正真正銘無個性少女! ヒーロー目指してやったるわぁ!! 作:めありい
葉隠ちゃんはつーちゃんに執着しがちな一年になるかも!?
令和版、つーちゃん占いでしたー!
短いですが、一応投稿(生存報告)
《透視点》
登校日3日目にして、みんなそれぞれが教室に馴染み始めていた。
私ときたら未だに決心が付かず、つーちゃんに話しかけるか否か思い悩んでいる。
つーちゃんはいつものように教室に遅刻ギリギリの時間に入ってきて、席についていた。もう少し早くきてくれれば話しかける時間もあったかもしれないのにと思いつつ、もしそうだったとして自分が本当に声をかけられたかと言われればはっきりとそうとは言えないのが本音
今までサヨちゃんとして隣にいた私だったけど、彼女のパーソナルゾーンは少し特殊だからクラスメイトとしては上手くくっつけるかあやしい…
『クラスメイト』と言う名前の関係がダメなようなら、いっその事私の正体はバラさなくてもいい気もする。
人と接することに関しては彼女はあり得ないほど抜けているから、いざ変な人に絡まれちゃっても私が守ってあげたい
その為にも私は何としても彼女の隣に陣取っていたいのだ。
…言い方ちょっとおかしかったかも
でも大体そんな感じ。
入学早々、もう既に秘密を知られた人が2名ほどいたけど、彼等には口封じも兼ねて延々と『おはなし』してあげた。今では彼らも立派なつーちゃん教の信者だ。間違っても無粋な輩を彼女に近づけさせたりなどしないだろう。洗脳は完璧だ。
つーちゃんは席に着くなり、頬杖をついて何処かを真っ直ぐ見つめていた。
ああいけないいけない。気づけば彼女にばかり目がいっている。担任の相澤先生は厳しいし気をつけないと!透明だから気をつける意味はないけどね!
相澤先生は昨日の実技の授業で問題行動の多かった二人に注意と発破をかけていた。先生の目線は一瞬つーちゃんにも向いたが、悩ましげに目頭を抑えただけで何も言わなかった。おそらく昨日の蹴りのことで苦言を呈そうと思ったのだろうが、何故何も言わないのだろう。正直あの行動にはこちらも肝を冷やしたのだ。次に同じ様なことで重い怪我でもしたら大変だ。『教師ともあろう者が…』と自分を棚に上げて頬を膨らませる。
相澤先生は結局彼女には何も言わず手短に話を終え、学級委員長決めが始まった。殆どの人が立候補する中、静かに様子を俯瞰していると他にも私と同じ様にしている人がいた。訓練で一緒だった轟くんと、つーちゃんとつーちゃんとつーちゃんだ。元々分かってはいたことだが、つーちゃんはこの手の物に全く興味がないらしい。同じポーズのまま微動だにしない上、何処か眠たそうにも見える。
最終的には投票を行うことになり、委員長も副委員長も綺麗に決まったのだが、つーちゃんは投票に参加してすらいなかった。自由人な分、彼女は人一倍に人格としての個性が濃い気がする。変わらない彼女に小さく笑いが洩れた。
***
お昼。食堂に行く人たちがバラバラと教室を出てゆく。今朝委員長に選ばれていた緑谷くんがつーちゃんを食堂に誘っていたが、彼女が何も言わず徐に弁当を取り出したのを見て意図を汲み取ったらしい。彼は肩を落として去っていった。
一方私はお弁当を持ってきていたので教室で食べることにした。つーちゃんに正体を打ち明けるかは別にして、葉隠透としても仲良くなりたいと思った私は思い切って一緒に食べようと誘ってみることにした。
「ねえねえ、ツルギさん一緒にご飯食べようよ!」
彼女は緩慢な動きでコクリコクリと頷く。彼女は自分から話すのは得意ではないので、私が話し、彼女が逐一頷く構図が出来上がっていた。
途中でちゃっかり峰田くんが隣に座っていたりしたが、昨日のおはなしが効力を発揮しているようで迂闊に手を出す様子はなかったので放置した。
穏やかな時間が過ぎていく。
***
突如警報が鳴り響いた。
教室に残っていた者は突然の事に戸惑う。放送によると校内に侵入者が出たらしい。外を見てみれば所々騒がしかった。他の教室にいたらしい教職員が、教室で待機するようにと指示をすると慌ただしく去っていく。どうやら他の教室にも同じように指示をして回っているらしい。放送のみを聞いたものはマスコミが原因であることを把握していないようで、対応に追われているのだ。
ただのマスコミであったことに安堵しつつも相変わらずトラブルを起こす連中には呆れてしまう。
ふいにつーちゃんがふらりと立ち上がる。教室を出てどこかに行こうとしていたので驚いて声をかけたのだが生返事しか返ってこなかった。一体どうしたのだろう?危険がないことは分かったが、こんな時に行く必要のある用事なんてあるのだろうか?
彼女の何かを探すような仕草を見ても特に心当たりはなかった。
セコム怖い