正真正銘無個性少女! ヒーロー目指してやったるわぁ!!   作:めありい

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サヨちゃあああん!!!。・゜・(ノД`)・゜・。

やっと書けた!!



全然関係ないはずの登場人物って割と意味がある! 後になって分かって後悔しても遅いのだぁ!! 推しキャラ登録1番は作者がいただくぜ(`・ω・´)

 

 

《???視点》

 

私は、生まれた時から透明だった。

 

こちらから干渉しないと分かってもらえない。服は着てても表情は見えない。誰にも分かってもらえないことばかり。

 

『透明人間になれたら何がしたい?』って言うやつがよくある。私は皆に理解してもらいたい。皆に見てもらいたい。透明人間なのに矛盾してるよね

周りの人には凄く羨ましがられた個性だけど、私はこの個性が大嫌いだった。私だってみんなみたいに姿が見えればいいのに。その為だったら無個性だって構わないのに。そう思ってるのに。

 

私の願いが叶うことはない。これは私の『個性』なんだ。

 

そう思ってた。

幼稚園の頃、私には一人だけ仲のいい友達がいた。

一般的な『仲のいい』とは少し違うかもしれない。私はその子がいなければ独りだったし、その子も私がいなければ独りだった。

そんな些細な共通点だったけど、たったそれだけの理由でもその子と一緒にいられたのだから構わなかった。

その子はあまり表情を動かさない子だった。最初は何を考えてるのか全然分からなかった。

彼女を見ていて、『きっと周りから見た私もそんな感じなんだろな』と思った。でも私と違うのは、他の人から顔が見えること。最初は凄く腹が立った。だって、私と違って周りに見てもらえる顔があるのにずっと無表情だったから。

でも、しばらく一緒にいて分かった。この子はどこかが欠けている。きっと表情が動かないのもそのせいなんだろうなって。幼いながらにも何かを感じ取っていた。

それに気づいてからはその子がとても可哀想になった。

 

そして事件は起きた。

彼女が『無個性』だっていう話をお母さんに聞いた。その頃はその言葉の意味をよく知らなかった。だから特に意図せずにその事を尋ねてしまった。彼女はその時に至っても表情をピクリとも動かさなかった。悪い事を言ったと気づいたのはずっと後のことだ。

 

彼女は自分が無個性だと分かったその日から、おかしな行動を取り始めた。みんなが遊んでる時は鉄棒にぶら下がって芋虫みたいな事をしてたし、家に帰る時間になると幼稚園の周りをひたすら走り回っていた。心配になって聞いてみたら『トレーニング』と言っていた。よく分からなかったけど、彼女はその頃随分と無理をしていたと思う。表情には出さない子だった。否、出せない子だった。

 

私だけがその子の苦しみを知っていた。

 

迎えに来てる彼女のお母さんは凄く優しそうだったけど、その人も何も気づいてなかったから。

そんなまま一年が経って、彼女は幼稚園をやめて引っ越していった。

同じ頃、無個性の男の子が悪い人達を倒したっていう話を聞いた。絶対に彼女だと確信した。ビデオを見てみても彼女で間違いなかった。

 

 

私だけが知っている

 

彼女が何かを欲している事を

 

そればかりを求めて何も見えなくなっている事を

 

無理ばかりして苦しんでる事を

 

無表情の裏にはたくさんの感情がある事を

 

彼女が自分を騙し続けている事を

 

そう、私だけ

私だけなんだ。だから、私が助けなきゃいけない。支えてあげなきゃいけない。彼女はきっと『欲しているもの』を決して諦めない。だから、せめてそれが叶うまで側にいてあげたい。

 

私はあの後彼女を探し回った。お母さんや色んな大人の人にネットの使い方を教わって、できる限りの分かることを集めて、彼女の引っ越しについて知っていそうな人には片っ端から話を聞きまわり、心当たった場所は実際に自分の足で探した。勝手に探しに行ったからお母さんに凄く怒られた。でも本当に彼女が心配だったから、諦めきれなかった。

 

そしてついに数年経って、彼女のネットのアカウントを割り出した。さも偶然知り合ったかのように偽装して、直接会う予定を立てさせてもらった。

『ネットで知り合った人にあんまり無防備に会っちゃダメだろ』とか最初は思ったけど、彼女に危害を加えようとしたところで返り討ちにされるだろうし突っ込まないでおいた。

 

ようやく会えた。私は彼女に会ってすぐに、幼稚園での私の失言を謝った。彼女は全く覚えてなかったみたいで拍子抜けだったけど、ちょっと抜けてるとこも変わってなくてなんだか微笑ましかった。

彼女はやはり性別を隠していたようで、他には言わないようにと言われた。何か理由があるんだろうし、素直に返事をしておいた。

あれからずっと彼女とはメールで頻繁に話す仲だ。たまに直接会ったりもする。

 

彼女がヒーローを目指してることは知ってたから私もそうしようと思って努力した。流石に彼女ほどじゃないけど、最善は尽くした。

後に彼女の志望校が雄英だと知り、訓練のペースはかなりあげたんだけどね

ギリギリだったけど、どうにか合格した。彼女も合格していた。

 

そうだよね、あんなに頑張ってたもんね

 

いざ雄英に入ることになって、昨日は私がいることを教えて彼女をおどかしてみようと思った。けど、『葉隠透』として会って、なぜか躊躇ってしまった。

帰り道でも声をかけようとしたけど、他の人と一緒に歩いているのが見えてやっぱりやめた。

初日から知らない人と話せるようになるなんて、と、なんだか彼女が変わってしまって遠くに行ってしまったように思えたんだ。

 

今日、葉隠透として彼女と接する機会ができた。結局まだ正体を言えないでいるけど、もうしばらくはこのままでいいかもしれない。本当に彼女が変わったのなら、無理をし過ぎなくなっていたのなら、私は側にいる必要はない。

 

私の名前は葉隠透

私は彼女をつーちゃんと呼ぶ

『サヨちゃん』はつーちゃんが付けてくれたあだ名だ

昔、つーちゃんの無表情を馬鹿にして笑った男の子がいた。今考えてもあれほど腹わたが煮えくり返ったことはない

 

何も知らないくせに

 

私は怒鳴っていた。透明人間として生まれて此の方、周りの人の目には気をつけてきた。今まではずっと好印象な女の子を演じてきてたんだ。だけどこの日始めて私は激情を見せた。

 

『うるさいよ!!』

 

これ以上ないくらい大きな声でそう叫んだ。その言葉を聞いていたつーちゃんは、なぜか「うるさいよ」の「さ」と「よ」だけ取って『サヨちゃん』と呼ぶようになった。私はその名前が大好きになった。今までどこか一線を引いていたつーちゃんとの距離を、初めてつーちゃんから近付けてくれた気がしたから。

 

つーちゃんはやっぱりどこかポンコツで、あだ名呼びをしていたら完全に私の本名なんか忘れてた。そのポンコツもきっとつーちゃんのいいところなんだろうな

 

 

今日の訓練、この機会に見定めよう

私がつーちゃんに正体を明かすべきか否か

つーちゃんが本当に大丈夫そうなら私は必要ない

 

でももし、崩れそうだったなら————

 

 

————必ず私がつーちゃんのヒーローになる

 

 

 

***

 

 

《焦凍視点》

 

『それでは! 第二戦、屋内対人戦闘訓練スタート!!』

 

オールマイトの合図で訓練が始まった。

 

俺のチームはヒーロー側だ。対してヴィランチーム、メンバーは異形型の透明な奴と、先程オールマイトから話を聞いた無個性の奴。

後者の話には正直驚いた。もともと体力テストの時に気になってはいた。何かを発動する素振りもなく大きな記録を出していたからだ。常時発動であれば異形型のはずだが、見た感じそうではなかった。不思議に思っていたが、まさか無個性だとは思わなかった。

彼は昨日の記録を見た限りだと身体能力が非常に高い。が、動きを封じてしまえば関係がない。

同じチームの障子という奴の個性で索敵をしてもらい核の部屋を割り出し、その部屋へと徐々に氷を侵食させていく。あいつの身のこなしから言って、気づかれてしまえば躱されるだろう。だから、その部屋に近付くまでは凍らすスピードを落とすことで音を抑え、勘付かれないようにと心掛けた。そして部屋に入るところで最速にする。

 

おそらく掛かっただろうと思い、悠々と建物に入ろうとする。

 

「……待て、足音が聞こえる。おそらく壁や天井をうまく蹴り上がって避けたんだろう。」

 

それを聞いて目を見開く。今の氷結は俺のできる限りの発動速度を至近距離から使ったのだ。例え部屋に到達するまでに音に気がついたとしても避けられる時間なんて一瞬も無かった筈だ。

 

……認識を改めねえとこれはやべえな

 

正直、障子が索敵・近接対応で助かった。俺が「渚」とかいう奴を抑えたとしてもその間に透明の奴に確保テープを撒かれたらお終いだ。無個性の奴は遠距離戦は向かないだろうから本来なら距離をとって拘束したいが、先程の氷結を避けられたあたりそれは難しい。第一この訓練は屋内だ。距離をとるのも困難だろう。

 

…となると俺が近距離戦で抑え続けるしかないな

障子は肉弾戦になるため刀を持っている彼とは相性が悪い

 

時間はたっぷりあったが、この訓練を実戦と考えるなら早いに越したことはない。目標がいる部屋へ急いで上がっていった。

 

 

 

彼らは俺らを待ち構えていたのだろうか?

足音はできるだけ押し殺したつもりだったが、まるで予期していたかのように相手チームはこちらを向いていた。

 

 

 

 

ようこそ

 

 

 

 

そう言われた気がして俺は気を引き締めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

《透視点》

 

 

 

 

 

 

 

オールマイトの合図で戦闘訓練が始まった。

 

「ツルギさん!私、ちょっと本気出すわ!手袋もブーツも脱ぐわ!」

 

早速つーちゃんに明るく話しかけると、つーちゃんは凄い勢いで首を振りだした、横に。

 

「え?ダメだった? でも見えないし……」

 

あ、そっか。つーちゃんは今私の正体を知らないから男と認識されてると思ってるんだっけ?

気を使ってるのか、なるほどね

 

「まあいっか! とりあえず頑張ろ!」

 

話題を切り上げて訓練へと意識を戻す。

直後、つーちゃんが何かを感じ取った。つーちゃんは耳がいい。おそらく何かが起こる。

そう思って身構えると、つーちゃんは突然私を姫抱きにして飛び跳ねた。少しびっくりしたけど、壁や床に氷が張り始めたのを見て納得した。

……それにしてもこの格好だとつーちゃんの胸が当たるんだよな…ホントにポンコツ…このままだとすぐに性別バレるんじゃないかな。。。

 

氷結が終わり、つーちゃんが私を下に下ろした。

 

「ごめん」

 

ん? ああ、男の子として遠慮してんのかぁ

つーちゃん結構気にするからねーこういうの

幼稚園で一緒だったエロ男子にトラウマ持ってたみたいだし

 

「ううん全然! 寧ろ助けてくれてありがとうだし、こんなイケメンに抱えられちゃうなんての嬉しいの極みだよー!」

 

後半はほぼ本音、一瞬たじろいたのが可愛い

するとつーちゃんは今度は私が寒そうだと思ったらしく、コートを脱ごうとした。

 

え、前にメールで文句言ってなかったっけ?

『マザーがコスチュームの羽織の下をスカートにしちゃったにょ』って!

まさか性別バレるの覚悟? 優し過ぎだろ!

 

「だいじょぶ!これが終わるくらいまで我慢する!」

 

慌てて引き止めましたとも!

しかしそこで止まるつーちゃんではない。

今度こそ羽織の留め具に手をかけた、ので百人一首のクイーンの如く手を伸ばして止めた。今までで一番マジな反射だった。

 

「ホントだいじょぶだから! それに透明っていうアドバンテージを無くしちゃうし!」

 

そしてもう一押しが大事!

 

「今脱がれても絶対着ないからね!」

 

ここまで言えばだいじょぶ。とは言っても多分この訓練が終わったらすぐにでも渡してくるだろうしどうしよう…

 

ん、つーちゃんがなんか伝えようとしてる……なるほど、来てるってことね

 

不思議なもので、つーちゃんとはよく目が合う。あちらからは見えない筈なのに、他の人よりも目が合う頻度がすごく多いんだよね

それが結構嬉しかったりする

 

 

さてと—————

 

 

 

 

 

 

 

 

———ようこそ、お二人さん

 

 

 

 

 

 

 

 




*つーちゃんサヨちゃんのミニストーリー*


《透視点》


〜幼少の記憶〜

私は透明人間、姿は見えない。
だから、何かを伝えたければ全身で表現しなくちゃいけなかった。でもすごく疲れてしまった。
私はつーちゃんに聞いてみた。


「つーちゃんは疲れたことってある?」

質問の意味が分かりにくかったのかもしれない。

「走って疲れるとかじゃなくて、何もしたくなくなっちゃうの」

「…あるよ」

「…!……じゃあ、そういう時さ、つーちゃんならどうしてるの?」

「我慢する」

「どうやって…?」

「目標を持つ」

「……もくひょう?」

「やりたいこと、欲しいものとかはある?」

「あるよ…私はね、皆に見てもらいたい」

私は姿しか見えないから、いつもフードやマスク、とにかく肌を覆うものをたくさん身につけていた。だから、つーちゃんは私の個性を透明人間だなんて覚えてなかったんだろうな……

「それならヒーローになろうよ。サヨちゃんは可愛いし、きっと皆に見てもらえる」

「!そっか…! そうだね!」

一瞬明るい気持ちになった。けれど、つーちゃんがヒーローの話をした時、どこか雰囲気が変わった気がしてなんだか気になった。

「…つーちゃんもヒーローになりたいの?」

「…うん」

「どうして?」

「……ごめん、分からないや」

私はこの時気付いた。つーちゃんがつーちゃん自身を騙している事に。
つーちゃんは、何かやりたい事や欲しいものがあるからヒーローを目指してる。
それが分からないなんて嘘に決まってる。だけどつーちゃんは今まで嘘をついたことなんて一度もない。それに嘘を付いているそぶりもなかった。
あのポンコツのつーちゃんが嘘なんてつき続けられるわけがない。だから、これはつーちゃん自身がつーちゃん自身に騙されてるんだ。


つーちゃんが何をしたいのか、何を欲しがっているのかは分からない。だけどつーちゃんはそれの為だけにすごい努力…無理をしてる。つーちゃん自身、それに気付いてない。

また、私だけ

知ってるのは私だけ

救えるのも、私だけかもしれない






———この日、私はつーちゃんを救うヒーローになると決めたんだ






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