思うけどなぁ」

「立香の言うとおりね。孫家は建業に根付いた豪族だから、土地を捨てるようなことはないと思うよ」

「ところで詠さんは賊の正体ってもう気付いている?」

「……妙に鋭いわね」

 

藤丸立香は詠の雰囲気に気付いて言葉をかけたのだ。小さくため息を吐いた詠が、その先を口にしようとした時だった。

 

「桃香さま!! いま雷々が戻ってきて、呂布が攻めてきたって!!」

「呂布が!? では、南の賊とは…!!」

「月を返せって、ものすごい剣幕だったみたい!!」

「…こんなに早く答えが来るとはね」

 

賊の正体とはこの世界の呂布こと恋であった。

 

「それで、呂布にはなんと答えたのだ」

「どうすればいいか困ってたら、先に襲い掛かって来たって」

「じゃあ、鈴々ちゃんは?」

「鈴々ちゃんと蘭陵王さんは兵を撤退させるために残ったって…」

「そんな…」

 

不安が顔に現れる桃香。

 

「…詠。出し惜しみはナシだからな」

「分かってるよ北郷。今から策を説明するから出陣の準備をお願い。準備が終わり次第、愛紗は先発隊で出て」

「ああ」

「分かった!!」

 

恋は徐州に向かっている。

 

(……恋さん)

 

恋と最後に会った、というよりも見たのは反董卓連合の時。諸葛孔明は最後に出会って、戦い逃がしたと聞いている。

その時の恋は妖気を供給されて暴走間際だったらしい。その後はどうなったかまでは分からない。ただ、諸葛孔明は1つだけ気になる事があったと言っていたのだ。

 

(……孔明先生は確か恋さんの身体から完全に妖気が抜けきってないって言ってた)

 

 

339

 

 

徐州軍の騎馬隊が荒野を駆ける。

 

「急げ急げ!!」

 

先発隊として出立して半日も経たないうちに街道を南へと進んでいた。

 

「愛紗ちゃん、これ以上は無理だってばぁ。兵士さんたちが付いてこられないよ!!」

「…ならば、私だけで先行する。先発隊の指揮は電々とご主人様に任せる!!」

「無茶言わないでくれよ。この人数だって、鈴々をフォローする以上の戦力はないんだぞ」

 

そもそも先発隊そのものは、鈴々を助けるための少数編成である。そこから更に戦力を絞ったら、本当に呂布に各個撃破されるだけになる。

 

「それにこれ以上急いだら、ご主人様もついて来られなくなっちゃうよ」

「…ぐぬぬ」

 

先発隊として愛紗、電々、北郷一刀、藤丸立香、呂布奉先たちが向かっていた。後に本隊として桃香、楼杏、美花が合流する手筈だ。

 

「気持ちはみんな同じだよ。鈴々なら絶対に大丈夫だから」

 

愛紗が焦る気持ちには理由がある。

鈴々を南方に送り出したのは愛紗自身だ。その時はこんな事になるとは思いもしなかったのだ。

勝手ながら今更後悔の気持ちが出てしまう。

 

「それに何も言わなかったのは俺も桃香も一緒だよ。逃がしてもらった雷々たちだって…」

「…はい。鈴々…無事でいてくれよ」

 

不安な気持ちの一番の原因は鈴々の安否だ。

反董卓連合の時に戦った恋の実力はまさに「ありえない」の一言に尽きる。化け物と言っても過言ではない恋に鈴々一人で勝てるとは思えなかったのだ。

蘭陵王もいるとはいえ、実際に戦った愛紗は恋の実力を身に染みて分かっている。蘭陵王も強い実力者というのは知っているが蘭陵王と鈴々だけでは足りないと思ってしまっているのだ。

 

「…呂布には呂布ってか藤丸?」

「まあね」

 

北郷一刀は騎馬隊と一緒に走っているカルデアの呂布奉先を見る。

騎馬隊と一緒に走って疲れを見せない呂布奉先は流石だと思ってしまう。

 

「呂布奉先は今いる俺らのメンバーの中でも一二を争う戦闘力の持ち主だからね。それに今の恋さんと戦うにはそれくらいの戦力は必要みたいだから」

「確か…この世界の呂布は何かあるんだっけ?」

「うん。孔明先生が言うには反董卓連合では張譲に妖気を供給されて暴走寸前だったみたいなんだ」

 

張譲と聞いて十常侍の単語が思い浮かぶ。反董卓連合では藤丸立香たちは怨霊となった張譲と戦ったという報告は聞いている。

亡者兵やスケルトンを反董卓連合で見たので怨霊云々の話だって当然信じられる。

 

「愛紗さんや鈴々ちゃんたちが戦った異様な強さの正体はソレみたいなんだ。そして妖気の供給は無くなったけど、まだ恋さんの身体には妖気が残っているみたい」

 

本当ならば完全に妖気を抜き取るべきだったが、その時の状況が状況であった為に無理だったのだ。そのツケが返ってきたかもしれない。

一番、恐れているのが残った妖気が変質して恋を暴走させてないかだ。

 

「俺は見てないから分からないけど…反董卓連合の決戦時は相当暴れたみたいだからね恋さんは」

「俺も愛紗や鈴々から聞いたけど…とんでもなかったみたいだぞ」

 

人間を越えた動きだったり、暴風を起こしたりと恐ろしい暴れ方をしたのである。

 

(あと、孔明先生が危険と思ってるのが今の恋さんの心情状態)

 

反董卓連合は月を守るという一点のみだった。その時はまだマシだった。しかし、今の恋の心情状況を予測している諸葛孔明としては危険と判断している。

なんせ、董卓軍は反董卓連合に負けてしまったからだ。月が捕まった、酷い事をされている、殺される等と思われていれば怒り心頭の可能性は高い。そんな心情状況の恋は危険と判断したのだ。

焦る気持ちが出てしまうが、冷静になるように心掛けねばならない。

 

「それにしても呂布奉先には赤兎馬はいないのか? ほら、蘭陵王には馬が一緒にいたじゃないか」

 

蘭陵王は馬を召喚できる。ならば呂布奉先の馬と言えば赤兎馬なのだから召喚はしないのだろうかと思っているのだ。

 

「あー…呂布奉先と赤兎馬はセットじゃないんだ」

「そうなんだ」

 

もしかしたらいずれ北郷一刀もカルデアの赤兎馬に会うかもしれない。

会えばきっと驚くだろう。「UMAだー!?」って感じで驚くかもしれない。

 

「む、あれは……」

 

 

340

 

 

パチリと目が覚める。身体の所々が痛いが我慢できないわけではない。

 

「ん…」

「気が付きましたか鈴々殿」

 

目の前に仮面を付けた男性が視界に入り、その男性が蘭陵王とすぐに理解できる。

 

「ここは…」

 

何処だ?と続こうとしたら第三者の声が聞こえてくる。

 

「亞莎からの定時連絡です。呂布の行方は…」

「…そう、ありがと、明命」

「あ…小蓮さま。目が覚めたようです」

 

黒髪の褐色女性が鈴々たちに気付く。

彼女たちの正体は孫呉の小蓮と明命だ。しかし彼女たちの正体は鈴々も蘭陵王も分からなかった。

2人は彼女たちの顔を知らないから当然である。もしも蘭陵王や秦良玉以外のカルデアの者だったらすぐに気付けただろう。

 

「大丈夫? 起きられる?」

「ふぇ…おまえ、誰なのだ?」

「む…。いきなり誰だとは無礼な奴ですね」

「あんな事の後だもん、しょうがないよ。…あたしはシャオ。あなたの名前は?」

 

あんな事とは恋と戦った事だ。

 

「鈴々は…張飛なのだ」

「張飛か…あなた、呂布と戦って、森の木の上まで吹っ飛ばされたのよ。覚えてる?」

「あ…うん。雷々たちを逃がして、呂布と戦って…。シャオ?…が助けてくれたのだ?」

「そういう事。感謝しなさいよ」

「そうだ、雷々たちは!? どうなったかわかる?」

「雷々殿たちならば無事に撤退しましたよ」

「はい、あなた方が戦っている間に全て撤退しましたよ。呂布の追撃は掛かってませんし、たぶん大丈夫でしょう」

 

聞いてホッとしたのかホニャっと顔を崩した。

 

「そっか…だったらよかったのだ」

「それにしても、あれから三日も寝込むなんて」

「ねえ、シャオ。鈴々、呂布ともっかい戦わなきゃなのだ。あいつ、月を探してて…戦いをやめたら話すって言っているのに、全然聞かなかったのだ」

 

ここで蘭陵王は「しまった」と思ってしまう。何気なく鈴々は喋ってしまったが『呂布が月を探している』と言ってしまったのである。

勘が鋭い者ならばどういう意味か分かってしまう。月とは董卓の事だ。真名は認めた者しか言えないのだ。

もしも董卓の真名が月と分かっていれば今の鈴々の発言で徐州に董卓がいるということが分かってしまう。

真名は認めた者しか言葉に出来ないが、真名を調べる事くらいは出来る。細かく情報を集めていれば董卓の真名を調べる事は難しくないのだ。

そもそも恋が徐州に向けて月を探しに来ているという時点で各諸侯から見張られていると言ってもいい。

その中でも恋が南もとい揚州の方面から来たということは後ろに袁術の影があるということだ。

恋の動きで月がいるかどうか見定めている可能性がある。更にはそこから天子姉妹もいるのではないかと予測も立てられてしまう。

もしもここで恋を止める為に月を全面的に押し出してしまえば間違いなく、袁術に悟られる。そうなれば袁術は嬉々として攻め込んでくる可能性がある。

大逆人董卓を匿っている不忠者として。

 

(この方たちはもしや袁術の間諜でしょうか…もしくは別の陣営か?)

 

ある意味、袁術の関係者という点では大正解だ。しかし、ここに他のカルデアの関係者がいればすぐにでも状況は変わったはずだ。

恐らく小蓮と明命がここにいるのも袁術に命令されてここにいるのかもしれない。

 

(今ので気付かれたかもしれません)

 

急に鈴々のお腹の虫が鳴る。

 

「…あうう」

「連れて行くのはいいけど、まずは何か食べなさい。起きたばっかりだから、お粥とかでいい?」

「ううん…おかゆよりお肉が食べたいのだ」

「まったくもー」

 

これならすぐに元気になると誰もが思うのであった。




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は一週間後予定です。早く更新出来ればします。

337~340
呂布(恋)が徐州に攻めてきました。それだけです。
そしてUMAの登場フラグもチラっと…この4章で登場するかは未定ですけどね!!

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