正真正銘無個性少女! ヒーロー目指してやったるわぁ!! 作:めありい
ネタバレになるので言えませんけど、つーちゃんも人間だってことです
それについて書くのは結構先かもね…
おぎにぃりぃがぁあああ!!!
お気に入りがひ、ひ、150越えょーん!?
身に余る評価だ
ありがとうございます!
《出久視点》
雄英から試験の評価が届いた。母さんがものすごい勢いで四つん這いやりながら教えてくれたのだ。
「イズッイズッイズズズズズ、出久!! 来てた!! 雄英から来てた!!」
凄い慌てっぷり…かく言う僕もそわそわして仕方がない。筆記は自己採点で合格ラインをギリギリ越えていたけれど、実技には絶対の自信なんてとてもとても持てない。
僕はこの10ヶ月、オールマイトの付き添いのもと、個性——ワンフォーオールの訓練に励んだ。
ワンフォーオールは兎に角パワーが凄い。行使するたび衝撃で身体が壊れてしまくらいには。つまり、リスクが大き過ぎるのだ。だからどうしてもコントロール能力をつける必要があった。このままでは対人戦どころか物体破壊にも使えない。
オールマイトは以前、個性のコントロールは感覚だ、と言っていたのだが、どうにもそれを掴むことができなかった。しばらくの間はずっとコントロール訓練をしていた。しかし途中で、このまま行くと入試までに間に合う保証が無い可能性を考えた。そこで、訓練の方向を変えた。
ではどんな訓練をしたのかという話だが。
話は変わるが、僕はヒーローオタクだ。様々なヒーローの情報を集め、分析し、考察に考察を重ねてきた。この訓練にはその知識が活きた。
僕が鍛えたのは、『衝撃の逃し方』だ。
オールマイトが偶にヴィラン退治に行く時、必ずついていって間近で戦闘———つまり、個性を行使する様子を見させてもらった。すると、何回か見るうちに疑問点が出てきた。オールマイトは確かに屈強な体つきをしているが、結局は生身の人間であるのだから耐久性には限界があるはず。ワンフォーオールに肉体の保護という機能がない限り、あのパワーに体が耐えられるのはどうにも不自然と感じた。オールマイトにその事を聞いてみると『確かに…』とは言われたものの、本人もよく分かっていないようだった。仕方がないので色々と試行錯誤を繰り返してみたところ、オールマイトは無意識のうちに衝撃を逃しているんじゃないかという考えに行き着いた。感覚型の人とか、センスだけでやっている人にはありがちなのかもしれない。本人にそれを指摘したら『言われてみれば、そのままやると痛い時とかあるし、もしかしたら地面とか背中とかに流してたのってそれかも』とのこと。
もっと早く言ってほしかったよ…
とまあ取っ掛かりを掴めた僕は、オールマイトの戦闘シーンの動画を見たり実際にオールマイトに聞いてみたりしながらその術を学んだ。
それでも100%衝撃を逃がせる訳ではない。限度はある。粉砕骨折は免れたとしても、重度の打撲程度のダメージが行使部位の全体を襲う。同じ部位は2、3回程使った程度でバキバキになって使えない。それでも最初よりはずっとマシになった。
実技試験ではこうして手に入れた技術を活かし、ロボ5体ほどの破壊に成功した。合計で確か9ポイントほど。最初に出遅れたのはかなり痛かった。少し破壊した後、焦って探し回ったのだがロボは見つからず、
0ポイントヴィランが現れた
物理的な力というのは働く際、その働かせる動力源に同じだけの力を押し返す。所謂、垂直抗力だ。
つまり、衝撃を逃してしまっている僕の力は実は100%には満たないのだ。それでも大きな力には変わらないので、今までは大丈夫だった。しかし、これほど大きなロボとなると当てる的を考えないと破壊できるか怪しいところだった。他のロボがかわいく見えてくるほどデカかった。
破壊してもリスクが大きい上に、ポイントは出ない。そう思ってその場を離れようとしたその時、見てしまった。
『いったあ…』
その日の朝、僕が転びそうになったところを助けてくれた女の子が、瓦礫に挟まれて動けなくなっていたのだ。僕は無意識に走り出していた。
その時のことを思い出すと、なんだかヘドロの時と似ていたように感じる———足が、勝手に動いていた
もう既に2回ほど行使した個性の反動で腕はギリギリだったが、躊躇なく無理をしてしまった。
0ポイントの頭部の高さまで自分の足を犠牲にして跳び、拳を繰り出した。足は衝撃を逃す訓練をしていなかったせいで一発で壊れてしまった。ロボは破壊できたけれど、そのまま落ちていった僕は例の女の子に助けられることとなった。
そこで試験は終了。
これではとても受かっている自信はない。周りの人が呟いていたポイントを考えて見ても絶望的だ。
だからその結果を母さんと一緒に見るのはなんだか気が重かった。結局母さんは落ち着かないながらも気を使ってくれて、一度一人で見てから母さんに見せるということになった。
机の上に封筒を置き、しばし見つめる。
「…はあ、」
悩んでいても仕方がないよな。とそう思い、思い切ってその封筒を破いた。
勢いよく破いたせいで中から円いなにかが飛び出して机の上に転がった。すると突然その円盤状のものからスクリーンが映し出された。
『私が投影された!!』
…ほわっ?
「お、オールマイト!? なんで? これ雄英から…だよなぁ…? …えぇええ…?」
『諸々手続きに時間がかかって連絡が取れなくってね、、、いやぁすまない、ゴホン、実は私がこの街に来たのは他でもない———雄英に勤めることになったからさ!』
「えっ…オールマイトが、雄英に…?」
『うむ、さて、後が閊えているみたいなので早速結果発表といこう。
…筆記は取れていたが、実技ではたった9ポイント…当然、不合格だ。』
…分かってた、分かってた、けど、
…悔しい……
『それだけならね』
…?
『まずは、このVTRを…どうぞ!』
そこには、あの時助けられた例の女の子がプレゼントマイクに直談判する様子が映っていた。彼女の話は、自分のポイントを僕に分けられないかという内容だった。
『…あの人…助けてくれたんです!!』
それを見たとき、僕はとても嬉しかった。今まで僕は何度も人を助けようとした。でも力が無くて、失敗して、結局はいつも僕には何もできなかった。今回は、今回こそは、ようやく人を助けることができた。
プレゼントマイクにポイントの譲与を必死にお願いしている様子を見て胸が熱くなり、思わず椅子から立ち上がる。
そこでVTRは終わり、再びオールマイトが話し始めた。
『個性を得て尚、君の行動は人を動かした。』
…そっか
…オールマイトは…きっと、僕を慰めているんだ。合格はできなかったけど、僕の行動は間違っていなかったと…。
そう考えると微笑がこぼれた。
…結局ダメでも、僕はあの時の行動を後悔はしていない。
小さくため息が出る。
『先日の入試、我々が見ていたのはヴィランポイントのみにあらず!!』
……え?
『人助け———正しい事をした人間を排斥しちまうヒーロー科など、、、あってたまるかって話だよ!』
——!!
『綺麗事? 上等さ!! 命を賭して綺麗事を実践するのがヒーローのお仕事だ!!』
…あ、ああ、まさか———!
『レスキューポイント!!———我々雄英が見ていた、もう一つの基礎能力…!!』
『緑谷出久、60ポイント!!』
全身に鳥肌が立つのを感じる。
こんな事って…こんな事って、あっていいんだろうか…?
『合格だってさ 』
…
「…むちゃくちゃだよ………!」
『来いよ、緑谷少年…』
『ここが———君のヒーローアカデミアだ!!!』
「———ッはい…!!」
***
にょーんハローウ!!
入試の成績及び、合否判定が届きました!
つーちゃんでーす!!
早速、結果発表といこか!
筆記はもちろん合格、ぶっちゃけチクワの補正いらなかったんじゃねえのかな…いえ、冗談ですよん
そして実技、
忘れ物に気づいた時とかはめちゃくちゃ焦ったけど無事合格したぜ!!
しかも2位で!!
…
———クッソあっぶな!!
危うく一位になるとこだったぞ…
試験中だと悟られないように母様と通話して、ロボ見つけて破壊して、且つ時間を把握しながらポイント計算———なんて芸当が僕にできるわけがないじゃないか!
1位は原作キャラと決まっているんだよ
なんで一位になったらまずいのかは残念ながら覚えてないんけど、僕のレーダーが白目剥きながら「ヤバい」連呼してたからきっと相当ヤバいに違いねえ
詳しい点数なんだけど、ヴィランポイントが69、レスキューポイントが6だった。
人助けが全然できなかったのだー
理由としてはまず、色々と余裕がなかった事。これは仕方ない、僕は人見知りコミュ障なのさ!
もう一つは道に迷って狭いところを通ってたせいで誰もいなかった事。…一人は寂しいよ…お母さん…(某ロリっ子感)
…そう言えばこの6ポイントはいつ稼いだんだろう…?
記憶にございません(政治家感)
あーそれとコミュ障っつっても全く喋れない訳じゃないんだからね! 勘違いしないでよね!!
結果発表はこの辺でいいだろう。
雄英からの封筒に入ってたのは、オールマイトがインしてる円盤だけじゃないのだ。
『コスチューム申請のご案内』
この手紙を叔父さんにも見せたら銃の申請をしろと言われますた。
現代日本にもまだ銃刀法は健在。簡単に手に入らなかったのもあって、今まではわざわざ飛び道具を使っていたんすよ。
これからは合法的に使えるから射撃も練習せねばな。
なお、使い慣れてるから飛び道具にはこれからも引き続きお世話になるのだ。銃に慣れるまでの辛抱じゃえー
***
《出久視点》
合格通知を聞いた僕はしばらくその余韻に浸っていた。
だけど部屋の前で母さんが待っていたのを思い出して慌てて呼びに行く。僕の気の小ささは母譲りだからあんまり待たせてしまうのは酷だ。
これでもかというほど泣いている母さんと一緒にもう一度映像を見た。
…しばらくは泣き止まなそうだな
そう思って小さく微笑んだ。
僕だって嬉しくて仕方がないんだ、しかも実技が5位だなんて想像もしていなかった。今でも信じられない。
今までの努力してきた日々を思い出して感慨深くなった。
投影されている実技の順位表を見る。
左の一番上に記載された『爆豪勝己』の文字。
…やっぱりかっちゃんはすごいなぁ
首席で合格かぁ…
と、そこで丁度その下に表示されている名前が目に留まった。
『薙崎 剱』
…苗字は知らないけど忘れもしない名前だ。
今でも憧れで、何処にもいない人、久しぶりに思い出しちゃったなあ…
折角だし今日はあの動画を見てから寝よう。
僕は彼の情報をまとめたノートを本棚の奥から取り出して、埃を落としておいた。
…あれから10年、僕のパソコンにはまだ動画が残ってる。
もう必要ないかもしれないけど、彼のおかげで今の僕がいる。
だからさ、
大切にとっておくよ——————
————僕が、最高のヒーローになる日まで
つーちゃんの戦闘シーンのイメージは、『銀魂』に出てくる夜兎族みたいな感じです。
っていうか、みんなめちゃくちゃ鍛えたら夜兎族みたいになれるんちゃうやろか…?