Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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FGOではバレンタインイベントですね!!
チョコを貰う、渡すためにクエストを何度も回っております。
そしてまさかの新規鯖は清少納言…ガチャりましたが来ません(泣)。
恋姫の天下統一伝でもバレンタインイベントのようですね。
やはり今の時期はどこもバレンタイン一色のようです。

それはともかく本編ではついに『彼女』の登場です!!(師匠ー!!)



二度目の陳留へ

360

 

 

『龍の力』を使う袁紹。その情報を得て、藤丸立香たちは冀州の南皮へと向かおうと計画を立てた。しかし、計画を立てた日に徐州に訪れた陳珪から陳留に新たなカルデアの仲間がいるという情報を受けたのだ。

結果、冀州ではなく陳留に赴き、仲間と合流する事を決めたのである。

 

「また陳留に行くってか?」

 

陳留に行く事を炎蓮や天和たちに報告する。彼女たちの所属は一応、藤丸立香たちの仲間である。

徐州から離れるかもしれないと決まったのならば報告するのは当然である。

余談だが、貂蝉たちはお留守番が決定している。流石に前に陳留で起こした事件の首謀者であるからだ。華佗としてはリベンジしてみたいようであったが。

 

「うん。陳留に仲間がいるんだ」

「陳留ってーと、曹操がいる所だよな。出来ればまだ会いたくねえな」

 

会いたくないというより顔を合わせるわけにはいかない。もしも顔を合わせたら炎蓮が生きているという事実が孫呉に届いてしまうからだ。

炎蓮としてはまだその事実を知られるわけにはいかないのである。

 

「あれから結構経ったんだから、そろそろ本当の事を言ってもいいと思うんだけど」

「嫌だ」

 

何時になったら炎蓮は事実を雪蓮たちに伝えるのか分からないものだ。

 

「じゃあ、炎蓮さんは徐州でお留守番って事でいいのかな?」

「ああ。立香たちは仲間と合流したら戻ってくるのか?」

「たぶん、戻らない。そのまま冀州へ異変を解決しに行く」

 

元々は冀州へ行くつもりだったのだ。ならば陳留で仲間と合流してから冀州へ行くのが当然だ。

 

「最初っから冀州へ行くならオレも行けたんだがな……いや、オレだけ今の内に冀州に行くか? いや、だがどっちにしろ…」

 

ブツブツと呟いて、どうしようかと考え始めるのであった。だが取り合えず、炎蓮は徐州でお留守番が決定。

 

「天和さんたちはどうする?」

 

今度は天和たち張三姉妹に目を向ける。

 

「うーん…本当は立香くんに付いて行きたいけどなー」

「ちぃはどっちでもいいわよ。流石に黄巾の乱から時間が経ったし、もう大丈夫でしょ」

「いえ、今回もお留守番にするわよ」

 

天和と地和は付いて行っても大丈夫と言うが人和は反董卓連合の時のようにお留守番が良いそうだ。

 

「えー、何でよ人和?」

「ちゃんと理由があるわ。せっかく徐州でも公演が成功して馴染みのお客さんたちがたくさん出来たばっかりなのよ。なのに、また平原の時みたいにいきなり離れてしまうのはちょっと…」

 

平原では張三姉妹の公演が成功して馴染みのファンがたくさん出来た。正確にはいきなり平原から離れたわけではないが、今回に関して言えばいきなりになる。

元々、旅芸人なのだから次から次の街へと移動するのは慣れている。しかし、まだ徐州で新たなファンが出来たばかりである。ならば出来ていきなり離れるのは出来ない。

せめてもう少し、徐州で出来たファンに歌を広めたいのだ。

 

「えーっと立香さんが言っていた天の言葉で…ファンだっけ? その人たちにもっと私たちの歌を聞いてもらいたいのよ」

「なるほど」

 

人和は色々と考えているようだ。ファンサービスの事も徹底している。

 

「ならしょうがないわね」

 

残念と地和と天和は顔に出すのであった。

 

「まあ、でも行き先が荊州なら付いて行ったかもだけど」

「何で荊州?」

 

荊州といえば紫苑や魏延がいる州だ。

 

「実は荊州から来た旅商人から聞いたんだけど、荊州に笛や琵琶を扱う人がいるんだって。とても綺麗な音色で上手いらしいわ」

「へえ、笛や琵琶を」

「その人はとても可愛くて」

「可愛くて」

「で、気になったのはその人は妖術師みたいで、炎の精霊らしきものを操るのよ」

「炎の精霊を?」

 

ここで藤丸立香は頭に何か引っかかる。

 

「ええ、その人は妖術と楽器を合わせた芸人みたいなのよ。その演奏はとても幻想的みたい」

「あ、荊州からきた旅商人さんは確かにそんな事を言ってたわね」

「ならその人と一緒に公演が出来たらきっと素晴らしいものになると思うの」

 

もしも荊州に行く事になっていたら人和はスカウトでも行こうと思っていたらしい。

 

「……可愛くて、笛や琵琶で炎の精霊らしきものを操る人。え、もしかして」

 

気のせいじゃないかもしれないくらい心当たりがある。だが本当に気のせいかもしれない可能性もあるのは事実だ。

 

(まさか…)

 

 

361

 

 

桃香たちは陳留を訪れた。

曹操が名指しで桃香と会談がしたいという連絡が入り、訪れたのである。色々と懸念はあるが何か得るには虎穴に入らねばならない時もある。

 

「ここが陳留か…」

 

「すごいねぇ。洛陽以外だと、今まで見た街の中で一番大きいかも」

「ああ。都って戦火で焼け落ちてから、ここほど立派って感じしなかったもんな」

 

目の前に広がる陳留の街は、まさしく都って感じの大都市であった。

 

「陳留は平原と同じ交通の要所だし、今の所、大きな戦火にも晒されていないから」

「そして…ここを治めるのが曹操殿なのだな」

「ええ。華琳さまは、城でお待ちのはずよ。ゆっくりと来て構わないとは言われてるけど、急ぎましょう」

「なんだ、せっかく苑州の良い酒を楽しめるかと思ったのに」

「私も、この土地の食べ物には興味がありますわ」

「それは面会が終わってからだ。行くぞ」

 

桃香たちは曹操が待つ城へと向かう。

ただ桃香たちだけでなく、藤丸立香たちカルデア勢もいるのだ。

 

「そういえば藤丸さんの仲間が曹操さんの所にいるんだよね?」

「うん。桃香さんたちが曹操さんと会談している間に仲間と会わせてくれるんだって」

 

桃香と曹操の会談中は藤丸立香は仲間の元へ。

前に陳留に赴いた時は居なかった事から、その後に曹操に見つけられたのだ。

まさか曹操の元にいるとは思わなかったものである。だが、曹操と『彼女』を依り代にした英霊の関係性について考えてみれば納得のいくものがある。

曹操が見つけて陣営に置くのは当然の帰結かもしれない。

 

「その仲間って誰なんだ?」

 

北郷一刀としてはやはりどんな英雄や偉人かと気になるものだ。

 

「孔明先生と同じで疑似サーヴァントだなんだけど…英霊の名前は司馬懿」

「司馬懿だって!?」

 

当たり前というか当然、司馬懿という偉人を知っている。

 

「おお…ある意味、三国時代勝者だよな」

「まあ、そうかも」

 

人によって考えは違うかもしれないが三国である魏、蜀、呉を越えて晋という国を建国させる中心となった人物だ。

ある意味、三国志の中で一番の勝利者かもしれない。

 

「確かに曹操の所にいるのも納得だ」

「ご主人様は藤丸さんの、その仲間の人を知ってるの?」

「ああ、といっても本人に会った事は無いけどな」

 

北郷一刀の口から出た「三国時代の勝利者」とかよく分からなかった桃香たちであるが、気にしない事にした。

 

「確か諸葛孔明のライバル関係だった気がするけど…それが藤丸の元では仲間なんだな」

「まあ、カルデアだとそういう関係性の英霊が一緒なんてザラだからね」

「そう言えば前にシャーロック・ホームズとジェームズ・モリアーティが一緒にいるって言ってたな」

 

他にもアキレウスやヘクトール、源頼光に酒呑童子、イスカンダルにダレイオス三世などもあげられる。

 

「更に依り代になっている人間も関係性があって孔明先生の義妹なんだ」

「またなんとも…」

 

諸葛孔明を見ると微妙そうな顔をしている。

諸葛孔明と司馬懿は宿敵同士。しかし依り代になった人間は義兄と義妹の関係。

確かに不思議な関係であると言えるだろう。

 

「人格はそっちの孔明と同じで依り代の方なのか?」

「そうだよ。でもたまに司馬懿本人の人格も出てくる」

「あ、そうなんだ」

 

それはちょっと気になるのであった。

 

「カルデアだっけ? 本当に色々な英雄や偉人がいるんだな」

「そうなんだよね」

「それにしても曹操のところに司馬懿か…もしかして他の所にも仲間がいたりするかもな」

「それは…あるかもしれない。現段階だとカルデアにいる中華圏内の英霊ばかりがこの世界に来ている」

「1人だけ違うけどな」

「そこはまだ理由が分からないけど。とにかく、中華圏内の英霊ばかり来るというならカルデアに残っている中華圏内の英霊が来る可能性は大いにあると思う」

 

カルデアにいる中華圏内の英霊たちを思い浮かべる。特に中国大陸で最も有名な偉人である始皇帝を最初に思い浮かべてしまう。

もしも始皇帝がこの世界に来たら、何をどう思うか。北郷一刀や桃香たちはどう反応するか気になるものだ。

 

「もしかして世界三大美人もいたりして? 楊貴妃とか」

「いるよ」

「マジか!?」

 

男ならば世界三大美人に一目でいいから見てみたいというのは当然かもしれない。

今までの流れで北郷一刀はカルデアに世界三大美人の楊貴妃がいるのではないかと思ってしまったのだ。

 

「それは会ってみたいな」

 

楊貴妃の他にクレオパトラもいる。楊貴妃の代わりに虞美人という場合もあるが、その虞美人だっているのだ。

 

「…ご主人様」

「うわっ、びっくりした。愛紗か」

「何を美女だか何だかと言っているんですか。会談をしに来ただけとはいえ、ここは敵地なのですよ。鼻の下を伸ばすような話はしていないで、気を引き締めてください」

「お、おう…」

 

怒られてしまってちょっとしゅんとしてしまう北郷一刀。愛紗が叱った理由はただの嫉妬のようなもの。

自分のご主人様が他の女性の話をしていて面白くなかったのである。

愛紗に注意されながらも曹操がいる城へと到着する。

 

「ようこそおいでくださいました玄徳殿」

「曹純!! それに…」

「「戯志才さん!!」」

 

藤丸立香と桃香の声が被った。

 

「おや、随分と懐かしい名前を聞きましたね」

 

実は藤丸立香も桃香たちも戯志才という名の女性とは知り合いだ。最もその名前は偽名である。

 

「渡世は何かと物騒ですので…申し遅れましたが、本名は郭嘉と申します」

「なら…郭嘉は、今は孟徳殿に仕えているのか?」

「はい。連合の時は陳留で留守を任されていましたので、お会いできませんでしたが…本日は華琳さまより、あなた方の案内を任されています」

 

またも再会があったものだ。ならば彼女と一緒にいたもう1人も曹操に仕えているのかもしれない。

 

「燈さん。お姉さまが既にお待ちですよ」

「では、劉備さまはこちらへ」

「む、桃香さまが行くなら、私も同行させてもらう」

「雲長殿は、ぜひ、我々とお越しください。華琳さまも玄徳殿とは一対一でお話がしたいと」

「だが…!!」

「でしたら、私だけでも同行させていただけませんか? 身だしなみを整える侍女の1人でも控えていなければ、孟徳さまにも失礼でしょうし」

「そうね…でしたら孫乾さんはこちらに」

「むう…ならば任せたぞ、美花」

「お任せ下さいまし」

 

ここで桃香と美花は曹操の元へ。残りは会談が終わるまで別行動というわけだ。そして藤丸立香たちは仲間である司馬懿の元へ。

 

「藤丸さまたちは私に付いてきてください。司馬懿さんの元まで案内しますので」

「分かりました。お願いします曹純さん」

 

 

362

 

 

「よーし、そっちの梁を乗っけるで!! 組付けはゆっくりなー!!」

 

曹純が案内している途中で聞き知った声が聞こえた。

振り向いてみると前で出会った李典がいたのだ。彼女は現場監督のように兵士たちに指示を出して、何か巨大な物をくみ上げている最中であった。

まるで昔の映画で見る投石器のようなものだと藤丸立香は思ってしまう。

 

(てか、李典さんってやっぱ曹操さんのところにいたんだ)

「ああ、あれは…」

 

曹純が何か言おうとした瞬間に新たな声が響く。

 

「秘密兵器っすよー!!」

「姉さん。それ以上は秘密だからね」

 

曹純の姉である曹仁であった。

 

「あ、そうだったっす。秘密っすもんね。それよりも久しぶりっすね!!」

 

実は曹仁とは面識がある。と言っても反董卓連合でちょっと顔を合わせたくらいであるのだが。

 

「曹仁さんも元気そうだね」

「元気一杯っすよー!!」

 

本当に元気いっぱいだ。鈴々に負けず劣らずの天真爛漫さである。

 

「それにしてもアレは何だろう?」

「お姉さま…孟徳様から色々と見せても構いませんと言われていますけど、教えられないものもありますので」

 

それは当然である。何もかも全て手の内を見せるなんて事はしない。だが、それでもここまで見せているのはあり得ないものだ。

軍事力だけでも徐州を優に超えている。別行動をしている北郷一刀たちも曹操の軍事力に対して慄いている頃かもしれない。

 

「なんか投石器みたいだね孔明先生」

「かもな。あれで大きな石を投石して袁紹軍を潰すのだろうな」

 

藤丸立香と諸葛孔明の会話に一瞬だけ曹純は目を開いてしまった。だがすぐに平然を装う。

 

(正解だったみたいだな。まあ未来の知識を持つ我らの特権だな)

 

これ以上、曹操軍の秘密兵器に触れてもよくないと思ってこの場から離れる。元々の目的は曹操軍の秘密平気を暴く事では無いのだから。

 

「あの曹純さん。師匠…司馬懿さんは?」

「ああ、はい。此方です」

 

曹純に案内されてある部屋に案内される。

 

「では、私は部屋の外で待っておりますので」

 

扉を開けると中華服を着た金髪の美少女に中華風の従者服を着た水銀で形成された女性がいた。

 

「やっと来たか我が弟子に、我が兄よ」

 

部屋の中で待っていたのは司馬懿(ライネス)に水銀従者のトリムマウであった。

 

「師匠ー!!」

 

藤丸立香はすぐに司馬懿(ライネス)の元に駆けよる。

 

「師匠無事だったんだね!!」

「ああ。曹操のところで厄介になってるよ。てか兄よ。可愛い義妹に何か言うことは無いのか?」

「………元気そうだな」

「それだけか。ん?」

 

相変わらずの様子で安心したものだ。

 

「ふむ…なかなかの大所帯だね」

 

司馬懿(ライネス)は藤丸立香の後ろにいる英霊たちを見る。確かに英霊が合計で11騎もいれば大所帯すぎる。

 

「もしかしてこれで全員か?」

「うん。今はこれで全員だけど…」

「なるほどね。実は私がカルデアからこの世界に来る前に他にも中華圏内の英霊が消えていたんだ。その英霊たちが居ないからまだこの大陸のどこかで迷っているかもしれない」

「詳しくお互いの知っている情報を交換しようかレディ」

「そうだな我が兄よ。私もこの世界の事は詳しくは分からないからな」

 

お互いにここまでに至るまでの情報を交換するのであった。

 

「ふむ、三国志を元にした世界…外史か。まあ、確かに曹操や夏侯惇たちに出会った時点で予想はしていたが」

 

ここが中国大陸であり、三国時代である事はすぐに分かっていた。

 

「司馬懿殿に聞いてみたが、この世界の曹操や夏侯惇たちは私達の世界の人物でないとは知っていたが…こんな異世界に来るとはね」

「ユニヴァース世界があるんだから今さらでしょ師匠」

「いや…まあ、そうなんだが」

 

配達イベントなどを思い出してしまう。

 

「この世界に来た原因は分からないけど…原因となりそうな人は居るんだ」

「先ほど、話に出来てきた于吉という人物だな。外史の管理者か」

 

于吉の他にも貂蝉や卑弥呼と言った存在も説明済みだ。

 

「彼等に関してはある意味、私たちよりも高度な存在なのかもな」

「それは私も予想している。世界を管理する者なんてまさしく神霊クラスかもしれないな」

 

諸葛孔明も司馬懿(ライネス)も同じ考えに至ったようである。

まさかの異世界への干渉。これはとても難しい難題だ。

 

「この世界に来た理由はまだ分からない。でも于吉を捕まえる事が謎を解く鍵だと思うんだ」

 

藤丸立香たちが外史に来た理由。まだ明確な答えは出ていない。現段階では于吉を捕まえる事が答えの道筋になるのだ。

 

「師匠、力を貸してほしい」

「フフ…弟子の頼みを聞かない師匠はいないさ」

「ありがとう師匠!!」

「だが、タダじゃないからな」

 

ニヤリと小悪魔スマイルをするが藤丸立香は気にしない。なんせいつもの事である。

 

「オレに出来る事なら何でもするよ」

「軽々しくそんな事を言っていいのかなー?」

「師匠だけだよ」

「む……まったく、そのセリフは誰彼構わず言っているんじゃないだろうね?」

 

今の言葉でつい頬を赤くしてニンマリしそうになるのを我慢する司馬懿(ライネス)。

その様子を見て、諸葛孔明はいつも思う事がある。

 

(本当に我が義妹はマスターの事を気に入っているのだな。自ら正式に弟子認定をしているからな)

 

そのまま彼女の興味が全てマスターに向けてくれるのを切実に思うのであった。そうすれば胃の痛みは無くなるはずである。

余談であるがその場にいた武則天や秦良玉といった女性英霊たちは藤丸立香に対して視線を向けるのであった。

 

「で、何か動こうと考えてはいるのか?」

「うん。袁紹さんが怪しいんだ」

「ほう、それは何故だい?」

「まだ確定ではないんだけど袁紹さんは『龍の力』を使うみたいなんだ」

 

袁紹が『龍の力』を使う。確かに気になる点である。

なんせ、袁紹が『龍の力』を使うなんて情報は史実には無いのだから。

 

「于吉は妖術や妖魔を人に埋め込む。龍といった最高位の存在を操れるかまでは分からない。でも可能性は大いにあると思う」

「ふむ、相手はこの世界の管理者なんだろう。なら可能性は大いにあるさ」

 

世界を管理する存在ならば幻想種のドラゴンを使役するくらいはやってのけそうである。

前に戦ったことはあるが天候を操る力を持っていた。天候を操る時点でその力は強大である。だがその時はアルトリア・ランサーやカーマと対峙した程の圧は無かった。

もしかしたら于吉はまだ本気を出していないのかもしれない。

 

「敵の戦力は?」

「太平妖術の書という魔術書に妖魔を使役している。そして兵馬妖という動く土人形の兵士達だよ」

「おそらくまだ何か隠し持っているだろうが。正直なところ未だに敵の戦力は把握しきれていない」

 

敵戦力の全容は未だに想像できない。もしかしたら此方側を遥かに上回る『何か』を用意しているかもしれない。

 

「油断は出来ないか」

 

更に于吉は様々な者たちを利用していく。

最初は十常侍の張譲。次に黄祖。3度目はまた張譲であるが、そこから月をも道具にして利用した。そして4度目は袁紹なのかもしれない。

現段階では袁紹を自分の策に利用しているかもしれないが、もしかしたら他の諸侯も既に策の一部として手を回しているのかもしれない。

 

「まずは袁紹さん。元々、冀州に行くつもりだったんだ」

「なら曹操殿にも話を通しておいた方が良いだろう」

「と、言うと?」

「曹操殿は既に袁紹が攻めてくると予想して準備を始めている。此方側の動きを言っておいた方がスムーズに済む。間違って曹操殿の軍団が私たちを攻撃してくるのは困るからね」

 

もしも間違って官渡の戦いに鉢合わせてしまって敵として勘違いされたら目も当てられない。

 

「なら曹操さんにこの後、話をしに行かないといけないか」

「最も袁紹がこの陳留に攻めるか分からないけど。もしかしたら徐州を攻めるかもしれないからね」

 

今の袁紹は曹操のいる陳留か劉備のいる徐州を攻めるか選んでいる。

 

「だけど話す分には構わないよね。オレたちの目的でこう動くからって感じで」

「ま、それくらいは曹操も聞いてくれるだろう」

 

反董卓連合での怪異騒ぎがあったのだ。怪異関係について曹操も耳を傾けてくれるはずである。

そもそも、曹操は怪異対策で妖術関連のものを集めていると聞いている。結果的に司馬懿(ライネス)を見つけたのだから。

 

「じゃあ、桃香さんと曹操さんの会談が終わった後に掛け合ってみよう」

 

大体の話をまとめたから外に曹純に声を掛けようかと思ったが気になる点を思い浮かべる。

 

「そう言えば師匠はさっき、師匠が来る前に消えた英霊達が居るって言ってたよね?」

「ああ、そうだったな。私がこの世界に来る前に4騎の英霊がカルデアから消えたんだ。恐らく私と同じでこの世界の何処かにいるだろうね」

「その4騎って誰?」

「陳宮、赤兎馬、李書文(アサシン)、楊貴妃だよ」

 

前者2人がこの世界で問題を起こしていないか凄く心配である。

 

「ほう…老いた儂もこの世界に来ているのか。マスターよ」

「何かな李書文?」

「間違って按摩の達人と殺し合っても問題無いよな?」

「問題あるよ!?」

 

若い李書文と老いた李書文の関係はなかなかに難しい。というか危険である。

そもそも李書文(ランサー)は「老いた自分と戦ってみたい」と言っていた事があった。そしたらカルデアに本当に老いた自分が召喚されたのだ。

その時は凄い形相で真っ先に召喚部屋に槍を持って走って来たものである。しかも燕青やベオウルフも来ていた。

 

「殺し合いは駄目だからね!!」

「………………」

「真顔にならないで!!」

 

物凄く不安である。

 

「ふむ…楊貴妃も来ておるのか」

 

武則天としては楊貴妃が気になるようだ。楊貴妃と武則天はちょっとした関係がある。具体的には夫の祖母という立場であるのだが。

前に武則天の事を「不夜奶奶(おばあちゃん)」といって拷問されかけたらしい。

 

(楊貴妃に関しては…もしかしたら)

 

楊貴妃がいる場所に関しては予想している場所がある。本当かどうかまでは定かではないが、袁紹の問題が解決したら荊州に赴こうと思っているのだ。

 

「それにしても陳宮と赤兎馬が心配だ」

 

何か仕出かしていないかという点で。

 

「…まあ、まずは目の前にある問題から解決していこう」

「その通りだ弟子よ」

 

 

363

 

 

「おーっほっほっほっほ!!」

 

高笑いの声の主は袁紹である。

今まさに袁紹軍は曹操を倒す為に行進しているのであった。

 

「ご機嫌ですね麗羽さま」

「ええ。それに天子様をお迎えに行くのは華琳さんをつるし上げた後でも構いませんからね。真直さん、華琳さんを吊るす策は万全ですわよね?」

「はい。布陣した官渡は平地ですが、新兵器のこの移動櫓があれば、この上から一方的に弓で攻撃できますから!! 袁紹軍の主力五十万と合わせて、負ける要素はどこにもありません!!」

 

軍師の田豊はこの戦のために最高の策を用意した。あとは上手く成功することを望むだけである。

 

「素晴らしいですわ! これだけ大きな櫓があれば、わたくしの威光もより遠くまで届くのですわ!!」

「私が頑張って用意したんですよ!!」

「さあ、猪々子さん、斗詩さん。華琳さんをさっさとこの櫓に吊るして、次は徐州ですわよ!!」

 

曹操をさっさと倒して徐州にいるであろう天子姉妹を迎えに行く事まで決定済みだ。

 

「あのくるくるが伸びきって、元に戻らなくなるのを見るのが楽しみで楽しみで仕方ありませんわ!! おーっほっほっほ!!」

 

袁紹の高笑いがどこまでも響くのであった。そして袁紹は『龍の力』を手に入れている。もはや勝ちが揺るぎないと思っているのであった。

 

「…うーん」

 

彼女は夢の中で龍に出会って朝起きたら『龍の力』を手に入れたと言うが、明確な理由がある。

 

「いやはや…変わりありませんね」

 

袁紹軍の行進状況を見る于吉は何とも不思議そうな顔をしている。

 

「彼女を簡単に手駒に出来ると思ったんですが予想外です」

 

袁紹に『龍の力』を与えたのは誰もが予想していたかもしれない黒幕、于吉である。

冀州に侵入した于吉は就寝中の袁紹に龍を埋め込んだ。人間如きが龍を埋め込まれた正気を保てるはずがない。

袁紹を操り人形して冀州の軍を全て掌握しようとする算段だった。将の質や強さに関して微妙であるが、いくらでも強化や改造できる。

于吉が評価しているのは兵士の数だ。数の多さは暴力である。

 

「数だけはいますからね。あとは適当に妖魔を埋め込めば黄祖軍以上の妖魔軍の完成です………そうなるはずだったんですがねえ」

 

袁紹に異常さはなく、いつも通りの様子だ。

 

「信じられませんが袁紹の精神が龍の力に耐えたとしか言えませんね」

 

龍を埋め込まれた袁紹の様子を確認したが変化は無い。寧ろ、龍の力をお粗末ではあるが使う状態である。

正直なところ袁紹に関して言えば脅威でも何でもないと思っていたが、今回の状況を見てしまえば彼女の評価を変えねばならない。

 

「いやぁ…はは、精神力というか自己肯定力が強いと言うか、予想外です」

 

今回ばかりに関して言えば于吉も読めない状況である。もはや袁紹の予想外な精神力にタラリと汗をかくしかなかった。




読んでくれてありがとうございました。
次回はすぐです。

今回は劉備が曹操との会談をするために陳留へいく話でしたが、カルデア組の話が多い内容になっております。

360
炎蓮と張三姉妹たちは今回もお留守番。
今回も彼女たちの出番はないです。(あれ、おかしいな。また活躍させられない)
そして荊州に『ある人物』がいるフラグを立てさせました。

361~362
司馬懿(ライネス)の登場!! これがメインでした。
ついに師匠も合流です。これから彼女を活躍させていきたいですね。
てか、官渡の戦い編ではカルデア側メインで活躍させます。(頑張る)

363
袁紹が『龍の力』を手に入れた補足の話。
はい、于吉の仕業でした。そして予想外なのが袁紹がいつも通りということ。
私的に考えた結果、袁紹ならば龍を埋め込まれてもいつも通りな感じだと思って、このような結果になりました。
これには「あれ?」と思った于吉でした。


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