転生記SGGサイバーフォーミュラ 作:スライムパンティ
1月9日PM6:00
「ここまでが限界だな、回数にして12回だ」
「いや、それでも最高速度を出せるだけの剛性を持たせられたのは大きいっすよ、ゲンさん」
これだけの改造が出来たのは、ゲンさんの御蔭である、ゲンさんは貴重な貯金を切り崩し、恐怖公の改造パーツを取り寄せたのだ
「よし坊主、最終シュミレーションをやらせてみてくれ」
「了解」
入力を済ませて、当日のレースのシュミレーションをさせ、そこから話し合いで色々な作戦を決めていくのだ
入力を素早く済ませると、はじき出された結果を元に、ゲンさんと明日のレースへ向けて最終ミーティングを行う
「あのパーツは大きかったっすね、全開のシュミレートを大幅に上回ってる」
「ああ、だがその分操作性はピーキーになってるからな、かなりドライバーへの負担は高くなる、坊主を信頼してるが、そこんじょそこらのプロでも乗りこなせない程だ無理だけはするなよ」
「了解っす、いよいよ明日かぁ~今日寝れるかな?」
「無理やりにでも寝るんだな、明日は予選だとは言っても、3度全部タイムアタックするんだろ?」
「もちろん!せっかくコースで走れるんだからな」
「恐らく他のチームも3回すべてタイムアタックするだろうから問題ないが、あの例のコーナーリングは予選通過が出来るのなら控えておけ」
「ああ、俺も同じ意見だよゲンさん、けど無理そうなら限界まで使う」
1月10日AM10:10
「よし!恐怖公SGG-01グレファール・アズナ出ます」
「頼んだぞ坊主!」
黒光りする車体から轟音が響き渡り、ビットから出陣する、俺のデビュー戦だ、予選開始から2時間後にスタートしたのには理由があった、混んでたんです!すっごくwww
なのである程度少なくなるのを待っての1回目のアタックに挑戦する俺、入力された予定通りのナビゲーションで軽快に走り出す
他のチームの面々を見る限り、パワー不足に感じていた部分も、予想よりも低くかった事もあって、計測する限りブースト込みでの2時間の間に行われた最高速度は390km
やはり草レースと言う事もあって、ガチのプロは居ないようで、その最高速度を叩き出したチームは最高速度をマークした直後に大破している・・・・
そのまま最終コーナーを回りきったところで、タイムアタックに入る
(現在の最高タイムは、1,32,39、シュミレーション通りやれば暫定1位になれる)
シュミレーションの通りに車体を操作していく、シュミレーションは空いてる時間を使って嫌と言うほどやった事もあって、Gに振り回されたり、操作がおぼつかない事な~って事も無く、ナビゲーションの指示通りに中間地点を突破
(よし、予想どおりだこのままいけば暫定1位)
その後も特に何もなくゴールし1,28,22っと暫定1位に4秒近く差を付けた
「ゲンさんやったぜ!!暫定1位」
「おう!見てたぜ、まさか4秒も差を付けるとは、やるじゃねーーか!」
コクピットから降りがっちりハイタッチする、すると放送で俺のタイムが大会レコードである事が伝えられると、会場からも声援が送られる、若干見た目もあって笑われてる感もあるけどwww
数時間後
「本当に3回目をやるのか?」
ゲンさんが言う事ももっともな話だ、全てのチームが3週を終えて残り1分の所で、1位である俺達のチームが残していた残り1回をやると言うのは無駄である、トラブルがあれば明日に差し支えるし、それに運営としても、他のチームとしても遠慮して欲しい行為だろう
「・・・・やっぱやめとこっか」
流石に走り出そうと、コクピットに乗り込んだのだが、周りの空気がそうじゃないと感じた俺は、潔く諦める事に
「ともあれポールポジションだ、よくやったな」
「ゲンさんの御蔭っす、あの改造が無かったらポールは無理だった」
これだけ安定してトラブルもなくレースを終える事が出来たのは、ゲンさんの資金によって改造が出来たからである、本当に感謝しかない
「ふん、明日の本番に気負い過ぎてフライングなんかすんじゃねーぞ」
「分かってるって」
14歳のレース挑戦は、やっぱり目立つ開始前から色々と他のチームからも言われたが、ビットには数名の他チームの連中と記者が来ているのが見える
草レースと言う事もあって、派手ではないにしても、ちょっと嬉しい!
「グレファール君、ちょっといいかな?」
壮年の男性記者に話しかけられる、スポーツ新聞の記者らしく、愛想よく話しかけられ、恐怖公の前で写真撮影をした後
「グレファール君ポールポジションおめでとう、いや~大会最年少14歳にして初挑戦ながらポールポジションに加えて、大会レコードまで大幅に塗り替えるなんて、いままで何処かでレースをしてたのかい?」
「あざーす、レースは今回初挑戦ですね」
「明日の決勝への意気込みなんか聞かせてくれるかな?」
「とりあえずチームメイトにも初挑戦は最後までゴールできれば合格と言われてるんで、順位に関わらずゴールしたいですね」
「へぇ~思ったよりも謙虚なんだね、レース見させてもらったけど、とても謙虚な感じを受けなかったんだけどなぁ、それと車両についても聞かせて貰ってもいいかな?」
「あ~これは俺がデザインしてます、見ての通りなんですがゴキブリをモデルにしてます」
「あはは、それで恐怖公って訳なんだね」
「ええ、SGGはサイバー・グレート・ゴキブリの略ですね」
「いいねー!とっても面白い、けど残念ながら女性には嫌われそうだね」
「まぁ~その辺は覚悟しての事です、明日のレースでは恐怖公による観客席からの悲鳴を期待しながら楽しみたいですね」
1月11日AM8:00
『さーーていよいよ始まりました、プロへの登竜門とも言うべきサイバーフォーミュラによる祭典アオイアマチュアカップ2015、この大会により数多くのチームが夢を実現させるべく全国から強豪が集まっております。さて今回最大の目玉は何と言っても大会最年少14歳になったばかりでありながら、ポールポジションを取り大会レコードを塗り替えた、恐怖公SGG-01に乗る若き天才ドライバーであるグレファール・アズナ選手、日本国籍なので本名ではないそうですが。今大会での優勝筆頭候補と言えるでしょう。次いで前大会の優勝者牧幸太郎選手ポールポジションを逃しながら・・・・・・・・・・・以下略』
アナウンサーの派手な紹介で、さらに目立つことになった俺達
「・・・・やべぇ、緊張して来たかも」
「まぁ~しょうがないわな坊主、まぁ~若き天才ってのは同意するがなガッハハハ!」
「とは言っても、俺よりも超天才が同年代で最低でも2名は居るから、今だけだろうけどね」
ハヤトとかランドルとか、アレは絶対にチートだって思う、俺ありえないくらい苦労して乗ってんのに、ハヤトとかランドルって数回乗っただけで、乗りこなしてるんだぜ、ありえないっしょ
「ほぉ~おもしろい事を言うな坊主、お前以外に少なくとも同年代に2人ってのは初耳だぜ」
「年内には黙ってても分かるさ、それよりも俺はスタートまで1人で集中したい、後を任せても大丈夫すか?」
「まかせておけ、最高の状態で送り出してやる」
「了解だ」
抑えきれない武者震いをどうにか鎮めようと、目と閉じて集中する
レースの感触を何度も今日までシュミレーションして来た、それを再び脳内でリプレイする事で、不安を取り除こうと考える
それでも抑えきれない心の葛藤がコクピットに入ってからも続き、レースが始まった!
(よし、ナビ通りのスタートだ)
フライングする事無く先頭を走る恐怖公、イメージ道理に走り続けている事からスタートダッシュに問題は無い
(問題は周回遅れの連中を追い抜く時にどれだけ冷静に対処できるかにかかってる)
順調に滑り出して周回を重ねていく、1周目に4台がクラッシュしたとの通信が入り、1周目で2位との差を7秒広げているので、ペースダウンの指示が出る
周回を重ねるごとに2位以下を引き離していき、レースの半分であるピットへの補給へ入る際には、2位を周回遅れにした
ピットに戻ってお互い言葉もなく、タイヤ交換などの作業へ入る、喋ってる暇など無いのだ、タイヤ交換を済ませ、再びコクピットに戻って水分補給を済ませると、燃料の補給も同時に済ませる
「ゲンさん行って来る!」
「ああ!たのんだぞ」
そのままコースへ戻り、目の前を走る車両をパスして周回を重ねる、今までに使った特殊なコーナーリングは3回、出来すぎな位に抑えられている
2位の車両にも1周半程度の差を付けている事から、無理する必要も無いが、それでも素人ばかりのレースだけに簡単には道を譲ってはくれない事もあって、使わざる得ない
それから周回が進み2位の車両に2週目の周回遅れにしようかという所で、ゲンさんから指示が出る
「2位を2周遅れにするのは不味いぞ、マナー違反と言われる可能性がある、そのままの位置をキープするんだ」
「分かった」
ナビに指示を出して、前の車両がトラブルを起こしたとしても軽くかわせる位置にキープする様にしてもらって、そのままゴールする
やばいくらいに盛り上がらなかっただろうけど、俺にとってはヒヤヒヤな作業であり、資金繰りから考えても賞金は絶対に欲しい、最後の最後まで気を張り詰めていただけに、ゴール直後からしばらく満足に動く事すら出来なかった、コクピットを開けて手を掲げる事がやっとだった
手の平にはマメが潰れてグローブが真っ赤か、声援が聞こえなくもないが、意識は朦朧としてるのが自分にも良く分かる
表彰式の後のインタビューも何を話したのかすら分からない程に疲れ果てた、レースってヤバいくらいに疲れるのだと、改めて思わざる得なかった、俺は若き皇帝ハヤトの様にチートじゃないと改めて思わされたレースだった
翌日ゲンさんと賞金の山分けを行い、昨日は疲れ果てた俺を気遣って翌日に持ち越された祝勝会をおこなう、むさっくるしいおっさんと2人きりってのが癪ではあるが、戦友との勝利の美酒を・・・俺だけ酒は無いが味わう事に
アオイ系列のレース会場に近接するホテルで奮発して昨日は宿泊し、場違い感半端ない食事を楽しむ2人
「坊主・・いやグレはコレからどうするつもりなんだ?」
唐突に今後の予定を聞かされたが、ぶっちゃけ今後については何も考えては居ない、逆にゲンさんは?っと聞くと
「グレ次第だな、俺はお前のメカニックだからな、俺はお前に賭けて見たいと思ってる」
今ぱっと思いついたのは、恐怖公のバージョン2を作るのもいいが、もっと世界を楽しむには恐怖公のバージョン2は作るべきじゃないと考える
「そうだなぁ~とりあえず資金も出来たし恐怖公の次世代機を作るってのもいいが、それだと何処まで行ってもアマのままになると思うんだ、そこで世界に挑戦する為に、大手に乗り込んでみようと思うんだが、どう思うっすか?」
「がっははは!俺の期待通りの事を言ってくれるとは助かるぜ、そうでなくっちゃな若いんだそれくらいの無茶をやってくれた方が俺は面白い」
「ちなみにゲンさんのおすすめは何処っすか?」
「そんなのはアオイだろうな、他にもあるにはあるが、国内でサイバーに1番力を入れてる会社は間違いなくアオイだろ」
まぁ~そうなるわな、だけどさぁ・・・落ち武者とか、女王様とか怖いし関わりたくないのが本音、かといって海外進出ってのも面白みがない、スゴウは今絶対にどう頑張っても無理
・・・・・女王様を見て判断しよう
「その方向でいいけど、他のチームの事も調べてみたいが大丈夫か?」
「俺の事は気にするな、お前のやりたい様にやればいい、最悪俺と別れる事態になっても気にするな、俺は俺で人生で1番楽しませてもらっただけで十分に満足してる」
「こんな席でしけた事言うなよゲンさん、これからも頼むぜ相棒!」
「ああ」
一方の俺達の話題にも上がった女王様こと葵今日子は、大会の来賓で観戦しており、異様な姿の恐怖公が活躍してる事で、大会の品位が著しく損なわれている事への怒りと、そのガキに他の選手が遊ばれている事への怒りが折り重なっていた
「凄い子供が現れましたね今日子様」
女王様の部下の1人に言われ、女王様も確かにセンスを伺わせるドライビングに、来期より参入するサイバーフォーミュラの選手としての候補に入れても悪くはないとは思ってるが、実際は大会を侮辱するような姿とレース展開への怒りの方が勝っている
「ええ、テストパイロットの候補として一度会うくらいは良いかもしれないわね」
「しかし何を考えて、あの様な車両にしたんでしょうね」
「資料を見る限り下賤な者達なのでしょう、私の作るアオイフォーミュラに相応しいとは思えませんが、あの若さであのセンスは捨てがたいわ」
俺達は食事を済ませて、明日にはホテルを出て、アオイフォーミュラにコンタクトを取るべく、夜遅くまでどうするのが一番いいのかなどの話し合いを行い、本拠地とされてる場所へ赴いて、まずはアオイフォーミュラを見学する事で一致した
「じゃ~グレ明日の1番で出るから荷物纏めてから寝るんだぞ」
「了解だ、けどさ~恐怖公でアオイのホームコースへ乗り込んだらって考えると、色々な意味を込めてワクワクして来るよ」
「まったくガキは、どうなっても本当に知らねーからな」
「無理だったら海外へ行くさ、その時は優勝のご褒美に海外旅行としゃれこもうよゲンさん」
「それじゃーな、おやすみ」
ゲンさんと別れた後、俺は自分の部屋に戻る、遠目に俺の部屋の前で黒いスーツを身に纏った、数名が待機するのを見つけ、ゲンさんの所へ逃げようとするが・・・・
次回に続く
名称 恐怖公SGG-01(サイバー・グレート・ゴキブリ)
全長 3489mm
全幅 1868mm
全高 759mm
車両重量 463kg
総排気量 3094cc
最高出力 700馬力/16000回転
最大トルク 96kg-m/8000回転
最高速度 348km
エンジン 水素エンジン
構造 6WD
ボディ素材 強化チタン合金 アルミ合金
変速機 前6 後1
総工費:370万円