Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
誰もが分かっているでしょうが『官渡の戦い編』です。
どのような物語になっていくかはゆっくりと読んでいってください。
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袁紹に幽州が攻め落とされた。この急報が徐州に届いた。
反董卓連合の後、青州は袁紹派閥の将が州牧に収まって徐州と幽州は分断される形になっていた。
そのうえ青州と幽州の州境にあった渤海群も袁紹の始めた領地整理の名目で冀州への編入が決まったのである。幽州は完全に袁紹の領地に取り囲まれていたのだ。幽州は袁紹にとって格好の餌食にさせられてしまったのである。
この急報に対して劉備陣営は対応策を協議している最中にある人物たちが部屋に入ってくる。
「白蓮ちゃん!! 風鈴先生!!」
「あはは…合わせる顔が無かったんだが、面目ない」
「そんな事無いよ。二人とも無事で良かった…」
心配していた公孫賛たちが無事であったのだ。それだけで本当に良かったと心から思う。
「二人とも、どうやって?」
「星ちゃんが助けてくれてね」
公孫賛が無事であった理由は星が動いていたからだ。
「星が…? 確かに、しばらく暇をもらうとは言っていたが…」
「雛里たちは聞いてた?」
「いえ、朱里ちゃんも聞いてないよね?」
「うん…」
星の動きに関しては完全に独断であったようである。
独断であっても桃香にとって大切な友人や恩師を助けてくれた事から、星に対して罰なんてものはない。寧ろ褒美を出したいくらいだ。
「まあ、確実に上手く行く策でもなし、誰にも伝えてはおりませんでしたからな」
「星ちゃん。白蓮ちゃんたちを助けに行くくらいなら、言ってくれれば良かったのに!!」
「ははは。ちと裏道を使いましたので。桃香さまたちに迷惑が掛からぬ方が良かろうと思いまして」
「そうだな。私もあんな経路があるなんて知らなかったし」
「そんなのがあるのか…」
星は大陸中を旅していたのだから、そういう裏のコネクションルートの一つや二つを持っていてもおかしくはない。
「とはいえ、お二人と護衛の数人を連れ出すのが精一杯でしたし…これ以上頼られても困りますが」
「…もし私たちが公に手を貸したとなると、袁紹さんの矛先が、即座にこちらに向いたかもしれません」
もしも応戦するにも会談するにも時間は足りなかっただろう。
劉備軍と袁紹軍の軍事力は大きく差がある。今すぐ戦いになれば劉備軍の旗色が悪いのは誰もが分かるものだ。
「そっか…そうだね。分かったよ。なら、その件は聞かないことにする。でも本当にありがとう星ちゃん」
「それで…お二人はこの後、どうなさるんですか?」
「ああ、それなんだがな。預かった州を捨てて逃げた州牧が、こんな事を言えた義理じゃないんだが…桃香、私たちをここに置いてくれないか? 役人とは言わない。一兵卒としてでも構わないから。ただ、先生だけは…」
「そ、そんな事しないよ!! 白蓮ちゃんだって、わたしが葪にいた時は、たくさん良くしてくれたでしょ? その後、平原にまで送ってくれて…今わたしがここにいられるのは、白蓮ちゃんのおかげなんだよ? だから今度はわたしの番だよ。いいよね、みんな」
「もちろんです」
「はい。こんな事を言うのは何ですけど…公孫賛や風鈴さんのように経験豊富な方が力を貸してくれるのは、すごく助かります」
「ありがとう。桃香、みんな」
公孫賛と風鈴が劉備軍に加わるのに対して誰も文句なんて無い。寧ろ大歓迎だ。
桃香たちにとって公孫賛は完全に独立するまで世話になった人だ。そんな彼女を助けるのは苦でも何でもない。
「そうだ。もう幽州の州牧ってわけでもないし、おまえたちも気軽に白蓮って呼んでくれ」
本当ならば彼女としてはもっと早く真名を預けても良かったらしいが、色々とその機会を逃していたらしい。
「なら白蓮さん、早速で申し訳ないんですが…袁紹軍の情報を分かる範囲で教えてもらっても構いませんか?」
「もちろんだ。どこまで役に立てるか分からないけど、何でも聞いてくれ。先生もお願いいたします」
「ええ。河北四州が袁紹の手に落ちた今。次に狙われるのはここか曹操さんの領地でしょうしね」
風鈴の予想は正解で袁紹が次に攻めるのは曹操の陣営か劉備の陣営である。
「まず言っておきたい事があるんだ。麗羽…袁紹の奴が変なんだ」
袁紹が変と言われても「まあ…うん」と納得してしまう。反董卓連合でも袁紹の性格は大体分かっているからだ。
「いや、そういうんじゃなくてだな…」
白蓮も「言葉を間違えた」と言い直す。
「袁紹のやつは変な力を使うんだ。人間の力じゃない」
この言い直した言葉にいの一番に反応したのが藤丸立香たちカルデア勢である。
「えーっと白蓮さん…それってどういう意味ですか?」
「ああ、詳しく説明するよ藤丸」
実はいたカルデア勢。袁紹が不思議な力を使うと言った瞬間は貂蝉や卑弥呼だって反応する。
「まず袁紹が攻めてきた時は私も抗ったんだが…袁紹の奴がある時、たった1人で攻めてきたんだ。」
「たった1人?」
「文字通り1人だ。物凄く自信満々に出てきたんだ」
たった1人で攻めてきた。そんな現代にある無双ゲームさながらのように。
「信じられないかもしれないが袁紹はたった1人で私の軍を壊滅させたんだ」
「これは本当よ。私もこの目で見たわ」
白蓮も風鈴も嘘を付くような人物ではない。正直なところ2人も、その時の様子を信じられないと思っているくらいだ。
「え、袁紹さんが……そんな恋さんみたいに?」
「反董卓連合で呂布の奴が暴れていた様子を思い浮かべてくれる分かりやすいと思う」
反董卓連合や徐州に襲来してきた恋は暴走状態であったが、逆に袁紹の場合は本人は正常で、あり得ない力を使っていたようなのである。
「じゃあ袁紹1人で幽州は攻め落とされたって事か?」
「いや、好きなだけ暴れるだけ暴れて引っ込んだよ」
「あれは単純に自分の力を見せたい為に暴れただけでしょうね」
白蓮の説明に風鈴がその時の戦いで感じ取った感想を付け足す。
風鈴の感想には白蓮も賛同する。たった1人で幽州の軍を壊滅させておいて途中で引っ込んでいったという部分がおかしいのだ。
1人で軍を壊滅する力を見せておきながら拠点をも落とさずに、その後は部下たちに幽州を落とすのを任せた事から本当に自分の力を誇示させただけであったのだ。
まるで新しい玩具を自慢するように見せ付ける子供のように。
「白蓮さん。袁紹のあり得ない力とは具体的には?」
「先ほど、言ったように人間1人が軍を壊滅させるくらいの力。それに妖術も使ったんだよ」
袁紹が妖術を使うなんて聞いた事も無い。
「あれが妖術なのか分からんが……いや、袁紹は『龍の力』とか叫んでいたような…」
「龍の力?」
「ああ…あれが本当に龍の力か分からんけど」
詳しく聞くと袁紹は常人ではない膂力を持ち、更に『龍の力』を使ったようだ。
これが本当ならば間違いなく三国志の歴史の流れにない異常だろう。藤丸立香は貂蝉を見ると、彼も何かを考えているのがすぐに分かった。
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白蓮たちから袁紹の不思議な力をついて聞いた後、すぐに思い浮かんだのは反董卓連合で起きた怪異だ。
桃香たちはすぐにそれと近しい異変と予想したのだ。無論、カルデア勢もすぐにその予想に辿り着いている。
「貂蝉さん、卑弥呼さん」
「なぁに立香ちゃん」
「なんだ立香」
「袁紹さんの件だけど…于吉が絡んでいると思う」
その答えにコクリと頷いた2人。無論、2人だってすぐに于吉関連だと辿り着いている。
「ええ、私もそう思うわ。袁紹ちゃんがそんな力を持っているなんて見た事ないもの」
外史には様々なルートがあるだろう。もしかしたら袁紹が覚醒するのような外史もあるかもしれない。だが、それでも今回の件について、貂蝉と卑弥呼は于吉の仕業だと判断している。
貂蝉の記憶では様々な外史の袁紹にはそのような特別な力を持っている個体はいなかった。恐らくこの外史で初である。
「龍の力…ドラゴンは幻想種の中で最高位の力。その力を持っているなら袁紹さんは軍の1つを壊滅させるのは容易だと思う」
「でしょうねえ。龍は天災みたいなもんだし」
龍の力を侮ってはいけない。
特異点では必ず大きな壁として立ちはだかっている。ドラゴンにはいつも苦しまれているのだ。
「やはり于吉か」
十常侍の張譲、荊州の黄祖と于吉は特別な力を授けて利用した。今回は袁紹の番という事だ。
袁紹も利用されているかもしれない。だが白蓮の話を聞くと利用されているようには見えなかったと言う。
幽州軍と戦っている時は操られている感じではなく、自由気ままに暴れていたとの事だ。
「可能性は大いにあるけど…実際に見ていないから確定とは言えないわね」
百聞は一見に如かず。自分の目で見て確かめろということだ。
藤丸立香たちも反董卓連合が終わってから次の異変への情報は集めていた。そんな時に袁紹の異常な力だ。
これは調べないわけにはいかない。もしも于吉関連ならば解決しないといけないのだ。
于吉に近づく事が自分たちが外史にいる答えに近づくのと同意なのである。
「次の目的地が決まったなマスター」
「うん、孔明先生。次は冀州だね」
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冀州にて。
「おーほっほっほ。これで河北の四州はこのわたくしのものですわね!! 白蓮さんの泣きっ面が目に浮かぶようですわね。おーっほっほっほ!!」
「おめでとうござます麗羽さまー!!」
「麗羽さま。今の所、幽州各地の制圧は順調に進んでいるようです」
「これで覇業の第一歩を踏み出せましたね!!」
袁紹は河北四州を手中に治めてご機嫌のようだ。いつよもりも笑い声は大きく響いている。
「当然ですわ。あの董卓がいなくなった今、この大陸を統一するのはこのわたくし!! 大・将・軍!! 袁本初ですわ!!」
「…大将軍?」
「ほら、このあいだの董卓討伐の戦功で朝廷から新しい官位をもらったでしょ」
「ああ、前に何進がやってた…」
「何かおっしゃいまして」
「…いーえ、何でも」
ジロリと見られて口を閉じた文醜。
「ま、もともと袁家は三公を輩出した高貴な家柄ですから、たかが大将軍に格上げされたところで大した事はありませんけれど。おーっほっほっほ!!」
「そうですねー。まだ上には相国とかいう…」
「猪々子さん。なーにーか、おっしゃいまして?」
「べ、別に」
せっかく口を先ほど閉じたがまた開いてしまった文醜。彼女は結構お調子者かもしれない。
「もぅ…せっかく麗羽さまのご機嫌が良いのになに余計なことを言ってるのよ」
「…………」
「斗詩はともかく、猪々子までちゃんと仕事するとは思いませんでしたけど…麗羽さま?」
ご機嫌だったのに急に黙った麗羽。
「それよりも天子様たちの情報はありませんの?」
「それでしたら私の調査で劉備の所にはほぼ間違いなく天子様がいらっしゃいます。それに董卓も」
「…やはり、あの炊き出し小娘ですのね」
徐州に呂布が襲撃した事件。そこから情報を集めて田豊は劉備の元に董卓と天子姉妹がいると予想を付けたのだ。
その事は袁紹も大体の予想は付けていたのである。
「平原にもそういう痕跡はありませんでしたけどね。まああちらは後始末する時間も十分あったはずですから、完全に潔白というわけではないですけど…」
桃香が平原から徐州に移動するまで天子姉妹や董卓の手がかりを消す時間くらいはいくらでもあった。
流石にその部分は重点的に証拠は消されていたのである。朱里も雛里も抜かりはない。
「では次に攻めるのは劉備さんのいる徐州ですか? 公孫賛さんもそちらに逃げたみたいですけれど」
「当然ね。まずは確実に歩を進めて、最終的に曹操を…」
次の攻めるべきは劉備のいる徐州。逆賊董卓を討ち、天子姉妹を救出する。袁紹だって同意すると思っていた。
「……は?」
しかし田豊の予想した反応とは真逆であった。
「何を言っていますの、この娘たちは」
呆れ顔にため息を吐いた。
「で、ですが、ここは戦略的にも…」
「次に泣かせてさしあげるのは、華琳さんに決まっているでしょう!!」
顔良と田豊の予想が大いに外れて袁紹は曹操のいる陳留を攻めると言う。
「ええええええ!? そんな、無茶ですよー!!」
「麗羽さまなら一刻も天子様を救いに行くべきでは!?」
「ええ。空丹さまは何としてでもお助けせねばなりません。そして空丹さまを連れ去った逆賊董卓や劉備もいずれは誅せねばならないでしょう…けれどわたくし達が兵を動かした瞬間に向こうが天子様がいる旨を公にすれば、今度はわたくし達が逆賊になってしまいますのよ」
ならば向こうの動きを待つ間に今この時も力を付けている曹操を降してから劉備の退路を塞ぐべきなのだ。
「確かに空丹さまの事はとても心配ですわ。ですが劉備はあの性格ですし、同じ劉の姓をお持ちの天子様方を蔑ろにしないでしょう。まずは小生意気な華琳さんを叩いてから、万全の状態で天子様をお迎えして、改めて董卓に裁きを与えるのですわ!!」
「ぐ…確かに一理ありますが」
(すごい…麗羽さまが真直ちゃんを論破するなんて)
今日に限って袁紹は頭が冴えているようだ。
「本音は?」
一旦、息を吸い直して一気に口を開く。
「田舎者の炊き出し娘なんかより、まずはあの小生意気なくるくる頭をピーピー泣かせてやらないと、わたくしの気が済みませんの!!」
物凄い早口で本音を言うのであった。内容はとても私怨が混じっている。
「結局曹操さんが嫌いなだけじゃないですかー!!」
「当たり前ですわ!! どうしてあの金髪くるくるを好いてやらねばなりませんの!!」
「…金髪くるくるは麗羽さまも同じなんじゃ」
「わたくしに被っているのが気に入りませんの!!」
本当に私怨が混じり過ぎていた。
「でも曹操さん、あのあたりの最大勢力ですよ? 正面対決でも勝てるかどうか」
「でかいところからどーんと潰していくのが燃えるんじゃんか。周りの雑魚からチマチマ潰してとか、面白くとも何ともないだろ?」
「あーら、猪々子さんはよく分かってるじゃありませんの」
「でしょでしょー?」
文醜は強い相手を戦いたいようだ。ガンガン戦ってくれても構わないと袁紹はニコリとする。
「それに、わたくしには『龍の力』がありますしね!! おーっほっほっほ!!」
袁紹は肉体から龍を感じさせる覇気を滲み出す。
「…その力どうやって手に入れたんですか?」
「天から与えられたのですわ。これも空丹さまを思う気持ちあってこそですわね!!」
「……実際は?」
「朝起きたらなんか手に入れてましたわ」
「すっごい怪しいですよー!?」
手に入れた経緯を詳しく省略的に聞くと夢の中で龍に出会ったとの事。そして朝起きたら漲る力を手に入れていたのである。
聞いているだけで信じられないが、幽州での戦いを思い出せば信じるしかない。
いきなりたった1人で幽州軍に突撃していった時は物凄く冷や汗をかいた顔良たちであったが、たった1人で幽州軍を壊滅させた時は空いた口が閉じられないくらい驚いたほどである。
「あの時は麗羽さまの頭がおかしくなったと思いましたよ」
「失礼ですわよ真直さん」
未だに疑問な部分はあるが袁紹が言う『龍の力』は強大であるのは確かだ。
「あの…話を戻しますけどなら何で四州を先に…? そこまで考えているなら何で曹操さんの所を攻めなかったんですか?」
「それはもちろん、周辺の地盤固め…」
「あれは語呂が良かったからですわ」
「………」
語呂が良かった。それだけで白蓮は幽州を落とされたのである。
本人が聞けばきっと物凄く何とも言えない気持ちになるはずだ。
「ああ、河北四州の覇者ですね!!」
「そう、河北四州の覇者ですわ!!」
「…はぁ~」
「…もぅ、せっかく公孫賛を倒した時は私の提案する策で上手くいったのに…」
「そんなわけで、まずは河北四州の覇者たるこのわたくし自ら国境まで威力偵察に出て差し上げますわ!! わたくしの威光にひれ伏すなあらよし、歯向かうならそのまま叩き潰してさしあげましょう!!」
無駄に龍の覇気を滲み出させている。
「おー!! 何かよくわかんないけど、景気良さそうっすね。さっすが麗羽さまー!!」
「でしょう? おーっほっほっほ!!」
「…はぁ」
「さあ皆さん、さっさと準備なさい。わたくしの覇王への道程は今こそ始まるのですわ!! 待っていなさい華琳さん!!」
ビシっと指先を扉の先に向ける。きっと陳留に向けて指しているのだが、実際は徐州方面である。
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幽州が袁紹に落とされたという凶報が届き、大切な友人である白蓮と恩師である風鈴が無事であったとという吉報があった今日だ。
そんな怒涛な日に来訪者が徐州に訪れた。
「曹操さんが会いたがっている…ですか?」
「ええ。一度、劉備さまとお話がしたいそうです」
訪れた来訪者とは陳珪である。彼女から切り出されたのは曹操との会談であった。
「もしかして、袁紹さんに関係することでしょうか?」
「そう取っていただいても構いません。要は為政者同士、大陸の今後について意見を交わしたいということのようですから」
この言葉に朱里と雛里が目を細めた。相手は自分たちが警戒する人物の1人である。
「…しばらく席を外した方がよさそうね。庭かどこかでお茶でもさせてもらおうかしら」
陳珪は何かを感じ取って部屋を出ていくのであった。
「さてと…確か庭に居たわね」
陳珪が庭でお茶でもしようと言い出したのはある人物たちを庭で見かけたからである。
「あ、いたいた」
見つけたのは藤丸立香と諸葛孔明だ。ちょうど2人は袁紹について集めた情報をまとめていたのである。
「陳珪さんじゃないですか」
すぐに気付いて、つい手招きをしてしまう。陳珪も気にせずに2人の輪の中に入っていく。
「今日はどうしたんですか?」
「まさか曹操が劉備と会談でしたいという話でも持ってきたか?」
「よく分かったわね孔明さん」
諸葛孔明の予想は大当たりである。その話を聞いた桃香は今頃、どうするか朱里たちと話し合っている。
「曹操と劉備の会談か…袁紹についてか為政者同士について話すのか」
「盗み聞きでもしてたの?」
「していない」
まるで陳珪と桃香たちの話を盗み聞きでもしてたかのような諸葛孔明の予想にジト目をしてしまう。
「まあ、そうなのだけどね。それで劉備さまが陳留に来てくれる事になったらあなたたちも陳留に来て欲しいのよ」
「え、何で?」
桃香たちが陳留に行くのは曹操と会談をするから当然だ。しかし藤丸立香たちが陳留に行く理由が思いつかない。
まさか前の華佗と貂蝉たちの事件かもしれない。もしくは蘭陵王と秦良玉の事を諦めていないのか。
「実はあなた達に会って欲しい人がいるの。特にあなた達2人にはね」
2人に会って欲しい人物。その言葉を聞いて2人は同時に首を傾けた。
「誰ですか?」
「立香さんの師匠で、孔明さんの義妹さんだそうよ」
お茶の淹れる練習をしようと思う藤丸立香と胃がキリキリ痛み出した諸葛孔明。2人は別々の反応を見せるのであった。
お互いに小悪魔スマイルの少女を思い浮かべて。そして冀州から陳留へと行き先が変更になった。
読んでくれてありがとうございました。
次回は二週間以内に更新したいです。
356~358
白蓮と風鈴先生が桃香の仲間になった!!
そして袁紹が手に入れた『龍の力』についてはまた後日話していきます!!
(本編にもありましたが于吉関連ですけどね)
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やっぱ冀州じゃなくて陳留に行こう。
桃香たちは原作でもあったように曹操と会談をしに陳留に行きます。
逆に藤丸立香たちは曹操の元にいるという仲間に会いに行きます。
次回でついに彼女が登場です!!