使徒のヒーローアカデミア   作:nani

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世間からの認識は、巨大化+超スペック+ATフィールドを展開する個性の複合型。
実際、轟くんみたいな個性婚の複合型ってシナジーが凄まじいと思う。


一瞬

 歩き出した試験官を追って空を浮遊し移動する。

 

「受験生は全員模擬市街地演習をやってもらう予定だったんだが、はっきり言ってお前には意味をなさない。元々筆記ができたのなら、俺の独断で合格を出していいと言われていた」

 

 なるほど。合理的だ。しかし、この雄英高校がそんなことをしてもいいのだろうか? 他の受験生に悪感情を与えることにあるのだが。

 

「お前の個性は何だ?」

 

『……「使徒」。この体と、絶対領域を展開する個性。応用で、瞬間移動などもできる』

 

 先程の言葉と真実に嘘がないように、最低限の情報を開示する。この体だ。一瞬でと言ってしまった以上、瞬間移動は必須だろう。

 

「……………………町への被害を極力抑えて、中にいる仮想(ヴィラン)を行動不能にしろ。こういうやつだ」

 

 試験官は手に持ったスマホに4体のロボを表示する。

 

『わかった。このままだと演習場が索敵範囲に入るが、大丈夫か?』

 

「……構わない。それも個性だ」

 

 そして、くたびれた様子の試験官の後に演習場に到着する。

 

 

 

 

 ……標的の把握は完了した。攻撃方法は虚数空間からカッター状のATフィールドを纏った手刀による斬撃。速度・威力共に申し分ない。指先だけなら建物も傷つけず済む。

 

 細く長い刃物状にATフィールドを手に展開し、構える。

 

「準備ができた。始めろ」

 

 その言葉の振動が自らの体に触れた瞬間、体を虚数空間に落とす。

 

『無尽影刃』

 

 ……虚数空間。光速を超えることのできない物質では決して干渉することのできない空間だ。タキオンという超光速の粒子が存在する。

 

 実数が線とすると、虚数の存在するこの空間は面になる。私の内部にもその一点として、多重ATフィールドで囲まれた宇宙が存在するが、今回は物質界からほんの少しずれた虚数空間を経由し超光速で文字通り瞬間移動する。

 

 そして、計算通り仮想敵の頭部の関節部に一閃。

 

 所要時間はゼロに等しいが、ゼロではない。次の目標を捕捉して再度移動。

 

 切断。

 

 移動。

 切断。

 移動。切断。移動切断。移動切断移動切断…………

 

 

 そして、最後に今までのに比べると巨大な仮想ヴィランに一閃。

 

 所要時間、約0.01秒。

 

 ATフィールドを通常展開に移行し、元いた場所に瞬間移動で戻り、流石に驚いた様子の試験官に声をかける。

 

『合格か?』

 

「……合格だ」

 

 ……約束は果たしたぞ、ツクヨミ。

 

 

 

 

 

 

 

 ………………こいつ、既にプロヒーローを遥かに超えていやがる。

 

 いくら巨体と言っても、それだけで個性の制御が上手くなる訳じゃない。例え空間系個性だとしても、ここまで早く転移できるのは凄まじい努力があったはず。

 

 試験を開始した瞬間、スマホに映した全ての仮想ヴィランが黒い閃光と共に行動不能になった。それでいて疲れた様子もない。

 

 0P仮想ヴィランも影からの一閃で綺麗に切断されている。これなら修理費もそこまで高く……いや、そうじゃない。

 

「……合格。通知が届くまで誰にも言うなよ」

 

 そう言うと、受験生の仮面の奥が赤く輝いた。

 

 本当は他の教師たちと相談する予定だったが、落とす要素が一つも存在しない。

 

 確実に合格できるだけの五感と情報処理能力があることは筆記試験で理解できた。そして、せっかく実力を測る場所があるので、後で準備するのは合理的じゃなくと試験をやらせてみたが……

 

 その結果がこれ。

 

 一瞬にして仮想ヴィランの頭部が黒い刃による同時攻撃かと見間違える程の連続攻撃で切断された。

 

 周りへの被害はゼロ。レスキューポイントは未定だが、間違いなく過去最高得点だ。

 

『私はどうすればいい?』

 

「もう帰っていいぞ……ああ、転移は使うな。俺たちも外には漏らさない。奥の手だろう?」

 

『助かる』

 

 受験生はそのビルをも超える体で歩き出す。

 

 

 

 ……瞬間移動の時、明らかにその体積よりも小さくなっていた。ヒーローの間でも、あの受験生は少し有名になっていたから覚えている。かなり目立つらしく、ヴィランになった時どうするかという話題に出てきた。

 

 あの巨体に、常時展開されている強固なバリア。みんなで協力しようということで終わったが、今のあいつがヴィラン化したら俺がいてようやく倒せる可能性ができる程度だ。

 

「今年はオールマイトもいる。何かあるのか?……というか、まずあいつが授業をちゃんと受けられるようにする必要があるな」

 

 まだ入試は終わっていない。

 

 

 

 

 

 

 

「今日は俺のライヴへようこそー!!! エヴィバディセイヘイ!!!」

 

 …………

 

「え、なになに? あの大きい人? ………え、もう合格した? らしいぜ!!!」

 

 …………

 

「卑怯だぁ? それぐらい乗り越えてみせろ!! と、言いたいところだが、今年のヒーロー科は特例で41人になるぜ!! あいつ大きすぎて教室に入りきらねぇからな!!!」




虚数空間は完全な独自解釈です。
レリエルが転移できることと、宇宙並みに広いと考えるとこんな感じなんじゃないかなと思いました。

普段使いのATフィールドの出力は変わらず、ATフィールドでS2機関を制御した感じ。虚数空間のは別とする。

S2機関の暴発で研究所が虚数空間に落ちたらしいので、虚数空間にはS2機関が関わっているはずだと推測してみる。
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