多重展開時にはその分一枚の出力が落ちる。
心の壁ということで、自分が大きければ大きい程出力が上がる代わりに、小さくなると弱くなる、ということにします。
オリジナル設定です。
人並みに小さくなっても、本体の硬度は変わりませんが。
「……海賊っぽくなったな」
コスチュームは眼帯のみ。それも黒色の眼帯だと元々目が黒いため、外見上の変化はほぼない。顔を斜めに横切るように紐があるだけだ。
それなりに頑丈そうなワイヤーのような紐が顔の端まで伸びて大きな金具で固定されているが、眼帯が重く、高価過ぎるため、ATフィールドでの補強は忘れられない。
『流石にウ〇ト〇マンのコスチュームはダメだろう』
眼帯型コンピュータを使って、〇ル〇ラマンの服を着た自分を常闇の前の壁に投影する。
「…………ギャップが凄いな」
……便利だ。赤外線カメラなどの観測機器はほぼ揃えてある。というか、これだけでヒーローになった後の事務仕事もできそうだ。
「始めようか有精卵共!! 戦闘訓練のお時間だ!!!」
その言葉と共に、オールマイトの授業が始まった。
内容は、2人1組でヒーロー役とヴィラン役に分かれて、制限時間15分の屋内戦闘訓練。
勝利条件は、ヒーロー役は制限時間までに核兵器を回収するか、ヴィラン役に確保テープを巻き付けて捕まえること。
ヴィラン役はアジトのビル内に隠した核兵器を制限時間まで守るか、ヒーロー役に確保テープを巻き付けて捕まえること。
「コンビ及び対戦相手は、くじだ!」
『私は見学しよう。一瞬で終わる』
負ける要素が存在しない。確保テープを瞬間移動して巻き付ければ勝ててしまう。
「いや、水野少年は最後にヴィラン役で全員と戦ってもらう!! さらに、確保テープはない! 影に核兵器をしまうのも禁止だ!! 何か、質問は!?」
「それでは、サキエルくんが可哀想ではないのでしょうか!?」
「入試を見た限り、これぐらいしないと私でも勝てないぞ!!」
入試のあれで、一瞬で終わらせられないか? 確かに、虚数空間からの奇襲中は核兵器が無防備になる。常闇の
いや、本体を犠牲にされたらダメだ。今回はコアと一緒に核兵器も守ることにしよう。しかし、その場合ビルに入れるように縮まなくては…………
一戦目。
ヒーロー役緑谷・麗日、ヴィラン役爆豪・飯田
途中、観測機器と五感を使って実況することになった。オールマイト先生の許可も得ている。
『やっぱ、なめてんじゃねーか……!』
『使わない、つもりだった……使えない、から。体が、衝撃に耐えられないから……相澤先生にも、言われて、た。だけど、これしか、思いつかなかった…………!!』
「ヒーロー、ヒーローチームWINー!!」
緑谷が大怪我して保健室行きになった。
彼にとって、爆豪にとっても、これは重要な転換点だったんだろう。次回に期待しよう。人は、こういうことで飛躍的に成長するのだ。
そのためには、今回勝たないといけないな……核兵器を持って上空1000mぐらいに逃げられるのなら、楽なのだが。
いや、苦難こそ重要なのだ。ここで負けるのなら、私はそこまでの生命体だったということ。
それをきっかけに進化すればいい。
2戦目。
ヒーロー役轟・障子、ヴィラン役葉隠・尾白
轟が一瞬で終わらせた。
そんな感じで全チームの戦闘訓練が終了し、私の番が来た。
「……俺はサキエルの
「おぉ!」
「…………一番厄介なのは、ATフィールド。常時、多重展開も可能な強力なバリアだ。一枚でも突破は困難と極めるだろう。
次は瞬間移動。文字通り一瞬で、死角からの一撃を可能とする。
そして、その体だ」
「マジかよ……」
「確保テープは不可能だと考えた方がいいのか?」
会話が聞こえるのだが、これは盗み聞きに入るのだろうか…………先にセッティングの時間を済ませよう。
与えられたのは皆と同じような縦20m、横10mぐらいのビル。とてもじゃないが、縦どころか横幅も足りない。
とりあえずビルの内部を壊し、できるだけ私が入れる空間を確保する。瓦礫は虚数空間行きだ。
…………そうか。足を使えばいいのか。上半身を虚数空間にしまって、足で迎撃する。
それだけだと上空からの奇襲への対応が難しくなるため、地面から足を生やす形で。間に核を置いておけば完璧だ。
「…………おい」
「水野少年ー!!!」
壁から生やした腕二本で対応することになった。体積が減り、ATフィールドの出力が下がるのだが。一応、顔も核兵器の上に出す。
「……よし。行くぞ!」
「お、おう」
ひとまずは、近づいた前衛切島、尾白を手でビルの外へ投げ飛ばす。それなりに遠くへ飛ばしたはずだったが、瀬呂、轟によって回収される。
…………どうやって、戦闘不能にするべきか。
「影槍ロンギヌス。昼間、体積。条件は対等だ」
常闇が超スピードで突進し、黒影の爪がATフィールドに衝突する。昼間で威力は落ちているが、こちらのATフィールドの出力も低下している。持って1秒か。
――――びよんびよん。
顔から常闇を避けてビームを放つ。最低出力、光量重視のビームで、ビルが光で埋め尽くされる。普通は十字架状になるが、ビルに穴を開けずに済んだ代わりにビルが光に溢れた。
「っ」
常闇は足裏に黒影を使い、高速で離脱する。いくら遮光性のあるマントがあるといえ、槍の先端の維持ができなくなったのだろう。
「ハウザーインパクト!!!」
ATフィールドが一枚割れる。爆豪か。
強度が100分の一程度に低下しているが、それでもビルを半壊させる程度で破られるものじゃないのだが。
とりあえず、二枚目のATフィールドで弾き飛ばす。今のは籠手の手榴弾を使ったものだろう。簡単に連発できないはずだ。
「クソッ! 何枚あんだ!!?」
「さっき言っただろう! 普段は3分割で、3枚! 10秒で1枚回復だ!!」
「分かってんだ、よ!!!」
手を伸ばし片手で拘束しようとするが、避けられる。光が消えたタイミングを見計らって再度光線で常闇の妨害。
その後、さらにATフィールドで壁に爆豪を押し付け捕獲を試みるが、壁を破壊され逃走。
仕切り直しか。
…………仕方ないんです。
だって、足の方が体積取れるし、体勢的にそこしか置く場所がなかったんです! 顔も体を曲げれば届くし!
ごめんなさい。